JPH08188697A - 水溶性フィルムの製造方法 - Google Patents

水溶性フィルムの製造方法

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JPH08188697A
JPH08188697A JP184095A JP184095A JPH08188697A JP H08188697 A JPH08188697 A JP H08188697A JP 184095 A JP184095 A JP 184095A JP 184095 A JP184095 A JP 184095A JP H08188697 A JPH08188697 A JP H08188697A
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film
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vinyl
polymer
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JP184095A
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English (en)
Inventor
Tomohito Tanimoto
智史 谷本
Kazutoshi Terada
和俊 寺田
Masaaki Kinugawa
真明 衣川
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
Hirotoshi Miyazaki
弘年 宮崎
Toshiaki Sato
寿昭 佐藤
Hitoshi Maruyama
均 丸山
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリビニルアルコール系重合体(A)と、水
の存在下でシラノール基に転化しうるケイ素含有基から
選ばれる官能基を片末端に有する軟化点が0℃以下の水
溶性重合体(B)からなる水溶液を流延製膜することを
特徴とする水溶性フィルムの製造方法。 【効果】 本発明の水溶性フィルムは包装材としての良
好な外観、フィルム強度、耐薬剤性、冷水溶解性、柔軟
性等の特性を有し、幅広い分野に応用可能である。例え
ば洗濯用洗剤、漂白剤、農薬、工業用薬品等の粉末・粒
状・塊状の薬剤包装材、園芸用種子の包装材、ランドリ
ーバッグをはじめ使い捨て日用品等として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水溶性フィルムの製造方
法に関する。更に詳しくは、冷水溶解性および柔軟性の
良好な水溶性フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水溶性フィルムは洗濯用洗剤、農薬、工
業用薬品などの包装;園芸用種子の包装などに広く用い
られている。洗濯用洗剤、農薬、工業用薬品などの乾燥
物質を水溶性フィルムで包装すれば、その包装体を水に
浸漬するだけで水溶性フィルムが水に溶解または分散し
て内容物が水に溶解または分散するので、内容物を直接
触れることなく容易に使用することができる。また、園
芸用種子の包装では、水溶性フィルムがスペーサー的な
役割をはたし、種子同士の距離があらかじめセットされ
る。したがって、その包装体を例えばそのまま土中に埋
めるだけで種子の植え付けを作業性よく行うことがで
き、しかも土中で包装が迅速に溶解するので種子の発育
に何ら影響を与えない。ポリビニルアルコール系重合体
(以下PVAと略記する)系フィルムは、空気中の水分
を吸い、この水がPVA系フィルムの可塑剤として働く
という性質を持っているのであるが、吸湿量が空気中の
湿度に応じて変化するために、PVA系フィルム単独で
は湿度によってフィルムの柔軟性が変化するという性質
を有している。特に低湿度下では吸湿量が減少して硬く
もろくなるという欠点がある。また、温度低下によって
もフィルムが硬くなる傾向があるので、冬期の低湿度時
には相乗効果によって、フィルムが硬くもろくなり、包
装用フィルムとして用いた場合、フィルムの割れ等の問
題が発生しやすくなる。したがって、PVA系フィルム
はそれ単独では包装用フィルムとしては使用に耐えな
い。この問題点を改善するために、従来はグリセリン等
の多価アルコールを可塑剤として添加する方法がとられ
てきた。適量の可塑剤の添加により、冬期の低湿時でも
充分に柔軟で、使用に耐えるPVA系フィルムが得ら
れ、広範に実用化されている。しかしながら、このよう
に可塑剤の添加により初期の柔軟化は達成されるのであ
るが、経時的に可塑剤の含量が減少するという問題のた
めに、長期間使用した場合、可塑剤含量が低下してしま
い、冬期の低湿度下での柔軟性の不足によるフィルムの
割れ、ひび等のトラブルが発生することが多かった。経
時的に可塑剤の含量が低下する原因は明確ではないが、
可塑剤のフィルム表面へのブリード、揮発、フィルムと
内容物あるいは他の物品との接触による可塑剤の移行な
どが考えられる。近年、このPVA系フィルムの可塑剤
含量低下の問題についての改良が強く望まれており、可
塑剤無添加でも柔軟なPVA系フィルムや可塑剤含量の
経時的変化のないPVA系フィルムを開発することが急
務であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、冷水
溶解性および柔軟性に優れ、物性が経時的に低下しない
PVA系の水溶性フィルムの製造方法を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、ポリビニ
ルアルコール系重合体(A)と、水の存在下でシラノー
ル基に転化しうるケイ素含有基から選ばれる官能基を片
末端に有する軟化点が0℃以下の水溶性重合体(B)か
らなる水溶液を流延製膜することを特徴とする水溶性フ
ィルムの製造方法を見出だし、本発明を完成させるに至
った。本発明において、成分(A)および成分(B)よ
りなる水溶液を流延製膜することにより、上記した如き
性質の優れた水溶性フィルムが得られるのは、成分
(B)の上記の官能基とPVAの水酸基がエステル交換
反応により結合するためと推定される。
【0005】本発明のPVA(A)は、水溶性もしくは
水分散性であるものが好ましく、ビニルアルコール単位
を50モル%以上、好ましくは60モル%以上、さらに
好ましくは70モル%以上含有する重合体であり、通常
ビニルエステルやビニルエーテルの単独重合体や共重合
体を加水分解(けん化、加アルコール分解等)すること
によって得られる。ここでビニルエステルとしては酢酸
ビニルが代表例として挙げられ、その他にギ酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バレリン酸ビ
ニル、カプリン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられ
る。また、ビニルエーテルとしてはt−ブチルビニルエ
ーテル、ベンジルビニルエーテル、トリアルコキシシリ
ルビニルエーテル等が挙げられる。本発明のPVAは、
具体的には上記ビニルエステル単独重合体またはビニル
エーテル単独重合体の加水分解物でけん化度が70モル
%以上の重合体、ならびに下記に挙げた単量体単位を含
むビニルエステル共重合体の加水分解物でビニルアルコ
ール単位を50モル%以上、好ましくは60モル%以
上、更に好ましくは70モル%以上含有する重合体が挙
げられる。これらの単量体単位としては、エチレン、プ
ロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類;
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、
イタコン酸、無水マレイン酸等の不飽和酸類あるいはそ
の塩あるいは炭素数1−18までのモノまたはジアルキ
ルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−
アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルア
ミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいは
その塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるい
はその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類;
メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタ
クリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2
−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその
塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいは
その酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類;
N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−
ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類;酢酸アリ
ル、塩化アリル、アリルアルコール、8−ヒドロキシ−
1−オクテン等のアリル化合物、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜1
8のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニ
ルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビ
ニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等フッ化
ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;ジ
メチルアリルアルコール、ビニルケトン等が挙げられ
る。また、本発明に用いるPVA(A)の粘度平均重合
度(以下、重合度と略記する)は特に制限はないが、5
0〜30,000が好ましく、50〜10,000がよ
り好ましく、100〜5,000が特に好ましい。
【0006】本発明に使用する、水の存在下でシラノー
ル基に転化しうるケイ素含有基から選ばれる官能基を片
末端に有する軟化点が0℃以下の水溶性重合体(B)と
は、水の存在下でシラノール基に転化しうるケイ素含有
基から選ばれる官能基が、ケイ素−炭素結合により重合
体の片末端(好ましくは片末端のみ)に結合した軟化点
が0℃以下の水溶性重合体である。本発明において、シ
ラノール基とは、下記の化1〜化3で示されるものであ
る。
【0007】
【化1】
【0008】
【化2】
【0009】
【化3】
【0010】また水の存在下でシラノール基に転化しう
るケイ素含有基(以下単にケイ素含有基と略記する)と
しては、水の存在下で加水分解を受けて上記の化1〜化
3で示されるシラノール基に転化しうるケイ素含有基で
あればよく、代表例として下記の化4で示されるトリア
ルコキシシリル基、下記一般の化5で示されるアルキル
ジアルコキシシリル基、下記の化6で示されるジアルキ
ルアルコキシシリル基が挙げられる。
【0011】
【化4】
【0012】
【化5】
【0013】
【化6】
【0014】{式中、R1 ,R2 ,R3 は脂肪族炭化水
素基(炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル
基、またはアルケニル基など)、脂環式炭化水素基(シ
クロアルキル基、シクロアルケニル基など)、芳香族炭
化水素基(フェニル基、ビフェニル基など)を表し、R
1 ,R2 ,R3 3 は同じ基でもよいし、異なっていても
よい。また上記のR1 ,R2 ,R3 には他の基、例えば
カルボキシル基、ハロゲン原子などを有していてもよ
い。上記の化4〜化6で示されるケイ素含有基の具体例
としてはトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル
基、トリイソプロポキシシリル基、ジメトキシメチルシ
リル基、ジエトキシメチルシリル基、メトキシジメチル
シリル基、エトキシジメチルシリル基等が挙げられる。
【0015】なお、本発明において、水の存在下でシラ
ノール基に転化しうるケイ素含有基とは、重合体(B)
を水または水と有機溶媒(トルエン、キシレン、アセト
ンなど)との混合液体中で、反応時間10分〜2時間、
反応温度室温〜150℃の条件下に加水分解した場合
に、シラノール基に転化しうる基を意味する。本発明の
重合体(B)は、水の存在下でシラノール基に転化しう
るケイ素含有基から選ばれる官能基を片末端に有する、
軟化点が0℃以下の水溶性重合体であればその構造に特
に制限はないが、オキシエチレン、オキシプロピレン、
オキシテトラメチレン等の単位からなるポリオキシアル
キレン系重合体や、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、
アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒ
ドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等
のアクリル酸ヒドロキシアルキル系重合体、N−ヒドロ
キシアルキルアクリルアミド系重合体等が特に好まし
い。これらの重合体は、軟化点が0℃以下でかつ水溶性
の範囲であれば、以下に示す単量体単位を含有してもか
まわない。これらの単位としては、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、イソブテン、3−メチルペンテン、1
−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;アク
リル酸およびその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸n−ドデシル等のアクリル酸類;メタク
リル酸およびその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチ
ルヘキシル、メタクリル酸n−ドデシル等のメタクリル
酸類;スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチ
レン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル類;アクリル
アミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のN−アル
キルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはそ
の塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいは
その酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類;メ
タクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド等
のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメ
タクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホ
ン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチ
ルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタ
クリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホ
ルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルア
ミド類;酢酸ビニル、蟻酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、2−
エチルヘキサン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル
類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ
化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;メチルビニルエ
ーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテ
ル、ブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエ
ーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキ
シブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテ
ル等のビニルエーテル類、ブタジエン、イソプレン、ク
ロロプレン等のジエン類が挙げられる。本発明の重合体
(B)の分子量としては特に制限はないが、50〜10
0,000が好ましく、100〜50,000がより好
ましい。
【0016】次に、本発明に用いるケイ素含有基から選
ばれる官能基を片末端に有する重合体(B)の代表的な
製法について説明する。 第一の製法;片末端にケイ素含有基を有する重合体は、
片末端に二重結合を有する重合体にシラン類を反応させ
ることによって得られる。該方法は軟化点が0℃以下で
水溶性のポリオキシアルキレン系重合体を得る際に有用
である。ケイ素含有基の導入は、窒素雰囲気下で、片末
端に二重結合を有する重合体に、シラン類を遊離基開始
剤あるいは遷移金属触媒および塩基触媒を用いて付加さ
せることによって行われる。シラン類としては、トリク
ロロシラン、メチルジクロロシラン、エチルジクロロシ
ラン、ジメチルクロロシラン、トリメトキシシラン、ジ
メトキシメチルシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメ
チルエトキシシラン等が好ましい。シラン類の仕込量
は、重合体の二重結合に対し等量から10等量の範囲が
好ましい。反応温度は室温〜300℃が好ましく、50
〜250℃がより好ましい。また、反応時間は1分〜4
8時間が好ましく、5分〜24時間で行うのがより好ま
しい。ケイ素含有基の種類は、水あるいはアルコールの
存在によって容易に変換できる。例えばジメチルメトキ
シシリル基は水と反応することによりジメチルシラノー
ル基になり、トリクロロシリル基はメタノールと反応す
ることによりトリメトキシシリル基になる。 第二の製法;片末端にケイ素含有基を有する重合体は、
該ケイ素含有基を有するチオール存在下で、ラジカル重
合可能な単量体をラジカル重合することによって得られ
る。該方法は軟化点が0℃以下で水溶性のポリアクリル
酸ヒドロキシアルキル系重合体やポリN−ヒドロキシア
ルキルアクリルアミド系重合体を製造する際に有用であ
る。原料のケイ素含有基を有するチオールは、窒素雰囲
気下で二重結合を有するチオールにシラン類を反応後、
アルコール類または水を加えることによって得られる。
ここで二重結合を有するチオールとしては2−プロペン
−1−チオール、2−メチル−2−プロペン−1−チオ
ール、3−ブテン−1−チオール、4−ペンテン−1−
チオール等が挙げられ、このうち2−プロペン−1−チ
オールおよび2−メチル−2−プロペン−1−チオール
が好ましい。シラン類としては、前記したのと同様なも
のが使用される。シラン類の添加量は、二重結合を有す
るチオールに対し等量から10等量の範囲が好ましい。
反応条件としては室温〜200℃が好ましい。溶媒とし
てはテトラヒドロフラン(THF)、ジグライム等のエ
ーテル系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、エチルシクロヘキ
サン、デカリン等の飽和炭化水素系溶媒などが挙げられ
る。反応後に添加するアルコール類としてはメタノー
ル、エタノール等の低級アルコールが好ましく、特にメ
タノールが好ましい。
【0017】このようにして得られた、ケイ素含有基を
有するチオールの存在下でのラジカル重合は、通常の方
法で実施できる。重合条件としては、アゾ系あるいは過
酸化物系の開始剤を用い、重合温度は室温〜150℃の
範囲が好ましい。該官能基を有するチオールの添加量と
しては、単量体1g当たり0.001〜1ミリモル程度
が好ましい。チオールの添加方法としては、特に制限は
ないが、単量体として酢酸ビニル、スチレン等の連鎖移
動しやすいものを使用する場合は、重合時にチオールを
逐次添加することが好ましく、メタクリル酸メチル等の
連鎖移動しにくいものを使用する場合にはチオールを最
初から加えておくことが好ましい。本発明の水溶性フィ
ルムは、前記したPVA(A)およびケイ素含有基から
選ばれる官能基を片末端に有する軟化点が0℃以下の水
溶性重合体(B)からなり、成分(A)と成分(B)の
重量配合比は、99:1〜50:50の範囲から選ば
れ、98:2〜60:40がより好ましく、95:5〜
70:30がさらに好ましい。
【0018】本発明の組成物水溶液のフィルム化は、流
延製膜法であれば特に制限はないが、従来よりPVA系
フィルムの製法として用いられている方法が好適であ
る。例えば、ドラムまたはベルト上にキャスティング
し、乾燥するキャスティング方式が適用できる。フィル
ムの厚さは特に制限されないが、通常10〜100μm
であり、好ましくは15〜50μmである。また、フィ
ルム化時の剥離性、フィルム保存時の耐ブロッキング
性、冷水溶解時の親水性向上のために界面活性剤を用い
てもよい。界面活性剤は特に限定されず、アニオン系、
ノニオン系、カチオン系等一般の界面活性剤が用いられ
る。また、フィルムにする場合の形状は平滑でもよい
が、エンボス加工によりフィルムに凹凸をつけること
は、「冷水溶解性」と「耐ブロッキング性」から特に有
効である。尚、本発明で冷水とは、0〜40℃の水をい
う。凹凸によるフィルム表面積の増加は、水とフィルム
との接触面積の増加となり、冷水溶解性が増す。また、
水溶性フィルムは保存時吸湿してブロッキングしやすい
が、凹凸によるフィルム同士の接触面積の低下は、良好
なブロッキング防止方法となり得る。好ましい凹凸の形
状は10〜60メッシュの格子状または亀甲状等で、フ
ィルムの一部または全体が凹凸化し、見かけの厚さが真
の厚さの1.5倍以上、特に2倍以上であるものが好ま
しい。凹凸化の方法は特に制限されず、例えば、凹凸面
を有する支持体上にキャスティングしてもよく、フラッ
トフィルムをエンボッシングカレンダーによって後加工
で成形してもよい。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、これらの実施例によって本発明は何ら限定さ
れるものではない。なお、以下の合成例および実施例に
おいて特に断りのない限り、比率は重量比を意味し、
「%」は「重量%」を意味する。
【0020】また、重合体(B)中のケイ素含有基量は
重クロロホルムを溶媒として用い、270MHz 1H−
NMRにより定量した。
【0021】合成例1 片末端にジメトキシメチルシリル基を有するポリエチレ
ングリコールの合成;冷却器付きのセパラブルフラスコ
に平均分子量350のポリエチレングリコールモノアリ
ルエーテル(ユニオックスPKA−5006;日本油脂
(株)製)50g、ジメトキシメチルシラン15.19
gおよび塩化白金酸H2 PtCl6 ・6H2 O 0.0
02gを仕込み、窒素置換を行った。この混合物を50
℃で20時間加熱した。この反応混合物を冷却し、減圧
蒸留することにより片末端にジメトキシメチルシリル基
を2.7meq/g有するポリエチレングリコール(以
下、PEGと略記する)を得た。
【0022】合成例2 片末端にトリメトキシシリル基を有するエチレンオキシ
ド−プロピレンオキシド共重合体の合成;冷却器付きの
セパラブルフラスコに片末端にアリル基を有する平均分
子量1600のエチレンオキシド−プロピレンオキシド
共重合体(ユニセーフPKA−5015;日本油脂
(株)製、モル比EO/PO=75/25)150g、
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(サイラエ
ースS810;チッソ(株)製)36.81gおよびト
ルエン200gを仕込み、窒素置換を行った後、70℃
に昇温しアゾビスイソブチロニトリル0.10gを添加
した。6時間後冷却し、反応を停止させた後、減圧蒸留
することにより片末端にトリメトキシシリル基を0.5
7meq/g有するエチレンオキシド−プロピレンオキ
シド共重合体を得た。
【0023】合成例3 メトキシ−3−メルカプトプロピルジメチルシランの合
成;オートクレーブに2−プロペン−1−チオール10
0g、ジメチルエトキシシラン140gおよび塩化白金
酸H2 PtCl6 ・6H2 O 0.002gを仕込み、
70℃で24時間撹拌した。この反応混合物を冷却し、
メタノール100gを加えて室温で1時間撹拌した後、
減圧蒸留することによりメトキシ−3−メルカプトプロ
ピルジメチルシランを得た。
【0024】合成例4 片末端にメトキシジメチルシリル基を有するポリ−4−
ヒドロキシブチルアクリレートの合成:撹拌機および冷
却器を備えたセパラブルフラスコに4−ヒドロキシブチ
ルアクリレート100g、合成例3のメトキシ−3−メ
ルカプトプロピルジメチルシラン0.98gを仕込み、
窒素置換を行った後、80℃に昇温し、別途調製したア
ゾビスイソブチロニトリルの0.23%トルエン溶液を
最初1.5ml添加後、30分ごとに0.5ml添加し
た。5時間後冷却し、重合を停止させた。このときの重
合率は46%であった。得られたポリ−4−ヒドロキシ
ブチルアクリレートをヘキサンで再沈後乾燥することに
より、片末端にメトキシジメチルシリル基を0.053
meq/g有する平均分子量17,000のポリ−4−
ヒドロキシブチルアクリレートを得た。
【0025】合成例5 片末端にメトキシジメチルシリル基を有するポリ−2−
ヒドロキシエチルアクリレートの合成:合成例4の4−
ヒドロキシブチルアクリレート100gの代わりに2−
ヒドロキシエチルアクリレート100gを用い、反応温
度70℃にて合成例4と同様の重合を行った。5時間後
冷却し、重合を停止させた。このときの重合率は38%
だった。得られたポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレ
ートを真空乾燥することにより、片末端にメトキシジメ
チルシリル基を0.051meq/g有する平均分子量
18,000のポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレー
トを得た。
【0026】実施例1 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウム2モル%変性PVA(平均重合度1700、ビ
ニルエステル部分のけん化度98.5モル%)100部
を水570部に溶解し、次に合成例1の片末端にジメト
キシメチルシリル基を有するポリエチレングリコール2
0部を添加した。この水溶液を表面温度75℃の回転ド
ラム上にキャスティングしてフィルム化し、乾燥厚み4
0μmのフィルムを得た。得られたフィルムについて、
下記に示す方法により物性を評価した。結果を表1に示
す。
【0027】〈評価法〉 (表面外観)得られたフィルムを20℃、湿度75%に
30日保存後、フィルム内外面の外観を下記の基準に従
って判定した。 ◎:全く濁りなし。 ○:殆ど濁りが認められない。 ×:濁りが顕著に認められる。 (フィルム強度)得られたフィルムを20℃、湿度65
%に48時間保存後、オートグラフ〔(株)島津製作所
製〕で引っ張り試験を行い、破断強度および破断伸度を
測定した。 (冷水溶解性)得られたフィルムを3cm×3cmにカ
ットし、撹拌している10℃の水1000ml中に落下さ
せ、完全に溶解する時間を測定した。 (低温衝撃強度)得られたフィルムを5℃、−5℃の恒
温室に1日放置し、フィルムインパクトテスター(東洋
精機製)にて衝撃強度を測定した。
【0028】実施例2〜4、比較例1〜3 PVA(A)および水溶性重合体(B)の種類を表2に
示すように変更した他は、実施例1と同様にしてフィル
ム化を行い、性能を評価した。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明の水溶性フィルムは包装材として
の良好な外観、フィルム強度、耐薬剤性、冷水溶解性、
柔軟性等の特性を有し、幅広い分野に応用可能である。
例えば洗濯用洗剤、漂白剤、農薬、工業用薬品等の粉末
・粒状・塊状の薬剤包装材、園芸用種子の包装材、ラン
ドリーバッグをはじめ使い捨て日用品等として有用であ
る。
フロントページの続き (72)発明者 藤原 直樹 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 宮崎 弘年 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社テク ノソフト内 (72)発明者 佐藤 寿昭 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 丸山 均 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール系重合体(A)
    と、水の存在下でシラノール基に転化しうるケイ素含有
    基から選ばれる官能基を片末端に有する軟化点が0℃以
    下の水溶性重合体(B)からなる水溶液を流延製膜する
    ことを特徴とする水溶性フィルムの製造方法。
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