JPH08173035A - 安定化トコフェロール含有油脂組成物 - Google Patents

安定化トコフェロール含有油脂組成物

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JPH08173035A
JPH08173035A JP6336451A JP33645194A JPH08173035A JP H08173035 A JPH08173035 A JP H08173035A JP 6336451 A JP6336451 A JP 6336451A JP 33645194 A JP33645194 A JP 33645194A JP H08173035 A JPH08173035 A JP H08173035A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炒める、揚げるなどの通常行なわれる加熱調
理によっても、ビタミンE、特に生理活性の高いα−及
びβ−トコフェロールの分解消失が少なくなるように安
定化されたトコフェロール含有油脂組成物を提供する。 【構成】 食用油脂中に、全油脂組成物量に対して合計
で0.005〜2重量%のα−及びβ−トコフェロー
ル、0.01〜10重量%のリン脂質、および5〜60
重量%のジグリセリドが含有されてなる安定化トコフェ
ロール含有油脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安定化トコフェロール
含有油脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、生
理活性が高いα−,β−トコフェロールを高い含有量で
含み、かつ含まれているα−,β−トコフェロールが加
熱調理による分解消失に対して高い抵抗性を示す安定化
トコフェロール含有油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ビタミンEは、従来から食用油、バタ
ー、マーガリンなどの油脂を始め、これらの加工食品
(例えば、揚げ物、即席麺、魚肉練り製品などの水産加
工品、ハム・ソーセージなどの畜産加工品)などに酸化
防止剤として良く利用されている。またビタミンEは、
生体内の生理活性を高めるために不可欠な栄養素として
だけでなく、近年では加齢による脂質の代謝異常の改
善、血栓症の防止、あるいは体内での過酸化脂質の生成
の抑制による成人病の予防や治療に対してもその有効性
が見出されている。ビタミンEには、トコフェロール類
とトコトリエノール類が含まれるが、このうち酸化防止
にはγ−、及びδ−トコフェロールが、また生理活性に
ついてα−及びβ−トコフェロールが特に有効であると
されている。
【0003】ところで、サラダ等のドレッシング用の油
脂、あるいは天ぷらなどの揚げ物や野菜炒めなどの炒め
物などを行う際の調理用の油脂などの食用油脂には、ビ
タミンEが天然成分として含まれている。しかし通常こ
れらの油脂においては、原油から精製する工程でかなり
の量のビタミンEは消失し、例えば、トコフェロール類
では通常原料中のビタミンEの20〜50%の量が消失
するといわれている。従って、上記のように生理活性に
必要な栄養素としてのビタミンE、すなわち、α−及び
β−トコフェロールをより多く、かつ有効に体内に摂取
するには、上記のような食用油脂にビタミンEを添加し
て用いることが、上記の精製工程での消失分を補う意味
からも、また脂溶性のビタミンEを効率良く体内に摂取
するためにも好ましい。
【0004】しかしながら、加熱調理用の油脂にビタミ
ンEを添加して用いた場合には、加熱(通常150℃〜
350℃で加熱調理)により、油脂の劣化と共にビタミ
ンEの相当量が分解消失する(特に生理活性が高いα−
トコフェロールの消失が大きい)。このため、予め添加
した量のビタミンE、特にα−,β−トコフェロールが
充分に摂取できないとの問題がある。なお、加熱調理に
よる消失分を考慮して多量のビタミンEの添加をするこ
とも考えられる、このようにすると調理用油脂としては
コスト高となり、実用上好ましくない。従って、加熱調
理によるビタミンEの分解消失、特にα−,β−トコフ
ェロールの分解消失に対して有効な対策が必要である
が、これまでにはα−,β−トコフェロールの分解消失
を効果的に防止するような手段は、見出されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、炒める、揚げるなどの通常行なわれる加熱調理によ
っても、ビタミンE、特に生理活性の高いα−及びβ−
トコフェロールの分解消失が少なくなるように安定化さ
れたトコフェロール含有油脂組成物を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の課題
に対して、食用油脂中に特定量のリン脂質とジグリセリ
ドを存在させることで、高温加熱に対してもα−,β−
トコフェロールの消失が抑制され、安定化させることが
できることを見出し、本発明に到達したものである。
【0007】本発明は、食用油脂中に、全油脂組成物量
に対して合計で0.005〜2重量%のα−及びβ−ト
コフェロール、0.01〜10重量%のリン脂質、及び
5〜60重量%のジグリセリドが含有されてなる安定化
トコフェロール含有油脂組成物にある。
【0008】本発明は、以下の態様であることが好まし
い。 (1)α−及びβ−トコフェロールが合計量で、食用油
脂中に、全油脂組成物量に対して0.01〜1.0重量
%(更に好ましくは0.01〜0.5重量%)含有され
ている。 (2)α−及びβ−トコフェロールがビタミンEとして
添加されている。
【0009】(3)用いるリン脂質が、下記式:
【0010】
【化3】
【0011】(式中、A1 は水素原子、または炭素数8
〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族アシル基を表し、
1 は炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族ア
シル基を表し、X1 は、イノシトール残基、グリセロー
ル残基、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子及び
3価の金属原子からなる群より選ばれるものであり、X
2 は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属
原子及び3価の金属原子からなる群より選ばれるもので
ある)で表わされる窒素原子を持たないリン脂質と、下
記式:
【0012】
【化4】
【0013】(式中、A2 は水素原子、または炭素数8
〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族アシル基を表し、
2 は炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族ア
シル基を表し、X3 は、コリン残基、エタノールアミン
残基、セリン残基、及びアンモニウム基からなる群より
選ばれるものであり、X4 は、水素原子、アルカリ金属
原子、アルカリ土類金属原子、3価の金属原子及びアン
モニウム基からなる群より選ばれるものである)で表わ
される窒素原子を持つリン脂質とを、窒素原子を持たな
いリン脂質1重量部に対して、窒素原子を持つリン脂質
を0.001〜1重量部の割合で含むリン脂質混合物で
ある。
【0014】(4)用いるジグリセリドが、不飽和脂肪
酸残基を、構成脂肪酸残基中に60重量%以上(更に好
ましくは70重量%以上、特に80重量%以上)含むも
のである。 (5)リン脂質が、食用油脂中に、全油脂組成物量に対
して、0.1〜7重量%(更に好ましくは0.1〜5重
量%)含有されている。 (6)用いるジグリセリドが、ジグリセリドを30重量
%以上(更に好ましくは50重量%以上)含むグリセリ
ド混合物である。 (7)ジグリセリドが、食用油脂中に、全油脂組成物量
に対して、5〜50重量%(更に好ましくは5〜30重
量%)含有されている。 (8)ジグリセリドが、上記リン脂質に対して重量で
0.5〜500倍量(更に好ましくは1〜200倍量)
で含有されている。
【0015】以下に、本発明の油脂組成物について説明
する。本発明の油脂組成物に含有されるα−及びβ−ト
コフェロールとしては、天然の抽出ビタミンE、化学合
成により得られたdl体を含むビタミンE、あるいは半
合成のビタミンE(天然の抽出ビタミンEを原料にメチ
レーションを行いトコフェロールの成分組成を調整した
ビタミンE)などα−及びβ−トコフェロールを含むも
のであればいずれのビタミンEを使用することもでき
る。本発明においては、α−及びβ−トコフェロールの
含量の高いビタミンEを使用することが有利であり、具
体的には、α−及びβ−トコフェノロールが、ビタミン
E中に5重量%以上(更に好ましくは、10重量%以
上、特に、40重量%以上)含まれるものであることが
好ましい。なお、本発明では、各トコフェロールの含有
量が調整された市販のビタミンEを使用することができ
る。
【0016】本発明の油脂組成物中へのビタミンEの添
加量は、特に制限はないが、ビタミンEの種類、量、そ
してコストなどを考慮に入れて決定される。実用的な観
点から、本発明では上記ビタミンEは、α−及びβ−ト
コフェノロールの油脂組成物中での含有量が、0.00
5〜2重量%(好ましくは0.01〜1.0重量%、更
に好ましくは、0.01〜0.5重量%)となるように
添加される。なお、前述したように食用油脂中には天然
にビタミンEを含むものであるが、本発明においては、
上記α−及びβ−トコフェノロールの含有量は、天然の
ビタミンEと後に添加したビタミンEとに含まれる合計
量のα−及びβ−トコフェノロールである。
【0017】本発明の油脂組成物に含有されているリン
脂質について説明する。リン脂質は、通常ホスファチジ
ルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン
(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホス
ファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジン酸
(PA)、およびホスファチジルセリン(PS)、また
はこれらのリゾ体などのリン酸化合物からなる混合物で
あり、本発明ではこれらの通常のものを使用することが
できるが、下記の式で表される二種のリン脂質を含むリ
ン脂質混合物であることが好ましい。下記式:
【0018】
【化5】
【0019】(式中、A1 は水素原子、または炭素数8
〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族アシル基を表し、
1 は炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族ア
シル基を表し、X1 は、イノシトール残基、グリセロー
ル残基、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子及び
3価の金属原子からなる群より選ばれるものであり、X
2 は、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属
原子及び3価の金属原子からなる群より選ばれるもので
ある)で表わされる窒素原子を持たないリン脂質と、下
記式:
【0020】
【化6】
【0021】(式中、A2 は水素原子、または炭素数8
〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族アシル基を表し、
2 は炭素数8〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族ア
シル基を表し、X3 は、コリン残基、エタノールアミン
残基、セリン残基、及びアンモニウム基からなる群より
選ばれるものであり、X4 は、水素原子、アルカリ金属
原子、アルカリ土類金属原子、3価の金属原子及びアン
モニウム基からなる群より選ばれるものである)で表わ
される窒素原子を持つリン脂質とを、窒素原子を持たな
いリン脂質1重量部に対して、窒素原子を持つリン脂質
を0.001〜1重量部(好ましくは、0.005〜
0.5重量部)の割合で含むリン脂質混合物。前記の窒
素原子を持たないリン脂質の例としてはホスファチジン
酸(PA)、ホスファチジングリセロール(PG)、ホ
スファチジルイノシトール(PI)、及びこれらのリゾ
体を挙げることができる。また、窒素原子を持つリン脂
質の例としてはホスファチジルコリン(PC)、ホスフ
ァチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセ
リン(PS)、およびこれらのリゾ体を挙げることがで
きる。
【0022】リン脂質は、大豆あるいは卵黄等から得ら
れるレシチン及び/又はそれらを加水分解、水素添加、
エステル交換、溶剤分画、精製処理、酵素処理したレシ
チン等の中から選択して利用できる。特に上記のリン脂
質混合物としては、例えば大豆レシチンに代表される天
然レシチンを原料として、ホスフォリパーゼD、ホスフ
ォリパーゼA2 を触媒としてホスファチジルコリン、ホ
スファチジルエタノールアミン(窒素原子を持つリン脂
質)を選択的に分解して、これらの含有量を減少させる
と同時に、ホスファチジン酸およびリゾホスファチジン
酸(窒素原子を持つリン脂質)の含有量を増加させる方
法により得たもの、あるいはホスフォリパーゼD、ホス
フォリパーゼCを触媒として同様に天然レシチンを分解
し、ホスファチジン酸の含有量を増加させる方法により
得たもの等が好ましく用いられる。またホスフォリパー
ゼを触媒としたトランスホスファチジレーションによ
り、天然レシチン中のPC、PE、PS(窒素原子を持
つリン脂質)の含有量を減少させ、PI、PG、PA
(窒素原子を持たないリン脂質)の含有量を増大させる
方法を利用して得たものも有利に使用することができ
る。なお、モノグリセリドやジグリセリドのリン酸によ
って得られたリン酸エステルなどの合成により得たリン
脂質を使用することもできる。
【0023】リン脂質(特に上記リン脂質混合物)は、
食用油脂中に、全油脂組成物量に対して、0.01〜1
0重量%(好ましくは0.1〜7重量%、更に好ましく
は、0.1〜5重量%)の含有量となるように添加され
る。また上記リン脂質は、ビタミンE中のα−及びβ−
トコフェロール1重量部に対して0.1〜1000重量
倍量(更に好ましくは、2〜500重量倍量)を添加す
ることが好ましい。
【0024】本発明で用いるジグリセリドは、ジグリセ
リドを含むグリセリド混合物であるが、好ましくはジグ
リセリドを30重量%以上、更に好ましくは50重量%
以上含むグリセリド混合物である。グリセリド混合物中
のジグリセリド以外の成分はモノグリセリド及びトリグ
リセリドであるが、モノグリセリドはジグリセリドの2
0重量%以下であることが好ましい。
【0025】また、モノ、ジおよびトリグリセリドを構
成する脂肪酸残基は、炭素数は8〜24である脂肪酸残
基であることが好ましく、全構成脂肪酸残基中の不飽和
脂肪酸残基の含量は60重量%以上、好ましくは70重
量%以上、特に80重量%以上であることが好ましい。
ジグリセリドはジ不飽和グリセリドであることが好まし
い。
【0026】本発明に使用されるグリセリド混合物は、
不飽和脂肪酸残基のレベルの高い油脂、例えば、サフラ
ワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、菜種油、大豆
油、パーム油、ひまわり油、ごま油、更にラード、牛
脂、魚油、乳脂、あるいはそれらの分別油、ランダム化
油、硬化油、エステル交換油から選ばれた一種または二
種以上の油脂と、グリセリンとの混合物を、アルカリ金
属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物の存在下でエ
ステル交換反応させるか、またはこれらの油脂由来の不
飽和脂肪酸レベルの高い脂肪酸とグリセリンとをエステ
ル化反応して得られるジグリセリド含量の高い油脂を、
単独でもしくは上述した原料油脂とを混合することによ
り得ることができる。反応で生成した過剰のモノグリセ
リドは分子蒸留法またはクロマトグラフィー法により除
去することができる。これらの反応はアルカリ触媒等を
用いた化学反応でも行なうことが可能であるが、1,3
位選択的リパーゼ等を用いて酵素的に穏和な条件で反応
を行なうのが風味等の点で優れており好ましい。グリセ
リド混合物中のジグリセリド含有量を高くする別の方法
として、例えば、天然食用油脂の分別油の利用が挙げら
れる。
【0027】上記ジグリセリドは、食用油脂中に、全油
脂組成物量に対して、5〜60重量%(好ましくは5〜
50重量%、更に好ましくは5〜30重量%)の含有量
となるように添加される。また上記ジグリセリドは、ビ
タミンE中のα−及びβ−トコフェロール1重量部に対
して1〜5000重量倍量(更に好ましくは、10〜2
000重量倍量)を添加することが好ましい。更に、上
記ジグリセリドは、上記リン脂質1重量部にこして0.
5〜500重量倍量(更に好ましくは1〜200重量倍
量)を添加することが好ましい。
【0028】本発明で使用できる食用油脂には、特に制
限はなく、通常の加熱調理用として使用できるものでよ
い。これらの例としては、サフラワー油、オリーブ油、
綿実油、菜種油、コーン油、大豆油、ごま油及びパーム
油等の植物油脂、ラード、牛脂、魚油、及びバター脂等
の動物油脂、あるいはこれらの硬化油、分別油、ランダ
ムエステル交換油を挙げることができる。これらは二種
以上を混合して使用できる。なお、上記油脂には天然の
成分としてジグリセリドを含むものもある。この含量は
油脂の種類によっても異なるが、通常は少量であり、大
部分のものは5重量%未満である。
【0029】なお、本発明の油脂組成物には、加熱調理
用の油脂として用いる際のこげつき防止や油ハネ防止、
あるいはドレッシング、マヨネーズ用等の油脂として用
いる際の乳化力を増大させる目的で乳化剤が含まれてい
てもよい。これらの乳化剤の例としては、ショ糖脂肪酸
エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリ
セリド、及びボリグリセリン脂肪酸エステルを挙げるこ
とができる。また所望により、本発明の油脂組成物に
は、抗酸化剤、風味付与剤(フレーバー)、トコフェロ
ール以外の栄養強化剤、減粘剤等の各種の添加剤を含有
させることもできる。
【0030】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を記載し、本発明
を更に具体的に説明する。なお、下記の「%」は、「重
量%」を、「部」は、「重量部」をそれぞれ表わす。
【0031】[実施例1〜3] (リン脂質A、B及びCの調製)大豆レシチンをカラム
分画して得たホスファチジルコリン、及びホスファチジ
ルエタノールアミンの混合物をホスフォリパーゼDを触
媒として分解し、下記の表のようなリン脂質混合物を調
製した。なお、下記表1において、「PC」はホスファ
チジルコリン、「PE」はホスファチジルエタノールア
ミン、「PA」はホスファチジン酸、「LPA」はリゾ
ホスファチジン酸をそれぞれ表わす。
【0032】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── リン脂質混合物の組成 リン脂質A リン脂質B リン脂質C ──────────────────────────────────── PC (%) 0.3 5.2 15.4 PE (%) 0.5 3.8 12.1 PA+LPA (%) 99.2 91.0 72.6 ──────────────────────────────────── PC+PE/PA+LPA 0.0081 0.10 0.38 ────────────────────────────────────
【0033】上記の表において、「PC」、「PE」及
び「PA+LPA」の含量は、油化学、35(12)、
P1018〜1024、’86に記載の方法に準じ、P
C、PE、PA、及びLPAの分子量を、それぞれ77
3、728、704、そして444として求めた。
【0034】(ジグリセリドA、B及びCの調製)固定
化1,3−位選択的リパーセである市販リパーゼ製剤
(商品名:Lipozyme3A 、ノボインダストリーA.S.
製)を触媒として、下記の表2に記載の植物油由来の脂
肪酸860g及びグリセリン140gを40℃で反応さ
せた。リパーゼ製剤を濾別した後、最終生成物を分子蒸
留にかけ、常法により生成を行って、表2に示すような
ジグリセリドを得た。なおグリセリド組成(%)は、ガ
スクロマトグラフィーによる分析値である。
【0035】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── ジグリセリド A B C グリセリド組成(%)(ナタネ油由来)(コーン油由来)(大豆油由来) ──────────────────────────────────── トリグリセリド 18 15 63 ジグリセリド 80 70 35 モノグリセリド 2 15 2 ──────────────────────────────────── 不飽和脂肪酸の含量(%) 91.1 85.1 85.9 ────────────────────────────────────
【0036】上記のようにして得られたリン脂質、ジグ
リセリド、及び下記のビタミンEを食用油脂に添加して
下記の表3に示すような本発明に従う油脂組成物(実施
例1〜3)を調製した。 ビタミンE:(商品名)Eオイル805、理研ビタミン
(株)製 80%以上のビタミンEを含み、そのうちのα−トコフ
ェロールとβ−トコフェロールの合計の含有量[(α+
β)トコフェロールの含有量]:43% なお、上記ビタミンE中の(α+β)トコフェロールの
含有量は、基準油脂分析試験法(日本油化学協会編)の
蛍光検出器−高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)
に準じた分析による分析値である。
【0037】[比較例1〜5]上記実施例1〜3におい
て、リン脂質、ジグリセリド、及びビタミンEの添加量
を下記の表3に示すように変えた以外は、同様にして比
較用の油脂組成物(比較例1〜5)を調製した。なお、
比較例2において、抗酸化剤とし茶抽出物(サンカトー
ルNo.1、太陽化学(株)製)を添加した。
【0038】[油脂組成物としての評価]上記実施例1
〜3及び比較例1〜5で得た油脂組成物を用いて下記の
調理方法で野菜炒めを行い、調理後の油脂組成物中のビ
タミンEの残存率を算出した。 (調理方法)直径25cmの鉄製のフライパンに油脂組
成物を15gを敷き、キャベツ200g、ピーンマン5
0g、及びモヤシ50gを市販のプロパンガスコンロに
よる加熱で約4分間炒めた。仕上げに食塩1.5gを加
え、野菜炒めを作った。なお、検出用のサンプルとして
の油脂は、でき上がった野菜炒めの表面に付着している
油脂を溶剤を用いて回収することで得た。またトコフェ
ロールの含有量の分析は、前記と同様な方法で行った。
結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】上記表3に示された結果から、ジグリセリ
ド、及びリン脂質を添加してなる本発明に従う油脂組成
物(実施例1〜3)では、野菜炒めを行った後であって
も油脂中の(α+β)トコフェロール(α−トコフェロ
ールとβ−トコフェロールの合計量)の残存率が高く、
(α+β)トコフェロールの消失がわずかであることが
わかる。一方、ジグリセリド、リン脂質のいずれも添加
しない場合(比較例1〜3)、あるいはいずれか一方の
みを添加した場合(比較例4、5)では、(α+β)ト
コフェロールの残存率が低く、(α+β)トコフェロー
ルの消失が大きいことがわかる。また比較例2の結果に
示されているように、茶抽出物を添加した場合でも加熱
調理による(α+β)トコフェロールの消失を防止でき
ない。
【0041】[実施例4〜6]前記実施例と同様にして
下記の表4に示すような本発明に従う油脂組成物(実施
例4〜6)を調製した。なお、リン脂質、ジグリセリ
ド、及びビタミンEは前記実施例と同じものを使用し
た。またビタミンE中の(α+β)トコフェロールも上
記と同様な方法で測定した。
【0042】[比較例6〜9]上記実施例4〜6におい
て、リン脂質、ジグリセリド、及びビタミンEの添加量
を下記の表4に示すように変えた以外は、同様にして比
較用の油脂組成物(比較例6〜9)を調製した。なお、
比較例7において、抗酸化剤とし茶抽出物(サンカトー
ルNo.1、太陽化学(株)製)を添加した。
【0043】[油脂組成物としての評価]上記実施例4
〜6及び比較例6〜9で得た油脂組成物を用いて下記の
調理方法で天ぷらを揚げ、調理後の油脂組成物中のビタ
ミンEの残存率を前記と同様な方法で算出した。 (調理方法)直径30cmの中華鍋に油脂組成物を60
0g入れ、天ぷら(エビ10尾、かぼちゃ10枚、ピー
マン10切れ、レンコン10枚)を180℃で揚げた。
そして天ぷらを揚げた後の油脂を検出用のサンプルとし
た。またトコフェロールの含有量の分析は、前記と同様
な方法で行った。結果を表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】上記表4に示された結果から、ジグリセリ
ド、及びリン脂質を添加してなる本発明に従う油脂組成
物(実施例4〜6)では、天ぷらを揚げた後においても
油脂中の(α+β)トコフェロールの残存率が高く、
(α+β)トコフェロールの消失がわずかであることが
わかる。一方、ジグリセリド、リン脂質のいずれも添加
しない場合(比較例6、7)、あるいはいずれか一方の
みを添加した場合(比較例8、9)では、(α+β)ト
コフェロールの残存率が低く、(α+β)トコフェロー
ルの消失が大きいことがわかる。また比較例7の結果に
示されているように、茶抽出物を添加した場合でも(α
+β)トコフェロールの消失を充分に防止できない。
【0046】
【発明の効果】本発明の油脂組成物にはα−及びβ−ト
コフェロールと共にリン脂質、及びジグリセリドが含有
されており、加熱調理後においても、α−及びβ−トコ
フェロールの消失が少なく、安定化されている。従って
生理活性が高いα−,β−トコフェロールを日常の食事
で容易に摂取することができるという利点がある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食用油脂中に、全油脂組成物量に対して
    合計で0.005〜2重量%のα−及びβ−トコフェロ
    ール、0.01〜10重量%のリン脂質、及び5〜60
    重量%のジグリセリドが含有されてなる安定化トコフェ
    ロール含有油脂組成物。
  2. 【請求項2】 α−及びβ−トコフェロールがビタミン
    Eとして添加されている請求項1に記載の安定化トコフ
    ェロール含有油脂組成物。
  3. 【請求項3】 リン脂質が、下記式: 【化1】 (式中、A1 は水素原子、または炭素数8〜24の飽和
    もしくは不飽和の脂肪族アシル基を表し、R1 は炭素数
    8〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族アシル基を表
    し、X1 は、イノシトール残基、グリセロール残基、ア
    ルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子及び3価の金属
    原子からなる群より選ばれるものであり、X2 は、水素
    原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子及び3
    価の金属原子からなる群より選ばれるものである)で表
    わされる窒素原子を持たないリン脂質と、下記式: 【化2】 (式中、A2 は水素原子、または炭素数8〜24の飽和
    もしくは不飽和の脂肪族アシル基を表し、R2 は炭素数
    8〜24の飽和もしくは不飽和の脂肪族アシル基を表
    し、X3 は、コリン残基、エタノールアミン残基、セリ
    ン残基、及びアンモニウム基からなる群より選ばれるも
    のであり、X4 は、水素原子、アルカリ金属原子、アル
    カリ土類金属原子、3価の金属原子及びアンモニウム基
    からなる群より選ばれるものである)で表わされる窒素
    原子を持つリン脂質とを、窒素原子を持たないリン脂質
    1重量部に対して、窒素原子を持つリン脂質を0.00
    1〜1重量部の割合で含むリン脂質混合物である請求項
    1に記載の安定化トコフェロール含有油脂組成物。
  4. 【請求項4】 ジグリセリドが、不飽和脂肪酸残基を、
    構成脂肪酸残基中に60重量%以上含むものである請求
    項1に記載の安定化トコフェロール含有油脂組成物。
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