JPH05294358A - 水溶性熱可塑性フィルムおよびその用途 - Google Patents

水溶性熱可塑性フィルムおよびその用途

Info

Publication number
JPH05294358A
JPH05294358A JP35278192A JP35278192A JPH05294358A JP H05294358 A JPH05294358 A JP H05294358A JP 35278192 A JP35278192 A JP 35278192A JP 35278192 A JP35278192 A JP 35278192A JP H05294358 A JPH05294358 A JP H05294358A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
general formula
soluble
carbon atoms
vinyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP35278192A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuhiko Yamaguchi
哲彦 山口
Hirotoshi Kamata
博稔 鎌田
Kiichi Hosoda
喜一 細田
Toshiyuki Aizawa
利行 相沢
Hitoshi Nakamura
仁至 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to EP19930102417 priority Critical patent/EP0556781B1/en
Priority to DE1993624835 priority patent/DE69324835T2/de
Publication of JPH05294358A publication Critical patent/JPH05294358A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【構成】 N−ビニルアセトアミド35〜95重量%
と、ビニルエステル、(メタ)アクリル酸エステル、ビ
ニルケトン、アクリルアミド、ビニルエーテルおよび/
または(メタ)アクリルニトリル5〜65重量%とを、
生成する共重合体が水溶性熱可塑性を示す組成の範囲で
共重合することにより得られる水溶性熱可塑性フィル
ム。 【効果】 長期間保存しても化学的および物理的性質の
変化が少ないため水への溶解度が変化しにくく、N−ビ
ニルアセトアミドが耐アルカリ性に優れるために、特に
粉末洗剤などの包装材として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、N−ビニルアセトアミ
ド系水溶性熱可塑性フィルムに関する。さらに詳しく
は、N−ビニルアセトアミド単独重合体の軟化点を低下
させてフィルム特性を向上させるビニル系モノマー成分
を共重合させて得られる、N−ビニルアセトアミドとビ
ニル系モノマーとの水溶性熱可塑性共重合体からなるフ
ィルムおよびその具体的用途に関する。
【0002】
【発明の背景】水溶性の医薬品などの化学薬品、洗剤、
殺虫剤、除草剤、殺菌剤等の農薬類、染料および顔料な
どの多くは溶解性や分散性を考慮して粉末状態で包装、
販売されているが、消費者が包装材の開封時あるいは内
容物の計量時に粉末状内容物に接触したり、空気中に飛
散した粉末が気管などの粘膜に付着して人体に炎症を起
こすなど周囲環境へ悪影響を及ぼすことがある。また、
薬品が残留付着した使用後の包装材料の廃棄処理にも注
意を要するという問題がある。そこで、上記粉末状製品
の使用に付随する問題を解決するために、使用時に包装
材そのものが溶解してしまう水溶性熱可塑性樹脂からな
る水溶性フィルムが注目されている。
【0003】
【従来の技術】従来、水溶性熱可塑性樹脂の代表例とし
て、ポリ酢酸ビニルのアセトキシ基を酸またはアルカリ
により加水分解(けん化)して水酸基とすることにより
得られるポリビニルアルコール(以下、PVAと略記す
る。)が知られている。
【0004】しかし、PVAはけん化度が95モル%以
上まで高くなると経時的に変性(結晶化)して水不溶性
となり、また反対にけん化度を80モル%以下まで低く
して結晶化度を抑制すると疎水度が高くなり水不溶性と
なる。すなわち、PVAはけん化度80〜95モル%の
範囲内で水溶性を示し、前記範囲外であると水不溶性と
なる。また、けん化度80〜95モル%の水溶性PVA
を、包装用フィルムのような成形体とし、その包装対象
物が酸性もしくはアルカリ性のものであるときには、速
やかにPVAの加水分解が生じ、けん化度が高くなるた
め水不溶性となる。また、PVAは熱シール時などの加
熱によって架橋して、水不溶性となる。
【0005】近年、PVAの水溶性における上記問題点
を解決するために、様々な検討が行なわれている。例え
ば、特公昭42-20845号公報にはPVAを部分アルドール
アセタール化した冷水易溶性フィルム、シートおよびフ
ィラメントが開示されている。しかし、アルドールには
水酸基とアルデヒド基があるため、PVAとアルドール
の反応時にアルドール同士が反応することがあり反応の
コントロールが難しく、水溶性を長期間維持できるアセ
タール化物を工業的に製造することは困難である。
【0006】また、PVAに他のポリマーを配合してな
る水溶性樹脂組成物が提案されている。例えば、特公昭
43-1487 号公報には高けん化度PVA(けん化度97モ
ル%以上)と低けん化度PVA(けん化度75〜92モ
ル%)と澱粉とからなる組成物が、特開昭57-12540号公
報にはケン化度80〜95モル%のPVAと分子量30,0
00〜40,000のポリアクリル酸のブレンドが、そして特開
昭53-24351号公報には低分子量PVAと中間分子量PV
A(いずれもけん化度85〜90モル%)とエチレン性
不飽和基含有アルキルエステル(例えばアクリル酸アル
キルエステル、メタクリル酸アルキルエステル)とポリ
エチレングリコールからなる組成物がそれぞれ開示され
ているが、いずれの樹脂組成物もアルカリ性成分に対し
て不安定なため、加水分解の進行による水への不溶化現
象は避けられない。また、PVAを不飽和カルボン酸で
変性した組成物が提案されているが(水溶性高分子の応
用と市場、CMC出版)、酸性の物質と接触すると冷水
易溶性が損なわれる。
【0007】水溶性あるいは親水性高分子化合物として
は上記のPVA以外にも、ポリビニルピロリドン、アク
リル酸およびアクリルアミドの重合体、デンプン、カル
ボキシメチルセルロース、タンパクなどがあるが、フィ
ルムへの加工が困難であること、水溶液がゲル化するこ
となどの問題があり、水溶性フィルム基材には適用でき
ない。
【0008】一方、本発明に関連するものとして、N−
ビニルアセトアミド(以下、NVAと略記する。)およ
びその同族化合物の単独重合体、共重合体あるいはこれ
らを含む組成物が知られている。例えば、NVAの重合
体を含有する組成物として、NVAを含有しPVAを主
要成分とする感光性樹脂組成物(特開昭58-21736号公
報)、接着性水性高分子分散液(特開昭58-5361 号公
報)および熱可塑性冷水溶性フィルムおよび成形物(特
開昭60-228551 号公報)が開示されている。
【0009】また、NVAおよびその同族化合物の共重
合体としては、成形体や繊維用の第2級N−ビニルカル
ボン酸アミドとオレフィン系不飽和化合物(特公昭45-2
3356号公報)、分散剤用のNVAとパーフルオロアルキ
ル基含有エチレン性不飽和化合物の共重合体(特開昭63
-186713 号公報)、原油の回収用流動性向上剤などとし
て、NVAとアクリル酸エステル等のビニルモノマ−と
の共重合体(特開昭52-85286号、同58-217058 号、同59
-86614号公報)などが提案されている。しかし、これま
で水溶性包装基材に適用できるNVAの(共)重合体か
らなるフィルムは知られていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
はPVAをベースとした水溶性熱可塑性組成物における
上記の欠点を解決し、水溶性、フィルム成形性(加工
性)、強度、柔軟性、熱シール性等の特性に優れた水溶
性熱可塑性フィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水溶性樹
脂の成分として耐アルカリ性に優れているNVAに着目
し、NVAと他のモノマーとの共重合体について鋭意研
究を重ねた結果、NVAと特定のビニル系モノマーとの
共重合体が、NVAの単独重合体の軟化点を低下させ、
かつフィルム特性を向上させ、従来水溶性樹脂として使
用されているPVA系の樹脂のもつ上記種々の欠点が解
決できる熱可塑性共重合体であることをを見出し、本発
明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明は 1)実質的にN−ビニルアセトアミドとビニル系モノマ
ーとの共重合体からなる水溶性熱可塑性フィルム、 2)ビニル系モノマーが、一般式(I) CH2 =CH−O−CO−R1 (I) (式中、R1 は炭素数1〜4の低級アルキル基を表わ
す。)で示される化合物、一般式(II) CH2 =C(R2 )−COOR3 (II) (式中、R2 は水素またはメチル基を表わし、R3 は炭
素数1〜4の低級アルキル基を表わす。)で示される化
合物、一般式(III)
【化2】 (式中、R4 は水素またはメチル基を表わし、R5 は水
素またはメチル基を表わし、R6 は水素、炭素数1〜4
の低級アルキル基またはフェニル基を表わし、nは1〜
100の整数を表わす。)で示される化合物、一般式(I
V) CH2 =CH−CO−R7 (IV) (式中、R7 は炭素数1〜4の低級アルキル基を表わ
す。)で示される化合物、一般式(V) CH2 =CH−CO−N(R8 )R9 (V) (式中、R8 およびR9 は各々独立して水素または炭素
数1〜4の低級アルキル基を表わすが、同時に水素を表
わすことはない。)で示される化合物、一般式(VI) CH2 =CH−O−R10 (VI) (式中、R10は炭素数1〜4の低級アルキル基を表わ
す。)で示される化合物、および一般式(VII) CH2 =C(R11)−CN (VII) (式中、R11は水素またはメチル基を表わす。)で示さ
れる化合物から選択される1種以上の化合物である前記
1に記載の水溶性熱可塑性フィルム、
【0013】3)N−ビニルアセトアミド35重量%以
上95重量%以下、およびビニル系モノマー5重量%以
上65重量%以下の範囲内で、得られる共重合体が水溶
性かつ熱可塑性を示す組成割合で共重合して得られる前
記1に記載の水溶性熱可塑性フィルム、および 4)前記1記載の水溶性熱可塑性フィルムからなる水溶
性包装材、種子テープ用基材、特殊印刷用基材などに対
する用途に関するものである。
【0014】
【発明の構成】以下、本発明を詳細に説明する。ビニル系モノマー 本発明の水溶性熱可塑性フィルム用の共重合体を調製す
るにあたり、共重合のコモノマーとして使用するビニル
系モノマーは、NVAとの共重合体がフィルム等に成形
できる熱可塑性と水に溶解する性質を兼ね備えたもので
ある。
【0015】このような性質を備えた共重合体を与える
ビニル系モノマーについて具体的に説明する。一般式
(I) で示される化合物として、例えば、酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル等が挙
げられるが、特に酢酸ビニルが好ましい。
【0016】一般式(II)で示される化合物として、例え
ば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アク
リル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、
(メタ)アクリル酸 sec−ブチル、(メタ)アクリル酸
t−ブチル等が挙げられるが、特にアクリル酸メチル、
アクリル酸エチルが好ましい。
【0017】一般式(III) で示される化合物として、例
えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、
(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、メタア
クリル酸ポリエチレングリコールポリプロピレングリコ
ール、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−
ブトキシエチル、アクリル酸エトキシジエチレングリコ
ール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、ア
クリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸
フェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル
酸メトキシポリエチレングリコール、メタクリル酸メト
キシジエチレングリコール、メタクリル酸2−フェノキ
シエチル等が挙げられるが、特にアクリル酸2−メトキ
シエチル、アクリル酸エトキシジエチレングリコール、
アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)
アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、メタクリ
ル酸メトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル
酸ポリエチレングリコールが好ましい。
【0018】一般式(IV)で示される化合物として、例え
ば、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、n−プ
ロピルビニルケトン、イソプロピルビニルケトン、t−
ブチルビニルケトン、イソブチルビニルケトン等が挙げ
られるが、特にメチルビニルケトン、エチルビニルケト
ンが好ましい。
【0019】一般式(V) で示される化合物として、例え
ば、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルア
ミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−ブチ
ルアクリルアミド、N− sec−ブチルアクリルアミド、
N−イソブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリ
ルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−
ジエチルアクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチルアク
リルアミド、N,N−イソブチルアクリルアミド等が挙
げられるが、特にN,N−ジメチルアクリルアミド、
N,N−ジエチルアクリルアミドが好ましい。
【0020】一般式(VI)で示される化合物として、例え
ば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n
−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテ
ル、n−ブチルビニルエーテル、 sec−ブチルビニルエ
ーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニル
エーテル等が挙げられるが、特にメチルビニルエーテ
ル、エチルビニルエーテルが好ましい。一般式(VII) で
示される化合物として、例えば、アクリルニトリル、メ
タクリルニトリル等が挙げられる。
【0021】上記ビニル系モノマー以外でも、特許請求
の範囲に記載した組成の範囲内でNVAとの共重合体
が、水溶性と熱可塑性の性質をもつ共重合体が得られる
のであれば、使用することができる。またこれらのビニ
ル系モノマーは、共重合時に単独で使用してもよいし、
2種類以上併用しても良い。
【0022】本発明において、上記ビニル系モノマーと
NVAとの配合割合は、ビニル系モノマーの種類によっ
て異なるが、得られた共重合体が水溶性および熱可塑性
を示すような割合であればよく、一般にNVA:ビニル
系モノマー=35〜95重量%:65〜5重量%であ
る。NVAの割合が35重量%未満となると(ビニル系
モノマーが65重量%を越えると)、水に不溶性となっ
たり、十分な耐酸性、耐アルカリ性が得られなくなる。
また、NVAの割合が95重量%を越えると(ビニル系
モノマーが5重量%未満となると)、柔軟性が失われた
り、熱融着性が低下する。
【0023】本発明に係る個々のビニル系モノマーの配
合割合を次に述べる。ビニル系モノマーが、前記一般式
(I) においてR1 が炭素数1〜2のアルキル基である化
合物、前記一般式(II)においてR3 が炭素数1〜2のア
ルキル基である化合物、前記一般式(III) で示される化
合物、前記一般式(IV)においてR7 が炭素数1〜2のア
ルキル基である化合物、前記一般式(V) においてR8
9 の炭素数の和が1〜4である化合物および前記一般
式(VI)においてR10が炭素数1〜2のアルキル基である
化合物の場合、その配合割合は、5〜65重量%、好ま
しくは20〜60重量%である。
【0024】ビニル系モノマーが、前記一般式(I) にお
いてR1 が炭素数3〜4のアルキル基である化合物、前
記一般式(II)においてR3 が炭素数3〜4のアルキル基
である化合物、前記一般式(IV)においてR7 が炭素数3
〜4のアルキル基である化合物、前記一般式(V) におい
てR8 とR9 の炭素数の和が5〜8である化合物および
前記一般式(VI)においてR10が炭素数3〜4のアルキル
基である化合物の場合、その配合割合は、5〜25重量
%、好ましくは5〜20重量%である。
【0025】ビニル系モノマーが、前記一般式(VII) で
示される化合物の場合、その配合割合は5〜40重量
%、好ましくは10〜30重量%である。また、ビニル
系モノマーとして、前記一般式(I) 〜(VII) で示される
化合物を2種以上併用する場合、その配合割合は5〜6
5重量%、好ましくは20〜60重量%である。
【0026】重合方法 本発明の水溶性熱可塑性樹脂を製造する重合方法には特
に制限はないが、ラジカル重合による共重合が好まし
い。ラジカル重合としては、溶液重合、沈殿重合、塊状
重合、懸濁重合などいずれもが可能であるが、反応制御
の面から、水または水と水に可溶性の適当な有機溶媒と
の混合溶媒にモノマーとラジカル重合開始剤を溶解し
て、反応開始温度に昇温して行なう溶液重合、および同
様な方法で生成したポリマーが不溶性の有機溶媒を用い
て生成ポリマーを沈殿させる沈殿重合が好ましい。
【0027】開始剤 重合開始剤としては、有機過酸化物系、アゾビス系、レ
ドックス系のなかから、使用する重合溶媒への溶解度に
あわせて選択することができる。そのような重合開始剤
の具体例としては、2,2'−アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2'−アゾビス(2-アミノジプロパン)二塩酸塩、
2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジ
ン)二塩酸塩などのアゾビス系、ベンゾイルパーオキサ
イド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物
系、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどのレドック
ス系開始剤などが挙げられる。
【0028】開始剤の使用量はモノマーに対して0.01〜
5重量%の範囲で任意に選択することができるが、好ま
しくは0.05〜3重量%、特に好ましくは 0.1〜2重量%
である。開始剤の量が5重量%を越えると反応が急激に
進行し、反応制御が困難になったり、生成した共重合体
の分子量が低くなって成形後の共重合体の強度が低下し
てしまうことがある。また、0.01重量%未満であると少
なすぎて収率が低くなったりすることもある。
【0029】重合溶媒 重合反応に使用する溶媒はラジカル重合を阻害すること
がなく、NVAと使用するビニル系モノマーを溶かし得
る溶媒であれば特に制限なく使用することができる。そ
のような溶媒としては水、有機溶媒ではイソプロピルエ
ーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレング
リコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメ
チルエーテルなどのエーテル系、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミルな
どのエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン
系、キシレン、トルエンなどの芳香族、ジメチルホルム
アミド、ジメチルアセトアミドなどのアルキルアミド系
などが例示される。これらの溶媒は単独で使用してもよ
いし、2種類以上の溶媒を混合して使用しても良い。特
に好ましい溶媒としては、水、テトラヒドロフラン、ジ
オキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ア
セトン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどが挙げら
れる。溶媒の量は使用する重合法により、異なるが、溶
液重合や沈殿重合の場合モノマーと等量〜20倍程度、
好ましくは 1.5〜10倍である。
【0030】モノマー濃度 重合時のモノマー濃度は重合法により任意に選択するこ
とができる。しかし溶液重合、沈殿重合の場合は、モノ
マーの濃度が50重量%を越えると反応が急激に進み反
応制御が困難になる。また5重量%未満では、反応時間
が長すぎたり、反応1回当りの収量が少なく生産効率が
悪くなるので、5〜50重量%、好ましくは10〜40
重量%が適当である。
【0031】重合温度および重合時間 重合温度および重合時間は、使用するモノマー、重合開
始剤、溶媒の種類により任意に選択することができる
が、重合温度は反応制御の面から20℃〜溶媒の沸点が
好ましく、重合時間は1〜8時間が好ましい。
【0032】このようにして得られた共重合体の分子は
NVAとNVA以外のビニル系モノマーがランダムに配
列した直鎖状の構造、また一部は枝分かれ状の構造をを
とっていると考えられる。重合度は共重合体の水に対す
る溶解度や成形物の強度と密接な関係があり、重合度が
高すぎると水に溶けにくくなり、成形も難しくなり、ま
た重合度が低すぎると成形物の強度が低下する。本発明
の共重合体の平均重合度は、20〜100,000 、好ましく
は50〜10,000、さらに好ましくは100〜1,000 であ
る。
【0033】共重合体の成形方法 次に、得られた共重合体の成形方法について説明する。
NVAとビニルモノマーとの共重合液は高粘度の液体、
寒天状またはスラリー状となる。いずれの状態の場合で
も、脱溶媒をして共重合体を単離する。次いで、得られ
た共重合体を溶融後成形機にかけて膜状等に成形しても
よいし、適当な溶媒で希釈、あるいは溶解して溶液キャ
スティング法で成膜してもよい。成形の方法は一般的な
押し出し成形方法を適用することができ、Tダイ法、イ
ンフレーション法などが例示される。成形温度は50〜
300℃の範囲から任意に選択することができるが、共
重合体の軟化点より高い温度で行うのが望ましい。
【0034】また、成形時に柔軟性を付与するための可
塑剤を添加しても良い。そのような可塑剤としてはグリ
セリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール、テト
ラエチレングリコール、トリエタノールアミン、1,3
−ブタンジオールなどが挙げられる。また所望により着
色用の水溶性染顔料などを添加することもできる。
【0035】
【発明の効果】本発明の水溶性熱可塑性フィルムは、長
期間保存しても化学的および物理的性質の変化が少ない
ため、水への溶解度が変化しにくく、またNVAが耐ア
ルカリ性に優れるために、その特性を生かし種々の用途
に利用できる。具体的には、洗剤、農薬、染料、工業薬
品、水処理剤などの包装材、ナプキン防漏膜、ナプキ
ン、使い捨て手袋等の衛生用品の包装材、ランドリーバ
ッグ、種子テープ用基材、特殊印刷等の用途に好適に用
いることができる。以下、それぞれの用途について具体
的に説明する。
【0036】
【用途】
(1)洗剤、農薬等の包装材 粉末洗剤(界面活性剤、ビルダー、漂白剤、酵素などを
主要成分とする)を1回分の使用量(20〜40g)ず
つ小袋に包装し、使用の際にそのまま洗濯機内の水中に
投じ、溶解させて使用できる。このための粉末洗剤用フ
ィルムの膜厚は機械的強度及び、溶解速度を満たすため
に15〜50μmが好ましい。洗剤はアルカリ性を示す
ため、耐アルカリ性のNVA成分を含む本発明の共重合
体がこの目的に特に好適である。粉末洗剤の包装材とし
て用いることにより、直接内容物に触れずに使用できる
こと、事前の計量により溶解操作の合理化と使用量の適
正化が図れること、使用後の包装材の処理にわずらわさ
れないこと等の利点がある。
【0037】農薬の包装材として使用する場合は、特に
水和剤、水溶剤の包装剤として使用される。対象となる
農薬としては殺虫剤、殺菌剤、除草剤、殺ダニ剤などが
挙げられる。一般に、農薬の場合、微粉砕されているた
め、開封したとき飛散し、皮膚や呼吸器系に悪影響を及
ぼすが、水溶性フィルムで包装することにより飛散が防
止できる。
【0038】(2)病院用ランドリーバッグ 水溶性フィルムのバッグに病院内の汚染した器具、衣
類、シーツなどを発生箇所で直ちに密封包装し、そのま
ま洗濯設備等に送ることで、病院内の病原菌の拡散が抑
制され二次感染を防止できる。水溶性フィルムを病院用
ランドリーバッグとして用いるときには、常温で水不溶
性で、温水(55〜60℃)に対して水溶性であるこ
と、濡れ強度が大きいこと、通常の取扱では破袋しない
ことなどが適性条件として挙げられる。
【0039】(3)種子テープ用基材 水溶性フィルムのテープ上にダイコン、ゴボウ、ニンジ
ン、ホウレンソウなど野菜、草花などの種子を一定間隔
に並べ、この種子を包むようにテープで巻き、その上か
ら糸を螺旋上に巻いて種子を固定、もしくはフィルムの
テープ2枚の間に種子を並べ、フィルムを溶着して固定
し用いることができる。また、テープには植物の栄養成
分等を混入させてもよい。テープを畑に直線上に並べて
土で覆い、水を散布することによりフィルムが溶解し、
種子を等間隔で植える好適な手段として用いることがで
きる。除草時、収穫時の作業性より直線上に種子を蒔い
たり植物の成長の面より一定距離をおいて種子を蒔くこ
とが重要であるが、テープを使用することにより、さし
て労力を使わずにこの種蒔を容易に行なうことができ
る。
【0040】(4)特殊印刷 パターンを印刷した水溶性フィルムを、印刷面を上にし
て液体上に浮かべ、その後に被印刷物を押しあて、液圧
によりパターンを転写する。この印刷は建材、アルミサ
ッシ、木工品、事務器、石材などに用いることができ、
印刷後のフィルムは水洗により除去することができる。
【0041】また、水溶性フィルムに対して疎水性イン
キで印刷し、印刷部分の非親水性と非印刷部分の親水性
の差により、水に濡れた際大きな伸縮性の差を生じる。
この性質を利用して未硬化の石膏、セメント面などに印
刷パターンに従った凹凸面を作り、建築物の壁面装飾な
どに生かすことができる。このフィルムは、濡れによる
伸縮性が大きく、石膏面などを深く掘り込む力と、形状
保持力が必要とされ、凹凸や曲面のあるものの印刷に適
する。さらに、電子産業分野でのプリント基板、フレキ
シブル基板、タッチパネルなどの製造工程のスクリーン
印刷用フィルムに応用することもできる。
【0042】
【実施例】以下に、水溶性熱可塑性フィルムの実施例お
よび使用例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明
は以下の例に限定されるものではない。
【0043】実施例1〜3 第1表に示すように、NVA、ビニル系モノマー、溶媒
の水(400g)を撹拌機、窒素導入管、冷却器を備え
た1リットルの四つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気
下、重合開始剤の2,2'−アゾビス(2−アミノジプロパ
ン)二塩酸塩( 0.10 g)を加えたのち、撹拌しながら
所定の温度に昇温した。その温度で所定時間重合させた
後、放冷し、ゲル状の重合液に、約2リットルの水を加
えてゲルを溶解した後、約10リットルのアセトン中に
注入して共重合体を沈殿精製し、それぞれ第1表に示す
収量の水溶性共重合体を得た。
【0044】実施例4 第1表に示すように、NVA、ビニル系モノマー、溶媒
のジオキサン(400g)を撹拌機、窒素導入管、冷却
器を備えた1リットルの四つ口フラスコに仕込み、窒素
雰囲気下、重合開始剤のベンゾイルパーオキサイド(
0.10 g)を加えたのち、撹拌しながら所定の温度に昇
温した。生成した共重合体はジオキサン中に析出してき
た。その温度で所定時間重合させた後、放冷した。重合
液はスラリー状になった。これを、約2リットルのメタ
ノールに溶解した後、約10リットルのアセトン中に注
入して共重合体を沈殿精製して、第1表に示す収量の水
溶性共重合体を得た。
【0045】実施例5 第1表に示すように、NVA、ビニル系モノマー、溶媒
のジオキサン(400g)および重合開始剤として2,2'
−アゾビスイソブチロニトリル( 0.10 g)を用い、実
施例4と同様な方法により反応および後処理をし、第1
表に示す収量の水溶性共重合体を得た。
【0046】実施例6 第1表に示すように、NVA、ビニル系モノマー、溶媒
の水(400g)および重合開始剤として2,2'−アゾビ
ス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩( 0.10g)を用
い、実施例1〜3と同様な方法により反応および後処理
をし、第1表に示す収量の水溶性共重合体を得た。
【0047】実施例7,8 第1表に示すように、NVA、ビニル系モノマー、溶媒
の水(400g)および重合開始剤として過硫酸カリウ
ム( 0.20 g)、亜硫酸水素ナトリウム( 0.40 g)を
用い、実施例1〜3と同様な方法により反応および後処
理をし、それぞれ第1表に示す収量の水溶性共重合体を
得た。
【0048】実施例9,10 第1表に示すように、NVA、ビニル系モノマー、溶媒
のジオキサン(400g)および重合開始剤としてラウ
ロイルパーオキサイド( 0.50 g)を用い、実施例4と
同様な方法により反応および後処理をし、それぞれ第1
表に示す収量の水溶性共重合体を得た。
【0049】実施例11〜16 第1表に示すように、NVA、ビニル系モノマー、溶媒
の水(400g)および重合開始剤として2,2'−アゾビ
ス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩( 0.10g)を用
い、実施例1〜3と同様な方法により反応および後処理
をし、それぞれ第1表に示す収量の水溶性共重合体を得
た。
【0050】実施例17〜21 第1表に示すように、NVA、ビニル系モノマー、溶媒
の水(300g)とジオキサン(100g)および重合
開始剤として2,2'−アゾビス(2−アミノジプロパン)
二塩酸塩( 0.10 g)を用い、実施例1〜3と同様な方
法により反応および後処理をし、それぞれ第1表に示す
収量の水溶性共重合体を得た。
【0051】比較例1〜4 第1表に示すように、NVA、ビニル系モノマー、溶媒
のジオキサン(400g)を撹拌機、窒素導入管、冷却
器を備えた1リットルの四つ口フラスコに仕込み、窒素
雰囲気下、重合開始剤のベンゾイルパーオキサイド(
0.10 g)を加えた後、撹拌しながら所定の温度に昇温
した。その温度で所定の時間重合させた後放冷し、重合
液に約1リットルのメタノールを加えて重合液を希釈し
た。この溶液を約10リットルの水に注入して共重合体
を沈殿させた。さらに得られた共重合体をアセトンに再
溶解した後、ヘキサン:アセトン=9:1の混合溶媒約
10リットルに注入して共重合体を沈殿精製し、それぞ
れ第1表に示す収量の共重合体を得た。
【0052】比較例5 第1表に示すように、NVA、ビニル系モノマー、溶媒
のジオキサン(400g)および重合開始剤として2,2'
−アゾビスイソブチロニトリル( 0.30 g)を用い、比
較例1〜4と同様な方法により反応および後処理をし、
第1表に示す収量の水溶性共重合体を得た。
【0053】比較例6 第1表に示すように、NVA、ビニル系モノマー、溶媒
の水(400g)および重合開始剤として過硫酸カリウ
ム( 0.50 g)、亜硫酸水素ナトリウム(1.0g)を用
い、第1表に示した条件で重合した。ポリマーは溶媒の
水中に析出し、スラリー状となった。スラリー状のポリ
マーをろ過、水でよく洗浄後、乾燥して第1表に示す収
量の共重合体を得た。
【0054】比較例7〜10 第1表に示すように、NVA、ビニル系モノマー、溶媒
の水(400g)および重合開始剤として2,2'−アゾビ
ス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩( 0.10g)を用
い、実施例1〜3と同様な方法により反応および後処理
をし、それぞれ第1表に示す収量の水溶性共重合体を得
た。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】表中、開始剤の欄の記号は以下の意味を表
わす。 A:2,2'−アゾビス(2−アミノジプロパン)二塩酸塩 B:ラウロイルパーオキサイド C:ベンゾイルパーオキサイド D:2,2'−アゾビスイソブチロニトリル E:過硫酸カリウム/亜硫酸水素ナトリウム
【0058】また、実施例で調製した代表的な共重合体
(実施例1,2,3,5,7,10,11および16の
共重合体)のガラス転移温度をDSC(セイコー電子工
業株式会社製SSC/5200)で測定した結果を第2表に示
す。
【0059】
【表3】
【0060】比較例11 対応するポリ酢酸ビニルの40%メタノール溶液へ水酸
化ナトリウム−メタノール溶液を加えて、40℃でけん
化し、重合度610、けん化度84モル%のポリビニル
アルコールを得た。比較例12 対応する酢酸ビニルの30%メタノール溶液へ水酸化ナ
トリウム−メタノール溶液を加えて、40℃でけん化
し、重合度1590、けん化度90モル%のポリビニルアル
コールを得た。
【0061】
【フィルム成形】押出し成形 実施例1〜21で調製した共重合体1kgを押出し機で
温度200〜300℃で溶融押出し、ペレタイザーを用
いてペレット化した。このペレットをTダイ成形機を用
いて温度200〜300℃で成形し厚み30μmのフィ
ルムを得た。
【0062】キャスティングによる成膜 比較例1〜10で調製した共重合体を、メタノールまた
は水で5%濃度になるように調整した後、キャスティン
グ法により厚み約30μmのフィルムを得た。また、比
較例11および比較例12で得られたポリビニルアルコ
ールは濃度15%の水溶液となるように調節したのち、
キャスティング法により厚み約30μmのフィルムを得
た。
【0063】
【評価法】水溶性テスト 20℃60%RHで3ヶ月保存した実施例1〜21およ
び比較例1〜12のフィルムを3×3cmの穴のあいた
2枚の板紙にはさみ、ホッチキスで固定した。これを2
0℃の蒸留水に浸漬し、フィルムの溶解状態をテストし
た。結果を第3表に示す。表中、○は完全に溶解したこ
とを示し、×は不溶解分が残ったことを示す。
【0064】ヒートシール性テスト 5×5cmの大きさの実施例1〜21および比較例1〜
12のフィルムを20℃、60%RHで一晩調湿したの
ち、同じ種類のフィルムを2枚重ね合わせ、160℃に
加熱したヒートシーラーで1秒間ヒートシールした。そ
の結果を第3表に示す。表中、○はシール性良好、×は
シールした部分が容易に剥離することを示し、−は試験
しなかったことを示す。
【0065】
【表4】
【0066】
【使用例】使用フィルムの成形 実施例1〜21で調製した共重合体100重量部と可塑
剤とを、第4表に示す組成で押し出し機を用い温度15
0〜280℃で溶融押し出しし、ペレタイザーを用いて
ペレット化した。このペレットをTダイ成形機を用いて
温度150〜280℃で成形し、所定の厚み(30μ
m,18μm)のフィルム(使用フィルム1〜21)を
得た。
【0067】比較フィルムの成形 比較例11と比較例12のポリビニルアルコール100
重量部(固形分)と可塑剤とを、第4表に示す組成で、
固形分濃度15%までメタノールで希釈した後キャステ
ィング法にて膜厚30μmのフィルム(比較フィルム1
1,12)を得た。
【0068】
【表5】
【0069】使用例1:洗剤の水溶性包装材料 包装材の水溶性試験 粉状洗剤(花王(株)社製 アタック)1gを、上記で
成形して得た使用フィルム2、4、5、7、9、11、
14、18、20、21(30μm)および比較フィル
ム11、12を用い、4×4cmの大きさとなるように
ヒートシーラーで包装し、単位包装洗剤を作製した。こ
の単位包装洗剤を使用して、以下の試験を行なった。前
記単位包装洗剤を3ヶ月間20℃、RH60%の恒温室
に保存したのち、内容物を出した。包装材部分はマグネ
チックスターラーで緩やかに撹拌した3リットルの水道
水(15℃)に投入し、10分後未溶解分の有無を目視
判定した。その結果を第5表に示す。
【0070】単位包装洗剤の溶解性試験 粉状洗剤(花王(株)社製 アタック)20gを、上記
で成形して得た使用フィルム2、4、5、7、9、1
1、14、18、20、21(30μm)および比較フ
ィルム11、12を用い、16×8cmの大きさになる
ようにヒートシーラーで包装し、包装洗剤の溶解性につ
いて試験を行なった。試験は洗濯機((株)日立製作所
製 静御前)に15℃の水道水30リットル入れ、前記
単位包装洗剤を投入し、弱反転で5分間撹拌した後排水
し、泡をすくい取り、目視判定した。その結果を第5表
に示す。
【0071】
【表6】
【0072】使用例2:農薬の水溶性包装材料 市販のスミチオン[2−クロル−4,6−ビス(エチル
アミノ)−1,3,5−トリアジン]水和剤2gを、上
記で成形して得た使用フィルム1、3、4、6、8、1
0、12、15、16、17、21(30μm)および
比較フィルム11、12を用い、6×3cmの大きさに
なるようにヒートシーラーで包装し、農薬包装剤を作製
した。また、市販のマンゼブ(亜鉛配位エチレンビスジ
チオカルバミン酸マンガン塩)水和剤2gについても、
同様に農薬包装剤を作製した。このようにして得られた
農薬包装材を3ヶ月間20℃、RH60%の恒温室に保
存した。保存後、内容物のスミチオン水和剤および市販
のマンゼブ水和剤を取出し、フィルムはマグネチックス
ターラーで緩やかに撹拌しておいた15℃、1リットル
の水に投入し、10分後に未溶解物の有無を目視判定し
た。その結果を第6表に示す。
【0073】
【表7】
【0074】使用例3:種子テープ用基材 長さ25m、幅3cmに調整した使用フィルム2,6,
10(18μm)2枚の間に大根の種子を25cm間隔
で1粒ずつ並べて100株溶着固定した種子テープを作
製した。この種子テープを試験農場に播種し、7日後に
大根の発芽率を調べた。また、対照として種子テープを
使わないで大根の種子を25cm間隔で1粒ずつ100
株播種し(対照区)、その発芽率を比較し、水溶性テー
プの発芽に対する影響を調べた。また、播種後67日経
過後の大根の根の成長度を比較した。その結果を第7表
に示す。
【0075】
【表8】 表中、発芽率は下記式により算出した。 発芽率(%)=(発芽した数/播種した数)×100
【0076】使用例4:転写印刷用シート 20×20cmの大きさに調整した使用フィルム3,
4,11,16(30μm)を用い、そのフィルムの上
に油性の熱可塑性インキ(黒)を用いて所望の模様を印
刷し、転写シートを作製した。この転写シートの印刷面
を紙上にのせたまま、紙面を下にして80℃の熱板上に
おき、上より手で印刷面を軽く2〜3回押さえることに
より、フィルムを紙に密着させた。これを30℃、5リ
ットルの水道水に3分間浸漬後取り出し、水洗してから
転写性の良否を目視により確認した。その結果を第8表
に示す。
【0077】
【表9】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08F 220/28 MML 7242−4J 220/56 MNC 7242−4J 299/02 MRS 7442−4J C08J 5/18 CER 9267−4F C08L 39/00 LJY 7921−4J (72)発明者 相沢 利行 大分県大分市大字中の洲2 昭和電工株式 会社大分研究所内 (72)発明者 中村 仁至 大分県大分市大字中の洲2 昭和電工株式 会社大分研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にN−ビニルアセトアミドとビニ
    ル系モノマーとの共重合体からなる水溶性熱可塑性フィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 ビニル系モノマーが、一般式(I) CH2 =CH−O−CO−R1 (I) (式中、R1 は炭素数1〜4の低級アルキル基を表わ
    す。)で示される化合物、一般式(II) CH2 =C(R2 )−COOR3 (II) (式中、R2 は水素またはメチル基を表わし、R3 は炭
    素数1〜4の低級アルキル基を表わす。)で示される化
    合物、一般式(III) 【化1】 (式中、R4 は水素またはメチル基を表わし、R5 は水
    素またはメチル基を表わし、R6 は水素、炭素数1〜4
    の低級アルキル基またはフェニル基を表わし、nは1〜
    100の整数を表わす。)で示される化合物、一般式(I
    V) CH2 =CH−CO−R7 (IV) (式中、R7 は炭素数1〜4の低級アルキル基を表わ
    す。)で示される化合物、一般式(V) CH2 =CH−CO−N(R8 )R9 (V) (式中、R8 およびR9 は各々独立して水素または炭素
    数1〜4の低級アルキル基を表わすが、同時に水素を表
    わすことはない。)で示される化合物、一般式(VI) CH2 =CH−O−R10 (VI) (式中、R10は炭素数1〜4の低級アルキル基を表わ
    す。)で示される化合物、および一般式(VII) CH2 =C(R11)−CN (VII) (式中、R11は水素またはメチル基を表わす。)で示さ
    れる化合物から選択される1種以上の化合物である請求
    項1に記載の水溶性熱可塑性フィルム。
  3. 【請求項3】 N−ビニルアセトアミド35重量%以上
    95重量%以下およびビニル系モノマー5重量%以上6
    5重量%以下の範囲内で、得られる共重合体が水溶性か
    つ熱可塑性を示す組成割合で共重合して得られる請求項
    1に記載の水溶性熱可塑性フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の水溶性熱可塑性フィルム
    からなる水溶性包装材。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の水溶性熱可塑性フィルム
    からなる種子テープ用基材。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の水溶性熱可塑性フィルム
    からなる印刷用基材。
JP35278192A 1992-02-17 1992-12-14 水溶性熱可塑性フィルムおよびその用途 Pending JPH05294358A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP19930102417 EP0556781B1 (en) 1992-02-17 1993-02-16 Water-soluble thermoplastic film and use thereof
DE1993624835 DE69324835T2 (de) 1992-02-17 1993-02-16 Wasserlöslicher thermoplastischer Film und seine Verwendung

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4-61502 1992-02-17
JP6150292 1992-02-17

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05294358A true JPH05294358A (ja) 1993-11-09

Family

ID=13172936

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35278192A Pending JPH05294358A (ja) 1992-02-17 1992-12-14 水溶性熱可塑性フィルムおよびその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05294358A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002308946A (ja) * 2001-04-10 2002-10-23 Showa Denko Kk N−ビニルアミド系共重合体、その製造方法およびその用途
US6956070B2 (en) 2001-04-20 2005-10-18 Kuraray Co., Ltd. Water-soluble film and package using the same
WO2011066547A3 (en) * 2009-11-30 2011-10-13 Cintas Corporation Method of collecting, transporting and cleaning soiled textiles and water soluble bag and receptacle therefor
WO2020196234A1 (ja) * 2019-03-22 2020-10-01 昭和電工株式会社 N-ビニルカルボン酸アミド共重合体水溶液の製造方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002308946A (ja) * 2001-04-10 2002-10-23 Showa Denko Kk N−ビニルアミド系共重合体、その製造方法およびその用途
JP4633293B2 (ja) * 2001-04-10 2011-02-16 昭和電工株式会社 N−ビニルアミド系共重合体を含有する界面活性剤
US6956070B2 (en) 2001-04-20 2005-10-18 Kuraray Co., Ltd. Water-soluble film and package using the same
WO2011066547A3 (en) * 2009-11-30 2011-10-13 Cintas Corporation Method of collecting, transporting and cleaning soiled textiles and water soluble bag and receptacle therefor
WO2020196234A1 (ja) * 2019-03-22 2020-10-01 昭和電工株式会社 N-ビニルカルボン酸アミド共重合体水溶液の製造方法
CN113508147A (zh) * 2019-03-22 2021-10-15 昭和电工株式会社 N-乙烯基羧酸酰胺共聚物水溶液的制造方法
CN113508147B (zh) * 2019-03-22 2023-06-16 株式会社力森诺科 N-乙烯基羧酸酰胺共聚物水溶液的制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4056859B2 (ja) 水溶性フィルム
US7754318B2 (en) Water-soluble film
US4758617A (en) Process for preparing water-absorbing resin
JP4630396B2 (ja) 水溶性フィルム
WO2003055938A1 (fr) Film a base de poly(alcool de vinyle)
JP6324322B2 (ja) フィルム
JP2002284818A (ja) 新規ビニルアルコール系樹脂及びその用途
US5489647A (en) Hydrophilic, swellable graft polymers
WO2003060007A1 (fr) Film de polyalcool de vinyle
WO1997000282A1 (en) Water-soluble films
JP2005089655A (ja) ポリビニルアルコール系樹脂およびフィルム
JPS63168437A (ja) アルカリ性物質包装用のポリビニルアルコ−ルフイルム
JPH07118407A (ja) 農薬包装用フィルム
JP2006257225A (ja) ポリビニルアルコール系フィルム及びその用途
JPS5839164B2 (ja) 多元系合成樹脂水性エマルジョンの製造方法
JPH05294358A (ja) 水溶性熱可塑性フィルムおよびその用途
JPH06184251A (ja) 水溶性熱可塑性フィルムおよびその用途
EP0556781B1 (en) Water-soluble thermoplastic film and use thereof
JPH06184386A (ja) 水溶性熱可塑性フィルムおよびその用途
EP0335624A2 (en) Surface active polymers
JPH06207075A (ja) 水溶性熱可塑性フィルムおよびその用途
JPS63278916A (ja) 水溶性共重合体、その製法及び用途
US20020111436A1 (en) Carboxylated polyner composition
JP2007126655A (ja) 新規ビニルアルコール系樹脂及びその用途
JP4573934B2 (ja) アルカリ性物質包装用フィルム