JPH08168520A - 救急絆創膏用フィルム - Google Patents

救急絆創膏用フィルム

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JPH08168520A
JPH08168520A JP6316531A JP31653194A JPH08168520A JP H08168520 A JPH08168520 A JP H08168520A JP 6316531 A JP6316531 A JP 6316531A JP 31653194 A JP31653194 A JP 31653194A JP H08168520 A JPH08168520 A JP H08168520A
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JP
Japan
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film
weight
stretching
aid
resin
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JP6316531A
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English (en)
Inventor
Hironori Tabata
博則 田畑
Hideshi Matsumoto
英志 松本
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非塩化ビニル系樹脂で、可塑剤を含まず、柔
軟で伸縮性を有し、応力緩和性に優れ、且つ、患部を強
く圧迫しない風合いのよい救急絆創膏用フィルムを提供
する。 【構成】 重量平均分子量が8万〜50万の範囲にあ
り、クロス分別法による0℃以上10℃以下、10℃超
70℃以下、70℃超95℃以下及び95℃超125℃
以下における全樹脂量に対する溶出量百分率が、各々順
に45〜80重量%、5〜35重量%、1〜30重量%
及び5〜35重量%の範囲にある組成を有するポリプロ
ピレン系樹脂からなるフィルムが延伸温度90〜150
℃、延伸倍率1.1〜10倍で少なくとも一方向以上に
延伸されており、且つ、残存ゲル重量分率が5〜70%
の範囲にあるように架橋されていることを特徴とする救
急絆創膏用フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、救急絆創膏用フィルム
に関し、更に詳しくは、柔軟で患部を強く圧迫しない風
合いのよい救急絆創膏用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、救急絆創膏は、軟質フィルム層
の一面に粘着剤を塗布し、更にその上にガーゼ等を貼着
し、その上から差し替え用の離型紙を積層した上、所定
寸法に打ち抜き、これを個包装して得られる。 この救
急絆創膏用に使用される上記軟質フィルムとしては、カ
レンダー法やゾルキャスト法により作製された可塑化ポ
リ塩化ビニルを主成分とするものが数多く使用されてき
た。
【0003】しかし、上記可塑化ポリ塩化ビニル製フィ
ルムは、多量の可塑剤を含むために、該フィルムから粘
着剤層へ可塑剤が移行し、粘着剤層の粘着力が低下した
り、フィルムと粘着剤層の間の接着力が低下し、救急絆
創膏が剥がれたり、周縁部に粘着剤が移行して汚れる等
の欠点があり、更に又、塩素を含有する高分子物質とし
て環境汚染の面から使用を制限する方向にある。
【0004】このため、上記可塑化ポリ塩化ビニルに替
わる材料として、柔軟で、且つ、伸縮性を有するポリオ
レフィン系樹脂の開発が積極的に行われているが、未だ
十分なものは得られていない。例えば、特公昭57−1
1342号公報には、エチレン−α−オレフィン共重合
体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンもしくは
ポリプロピレンの少なくとも一種以上のポリオレフィン
系樹脂組成物からなるフィルムを1.5〜3.5倍延伸
したものが開示されている。
【0005】又、特開昭62−82967号公報には、
エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジ
エン三元共重合体等の炭化水素系エラストマーとエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンからなる救
急絆創膏用フィルムが開示されている。
【0006】しかし、上記のいずれのフィルムも、救急
絆創膏用に必要な貼付時の伸縮性や応力緩和性が得られ
ず、救急絆創膏が患部を強く圧迫したり、指を曲げ伸ば
しした時の救急絆創膏の追従性が悪く救急絆創膏が剥が
れてしまう等、実際の使用には適さないものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事実
に鑑みなされたもので、その目的とするところは、非塩
化ビニル系樹脂で、可塑剤を含まず、柔軟で伸縮性を有
し、応力緩和性に優れ、且つ、患部を強く圧迫しない風
合いのよい救急絆創膏用フィルムを提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、重量平均分子
量が8万〜50万の範囲にあり、クロス分別法による0
℃以上10℃以下、10℃超70℃以下、70℃超95
℃以下及び95℃超125℃以下における全樹脂量に対
する溶出量百分率が、各々順に45〜80重量%、5〜
35重量%、1〜30重量%及び5〜35重量%の範囲
にある組成を有するポリプロピレン系樹脂からなるフィ
ルムが延伸温度90〜150℃、延伸倍率1.1〜10
倍で少なくとも一方向以上に延伸されており、且つ、残
存ゲル重量分率が5〜70%の範囲にあるように架橋さ
れていることを特徴とする救急絆創膏用フィルムをその
要旨とするものである。
【0009】本発明において使用されるポリプロピレン
系樹脂は、重量平均分子量が8万〜50万の範囲にあ
り、クロス分別法による0℃以上10℃以下、10℃超
70℃以下、70℃超95℃以下及び95℃超125℃
以下における全樹脂量に対する溶出量百分率が、各々順
に45〜80重量%、5〜35重量%、1〜30重量%
及び5〜35重量%の範囲にある組成を有するものであ
れば如何なるポリプロピレン系樹脂が使用されてもよい
が、例えば以下のような多段重合法により製造されるポ
リプロピレン系樹脂は好適に使用される。
【0010】上記多段重合法により製造されるポリプロ
ピレン系樹脂は、先ず、第一段階として、チタン化合物
触媒およびアルミニウム化合物触媒の存在下においてプ
ロピレンモノマーおよび必要に応じてプロピレン以外の
α−オレフィンモノマーを用いて重合を行い、第一のプ
ロピレン系ポリオレフィンを得る。このポリオレフィン
はプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合
体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等であり得
る。第二段階として、前記のチタン化合物触媒及びアル
ミニウム化合物触媒を含有したままで、チタン含有プロ
ピレン系ポリオレフィンと上記化合物存在下で、オレフ
ィンモノマー(例えば、エチレン、プロピレン、または
α−オレフィン)とを共重合させて、第二のポリオレフ
ィンを得る。この2段階反応により得られる第二のポリ
オレフィンは、プロピレン−エチレン共重合体、プロピ
レン−α−オレフィン共重合体、又はエチレン−α−オ
レフィン共重合体であり得る。以下同様に目的に応じて
多段階の共重合反応を行い得る。
【0011】この製造方法の特徴は、重合を一段階で終
了するのではなく、二段階以上の多段重合を行うことに
ある。このことにより、複数の種類のモノマーを続けて
重合することが可能となり、通常のポリマーブレンドと
は全く異なる、分子レベルでのブレンドタイプの共重合
体が生成される。通常、ポリマーブレンドの場合、柔軟
性と伸縮性を向上させるには、ブレンドするゴム成分の
分子量を上げるのが一つの方法である。本発明に於ける
ポリオレフィン系樹脂の場合、このゴム成分にあたるの
は上記の2段階以降の反応で生成する成分(エチレン−
α−オレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合
体)であり、この成分は分子量が高いため、溶融粘度が
高い。このゴム成分は上記の多段重合法を用いることに
より、微分散させることができる。しかし、通常の押出
機等を用いたブレンド法では、このように分子量の高い
ゴム成分を用いると、溶融粘度が高いため、本発明にお
けるポリオレフィン系樹脂のような微分散モルフォロジ
ーを有する樹脂は作成し得ない。更に、従来の反応によ
り得られるポリプロピレン系のブロック共重合体のよう
な樹脂では、共重合されるエチレン、α−オレフィン等
のブロック成分は、主成分であるプロピレン系オレフィ
ンに対してその製造プロセス上、約50重量%程度含有
させるのが限界であり、通常その含有量は30重量%ま
でである。このためポリプロピレン系樹脂において、可
塑化PVCのような柔軟性を実現するのは非常に困難で
あった。しかし上記のような方法を用いれば、前記の共
重合成分を約80〜95重量%まで含有させることが可
能となり、可塑化PVCと同様な物性を有するポリプロ
ピレン系樹脂が得られる。
【0012】このような製造方法としては例えば、特開
平4−224809号公報に記載の方法がある。この方
法ではチタン化合物としては、例えば三塩化チタンと塩
化マグネシウムとを共粉砕し、これをオルトチタン酸n
−ブチル、2−エチル−1−ヘキサノール、p−トルイ
ル酸エチル、四塩化ケイ素、フタル酸ジイソブチル等で
処理して得られる、平均粒子径15μmの球状固体チタ
ン触媒が用いられている。この方法では更に重合槽に電
子供与体としてケイ素化合物、特にジフェニルジメトキ
シシランを添加し、更にヨウ化エチルも添加している。
更に、特開平3−97747号公報にはチタン化合物と
して、塩化マグネシウムとアルコールの付加物を四塩化
チタン及び電子供与体で処理したものを用いることが記
載されている。これらの方法の他にも、例えば、特開平
4−96912号公報、同4−96907号公報、同3
−174410号公報、同2−170803号公報、同
2−170802号公報、同3−205439号公報、
同4−153203号公報及び特開昭61−42553
号公報等にこのような製造方法の記載がある。本発明の
フィルムを形成するポリプロピレン系樹脂を製造する際
には、上記のような、公知の任意の方法が使用し得る。
このような製造方法により得られる実際の樹脂としては
トクヤマ社の「PER」およびハイモント社の「キャタ
ロイ」等が挙げられる。これらはいずれも本発明に用い
られ得る。
【0013】本発明では、樹脂の重量平均分子量は、例
えば、WATERS社製、高温GPC(150CV)で
測定され得る。上記ポリプロピレン系樹脂の重量平均分
子量は、8万〜50万、好ましくは8万〜45万、更に
好ましくは10万〜40万の範囲である。重量平均分子
量が8万未満の場合、フィルムの伸縮性、応力緩和性及
び機械的強度が不足し、50万を超えると、十分な柔軟
性が得られない。
【0014】上記ポリプロピレン系樹脂は、クロス分別
法による0℃以上10℃以下、10℃超70℃以下、7
0℃超95℃以下及び95℃超125℃以下における全
樹脂量に対する溶出量百分率が、各々順に45〜80重
量%、好ましくは50〜75重量%、5〜35重量%、
好ましくは5〜30重量%、1〜30重量%好ましくは
1〜25重量%及び5〜35重量%、好ましくは5〜3
0重量%の範囲にある。
【0015】上記0℃以上10℃以下における溶出量百
分率が45重量%未満である場合、得られるフィルムの
柔軟性がなく、80重量%を超えると、得られるフィル
ムの十分な機械的強度が得られない。又、上記10℃超
70℃以下における溶出量百分率が5重量%未満である
場合、得られるフィルムの柔軟性がなく、35重量%を
超えると、得られるフィルムの変形回復性が劣る。
【0016】又、上記70℃超95℃以下における溶出
量百分率が1重量%未満である場合、得られるフィルム
の変形回復性が劣り、30重量%を超えると、得られる
フィルムの強度が大きくなり過ぎ、救急絆創膏使用時に
強い圧迫感を与える。又、上記95℃超125℃以下に
おける溶出量百分率が5重量%未満である場合、得られ
るフィルムの十分な機械的強度が得られず、30重量%
を超えると、得られるフィルムの柔軟性が失われる。
【0017】更に、上記クロス分別法による0℃以上1
0℃以下、10℃超70℃以下、70℃超95℃以下及
び95℃超125℃以下の各温度範囲における溶出樹脂
の重量平均分子量は、上記温度範囲順に好ましくは、1
0万〜30万、7万〜50万、5万〜50万及び5万〜
50万である。
【0018】本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂
において、各温度域での溶出量及び重量平均分子量が上
記範囲内にあることは、フィルムの弾性率、強度、延性
等の物性を制御する上で非常に重要である。
【0019】本発明において、上記クロス分別法による
組成分布及び分子量の測定は、温度上昇溶離分別(Te
mperature Rising Elution
Fractionation)部分と高温GPC(Ge
l PermeationChromatograp
h)部分のシステムを備えたクロス分別クロマトグラフ
装置(三菱油化社製、CFC−T150A型)を使用し
て以下の通り実施した。
【0020】先ず、上記ポリプロピレン系樹脂を140
℃ないしそれ以上のポリプロピレン系樹脂が完全に溶解
する温度のo−ジクロロベンゼンに溶解し、一定速度で
冷却し、予め準備した不活性担体表面に薄いポリマー層
を結晶性の高い順に及び分子量の大きい順に生成させ
る。次いで、温度を連続的に又は段階的に昇温し、順次
溶出した成分の濃度を検出し、組成分布(結晶性分布)
を温度上昇溶離分別部分で測定すると共に、その成分を
高温GPC部分により分子量及び分子量分布を測定し
た。
【0021】本発明におけるポリプロピレン系樹脂とし
ては、前記する多段重合法によって得られるポリプロピ
レン系樹脂に、本発明の趣旨を損なわない範囲で、他の
ポリプロピレン系樹脂等をブレンドしてもよい。
【0022】本発明において、上記樹脂層には、酸化防
止剤、紫外線防止剤等の安定剤、沈降性硫酸バリウム、
タルク、炭酸カルシウム、マイカ、酸化チタン等の充填
剤、着色剤等を添加できる。
【0023】本発明において上記ポリプロピレン系樹脂
からなるフィルムは、上記の樹脂を、Tダイ法、インフ
レーション法、カレンダー法等によってフィルムに成形
された後、延伸温度90〜150℃、延伸倍率1.1〜
10倍で少なくとも一方向以上に延伸されており、且
つ、残存ゲル分率が5〜70重量%の範囲にあるように
架橋されていることによって、救急絆創膏の使用時に凹
凸のある如何なる皮膚面にも密着して貼着できる柔軟
性、筋肉の緊張、弛緩、関節の屈伸等に追従する伸縮
性、上記皮膚面の伸張、収縮等に追従して直ちに旧に復
する応力緩和性を維持しつつ、救急絆創膏の貼着時や貼
直し時に強く引張っても伸びきってしまわない十分な抗
張力を有するフィルムが得られる。
【0024】一般に、ポリプロピレン系樹脂では、スト
レス−ストレイン(S−S)カーブを採ると、初期の立
ち上がりが急であり、20〜30%伸長すると降伏し、
その後100%伸長程度までは応力が殆ど増加しない、
所謂S−Sカーブがねるという現象が起こる。樹脂の種
類によっては、初期の伸張時の抗張力が大き過ぎ、柔軟
性のないフィルムになる場合がある。又、初期の伸張時
の抗張力が小さいフィルムは、救急絆創膏用に使用した
場合、救急絆創膏の貼着時や貼直し時に強く引張ると伸
びきってしまったり、貼直しが困難になる。
【0025】本発明の救急絆創膏用フィルムは、前記す
るポリプロピレン系樹脂からなるフィルムを少なくとも
一方向以上に延伸することにより、初期の伸張時抗張力
が小さくなり、且つ、S−Sカーブがねてしまったりし
ない、柔軟性に富み、且つ、十分な抗張力を有するフィ
ルムが得られるのである。
【0026】上記延伸処理によって、得られるフィルム
は、上記諸物性の変化と共に、熱収縮率も大きくなる
が、この熱収縮率はアニーリングによって緩和される
が、本発明においては、後述する延伸処理後の架橋反応
によって上記フィルムを形成しているポリプロピレン系
樹脂に架橋構造を導入されることによって改善される。
【0027】上記延伸処理における延伸温度は、90〜
150℃である。延伸温度が90℃未満では、フィルム
に延伸による残留応力が強く残り、熱収縮が大きくな
る。延伸温度が150℃を超えると、フィルムが著しく
軟化し、十分な抗張力が得られない。
【0028】上記延伸処理における延伸倍率は、1.1
〜10倍、好ましくは2.0〜8.0倍である。延伸倍
率が1.1未満の場合、得られるフィルムは十分な抗張
力が得られず、10倍を超えると、フィルムに延伸によ
る残留応力が強く残り、熱収縮が過度に大きくなる。
【0029】上記延伸処理の方法は、フィルムを少なく
とも一方向以上に均一に延伸できる方法であれば、如何
なる方法が採られてもよいが、例えば、ロール延伸、テ
ンター延伸、縦一軸延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸
ないしチューブラー延伸等が挙げられる。
【0030】本発明の救急絆創膏用フィルムは、前記の
ような方法で得られたポリオレフィン系樹脂延伸フィル
ムを架橋させて得られるが、該フィルムの架橋の程度
は、120℃のキシレン溶液で24時間抽出処理した
時、残存ゲル重量分率が、5〜70%、好ましくは10
〜55%の範囲にあるように調整される。残存ゲル重量
分率が5%未満の場合、得られるフィルムの熱収縮率が
大きく、70%を超えると、得られるフィルムの柔軟性
が失われる。従って、前記の如く調整されたとき、該フ
ィルムは、柔軟性、伸縮性、伸張時の応力緩和を維持
し、且つ、絆創膏として使用する場合、絆創膏の貼り付
け時や貼り直し時に、強く引っ張っても、伸びきってし
まわない充分な抗張力を有する。
【0031】ポリプロピレン系樹脂を架橋させる方法と
しては、いかなる方法が採られてもよいが、例えば、ラ
ジカル発生剤の存在下で遊離ラジカルが発生する温度以
上に加熱する方法、電離性放射線を照射する方法などが
挙げられる。上記ラジカル発生剤としては、例えば、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3、α,α’−ビス(t−ブチルパーオ
キシ−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイドなどの
有機過酸化物が挙げられる。ラジカル発生剤とともに、
炭素−炭素不飽和結合を一個以上有する化合物を高分子
化助剤として添加してもよい。
【0032】ラジカル発生剤によるポリオレフィン系樹
脂の架橋反応は、ポリオレフィン系樹脂とラジカル発生
剤及び高分子化助剤を押出機に投入し、ラジカル発生剤
の分解温度以上に加熱し、フィルムを成形する過程で行
われる。又、電離性放射線によるポリオレフィン系樹脂
の架橋反応は、通常、ポリオレフィン系樹脂を所定形状
のフィルムに成形し、該フィルムに電子線、γ線などの
電離性放射線を照射して行われる。上記架橋反応はポリ
オレフィン系樹脂製フィルムの残存ゲル重量分率が、1
0〜70%となるように、ラジカル発生剤や高分子化助
剤の添加量乃至電離性放射線の照射量が選定される。
【0033】以上により得られる本発明の救急絆創膏用
フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、1
5〜300μmが好ましい。15μm未満では使用に際
しての強度が不足し、300μmを超えると救急絆創膏
としては硬過ぎ、風合いを損ねる。又、上記フィルム
は、無色透明であってもよく、着色して不透明であって
もよい。
【0034】本発明により得られるフィルムを基材とし
て用いる救急絆創膏は、該フィルムの一面に必要に応じ
てコロナ放電処理やアンカーコートを施した後、粘着剤
層を設け、その上にガーゼ等を積層し、その上から差し
替え用の離型紙を積層した上、これを所定の寸法に打ち
抜き、表裏両面に個別包装紙を重ねると共に、更に所定
の寸法に切断して得られる。猶、コロナ放電処理を行う
場合、フィルムの表面張力を38dyn/cm以上とす
ることが好ましい。
【0035】上記粘着剤層は、上記フィルムの全表面に
設けてもよく、或いは、細い線状、格子状、散点状、粘
着剤が塗布されていない小円部が多数形成された面状等
用途にって自由に選択してもよい。
【0036】上記粘着剤の種類は、特に限定されるもの
ではなく、例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル
系、ウレタン系、ビニルエーテル系、シリコーン系等の
各種粘着剤が好適に用いられ、又、その形態は、溶液
型、エマルジョン型、ホットメルト型等いずれであって
もよい。
【0037】上記粘着剤の塗工方法は、特に限定される
ものではなく、本発明フィルム表面に粘着剤を直接塗工
してもよいし、或いは、離型紙や離型フィルム等のセパ
レーターの離型処理面に粘着剤を塗工して、本発明フィ
ルムと重ね合わせることによって、粘着剤層を本発明フ
ィルムに転写する方法を採ってもよい。
【0038】又、上記フィルム層のいずれか一方の表面
に、目的に応じて、各種の印刷を任意の形状及び寸法で
行い得る。
【0039】
【作用】本発明の救急絆創膏用フィルムは、可塑剤を実
質的に含有せず、柔軟で伸縮性を有しており、しかも伸
張時の応力緩和が速いため、患部を圧迫せず、風合いが
よい救急絆創膏を提供することができる。
【0040】本発明の救急絆創膏用フィルムが上記のよ
うな優れた特徴を有する理由は、以下のように推定され
る。本発明に用いられるポリプロピレン系樹脂は、ポリ
プロピレン樹脂にエチレン−プロピレン共重合体等に代
表される非晶性ポリマーが重合中に大量に導入されてア
ロイされたようになっていると考えられる。非常に活性
が高く、寿命が長いチタン系触媒の使用により、この種
の樹脂の製造が一部のメーカーで可能になっているよう
である。このような重合によるポリマー中には、分子構
造の異なる共重合体が数個存在し、そのためポリプロピ
レン等の通常樹脂部とこれら共重合体のアロイにおいて
特徴あるモルフォロジーが発現していると考えられる。
この結果、本発明における救急絆創膏用フィルムは、可
塑化PVCに非常に近い性能を発揮すると考えられる。
【0041】更に、本発明の救急絆創膏用フィルムは、
上記ポリプロピレン系樹脂から得られるフィルムを少な
くとも一方向に延伸することにより、分子が適度に配向
し、伸縮性及び応力緩和性を維持し、且つ、絆創膏の貼
着時又は貼直し時に強く引張っても伸びきることがな
く、十分な抗張力を有するフィルムが得られる。
【0042】又、本発明の救急絆創膏用フィルムは、上
記の如く少なくとも一方向に延伸したフィルムを、ラジ
カル発生剤の存在下で遊離ラジカルが発生する温度以上
に加熱するか、或いは電離性放射線を照射することによ
り架橋させて、得られるフィルムの残存ゲル重量分率を
5〜70%とすることにより、上記延伸処理と相俟っ
て、伸縮性及び応力緩和性を維持し、且つ、絆創膏の貼
着時又は貼直し時に強く引張っても伸びきることがな
く、十分な抗張力を有するフィルムが得られるものと推
定される。
【0043】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明を実施例に
ついて説明する。
【0044】以下の実施例及び比較例において、抗張
力、応力緩和、熱収縮性及び残存ゲル重量分率の測定、
評価はそれぞれ以下に示す方法で実施した。
【0045】1.抗張力:引張試験機により、試料幅1
9mm、初期試料長さ(つかみ間隔)100mmのフィ
ルム試料を、引張速度200mm/minで延伸方向に
引張り、所定の伸度における抗張力を測定した。
【0046】2.応力緩和:引張試験機により、試料幅
19mm、初期試料長さ100mmのフィルム試料を、
引張速度200mm/minで、伸度10%まで延伸方
向に引張った後、そのまま保持した状態で所定時間経過
後の抗張力を測定し、次式により、応力残存の割合を算
出した。
【0047】応力残存率(%)=(所定時間経過後の抗
張力/初期抗張力)×100
【0048】3.熱収縮性:枚葉のフィルム試料に10
0mm×100mmの正方形状の標線を入れ、ギヤーオ
ーブンで70℃で5時間加熱し、次式により、熱収縮率
を測定した。
【0049】熱収縮率(%)=〔(100mm−加熱後
の寸法)/100mm〕×100
【0050】4.残存ゲル重量分率:得られるポリプロ
ピレン系樹脂フィルムを120℃のキシレン中で24時
間抽出処理を行い、残存ゲル量を測定した。
【0051】(実施例1)分子量25万、クロス分別法
による0℃以上10℃以下、10℃超70℃以下、70
℃超95℃以下及び95℃超125℃以下における全樹
脂量に対する溶出量百分率が、各々順に67.0重量
%、17.9重量%、3.2重量%及び10.5重量%
である組成を有するポリプロピレン系樹脂(トクヤマ社
製)100重量部にジビニルベンゼン(高分子化助剤)
3重量部を配合し、図1に示すように、Tダイ1により
金型温度200℃で押出し、冷却ロール2を通してフィ
ルム3を成形し、テンター延伸機21で延伸温度130
℃、延伸倍率4.0倍で横(幅)方向に延伸した後、図
示されていない照射装置で、加速電圧200kv、7M
radの条件で電子線を照射し架橋させて厚さ71μm
の救急絆創膏用フィルムを作製した。
【0052】次に、クラフト紙の片面にポリエチレン層
をラミネートし、更にそのポリエチレン層の表面にシリ
コーン離型剤を塗工して得られる工程紙5の離型処理面
51に、ゴム系粘着剤溶液(天然ゴム、ポリテルペン樹
脂、ポリブレン及び老化防止剤の35%トルエン溶液)
を、塗布乾燥巻取機を用いて、乾燥後の厚さが40μm
になるように塗工、乾燥し、粘着剤層4を形成した。次
いで、図2に示すように、前記救急絆創膏用フィルム3
のコロナ放電処理面32と、上記粘着剤層4と工程紙5
との積層体の粘着剤層面とを合わせて積層し、巻取機
(図示せず)でロール状に巻取った。
【0053】このロール状物をスリッターを用いて、7
8mm幅に切断し、長尺(200m)に巻取り、救急絆
創膏用原反Aを得た。得られた救急絆創膏用原反Aを、
図3に示す加工プロセスによって、救急絆創膏に加工し
た。上記加工プロセスでは、所定幅の救急絆創膏用副資
材(ガーゼ、差替え用離型紙、個包装等)の供給手段
(図示せず)が設けられており、救急絆創膏用原反Aが
巻き戻され、工程紙5が剥離される(図示せず)と孔明
け加工機(図示せず)によって、微小な孔明け加工61
が施される。次いで粘着剤層4上に厚さ1mm、幅17
mm×長さ25mmのガーゼ62を装着した後、差替え
用離型紙63をガーゼ62の上から積層し、続いて得ら
れた積層体を、打抜き機64により所定の寸法(幅20
mm×長さ75mm、両端は半径12mmの円弧状)に
打ち抜き、個包装材65で包装した後切断加工66を行
って、図4及び図5に示すような救急絆創膏67を得
た。
【0054】(実施例2)実施例1のポリプロピレン系
樹脂を用いて、延伸温度130℃、延伸倍率5.0倍で
横一軸テンター延伸を行った後、加速電圧200kv、
15Mradの条件で電子線を照射し架橋させたこと以
外は、実施例1と同様の方法で救急絆創膏用フィルム及
び救急絆創膏を作製した。
【0055】(実施例3)実施例1のポリプロピレン系
樹脂を用いて、延伸温度140℃、延伸倍率8.0倍で
横一軸テンター延伸を行った後、加速電圧200kv、
15Mradの条件で電子線を照射し架橋させたこと以
外は、実施例1と同様の方法で救急絆創膏用フィルム及
び救急絆創膏を作製した。
【0056】(実施例4)実施例1のポリプロピレン系
樹脂を用いて、延伸温度110℃、延伸倍率2.0倍で
横一軸テンター延伸を行った後、加速電圧200kv、
7Mradの条件で電子線を照射し架橋させたこと以外
は、実施例1と同様の方法で救急絆創膏用フィルム及び
救急絆創膏を作製した。
【0057】(実施例5)実施例1のポリプロピレン系
樹脂100重量部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(ラジカル発生剤)
0.5重量部、ジビニルベンゼン(高分子化助剤)3重
量部からなる樹脂組成物を用いて、延伸温度120℃、
延伸倍率4.0倍で横一軸テンター延伸を行ったこと以
外は、実施例1と同様の方法で救急絆創膏用フィルム及
び救急絆創膏を作製した。
【0058】(比較例1)実施例1のポリプロピレン系
樹脂を用いて、延伸温度80℃、延伸倍率4.0倍で横
一軸テンター延伸を行った後、加速電圧200kv、7
Mradの条件で電子線を照射し架橋させたこと以外
は、実施例1と同様の方法で救急絆創膏用フィルム及び
救急絆創膏を作製した。
【0059】(比較例2)実施例1のポリプロピレン系
樹脂を用いて、延伸温度130℃、延伸倍率4.0倍で
横一軸テンター延伸を行った後、加速電圧200kv、
2Mradの条件で電子線を照射し架橋させたこと以外
は、実施例1と同様の方法で救急絆創膏用フィルム及び
救急絆創膏を作製した。
【0060】(比較例3)実施例1のポリプロピレン系
樹脂を用いて、延伸温度130℃、延伸倍率4.0倍で
横一軸テンター延伸を行った後、加速電圧200kv、
25Mradの条件で電子線を照射し架橋させたこと以
外は、実施例1と同様の方法で救急絆創膏用フィルム及
び救急絆創膏を作製した。
【0061】(比較例4)実施例1のポリプロピレン系
樹脂100重量部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(ラジカル発生剤)
1.5重量部、ジビニルベンゼン(高分子化助剤)3重
量部からなる樹脂組成物を用いて、延伸温度120℃、
延伸倍率4.0倍で横一軸テンター延伸を行ったこと以
外は、実施例1と同様の方法で救急絆創膏用フィルム及
び救急絆創膏を作製した。
【0062】(比較例5)実施例1のポリプロピレン系
樹脂を用いて、延伸温度160℃、延伸倍率4.0倍で
横一軸テンター延伸を行ったが、均一な延伸はできなか
った。
【0063】(比較例6)実施例1のポリプロピレン系
樹脂を用いて、延伸温度130℃、延伸倍率11.0倍
で横一軸テンター延伸を行ったが、延伸工程中フィルム
の破断が頻発した。
【0064】本実施例1〜5及び比較例1〜6で得られ
た救急絆創膏用フィルム及び救急絆創膏の評価結果を、
以下の表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】本発明は、叙上の如く構成されているの
で、可塑剤を含まず、柔軟で伸縮性を有し、しかも伸長
時の応力緩和が速く、充分な抗張力を有する、患部を圧
迫しない、風合いのよい、従来の可塑化PVCの代替と
なる救急絆創膏用フィルムが得られる。
【0067】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の救急絆創膏用フィルムの押出工程及び
延伸工程を示す概略図である。
【図2】本発明の救急絆創膏用フィルムのコロナ放電処
理面に粘着剤層を積層した状態を示す断面図である。
【図3】本発明の救急絆創膏用フィルムを使用して救急
絆創膏を製造する工程を示す概略図である。
【図4】本発明の救急絆創膏用フィルムを使用して得ら
れた救急絆創膏の断面図である。
【図5】図4の救急絆創膏の平面図である。
【図6】本発明の救急絆創膏用フィルムのインフレーシ
ョン法による製造の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 Tダイ 12 案内板 2 冷却ロール 3 フィルム 32 コロナ放電処理面 4 粘着剤層 5 工程紙 51 離型処理面 61 孔明け加工 62 ガーゼ 63 離型紙 64 打ち抜き加工 65 個包装材 66 切断加工 67 救急絆創膏 A 救急絆創膏原反

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量が8万〜50万の範囲に
    あり、クロス分別法による0℃以上10℃以下、10℃
    超70℃以下、70℃超95℃以下及び95℃超125
    ℃以下における全樹脂量に対する溶出量百分率が、各々
    順に45〜80重量%、5〜35重量%、1〜30重量
    %及び5〜35重量%の範囲にある組成を有するポリプ
    ロピレン系樹脂からなるフィルムが延伸温度90〜15
    0℃、延伸倍率1.1〜10倍で少なくとも一方向以上
    に延伸されており、且つ、残存ゲル重量分率が5〜70
    %の範囲にあるように架橋されていることを特徴とする
    救急絆創膏用フィルム。
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