JPH08167135A - 磁気記録媒体及び磁気記録媒体用結合剤 - Google Patents

磁気記録媒体及び磁気記録媒体用結合剤

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JPH08167135A
JPH08167135A JP33176094A JP33176094A JPH08167135A JP H08167135 A JPH08167135 A JP H08167135A JP 33176094 A JP33176094 A JP 33176094A JP 33176094 A JP33176094 A JP 33176094A JP H08167135 A JPH08167135 A JP H08167135A
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Japan
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binder
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magnetic recording
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aminoquinone structure
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Application number
JP33176094A
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English (en)
Inventor
Takayuki Ideno
隆之 出野
Tsutomu Yashiro
勉 八代
Ikuo Matsumoto
郁夫 松本
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁性層にメタル磁性粉を用いた磁気記録媒体
において、磁性粉に対する防錆性に優れ、保存耐久性の
高い磁気記録媒体を提供すること。 【構成】 磁性層を形成するための結合剤は、その分子
中に下記一般式(1−1),(1−2)で表されるアミ
ノキノン構造のうち少なくとも1種を構成成分として含
有する。同時に結合剤成分において、分子中に下記一般
式(2)からなる群より選ばれた少なくとも1種の極性
基を含有する。 【化20】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性層塗布型の磁気記録
媒体及びそれに用いられる磁気記録媒体用結合剤に関す
る。そして、この発明は、特に磁性層にメタル磁性粉を
用いた磁気記録媒体において、防錆性に優れ、保存耐久
性の高い磁気記録媒体を提供すること、さらには、保存
耐久性ばかりでなく、電磁変換特性、機械的強度にも十
分優れた磁気記録媒体を提供することを目的としてい
る。
【0002】
【従来の技術】従来、磁性層を形成するための磁気記録
媒体用結合剤として、種々の樹脂を混合した結合剤が用
いられている。しかし、これらの結合剤は高密度記録を
可能とするメタル粉等の酸化性の磁性粉に対する防錆性
に乏しい。よって、従来はその防錆性を磁性粉の表面処
理に委ねているが、今だ十分に高い防錆性は得られてい
ない。最近、上述の問題点を改善するために、防錆性の
高いアミノキノン化合物を結合剤に導入し、磁性粉の防
錆性を向上させた結合剤が開発されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、アミノキノン
化合物を導入した結合剤は防錆性には優れていても、磁
性粉の分散性が十分ではなく、磁気記録媒体用結合剤と
してはその防錆性を十分発揮できていないのが現状であ
る。また、最近の磁気記録媒体においては、記録の高密
度化を実現すべく磁気特性の向上が進められている。具
体的には、磁性層の飽和磁束密度Bmの向上、保磁力H
cの向上と同時に、記録/再生時のスペースロスによる
出力の低下を防ぐための媒体表面の平滑化が進められて
いる。しかし、アミノキノン化合物を導入した結合剤を
用いた磁気記録媒体は、表面平滑性も十分得ることがで
きないのが現状である。さらに、磁性層の機械的強度が
アミノキノン化合物を導入した結合剤を用いると大きく
低下し、磁気記録媒体としての機械的強度を大幅に低下
させるという問題点がある。このように、アミノキノン
化合物を導入した従来の結合剤は、金属の防錆性には優
れていても、磁性粉の分散性、磁性層を形成した場合の
表面平滑性及び機械的物性を同時に満足するものは得ら
れていない。
【0004】本発明は、防錆性に優れ、保存耐久性の高
い磁気記録媒体を提供すること、さらには、保存耐久性
ばかりでなく、電磁変換特性、機械的強度にも十分優れ
た磁気記録媒体を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
するために本発明は、支持体に磁性層を塗布してなる磁
気記録媒体において、前記磁性層の結合剤成分中の少な
くとも一つの結合剤組成中に、下記一般式(1−1),
(1−2),(3−1),(3−2)で表されるアミノ
キノン構造の内の少なくとも一つを構成単位に含み、か
つ、前記アミノキノン構造を構成単位に含む結合剤組成
中に下記一般式(2)で表される群より選ばれる極性基
を一種以上含有することを特徴とする磁気記録媒体を提
供するものである。
【0006】
【化1】
【0007】
【化2】
【0008】
【化3】
【0009】
【実施例】本発明は、磁性層を形成するための結合剤
に、キノンとアミン化合物の反応生成物(アミノキノン
化合物)と、特定の極性基とを同一の結合剤組成中に含
有していることを特徴とする。即ち、結合剤成分中の少
なくとも一つの結合剤組成中に、上記一般式(1−
1),(1−2),(3−1),(3−2)で表される
アミノキノン構造の内の少なくとも一つを構成単位に含
み、かつ、前記アミノキノン構造を構成単位に含む結合
剤組成中に上記一般式(2)で表される群より選ばれる
極性基を一種以上含有することを特徴とする。これによ
って、本発明は、結合剤における磁性粉の分散性を改善
し、磁性粉(特にメタル磁性粉)の防錆性を著しく向上
さることができ、優れた保存耐久性を有する磁気記録媒
体を実現できる。
【0010】アミノキノン構造を構成単位として含む結
合剤組成に対する、アミノキノン構造を有する構成モノ
マーの重量比率は、0.1〜50重量%であることが、
防錆性ばかりでなく、優れた電磁変換特性、機械的強度
を得るうえで望ましい。0.1重量%より小では防錆性
効果は大きく低下し、50重量%より大であると機械的
強度、特に破断伸びの低下を招くと共に、磁性粉の分散
性が低下し防錆性効果が十分に発揮されなくなる。ま
た、アミノキノン構造を構成単位として含む結合剤組成
の全結合剤に対する重量比率としては、5重量%以上で
あることが望ましい。5重量%より小では防錆性の効果
が大きく低下する。
【0011】アミノキノン構造を導入することのできる
結合剤組成である樹脂としは、従来の磁気記録媒用結合
剤に用いられている公知の樹脂が使用可能であるが、塩
化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系
樹脂に導入することが望ましい。塩化ビニル系樹脂にア
ミノキノン構造を導入した場合には、アミノキノン構造
を有するモノマーの上記重量比率を、0.1〜10重量
%とすれば、より優れた磁性層の破断伸び(機械的強
度)が得られる。ポリウレタン樹脂またはポリエステル
樹脂にアミノキノン構造を導入した場合には、アミノキ
ノン構造を有するモノマーの上記重量比率を、10〜4
0重量%とすれば、より強力な防錆性効果が得られる。
【0012】以下、各実施例についてさらに詳しく説明
する。上記一般式(1−1),(1−2),(3−
1),(3−2)で表すアミノキノン構造は下記一般式
(4),(5)等のアミノキノンモノマーにより、結合
剤樹脂に導入される。(なお、式中のR1 ,R2 ,R3
は上記一般式(1),(3)と同一内容)
【0013】
【化4】
【0014】
【化5】
【0015】ここで、P−ベンゾキノンに結合するN1
は三級のアミンでなくてはならず、2級アミンであると
防錆性が大幅に低下する。アミノキノンモノマーの具体
的な例として次の化6、化7に示すものがあげられる
が、上記一般式(4),(5)に適合していればこれに
制限されない。また、ハイドロキノンのアミン置換化合
物をモノマーとして用いても、結合剤樹脂中に導入の
後、ハイドロキノンをベンゾキノンに酸化剤を用いて酸
化させる手法をとり、樹脂中にアミノキノン構造を有す
るようにしてもよい。
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】次に、アミノキノン構造を結合剤の一組成
のポリ塩化ビニル系樹脂に導入する方法について説明す
る。以下に2つの例を示す。(下記以外の方法でもアミ
ノキノン構造が導入されれば問題はない。) 1)塩化ビニルモノマー等と共重合させて得る方法
【0019】
【化8】
【0020】2)塩化ビニル系樹脂中の活性水素、エポ
キシ基と反応させ、側鎖にグラフトする方法
【0021】
【化9】
【0022】上記塩化ビニル系共重合体の重合度(i+
j+k・・・)は、 30≦(i+j+k・・・)≦600 但し、iは塩化ビニルモノマーの重合度 jはアミノキノン構造を有するビニルユニットの重合度 k…は塩化ビニルと共重合可能なビニル基を有する様々
なモノマーの重合度 の範囲内であることが好ましい。この値が30未満であ
ると熱安定性が劣化し、逆に600を越えると溶剤への
溶解性が劣化し分散が困難となる。また、上記ポリ塩化
ビニル系共重合体中のアミノキノンモノマーの占める割
合(即ち、アミノキノン構造を構成単位として含む結合
剤組成に対する、アミノキノン構造を有する構成モノマ
ーの重量比率)は、0.1〜50重量%であるのが好ま
しい。磁性層破断伸びの良好性をより考慮すれば、0.
1〜10重量%が望ましい。アミノキノン構造を導入す
るポリ塩化ビニル系樹脂には、同時にその分子中に前記
化2に示す一般式(2)からなる群より選ばれた1種類
以上の極性基を含有させる。これらの極性基は種々の公
知の方法で導入することができる。また、これらの極性
基の樹脂中における極性基当量分子量は5千〜10万で
あることが望ましい。具体的な例のいくつかを以下に示
すが、必ずしもこれによる必要はない。 1)ポリ塩化ビニル系樹脂の−OH基と、下記化10に
示す極性基
【0023】
【化10】
【0024】等を脱塩酸剤により反応させ、下記のよう
な化合物を生成させる。
【0025】
【化11】
【0026】2)ポリ塩化ビニル系樹脂の−OH基と、
下記化12に示す極性基
【0027】
【化12】
【0028】等と、ジイソシアネート化合物とを下記の
ように等モル反応させて得る方法。
【0029】
【化13】
【0030】アミノキノン構造を有するポリ塩化ビニル
系樹脂の結合剤全体における比率(即ち、アミノキノン
構造を構成単位として含む結合剤組成の全結合剤に対す
る重量比率)は5重量%以上が望ましい。5%未満であ
ると防錆性が大きく低下する。
【0031】ここで、本発明に用いる他の結合剤として
は、磁気記録媒体に使用可能な公知の結合剤が使用可能
である。例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂、塩化ビニル系共重合体、アクリル酸エステル−アク
リロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−スチレン
共重合体、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、
フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリ
アミド樹脂、シリコン樹脂等があげられる。また、これ
らの樹脂に、
【0032】
【化14】
【0033】等の極性基が導入されていても差し支えな
い。またアミノキノン構造を有する樹脂を用いてもよ
い。次に、アミノキノン構造を結合剤の一組成のポリウ
レタン樹脂に導入する方法について説明する。以下に、
アミノキノン構造の導入方法を示す。(下記以外の方法
でもアミノキノン構造が導入されれば問題はない。) 1)ポリエステルポリオール等の出発原料としてジカル
ボン酸成分の一部に用いる方法。 2)ポリエステルポリオール等の出発原料としてジオー
ル成分の一部に用いる方法。 3)ジオール成分の一部としてポリオールと共に多価イ
ソシアネートにて縮合反応、及び付加反応させて得る方
法。 本実施例では、ポリウレタン樹脂分子中にアミノキノン
構造と同時に、前記化2した一般式(2)からなる群よ
り選ばれた1種類以上の極性基を含有させる。これらの
極性基は種々の方法で導入することができる。さらにこ
れらの極性基の極性基当量分子量は5千〜10万である
ことが望ましい。以下に、極性基の導入方法を示す。 1)ポリエステルポリオール等の出発原料としてジカル
ボン酸成分の一部に用いる方法。
【0034】
【化15】
【0035】2)ポリエステルポリオール等の出発原料
としてジオール成分の一部に用いる方法。(ジメチロー
ルプロピオン酸等) 3)ジオール成分の一部としてポリオールと共に多価イ
ソシアネートにて縮合反応、及び付加反応させて得る方
法。 4)ポリウレタン樹脂に含まれている活性水素基と、下
記化16に示す
【0036】
【化16】
【0037】等の塩素を含有する化合物との脱塩酸反応
により極性基を導入する方法(下記化17参照)。
【0038】
【化17】
【0039】5)HO−CH2 CH2 SO3 Na等の活
性水素を有する化合物と、2官能イソシアネートとを等
モル反応させ、得られた反応生成物を、ポリウレタン樹
脂の活性水素及び残留しているイソシアネート基と反応
させる方法。 6)末端−NCOのウレタンプレポリマーと、HO−C
2 CH2 SO3 Na等の活性水素を有する化合物とを
反応させる方法。 上記以外の方法でも極性基が導入されれば問題はない。
【0040】ポリウレタン結合剤製造に用いられるアミ
ノキノン構造、極性基を有しないポリオール成分として
は、例えば、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオ
ール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトン
ジオールのようなものがあり、他のポリウレタン製造に
公知なものでもよい。ジイソシアネート成分としては、
2,4 −、2,6 −トリレンジイソシアネート、p−フェニ
レンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、m−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレ
ンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート等公知のジイソシアネ
ート化合物もしくはそれらのポリアルコールとの反応生
成物、イソシアネート類の縮合により生成したポリイソ
シアネートであってもよい。使用する鎖延長剤として
は、公知の多価アルコール、脂肪族ポリアミン、芳香族
ポリアミン等があげられる。アミノキノン構造を有する
ポリウレタン樹脂の結合剤全体における比率(即ち、ア
ミノキノン構造を構成単位として含む結合剤組成の全結
合剤に対する重量比率)は5重量%以上が望ましい。5
%未満であると防錆性が大きく低下する。ポリウレタン
樹脂中のアミノキノンモノマーの占める割合(即ち、ア
ミノキノン構造を構成単位として含む結合剤組成に対す
る、アミノキノン構造を有する構成モノマーの重量比
率)は、0.1〜50重量%であるのが好ましい。10
〜40重量%とすれば、より強力な防錆性効果が得られ
る。
【0041】次に、具体的な実施例について説明する。
表1に実施例及び比較例に使用するポリ塩化ビニル樹脂
を示し、表2に実施例及び比較例に使用するポリウレタ
ン樹脂を示す。なお、表中のアミノキノンモノマーWT%
は、アミノキノン構造を構成単位として含む各樹脂に対
する、アミノキノンモノマーの重量比率である。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】(表中のSO3 NaはSO3 Naを示し、
SO3 MはSO3 Mを示し、OSO2 NaはOSO2
aを示す。) 今回は、上記樹脂を磁性層用塗料の結合剤組成の一つに
使用する磁気記録媒体の試料として磁気テープを作成し
た。試料用の磁気テープ作成のための磁性層用塗料の組
成を下記に示す。 (磁性層用塗料1の組成) 強磁性合金粉末 100部 (組成:Fe 94%,Ni 2% 抗磁力: 127mA/m 比表面積:55m2 /g 長軸長:0.2μm) 結合剤 塩化ビニル樹脂1〜13の内の1つ 12.5部 ポリウレタン樹脂 12.5部 (東洋紡製UR8300) αーアルミナ 3重量部 パルミチン酸 2重量部 メチルエチルケトン 100重量部 シクロヘキサノン 100重量部
【0045】 (磁性層用塗料2の組成) 強磁性合金粉末 100部 (組成:Fe 94%,Ni 2% 抗磁力: 127mA/m 比表面積:55m2 /g 長軸長:0.2μm) 結合剤 ポリウレタン1〜9の内の1つ 12.5部 塩化ビニル樹脂 12.5部 (日本ゼオン製 MR110) αーアルミナ 3重量部 パルミチン酸 2重量部 メチルエチルケトン 100重量部 シクロヘキサノン 100重量部
【0046】 (磁性層用塗料3の組成) 強磁性合金粉末 100部 (組成:Fe 94%,Ni 2% 抗磁力: 127mA/m 比表面積:55m2 /g 長軸長:0.2μm) 結合剤 塩化ビニル樹脂1〜13の内の少なくとも1つと、 ポリウレタン樹脂1〜9の内の少なくとも1つと を任意の比率で混合 25部 αーアルミナ 3重量部 パルミチン酸 2重量部 メチルエチルケトン 100重量部 シクロヘキサノン 100重量部
【0047】各磁性層用塗料は、上記混合物をニーディ
ング処理後サンドミルにより混合、分散したのちコロネ
ートL(日本ポリウレタン社製)を4重量部加え撹拌し
て作成した。ここに用いるポリ塩化ビニル樹脂、ポリウ
レタン樹脂の特性については表1、2に示す通りであ
る。上記各磁性層用塗料を支持体に塗布し磁気テープを
作成した。支持体の磁性層を設けた面とは反対の面に
は、カーボンブラックを主成分とするバックコート層を
設けた。ここで支持体にはPETフィルムを用た。この
フィルム状媒体を幅3.81mmに裁断し、試料用のD
AT用テープとした。試料用テープの電磁変換特性の評
価にはDATデッキ、ビクター製XD−Z505を使用
した。この評価はデッキのヘッドアンプ部を一部改造し
て行なった。その改造点は外部からヘッドに直接信号が
入力するようにした点と、ヘッドの入出力信号を直接測
定できるようにした点である。特性測定は、1MHzと
7MHzの正弦波信号を各々記録し、再生出力を測定し
て行った。経時安定性の評価は、60℃90%の環境下
で30日間の保存試験を行い、飽和磁束密度Bmの初期
値との比較にて評価した。表面粗さSRaは非接触表面
粗さ計を用いて測定した。磁性層(塗膜)破断伸び(機
械的強度)はオリエンテック製の万能引っ張り試験機を
用いて行った。
【0048】評価結果を表3、表4に示す。表3は磁性
層用塗料1を用いた試料テープ、表4は磁性層用塗料2
を用いた試料テープの評価結果である。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】表3に示した評価結果(塩化ビニル系樹脂
を使用したもの)について検討する。塩化ビニル系樹脂
中にアミノキノン構造を含まない比較例1ー4は、他の
どの例よりも高温高湿保存後の飽和磁束密度の低下が大
きい(即ち、防錆性が悪く保存耐久性が劣る)。また、
アミノキノン構造を含んでいても、極性基を持たない比
較例1−2や、化2に示した範囲以外の極性基を有する
比較例1−1は、飽和磁束密度の低下度が大きい。これ
に対して、アミノキノン構造ならびに特定の極性基を導
入した実施例1−1〜1−9(アミノキノンモノマー含
有率0.1 〜30wt%)は、保存後の飽和磁束密度の低下が
極めて小さい(保存耐久性が優秀)と共に、初期再生出
力、表面粗さ(この2つは電磁変換特性に大きく関係)
が良好な値であり、さらには破断伸び(機械的強度)も
良好な値である。次に、表4に示した評価結果(ポリウ
レタン系樹脂を使用したもの)について検討する。ポリ
ウレタン系樹脂中にアミノキノン構造を含まない比較例
2−3は、他のどの例よりも高温高湿保存後の飽和磁束
密度の低下が大きい。また、アミノキノン構造を含んで
いても、極性基を持たない比較例2−1は、飽和磁束密
度の低下度が大きい。これに対して、アミノキノン構造
ならびに特定の極性基を導入した実施例2−1〜2−6
(アミノキノンモノマー含有率10〜40wt%)は、高温高
湿保存後の飽和磁束密度の低下が極めて小さい(保存耐
久性が優秀)と共に、初期再生出力、表面粗さ(この2
つは電磁変換特性に大きく関係)が良好な値であり、さ
らには破断伸び(機械的強度)も良好な値である。以上
のことより、化1,化3に示すアミノキノン構造ならび
に化2に示した極性基を導入した結合剤は、磁性粉に対
しアミノキノン構造の有する防錆性を十分に発揮させる
ことができ、この結合剤を磁性層に用いた磁気記録媒体
は、保存耐久性に優れたものとなることがわかる。
【0052】なお、比較例1−3,2−2に示すよう
に、アミノキノンモノマー含有率が70wt%と大きい場
合には、破断伸度が大きく低下すると共に、初期再生出
力、表面粗さが劣化し、保存後の飽和磁束密度の低下度
合いも大きくなる。表3、表4に示した評価結果等を総
合的に判断して、保存耐久性、電磁変換特性、機械的強
度のいずれもが優れた特性となるアミノキノンモノマー
含有率は0.1〜50wt%である。塩化ビニル系樹脂に
アミノキノン構造を導入する場合で、機械的強度をより
重視する場合には、表3に示す実施例1−4,1−5の
結果より、アミノキノンモノマー含有率を0.1〜10
wt%とすることが望ましい。ポリウレタン系樹脂または
ポリエステル系樹脂にアミノキノン構造を導入する場合
には、表4に示した評価結果等より、アミノキノンモノ
マー含有率を10〜40wt%とすると、保存耐久性、電
磁変換特性、機械的強度のバランスのより優れた磁気記
録媒体となる。
【0053】次に、磁性層用塗料3を用いた試料テープ
の評価結果を表5に示す。この表に示すデータは、アミ
ノキノン構造を含有させた樹脂の結合剤全体に対する割
合(wt%)を変化させた場合の媒体特性の変化を示すも
のである。
【0054】
【表5】
【0055】アミノキノン構造を含有する樹脂の比率が
3wt%と低い比較例3−1,3−2は、保存後の飽和磁
束密度の低下が大きく、初期再生出力も低い。これに対
し、実施例3−1〜3−5(アミノキノン構造を含有す
る樹脂の比率が5wt%以上)は飽和磁束密度の低下が少
なく、初期再生出力の高い磁気記録媒体となっている。
【0056】
【発明の効果】以上の通り、本発明の磁気記録媒体及び
磁気記録媒体用結合剤は下記の効果を有する。 (イ)化1,化3に示すアミノキノン構造ならびに化2
に示した極性基を同一結合剤組成に導入したことによ
り、磁性粉(特にメタル磁性粉)に対してアミノキノン
構造の有する防錆性を十分に発揮させることができ、こ
の磁気記録媒体用結合剤を磁性層に用いた磁気記録媒体
は、保存耐久性に優れたものとなる。 (ロ)アミノキノン構造を構成単位として含む結合剤組
成の全結合剤に対する重量比率を5重量%以上とした請
求項5,14に記載のものは、より優れた保存耐久性と
電磁変換特性とが得られる。 (ハ)アミノキノン構造を構成単位として含む結合剤組
成に対する、アミノキノン構造を有する構成モノマーの
重量比率を、0.1〜50重量%とした請求項4,13
に記載のものは、保存耐久性ばかりでなく、電磁変換特
性、機械的強度にも十分優れた高密度記録可能な磁気記
録媒体が得られる。 (ニ)請求項7,16に記載のものは、アミノキノン構
造を構成単位として含む結合剤組成が塩化ビニル系樹脂
の場合において、より大きな機械的強度が得られる。 (ホ)請求項9,18に記載のものは、アミノキノン構
造を構成単位として含む結合剤組成がポリウレタン系樹
脂またはポリエステル系樹脂の場合において、保存耐久
性、電磁変換特性、機械的強度の各特性のバランスのよ
り優れた磁気記録媒体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 201/02 PDN

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体に磁性層を塗布してなる磁気記録媒
    体において、前記磁性層の結合剤成分中の少なくとも一
    つの結合剤組成中に、下記一般式(1−1),(1−
    2)で表されるアミノキノン構造のうち少なくとも一方
    のアミノキノン構造を構成単位に含み、かつ、前記アミ
    ノキノン構造を構成単位に含む結合剤組成中に下記一般
    式(2)で表される群より選ばれる極性基を一種以上含
    有することを特徴とする磁気記録媒体。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】支持体に磁性層を塗布してなる磁気記録媒
    体において、前記磁性層の結合剤成分中の少なくとも一
    つの結合剤組成中に、下記一般式(3−1),(3−
    2)で表されるアミノキノン構造のうち少なくとも一方
    のアミノキノン構造を構成単位に含み、かつ、前記アミ
    ノキノン構造を構成単位に含む結合剤組成中に上記一般
    式(2)で表される群より選ばれる極性基を一種以上含
    有することを特徴とする磁気記録媒体。 【化3】
  3. 【請求項3】支持体に磁性層を塗布してなる磁気記録媒
    体において、前記磁性層の結合剤成分中の少なくとも一
    つの結合剤組成中に、上記一般式(1−1),(1−
    2)で表されるアミノキノン構造のうち少なくとも一方
    のアミノキノン構造と、上記一般式(3−1),(3−
    2)で表されるアミノキノン構造のうち少なくとも一方
    のアミノキノン構造とを同時に構成単位として含み、か
    つ、前記アミノキノン構造を同時に構成単位として含む
    結合剤組成中に、上記一般式(2)で表される群より選
    ばれる極性基を一種以上含有することを特徴とする磁気
    記録媒体。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか一つに記載の磁気
    記録媒体において、アミノキノン構造を構成単位として
    含む結合剤組成に対する、アミノキノン構造を有する構
    成モノマーの重量比率が、0.1〜50重量%であるこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】請求項1〜3のいずれか一つに記載の磁気
    記録媒体において、アミノキノン構造を構成単位として
    含む結合剤組成の全結合剤に対する重量比率が5重量%
    以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれか一つに記載の磁気
    記録媒体において、アミノキノン構造を構成単位として
    含む結合剤組成が塩化ビニル系樹脂であることを特徴と
    する磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】請求項1〜3のいずれか一つに記載の磁気
    記録媒体において、アミノキノン構造を構成単位として
    含む結合剤組成が塩化ビニル系樹脂であり、かつ、アミ
    ノキノン構造を構成単位として含む結合剤組成に対す
    る、アミノキノン構造を有する構成モノマーの重量比率
    が、0.1〜10重量%であることを特徴とする磁気記
    録媒体。
  8. 【請求項8】請求項1〜5のいずれか一つに記載の磁気
    記録媒体において、アミノキノン構造を構成単位として
    含む結合剤組成が、ポリウレタン系樹脂またはポリエス
    テル系樹脂であることを特徴とする磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】請求項1〜3のいずれか一つに記載の磁気
    記録媒体において、アミノキノン構造を構成単位として
    含む結合剤組成がポリウレタン系樹脂またはポリエステ
    ル系樹脂であり、かつ、アミノキノン構造を構成単位と
    して含む結合剤組成に対する、アミノキノン構造を有す
    る構成モノマーの重量比率が、10〜40重量%である
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】磁性層を形成するための磁気記録媒体用
    結合剤において、結合剤成分中の少なくとも一つの結合
    剤組成中に、上記一般式(1−1),(1−2)で表さ
    れるアミノキノン構造のうち少なくとも一方のアミノキ
    ノン構造を構成単位に含み、かつ、前記アミノキノン構
    造を構成単位に含む結合剤組成中に上記一般式(2)で
    表される群より選ばれる極性基を一種以上含有すること
    を特徴とする磁気記録媒体用結合剤。
  11. 【請求項11】磁性層を形成するための磁気記録媒体用
    結合剤において、結合剤成分中の少なくとも一つの結合
    剤組成中に、上記一般式(3−1),(3−2)で表さ
    れるアミノキノン構造のうち少なくとも一方のアミノキ
    ノン構造を構成単位に含み、かつ、前記アミノキノン構
    造を構成単位に含む結合剤組成中に上記一般式(2)で
    表される群より選ばれる極性基を一種以上含有すること
    を特徴とする磁気記録媒体用結合剤。
  12. 【請求項12】磁性層を形成するための磁気記録媒体用
    結合剤において、結合剤成分中の少なくとも一つの結合
    剤組成中に、上記一般式(1−1),(1−2)で表さ
    れるアミノキノン構造のうち少なくとも一方のアミノキ
    ノン構造と、上記一般式(3−1),(3−2)で表さ
    れるアミノキノン構造のうち少なくとも一方のアミノキ
    ノン構造とを同時に構成単位として含み、かつ、前記2
    つのアミノキノン構造を同時に構成単位として含む結合
    剤組成中に、上記一般式(2)で表される群より選ばれ
    る極性基を一種以上含有することを特徴とする磁気記録
    媒体用結合剤。
  13. 【請求項13】請求項10〜12のいずれか一つに記載
    の磁気記録媒体用結合剤において、アミノキノン構造を
    構成単位として含む結合剤組成に対する、アミノキノン
    構造を有する構成モノマーの重量比率が、0.1〜50
    重量%であることを特徴とする磁気記録媒体用結合剤。
  14. 【請求項14】請求項10〜12のいずれか一つに記載
    の磁気記録媒体用結合剤において、アミノキノン構造を
    構成単位として含む結合剤組成の全結合剤に対する重量
    比率が5重量%以上であることを特徴とする磁気記録媒
    体用結合剤。
  15. 【請求項15】請求項10〜14のいずれか一つに記載
    の磁気記録媒体用結合剤において、アミノキノン構造を
    構成単位として含む結合剤組成が塩化ビニル系樹脂であ
    ることを特徴とする磁気記録媒体用結合剤。
  16. 【請求項16】請求項10〜12のいずれか一つに記載
    の磁気記録媒体用結合剤において、アミノキノン構造を
    構成単位として含む結合剤組成が塩化ビニル系樹脂であ
    り、かつ、アミノキノン構造を構成単位として含む結合
    剤組成に対する、アミノキノン構造を有する構成モノマ
    ーの重量比率が、0.1〜10重量%であることを特徴
    とする磁気記録媒体用結合剤。
  17. 【請求項17】請求項10〜14のいずれか一つに記載
    の磁気記録媒体用結合剤において、アミノキノン構造を
    構成単位として含む結合剤組成が、ポリウレタン系樹脂
    またはポリエステル系樹脂であることを特徴とする磁気
    記録媒体用結合剤。
  18. 【請求項18】請求項10〜12のいずれか一つに記載
    の磁気記録媒体用結合剤において、アミノキノン構造を
    構成単位として含む結合剤組成がポリウレタン系樹脂ま
    たはポリエステル系樹脂であり、かつ、アミノキノン構
    造を構成単位として含む結合剤組成に対する、アミノキ
    ノン構造を有する構成モノマーの重量比率が、10〜4
    0重量%であることを特徴とする磁気記録媒体用結合
    剤。
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US08/949,964 US5935703A (en) 1994-12-09 1997-10-14 Magnetic recording medium and binder for use with magnetic coating in the magnetic recording medium

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JP2011046930A (ja) * 2009-07-31 2011-03-10 Fujifilm Corp 放射線硬化性塩化ビニル系樹脂組成物およびその製造方法、塩化ビニル系樹脂、磁気記録媒体、ならびに放射線硬化性塩化ビニル系樹脂用保存安定剤

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