JPH0818585B2 - 自動二輪車等の車両における燃料タンクの固定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動二輪車等の車両に用いられる燃料タン
クの固定装置に関する。

〔従来の技術〕

ステアリングヘッドパイプから後方に延びる左右のフ
レーム部材上に燃料タンクを設置した自動二輪車では、
従来、フレーム部材に燃料タンクの前端底部に嵌合する
ブラケットを設けるとともに、このブラケットの後方に
燃料タンクの後端底部を受ける他のブラケットを設け、
このブラケットに燃料タンクの後端をボルトで締め付け
ている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、この構成によると、フレーム側には少
なくとも燃料タンクの前後を支持するためのブラケット
を必要とするので、その分、フレームの構成が複雑化し
てしまい、コストや重量が増大する等の不具合がある。

本発明は、このような事情にもとづいてなされたもの
で、フレームの構成を複雑化することなく燃料タンクを
しっかりと固定することができ、しかも、燃料タンクの
着脱作業も容易に行なうことができる自動二輪車等の車
両における燃料タンクの固定装置の提供を目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本発明は、ステアリングヘ
ッドパイプから後方斜め下向きに延びる左右一対の第１
のフレーム部材と、これら第１のフレーム部材に連な
り、第１のフレーム部材から後方斜め上向きに延びる左
右一対の第２のフレーム部材と、これら第１のフレーム
部材と第２のフレーム部材との間に跨がって配置された
燃料タンクと、を備えている自動二輪車等の車両を前提
としている。

そして、上記燃料タンクは、上記第１および第２のフ
レーム部材の間に入り込むように下向きに延長された延
長部を有し、この延長部の左右側面に、上記第１および
第２のフレーム部材を避けて内側に凹む第１の逃げ部お
よび第２の逃げ部を夫々形成し、これら第１および第２
の逃げ部は、上記第１および第２のフレーム部材に対し
側方から向い合う側面部と、上記第１および第２のフレ
ーム部材に対し上方から向い合い、しかも、上記第１お
よび第２のフレーム部材に沿うように傾斜された上面部
とを有するとともに、この第１の逃げ部と上記第１のフ
レーム部材との間および上記第２の逃げ部と上記第２の
フレーム部材との間に、夫々弾性体を圧縮状態で介在さ
せ、また、上記第１のフレーム部材は、上方に向って突
出する左右一対のブラケットを有し、これらブラケット
は、上記燃料タンクの第１の逃げ部と第２の逃げ部との
間において、上記燃料タンクの左右側面に対し夫々隙間
を介して対向されているとともに、これらブラケットと
燃料タンクの左右側面との間に、この燃料タンクの左右
側面を左右両側から挾み込んで保持する弾性変形が可能
な押圧体を配置し、これら押圧体は、上記第１のフレー
ム部材の外側方から夫々ねじ部材を介して上記ブラケッ
トに取り外し可能に保持されていることを特徴としてい
る。

〔作用〕

この構成によれば、弾性体は、燃料タンクの第１およ
び第２の逃げ部の側面部から上面部にかけて圧接するの
で、この圧接により燃料タンクの左右方向および下方へ
の位置決めがなされる。しかも、第１および第２の逃げ
部の上面部は、第１および第２のフレーム部材の傾斜に
沿うように夫々前上がり後上がりの姿勢に傾斜されてい
るので、この傾斜によって燃料タンクの前後方向へのず
れが防止され、燃料タンクの前後方向への位置決めも同
時になされる。

したがって、この状態で燃料タンクの左右側面を押圧
体を用いて挾み込めば、燃料タンクを第１および第２の
フレーム部材に対し精度良く位置決め固定することがで
きる。

よって、燃料タンクは、端なる挾み込みによって第１
および第２のフレーム部材の間に固定されるから、従来
に比べて燃料タンクを受けるブラケット数を削減するこ
とができ、その分、燃料タンクを始めとしてフレームの
構成の簡略化が可能となる。

また、ねじ部材を緩めてブラケットから押圧体を取り
外すと、ブラケットの燃料タンクの左右側面との間に隙
間が生じるので、燃料タンクを第１および第２のフレー
ム部材の間から上方に引き抜く際に大きな摩擦抵抗が生
じることはない。このため、燃料タンクを第１および第
２のフレーム部材から簡単に取り外すことができる。

そして、この場合、ねじ部材を受けるブラケットは、
第１および第２のフレーム部材の上方に突出されている
とともに、上記ねじ部材にしても第１および第２のフレ
ーム部材の外側方からねじ込まれるので、このねじ部材
がフレーム部材の奥方に入り込まずに済む。このため、
ねじ部材を締め付けたり、逆に緩める際に上記フレーム
部材が作業の邪魔になることはなく、作業性が向上す
る。

〔実施例〕

以下本発明の一実施例を、自動二輪車に適用した図面
にもとづいて説明する。

第５図中符号１はフレームであり、その前端に縦置き
されたステアリングヘッドパイプ２には、フロントフォ
ーク３が枢支されている。

ステアリングヘッドパイプ２には、第１のフレーム部
材としての左右一対のメインパイプ4,4が溶接されてい
る。メインパイプ4,4は、ステアリングヘッドパイプ２
から後方斜め下向きに延びており、その後端部がリヤア
ーム５を枢支するブラケット６に連結されている。この
ため、メインパイプ4,4は、ステアリングヘッドパイプ
２とブラケット６との間を、側面視略一直線状に結んで
いる。

本実施例のメインパイプ4,4は、第２図に示すよう
に、断面コ字形をなした左右の半割体7a,7bを互いに付
き合わせて溶接したもので、その縦断面形状が上下方向
に縦長となる偏平な角筒形に形成されている。そして、
メインパイプ4,4は、平坦な側面4aと、この側面4aに連
なる上面4bと下面4cとを有し、これら上面4bおよび下面
4cは、メインパイプ4,4の傾斜に沿うように後方斜め下
向きに傾斜されている。

メインパイプ4,4の後端上部には、これらメインパイ
プ4,4の上方に向かって突出するブラケット8,8が夫々溶
接されている。これらブラケット8,8の側面には、第２
のフレーム部材としての左右一対のシートレール9,9が
ボルト締めされている。シートレール9,9は、シート10
を支持するためのもので、これらシートレール9,9は、
第１図に示すように、上記メインパイプ4,4とは一定の
交差角を以て後方斜め上向きに延びている。そのため、
シートレール9,9とメインパイプ4,4との連結部分は、側
面視略Ｖ字状に形成されている。

メインパイプ4,4の前端下面とブラケット６の下端と
の間には、ダウンチューブ12が架設されている。これら
メインパイプ4,4とダウンチューブ12とで囲まれる空間
部分には、エンジン13が搭載されている。このエンジン
13のシリンダヘッド14には気化器15が接続されている。
この気化器15に連なる箱形のエアクリーナ16は、エンジ
ン13の真上に位置されており、このエアクリーナ16とシ
ート10との間には、燃料タンク17が設置されている。

この燃料タンク17は、メインパイプ4,4とシートレー
ル9,9との間に跨がって設置されており、以下この燃料
タンク17の固定構造について、第１図ないし第４図を参
照して説明する。

すなわち、燃料タンク17の前半部は、後下がりとなっ
たメインパイプ4,4上に載置されるとともに、この燃料
タンク17の後半部は、後上がりとなったシートレール9,
9上に載置されている。そして、この燃料タンク17の底
部は、下方に向けて延長されて、メインパイプ4,4およ
びシートレール9,9の間に入り込んでいる。

そして、第３図および第４図に示すように、燃料タン
ク17の延長部18の左右側面には、メインパイプ4,4との
干渉を避けて内側に凹む第１の逃げ部19と、シートレー
ル9,9との干渉を避けて内側に凹む第２の逃げ部20とが
形成されている。第１の逃げ部19は、メインパイプ4,4
の側面4aと対向し合う側面部19bと、メインパイプ4,4の
上面4bと対向し合う上面部19aとを有しており、この上
面部19aは、メインパイプ4,4に沿うように後下がりに傾
斜されている。

第２の逃げ部19は、シートレール9,9に対し側方から
対向し合う側面部19bと、シートレール9,9に対し上方か
ら対向し合う上面部19aとを有しており、この上面部19a
は、シートレール9,9に沿うように後上がりに傾斜され
ている。

メインパイプ4,4およびシートレール9,9には、上記第
１および第２の逃げ部19,19と対向し合う位置に、夫々
ゴム製の弾性体20が被着されている。これら弾性体20
は、燃料タンク17の延長部18をメインパイプ4,4とシー
トレール9,9との間に上方から差し込んだ際に、上記第
１および第２の逃げ部19,19との間で圧縮され、これら
逃げ部19,19の側面部19bおよび上面部19aに圧接されて
いる。

したがって、この圧接により、フレーム１に対する燃
料タンク17の左右方向および下方への位置決めがなされ
る。そして、弾性体20が圧接する第１および第２の逃げ
部19,19の上面部19aは、メインパイプ4,4およびシート
レール9,9に沿うように傾斜されているので、見掛け
上、燃料タンク17がＶ字の谷間に嵌まり込んだ状態とな
る。そのため、燃料タンク17の前後方向へのずれが防止
され、この燃料タンク17の前後方向への位置決めも同時
になされる。

一方、第２図に示すように、上記シートレール9,9が
連結されるブラケット8,8は、燃料タンク17の左右側面
と対向し合う対向壁22をなしている。対向壁22は、上記
前後の弾性体20,20の間の中央部に位置されており、こ
の対向壁22と燃料タンク17の左右側面との間には、隙間
35が形成されている。そして、この隙間35に燃料タンク
17を左右両側から挾み込んで固定する押圧体23が介装さ
れている。

本実施例の押圧体23は、有底筒状をなしたタンク受け
24と、このタンク受け24の内部に嵌合された弾性変形が
可能なゴムダンパ25と、このゴムダンパ25の中央部に埋
設されたナット26とを備えており、そのタンク受け24の
底面24aが燃料タンク17の左右側面に接している。そし
て、この押圧体23は、対向壁22に設けたねじ孔27に、フ
レーム１の左右側方からねじ部材としてのボルト28を挿
通し、このボルト28の挿通端を上記ナット26にねじ込む
ことで、対向壁22に支持されており、そのゴムダンパ25
がタンク受け24の底面24aと対向壁22との間で圧縮され
ている。

そのため、ゴムダンパ25の弾性復帰力によってタンク
受け24の底面24aが燃料タンク17の左右側面に押し付け
られ、この燃料タンク17をメインパイプ4,4およびシー
トレール9,9に対し抜け止め保持している。

そして、この場合、第１図に示すように、上記押圧体
23は、上記燃料タンク17の前後方向の中央部に位置され
ており、この押圧体23からフレーム１の前後方向に夫々
略等距離離れた位置において、上記前後の弾性体20が燃
料タンク17の第１および第２の逃げ部19,19に接してい
る。

なお、上記燃料タンク17およびエアクリーナ16の外周
囲は、本来の燃料タンクを形どる合成樹脂製のタンクカ
バー30によって覆われている。

このような構成によれば、フレーム１に対する燃料タ
ンク17の位置決めは、その左右側面の第１および第２の
逃げ部19,19と、フレーム１に取り付けた弾性体20との
圧接によってなされる。そして、フレーム１に対する燃
料タンク17の固定は、この燃料タンク17の左右側面の中
央部を押圧体23で挾み込むことによってなされるので、
従来に比べて燃料タンク17を受けるブラケット数を削減
することができる。したがって、フレーム１や燃料タン
ク17の構成を簡略化することができ、その分、コストや
重量の低減が可能となる。

その上、上記構成によると、押圧体23は、燃料タンク
17の左右側面の中央部を挾み込んでいるとともに、燃料
タンク17の第１および第２の逃げ部19,19に圧接する弾
性体20,20は、押圧体23の前後両側に略等距離離れて配
置されているので、メインパイプ4,4とシートレール9,9
に対する燃料タンク17の取り付け姿勢が安定し、燃料タ
ンク17をフレーム１にしっかりと固定することができ
る。

また、ボルト28を緩めてブラケット8,8から押圧体23
を取り外すと、これらブラケット8,8と燃料タンク17の
左右側面との間に隙間35が生じるので、この燃料タンク
17をメインパイプ4,4およびシートレール9,9の間から上
方に引き抜く際に、これら燃料タンク17とフレーム１と
の間に大きな摩擦抵抗が生じることはない。このため、
押圧体23の固定を解除するだけの作業で、燃料タンク17
をフレーム１から簡単に取り外すことができる。

しかも、ボルト28が通されるブラケット8,8は、メイ
ンパイプ4,4の上方に突出されているとともに、このボ
ルト28にしてもフレーム１の左右側方からねじ込まれる
ので、このボルト28がフレーム１の奥方に入り込むこと
はなく、このボルト28を締め付けたり、逆に緩める際に
メインパイプ4,4が邪魔になることはない。そのため、
フレーム１に対する燃料タンク17の着脱作業性が向上す
る。

なお、上述した実施例では、シートレールをメインパ
イプのブラケットに対しボルト締めしたが、本発明はこ
れに限らず、溶接により一体的に固着しても良い。

さらに、本発明に係る燃料タンクの固定装置は、自動
二輪車用に限らず、後輪が二輪の自動三輪車であっても
良い。

〔発明の効果〕

以上詳述した本発明によれば、燃料タンクは、単なる
挾み込みによって第１および第２のフレーム部材の間に
位置決め固定されるから、従来に比べて燃料タンクを受
けるブラケット数を削減することができる。したがっ
て、燃料タンクを始めとしてフレーム部材の構成を簡略
化することができ、その分、コストの低減や軽量化が可
能となる。

また、ねじ部材を緩めてブラケットから押圧体を取り
外せば、ブラケットと燃料タンクの左右側面との間に隙
間が生じるので、燃料タンクを第１および第２のフレー
ム部材の間から上方に引き抜く際に大きな摩擦抵抗が生
じることはなく、燃料タンクを第１および第２のフレー
ム部材から簡単に取り外すことができる。そして、上記
ねじ部材は第１および第２のフレーム部材の上方に突出
した位置において、これらフレーム部材の外側方からね
じ込まれるので、このねじ部材がフレーム部材の奥方に
入り込まずに済む。このため、ねじ部材を締め付けた
り、逆に緩める際に上記フレーム部材が作業の邪魔にな
ることはなく、フレーム部材に対する燃料タンクの着脱
作業性が向上するといった利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、 第１図は、燃料タンクの固定部分の側面図、 第２図は、第１図中II−II線に沿う断面図、 第３図は、第１図中III−III線に沿う断面図、 第４図は、第１図中IV−IV線に沿う断面図、 第５図は、自動二輪車の側面図である。 ２……ステアリングヘッドパイプ、４……第１のフレー
ム部材（メインパイプ）、 ８……ブラケット、９……第２のフレーム部材（シート
レール）、 17……燃料タンク、18……延長部、 19……第１および第２の逃げ部、19a……上面部、 19b……側面部、20……弾性体、 23……押圧体、29……ねじ部材（ボルト）、 35……隙間。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ステアリングヘッドパイプから後方斜め下
   向きに延びる左右一対の第１のフレーム部材と、 これら第１のフレーム部材に連なり、第１のフレーム部
   材から後方斜め上向きに延びる左右一対の第２のフレー
   ム部材と、 これら第１のフレーム部材と第２のフレーム部材との間
   に跨がって配置された燃料タンクと、を備えている自動
   二輪車等の車両において、 上記燃料タンクは、上記第１および第２のフレーム部材
   の間に入り込むように下向きに延長された延長部を有
   し、 この延長部の左右側面に、上記第１および第２のフレー
   ム部材を避けて内側に凹む第１の逃げ部および第２の逃
   げ部を夫々形成し、これら第１および第２の逃げ部は、
   上記第１および第２のフレーム部材の側面に対し側方か
   ら向い合う側面部と、上記第１および第２のフレーム部
   材に対し上方から向い合い、しかも、上記第１および第
   ２のフレーム部材に沿うように傾斜された上面部とを有
   するとともに、 この第１の逃げ部と上記第１のフレーム部材との間およ
   び上記第２の逃げ部と上記第２のフレーム部材との間
   に、夫々弾性体を圧縮状態で介在させ、 また、上記第１のフレーム部材は、上方に向って突出す
   る左右一対のブラケットを有し、これらブラケットは、
   上記燃料タンクの第１の逃げ部と第２の逃げ部との間に
   おいて、上記燃料タンクの左右側面に対し夫々隙間を介
   して対向されているとともに、 これらブラケットと燃料タンクの左右側面との間に、こ
   の燃料タンクの左右側面を左右両側から挾み込んで保持
   する弾性変形が可能な押圧体を配置し、 これら押圧体は、上記第１のフレーム部材の外側方から
   夫々ねじ部材を介して上記ブラケットに取り外し可能に
   保持されていることを特徴とする自動二輪車等の車両に
   おける燃料タンクの固定装置。