JPH0881568A - 水溶性フィルムの製造方法 - Google Patents

水溶性フィルムの製造方法

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JPH0881568A
JPH0881568A JP21837294A JP21837294A JPH0881568A JP H0881568 A JPH0881568 A JP H0881568A JP 21837294 A JP21837294 A JP 21837294A JP 21837294 A JP21837294 A JP 21837294A JP H0881568 A JPH0881568 A JP H0881568A
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JP
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water
boronic acid
film
acid group
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JP21837294A
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English (en)
Inventor
Tomohito Tanimoto
智史 谷本
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
Kazutoshi Terada
和俊 寺田
Toshiaki Sato
寿昭 佐藤
Hitoshi Maruyama
均 丸山
Hirotoshi Miyazaki
弘年 宮崎
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリビニルアルコール系重合体(A)と、ボ
ロン酸基、ボリン酸基および水の存在下でボロン酸基ま
たはボリン酸基に転化しうるホウ素含有基からなる群よ
り選ばれる官能基を片末端に有する軟化点が0℃以下の
水溶性重合体(B)からなる水溶液を流延製膜すること
を特徴とする水溶性フィルムの製造方法。 【効果】 本発明の水溶性フィルムは包装材としての良
好な表面外観、フィルム強度、耐薬剤性、冷水溶解性お
よび柔軟性等の特性を有し、幅広い分野に応用可能であ
る。例えば、洗濯用洗剤、漂白剤、農薬および工業用薬
品等の粉末・粒状・塊状の薬剤包装材、園芸用種子の包
装材、ランドリーバックなどの使い捨て日用品等として
有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水溶性フィルムの製造方
法に関する。更に詳しくは冷水溶解性および柔軟性の良
好な水溶性フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水溶性フィルムは洗濯用洗剤、農薬、工
業用薬品などの包装;園芸用種子の包装などに広く用い
られている。洗濯用洗剤、農薬、工業用薬品などの乾燥
物質を水溶性フィルムで包装するこにより、その包装体
を水に浸漬するだけで水溶性フィルムが水に溶解または
分散して内容物が水に溶解または分散することから、内
容物を直接触れることなく容易に使用することができ
る。また、園芸用種子の包装では、水溶性フィルムがス
ペーサー的な役割をはたし、種子同士の距離があらかじ
めセットされることから、その包装体を例えばそのまま
土中に埋めるだけで種子の植えつけを作業性よく行うこ
とができ、しかる土中で包装が迅速に溶解することか
ら、種子の発育に何ら影響を与えない。
【0003】ポリビニルアルコール系重合体(以下PV
Aと略記する)フィルムは、空気中の水分を吸い、この
水がPVAフィルムの可塑剤として働くという性質を持
っているが、吸湿量が空気中の湿度に応じて変化するた
めに、PVAフィルム単独では湿度によってフィルムの
柔軟性が変化するという性質を有している。特に低湿度
下では吸湿量が減少して硬くもろくなるという欠点があ
る。また、温度低下によってもフィルムが硬くなる傾向
があるので、冬期の低温低湿度時には相乗効果によっ
て、フィルムが硬くもろくなり、包装用フィルムとして
用いた場合、フィルムの割れ等の問題が発生しやすくな
る。したがってPVAフィルムはそれ単独では包装用フ
ィルムとしては使用に耐えない。この点を改善するため
に、従来はグリセリン等の多価アルコールを可塑剤とし
て添加する方法が用いられてきた。適量の可塑剤の添加
により、冬期の低温低湿度時でも充分に柔軟で、使用に
耐えるPVAフィルムが得られ、広範に実用化されてい
る。しかしながら可塑剤を添加した場合には経時的に可
塑剤の含量が減少することから、長期間の使用により可
塑剤含量が低下してしまい、冬期の低温低湿度下での柔
軟性の不足によるフィルムの割れ、ひび等のトラブルが
発生することが多かった。経時的に可塑剤の含量が低下
する原因は明確ではないが、可塑剤のフィルム表面への
ブリード、揮発、フィルムと内容物あるいは他の物品と
の接触による可塑剤の移行などが考えられる。近年、こ
のPVAフィルムの可塑剤含量低下の問題についての改
良が強く望まれており、可塑剤無添加でも柔軟なPVA
フィルムや可塑剤含量の経時的低下のないPVAフィル
ムが望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、冷水
溶解性および柔軟性に優れるとともに、フィルム物性の
経時的変化がない、PVA系の水溶性フィルムの製造方
法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、鋭意検討した結果、ポリビニルアルコール系重合体
(A)と、ボロン酸基、ボリン酸基および水の存在下で
ボロン酸基またはボリン酸基に転化しうるホウ素含有基
からなる群より選ばれる官能基を片末端に有する軟化点
が0℃以下の水溶性重合体(B)からなる水溶液を流延
製膜することを特徴とする水溶性フィルムの製造方法を
見出し、本発明を完成させるに到った。
【0006】本発明のPVA(A)は、ビニルアルコー
ル単位を10モル%以上、好ましくは30モル%以上、
さらに好ましくは50モル%以上含有する重合体であ
り、通常ビニルエステルやビニルエーテルの単独重合体
や共重合体を加水分解(けん化、加アルコール分解等)
することによって得られる。ここでビニルエステルとし
ては酢酸ビニルが代表例として挙げられ、その他にギ酸
ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バレ
リン酸ビニル、カプリン酸ビニル、安息香酸ビニル等が
挙げられる。ビニルエーテルとしてはt−ブチルビニル
エーテル、ベンジルビニルエーテル、トリアルコキシシ
リルビニルエーテル等が挙げられる。
【0007】本発明のPVA(A)は、下記の単量体単
位を含んでいても良い。これらの単量体単位としては、
エチレンを除くプロピレン、1−ブテン、イソブテン等
のオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン
酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸等の不飽
和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18までのモ
ノまたはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素
数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジ
メチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンス
ルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメ
チルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のア
クリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18の
N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタ
クリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン
酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチル
アミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタク
リルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホル
ムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミ
ド類;酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、8
−ヒドロキシ−1−オクテン等のアリル化合物、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル
類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロ
キシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニ
ルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン等フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲ
ン化ビニル類;ジメチルアリルアルコール、ビニルケト
ン等が挙げられる。
【0008】また、本発明に用いるPVA(A)の粘度
平均(以下、重合度と略記する)重合度は特に制限はな
いが、50〜30,000が好ましく、50〜10,0
00がより好ましく、100〜5,000が特に好まし
い。
【0009】本発明に使用するボロン酸基、ボリン酸基
および水の存在下でボロン酸基またはボリン酸基に転化
しうるホウ素含有基から選ばれる官能基を片末端に有す
る重合体(B)とは、ボロン酸基、ボリン酸基あるいは
水の存在下でボロン酸基またはボリン酸基に転化しうる
ホウ素含有基からなる群より選ばれる官能基が、ホウ素
−炭素結合により重合体の片末端(好ましくは片末端の
み)に有する重合体である。本発明において、ボロン酸
基とは、下記の化1で示されるものである。
【0010】
【化1】
【0011】また水の存在下でボロン酸基に転化しうる
ホウ素含有基(以下単にホウ素含有基と略記する)とし
ては、水の存在下で加水分解を受けて上記の化1で示さ
れるボロン酸基に転化しうるホウ素含有基であればよ
く、代表例として下記の化2で示されるボロン酸エステ
ル基、下記の化3で示されるボロン酸無水物基、下記の
化4で示されるボロン酸塩基が挙げられる。
【0012】
【化2】
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】{式中、X,Yは水素原子、炭素数1〜2
0の脂肪族炭化水素基(直鎖状または分岐状アルキル
基、またはアルケニル基など)、脂環式炭化水素基(シ
クロアルキル基、シクロアルケニル基など)、芳香族炭
化水素基(フェニル基、ビフェニル基など)を表し、
X,Yは同じ基でもよいし、異なっていてもよい。また
XとYは結合していてもよい。またR1,R2,R3は上
記X,Yと同様の水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式
炭化水素基、芳香族炭化水素基を表し、R1,R2、R3
は同じ基でもよいし、異なっていてもよい。またMはア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属を表す。また上記の
X,Y,R1,R2,R3には他の基、たとえばカルボキ
シル基、ハロゲン原子などを有してもよい。}
【0016】上記の化2〜化4で示されるボロン酸エス
テル基などの具体例としてはボロン酸ジメチルエステル
基、ボロン酸ジエチルエステル基、ボロン酸ジプロピル
エステル基、ボロン酸ジイソプロピルエステル基、ボロ
ン酸ジブチルエステル基、ボロン酸ジヘキシルエステル
基、ボロン酸ジシクロヘキシル基、ボロン酸エチレング
リコールエステル基、ボロン酸プロピレングリコールエ
ステル基(ボロン酸1,2−プロパンジオールエステル
基、ボロン酸1,3−プロパンジオールエステル基)、
ボロン酸トリメチレングリコールエステル基、ボロン酸
ネオペンチルグリコールエステル基、ボロン酸カテコー
ルエステル基、ボロン酸グリセリンエステル基、ボロン
酸トリメチロールエタンエステル基等のボロン酸エステ
ル基;ボロン酸無水物基;ボロン酸のアルカリ金属塩
基、ボロン酸のアルカリ土類金属塩基等が挙げられる。
また本発明において、ボリン酸基とは、下記の化5で示
されるものである。
【0017】
【化5】
【0018】また水の存在下でボリン酸基に転化しうる
ホウ素含有基(以下単にホウ素含有基と略記する)とし
ては、水の存在下で加水分解を受けて上記の化5で示さ
れるボリン酸基に転化しうるホウ素含有基であればよ
く、代表例として下記の化6で示されるボリン酸エステ
ル基、下記の化7で示されるボリン酸無水物基、下記一
般の化8で示されるボリン酸塩基が挙げられる。
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】{式中、Xは前記の化2のXと同じ意味で
あり、Zは前記の化2のXと同様の脂肪族炭化水素基、
脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、アミノ基、アミ
ド基を表す。またXとZは結合していてもよい。またR
1,R2,R3は前記の化4のR1,R2,R3と同じ意味で
あり、Mは前記の化4のMと同じ意味である。} 上記の化6〜化8で示されるボリン酸エステル基の具体
例としてはX,Z,R1,R2,R3がメチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、ペ
ンチル基、ヘキシル基、フェニル基等の低級炭化水素基
を示すものが挙げられる。代表例としてはメチルボリン
酸基、メチルボリン酸メチルエステル基、エチルボリン
酸メチルエステル基、メチルボリン酸エチルエステル
基、ブチルボリン酸メチルエステル基、3−メチル−2
ブチルボリン酸メチルエステル基が挙げられる。
【0023】前記の官能基の中でもとくにボロン酸エチ
レングリコールエステル基などのボロン酸エステル基が
PVA(A)との相溶性の点から好ましい。なお前記の
水の存在下でボロン酸基またはボリン酸基に転化しうる
ホウ素含有基とは、重合体(B)を、水または水と有機
溶媒(トルエン、キシレン、アセトンなど)との混合液
体中で、反応時間10分〜2時間、反応温度室温〜15
0℃の条件下で加水分解した場合に、ボロン酸基または
ボリン酸基に転化しうる基を意味する。
【0024】本発明の重合体(B)は、ボロン酸基、ボ
リン酸基および水の存在下でボロン酸基またはボリン酸
基に転化しうるホウ素含有基からなる群より選ばれる官
能基を片末端に有する重合体であればその構造に特に制
限はなく、オレフィン系重合体、アクリル酸エステル系
重合体、メタクリル酸エステル系重合体、芳香族ビニル
系重合体、アクリルアミド系重合体、メタクリルアミド
系重合体、N−ビニルアミド系重合体、オキシアルキレ
ン系重合体、ビニルエステル系重合体、シアン化ビニル
系重合体、ハロゲン化ビニル系重合体、ビニルエーテル
系重合体、ジエン系重合体等が挙げられる。これらの重
合体を構成する単量体としては、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、イソブテン、3−メチルペンテン、1
−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;アク
リル酸およびその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エ
チル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸ヒドロキシエ
チル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒド
ロキシブチル、アクリル酸モノグリセリン等のアクリル
酸類;メタクリル酸およびその塩、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタク
リル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−ドデシ
ル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒド
ロキシプロピル、メタクリル酸モノグリセリン等のメタ
クリル酸類;スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチ
ルスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル類;ア
クリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のN
−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリル
アミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるい
はその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンある
いはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド
類;メタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルア
ミド等のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメ
チルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパン
スルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピル
ジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等
のメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビ
ニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビ
ニルアミド類;オキシエチレン、オキシプロピレン、オ
キシテトラメチレン等のオキシアルキレン類;酢酸ビニ
ル、蟻酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニ
ル、バーサティック酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビ
ニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタク
リロニトリル等のシアン化ビニル類;塩化ビニル、塩化
ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロ
ゲン化ビニル類;メチルビニルエーテル、エチルビニル
エーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエー
テル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプ
ロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテ
ル、メトキシエチルビニルエーテル等のビニルエーテル
類、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン
類が挙げられる。本発明の重合体(B)の分子量として
は特に制限はないが、50〜100,000が好まし
く、100〜50,000がより好ましい。メルトイン
デックス(MI)(190℃、2160g荷重)に換算
した値としては0.01〜1000g/10分が好まし
く、0.1〜100g/10分がより好ましい。本発明
の重合体(B)の軟化点は、示差熱分析計(DSC)に
よって測定されるガラス転移温度であり、0℃以下であ
ることが必要であり、好ましくは−150℃〜0℃、よ
り好ましくは−120〜−5℃である。
【0025】次に本発明に用いるボロン酸基、ボリン酸
基およびホウ素含有基のうち少なくとも一つの官能基を
片末端に有する重合体(B)の代表的な製法について説
明する。 第1の製法;ボロン酸基、ボリン酸基またはホウ素含有
基を片末端に有する重合体は、片末端に二重結合を有す
る重合体に、ボラン錯体およびホウ酸トリアルキルエス
テルを反応させることによって得られる。重合体へのボ
ロン酸基などの官能基の導入は、窒素雰囲気下で、二重
結合を有する重合体、ボラン錯体、ホウ酸トリアルキル
エステルおよびこれらの三成分の溶媒を撹拌しながら加
熱反応させることによって行われる。ボラン錯体として
は、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−ジメチ
ルスルフィド錯体、ボラン−ピリジン錯体、ボラン−ト
リメチルアミン錯体、ボラン−トリエチルアミン錯体等
が好ましい。ボラン錯体の仕込み量は重合体の二重結合
に対し、1/3当量から10当量の範囲が好ましい。ホ
ウ酸トリアルキルエステルとしては、トリメチルボレー
ト、トリエチルボレート、トリプロピルボレート、トリ
ブチルボレート等のホウ酸低級アルキルエステルが好ま
しい。ホウ酸トリアルキルエステルの仕込み量は重合体
の二重結合に対し1から100当量の範囲が好ましい。
反応温度は室温〜300℃、好ましくは100〜250
℃、反応時間1分〜10時間、好ましくは5分〜5時間
で行なうのがよい。ボロン酸基またはホウ素含有基の種
類は水あるいはアルコールの存在によって容易に相互変
換できる。例えばボロン酸ジメチルエステルは水と反応
することによりボロン酸になり、ボロン酸はエチレング
リコールと反応することによりエチレングリコールエス
テルになる。
【0026】第2の製法;ボロン酸基、ボリン酸基およ
びホウ素含有基から選ばれる少なくともひとつの官能基
を片末端に有する重合体は、ボロン酸基、ボリン酸基ま
たはホウ素含有基を有するチオールの存在下でラジカル
重合可能なモノマーをラジカル重合することによって得
られる。該方法は軟化点が0℃以下の水溶性のポリアク
リル酸ヒドロキシアルキル系重合体やポリN−ヒドロキ
シアルキルアクリルアミド系重合体を製造する際に有用
である。原料のボロン酸基あるいはホウ素含有基を有す
るチオールは窒素雰囲気下で二重結合を有するチオール
にジボランまたはボラン錯体を反応後、アルコール類ま
たは水を加えることによって得られる。また、ボリン酸
基あるいはホウ素含有基を有するチオールは窒素雰囲気
下で二重結合を有するチオールにジボランまたはボラン
錯体およびオレフィン類を反応させた後、アルコール類
または水を加えることによって得られる。ここで二重結
合を有するチオールとしては2−プロペン−1−チオー
ル、2−メチル−2−プロペン−1−チオール、3−ブ
テン−1−チオール、4−ペンテン−1−チオール等が
挙げられ、この内、2−プロペン−1−チオールおよび
2−メチル−2−プロペン−1−チオールが好ましい。
ボラン錯体としては、前記と同様なものが使用され、こ
のうちボラン−テトラヒドロフラン錯体が特に好まし
い。ジボランまたはボラン錯体の添加量は二重結合を有
するチオールに対し当量程度が好ましい。反応条件とし
ては室温から200℃が好ましい。溶媒としてはテトラ
ヒドロフラン(THF)、ジグライム等のエーテル系溶
媒;ヘキサン、ヘプタン、エチルシクロヘキサン、デカ
リン等の飽和炭化水素系溶媒等が挙げられるが、このう
ちTHFが好ましい。反応後に添加するアルコール類と
してはメタノール、エタノール等の低級アルコールが好
ましく、特に、メタノールが好ましい。ボリン酸基を有
するチオールを製造する際に添加するオレフィン類とし
ては、特に制限はないが、エチレン、プロピレン、1−
ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、2
−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−
ヘキセン、シクロヘキセン等の低級オレフィンが好まし
い。このようにして得られたボロン酸基、ボリン酸基お
よびホウ素含有基から選ばれる官能基を有するチオール
の存在下でのラジカル重合は通常の方法で実施できる。
重合条件としては、アゾ系あるいは過酸化物系の開始剤
を用い、重合温度は室温から150℃の範囲が好まし
い。官能基を有するチオールの添加量としては単量体1
g当たり0.001〜1ミリモル程度が好ましく、チオ
ールの添加方法としては、特に制限はない。
【0027】本発明の水溶性フィルムはPVA(A)お
よびボロン酸基、ボリン酸基およびホウ素含有基から選
ばれる官能基を有する軟化点が0℃以下の水溶性重合体
(B)からなり、成分(A)と成分(B)の重量配合比
は、99:1〜50:50の範囲から選ばれ、98:2
〜60:40がより好ましく、95:5〜70:30が
さらにより好ましい。
【0028】本発明における水溶液のフィルム化は、流
延製膜法であれば特に制限はないが、従来よりPVA系
フィルムの製法として用いられている方法が好適であ
る。例えば、濃度5〜30重量%(好ましくは10〜2
0重量%)の水溶液をドラムまたはベルト上にキャステ
ィングし、乾燥するキャスティング方式が適用できる。
フィルムの厚さは特に制限されないが、通常10〜10
0μmであり、好ましくは15〜50μmである。ま
た、フィルム化時の剥離性、フィルム保存時の耐ブロッ
キング性、冷水溶解時の親水性向上のために界面活性剤
を用いてもよい。界面活性剤は特に限定されず、アニオ
ン系、ノニオン系、カチオン系等の界面活性剤が用いら
れる。
【0029】また、フィルムの形状は平滑でもよいが、
エンボス加工によりフィルムに凹凸をつけることは、冷
水溶解性と耐ブロッキング性の観点から特に有効であ
る。尚、本発明で冷水とは、0〜40℃の水をいう。凹
凸によるフィルム表面積の増加は、水とフィルムとの接
触面積の増加となり、冷水溶解性が増す。また、水溶性
フィルムは保存時吸湿してブロッキングしやすいが、凹
凸によるフィルム同士の接触面積の低下は、良好なブロ
ッキング防止方法となり得る。好ましい凹凸の形状は1
0〜60メッシュの格子状または亀甲状等で、フィルム
の一部または全体が凹凸化し、見かけの厚さが真の厚さ
の1.5倍以上、特に2倍以上であるものが好ましい。
凹凸化の方法は特に制限されず、例えば、凹凸面を有す
る支持体上にキャスティングしてもよく、フラットフィ
ルムをエンボッシングカレンダーによって後加工で成形
してもよい。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、これらの実施例によって本発明は何ら限定さ
れるものではない。なお、以下の合成例および実施例に
おいて特に断りのない限り、比率は重量比を意味し、
「%」は「重量%」を意味する。また、重合体(B)中
のボロン酸基量については、重クロロホルムを溶媒とし
て用い、270MHz−1H−NMRにより定量した。
【0031】合成例1 片末端にボロン酸基を有するポリエチレングリコールの
合成:セパラブルフラスコに平均分子量350のポリエ
チレングリコールモノアリルエーテル50gを仕込み、
窒素置換を行った。0℃でボラン−ジメチルスルフィド
錯体11.44gを30分かけて滴下し、40分間反応
を行った後40℃に昇温し、3時間反応を行った。0℃
に冷却し、メタノール20mlを30分かけて滴下し
た。メタノールおよびジメチルスルフィドを留去し、ト
ルエン200gを添加した。析出した固形分を濾過し除
いた後、トルエンを留去することによって片末端にボロ
ン酸基を2.6meq/g有するポリエチレングリコー
ル(PEG)を得た。
【0032】合成例2 片末端にボロン酸基を有するエチレンオキシド−プロピ
レンオキシド共重合体の合成:セパラブルフラスコに片
末端にアリル基を有する平均分子量1600のエチレン
オキシド(EO)−プロピレンオキシド(PO)共重合
体(モル比EO/PO=75/25)150gおよびト
ルエン200gを仕込み、窒素置換を行った。0℃でボ
ラン−ジメチルスルフィド錯体8.01gを30分かけ
て滴下し、40分間反応を行った後40℃に昇温し、3
時間反応を行った。0℃に冷却し、メタノール10ml
を30分かけて滴下した。メタノールおよびジメチルス
ルフィドを留去し、析出した固形分を濾過し除いた後、
トルエンを留去することによって片末端にボロン酸基を
0.56meq/gを有するエチレンオキシド−プロピ
レンオキシド共重合体〔P(EO/PO)〕を得た。
【0033】合成例3 3−メルカプトプロピルボロン酸エチレングリコールエ
ステル(MPBE)の合成:冷却器および滴下ロート付
きフラスコに水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)1
9.26gを仕込み窒素置換を行った。これにベンゾフ
ェノンおよび金属ナトリウムで乾燥し蒸留したTHF5
00mlを仕込み、アイスバスで0℃に冷却した後、撹
拌を行いながら三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体
99.95gを30分かけて滴下を行った。2時間後0
℃で2−プロペン−1−チオール45.61gを30分
かけて滴下を行った。40分間撹拌した後60℃に昇温
してさらに3時間撹拌を行った。0℃に冷却しメタノー
ル100mlを40分かけて滴下を行った。反応液を濾
過し固形分を除いた後、溶媒を留去し、エチレングリコ
ール38gを加え塩化メチレン−水で抽出し過剰のエチ
レングリコールを除き、硫酸マグネシウムで乾燥後、減
圧蒸留により3−メルカプトボロン酸エチレングリコー
ルエステルおよび2−メルカプト−1−メチルエチルボ
ロン酸エチレングリコールエステルの4:1の混合物4
6.7gを得た(4mmHgにおける沸点70℃)。
【0034】合成例4 片末端にボロン酸エステル基を有するポリ−4−ヒドロ
キシブチルアクリレートの合成:撹拌機および冷却器を
備えたセパラブルフラスコに4−ヒドロキシブチルアク
リレート100g、3−メルカプトプロピルボロン酸エ
チレングリコールエステル0.876gを仕込み、窒素
置換を行った後、80℃に昇温し、別途調製したアゾビ
スイソブチロニトリルの0.23%トルエン溶液を最初
1.5ml添加後、30分ごとに0.5ml添加した。
5時間後冷却し、重合を停止させた。このときの重合率
は45%であった。得られたポリ−4−ヒドロキシブチ
ルアクリレートをヘキサンで再沈後乾燥することによ
り、片末端にボロン酸エチレングリコール基を0.05
meq/g有する平均分子量17,000のポリ−4−
ヒドロキシブチルアクリレートを得た。
【0035】合成例5 片末端にボロン酸エステル基を有するポリ−2−ヒドロ
キシエチルアクリレートの合成:合成例4の4−ヒドロ
キシブチルアクリレート100gに代えて2−ヒドロキ
シエチルアクリレート100gを用い、反応温度70℃
にした他は合成例4と同様にして重合を行った。5時間
後冷却し、重合を停止させた。このときの重合率は37
%だった。得られたポリ2−ヒドロキシエチルアクリレ
ートを真空乾燥することにより、片末端にボロン酸エチ
レングリコール基を0.052meq/g有する平均分
子量18,000のポリ−2−ヒドロキシエチルアクリ
レートを得た。
【0036】実施例1 2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナ
トリウム3モル%変性PVA(平均重合度1700、ビ
ニルエステル部分のけん化度98.4モル%)100部
を水570部に溶解し、次に合成例1の片末端にボロン
酸基を有するポリエチレングリコール20部を添加し
た。この水溶液を表面温度75℃の回転ドラム上にキャ
スティングしてフィルム化し、乾燥厚み40μmのフィ
ルムを得た。得られたフィルムについて、下記に示す方
法により物性を評価した。結果を表1に示す。
【0037】(表面外観)得られたフィルムを、20
℃、湿度75%で30日間放置後、フィルム内外面の外
観を下記の基準に従って判定した。 ◎:全く濁りなし。 ○:殆ど濁りが認められない。 ×:濁りが顕著に認められる。 (冷水溶解性)得られたフィルムを幅3cm、長さ3c
mにカットし、撹拌している10℃の水1000ml中
に落下させ、完全に溶解する時間を測定した。 (低温衝撃強度)得られたフィルムを5℃、−5℃の恒
温室に1日放置し、フィルムインパクトテスター(東洋
精機製)で衝撃強度を測定した。
【0038】実施例2〜4、比較例1〜3 PVA系重合体(A)及び水溶性重合体(B)の種類を
表2に示すように変更したほかは実施例1と同様にして
フィルム化を行い、性能を評価した。結果を表1に示
す。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明の水溶性フィルムは包装材として
の良好な表面外観、フィルム強度、耐薬剤性、冷水溶解
性および柔軟性等の特性を有し、幅広い分野に応用可能
である。例えば、洗濯用洗剤、漂白剤、農薬および工業
用薬品等の粉末・粒状・塊状の薬剤包装材、園芸用種子
の包装材、ランドリーバックなどの使い捨て日用品等と
して有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 寿昭 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 丸山 均 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 宮崎 弘年 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール系重合体(A)
    と、ボロン酸基、ボリン酸基および水の存在下でボロン
    酸基またはボリン酸基に転化しうるホウ素含有基からな
    る群より選ばれる官能基を片末端に有する軟化点が0℃
    以下の水溶性重合体(B)からなる水溶液を流延製膜す
    ることを特徴とする水溶性フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 成分(A)と成分(B)の重量配合比が
    99:1〜50:50である請求項1記載の水溶性フィ
    ルムの製造方法。
JP21837294A 1994-09-13 1994-09-13 水溶性フィルムの製造方法 Pending JPH0881568A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6956070B2 (en) 2001-04-20 2005-10-18 Kuraray Co., Ltd. Water-soluble film and package using the same

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US6956070B2 (en) 2001-04-20 2005-10-18 Kuraray Co., Ltd. Water-soluble film and package using the same

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