JPH08173036A - 安定化トコフェロール含有油脂組成物 - Google Patents

安定化トコフェロール含有油脂組成物

Info

Publication number
JPH08173036A
JPH08173036A JP6336452A JP33645294A JPH08173036A JP H08173036 A JPH08173036 A JP H08173036A JP 6336452 A JP6336452 A JP 6336452A JP 33645294 A JP33645294 A JP 33645294A JP H08173036 A JPH08173036 A JP H08173036A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tocopherol
fatty acid
oil
weight
vitamin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP6336452A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3390556B2 (ja
Inventor
Tsutomu Nishide
勤 西出
Mika Tabeta
美香 多邊田
Tatsuya Tokunaga
達也 徳永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP33645294A priority Critical patent/JP3390556B2/ja
Publication of JPH08173036A publication Critical patent/JPH08173036A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3390556B2 publication Critical patent/JP3390556B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 炒める、揚げるなどの通常行なわれる加熱調
理によっても、ビタミンE、特に生理活性の高いα−及
びβ−トコフェロールの分解消失が少なくなるように安
定化されたトコフェロール含有油脂組成物を提供する。 【構成】 食用油脂中に、全油脂組成物量に対して合計
で0.005〜2重量%のα−及びβ−トコフェロー
ル、0.01〜10重量%のショ糖脂肪酸エステル、及
び5〜60重量%のジグリセリドが含有されてなる安定
化トコフェロール含有油脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安定化トコフェロール
含有油脂組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、生
理活性が高いα−,β−トコフェロールを高い含有量で
含み、かつ含まれているα−,β−トコフェロールが加
熱調理による分解消失に対して高い抵抗性を示す安定化
トコフェロール含有油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ビタミンEは、従来から食用油、バタ
ー、マーガリンなどの油脂を始め、これらの加工食品
(例えば、揚げ物、即席麺、魚肉練り製品などの水産加
工品、ハム・ソーセージなどの畜産加工品)などに酸化
防止剤として良く利用されている。またビタミンEは、
生体内の生理活性を高めるために不可欠な栄養素として
だけでなく、近年では加齢による脂質の代謝異常の改
善、血栓症の防止、あるいは体内での過酸化脂質の生成
の抑制による成人病の予防や治療に対してもその有効性
が見出されている。ビタミンEには、トコフェロール類
とトコトリエノール類が含まれるが、このうち酸化防止
にはγ−、及びδ−トコフェロールが、また生理活性に
ついてα−及びβ−トコフェロールが特に有効であると
されている。
【0003】ところで、サラダ等のドレッシング用の油
脂、あるいは天ぷらなどの揚げ物や野菜炒めなどの炒め
物などを行う際の調理用の油脂などの食用油脂には、ビ
タミンEが天然成分として含まれている。しかし通常こ
れらの油脂においては、原油から精製する工程でかなり
の量のビタミンEは消失し、例えば、トコフェロール類
では通常原料中のビタミンEの20〜50%の量が消失
するといわれている。従って、上記のように生理活性に
必要な栄養素としてのビタミンE、すなわち、α−及び
β−トコフェロールをより多く、かつ有効に体内に摂取
するには、上記のような食用油脂にビタミンEを添加し
て用いることが、上記の精製工程での消失分を補う意味
からも、また脂溶性のビタミンEを効率良く体内に摂取
するためにも好ましい。
【0004】しかしながら、加熱調理用の油脂にビタミ
ンEを添加して用いた場合には、加熱(通常150℃〜
350℃で加熱調理)により、油脂の劣化と共にビタミ
ンEの相当量が分解消失する(特に生理活性が高いα−
トコフェロールの消失が大きい)。このため、予め添加
した量のビタミンE、特にα−,β−トコフェロールが
充分に摂取できないとの問題がある。なお、加熱調理に
よる消失分を考慮して多量のビタミンEの添加をするこ
とも考えられる、このようにすると調理用油脂としては
コスト高となり、実用上好ましくない。従って、加熱調
理によるビタミンEの分解消失、特にα−,β−トコフ
ェロールの分解消失に対して有効な対策が必要である
が、これまでにはα−,β−トコフェロールの分解消失
を効果的に防止するような手段は、見出されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、炒める、揚げるなどの通常行なわれる加熱調理によ
っても、ビタミンE、特に生理活性の高いα−及びβ−
トコフェロールの分解消失が少なくなるように安定化さ
れたトコフェロール含有油脂組成物を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の課題
に対して、食用油脂中に特定量のショ糖脂肪酸エステル
とジグリセリドを存在させることで、高温加熱に対して
もα−,β−トコフェロールの消失が抑制され、安定化
させることができることを見出し、本発明に到達したも
のである。
【0007】本発明は、食用油脂中に、全油脂組成物量
に対して合計で0.005〜2重量%のα−及びβ−ト
コフェロール、0.01〜10重量%のショ糖脂肪酸エ
ステル、及び5〜60重量%のジグリセリドが含有され
てなる安定化トコフェロール含有油脂組成物にある。
【0008】本発明は、以下の態様であることが好まし
い。 (1)α−及びβ−トコフェロールが合計量で、食用油
脂中に、全油脂組成物量に対して0.01〜1.0重量
%(更に好ましくは0.01〜0.5重量%)含有され
ている。 (2)α−及びβ−トコフェロールがビタミンEとして
添加されている。
【0009】(3)ショ糖脂肪酸エステルが下記の組成
を示すショ糖脂肪酸エステル混合物である。 [SME]<20重量% [STE]≧15重量% ([SDE]+[STE]+[STeE])/[SE]
>0.5 (ここで、[SME]、[SDE]、[STE]、そし
て[STeE]はそれぞれショ糖脂肪酸エステル混合物
中のショ糖脂肪酸モノ、ジ、トリ、そしてテトラエステ
ルの含有量を表し、[SE]はショ糖脂肪酸エステル混
合物を構成する各エステルの全量を表す。)
【0010】(4)用いるジグリセリドが、不飽和脂肪
酸残基を、構成脂肪酸残基中に60重量%以上(更に好
ましくは70重量%以上、特に80重量%以上)含むも
のである。
【0011】(5)ショ糖脂肪酸エステルが、食用油脂
中に、全油脂組成物量に対して0.05〜5重量%含有
されている。 (6)用いるジグリセリドが、ジグリセリドを30重量
%以上(更に好ましくは50重量%以上)含むグリセリ
ド混合物である。 (7)ジグリセリドが、食用油脂中に、全油脂組成物量
に対して、5〜40重量%(更に好ましくは5〜30重
量%)含有されている。 (8)ジグリセリドが、上記ショ糖脂肪酸エステルに対
して重量で1〜100倍量(更に好ましくは2〜30倍
量)で含有されている。
【0012】以下に、本発明の油脂組成物について説明
する。本発明の油脂組成物に含有されるα−及びβ−ト
コフェロールとしては、天然の抽出ビタミンE、化学合
成により得られたdl体を含むビタミンE、あるいは半
合成のビタミンE(天然の抽出ビタミンEを原料にメチ
レーションを行いトコフェロールの成分組成を調整した
ビタミンE)などα−及びβ−トコフェロールを含むも
のであればいずれのビタミンEを使用することもでき
る。本発明においては、α−及びβ−トコフェロールの
含量の高いビタミンEを使用することが有利であり、具
体的には、α−及びβ−トコフェノロールが、ビタミン
E中に5重量%以上(更に好ましくは、10重量%以
上、特に、40重量%以上)含まれるものであることが
好ましい。なお、本発明では、各トコフェロールの含有
量が調整された市販のビタミンEを使用することができ
る。
【0013】本発明の油脂組成物中へのビタミンEの添
加量は、特に制限はないが、ビタミンEの種類、量、そ
してコストなどを考慮に入れて決定される。実用的な観
点から、本発明では上記ビタミンEは、α−及びβ−ト
コフェノロールの油脂組成物中での含有量が、0.00
5〜2重量%(好ましくは0.01〜1.0重量%、更
に好ましくは、0.01〜0.5重量%)となるように
添加される。なお、前述したように食用油脂中には天然
にビタミンEを含むものであるが、本発明においては、
上記α−及びβ−トコフェノロールの含有量は、天然の
ビタミンEと後に添加したビタミンEとに含まれる合計
量のα−及びβ−トコフェノロールである。
【0014】本発明の油脂組成物に含有されているショ
糖脂肪酸エステル(以下単に、ショ糖エステル(又はS
E)と称する場合がある)について説明する。一般にシ
ョ糖脂肪酸エステル(SE)は、エステル化度(エステ
ル置換度)が1のショ糖脂肪酸モノエステル(SM
E)、エステル化度が2のショ糖脂肪酸ジエステル(S
DE)、エステル化度が3のショ糖脂肪酸トリエステル
(STE)、エステル化度が4のショ糖脂肪酸テトラエ
ステル(STeE)、そしてエステル化度が5〜8のシ
ョ糖脂肪酸ポリエステル(SPE)のショ糖脂肪酸エス
テルの混合物で構成されている。本明細書において、
[SME]、[SDE]、[STE]、[STeE]及
び[SPE]は、それぞれショ糖脂肪酸エステル混合物
中の上記成分含有量(重量%)を示し、[SE]は、こ
れらの全量(100重量%)を示す。
【0015】本発明で用いるショ糖脂肪酸エステルは、
下記の組成を示すショ糖脂肪酸エステル混合物であるこ
とが好ましい。 [SME]<20重量% [STE]≧15重量% ([SDE]+[STE]+[STeE])/[SE]
>0.5 本発明において、[SME]は1〜15重量%であるこ
とが好ましく、更に好ましくは、1〜10重量%であ
る。また[STE]は、20〜70重量%であることが
好ましく、更に好ましくは、20〜50重量%である。
更に、[SDE]+[STE]+[STeE]の総量
は、[SE]中に50〜99重量%、更に好ましくは、
70〜99重量%である。
【0016】本発明で用いるショ糖脂肪酸エステルは、
[SE]中での[SDE]と[STE]との総量は、多
いことが好ましい。このため[SDE]は[STE]と
の関係で決まるが、好ましくは、[SDE]は15〜9
0重量%、更に好ましくは20〜85重量%、特に30
〜80重量%である。また[SPE]は少ないことが好
ましい。具体的には、[SPE]は、0〜40重量%で
あることが好ましく、更に好ましくは、0〜30重量%
以下、特に0〜20重量%である。
【0017】また、本発明で用いるショ糖エステルは、
その平均エステル化度が、1.8〜4.5(更に好まし
くは、2.0〜3.0)となるように調整されているこ
とが好ましい。ここで平均エステル化度とは、以下の式
により規定される値を意味する。但し、エステル化度
が、iのショ糖エステル中における構成重量%をWi
する。
【0018】
【数1】
【0019】ショ糖エステルの構成脂肪酸残基について
は、炭素数14〜22(好ましくは、炭素数16〜2
2)の脂肪酸残基が50重量%以上(好ましくは、60
重量%以上)を占めているものであることが好ましい。
炭素数14〜22の脂肪酸残基は、飽和でも不飽和でも
良いが、飽和脂肪酸残基が5重量%以上、50重量%以
下(好ましくは、5〜30重量%の範囲)を占めている
ものであることが好ましい。また本発明においては、飽
和脂肪酸残基は、炭素数18のステアリン酸、炭素数1
6のパルミチン酸、又はこれらの混合物を主成分とする
ものであることが好ましく、不飽和脂肪酸残基は、炭素
数18のオレイン酸、リノール酸、リノレン酸又はこれ
らの混合物を主成分とするものであることが好ましい。
【0020】本発明のショ糖エステルは、既知の合成法
を利用して調製することができる。一般に行われる方法
は、ショ糖と脂肪酸メチルとのエステル化反応により生
成する方法であるが、ショ糖と脂肪酸メチルの相溶性溶
媒(通常、ジメチルホルムアミド)を用い、炭酸カリウ
ムを触媒とし、減圧下加熱反応させる方法や、ショ糖と
脂肪酸メチルを水と多量の乳化剤とを用いて、加熱し、
ミクロエマルジョンとした後、これを減圧脱水し、触媒
として炭酸カリウムを加えて反応させる方法が代表的で
ある。また炭酸カリウムを触媒として、ショ糖と油脂を
直接加熱反応させる方法も利用できる。得られた反応生
成物から過剰のショ糖や溶媒を除去後、クロロホルム−
メタノールを展開溶媒としたシリカゲルカラムにかけて
分画し、得られた各分画物を目的とする配合に再配合す
ることにより、本発明のショ糖エステルを調製すること
ができる。なお、市販品のショ糖エステルから上記の方
法にて分画し、得れらた各分画物を本発明に適合するよ
うに再配合することによっても得ることができる。更に
市販品のショ糖エステルをヘキサンに溶解後、エタノー
ルと水を添加し、エタノールと水の量比を調節すること
によって得られたものも利用することができる。
【0021】上記ショ糖脂肪酸エステルは、食用油脂中
に、全油脂組成物量に対して、0.01〜10重量%
(好ましくは0.05〜5重量%)含有されている。ま
た、上記ショ糖脂肪酸エステルは、ビタミンE中のα−
及びβ−トコフェロール1重量部に対して0.1〜10
00重量倍量(更に好ましくは、2〜500重量倍量)
を添加することが好ましい。
【0022】本発明で用いるジグリセリドは、ジグリセ
リドを含むグリセリド混合物であるが、好ましくはジグ
リセリドを30重量%以上、更に好ましくは50重量%
以上含むグリセリド混合物である。グリセリド混合物中
のジグリセリド以外の成分はモノグリセリド及びトリグ
リセリドであるが、モノグリセリドはジグリセリドの2
0重量%以下であることが好ましい。
【0023】また、モノ、ジおよびトリグリセリドを構
成する脂肪酸残基は、炭素数は8〜24である脂肪酸残
基であることが好ましく、全構成脂肪酸残基中の不飽和
脂肪酸残基の含量は60重量%以上、好ましくは70重
量%以上、特に80重量%以上であることが好ましい。
ジグリセリドはジ不飽和グリセリドであることが好まし
い。
【0024】本発明に使用されるグリセリド混合物は、
不飽和脂肪酸残基のレベルの高い油脂、例えば、サフラ
ワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、菜種油、大豆
油、パーム油、ひまわり油、ごま油、更にラード、牛
脂、魚油、乳脂、あるいはそれらの分別油、ランダム化
油、硬化油、エステル交換油から選ばれた一種または二
種以上の油脂と、グリセリンとの混合物を、アルカリ金
属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物の存在下でエ
ステル交換反応させるか、またはこれらの油脂由来の不
飽和脂肪酸レベルの高い脂肪酸とグリセリンとをエステ
ル化反応して得られるジグリセリド含量の高い油脂を、
単独でもしくは上述した原料油脂とを混合することによ
り得ることができる。反応で生成した過剰のモノグリセ
リドは分子蒸留法またはクロマトグラフィー法により除
去することができる。これらの反応はアルカリ触媒等を
用いた化学反応でも行なうことが可能であるが、1,3
位選択的リパーゼ等を用いて酵素的に穏和な条件で反応
を行なうのが風味等の点で優れており好ましい。グリセ
リド混合物中のジグリセリド含有量を高くする別の方法
として、例えば、天然食用油脂の分別油の利用が挙げら
れる。
【0025】上記ジグリセリドは、食用油脂中に、全油
脂組成物量に対して、5〜60重量%(好ましくは5〜
40重量%、更に好ましくは5〜30重量%)の含有量
となるように添加される。また上記ジグリセリドは、ビ
タミンE中のα−及びβ−トコフェロール1重量部に対
して1〜5000重量倍量(更に好ましくは、10〜2
000重量倍量)を添加することが好ましい。更に、上
記ジグリセリドは、上記ショ糖脂肪酸エステル1重量部
に対して0.5〜500重量倍量(更に好ましくは1〜
300重量倍量)を添加することが好ましい。
【0026】本発明で使用できる食用油脂には、特に制
限はなく、通常の加熱調理用として使用できるものでよ
い。これらの例としては、サフラワー油、オリーブ油、
綿実油、菜種油、コーン油、大豆油、ごま油及びパーム
油等の植物油脂、ラード、牛脂、魚油、及びバター脂等
の動物油脂、あるいはこれらの硬化油、分別油、ランダ
ムエステル交換油を挙げることができる。これらは二種
以上を混合して使用できる。なお、上記油脂には天然の
成分としてジグリセリドを含むものもある。この含量は
油脂の種類によっても異なるが、通常は少量であり、大
部分のものは5重量%未満である。
【0027】なお、本発明の油脂組成物には、加熱調理
用の油脂として用いる際のこげつき防止や油ハネ防止、
あるいはドレッシング、マヨネーズ用等の油脂として用
いる際の乳化力を増大させる目的で乳化剤が含まれてい
てもよい。これらの乳化剤の例としては、ソルビタン脂
肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、及びボリグリセ
リン脂肪酸エステルを挙げることができる。また所望に
より、本発明の油脂組成物には、抗酸化剤、風味付与剤
(フレーバー)、トコフェロール以外の栄養強化剤、減
粘剤等の各種の添加剤を含有させることもできる。
【0028】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を記載し、本発明
を更に具体的に説明する。なお、下記の「%」は、「重
量%」を、「部」は、「重量部」をそれぞれ表わす。
【0029】[実施例1〜3] (ショ糖脂肪酸エステルA〜Cの調製)上記の各ショ糖
エステルは、市販ショ糖エステル(原料脂肪酸としてオ
レイン酸が70重量%)をクロロホルム−メタノールを
展開溶媒としたシリカゲルカラムにて分画し、得られた
各分画物と、脂肪酸メチル及びショ糖より合成すること
によって得たショ糖エステルを必要に応じて再調合する
ことにより調製した。以上のようにして得た各ショ糖エ
ステル(SE)中のエステル組成等を下記の表1に示
す。なお、各ショ糖エステル(SE)中のエステル組成
は、ショ糖エステル物語(第一工業製薬(株)発行、
P.63)に記載のゲル濾過クロマトグラフィー(GP
C)法に準じた分析法に従って調べた。
【0030】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── ショ糖脂肪酸エステルの各エステル組成(重量%) 平均エス SE [SME][SDE][STE][STeE][SPE] テル化度 ──────────────────────────────────── A 1.1 40.3 30.5 25.9 2.2 2.9 B 8.5 28.9 32.4 27.5 2.7 2.9 C 2.3 82.5 15.2 0.0 0.0 2.1 ────────────────────────────────────
【0031】(ジグリセリドA、B及びCの調製)固定
化1,3−位選択的リパーセである市販リパーゼ製剤
(商品名:Lipozyme3A 、ノボインダストリーA.S.
製)を触媒として、下記の表2に記載の植物油由来の脂
肪酸860g及びグリセリン140gを40℃で反応さ
せた。リパーゼ製剤を濾別した後、最終生成物を分子蒸
留にかけ、常法により生成を行って、表2に示すような
ジグリセリドを得た。なおグリセリド組成(%)は、ガ
スクロマトグラフィーによる分析値である。
【0032】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── ジグリセリド A B C グリセリド組成(%)(ナタネ油由来)(コーン油由来)(大豆油由来) ──────────────────────────────────── トリグリセリド 18 15 63 ジグリセリド 80 70 35 モノグリセリド 2 15 2 ──────────────────────────────────── 不飽和脂肪酸の含量(%) 91.1 85.1 85.9 ────────────────────────────────────
【0033】上記のようにして得られたショ糖脂肪酸エ
ステル、ジグリセリド、及び下記のビタミンEを食用油
脂に添加して下記の表3に示すような本発明に従う油脂
組成物(実施例1〜3)を調製した。 ビタミンE:(商品名)Eオイル805、理研ビタミン
(株)製 80%以上のビタミンEを含み、そのうちのα−トコフ
ェロールとβ−トコフェロールの合計の含有量[(α+
β)トコフェロールの含有量]:43% なお、上記ビタミンE中の(α+β)トコフェロールの
含有量は、基準油脂分析試験法(日本油化学協会編)の
蛍光検出器−高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)
に準じた分析による分析値である。
【0034】[比較例1〜4]上記実施例1〜3におい
て、ショ糖脂肪酸エステル、ジグリセリド、及びビタミ
ンEの添加量を下記の表3に示すように変えた以外は、
同様にして比較用の油脂組成物(比較例1〜4)を調製
した。なお、比較例2において、抗酸化剤とし茶抽出物
(サンカトールNo.1、太陽化学(株)製)を添加し
た。
【0035】[油脂組成物としての評価]上記実施例1
〜3及び比較例1〜4で得た油脂組成物を用いて下記の
調理方法で野菜炒めを行い、調理後の油脂組成物中のビ
タミンEの残存率を算出した。 (調理方法)直径25cmの鉄製のフライパンに油脂組
成物を15gを敷き、キャベツ200g、ピーンマン5
0g、及びモヤシ50gを市販のプロパンガスコンロに
よる加熱で約4分間炒めた。仕上げに食塩1.5gを加
え、野菜炒めを作った。なお、検出用のサンプルとして
の油脂は、でき上がった野菜炒めの表面に付着している
油脂を溶剤を用いて回収することで得た。またトコフェ
ロールの含有量の分析は、前記と同様な方法で行った。
結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】上記表3に示された結果から、ジグリセリ
ド、及びショ糖脂肪酸エステルを添加してなる本発明に
従う油脂組成物(実施例1〜3)では、野菜炒めを行っ
た後であっても油脂中の(α+β)トコフェロール(α
−トコフェロールとβ−トコフェロールの合計量)の残
存率が高く、(α+β)トコフェロールの消失がわずか
であることがわかる。一方、ジグリセリド、ショ糖脂肪
酸エステルのいずれも添加しない場合(比較例1〜
2)、あるいはいずれか一方のみを添加した場合(比較
例3、4)では、(α+β)トコフェロールの残存率が
低く、(α+β)トコフェロールの消失が大きいことが
わかる。また比較例2の結果に示されているように、茶
抽出物を添加した場合でも加熱調理による(α+β)ト
コフェロールの消失を防止できない。
【0038】[実施例4〜6]前記実施例と同様にして
下記の表4に示すような本発明に従う油脂組成物(実施
例4〜6)を調製した。なお、ショ糖脂肪酸エステル、
ジグリセリド、及びビタミンEは前記実施例と同じもの
を使用した。またビタミンE中の(α+β)トコフェロ
ールも上記と同様な方法で測定した。
【0039】[比較例5〜8]上記実施例4〜6におい
て、ショ糖脂肪酸エステル、ジグリセリド、及びビタミ
ンEの添加量を下記の表4に示すように変えた以外は、
同様にして比較用の油脂組成物(比較例5〜8)を調製
した。なお、比較例6において、抗酸化剤とし茶抽出物
(サンカトールNo.1、太陽化学(株)製)を添加し
た。
【0040】[油脂組成物としての評価]上記実施例4
〜6及び比較例5〜8で得た油脂組成物を用いて下記の
調理方法で天ぷらを揚げ、調理後の油脂組成物中のビタ
ミンEの残存率を前記と同様な方法で算出した。 (調理方法)直径30cmの中華鍋に油脂組成物を60
0g入れ、天ぷら(エビ10尾、かぼちゃ10枚、ピー
マン10切れ、レンコン10枚)を180℃で揚げた。
そして天ぷらを揚げた後の油脂を検出用のサンプルとし
た。またトコフェロールの含有量の分析は、前記と同様
な方法で行った。結果を表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】上記表4に示された結果から、ジグリセリ
ド、及びショ糖脂肪酸エステルを添加してなる本発明に
従う油脂組成物(実施例4〜6)では、天ぷらを揚げた
後においても油脂中の(α+β)トコフェロールの残存
率が高く、(α+β)トコフェロールの消失がわずかで
あることがわかる。一方、ジグリセリド、ショ糖脂肪酸
エステルのいずれも添加しない場合(比較例5、6)、
あるいはいずれか一方のみを添加した場合(比較例7、
8)では、(α+β)トコフェロールの残存率が低く、
(α+β)トコフェロールの消失が大きいことがわか
る。また比較例6の結果に示されているように、茶抽出
物を添加した場合でも(α+β)トコフェロールの消失
を充分に防止できない。
【0043】
【発明の効果】本発明の油脂組成物にはα−及びβ−ト
コフェロールと共にショ糖脂肪酸エステル、及びジグリ
セリドが含有されており、加熱調理後においても、α−
及びβ−トコフェロールの消失が少なく、安定化されて
いる。従って生理活性が高いα−,β−トコフェロール
を日常の食事で容易に摂取することができるという利点
がある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食用油脂中に、全油脂組成物量に対して
    合計で0.005〜2重量%のα−及びβ−トコフェロ
    ール、0.01〜10重量%のショ糖脂肪酸エステル、
    及び5〜60重量%のジグリセリドが含有されてなる安
    定化トコフェロール含有油脂組成物。
  2. 【請求項2】 α−及びβ−トコフェロールがビタミン
    Eとして添加されている請求項1に記載の安定化トコフ
    ェロール含有油脂組成物。
  3. 【請求項3】 ショ糖脂肪酸エステルが、 [SME]<20重量% [STE]≧15重量% ([SDE]+[STE]+[STeE])/[SE]
    >0.5 (ここで、[SME]、[SDE]、[STE]、そし
    て[STeE]はそれぞれショ糖脂肪酸エステル混合物
    中のショ糖脂肪酸モノ、ジ、トリ、そしてテトラエステ
    ルの含有量を表し、[SE]はショ糖脂肪酸エステル混
    合物を構成する各エステルの全量を表す。)の組成を示
    すショ糖脂肪酸エステル混合物である請求項1に記載の
    安定化トコフェロール含有油脂組成物。
  4. 【請求項4】 ジグリセリドが、不飽和脂肪酸残基を、
    構成脂肪酸残基中に60重量%以上含むものである請求
    項1に記載の安定化トコフェロール含有油脂組成物。
JP33645294A 1994-12-22 1994-12-22 安定化トコフェロール含有油脂組成物 Expired - Fee Related JP3390556B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33645294A JP3390556B2 (ja) 1994-12-22 1994-12-22 安定化トコフェロール含有油脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33645294A JP3390556B2 (ja) 1994-12-22 1994-12-22 安定化トコフェロール含有油脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08173036A true JPH08173036A (ja) 1996-07-09
JP3390556B2 JP3390556B2 (ja) 2003-03-24

Family

ID=18299289

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33645294A Expired - Fee Related JP3390556B2 (ja) 1994-12-22 1994-12-22 安定化トコフェロール含有油脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3390556B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08173035A (ja) * 1994-12-22 1996-07-09 Kao Corp 安定化トコフェロール含有油脂組成物
JPH10127230A (ja) * 1996-10-30 1998-05-19 Kao Corp 揚げ菓子類
WO1999059424A1 (en) * 1998-03-03 1999-11-25 Kao Corporation Fried food and shortening
JP2010063420A (ja) * 2008-09-12 2010-03-25 Kao Corp 油脂組成物
JP2010106044A (ja) * 2010-02-04 2010-05-13 Mitsubishi Chemicals Corp 乳化組成物
CN111040875A (zh) * 2020-01-06 2020-04-21 武汉轻工大学 一种抗氧化剂及其制备方法和应用

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08173035A (ja) * 1994-12-22 1996-07-09 Kao Corp 安定化トコフェロール含有油脂組成物
JPH10127230A (ja) * 1996-10-30 1998-05-19 Kao Corp 揚げ菓子類
WO1999059424A1 (en) * 1998-03-03 1999-11-25 Kao Corporation Fried food and shortening
US6106879A (en) * 1998-03-03 2000-08-22 Kao Corporation Fried food and shortening
JP2010063420A (ja) * 2008-09-12 2010-03-25 Kao Corp 油脂組成物
KR20110056279A (ko) * 2008-09-12 2011-05-26 카오카부시키가이샤 유지 조성물
JP2010106044A (ja) * 2010-02-04 2010-05-13 Mitsubishi Chemicals Corp 乳化組成物
CN111040875A (zh) * 2020-01-06 2020-04-21 武汉轻工大学 一种抗氧化剂及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP3390556B2 (ja) 2003-03-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wang 2 Soybean oil
JP4905999B2 (ja) 食感改良油脂組成物
EP2721131B1 (en) Method for manufacturing refined fats and oils
EP2548941B2 (en) Production process for refined fat or oil
CZ186597A3 (cs) Margarinová tuková směs
CA2789762A1 (en) Oil compositions of stearidonic acid
US9409851B2 (en) Long chain monounsaturated fatty acid composition and method for the production thereof
JP2006137923A (ja) 油脂組成物
JP6050037B2 (ja) 油脂組成物、それを利用した食品、油脂組成物の製造方法及び食用油脂の光劣化抑制方法
KR20150052836A (ko) 유지 조성물
JP3390556B2 (ja) 安定化トコフェロール含有油脂組成物
KR101667435B1 (ko) 유지 조성물
JP3390555B2 (ja) 安定化トコフェロール含有油脂組成物
JP6246883B2 (ja) 食用油脂中での異風味の抑制方法
JP3434725B2 (ja) フライ用油脂およびフライ食品
EP2641473A1 (en) High oleic palm oil fractions
JP7034679B2 (ja) 油脂組成物
JP7034680B2 (ja) 油脂組成物
JP6746212B2 (ja) 加熱調理用油脂組成物の製造方法、加熱調理用油脂の加熱による劣化を抑制する方法、加熱調理用油脂組成物、及びトコフェロール高含有油脂組成物
JP6804253B2 (ja) 加熱調理用油脂組成物及びその製造方法、並びに加熱調理用油脂の加熱による劣化を抑制する方法
CN109418431B (zh) 油脂组合物
JP7368079B2 (ja) 加熱用油脂組成物、加熱用油脂組成物の製造方法、油脂組成物の加熱による劣化を抑制する方法
JP7359539B2 (ja) 油脂組成物、加熱調理用油脂組成物、加熱調理用油脂組成物の製造方法、並びに、油脂組成物における酸価上昇及び色調上昇の抑制方法
KR102143203B1 (ko) 반응 혼합물의 과산화물가 조정에 의하여 효소적 에스테르화의 효율을 향상시키는 방법
JP2018007572A (ja) 油脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20021210

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090117

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090117

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100117

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110117

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110117

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120117

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees