JPH08165145A - 紫外線防止透明板及びその製造方法 - Google Patents

紫外線防止透明板及びその製造方法

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JPH08165145A
JPH08165145A JP30891794A JP30891794A JPH08165145A JP H08165145 A JPH08165145 A JP H08165145A JP 30891794 A JP30891794 A JP 30891794A JP 30891794 A JP30891794 A JP 30891794A JP H08165145 A JPH08165145 A JP H08165145A
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裕治 田代
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隆 大林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガラスまたはプラスチックの透明板を基材と
した紫外線防止透明板とその製造方法を提供すること。 【構成】 本発明の紫外線防止透明板は、透明板の少な
くとも片面に、ポリシラザンと平均粒径0.005〜
1.0μmの紫外線吸収性金属酸化物微粒子とを含む組
成物をセラミックス化して形成した、窒素を原子百分率
で0.005〜5%含み且つ前記紫外線吸収性金属酸化
物微粒子を含有するSiO2 膜を有することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス、プラスチッ
ク、等の透明板に、特定の組成物を用いて透明な紫外線
防止膜を形成した紫外線防止透明板とその製造方法に関
する。これらの紫外線防止透明板は、室内や車内への紫
外線透過を防止するのに有用である。
【0002】
【従来の技術】可視光を透過するが紫外線は防止する透
明板が知られている。透明板としてガラスを使用する場
合には、板ガラスの間に紫外線防止機能を有するフィル
ムを挟み、合わせガラスとすることによって紫外線防止
機能を付与する方法が多く行われている。また、プラス
チック透明板を使用する場合には、紫外線吸収剤を練り
込むことによって紫外線防止機能を付与する方法も行わ
れている。
【0003】合わせガラスの場合には、これを切断する
際にガラスとフィルムを別々に行う必要があり、手間が
かかるといった問題がある。また、プラスチック透明板
に紫外線吸収剤を練り込む方法では、吸収剤の分散が難
しいこともあって、往々にしてプラスチックの透明度が
落ちるという欠点がある。
【0004】こうした問題を解決する方法として、特開
平5−89798号公報に、金属アルコキシド、紫外線
吸収剤、アルコール溶媒及び分散剤を含むコーティング
液組成物をガラスまたはプラスチック基板に塗布して2
00℃程度の温度で焼成する、いわゆるゾル−ゲル法に
よる方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ゾル−
ゲル法で製造された膜は、焼成時に有機分が抜けるた
め、緻密性、硬度、平滑性に乏しいという問題があっ
た。また、上記特開平5−89798号公報の方法で採
用される温度は、プラスチック透明板には一般に適用し
難い高温であることは勿論、自動車用窓ガラスのような
強化ガラスの場合にもその特性を害する恐れがある。
【0006】本発明の目的は、上記の如き従来技術にお
ける種々の問題を解決し、紫外線吸収性金属酸化物微粒
子を含むSiO2 膜を被覆したプラスチックまたはガラ
スからなる紫外線防止透明板とその製造方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】これらの及びその他の目
的は、 (1)透明板の少なくとも片面に、ポリシラザンと平均
粒径0.005〜1.0μmの紫外線吸収性金属酸化物
微粒子とを含む組成物を塗布し、これをセラミックス化
して形成した、窒素を原子百分率で0.005〜5%含
み且つ前記紫外線吸収性金属酸化物微粒子を含有するS
iO2 膜を有することを特徴とする紫外線防止透明板、
及び (2)透明板の少なくとも片面に、ポリシラザンと平均
粒径0.005〜1.0μmの紫外線吸収性金属酸化物
微粒子とを含む組成物を塗布し、これをセラミックス化
することを特徴とする紫外線防止透明板の製造方法によ
って達成される。
【0008】本発明の好ましい実施態様を以下に列挙す
る。 (3)前記ポリシラザンが下記一般式(I):
【0009】
【化1】
【0010】(上式中、R1 、R2 及びR3 は、それぞ
れ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロ
アルキル基、アリール基、またはこれらの基以外でケイ
素に直結する基が炭素である基、アルキルシリル基、ア
ルキルアミノ基、アルコキシ基を表わす。ただし、
1 、R2 及びR3 の少なくとも1つは水素原子であ
る)で表わされる単位からなる主骨格を有する数平均分
子量が100〜5万のポリシラザンである、(1)項記
載の紫外線防止透明板。
【0011】(4)前記透明板がガラスである、(1)
項または(3)項記載の紫外線防止透明板。 (5)前記透明板がプラスチックである、(1)項また
は(3)項記載の紫外線防止透明板。 (6)前記ガラスが自動車用窓ガラスである、(4)項
記載の紫外線防止透明板。
【0012】(7)前記紫外線吸収性金属酸化物微粒子
がZnO、TiO2 及びSe2 3から成る群より選ば
れた少なくとも1種の金属酸化物微粒子である、(1)
項、(3)項、(4)項、(5)項または(6)項のい
ずれか一項記載の紫外線防止透明板。 (8)(1)項、(3)項、(4)項、(5)項、
(6)項または(7)項のいずれか一項記載の紫外線防
止透明板のSiO2 膜上に、ポリシラザンをセラミック
ス化して形成した窒素を原子百分率で0.005〜5%
含む別のSiO2 膜をさらに有する紫外線防止透明板。
【0013】(9)ポリシラザンが上記一般式(I)
(上式中、R1 、R2 及びR3 は先に記載したとおりで
ある)で表わされる単位からなる主骨格を有する数平均
分子量が100〜5万のポリシラザンである、(2)項
記載の紫外線防止透明板の製造方法。 (10)前記透明板がガラスまたはプラスチックであ
る、(2)項または(9)項記載の紫外線防止透明板の
製造方法。 (11)前記ガラスが自動車用窓ガラスである、(1
0)項記載の紫外線防止透明板の製造方法。
【0014】(12)前記紫外線吸収性金属酸化物微粒
子がZnO、TiO2 及びSe2 3 から成る群より選
ばれた少なくとも1種の金属酸化物微粒子である、
(2)項、(9)項、(10)項または(11)項のい
ずれか一項記載の紫外線防止透明板の製造方法。 (13)(1)項、(3)項、(4)項、(5)項、
(6)項または(7)項のいずれか一項記載の紫外線防
止透明板のSiO2 膜上に、ポリシラザンの膜をさらに
形成することを特徴とする紫外線防止透明板の製造方
法。
【0015】本発明によれば、ポリシラザンと紫外線吸
収性金属酸化物微粒子との組成物を用いることにより、
そして特に好適には低温セラミックス化処理法を採用す
ることにより、上記のようなゾル−ゲル法に付随する膜
自体の問題がなく、しかもプラスチックやガラス(特
に、強化ガラス)の特性を損なうことのない低温で、紫
外線防止性と耐磨耗性(硬度)を兼ね備えた透明な被膜
が形成される。
【0016】本発明の紫外線防止透明板は、その少なく
とも片面にポリシラザン由来のSiO2 膜を有する。用
いるポリシラザンは、分子内に少なくともSi−H結
合、あるいはN−H結合を有するポリシラザンであれば
よく、ポリシラザン単独は勿論のこと、ポリシラザンと
他のポリマーとの共重合体やポリシラザンと他の化合物
との混合物でも利用できる。
【0017】用いるポリシラザンには、鎖状、環状、あ
るいは架橋構造を有するもの、あるいは分子内にこれら
複数の構造を同時に有するものがあり、これら単独でも
あるいは混合物でも利用できる。用いるポリシラザンの
代表例としては下記のようなものがあるが、これらに限
定されるものではない。セラミックス膜の硬度(緻密
性)の点からはペルヒドロポリシラザンが好ましく、可
撓性の点ではオルガノポリシラザンが好ましい。プラス
チックや強化ガラスを基材とする場合には低温セラミッ
クス化ポリシラザンを使用することが好ましい。これら
ポリシラザンの選択は、用途に合わせて適宜行うことが
できる。
【0018】上記一般式(I)でR1 、R2 及びR3
水素原子を有するものは、ペルヒドロポリシラザンであ
り、その製造法は、例えば特公昭63−16325号公
報、D. Seyferth らCommunication of Am. Cer. Soc.,
C-13, January 1983. に報告されている。これらの方法
で得られるものは、種々の構造を有するポリマーの混合
物であるが、基本的には分子内に鎖状部分と環状部分を
含み、
【0019】
【化2】
【0020】の化学式で表わすことができる。ペルヒド
ロポリシラザンの構造の一例を以下に示す。
【0021】
【化3】
【0022】一般式(I)でR1 及びR2 に水素原子、
3 にメチル基を有するポリシラザンの製造方法は、D.
Seyferth らPolym. Prepr., Am. Chem. Soc., Div. Po
lym.Chem., 25, 10(1984)に報告されている。この方
法により得られるポリシラザンは、繰り返し単位が−
(SiH2 NCH3 )−の鎖状ポリマーと環状ポリマー
であり、いずれも架橋構造をもたない。
【0023】一般式(I)でR1 及びR3 に水素原子、
2 に有機基を有するポリオルガノ(ヒドロ)シラザン
の製造法は、D. Seyferth らPolym. Prepr., Am. Chem.
Soc., Div. Polym. Chem., 25, 10(1984)、特開昭6
1−89230号公報、同62−156135号公報に
報告されている。これらの方法により得られるポリシラ
ザンには、−(R2 SiHNH)−を繰り返し単位とし
て、主として重合度が3〜5の環状構造を有するものや
(R3 SiHNH)X 〔(R2 SiH)1.5 N〕
1-X (0.4<x<1)の化学式で示される分子内に鎖
状構造と環状構造を同時に有するものがある。
【0024】一般式(I)でR1 に水素原子、R2 及び
3 に有機基を有するポリシラザン、またR1 及びR2
に有機基、R3 に水素原子を有するものは、−(R1
2 SiNR3 )−を繰り返し単位として、主に重合度が
3〜5の環状構造を有している。用いるポリシラザン
は、上記一般式(I)で表わされる単位からなる主骨格
を有するが、一般式(I)で表わされる単位は、上記に
も明らかなように環状化することがあり、その場合には
その環状部分が末端基となり、このような環状化がされ
ない場合には、主骨格の末端はR1 、R2 、R3 と同様
の基又は水素であることができる。
【0025】ポリオルガノ(ヒドロ)シラザンの中に
は、D. Seyferth らCommunication ofAm. Cer. Soc., C
-132, July 1984. が報告されている様な分子内に架橋
構造を有するものもある。一例を下記に示す。
【0026】
【化4】
【0027】また、特開昭49−69717号に報告さ
れている様なR1 SiX3 (X:ハロゲン)のアンモニ
ア分解によって得られる架橋構造を有するポリシラザン
(R 1 Si(NH)X )、あるいはR1 SiX3 及びR
2 2SiX2 の共アンモニア分解によって得られる下記の
構造を有するポリシラザンも出発材料として用いること
ができる。
【0028】
【化5】
【0029】さらに、下記の構造(式中、側鎖の金属原
子であるMは架橋をなしていてもよい)のように金属原
子を含むポリメタロシラザンも出発材料として用いるこ
とができる。
【0030】
【化6】
【0031】その他、特開昭62−195024号に報
告されているような繰り返し単位が〔(SiH2
n (NH)m 〕及び〔(SiH2 r O〕(これらの式
中、n、m、rはそれぞれ1、2または3である)で表
わされるポリシロキサザン、特開平2−84437号に
報告されているようなポリシラザンにボロン化合物を反
応させて製造する耐熱性に優れたポリボロシラザン、特
開昭63−81122号、同63−191832号、特
開平2−77427号に報告されているようなポリシラ
ザンとメタルアルコキシドとを反応させて製造するポリ
メタロシラザン、特開平1−138108号、同1−1
38107号、同1−203429号、同1−2034
30号、同4−63833号、同3−320167号に
報告されているような分子量を増加させたり(上記公報
の前4者)、耐加水分解性を向上させた(後2者)、無
機シラザン高重合体や改質ポリシラザン、特開平2−1
75726号、同5−86200号、同5−33129
3号、同3−31326号に報告されているようなポリ
シラザンに有機成分を導入した厚膜化に有利な共重合シ
ラザン、特開平5−238827号、特願平4−272
020号、同5−93275号、同5−214268
号、同5−30750号、同5−338524号に報告
されているようなポリシラザンにセラミック化を促進す
るための触媒的化合物を付加または添加したプラスチッ
クスやアルミニウムなどの金属への施工が可能で、より
低温でセラミックス化する低温セラミックス化ポリシラ
ザンなども同様に使用できる。
【0032】本発明では、さらに以下のような低温セラ
ミックス化ポリシラザンを使用することができる。例え
ば、本願出願人による特願平4−39595号明細書に
記載されているケイ素アルコキシド付加ポリシラザンが
挙げられる。この変性ポリシラザンは、上記一般式
(I)で表されるポリシラザンと、下記一般式(II): Si(OR4 4 (II) (式中、R4 は、同一でも異なっていてもよく、水素原
子、炭素原子数1〜20個を有するアルキル基またはア
リール基を表し、少なくとも1個のR4 は上記アルキル
基またはアリール基である)で表されるケイ素アルコキ
シドを加熱反応させて得られる、アルコキシド由来ケイ
素/ポリシラザン由来ケイ素原子比が0.001〜3の
範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万のケイ素ア
ルコキシド付加ポリシラザンである。
【0033】低温セラミックス化ポリシラザンの別の例
として、本出願人による特開平6−122852号公報
に記載されているグリシドール付加ポリシラザンが挙げ
られる。この変性ポリシラザンは、上記一般式(I)で
表されるポリシラザンとグリシドールを反応させて得ら
れる、グリシドール/ポリシラザン重量比が0.001
〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万のグ
リシドール付加ポリシラザンである。
【0034】低温セラミックス化ポリシラザンのさらに
別の例として、本願出願人による特願平5−35604
号明細書に記載されているアセチルアセトナト錯体付加
ポリシラザンが挙げられる。この変性ポリシラザンは、
上記一般式(I)で表されるポリシラザンと、金属とし
てニッケル、白金、パラジウム又はアルミニウムを含む
アセチルアセトナト錯体を反応させて得られる、アセチ
ルアセトナト錯体/ポリシラザン重量比が0.0000
01〜2の範囲内かつ数平均分子量が約200〜50万
のアセチルアセトナト錯体付加ポリシラザンである。上
記の金属を含むアセチルアセトナト錯体は、アセチルア
セトン(2,4−ペンタジオン)から酸解離により生じ
た陰イオンacac- が金属原子に配位した錯体であ
り、一般に式(CH3 COCHCOCH3 n M〔式
中、Mはn価の金属を表す〕で表される。
【0035】本発明により用いるポリシラザンは、分子
量が低すぎると、焼成時の収率が低くなり、実用的でな
い。一方分子量が高すぎると溶液の安定性が低く、健全
な膜が得られない。これらの理由から、用いるポリシラ
ザンの分子量は数平均分子量で下限は100、好ましく
は500である。また、上限は5万、好ましくは100
00である。
【0036】本発明の紫外線防止透明板は、上記のよう
なポリシラザンに基づいてSiO2膜を形成し、且つそ
の膜中に紫外線吸収性金属酸化物微粒子を分散させるこ
とを特徴とするものである。金属酸化物微粒子は、紫外
線吸収能を有するものであれば何でもよいが、ポリシラ
ザンとの相性が良いことからZnO、TiO2 及びSe
2 3 から成る群より選ばれた少なくとも1種の金属酸
化物の微粒子であることが好ましい。
【0037】本発明に用いる紫外線吸収性金属酸化物微
粒子は、その平均粒径を1.0μm以下、より好ましく
は0.05μm以下の超微粒子とすることによってSi
2膜の可視光線の透過が可能となる。使用するセラミ
ックス超微粒子の平均粒径が小さいものは入手が困難で
あり、平均粒径が大きいと透明なセラミックス膜を得る
ことが難かしいことから、使用するセラミックス超微粒
子の平均粒径の下限は、限定するわけではないが、一般
に0.005μm、好ましくは0.01μmである。上
限は1.0μm、好ましくは0.05μmである。
【0038】具体的には、例えば、住友セメント製Zn
O分散液ZS303(粒径0.025μm、30wt%、
トルエン溶液)、又は出光興産製TiO2 粉末IT−U
D(粒径0.02μm、高分散化処理タイプ)が好まし
い。この場合は、シラザンのキシレン溶液に添加し、適
宜攪拌又は超音波分散、ボールミルによる分散を行えば
よい。他に、三菱マテリアル製ZnO粉末C−30や堺
工業製ZnO粉末FINEX−25、50、75を使用
することができる。この場合は、凝集粒子を分散するた
め、ボールミル、振動ミル、ペイントシェーカー、アト
ライターなどによる強力な処理が必要である。適宜分散
剤を加えることもできる。
【0039】紫外線吸収性金属酸化物微粒子の添加量が
少ないと紫外線吸収効果がなくなるので、ポリシラザン
と金属酸化物微粒子の合計重量を100重量部とした場
合の金属酸化物微粒子の添加量の下限は5重量部、好ま
しくは15重量部である。一方、多すぎると膜中に空隙
が形成されることから、同様に上限は95重量部、好ま
しくは85重量部である。金属酸化物微粒子の好ましい
添加量は、ポリシラザンとの合計重量100重量部に対
して、50〜80重量部、より好ましくは60〜70重
量部である。
【0040】セラミックス超微粒子はポリシラザンコー
ティング溶液に均一に分散させるべきである。均一に分
散させる方法としては、高分散タイプ(ZS−303、
IT−UDなど)の場合は、適宜攪拌、超音波分散、ボ
ールミルによる分散を行なえば十分であるが、一般のセ
ラミックス超微粒子(C−30、F1NEX−29、5
0、75など)の場合には必要に応じ予め市販の分散剤
を添加したシラザン溶液中でボールミル、振動ミル、ペ
イントシェーカー、アトライターなどによる強力な分散
処理を行なって均一なコーティング液とする必要があ
る。
【0041】本発明の紫外線防止透明板は、ポリシラザ
ンと平均粒径0.005〜1.0μmの紫外線吸収性金
属酸化物微粒子とを適当な溶剤中に含むコーティング組
成物を調製後、これを透明プラスチックまたはガラスの
少なくとも片面に適用して低温でセラミックス化するこ
とにより製造される。
【0042】溶剤としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭
化水素、芳香族炭化水素の炭化水素溶媒、ハロゲン化メ
タン、ハロゲン化エタン、ハロゲン化ベンゼン等のハロ
ゲン化炭化水素、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等の
エーテル類を使用することができる。好ましい溶媒は、
塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ブロモホル
ム、塩化エチレン、塩化エチリデン、トリクロロエタ
ン、テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、エチ
ルエーテル、イソプロピルエーテル、エチルブチルエー
テル、ブチルエーテル、1,2−ジオキシエタン、ジオ
キサン、ジメチルジオキサン、テトラヒドロフラン、テ
トラヒドロピラン等のエーテル類、ペンタンヘキサン、
イソヘキサン、メチルペンタン、ヘプタン、イソヘプタ
ン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、メチル
シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等
の炭化水素等である。これらの溶剤を使用する場合、ポ
リシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度を調節するため
に、2種類以上の溶剤を混合してもよい。
【0043】溶剤の使用量(割合)は採用するコーティ
ング方法により作業性がよくなるように選択され、また
用いるポリシラザンの平均分子量、分子量分布、その構
造によって異なるので、適宜、自由に混合することがで
きる。好ましくは固形分濃度で1〜50重量%の範囲で
混合することができる。
【0044】また、本発明のコーティング用組成物にお
いて、必要に応じて適当な充填剤及び/又は増量剤を加
えることができる。充填剤の例としてはシリカ、アルミ
ナ、ジルコニア、マイカを始めとする酸化物系無機物あ
るいは炭化珪素、窒化珪素等の非酸化物系無機物の微粉
等が挙げられる。また用途によってはアルミニウム、亜
鉛、銅等の金属粉末の添加も可能である。さらに充填剤
の例を詳しく述べれば、シリカゾル、ジルコニアゾル、
アルミナゾル、チタニアゾル等のゾル:ケイ砂、石英、
ノバキュライト、ケイ藻土等のシリカ系:合成無定形シ
リカ:カオリナイト、雲母、滑石、ウオラストナイト、
アスベスト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等
のケイ酸塩:ガラス粉末、ガラス球、中空ガラス球、ガ
ラスフレーク、泡ガラス球等のガラス体:窒化ホウ素、
炭化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化アルミニウム、窒
化ケイ素、炭化ケイ素、ホウ化チタン、窒化チタン、炭
化チタン等の非酸化物系無機物:炭酸カルシウム:酸化
亜鉛、アルミナ、マグネシア、酸化チタン、酸化ベリリ
ウム等の金属酸化物:硫酸バリウム、二硫化モリブデ
ン、二硫化タングステン、弗化炭素その他無機物:アル
ミニウム、ブロンズ、鉛、ステンレススチール、亜鉛等
の金属粉末:カーボンブラック、コークス、黒鉛、熱分
解炭素、中空カーボン球等のカーボン体等があげられ
る。好ましい充填剤は、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ア
ルミニウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物系無機物の
超微粒子及びシリカゾルである。
【0045】これら充填剤は、針状(ウィスカーを含
む)、粒状、鱗片状等種々の形状のものを単独又は2種
以上混合して用いることができる。これら充填剤の粒子
の大きさは1回に適用可能な膜厚よりも小さいことが望
ましい。また充填剤の添加量はポリシラザン1重量部に
対し、0.05〜10重量部の範囲であり、特に好まし
い添加量は0.2〜3重量部の範囲である。コーティン
グ用組成物には、必要に応じて各種顔料、レベリング
剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、分
散剤、表面改質剤、可塑剤、乾燥促進剤、流れ止め剤、
等を加えてもよい。
【0046】本発明の紫外線防止透明板の基材として
は、ガラスの他、種々の透明プラスチック材料が包含さ
れ、例えば、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチ
ル(PMMA)、ポリエーテルサルファイド、ポリエス
テル、ポリプロピレン、等が挙げられる。ガラスやプラ
スチックの面積や厚さには特に制限はなく、用途に応じ
た任意の面積及び厚さのガラスやプラスチックを使用す
ることができる。
【0047】本発明によると、上記のようなコーティン
グ用組成物を上記のようなガラスまたはプラスチック基
板の少なくとも片面に適用することによってポリシラザ
ンの膜を形成する。適用方法は、通常実施されている塗
布方法、すなわちスピンコート、浸漬、ロール塗り、バ
ー塗り、刷毛塗り、スプレー塗り、フロー塗り等が用い
られる。また、塗布前に基板をヤスリがけ、脱脂、各種
ブラスト、等で表面処理しておくとコーティング組成物
の付着性能が向上する。このような方法でコーティング
し、充分乾燥させた後、加熱・焼成する。この焼成によ
ってセラミックス超微粒子含有ポリシラザンは架橋、縮
合、あるいは、焼成雰囲気によっては酸化、加水分解し
て硬化し、強靱な被覆を形成する。
【0048】上記焼成条件はポリシラザンの分子量や構
造などによって異なる。焼成温度はポリシラザンがセラ
ミックス化する温度、通常400℃以上が好ましいが、
より低温でセラミックス化するタイプのポリシラザンで
は、例えば130〜350℃でもよい。昇温速度は特に
限定しないが、5〜20℃/分の緩やかな昇温速度が好
ましい。焼成雰囲気は酸素中、空気中あるいは不活性ガ
ス等のいずれであってもよいが、空気中がより好まし
い。空気中での焼成により金属微粒子添加ポリシラザン
の酸化、あるいは空気中に共存する水蒸気による加水分
解が進行し、上記のような低い焼成温度でSi−O結合
あるいはSi−N結合を主体とする強靱な被膜の形成が
可能となる。この被膜はポリシラザンに由来するため窒
素を原子百分率で0.005〜5%含有する。
【0049】低温セラミックス化ポリシラザンを使用し
た場合には、上記のような方法でコーティングした後、
プラスチック基板やガラスを損なわない温度、好ましく
は150℃以下で加熱処理を施す。一般に、加熱処理を
150℃以上で行うと、プラスチック基板が変形した
り、その強度が劣化するなど、プラスチック基板が損な
われる。しかしながら、ポリイミド等の耐熱性の高いプ
ラスチック基板の場合にはより高温での処理が可能であ
り、この加熱処理温度は、基板の種類によって当業者が
適宜設定することができる。加熱雰囲気は酸素中、空気
中のいずれであってもよい。
【0050】上記の温度での熱処理においてはSi−
O、Si−N、Si−H、N−Hが存在する膜が形成さ
れる。この膜はまだセラミックスへの転化が不完全であ
る。この膜を、次に述べる2つの方法及びのいずれ
か一方又は両方によって、セラミックスに転化させるこ
とが可能である。
【0051】水蒸気雰囲気中での熱処理。 圧力は特に限定されるものではないが、1〜3気圧が現
実的に適当である。相対湿度は特に限定されるものでは
ないが、10〜100%RHが好ましい。温度は室温以
上で効果的であるが室温〜150℃が好ましい。熱処理
時間は特に限定されるものではないが10分〜30日が
現実的に適当である。水蒸気雰囲気中での熱処理によ
り、低温セラミックス化ポリシラザンの酸化または水蒸
気との加水分解が進行するので、上記のような低い加熱
温度で、実質的にSiO2 からなる緻密な膜の形成が可
能となる。但し、このSiO2 膜はポリシラザンに由来
するため窒素を原子百分率で0.005〜5%含有す
る。この窒素含有量が5%よりも多いと膜のセラミック
ス化が不十分となり所期の効果(例えば紫外線防止性や
硬度)が得られない。一方、窒素含有量を0.005%
よりも少なくすることは困難である。好ましい窒素含有
量は原子百分率で0.1〜3%である。
【0052】触媒を含有した蒸留水中に浸す。 触媒としては、酸、塩基が好ましく、その種類について
は特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、ジ
エチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、n−エキシルアミン、n
−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブ
チルアミン、グアニジン、ピグアニン、イミダゾール、
1,8−ジアザビシクロ−〔5,4,0〕−7−ウンデ
セン、1,4−ジアザビシクロ−〔2,2,2〕−オク
タン等のアミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化リチウム、ピリジン、アンモニア水等のアル
カリ類;リン酸等の無機酸類;氷酢酸、無水酢酸、プロ
ピオン酸、無水プロピオン酸のような低級モノカルボン
酸、又はその無水物、シュウ酸、フマル酸、マレイン
酸、コハク酸のような低級ジカルボン酸又はその無水
物、トリクロロ酢酸等の有機酸類;過塩素酸、塩酸、硝
酸、硫酸、スルホン酸、パラトルエンスルホン酸、三フ
ッ化ホウ素及びその電気供与体との錯体、等;SnCl
4 、ZnCl2 、FeCl3 、AlCl3 、SbC
3 、TiCl4 などのルイス酸及びその錯体等を使用
することができる。好ましい触媒は塩酸である。触媒の
含有割合としては0.01〜50重量%、好ましくは1
〜10重量%である。保持温度としては室温から沸点ま
での温度にわたって有効である。保持時間としては特に
限定されるものではないが10分〜30日が現実的に適
当である。
【0053】触媒を含有した蒸留水中に浸すことによ
り、低温セラミックス化ポリシラザンの酸化あるいは水
との加水分解が、触媒の存在により更に加速され、上記
のような低い加熱温度で、実質的にSiO2 からなる緻
密な膜の形成が可能となる。但し、先に記載したよう
に、このSiO2 膜はポリシラザンに由来するため窒素
を同様に原子百分率で0.005〜5%含有する。
【0054】1回の適用で得られるSiO2 膜の厚さ
は、好ましくは1〜5μm、より好ましくは1〜2μm
の範囲である。膜厚が5μmよりも厚いと熱処理時に割
れが入ることが多く、また曇りが生じることによりヘイ
ズ率(透明板としては3%以下が好ましい)が増加して
しまう。反対に、膜厚が1μmよりも薄いと所期の効
果、例えば所望の紫外線防止性や硬度が得られない。こ
の膜厚は、コーティング用組成物の濃度を変更すること
によって制御することができる。すなわち、膜厚を増加
するためにはコーティング用組成物の固形分濃度を高く
する(溶剤濃度を低くする)ことができる。また、コー
ティング用組成物を複数回適用することによって膜厚を
さらに増加させることもできる。
【0055】こうして、本発明のコーティング組成物を
低温焼成すると、硬度8H以上、さらには9H以上(鉛
筆硬度)の高硬度で且つ緻密なセラミックス膜が塗布、
硬化という通常の簡便な方法で得られる。このようにし
て得られる本発明の紫外線防止透明板は、可視光透過率
を80%以上、さらには95%以上にすると共に、波長
370nmの紫外線の透過率を10%にまで低下させる
ことができる。
【0056】また本発明によると、上記のように、透明
板の少なくとも片面にポリシラザンと紫外線吸収性金属
酸化物微粒子とを含む組成物をセラミックス化して形成
した窒素を原子百分率で0.005〜5%含み且つ前記
紫外線吸収性金属酸化物微粒子を含有するSiO2 膜上
に、さらにポリシラザンをセラミックス化して窒素を原
子百分率で0.005〜5%含む別のSiO2 膜を形成
することができる。
【0057】後者の紫外線吸収性金属酸化物微粒子を含
まないポリシラザン由来のSiO2膜は、先に記載した
ポリシラザンと同じものを、紫外線吸収性金属酸化物微
粒子を含まないことを除く同様のコーティング組成物と
して使用し、且つ上記のような簡便な低温焼成法で形成
することができる。このSiO2 膜の厚さは、用途に応
じて上記のように適宜設定することができるが、一般に
0.1〜5μm、好ましくは0.5〜2μmである。
【0058】この付加的なSiO2 膜は紫外線吸収性金
属酸化物微粒子を含むSiO2 膜よりも硬度が高く、し
かも透明であるため、これをオーバーコートとして使用
することにより、本発明の紫外線防止透明板の硬度(耐
磨耗性)をさらに向上させることができる。
【0059】
【実施例】実施例によって本発明をさらに説明する。以
下の実施例において、ヘイズ率の測定には日本電飾株式
会社製ヘイズメーターNDH−300Aを使用し、また
テーバー磨耗試験にはテスター産業株式会社製AB−1
01テーバー磨耗試験機を使用した。
【0060】ポリシラザンコーティング組成物の調製 組成物1:東燃製ペルヒドロポリシラザンType−1
(PHPS−1;数平均分子量900)の20%キシレ
ン溶液を調製し、これを組成物1とした。
【0061】組成物2:温度0℃の反応槽内に設置した
1Lの反応容器内を乾燥窒素で置換し、次いで乾燥ピリ
ジン500mlを入れ温度が一定になるまで保持した。
その後、攪拌しながら、ジクロロシラン(SiH2 Cl
2 )50.5g、メチルジクロロシラン(MeSiHC
2 )28.75gをそれぞれ加えて錯体混合物を形成
させ、白色固体状のアダクトを得た。次に、反応混合物
を攪拌しながら乾燥アンモニア32.0gを約30分か
けて添加した。反応終了後、乾燥窒素を吹き込み未反応
のアンモニアを除去し、次いで窒素雰囲気下で加圧濾過
し、濾液450mlを得た。この濾液に乾燥m−キシレ
ン1000mlを加え減圧下で溶媒を除去したところ、
31.0gの無色の粘性液体が得られた。この粘性液体
の数平均分子量は、GPCにより測定したところ150
0であった。また、IRスペクトルの分析結果による
と、3350cm-1及び1175cm-1にN−Hに基づ
く吸収が、2165cm-1にSi−Hに基づく吸収が、
1020〜820cm-1にSi−H、Si−N−Siに
基づく吸収が、そして1270cm-1にSi−Meに基
づく吸収がそれぞれ確認された。この粘性液体の20%
キシレン溶液を調製し、これを組成物2とした。
【0062】組成物3:組成物1の20%キシレン溶液
50gに酢酸パラジウムの0.5%キシレン溶液20g
を添加し、大気中20℃で3時間攪拌しながら反応を行
った。次いで、この溶液を濃縮して濃度20%の溶液を
調製した。この溶液の数平均分子量はGPCにより測定
したところ970であった。この溶液を組成物3とし
た。 組成物4:組成物2の20%キシレン溶液50gに酢酸
パラジウムの0.5%キシレン溶液20gを添加し、大
気中20℃で3時間攪拌しながら反応を行った。次い
で、この溶液を濃縮して濃度20%の溶液を調製した。
この溶液の数平均分子量はGPCにより測定したところ
1550であった。この溶液を組成物4とした。
【0063】実施例1 組成物1のキシレン溶液50gに酸化亜鉛微粒子(住友
セメント社製)の20%トルエン分散液116.6gを
添加し、室温で1時間攪拌した。この状態でポリマーと
酸化亜鉛微粒子を合わせた全固形分中の酸化亜鉛量は7
0重量%であった。この酸化亜鉛分散液を石英硝子上に
スピンコート法(2000rpm、20秒)で塗布し
た。塗布後、大気中450℃で30分間焼成した。焼成
後の膜は無色透明であり、また膜厚は1.2ミクロンで
あった。
【0064】この膜の紫外可視スペクトルを測定した結
果、波長370nmにおける透過率は8%、また350
nmにおける透過率は2%であり、優れた紫外吸収効果
が示された。さらに、可視部における透過率は92%、
ヘイズ率は0.2%であり、光学特性にも優れているこ
とが示された。膜の硬さは、鉛筆硬度で9H以上を示し
た。
【0065】実施例2〜8 実施例1と同様の方法に従い、各種組成物、酸化亜鉛
量、焼成温度についてその効果を調べた。結果を以下の
表1にまとめる。
【0066】
【表1】
【0067】実施例9 組成物3の20%キシレン溶液に、実施例1と同様に酸
化亜鉛微粒子のトルエン分散液を固形分中の酸化亜鉛濃
度が70重量%になるように添加した。この分散液を石
英硝子上にスピンコート法(2000rpm、20秒)
で塗布した後、250℃で120分間焼成した。次い
で、この紫外吸収膜上に、酸化亜鉛を保護するために、
組成物1の濃度を10%に調整し、これをスピンコート
法(2000rpm、20秒)で塗布した後、250℃
で120分間焼成した。
【0068】得られた膜は無色透明であり、紫外吸収膜
と合わせた全体の膜厚は1.5ミクロンであった。この
膜の光学特性を以下に示す。 紫外吸収性:T370=8%、T350=2.1% 可視透過率:92% ヘイズ率:0.2%
【0069】次に、この膜を5%塩酸に24時間浸漬し
た後の光学特性を以下に示す。 紫外吸収性:T370=8%、T350=2.1% 可視透過率:91% ヘイズ率:0.2% このように、膜の光学特性は塩酸浸漬前後で変化がな
く、耐酸性に優れていることが示された。
【0070】この膜の物理的強度を測定するためにテー
バー試験(500g、1000回)を実施し、試験前後
のヘイズ率を比較した。その結果、試験後のヘイズ率は
0.5%となり、透明板として許容される値であること
が確認された。
【0071】実施例10 組成物4の20%キシレン溶液に、実施例1と同様に酸
化亜鉛微粒子のトルエン分散液を固形分中の酸化亜鉛濃
度が70重量%になるように添加した。この20%溶液
をソーダ硝子上にフローコート法で塗布した後、250
℃で120分間焼成した。次いで、紫外吸収膜を保護す
るために、組成物4の20%溶液を同様にフローコート
法で紫外吸収膜上に塗布した後、250℃で120分間
焼成した。
【0072】得られた膜は無色透明であり、紫外吸収膜
と保護膜を合わせた全体の膜厚は4ミクロンであった。
この膜の光学特性を以下に示す。 紫外吸収性:T370=2.0%、T350=0.2% 可視透過率:90% ヘイズ率:0.2%
【0073】次に、この膜を5%塩酸に24時間浸漬し
た後の光学特性は浸漬前後で全く変化がなく、耐酸性に
優れていることが示された。実施例9と同様にテーバー
試験(500g、1000回)を実施し、試験前後のヘ
イズ率を比較した。その結果、試験後のヘイズ率は1.
5%となり、透明板として許容される値であることが確
認された。
【0074】実施例11 組成物3の20%キシレン溶液に、実施例1と同様に酸
化亜鉛微粒子のトルエン分散液を固形分中の酸化亜鉛濃
度が70重量%になるように添加した。この溶液をポリ
カーボネート基板上にフローコート法で塗布した後、1
30℃で1時間焼成した。その後、温度95℃、相対湿
度80%の加湿雰囲気において3時間処理した。
【0075】このようにして得られた膜は無色透明であ
り、膜厚は0.8であった。この膜の光学特性を以下に
示す。 紫外吸収性:T370=15%、T350=5% 可視透過率:88% ヘイズ率:0.2%
【0076】これらの値はプラスチック透明板として優
れた値である。また、この膜の鉛筆硬度は7Hであり、
プラスチックとして十分な硬度を有することが示され
た。
【0077】
【発明の効果】本発明によると、ポリシラザンと紫外線
吸収性金属酸化物微粒子を用いることにより、プラスチ
ックや強化ガラスなどの透明板をこれらを損なうほど高
温の熱処理にさらすことなく塗布法等の簡便な方法によ
って、これらの透明板上に透明性の高い紫外線防止膜を
形成することができる。本発明の紫外線防止透明板は、
所望の紫外線防止性能に加え、自動車用窓ガラスや建築
用透明板に要求される硬度(耐磨耗性)をも兼ね備え
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 直 埼玉県入間郡大井町西鶴ヶ岡1丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明板の少なくとも片面に、ポリシラザ
    ンと平均粒径0.005〜1.0μmの紫外線吸収性金
    属酸化物微粒子とを含む組成物を塗布し、これをセラミ
    ックス化して形成した、窒素を原子百分率で0.005
    〜5%含み且つ前記紫外線吸収性金属酸化物微粒子を含
    有するSiO2 膜を有することを特徴とする紫外線防止
    透明板。
  2. 【請求項2】 透明板の少なくとも片面に、ポリシラザ
    ンと平均粒径0.005〜1.0μmの紫外線吸収性金
    属酸化物微粒子とを含む組成物を塗布し、これをセラミ
    ックス化することを特徴とする紫外線防止透明板の製造
    方法。
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