JP2002308946A - N−ビニルアミド系共重合体、その製造方法およびその用途 - Google Patents
N−ビニルアミド系共重合体、その製造方法およびその用途Info
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Abstract
活性剤として有用であり、土木建築、樹脂製造、コーテ
ィング及び石油化学等の幅広い分野において用いること
ができるN−ビニルアミド系共重合体を提供すること。 【解決手段】前記一般式(I)で表されるビニルエステ
ル類10〜79モル%と、N−ビニルアミド21〜90
モル%との共重合体であって、共重合体の1質量%水溶
液の表面張力が65dyn/cm以下であることを特徴
とするN−ビニルアミド系共重合体、該共重合体の製造
法およびその用途に関する。
Description
系共重合体、その製造方法および用途に関する。さらに
詳しくは、耐イオン性,耐アルコール性に優れた高分子
界面活性剤として有用なN−ビニルアミド系共重合体と
該共重合体の製造方法、該製造方法により製造されたN
−ビニルアミド系共重合体、および該共重合体を用いた
界面活性剤、樹脂添加剤、コーティング剤、ガスハイド
レート形成抑制剤に関する。
共重合体としては、Ind.Eng.Chem.Prod.Res.Dev. 1985,
24, 245-246 にR.W.Stackman, R.H.Summervill による
重合性研究の記載があり、米国特許5,730,760
号公報に繊維洗浄用組成物として、特開平6−1731
68号公報に糊料組成物として、特開平10−1762
2号公報に感熱性親水−疎水可逆性ポリマーとして、特
開平10−298038号公報にヘアケア組成物および
毛髪処理方法としての記載があり、共重合体自体は公知
である。
類とN−ビニルアミドの共重合体水溶液が表面張力低下
効果を有するとの記載は一切見られず、界面活性剤、樹
脂添加剤、コーティング剤としての応用の記載もされて
いない。
報、第3021839号公報、第3066130号公
報、第3066136号公報、第3053231号公
報、特開平5−59320号公報、特開2000−21
9706号公報には、ビニルエステル類とN−ビニルア
ミドの共重合体の加水分解物の記載があり、それぞれ、
再生紙の特性改良、コーティング剤、成形物、フィル
ム、繊維、分散剤、インクジェット用記録シート、経糸
糊剤、繊維の染料定着剤として使用している。これら
は、共重合体を加水分解することにより生じる加水分解
物の物性を利用しており、加水分解前の共重合体の物性
と利用については言及されていない。
公報、第3066130号公報、第3066136号公
報、特開平5−59320号公報に記載のあるビニルエ
ステル類とN−ビニルアミドの共重合体中のN−ビニル
アミド含有量は20モル%以下である。
ものが知られているが、良好な乳化特性を有し、しかも
同時に塩化ナトリウムなどの無機塩が相当量存在する水
溶液に溶解したときにも表面張力を低下させるような高
い耐イオン性を有し、さらに高濃度のアルコール水溶液
またはアルコール単独溶液中においても優れた溶解性を
示すような高い耐アルコール性を有する、実用性の高い
製品の開発は、未だ十分に進んでいるとはいい難いのが
現状である。
は、アルキル基が10乃至30個の炭素原子を含むアク
リルエステルモノマーを約20乃至60質量%、および
分子量が約10,000以下であるオレフィン系不飽和
カルボン酸を80乃至40質量%含んでなるポリマー界
面活性剤が開示され、また、特開2000−17025
号公報には、アクリルエステル類とN−ビニルアミドと
の共重合体の高分子型界面活性剤が開示されている。
N−ビニルアミドおよびこれと共重合可能な単量体を共
重合して得られる共重合体をポリオレフィンと他の樹脂
を用いてポリマーアロイやポリマーブレンドする際、両
樹脂の相溶性を向上させるための樹脂添加剤として使用
する技術が開示されているが、実質的には、スチレンと
の共重合体である。
活性剤は、乳化性を有し水に溶解したときに表面張力の
低下を示すものの、耐イオン性、アルコール溶解安定性
の面で十分ではなく、耐イオン性、耐アルコール性を有
し、種々の分野で利用可能な高分子型界面活性剤の開発
が要望されていた。
「塩化ナトリウムなどの塩が相当量存在する水溶液に溶
解したときにも表面張力を低下させる機能を失わないこ
と。」をいい、「耐アルコール性」とは、「高濃度のア
ルコール水溶液またはアルコール単独溶液中においても
優れた溶解性を示し、安定であること。」をいう。
鑑みて鋭意研究した結果、特定のビニルエステル類10
〜79モル%とN−ビニルアミド21〜90モル%とか
ら重合され、かつこの共重合体の1質量%水溶液の表面
張力が65dyn/cm以下であるN−ビニルアミド系
共重合体が、耐イオン性、耐アルコール性に優れている
ことを見出し、さらに検討した結果、本発明の有用性の
高い高分子型界面活性剤の開発に成功したものである。
アルキル基であり、R2は炭素数1〜20のアルキル基
を示す。)で表されるビニルエステル類10〜79モル
%と、N−ビニルアミド21〜90モル%との共重合体
であって、共重合体の1質量%水溶液の表面張力が65
dyn/cm以下であることを特徴とするN−ビニルア
ミド系共重合体。 (2)質量平均分子量が1,000〜300,000で
あることを特徴とする上記(1)に記載のN−ビニルア
ミド系共重合体。 (3)前記一般式(I)におけるRlが水素またはメチ
ル基であることを特徴とする上記(1)または(2)に
記載のN−ビニルアミド系共重合体。
る上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のN−ビニ
ルアミド系共重合体。 (5)N−ビニルアミドが下記一般式(II)
素またはメチル基を示す。)で表されることを特徴とす
る上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のN−ビニ
ルアミド系共重合体。 (6)N−ビニルアミドがN−ビニルアセトアミドであ
る上記(5)に記載のN−ビニルアミド系共重合体。
重合体を1質量%溶解した水溶液の表面張力が65dy
n/cm以下であることを特徴とする(1)ないし
(6)のいずれかに記載のN−ビニルアミド系共重合
体。 (8)20℃において、イソプロピルアルコールに1質
量%以上溶解することを特徴とする(1)ないし(7)
のいずれかに記載のN−ビニルアミド系共重合体。 (9)上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のN−
ビニルアミド系共重合体を含有することを特徴とする界
面活性剤。
かに記載のN−ビニルアミド系共重合体を含有すること
を特徴とする樹脂添加剤。 (11)上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のN
−ビニルアミド系共重合体を含有することを特徴とする
コーティング剤。 (12)上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のN
−ビニルアミド系共重合体を含有することを特徴とする
ガスハイドレート形成抑制剤。
アルキル基であり、R2は炭素数1〜20のアルキル基
を示す。)で表されるビニルエステル類10〜79モル
%、N−ビニルアミド21〜90モル%とを、水および
/または有機溶媒中で重合することを特徴とするN−ビ
ニルアミド系共重合体の製造法。 (14)重合開始剤を溶解した水および/または有機溶
媒を単量体と同時に滴下しながら重合することを特徴と
する上記(13)に記載のN−ビニルアミド系共重合体
の製造法。 (15)上記(13)または(14)に記載の製造方法
により製造されたN−ビニルアミド系共重合体。
合体は,上述のとおり、少なくとも二種の基本的単量体
をそれぞれ特定の割合で含み、その一方は前記一般式
(I)で表されるように脂肪族炭化水素基を有するビニ
ルエステル類であり、他方はN−ビニルアミドであるこ
とを特徴とする。
(I)で表されるものが使用できるが、その中でも特に
R1が水素またはメチル基であり、R2は炭素数1〜20
のアルキル基であるものが好ましい。これらのアルキル
基は、直鎖状でもよく、分岐状でもよい。ビニルエステ
ル類は通常1種使用されるが、2種以上使用してもよい。
オン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリ
ン酸ビニル、デカン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ヘ
キサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、パルミチン酸ビニ
ル等が拳げられる。
け前記一般式(II)で表されるものが好ましく、N−
ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルホルムア
ミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニ
ルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカ
プロラクタム等が例示できるが、その中でもとくにN−
ビニルアセトアミドが好ましい。その理由は、親水性、
水溶性が高く、かつイオンによる影響を受けにくく、ポ
リマーでの耐加水分解性も良好であるためである。本発
明において、N−ビニルアミドは通常1種使用される
が、2種以上使用しても構わない。
成するビニルエステル類とN−ビニルアミドとの各単量
体の比率(モル)は、ビニルエステル類10〜79%、
N−ビニルアミド21〜90%である。N−ビニルアミ
ドが90モル%を超えると、得られる共重合体が親水性
に偏りすぎ、一方、N−ビニルアミドが21モル%未満
であるときは逆に疎水性に偏りすぎるために、いずれも
良好な界面活性機能を果たせなくなるため好ましくな
い。N−ビニルアミドのより好ましい比率は、40〜8
0モル%である。
は、共重合体をイオン交換水中に溶解し、その液の表面
張力をデュヌイ表面張力計を用い、JIS K 336
2に準拠する方法で、液温20℃にて測定したものを用
いる。表面張力が65dyn/cm以下、好ましくは6
2dyn/cm以下、より好ましくは60dyn/cm
以下で良好な界面活性機能が発現する。
量平均分子量は1,000〜300,000であるが、
好ましくは8,000〜100,000である。質量平
均分子量が1,000未満のときは界面活性剤としての
機能である水−油系エマルジョンの安定化効果、顔料等
の分散効果が低下するため好ましくなく、質量平均分子
量が300,000を超えると界面活性剤の機能を果た
さなくなり、逆に顔料等を凝集させる凝集剤としての効
果が発現してしまうため好ましくない。本明細書におい
て、「質量平均分子量」は、光散乱法により測定した質
量平均分子量の値を意味する。
類およびN−ビニルアミドに加え、目的物である共重合
体がその界面活性剤としての機能を阻害されない限りに
おいて、さらにその他の重合性単量体を構成単量体とし
て含んでいても構わない。
タ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸(イソ)プロピル、(メタ)アクリル酸ブ
チル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2
−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロ
キシプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリ
ル酸エステル系単量体;メチルビニルエーテル、ブチル
ビニルエーテル、ビニルベンジルエーテル等のビニルエ
ーテル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメ
チル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)ア
クリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、
N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アク
リルアミド系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、
p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、m−クロ
ロスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸
およびその塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸およびその塩、マレイン酸またはそ
の塩、フマル酸またはその塩等のアニオン性単量体;ビ
ニルピリジン、ビニルイミダゾール、N,N−ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル
アミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート等のカチオン性単
量体;マレイン酸ジメチルエステル、フマル酸ジエチル
エステル等のジカルボン酸エステル系単量体;アリルア
ルコール、アリルフェニルーテル、アリルアセテート等
のアリル系単量体;(メタ)アクリロニトリル、無水マ
レイン酸、アクロイルモルホリン、N−ビニルピロリド
ン、N−ビニルカプロラクタム、塩化ビニル、エチレ
ン、プロピレン等の単量体を拳げることができる。
体は、実質的に架橋結合を有していないものである。こ
れは架橋結合によってゲル状物を呈するようになれば、
界面活性作用が失われるからである。
以下のような方法により製造することができる。前記一
般式(I)のビニルエステル類およびN−ビニルアミド
を単量体として、重合開始剤の存在下において重合反応
を行う。重合反応は、生成する共重合体を実質的に溶解
しないかもしくは生成する共重合体を溶解する有機溶媒
中、有機溶媒含有水溶液中、または水溶液中で行うこと
ができる。
ル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等が挙げられるがこの限りではな
い。
ウム、カリウムおよびアンモニウム等の過硫酸塩;過酸
化ラウロイル、過酸化カプロイル、過酸化ベンゾイル、
過酸化水素、過酸化ペラルゴニル、クメンヒドロパーオ
キシド、t−ブチルパーフタレート、t−ブチルパーベ
ンゾエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ナトリ
ウムパーアセテート、ナトリウムパーカーボネート等の
過酸素化合物;アゾビスイソブチロニトリル、2,2′
−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,
2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)
プロパン]二塩酸塩、2,2′−アゾビス[N−(2−カ
ルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミド] 、
2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチ
ル)アミジノ]プロパン}、ジメチル2,2’−アゾビ
ス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス
(4−シアノバレイン酸)、2,2’−アゾビス(2−
メチルプロピオン酸)等のアゾ化合物など、重合反応で
一般に使用されるものを限定なく使用することができ
る。
解可能なアゾビスイソブチロニトリル、水に溶解可能な
2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩
等を使用するのが最も好ましい実施態様である。重合開
始剤の使用量は、その種類や重合方法によって異なるも
のの、重合反応が速やかに進行し、適切な質量平均分子
量が得られるように適宜決定すればよく、例えば、総単
量体全量の0.1〜3質量%程度用いる。
雰囲気下で行うことが好ましい。重合温度は、生成する
共重合体の質量平均分子量の大きさに影響を及ぼすため
一概に規定できないが、本発明で目的とする質量平均分
子量の共重合体を得ようとする場合においては、約0〜
100℃の間で反応させるのが好ましい。
アミド系共重合体の質量平均分子量をの範囲に調整する
ために、分子量調整剤を使用することも有効である。
しては、例えばメルカプタン化合物等が挙げられ、具体
的には、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプ
タン、チオ酢酸またはその塩、チオエタノール、チオグ
リセロールやその他のアルキルメルカプタン等を使用す
ることができる。その他用いることができる分子量調整
剤としては、ハロゲン化物質;二硫化ジアルキルキサン
トーゲン,二硫化ジアリル等の硫化物;置換ホスフィン
等のリン化合物;アルキルアミン等が拳げられる。
重合体の質量平均分子量が上記の範囲となるように適宜
選択されるが、一般的に原料単量体をベースとして0〜
10質量%用いることが好ましい。分子量調整剤を10
質量%よりも多く加えるときには重合反応が充分に進行
せずに残留単量体が多くなり、質量平均分子量が1,0
00に達しないものが生成され易くなる傾向がある。具
体例として、分子量調整剤としてアルキルメルカプタン
を使用する場合には、添加量は原料単量体をベースとし
て0.5〜5質量%であることが好ましい。
溶液静置重合、溶液攪拌重合、滴下重合、逆相懸濁重
合、乳化重合、沈殿重合等の一般的重合法が使用可能で
あるが、特に本発明のN−ビニルアミド系共重合体を得
る方法としては滴下重合が好適であり、水溶液またはア
ルコール溶液での単量体滴下沸点重合がさらに好適であ
る。
テル類の比率が高い場合にはアルコール溶液、N−ビニ
ルアミドの比率が高い場合には水溶液とするのが好まし
い。具体的には、全単量体中のビニルエステル類の比率
が30モル%を超える場合には、水溶液中での重合で
は、得られる共重合体溶液がエマルジョン様となり易
く、この場合にはアルコール溶液での重合の方が均一な
透明溶液となり、より幅広い用途に使用が可能である。
当然、エマルジョン様でも使用可能な用途に用いる場合
には、全単量体中のビニルエステル類の比率が30モル
%を超える場合であっても水溶液での重合が可能であ
る。
ミド系共重合体自身が界面活性機能を有するため、得ら
れるエマルジョンは安定化され、特に界面活性剤やその
他の乳化安定剤等の添加を必要としない。
N−ビニルアミドの単量体は、前もって混合したものを
滴下しても、別々に同時に滴下してもよい。また、単量
体単独で滴下しても、単量体を溶解する水および/また
は有機溶媒に溶解したものを滴下してもよい。さらに
は、単量体の片方または両方の一部を仕込んだ反応容器
中に残りの単量体を滴下していく方法も本発明において
使用可能であるが、より好ましくは、全単量体を反応容
器中に仕込んだ水および/または有機溶媒中に同時に滴
下する方法が用いられる。
は、ビニルエステル類単量体とN−ビニルアミド単量体
が「高温」で「長時間」接触することになり、ビニルエ
ステル類が分解した有機酸が遊離し、酸性条件下で加溶
媒分解し易いN−ビニルアミドを不安定化する。それを
避ける為に液性をアルカリにするか、アミン類等を添加
すると、今度はアルカリ性条件下では不安定なビニルエ
ステル類が分解してしまうため好ましくない。
の高いN−ビニルアミド系共重合体を得るには、単量体
同士が「高温」で「長時間」接触することのない滴下重
合が最も好適である。
滴下されることが好ましく、これにより、得られるN−
ビニルアミド系共重合体の分子量分布を容易に調整する
ことが可能である。重合開始剤全量を前もって反応容器
に仕込む方法では、単量体の滴下開始時と滴下終了時に
得られる共重合体の分子量が大きく異なる場合が多く、
分子量分布もかなり幅の広いものとなる場合が多いので
好ましくない。
程度である。反応終了後、共重合体が析出している場合
は濾過等により溶媒を除去し、必要により乾燥させるこ
とにより、粒子、粉体状のN−ビニルアミド系共重合体
を得ることができる。また、溶液に溶解している場合に
は、使用状況に応じてそのまま用いることも可能であ
る。さらには、必要に応じて、スプレードライヤー、ベ
ルトドライヤー、ドラムドライヤー等を用いて溶媒を除
去し粉体状にすることも可能である。
件では、ゲルを取り出して解砕してから乾燥し、水もし
くは溶媒を除去し、さらに粉砕して粒状、粉末状の共重
合体を得ることができる。本発明のN−ビニルアミド系
共重合体は、高分子型界面活性剤として有用であり、そ
の優れた特徴として、耐イオン性、耐アルコール性を有
するものである。
定義した通り「塩化ナトリウム等の塩が相当量存在する
水溶液に溶解したときにも表面張力を低下させる機能を
失わないこと。」を指し、その定量的な指標としては
「4質量%塩化ナトリウム水溶液に共重合体を1質量%
溶解した水溶液の表面張力が65dyn/cm以下であ
ること。」と言う定義を用いるものとする。この条件で
の表面張力が65dyn/cm以下、好ましくは62d
yn/cm以下、より好ましくは60dyn/cm以下
で良好な界面活性機能が発現する。
イオン性をしめす塩水溶液としては、例えば、ナトリウ
ム、カリウム、リチウム、ストロンチウム、マグネシウ
ム、カルシウム、バリウム等のアルカリ金属またはアル
カリ土類金属;チタニウム、ジルコニウム、鉄、コバル
ト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム等の金属カチオン
を含む塩水溶液、あるいは、フッ化物イオン、塩化物イ
オン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝
酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオン等のアニオンを含
む塩水溶液が挙げられる。
した通り、「高濃度のアルコール水溶液またはアルコー
ル単独溶液中においても優れた溶解性を示し、安定であ
ること。」を指し、その定量的な指標としては「20℃
において、イソプロピルアルコールに1質量%以上溶解
すること。」とする。この条件での溶解度は、1質量%
以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質
量%以上である。本発明のN−ビニルアミド系共重合体
が溶解できるアルコールとしては、例えば、メチルアル
コール、エチルアルコール、(イソ)プロピルアルコー
ル、ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、グリセリン等が挙げられる。
体的な用途としては、土木建築においては土壌安定剤、
セメントの湿潤・分散剤に、また樹脂製造においては乳
化重合用乳化剤、懸濁重合用分散剤、ポリマーアロイや
ポリマーブレンドなどの樹脂混合物に添加して樹脂混合
物を構成する異種樹脂間の相溶性を改善するための樹脂
添加剤として、さらにコーティングにおける表面処理剤
や塗料に添加して顔料や添料の分散安定剤、塗布時の濡
れ性や浸透性改良剤等として用いることができ、金属、
樹脂、紙、繊維等の素材のコーティング等に好適に用い
ることができる。
合体は、ガスハイドレート形成抑制剤として、石油およ
び/またはガスを含むパイプラインにおけるガスハイド
レートの形成、集塊、閉塞を抑制、阻害、防止するため
に系中に添加するポリマー添加剤としても好適に用いる
ことができる。ガスハイドレートとは、水分子の結晶格
子中に、窒素、二酸化炭素、硫化水素、塩素、臭素、メ
タン、エタン、プロパン、イソブタン、n−ブタン、ネ
オペンタン、エチレン、シクロペンタン、シクロヘキサ
ン、ベンゼン等の小分子が取り込まれるクラスレート
(包接化合物)であり、これらのガスハイドレート形成
分子が高圧低温下で水と共存していると、混合物はガス
ハイドレート結晶を形成する傾向を持つ。天然ガスおよ
び/または石油の輸送に用いられるパイプライン中でガ
スハイドレートが形成されると、それによりポンプの詰
まり、ラインの閉塞等の深刻なトラブルが発生する。
リビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンとN−ビニ
ルカプロラクタムまたは/およびN−イソプロピルメタ
クリルアミドまたは/およびアクロイルピロリジンまた
は/およびアクロイルピペリジンまたは/およびアクロ
イルモルフォリン等の共重合体が用いられてきたが、こ
れらの重合体に用いられるモノマーは高価であり、それ
らに比べると、本発明の共重合体は、工業的に一般に使
用されている安価なモノマーを使用しているので、コス
トパフォーマンスの面からも有用性が高い。
記載のタイプの抑制剤1種以上の濃縮溶液または混合物
を、水性相を有する石油流体流中に導入する。本発明の
抑制剤溶液または混合物が、実質的に水性相中に溶解さ
れまたは流体流中に分散されると、それにより、クラス
レート水和物が形成される割合が低減され、それによ
り、流動性が制限される程度が低減される。
明のN−ビニルアミド系共重合体を、最初に、適切なキ
ャリアー溶剤または液体中に溶解して、濃縮溶液または
混合物を製造する。キャリアー溶剤としては、水、ブラ
イン、海水、生成水、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、イソプロパノール、グリコール、またはそのよ
うな溶剤の混合物があるが、それらに限定される訳では
ない。当業者に知られている他の溶剤を使用してもよ
い。
濃度が得られる限り、キャリアー溶剤中における抑制剤
の濃度は、いかなるものであってもよい。特定の用途に
おいて使用する実際の濃度は、選択するキャリアー溶
剤、抑制剤の化学的組成、システムの温度、適用条件で
のキャリアー溶剤中における抑制剤の溶解性に依存して
変動する。抑制混合物は、機械装置(化学的注入ポン
プ、Tパイプ、注入部品等)、および他のデバイスを用
いて、石油流体の水性相中に導入することができるが、
そのような装置は、必須のものではない。
効に処理することを確実なものにするためには、まず、
好ましくは抑制剤溶液が流体中に導入される位置に水性
相を存在させて、さらには、抑制剤はクラスレート水和
物の形成を元に戻すというよりは、主にその形成を抑制
する作用をするので、クラスレート水和物の実質的な形
成の前にその流体を処理することが重要である。湿潤石
油流体が冷却されると、最終的に、水和物平衡解離温
度、即ちTeqとして知られる温度(それ以下の温度で
は、水和物の形成が、熱力学的に支持される温度)まで
達する。好ましくは、流体は、そのTeqよりも高い温度
にある時に、抑制剤を用いて処理する。本発明のガスハ
イドレート抑制剤は、オイルまたはガス流中に存在する
水の約0.01〜5質量%(好ましくは0.5〜3重量
%)の濃度範囲で使用可能なガス水和物抑制剤として、
水相を有する石油流体等を効果的に処理することができ
る。
合体の使用量は、具体的な用途によって異なるものの、
一般的には対象とする系全体に対して、約0.01〜5
0質量%用いるのが好ましく、0.05〜30質量%が
より好ましい。
明するが、本発明はこれに実施例によりなんら限定され
るものではない。
に示す。 (評価試験方法) 1.表面張力の測定 共重合体をイオン交換水中に溶解し、表面張力をデュヌ
イ表面張力計を用い、JIS K 3362に準拠する
方法で、液温20℃にて測定した。 2.乳化安定性試験 目盛付き試験管に、共重合体の0.02質量%水溶液4
ml、酢酸ビニルモノマー1mlを入れ、タッチミキサ
ーにて1分間激しく攪拌を行った後、静置して、上層1
mlのところに酢酸ビニルモノマー層が形成されるまで
の時間を測定した。
した。 検出器:多角度光散乱検出器 DAWN−F 溶離液:0.1M リン酸二水素ナトリウム+0.1M
リン酸水素二ナトリウム水溶液 または 5mM 臭
化リチウム DMF溶液 カラム:Shodex(昭和電工株式会社登録商標)KB-G +
SB-806HQ またはShodex(昭和電工株式会社登録商
標)KD-80M 2本 カラム温度:40℃ 流量:0.6ml/min または 0.93ml/m
in
洋株式会社製)(20×400mm、0.25mm厚、
140g/m2)を用い、ペーパークロマトグラフィー
類似の方法で、各種共重合体水溶液のt秒後の浸透高さ
hを読んで浸透速度を測定した。tとhとの関係は、h
2=α×t+C で表されるので、測定値から縦軸に
h2、横軸にtをとったグラフの傾きより各種共重合体
の各種濃度のαを求め、これを浸透性の尺度とした。
プロピルアルコールを入れ、それを恒温水槽中で液温を
20℃に調製した。そこに各共重合体の乾燥粉末1.0
0gを攪拌下に投入して10時間攪拌を行い、粉末が完
全に溶解したかを目視により確認した。
び表2に示した内容で重合を行った。
置、温度計および還流冷却管を取り付けた4つ口セパラ
ブルフラスコに、イオン交換水またはイソプロピルアル
コールを入れて所定の重合開始温度まで昇温した。ビニ
ルエステル類とN−ビニルアミドを、イオン交換水また
はイソプロピルアルコールに溶解して、そこに分子量調
整剤および重合開始剤を溶解した後10℃以下に冷却し
た。昇温したセパラブルフラスコ中に、単量体溶液を一
定速度で滴下し、滴下終了後、所定温度、所定時間で熟
成を行い反応を終了した。
および1質量%水溶液の表面張力の値を表3に示した。
例1〜3で得られた共重合体について表面張力を測定し
た。水溶液の場合はイオン交換水で所定濃度に希釈し、
イソプロピルアルコール溶液の場合は一度真空乾燥で溶
剤を除去してからイオン交換水で所定濃度に希釈したも
のを用いた。結果をグラフ1〜2に示す。
用い、4質量%塩化ナトリウム水溶液中での表面張力を
測定した結果をグラフ3に示す。本発明のN−ビニルア
ミド系共重合体は耐イオン性に優れていることがわか
る。
合体、比較例2のN−ビニルピロリドン/N−ビニルア
セトアミド共重合体、比較例3のアクロイルモルホリン
/N−ビニルアセトアミド共重合体では、表面張力低下
作用が無いことがわかる。(表1中、他単量体(C)に
記載のN−ビニルピロリドンはN−ビニルアミドの1種
である。)
1で得られた共重合体を用いて乳化安定性試験を行っ
た。結果を表4に示す。
ニル単量体層が形成されるのに対し、共重合体を添加し
た場合には、単量体層形成が遅くなり、乳化安定化作用
が発現していることがわかる。さらに、共重合体の濃度
を0.001質量%とした場合には、実施例3、4のみ
乳化安定化が見られ、比較例1のN−ビニルアセトアミ
ド単独重合体では作用が見られない。
例1で得られた共重合体を用いて浸透性試験を行った結
果をグラフ4に示す。実施例4の共重合体で特に浸透性
が良好であり、本発明の共重合体は、一般的な紙用途コ
ーティング用ポリマーであるPVAに比較して特に高濃
度での浸透性に優れることがわかる。
体およびPVAについて20℃におけるイソプロピルア
ルコールに対しての溶解性を測定した。水溶液の場合は
一度真空乾燥で水を除去した物を、イソプロピルアルコ
ール溶液の場合は一度真空乾燥で溶剤を除去した物を用
いた。結果を表5に示す。
は、耐イオン性、高いアルコール溶解性と安定性を有
し、高分子型界面活性剤として有用であり、土木建築、
樹脂製造、コーティング、石油化学等の幅広い分野にお
いて有用である。
ー水溶液の表面張力を示すグラフである。
張力を示すグラフである。
塩溶液の表面張力を示すグラフである。
ー水溶液の紙への浸透性を示すグラフである。
Claims (15)
- 【請求項1】下記一般式(I) 【化1】 (式中、R1は水素または炭素数1〜4のアルキル基で
あり、R2は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)で
表されるビニルエステル類10〜79モル%と、N−ビ
ニルアミド21〜90モル%との共重合体であって、共
重合体の1質量%水溶液の表面張力が65dyn/cm
以下であることを特徴とするN−ビニルアミド系共重合
体。 - 【請求項2】質量平均分子量が1,000〜300,0
00であることを特徴とする請求項1に記載のN−ビニ
ルアミド系共重合体。 - 【請求項3】前記一般式(I)におけるR1が水素また
はメチル基であることを特徴とする請求項1または2に
記載のN−ビニルアミド系共重合体。 - 【請求項4】ビニルエステル類が酢酸ビニルである請求
項1ないし3のいずれかに記載のN−ビニルアミド系共
重合体。 - 【請求項5】N−ビニルアミドが下記一般式(II) 【化2】 (式中、R3およびR4は互いに独立して水素またはメチ
ル基を示す。)で表されることを特徴とする請求項1な
いし4のいずれかに記載のN−ビニルアミド系共重合
体。 - 【請求項6】N−ビニルアミドがN−ビニルアセトアミ
ドである請求項5に記載のN−ビニルアミド系共重合
体。 - 【請求項7】4質量%塩化ナトリウム水溶液に共重合体
を1質量%溶解した水溶液の表面張力が65dyn/c
m以下であることを特徴とする請求項1ないし6のいず
れかに記載のN−ビニルアミド系共重合体。 - 【請求項8】20℃において、イソプロピルアルコール
に1質量%以上溶解することを特徴とする請求項1ない
し7のいずれかに記載のN−ビニルアミド系共重合体。 - 【請求項9】請求項1ないし8のいずれかに記載のN−
ビニルアミド系共重合体を含有することを特徴とする界
面活性剤。 - 【請求項10】請求項1ないし8のいずれかに記載のN
−ビニルアミド系共重合体を含有することを特徴とする
樹脂添加剤。 - 【請求項11】請求項1ないし8のいずれかに記載のN
−ビニルアミド系共重合体を含有することを特徴とする
コーティング剤。 - 【請求項12】請求項1ないし8のいずれかに記載のN
−ビニルアミド系共重合体を含有することを特徴とする
ガスハイドレート形成抑制剤。 - 【請求項13】下記一般式(I) 【化3】 (式中、R1は水素または炭素数1〜4のアルキル基で
あり、R2は炭素数1〜20のアルキル基を示す。)で
表されるビニルエステル類10〜79モル%およびN−
ビニルアミド21〜90モル%を、水および/または有
機溶媒中に滴下しながら重合することを特徴とするN−
ビニルアミド系共重合体の製造法。 - 【請求項14】重合開始剤を溶解した水および/または
有機溶媒を単量体と同時に滴下しながら重合することを
特徴とする請求項13に記載のN−ビニルアミド系共重
合体の製造法。 - 【請求項15】請求項13または14に記載の製造方法
により製造されたN−ビニルアミド系共重合体。
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