JPH0817714B2 - 新規生理活性ポリペプチド - Google Patents

新規生理活性ポリペプチド

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JPH0817714B2
JPH0817714B2 JP62192557A JP19255787A JPH0817714B2 JP H0817714 B2 JPH0817714 B2 JP H0817714B2 JP 62192557 A JP62192557 A JP 62192557A JP 19255787 A JP19255787 A JP 19255787A JP H0817714 B2 JPH0817714 B2 JP H0817714B2
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/52Cytokines; Lymphokines; Interferons
    • C07K14/525Tumour necrosis factor [TNF]

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Description

【発明の詳細な説明】 (1) 産業上の利用分野 本発明は新規生理活性ポリペプチドに関する。更に詳
しくは、抗腫瘍活性を有する新規ポリペプチド(以下、
新規抗腫瘍活性ポリペプチドと略すこともある)に関す
る。
本明細書において、アミノ酸,ポリペプチドはIUPAC-
IUB生化学委員会(CBN)で採用された方法により略記す
るものとし、たとえば下記の略号を用いる。
Ala L−アラニン Arg L−アルギニン Asn L−アスパラギン Asp L−アスパラギン酸 Cys L−システイン Gln L−グルタミン Glu L−グルタミン酸 Gly グリシン His L−ヒスチジン Ile L−イソロイシン Leu L−ロイシン Lys L−リジン Met L−メチオニン Phe L−フェニルアラニン Pro L−プロリン Ser L−セリン Thr L−スレオニン Trp L−トリプトファン Tyr L−チロシン Val L−バリン また、DNAの配列はそれを構成する各デオキシリボヌ
クレオチドに含まれる塩基の種類で略記するものとし、
たとえば下記の略号を用いる。
A アデニン(デオキシアデニル酸を示す。) C シトシン(デオキシシチジル酸を示す。) G グアニン(デオキシグアニル酸を示す。) T チミン (デオキシチミジル酸を示す。) さらに、(H2N)−及び−(COOH)はそれぞれアミ
ノ酸配列のアミノ末端側及びカルボキシ末端側を示すも
のであり、(5′)−及び(3′)はそれぞれDNA配列
の5′末端側及び3′末端側を示すものである。
(2) 発明の背景 Carswellらは、Bacillus Calmette-Guerin(BCG)な
どで前もって刺激をうけたマウスにエンドトキシンを投
与した後に採取した血清中に、移植したMeth A肉腫によ
る癌を出血壊死させる物質が含まれていることを見出
し、この物質を腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor,
以下TNFと略記することもある)と名づけた[E.A.Carsw
ellら,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,72,3666(1975)]。
このTNFはマウス,ウサギ,ヒト等多くの動物中に見ら
れ、腫瘍細胞に特異的に、しかも種を越えて働くことか
ら、制癌剤としての利用が期待されてきた。
最近になって、Pennicaらは、ヒトTNFのcDNAクローニ
ングを行ない、ヒトTNF蛋白質の一次構造を明らかにす
ると共に、大腸菌におけるヒトTNF遺伝子の発現につい
て報告した[D.Pennicaら,Nature,312,724(1984)]。
その後、白井ら[T.Shiraiら,Nature,313,803(198
5)]、宗村ら[宗村ら,癌と化学療法,12,160(198
5)]、Wangら[A.M.Wangら,Science,228,149(198
5)]及びMarmenoutら[A.Marmenoutら,Eur.J.Bioche
m.,152,515(1985)]が、ヒトTNF遺伝子の大腸菌にお
ける発現について相ついで報告している。
このように遺伝子操作技術を用いることによって、純
粋なヒトTNF蛋白質が多量に入手できるようになるに及
び、TNFの有する抗腫瘍活性以外の生理活性が明らかに
なりつつある。たとえば、癌末期や重症感染症患者に見
られる悪液質を引き起こす原因の一つであるカケクチン
がTNFに非常に類似しており[B.Beulterら,Nature,316,
552(1985)]、カケクチンがリポプロテイン・リパー
ゼ阻害活性を有することから、TNFの投与により血中の
トリグリセリド量が増大し、その結果として高脂血症の
ような副作用を引き起こす可能性のあることが示唆され
た。また、それ以外にも、血管内皮細胞への影響[J.R.
Gambleら、J.Exp.Med.,162,2163(1985)],骨吸収作
用[D.R.Beltoliniら、Nature,319,516(1986)]等が
報告されている。
一方、近年の遺伝子操作技術の進歩は、蛋白質中の任
意のアミノ酸を他のアミノ酸に置換したり、付加した
り、または欠失させることを可能にした。このようにし
て、天然に存在する蛋白質を改変して、特定の目的にか
なった新しい蛋白質を創製する研究が、数多く成されて
いる。
ヒトTNF蛋白質の改変についてもいくつかの研究が成
されており、第1図記載のヒトTNF蛋白質のアミノ酸配
列において、Cys69及びCys101のいずれか又は両方の他
のアミノ酸残基への置換(PCT出願公開WO86/04606号,
特願昭61-106772号)、Gly122の他のアミノ酸残基への
置換(特願昭61-106772号,特願昭61-238048号),Ala18
の他のアミノ酸残基への置換(特願昭61-233337号)が
報告されている。また、アミノ末端側のアミノ酸残基の
欠失についても、6アミノ酸欠失TNFが細胞障害活性を
有していること(特開昭61-50923号)、7アミノ酸欠失
TNFが細胞障害活性を有していること(特願昭61-90087
号)、1〜10アミノ酸欠失TNFが細胞障害活性を有して
おり、その比活性は6〜8アミノ酸欠失TNFにおいて極
大になること(PCT出願公開WO86/02381号)、10アミノ
酸欠失TNFが細胞障害活性を有していること(特願昭61-
114754号)、及び11アミノ酸欠失TNFが細胞障害活性を
有していること(特願昭61-173822号)が報告されてい
る。
そこで、本発明者らは比活性の向上,安定性の向上,
反応スペクトルの広域化,副作用の低減化等を目的とし
て、ヒトTNF蛋白質の改変について鋭意研究を行ない、
本発明を完成するに至った。
(3) 発明の目的 本発明の目的は、新規抗腫瘍活性ポリペプチドを提供
することにある。
本発明の他の目的は、以下の説明から一層明らかとな
るであろう。
(4) 発明の構成 本発明者らの研究によれば、前記本発明の目的は、次
のアミノ酸配列 で表わされる新規抗腫瘍活性ポリペプチドまたはそのア
ミノ末端にMetが結合したポリペプチドを提供すること
によって達成され、また上記新規抗腫瘍活性ポリペプチ
ドをコードするDNA領域を含む組換えプラスミドを提供
することによって達成され、更にかくして得られた組換
えプラスミドによって形質転換された組換え微生物細
胞、その微生物細胞を用いて目的とする新規抗腫瘍活性
ポリペプチドを産生する方法及びこの新規抗腫瘍活性ポ
リペプチドを含有する医薬組成物を提供することによっ
て達成されることがわかった。
以下本発明について更に詳細に説明する。
(A) ヒトTNF遺伝子のクローン化; ヒトTNF遺伝子は、ヒトTNF蛋白質を構成するアミノ酸
[D.Pennicaら,前出]を指定するいくつかのコドンの
中から適当なものを選び、それを化学合成することによ
って取得できる。ヒトTNF遺伝子の設計に際しては、用
いる宿主細胞に最も適したコドンを選択することが望ま
しく、後にクローン化及び遺伝子改変を容易に行なえる
ように適当な位置に適当な制限酵素による切断部位を設
けることが望ましい。また、ヒトTNF蛋白質をコードす
るDNA領域は、その上流に読みとりフレームを一致させ
た形での翻訳開始コドン(ATG)を有することが好まし
く、その下流方向に読みとりフレームを一致させた形で
の翻訳終止コドン(TGA,TAGまたはTAA)を有することが
好ましい。上記翻訳終止コドンは、発現効率の向上を目
的として、2つ以上タンデムに連結することがとりわけ
好ましい。さらに、このヒトTNF遺伝子は、その上流及
び下流に作用する制限酵素の切断部位を用いることによ
り、適当なベクターへのクローン化が可能になる。この
ようなヒトTNF遺伝子の塩基配列の例を、第1図に示し
た。
上記のように設計したヒトTNF遺伝子の取得は、上側
の鎖,下側の鎖のそれぞれについて、たとえば第2図に
示したような何本かのオリゴヌクレオチドに分けて、そ
れらを化学合成し、各々のオリゴヌクレオチドを連結す
る方法をとるのが望ましい。各オリゴヌクレオチドの合
成法としてはジエステル法[H.G.Khorana,“Some Recen
t Developments in Chemistry of Phosphate Esters of
Biological Interest",John Wiley and Sons,Inc.,New
York(1961)],トリエステル法[R.L.Letsingerら,
J.Am.Chem.Soc.,89,4801(1967)]及びホスファイト法
[M.D.Matteucciら,Tetrahedron Lett.,21,719(198
0)]があるが、合成時間,収率,操作の簡便さ等の点
から、全自動DNA合成機を用いたホスファイト法による
合成が好ましい。合成したオリゴヌクレオチドの精製
は、ゲル濾過,イオン交換クロマトグラフィー,ゲル電
気泳動,逆相カラムによる高速液体クロマトグラフィー
等を、適宜単独もしくは組合せて用いることができる。
こうして得られた合成オリゴヌクレオチドの5′末端
側の水酸基を、たとえばT4−ポリヌクレオチドキナーゼ
を用いてリン酸化した後、アニーリングさせ、たとえば
T4−DNAリガーゼを用いて連結する。合成オリゴヌクレ
オチドを連結してヒトTNF遺伝子を作成する方法として
は、合成オリゴヌクレオチドをいくつかのブロックに分
けて連結し、たとえばpBR 322[F.Bolivarら,Gene,2,95
(1977)]のようなベクターに一度クローン化した後、
それらの各ブロックのDNA断片を連結する方法が好まし
い。このようなヒトTNF遺伝子を構成するブロックのDNA
断片を含むプラスミドとして、好ましくはpTNF1BR,pTNF
2NまたはpTNF3が用いられる。
上記のようにしてクローン化したヒトTNF遺伝子を構
成する各ブロックのDNA断片を連結した後、適当なプロ
モーター,SD(シャイン・ダルガーノ)配列の下流につ
なぐことにより、発現型遺伝子とすることができる。使
用可能なプロモーターとして、トリプトファン・オペロ
ン・プロモーター(trpプロモーター),ラクトース・
オペロン・プロモーター(lacプロモーター),tacプロ
モーター,PLプロモーター,lppプロモーター等があげら
れるが、とりわけtrpプロモーターが好適である。trpプ
ロモーターを有するプラスミドとして、好ましくはpYS3
1N、又はpAA41が用いられる。さらに、発現効率向上を
目的として、ヒトTNF遺伝子下流に大腸菌で効率良く機
能するターミネーターを付与することができる。このよ
うなターミネーターとして、lppターミネーター,trpタ
ーミネーター等があげられるが、とりわけtrpAターミネ
ーターが好適であり、trpAターミネーターを有するプラ
スミドとして、好ましくはpAA41が用いられる。この発
現型ヒトTNF遺伝子を、たとえばpBR322由来のベクター
にクローン化することにより、発現型プラスミドが作成
できる。ヒトTNF遺伝子発現型プラスミドとして、好ま
しくはpTNF401NN又はpTNF401Aが用いられる。
(B) 新規抗腫瘍活性ポリペプチド遺伝子のクローン
化; こうして得られたヒトTNF遺伝子発現型プラスミドを
適当な制限酵素で切断し、ヒトTNF遺伝子内の特定な領
域を除去した後、適当な塩基配列を有する合成オリゴヌ
クレオチドを用いた遺伝子の修復を行なう。かかる手法
を用いることにより、ヒトTNF蛋白質中の任意のアミノ
酸を他のアミノ酸に置換したり、付加したり、または欠
失させた形の新規抗腫瘍活性ポリペプチドをコードする
遺伝子を含む発現型プラスミドの作成が可能になる。こ
のような新規抗腫瘍活性ポリペプチド遺伝子発現型プラ
スミドとして、好ましくはpILTNF1が用いられる。
(C) 発現確認及び活性評価; ヒトTNF遺伝子及び新規抗腫瘍活性ポリペプチド遺伝
子を発現させるための微生物宿主としては、大腸菌,枯
草菌,酵母等があげられるが、とりわけ大腸菌[エシェ
リヒア・コリ(Escherichia coli)]が好ましい。前記
ヒトTNF遺伝子発現型プラスミド及び新規抗腫瘍活性ポ
リペプチド遺伝子発現型プラスミドは、たとえば公知の
方法[M.V.Norgardら,Gene,3,279(1978)]を用いて、
微生物宿主、たとえばエシェリヒア・コリC600r−m−
株(ATCC33525)に導入することができる。
このようにして得られた組換え微生物細胞を、それ自
体は公知の方法で培養する。培地としては、たとえばグ
ルコースとカザミノ酸を含むM9培地[T.Maniatisら編,
“Molecular Cloning",P440,Cold Spring Harbor Labor
atory,New York(1982)参照]があげられ、必要に応じ
て、たとえばアンピシリン等を添加するのが望ましい。
培養は目的の組換え微生物に適した条件、たとえば振と
うによる通気,撹拌を加えながら、37℃で2〜36時間行
なう。また、培養開始時または培養中に、プロモーター
を効率良く機能させる目的で、3−β−インドールアク
リル酸等の薬剤を加えることもできる。
培養後、たとえば遠心分離により組換え微生物細胞を
集め、たとえばリン酸バッアァーに懸濁させ、たとえば
超音波処理により組換え微生物細胞を破砕し、遠心分離
により組換え微生物細胞のライゼートを得る。得られた
ライゼート中の蛋白質を、ラウリル硫酸ナトリウム(以
下、SDSと略すこともある)を含むポリアクリルアミド
ゲルを用いた電気泳動によって分離し、ゲル中の蛋白質
を適当な方法を用いて染色する。発現型プラスミドを含
まない微生物細胞のライゼートを対照として泳動パター
ンを比較することにより、ヒトTNF遺伝子または新規抗
腫瘍活性ポリペプチド遺伝子の発現を確認する。
このようにして得られたヒトTNF蛋白質及び新規抗腫
瘍活性ポリペプチドの活性の評価は、マウスに移植した
Meth A肉腫を壊死させる効果を見るin vivo活性測定法
(Carswellら,前出),マウスL細胞に対する細胞障害
性を見るin vitro活性測定法[Ruff,J.Immunol.,126,23
5(1981)]等により行える。ヒトTNF蛋白質及び新規抗
腫瘍活性ポリペプチドの大腸菌ライゼートからの分離・
精製は、公知の通常知られている蛋白質の分離・精製法
に従えばよいが、ヒトTNF蛋白質等に対する抗体を用い
たアフィニティー・カラム・クロマトグラフィーが有利
である。なかでも、ヒトTNF蛋白質等に対するマウス・
モノクローナル抗体を用いたアフィニティー・カラム・
クロマトグラフィーがとりわけ好適である。こうして得
られたヒトTNF蛋白質及び新規抗腫瘍活性ポリペプチド
精製品を用いることにより、in vivo抗癌活性(前出)
に関する検討が可能となる。
かくして本発明によれば、従来公知のヒトTNF蛋白質
とは異なる新規生理活性ポリペプチドを得ることが可能
になり、この新規抗腫瘍活性ポリペプチドを用いること
によって抗腫瘍のためのすぐれた医薬組成物を提供する
ことが可能になった。
以下、実施例を掲げて本発明について詳細に説明する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1(ヒトTNF遺伝子の設計) 第1図に示した塩基配列のヒトTNF遺伝子を設計し
た、設計に際しては、Pennicaら[D.Pennicaら,Nature,
312,724(1984)]の報告したヒトTNF前駆体cDNAの構造
遺伝子部分の塩基配列を基盤として、適当な制限酵素に
よる切断部位を適当な位置に設け、5′側に翻訳開始コ
ドン(ATG)を、そして3′側に2個の翻訳終止コドン
(TGA及びTAA)をそれぞれ付与した。また、5′側翻訳
開始コドン上流には制限酵素ClaIによる切断部位を設
け、SD配列と翻訳開始コドン間を適切な状態に保った形
でのプロモーターとの連結を可能にした。更に、3′側
翻訳終止コドン下流には制限酵素HindIIIによる切断部
位を設け、ベクター・プラスミドと容易に連結できるよ
うにした。
実施例2(オリゴヌクレオチドの化学合成) 実施例1で設計したヒトTNF遺伝子は、第2図に示し
たように17本のオリゴヌクレオチドに分けて合成する。
オリゴヌクレオチドの合成は全自動DNA合成機(アプラ
イド・バイオシステムズ,モデル 380A)を用いて、ホ
スファイト法により行なった。合成オリゴヌクレオチド
の精製は、アプライド・バイオシステムズ社のマニュア
ルに準じて行なった。すなわち、合成オリゴヌクレオチ
ドを含むアンモニア水溶液を55℃で一晩保つことによ
り、DNA塩基の保護基をはずし、セファデックスG−50
ファイン・ゲル(ファルマシア)を用いたゲル濾過によ
って、高分子量の合成オリゴヌクレオチド画分を分取す
る。ついで、7M尿素を含むポリアクリルアミドゲル電気
泳動(ゲル濃度20%)の後、紫外線シャドウイング法に
より泳動パターンの観察を行なう。目的とする大きさの
バンド部分を切出して、そのポリアクリルアミドゲル断
片を細かく破砕した後、2〜5mlの溶出用バッファー[5
00mM NH4OAc-1mM EDTA-0.1%SDS(pH7.5)]を加え、37
℃で一晩振とうした。遠心分離により、目的のDNAを含
む水相の回収を行なった。最後に合成オリゴヌクレオチ
ドを含む溶液をゲル濾過カラム(セファデックスG−5
0)にかけることにより、合成オリゴヌクレオチドの精
製品を得た。なお、必要に応じて、ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動を繰り返し、合成オリゴヌクレオチドの純
度の向上をはかった。
実施例3(化学合成ヒトTNF遺伝子のクローン化) 実施例2で作成した17本の合成オリゴヌクレオチド
(TNF−1〜TNF-17)を用いて、ヒトTNF遺伝子の3つの
ブロックに分けてクローン化した。
0.1〜1.0μgの合成オリゴヌクレオチドTNF−2〜TNF
−6の5′末端側を、5〜15ユニットのT4−ポリヌクレ
オチドキナーゼ(E.coliBタイプ,宝酒造)を用いて、
それぞれ別々にリン酸化する。リン酸化反応は10〜20μ
lの50mM Tris-HCl(pH9.5),10mM MgCl2,5mMジチオス
レイトール,10mM ATP水溶液中で、37℃,30分間行なっ
た。反応終了後、すべての合成オリゴヌクレオチド水溶
液をすべて混合し、フェノール抽出,エーテル抽出によ
りT4−ポリヌクレオチドキナーゼを失活,除去する。こ
の合成オリゴヌクレオチド混合液に、新たに0.1〜1.0μ
gの合成オリゴヌクレオチドTNF−1及びTNF−7を加
え、90℃で5分間加熱した後室温まで徐冷して、アニー
リングを行なう。次に、これを減圧乾固した後に、30μ
lの66mM Tris−HCl(pH7.6),6.6mM MgCl2,10mMジチオ
スレイトール,1mM ATP水溶液に溶解させ、300ユニット
のT4−DNAリガーゼ(宝酒造)を加えて、11℃で15時間
連結反応を行なった。反応終了後、ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動(ゲル濃度5%)を行ない、エチジウムブ
ロマイド染色法により泳動パターンの観察を行なう。目
的とする大きさ(約220bp)のバンド部分を切出して、
実施例2の方法に従ってポリアクリルアミドゲルよりDN
Aを回収する。
一方、3μgの大腸菌用プラスミドpBR322(約4.4Kb
p)を30μlの10mM Tris−HCl(pH7.5),60mM NaCl,7mM
MgCl2水溶液に溶解させ、10ユニットの制限酵素ClaI
(ニューイングランド・バイオラブズ)を添加して、37
℃で1時間切断反応を行なった。制限酵素ClaIによる切
断の後、フェノール抽出,エーテル抽出を行ない、エタ
ノール沈澱によりDNAを回収する。このDNAを30μlの50
mM Tris-HCl(pH7.4),100mM NaCl,10mM MgSO4水溶液に
溶解させ、10ユニットの制限酵素SalI(宝酒造)を添加
して、37℃で1時間切断反応を行なった。反応終了後、
アガロースゲル電気泳動(ゲル濃度0.8%)を行ない、
エチジウムブロマイド染色法により切断パターンの観察
を行なう。プラスミドpBR322の大部分を含む約3.7Kbpの
DNAの部分に相当するバンドを切出し、そのアガロース
ゲル断片を3倍量(vol/wt)の8M NaClO4水溶液に溶解
させた。Chenらのグラスフィルター法[C.W.Chenら,Ana
l.Biochem.101,339(1980)]により、約3.7KbpのDNA断
片(ClaISalI)をアガロースゲルより回収した。
先に得られたヒトTNF遺伝子の一部を含む約220bpのDN
A断片について、前記の方法に準じて末端のリン酸化反
応を行なった後,プラスミドpBR322の大部分を含む約3.
7KbpのDNA水溶液と混合する。エタノール沈澱の後、前
記の方法に準じて両DNA断片の連結反応を行なった。
エシェリヒア・コリC600r−m−株の形質転換は、通
常のCaCl2法(M.V.Norgardらの方法)の改良後で行なっ
た。すなわち、5mlのL培地(1%トリプトン,0.5%酵
母エキス,0.5%NaCl,pH7.2)にエシェリヒア・コリC600
r−m−株の18時間培養基を接種し、菌体を含む培養液
の600nmにおける濁度(OD600)が0.3に達するまで生育
させる。菌体を冷したマグネシウム・バッファー[0.1M
NaCl,5mM MgCl2,5mM Tris-HCl(pH7.6,0℃)]中で2
回洗い、2mlの冷たいカルシウム・バッファー[100mM C
aCl2,250mM KCl,5mM MgCl2,5mM Tris-HCl(pH7.6,0
℃)]中に再懸濁させ、0℃で25分間放置する。次に菌
体をこの容量の1/10にカルシウム・バッファーの中で濃
縮し、連結後のDNA水溶液と2:1(vol.:vol.)混合す
る。この混合物を60分間,0℃で保った後、1mlのLBG培地
(1%トリプトン,0.5%酵母エキス,1%NaCl,0.08%グ
ルコース,pH7.2)を添加し、37℃で1時間振とう培養す
る。培養液を、選択培地[アンピシリン(シグマ)30μ
g/mlを含むL培地プレート]に100μl/プレートの割合
で接種する。プレートを37℃で1晩培養して、形質転換
株を生育させる。得られたアンピシリン耐性のコロニー
より、公知の方法を用いてDNAを調製し、アガロースゲ
ル電気泳動により、目的のプラスミドpTNF1BR(約4.0Kb
p)の取得を確認した。第3図に、プラスミドpTNF1BRの
作成方法を示す。
以上と同様な手法により、合成オリゴヌクレオチドTN
F−8〜TNF-13を用いてプラスミドpTNF2N(約3.1Kbp)
を、合成オリゴヌクレオチドTNF-14〜TNF-17を用いてプ
ラスミドpTNF3(約2.4Kbp)を、それぞれ作成した。第
4図及び第5図に、プラスミドpTNF2N及びpTNF3の作成
方法を、それぞれ示す。こうして得られたヒトTNF遺伝
子の一部を含むプラスミドpTNF1BR,pRNF2N及びpTNF3
の、合成オリゴヌクレオチド使用部分の塩基配列が設計
通りであることは、マキサム・ギルバート法[A.M.Maxa
mら,Methods Enzymol.,65,499(1980)]によって確認
した。
実施例4(ヒトTNF遺伝子発現型プラスミドの作成) 実施例3で得られたプラスミドpTNF1BR 10μgを、実
施例3と同様にして制限酵素ClaI及びSalIで切断し、ポ
リアクリルアミドゲル電気泳動(ゲル濃度5%)の後、
実施例2の方法に準じて、ヒトTNF遺伝子の一部を含む
約220bpのDNA断片(ClaISalI)をポリアクリルアミド
ゲルより回収した。
次に、実施例3で得られたプラスミドpTNF2 10μgを
100μlの10mM Tris-HCl(pH7.5),60mM NaCl,7mM MgCl
2水溶液に溶解させ、40ユニットの制限酵素PvuII(宝酒
造)を添加し、37℃で1時間切断反応を行なった。そし
て、実施例3の方法に準じて制限酵素SalIによる切断,
ポリアクリルアミドゲル電気泳動(ゲル濃度5%)の
後、実施例2の方法に準じて、ヒトTNF遺伝子の一部を
含む約170bpのDNA断片(SalIPvuII)をポリアクリル
アミドゲルより回収した。
また、実施例3で得られたプラスミドpTNF3 10μgも
100μlの10mM Tris-HCl(pH7.5),60mM NaCl,7mM MgCl
2水溶液に溶解させ、40ユニットの制限酵素PvuII及び40
ユニットの制限酵素HindIII(宝酒造)を添加し、37℃
で1時間切断反応を行なった。そして、ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動(ゲル濃度5%)の後、実施例2の方
法に準じて、ヒトTNF遺伝子の一部を含む約110bpのDNA
断片(PvuIIHindIII)をポリアクリルアミドゲルより
回収した。
一方、大腸菌trpプロモーターを有するプラスミドpYS
31N(約4.7Kbp)5μgを、上記と同様に制限酵素ClaI
及びHindIIIで切断し、アガロースゲル電気泳動(ゲル
濃度0.8%)の後、実施例3の方法に準じて、プラスミ
ドpYS31Nの大部分を含む約4.7KbpのDNA断片(ClaIHin
dIII)をアガロースゲルより回収した。
こうして得られた、ヒトTNF遺伝子の一部を含む約220
bp,約170bp及び約110bpの3つのDNA断片とプラスミドpY
S31Nの大部分を含む約4.7KbpのDNA断片とを混合し、エ
タノール沈澱の後、実施例3の方法に準じて、T4-DNAリ
ガーゼによる連結反応を行なった。反応終了後、実施例
3の方法に準じてエシェリヒア・コリC600r−m−株に
導入し、形質転換株の中より目的のヒトTNF遺伝子発現
型プラスミドpTNF401NN(約5.2Kbp)を有するクローン
を選択した。第6図に、そのプラスミドpTNF401NNの作
成方法を示した。
また、上記プラスミドpYS31N5μgを、上記の方法に
準じて制限酵素PvuIIで部分分解した後、さらに制限酵
素HindIIIで切断し、アガロースゲル電気泳動(ゲル濃
度0.8%)の後、実施例3の方法に準じて、trpプロモー
ターを含む約2.7KbpのDNA断片[PvuII(2)HindII
I]をアガロースゲルより回収した。
次に第7図記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオチ
ドを、実施例2の方法に準じて、合成・精製した。得ら
れた2本の合成オリゴヌクレオチドそれぞれ0.5μgに
ついて、実施例3の方法に準じて、末端のリン酸化を行
ない、アニーリングの後、先に得られた約2.7KbpのDNA
断片[PvuII(2)HindIII]と混合し、エタノール沈
澱の後、実施例3の方法に準じて、T4-DNAリガーゼによ
る連結反応を行なった。反応終了後、実施例3の方法に
準じてエシェリヒア・コリC600r−m−株に導入し、形
質転換株の中より目的のプラスミドpAA41(約2.7Kbp)
を有するクローンを選択した。このようなプラスミド
は、プラスミドpYS31Nからコピー数制御領域除去し、tr
pプロモーター下流に存在するクローニング・サイトの
下流に大腸菌trpAターミネーターを付与した形の、多コ
ピー・高効率発現ベクターであり、第7図にその形成方
法を示した。
このプラスミドpAA41 2μgを、上記と同様に制限酵
素ClaI及びHindIIIで切断し、アガロースゲル電気泳動
(ゲル濃度0.8%)の後、実施例3の方法に準じて、プ
ラスミドpAA41の大部分を含む約2.7KbpのDNA断片(ClaI
HindIII)をアガロースゲルより回収した。
また、先に得られたヒトTNF遺伝子発現型プラスミドp
TNF401NN5μgを、上記と同様に制限酵素ClaI及びHindI
IIで切断し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(ゲル濃
度5%)の後、実施例2の方法に準じて、ヒトTNF遺伝
子全域を含む約490bpのDNA断片(ClaIHindIII)をポ
リアクリルアミドゲルより回収した。
こうして得られた、プラスミドpAA41の大部分を含む
約2.7KbpのDNA断片とヒトTNF遺伝子全域を含む約490bp
のDNA断片とを混合し、エタノール沈澱の後、実施例3
の方法に準じて、T4-DNAリガーゼによる連結反応を行な
った。反応終了後、実施例3の方法に準じて、エシェリ
ヒア・コリ600r−m−株に導入し、形質転換株の中より
目的のプラスミドpTNF401A(約3.2Kbp)を有するクロー
ンを選択した。このプラスミドは、ヒトTNF遺伝子をよ
り効率良く発現させる能力を有しており、第8図にその
作成方法を示した。
実施例5(新規抗腫瘍活性ポリペプチド遺伝子発現型プ
ラスミドの作成) 実施例4で得られたヒトTNF遺伝子発現型プラスミドp
TNF401A20μgを、実施例4の方法に準じて制限酵素Cla
I及びHindIIIで切断し、ポリアクリルアミドゲル電気泳
動(ゲル濃度5%)及びアガロースゲル電気泳動(ゲル
濃度0.8%)の後、それぞれ実施例2及び3の方法に準
じて、生成する2つのDNA断片(約490bp及び約2.7Kbp,
両方共ClaIHindIII)をゲルより回収した。
ここで得られたヒトTNF遺伝子全域を含む約490bpのDN
A断片を50μlの10mM Tris-HCl(pH7.5),69mM NaCl,7m
M MgCl2水溶液に溶解させ、10ユニットの制限酵素AvaI
(宝酒造)を添加して、37℃で1時間切断反応を行なっ
た。反応終了後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(ゲ
ル濃度5%)を行ない、実施例2の方法に準じて、ヒト
TNF遺伝子の大部分を含む約460bpのDNA断片(AvaIHin
dIII)をポリアクリルアミドゲルより回収した。
また、第9図記載の塩基配列を有するオリゴヌクレオ
チドを、実施例2の方法に準じて、合成,精製した。得
られた2本の合成オリゴヌクレオチドそれぞれ0.5μg
について、実施例3の方法に準じて、末端のリン酸化を
行ない、アニーリングを行なった。
反応終了後、得られた2本鎖オリゴヌクレオチドを、
先に得られた約2.7KbpのDNA断片(ClaIHindIII)及び
ヒトTNF遺伝子の大部分を含む約460bpのDNA断片(AvaI
HindIII)と混合し、エタノール沈澱の後、実施例3
の方法に準じて、T4-DNAリガーゼによる連結反応を行な
った。反応終了後、実施例3の方法に準じてエシェリヒ
ア・コリC600r−m−株に導入し、形質転換株の中より
目的のプラスミドpILTNF1(約3.2Kbp)を有するクロー
ンを選択した。このプラスミドは、次のアミノ酸配列 で表わされる新規抗腫瘍性ポリペプチドまたはそのアミ
ノ末端にMetが結合しているポリペプチドをコードする
新規抗腫瘍活性ポリペプチド遺伝子発現型プラスミドで
あり、第9図にその作成方法を示した。
実施例6(発現の確認) 前記実施例4で得られた発現ベクターpAA41,ヒトTNF
遺伝子発現型プラスミドpTNF401NN又はpTNF401A、又は
実施例5で得られた、新規抗腫瘍活性ポリペプチド遺伝
子発現型プラスミドpILTNF1を有するエシェリヒア・コ
リC600r−m−株を、30〜50μg/mlのアンピシリン,0.2
%のグルコース及び4mg/mlのカザミノ酸を含むM9培地
[0.6%Na2HPO4-0.3%K2HPO4-0.05%NaCl-0.1%NH4Cl
水溶液(pH7.4)をオートクレーブ滅菌した後に、別途
にオートクレーブ滅菌したMgSO4水溶液及びCaCl2水溶液
をそれぞれ最終濃度2mM及び0.1mMになるように加え
る。]250mlに接種し、OD600が0.7に達するまで、37℃
で振とう培養を行なった。次いで、最終濃度50μg/mlの
3−β−インドールアクリル酸を培養液中に添加し、さ
らに37℃で12時間振とう培養を続けた。遠心分離により
大腸菌菌体を集めた後、PBSバッファー(150mM NaClを
含む20mMリン酸バッファー,pH7.4)を用いて菌体の洗浄
を行なった。洗浄後の菌体を10mlのPBSバッファーに懸
濁させ、超音波発生装置(久保田,200M型)を用いて菌
体を破壊した後、遠心分離により菌体残渣の除去を行な
った。
得られた大腸菌ライゼートの一部に対して、Tris-HCl
バッファー(pH6.8),SDS,2−メルカプトエタノール,
グリセロールを、それぞれ最終濃度60mM,2%,4%,10%
になるように加え、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気
泳動[鈴木,遺伝,31,43(1977)]を行なった。分離
用ゲルは15%とし、泳動バッアァーはSDS,Tris−グリシ
ン系[U.K.Laemmli,Nature,227,680(1970)]を用い
た。電気泳動終了後、ゲル中の蛋白質をクーマシーブル
ーR−250(バイオ・ラッド)で染色し、ヒトTNF遺伝子
及び新規抗腫瘍活性ポリペプチド遺伝子の発現の確認を
行なった。結果の一部を複写して、第10図に示した。
なお、染色後のゲルをクロマト・スキャーナー(島
津,CS-930型)にかけて、産生されたヒトTNF蛋白質又は
新規抗腫瘍活性ポリペプチドの大腸菌細胞質蛋白質中に
しめる割合の算出を行なった。その結果、ヒトTNF遺伝
子発現型プラスミドpTNF401Aを有する大腸菌においては
全細胞質蛋白質の約28%のヒトTNF蛋白質,新規抗腫瘍
活性ポリペプチド遺伝子発現型プラスミドpILTNF1を有
する大腸菌においては同じく約31%の新規抗腫瘍活性ポ
リペプチドの産生が、それぞれ認められた。また、ヒト
TNF遺伝子発現型プラスミドpTNF401NNを有する大腸菌に
おけるヒトTNF蛋白質の産生量は、上記pTNF401Aの場合
の約40%にすぎず、発現ベクターpAA41の有用性が示さ
れた。
実施例7(in vitro抗癌活性の評価) 新規抗腫瘍活性ポリペプチドのin vitro抗癌活性測定
は、前記Ruffの方法に準じて行なった。すなわち、実施
例6で得られたヒトTNF蛋白質又は新規抗腫瘍活性ポリ
ペプチドを含む大腸菌ライゼートを順次培地で希釈した
試料100μlと、4×105個/mlの濃度のマウスL−929繊
維芽細胞(ATCCCCL-929)懸濁液100μlを、96穴の組織
培養用マイクロプレート(コースター)内で混合した。
なおこの際に、最終濃度1μg/mlのアクチノマイシンD
(コスメゲン,萬有製薬)を添加しておく。培地として
は、5%(vol/vol)のウシ胎児血清を含むイーグルの
ミニマム・エッセンシャル培地(日水製薬)を用いた。
上記マイクロプレートを、5%炭酸ガスを含む空気中,3
7℃で18〜20時間培養した後、クリスタル・バイオレッ
ト溶液[5%(vol/vol)タメノール水溶液に、0.5%
(wt/vol)のクリスタル・バイオレットを溶解させたも
の]を用いて生細胞を染色した。余分なクリスタル・バ
イオレットを洗い流し乾燥した後、残ったクリスタル・
バイオレットを100μlの0.5%SDS水溶液で抽出し、そ
の595nmにおける吸光度をELISAアナライザー(東洋測
器,ETY-96型)で測定する。この吸光度は、生き残った
細胞数に比例する。そこで、ヒトTNF蛋白質又は新規抗
腫瘍活性ポリペプチドを含む大腸菌ライゼートの希釈溶
液を加えない対照の吸光度の50%の値に相当する大腸菌
ライゼートの希釈倍率をグラフ(たとえば第11図)によ
って求め、その希釈倍率をユニットと定義する。第11図
より、発現型プラスミドpTNF401AにコードされるヒトTN
F蛋白質を含む大腸菌ライゼート100μlは4.9×105ユニ
ット程度の活性を、そして発現型プラスミドpILTNF1に
コードされる新規抗腫瘍活性ポリペプチドを含む大腸菌
ライゼート100μlは3.6×106ユニット程度の活性を、
それぞれ有していることが明らかになった。
実施例6で得られた発現型プラスミドpTNF401Aにコー
ドされるヒトTNF蛋白質又は発現型プラスミドpILTNF1に
コードされる新規抗腫瘍活性ポリペプチドを含む大腸菌
ライゼート中に含まれ総蛋白質量は、プロテイン・アッ
セイ・キット(バイオ・ラッド)を用いて定量し、ウシ
血清アルブミンを用いた検量線より計算した。上記で得
られた発現量,活性の値及び蛋白質定量結果よりヒトTN
F蛋白質及び新規抗腫瘍活性ポリペプチドの比活性を計
算したところ、表1のような値が得られた。
実施例8(ヒトTNF蛋白質及び新規抗腫瘍活性ポリペ
プチドの分離・精製) 実施例6で得られたライゼートからのヒトTNF蛋白質
の精製は、Shiraiら[T.Shiraiら,Nature,313,830(198
5)]の方法に従い、DEAE−セファロース・カラム・ク
ロマトグラフィーにより行った。本粗精製品中のヒトTN
F蛋白質含量は約30%であった。
ヒトTNF蛋白質に対するモノクローナル抗体を産生す
るマウス・ハイブリドーマは、KohlerとMilsteinの方法
[KohlerとMilstein,Nature,256,495(1975)]の方法
により取得した。すなわち、上記ヒトTNF粗精製品を用
いて雄Balb/cマウスを免疫し、該マウス脾臓細胞とマウ
ス骨髄腫細胞P3-X63-Ag8-U1細胞[D.E.Yeltonら,Curren
t Topics in Microbiology and Immunology,81,1(197
8)]とを融合させる。融合後の細胞混合物を選択培地
で培養することによりハイブリドーマ細胞のみが選択さ
れ、その培養上清中の抗体のヒトTNF粗精品との結合能
を調べることにより、ヒトTNF蛋白質に対する抗体を産
生するクローンを取得した。
ヒトTNF蛋白質に対するモノクローナル抗体を産生す
るマウス・ハイブリドーマの培養上清からのモノクロー
ナル抗体の精製は、プロテインAセファロース・カラム
・クロマトグラフィー(ファルマシア)を用いて行っ
た。得られたモノクローナル抗体精製品と、活性型アフ
ィニティー支持体アフィ・ゲル10(バイオ・ラッド)と
を、0.1mMOPSバッファー(pH7.5,半井化学薬品)中で4
℃で2時間カップリングさせて、ヒトTNF蛋白質及び新
規抗腫瘍活性ポリペプチド精製用アフィニティー・カラ
ムを作成した。
実施例6で得られた、ヒトTNF蛋白質または新規抗腫
瘍活性ポリペプチドを含むライゼートを上記アフィニテ
ィー・カラムに通し、ヒトTNF蛋白質又は新規抗腫瘍活
性ポリペプチドのみを特異的にカラムに吸着させた。カ
ラムをPBSバッアァー[20mMリン酸バッアァー(pH7.4)
140mM NaCl]及び500mM NaClを含む20mMリン酸バッアァ
ー(pH7.4)で充分洗浄した後、3M NaSCN水溶液(pH7.
4)を用いて、ヒトTNF蛋白質又は新規抗腫瘍活性ポリペ
プチドを溶出させた。溶出したヒトTNF蛋白質又は新規
抗腫瘍活性ポリペプチドを、限外濾過にて濃縮し、PBS
バッアァーに置換した後、SDS−ポリアクリルアミド・
ゲル電気泳動(分離用ゲル濃度15%)を行った。電気泳
動終了後、ゲル中の蛋白質のバンドを色素を用いて染色
したところ、分子量約15,000〜17,000の位置のみに1本
のバンドが観察され、98%以上の純度のヒトTNF蛋白質
又は新規抗腫瘍活性ポリペプチドが得られたことが確認
できた。
実施例9(新規抗腫瘍活性ポリペプチドのin vivo抗癌
活性評価) 新規抗腫瘍活性ポリペプチドのin vivo抗癌活性測定
は、前記Carswellらの方法に準じて行った。すなわち、
5×105個のMeth A肉腫細胞を50μlのRPMI1640培地
(ニッスイ)に懸濁させ、Balb/cマウス(6〜8週令,
雄,静動協)側腹部皮下に移植する。移植後、腫瘍径が
6〜10mmに達した7〜10日目に、前記実施例8で調製し
た新規生理活性ポリペプチド10μgを尾静脈より投与し
た。投与後24時間以内に、腫瘍表面に出血壊死像が観察
され、本発明の新規抗腫瘍活性ポリペプチドが、in viv
oにおいても顕著な抗癌活性を有していることが明らか
となった。出血壊死を起した担癌マウスの一例を第12図
及び参考写真(昭和63年6月13日付物件提出書によって
提出)に示した。
第12図の黒色部1(参考写真の赤黒色部に対応)は出
血壊死部分を示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は設計したヒトTNF遺伝子の塩基配列を、第2図
は化学合成した合成オリゴヌクレオチドの塩基配列を、
それぞれ示したものである。第3図,第4図及び第5図
は、ヒトTNF遺伝子の一部を有するプラスミドpTNF1BR,p
TNF2N及びpTNF3の作成方法を、それぞれ示したものであ
る。第6図はヒトTNF遺伝子発現型プラスミドpTNF401NN
の作成方法を、第7図は発現ベクターpAA41の作成方法
を、そして第8図はヒトTNF遺伝子発現型プラスミドpTN
F401Aの作成方法を、それぞれ示したものである。第9
図は新規抗腫瘍活性ポリペプチド遺伝子発現型プラスミ
ドpILTNF1の作成方法を示したものである。第10図はヒ
トTNF遺伝子及び新規抗腫瘍活性ポリペプチド遺伝子の
発現確認結果を認定したゲル電気泳動の写真を示したも
のである。第11図はヒトTNF蛋白質及び新規抗腫瘍活性
ポリペプチドのin vitro抗癌活性測定結果を示したもの
である。第12図は新規抗腫瘍活性ポリペプチドのin viv
o抗癌活性検討結果を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/09 //(C12P 21/02 C12R 1:19)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次のアミノ酸配列 で表わされる、新規生理活性ポリペプチド。
  2. 【請求項2】アミノ末端にMetが結合していることを特
    徴とする第1項記載の新規生理活性ポリペプチド。
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