JPH0816454B2 - 内燃機関のトルク変動抑制装置 - Google Patents

内燃機関のトルク変動抑制装置

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JPH0816454B2
JPH0816454B2 JP58227494A JP22749483A JPH0816454B2 JP H0816454 B2 JPH0816454 B2 JP H0816454B2 JP 58227494 A JP58227494 A JP 58227494A JP 22749483 A JP22749483 A JP 22749483A JP H0816454 B2 JPH0816454 B2 JP H0816454B2
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    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、内燃機関のトルク変動抑制装置に関する。
(従来技術) 内燃機関のトルク変動を抑えるために、クランク軸の
慣性質量(例えばフライホイールの慣性質量)を大きく
したり、気筒数を増やして1気筒当りの排気量を小さく
したり、または、各気筒の圧縮比を下げたりするという
対策がとられてきた。しかし、このような対策は、何れ
も機関の基本的性能の劣化や重量の増加等を招くから好
ましくない。そこで、近年、クランク軸の回転トルクの
爆発1次成分を低減させることにより、機関の基本的性
能を劣化させることなく、機関のトルク変動を抑えるよ
うにした内燃機関のトルク変動抑制装置が開発されてい
る(例えば特開昭55−5453号公報参照)。
第8図は従来の内燃機関のトルク変動抑制装置の概念
図である。第8図において、1は機関本体、2はクラン
ク軸、3はクランク軸2に同軸上に固着されたフライホ
イールである。フライホイール3の外周近傍には、機関
本体1に取り付けられた、少なくとも1つの磁束発生手
段4が設けられており、この磁束発生手段4は励磁コイ
ルによって励磁される電磁石を有している。励磁コイル
には制御回路5から励磁電流が供給されており、この励
磁電流は、制御回路5により機関の運転状態に基づいて
制御されるようになっている。制御回路5は、機関の点
火1次信号S1および吸気マニホールド内の負圧レベルを
表示する負圧信号S2がそれぞれ入力されており、制御回
路5はこれらの各信号S1、S2に基づいて励磁電流を制御
する。また、フライホイール3の一部は磁性体で形成さ
れており、この磁性体部分は、磁束発生手段4により生
じる磁束が通る磁気回路として機能する。
このような構成において、クランク軸2(およびフラ
イホイール3)が回転すると、その回転に応じて磁気回
路(フライホイール3の磁性体部分)の磁気抵抗が所定
の特性で変化し、フライホイール3と磁束発生手段4と
の間の電磁力による磁気トルク………磁束発生手段4が
固定されている。機関本体1側(非回転側)からフライ
ホイール3側(回転側)に作用する抑制トルク………が
変化する。この抑制トルクは、クランク軸2に発生する
回転トルクの爆発1次成分に対して略逆位相となるよう
にクランク軸2に付与されているため、結局、クランク
軸2のトルク変動が抑制されることになる。しかも、磁
束発生手段4で発生する磁束の密度が機関の運転状態に
応じて制御されているため、クランク軸2に付与される
抑制トルクの大きさが該運転状態に適したものとなるよ
うに制御される。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、このような従来の内燃機関のトルク変
動抑制装置にあっては、フライホイール3の一部を磁性
体で形成するとともに、このフライホイール3の外周近
傍に磁束発生手段4を設け、これらの間に発生する電磁
力により回転トルク変動を抑制する構成となっていたた
め、抑制装置自体が大型、複雑化して重量が増加すると
ともに磁束発生手段4の消費する電力が大きく、特にア
イドル時においてバッテリの負担が大きくなり、その結
果、機関出力の定価や燃費の悪化を招くという問題点が
あった。
そこで本発明は、機関のクランク軸にブラシレスモー
タを直結するとともに、このブラシレスモータを機関の
クランク角に基づいてオルタネータあるいはモータとし
て作動させてクランク軸の回転トルク変動を抑制するこ
とにより、消費電力が少なく軽量のトルク変動抑制装置
を提供して燃費や機関出力を向上させることを目的とし
ている。
(課題を解決するための手段) 本発明による内燃機関のトルク変動抑制装置は、機関
のクランク角を検出するクランク角検出手段と、機関の
クランク軸に直結された三相交流ブラシレスモータと、
前記クランク角検出手段によって検出されたクランク角
が前記機関の爆発行程以外の所定のクランク角範囲にあ
るときモータ信号を出力し、前記クランク角検出手段に
よって検出されたクランク角が前記所定のクランク角範
囲にないとき該モータ信号の出力を停止するモータ信号
発生手段と、モータ信号が入力されたとき前記三相交流
ブラシレスモータを同期電動機として作動させモータ信
号の入力が停止されたとき前記三相交流ブラシレスモー
タを同期発電機として作動させるように前記三相交流ブ
ラシレスモータへの通電を制御する通電制御手段とを備
え、且つ、前記三相交流ブラシレスモータの設定進み角
θを、機関の始動時には所定の小さい値に設定する一
方、始動後は該始動時の値よりも大きい値に設定するよ
うに構成したことを特徴とするものである。
(実施例) 以下、本発明を図面に基づいて説明する。
第1図〜第3図は、本発明の実施例を示す図であり、
本発明を手動変速機を備えた車両に適用した例を示して
いる。
まず、構成を説明すると、第1図において、11は機関
のクランク軸であり、このクランク軸11には、ボルト12
によって略円筒状の第1ロータ13が固定されている。第
1ロータ13の周壁部には、第1ロータ13の軸方向(クラ
ンク軸11と軸線と同方向)と略平行に所定間隔を有して
歯状に突出した歯状部14が形成されており、この歯状部
14には、環状に形成された第2ロータ15の歯状部16が所
定間隔を有して噛合している。これら第1ロータ13と第
2ロータ15は、それらの歯状部14、において連結部材と
してのリング17により連結されている。そして、第1ロ
ータ13および第2ロータ15は、鉄等の磁気抵抗の小さい
磁性体により形成されており、リング17はステンレス等
の非磁性体により形成されている。したがって、第2ロ
ータ15は、リグ17により第1ロータ13と磁気的に絶縁さ
れるとともに、リング17および第1ロータ13と一体回転
する。また、第1ロータ13には、その歯状部14の内周部
に環状の凹部18が形成されており、この凹部18内には、
界磁巻線19と、この界磁巻線19を固定するとともに第1
ロータ13と同じく磁性体からなる界磁鉄心20と、が第1
ロータ13に対して所定間隔を隔てて配設されている。界
磁鉄心20は、第1ロータ13の凹部18に環状に配置され、
機関のリヤプレート21に図示していないボルトによって
固定されている。
一方、界磁巻線19は、界磁鉄心20上に環状に巻回され
ており、通電時に第1ロータ13と第2ロータ15の各々の
歯状部14、16に互いに異なる界磁極を誘導させる。すな
わち、界磁巻線19に、例えば第1図中紙面手前から後方
に向かって所定電流が通電されると、この電流により界
磁巻線19の周囲に磁束が発生するようになっており、こ
の磁束は、磁性体である第1ロータ13から第2ロータ15
および界磁鉄心20を経て周回し、この周回磁束により第
1ロータ13と第2ロータ15の各々の歯状部14、16にその
回転方向に沿ってN極とS極が交互に誘導されるように
なっている。
第1ロータ13と第2ロータ15の歯状部14、16に対向す
る外周部には、所定の空隙をもって電機子鉄心22が環状
に配設されており、この電機子鉄心22は、リヤプレート
21にボルト23によって固定されたブラケット24に嵌合し
てその軸方向の位置が設定されるとともに、図示してい
ないボルトによって該ブラケット24に固定されている。
また、電機子鉄心22は、その円周方向(第1および第2
ロータ13、15の回転方向)の位置がブラケット24と嵌合
する図示していないキーによって設定されている。電機
子鉄心22は、磁性体である薄い鉄板を積層して形成され
ており、その環状の内周部には電機子巻線25を収納する
スロットが設けられている。電機子巻線25は、このスロ
ットにR相、S相、T相からなるスター結線の三相巻線
として巻回されており、通電時に、電機子鉄心22に所定
の磁極(詳細は後述する)を誘導する。
第1ロータ13、第2ロータ15、リング17、界磁巻線1
9、回磁鉄心20、電機子鉄心22および電機子巻線25は、
三相交流ブラシレスモータ(以下、単にブラシレスモー
タということもある)26を構成している。このブラシレ
スモータ26は、第1ロータ13、第2ロータ15およびリン
グ17がクランク軸11の回転トルクにより一体回転し、界
磁巻線19により第1ロータ13および第2ロータ15の歯状
部14、16に界磁極が交互に誘導されるいわゆるブラシレ
スの同期電動機である。したがって、ブラシやコミュテ
ータ等は存在せず、第1ロータ13、第2ロータ15および
リング17からなる回転界磁部27が極めて簡素な構造とな
っている。
このブラシレスモータ26は、電機子巻線25への通電を
制御することにより、モータあるいはオルタネータとし
て作動する。すなわち、電動子巻線25に通電すればモー
タ(同期電動機)として作動し、通電を停止すれば第1
ロータ13と第2ロータ15の回転時にこれらの各歯状部1
4、16に誘導される磁極で磁界を横切ることにより三相
起電力を誘起してオルタネータ(同期発電機)として作
動する。
なお、28はクラッチ装置であり、このクラッチ装置28
のクラッチカバー29は、図示していないボルトにより第
1ロータ13に固定されている。このクラッチ装置28を介
してクランク軸11の回転力がメインドライブ軸30に伝達
される。
第2図は、このブラシレスモータ26を用いたトルク変
動制御装置の制御回路を示す図であり、本制御回路は、
レギュレータ回路31、信号発生回路(モータ信号発生手
段)51および通電制御回路(通電制御手段)53を有して
いる。
レギュレータ回路31は、オルタネータの出力電圧を一
定に保つ一般的な回路であり、トランジスタQ1〜Q3と、
ツェナダイオードZD1と、ダイオードD1〜D3と、抵抗R1
〜R4と、コンデンサC1と、を有している。このレギュレ
ータ回路31は、ブラシレスモータ26をオルタネータとし
て作動させた場合、オルタネータの出力電圧を抵抗R1、
R2により分圧してツェナダイオードZD1、ダイオードD
1、D2によって決定される基準電圧と比較し、この比較
結果に基づいて、界磁巻線19への通電を制御することに
より、オルタネータの出力電圧を一定に保つ働きを有し
ている。または、ブラシレスモータ26をモータとして作
動させた場合、界磁巻線19に通電する開示電流を制御し
て(すなわち、回転界磁部27に誘導される磁極の強さを
制御して)モータとしての回転駆動力を一定に保つ働き
を有している。なお、レギュレータ回路31は、バッテリ
34からの正電圧が抵抗R3を介してトランジスタQ1のコレ
クタに供給されると、その動作を開始する。
信号発生回路51は、トランジスタQ4〜Q7、Q23、Q24
と、抵抗R5〜R8、R15、R16とから構成されており、トラ
ンジスタQ4のベースには抵抗R5を介して回転数センサ35
からの回転数信号Snが、またトランジスタQ6のベースに
は抵抗R7を介してクランク角センサ(クランク角検出手
段)36からのクランク角信号Scがそれぞれ入力されてい
る。さらに、トランジスタQ23のベースには抵抗R15を介
して第2回転数センサ52からの回転数信号Sn2(機関の
回転数Nが≦400rpm)のとき、すなわち機関がクランキ
ング状態にあるときにHレベルとなる信号)が入力さ
れ、またトランジスタQ24のエミッタは、イグニッショ
ンスイッチ37のSTART接点(ST)に接続されている。
回転数センサ35は、機関の回転数を検出し、該回転数
Nが500rpm≦N≦1000rpmのとき、すなわち機関が低速
回転域にあるとき回転数信号SnをHレベルとする。クラ
ンク角センサ36は、機関のクランク角、すなわちピスト
ンの位置を検出している。クランク角センサ36は、例え
ば発光源として発光ダイオードを、また受光素子として
ホトトランジスタを用い、これらの間に透過される光を
第1ロータ13等の回転により断続させることにより、ク
ランク角を検出する。クランク角センサ36は、例えば4
サイクルの直列4気筒機関であれば、第1気筒のピスト
ンが上死点TDC前95゜〜0゜(上死点)にある範囲およ
び下死点BDC前95゜〜0゜(下死点)にある範囲におい
てクランク角信号ScをHレベルとする。クランク角の上
記各範囲は、4気筒のピストンのうち何れのピストンも
爆発行程になくクランク軸11が該クランク軸11自体や往
復運動部分(ピストン、コンロッド等)の質量による慣
性トルク(負のトルク)によって回転している範囲とな
る。一方、クランク角の上記以外の範囲は、クランク軸
11がシリンダ内の爆発圧力(正のトルク)を受けている
範囲に対応している。したがって、クランク角信号Scは
クランク軸11が負のトルクを受けているときのみHレベ
ルとなる。
したがって、信号発生回路51は、機関が低速回転域に
ありかつクランク軸11が負のトルクを受けているとき、
トランジスタQ4〜Q7をONとしてバッテリ34からの正電圧
を通電制御回路53に供給する(すなわち、モータ信号Sm
を出力する)。一方、機関が低速回転域にないときある
いはクランク軸11が正のトルクを受けているときには、
トランジスタQ4〜Q7をOFFとしてバッテリ34からの正電
圧の供給を停止する(すなわち、モータ信号Smの出力を
停止する)。さらに、イグニッションスイッチ37がSTAR
T位置まで操作されたときであって、且つ、回転数Nが4
00rpm以下であるとき(クランキング時)には、トラン
ジスタQ23、Q4をONとしてバッテリ34からの正電圧を通
電制御回路53に供給する(すなわち、始動モータ信号Sm
sを出力する)。
通電制御回路53は、電機子巻線25への通電を制御する
制御信号を出力する論理回路54と、該制御信号に基づい
て電機子巻線25のR相への通電を制御するR相制御回路
39と、同じくS相への通電を制御するS相制御回路40
と、T相への通電を制御するT相制御回路41と、三相ブ
リッジ回路42と、から構成されている。
論理回路54は、角度センサ43〜45の出力がそれぞれ供
給されるインバータIN1〜IN3と、一方の入力端にこれら
のインバータIN1〜IN3の出力がそれぞれ供給され、他方
の入力端に前記角度センサ43〜45の出力がそれぞれ直接
に供給されるアンドゲートAND1〜AND12と、オアゲートO
R1〜OR6と、を有しており、アンドゲートAND1〜AND12の
出力信号は、オアゲートOR1〜OR6を介してR、S、T相
制御回路39〜41に制御信号としてそれぞれ出力されるよ
うになっている。ここで、6個のアンドゲートAND1〜AN
D6の動作電源は、信号発生回路51からのモータ信号Smで
与えられ、また、残りのアンドゲートAND7〜AND12の動
作電源は、信号発生回路51からの始動モータ信号Smsで
与えられる。
角度センサ43〜45は、クランク軸11が180゜回転する
毎に出力がHレベルまたはLレベルとなる信号を出力す
るもので、これらの角度センサ43〜45の出力信号は電気
角で互いに120゜の間隔を有している。したがって、角
度センサ43〜45のそれぞれの出力信号は、2個がHレベ
ルで1個がLレベルである状態かまたは1個がHレベル
で2個がLレベルである状態の何れかとなっている。
また、角度センサ43〜45の出力信号の設定進み角θ
(電機子巻線25に対する電磁的な進み角度)は、60゜
(電気角)に設定されており、論理回路54は、モータ信
号Smが入力されたときにはθ=60゜の制御信号を出力
し、あるいは、始動モータ信号Smsが入力されたときに
はθ=0゜の制御信号を出力するようになっている。な
お、この設定進み角θが小さいときは、トルク変動抑制
機能が低下し、大きいときは、モータとしての駆動トル
クが低下する。
R相制御回路39は、トランジスタQ8〜Q12と抵抗R9、R
10と、を有しており、アンドゲートAND1、AND2から出力
される制御信号に基づいてバッテリ34から電機子巻線25
のR相に通電される電機子電流を制御する。また、S相
制御回路40はトランジスタQ13〜Q17と、抵抗R11、R12
と、を有しており、アンドゲートAND3、AND4から出力さ
れる制御信号に基づいてバッテリ34から電機子巻線25の
R相に通電される電機子電流を制御する。さらに、T相
制御回路41は、トランジスタQ18〜Q22と、抵抗R13、R14
と、を有しており、アンドゲートAND5、AND6から出力さ
れる制御信号に基づいてバッテリ34から電機子巻線25の
T相に通電される電機子電流を制御する。また、三相ブ
リッジ回路42はダイオードD4〜D9を有しており、電機子
巻線25に誘起した逆起電力を全波整流してバッテリ34に
供給する。
したがって、通電制御回路53は、モータ信号Smあるい
は始動モータ信号Smsが供給されると動作を開始し、例
えば角度センサ43、44の出力が共にHレベルで、角度セ
ンサ45の出力がLレベルであるとき、アンドゲートAND
3、AND6(信号Smsの供給時にはAND8、AND9)の出力をH
レベルにし、アンドゲートAND1、AND2、AND4、AND5(信
号Smsの供給時にはAND7、AND10、AND11、AND12)の出力
をLレベルにして、S相制御回路40およびT相制御回路
41(信号Smsの供給時にはR相制御回路39およびS相制
御回路40)を作動させ、電機子巻線25に所定方向の電機
子電流が流れるように通電する。
S相制御回路40は、アンドゲートAND3またはAND9の出
力がHレベルであるとき、トランジスタQ13〜Q15をON状
態とし、また、T相制御回路41は、アンドゲートAND6ま
たはAND12の出力がHレベルであるとき、トランジスタQ
21、Q22をON状態とする。この結果、電機子巻線25のS
相とT相に、第2図中矢印A方向の電機子電流が流れ
る。また、クランク軸11が回転して角度センサ43の出力
がHレベル、角度センサ44、45の出力がLレベルとなる
と、通電制御回路53は、アンドゲートAND1、AND6(信号
Smsの供給時にはAND9、AND12)の出力をHレベルにし、
アンドゲートAND2、AND3、AND4、AND5(信号Smsの供給
時にはAND7、AND8、AND10、AND11)の出力をLレベルに
して、R相制御回路39およびT相制御回路41(信号Sms
の供給時にはS相制御回路40およびT相制御回路41)を
作動させ、電機子巻線25に所定方向の電機子電流が流れ
るように通電する。R相制御回路39は、アンドゲートAN
D1またはAND7の出力がHレベルであるとき、トランジス
タQ8〜Q10をON状態とし、また、T相制御回路41は、ア
ンドゲートAND6またはAND12の出力がHレベルであると
き、トランジスタQ21、Q22をON状態とする。
この結果、電機子巻線25のR相とT相に、第2図中B
方向の電機子電流が流れる。以後同様に、通電制御回路
53は、クランク軸11の回転に対応して電機子巻線25に通
電する電機子電流の向きを制御し、電機子鉄心22にクラ
ンク軸11の回転方向と同一方向に回転する回転磁界を誘
導する。そして、ブラシレスモータ26は通電制御回路53
により電機子鉄心22に誘導される回転磁界と、レギュレ
ータ回路31からの界磁電流により回転界磁部27に誘導さ
れている磁極(すなわち、第1、第2ロータ13、15の歯
状部14、16に交互に誘導されているN極およびS極)と
の間に、エンジンの回転方向と同一方向の電磁力を発生
させて、モータとして作動し、例えば機関始動時には機
関を始動させる。
一方、通電制御回路53は、前記オータ信号Smの入力が
停止されたときには、上述したような電機子巻線25への
通電を遮断してブラシレスモータ26をオルタネータとし
て作動させる。この場合、通電制御回路53は三相ブリッ
ジ回路42により電機子巻線25に誘起した起電力を三相全
波整流してバッテリ34に供給する。
次に、機関の運転状況に対応させて作用を説明する。
始動時の作用 始動時にはブラシレスモータ26がいわゆるスタータモ
ータとして作動する。すなわち、イグニションスイッチ
37をSTART位置まで回すと、通電制御回路53に始動モー
タ信号Sms(設定進み角θを0゜に切り替えるための信
号)が入力されるとともに、レギュレータ回路31が界磁
巻線19の通電制御を開始する。レギュレータ回路31によ
り界磁巻線19に通電されると、この界磁電流により界磁
巻線19の周囲に磁束が発生し、該磁束により第1、第2
ロータ13、15の歯状部14、16に交互にN極とS極とが誘
導される。一方、始動モータ信号Smsが入力された通電
制御回路53は論理回路54の動作を開始させるとともに論
理回路54からの制御信号に基づいてR相、S相、T相制
御回路39、40、41それぞれ制御して、ブラシレスモータ
26の電機子巻線25に所定方向の電機子電流を通電させ
る。この電機子電流により電機子鉄心22に所定の磁極が
誘導されると、該磁極と回転界磁部27の周壁部に交互に
誘導されている磁極との間に電磁力が発生する。この電
磁力により回転界磁部27が回転を開始するとともに、こ
の回転界磁部27に連結されているクランク軸11が回転を
開始する。クランク軸11が回転すると、角度センサ43、
44、45の出力がクランク軸11の半回転毎にHレベルある
いはLレベルに順次反転する。これにより、通電制御回
路53が電機子巻線25への通電方向を順次切換えることか
ら、回転界磁部27に継続して回転力が付与される。した
がって、ブラシレスモータ26がスタータモータとして作
動し、機関を始動させる。
低速回転時(アイドル〜1000rpm以下のとき)の作用 このときには、クランク軸11への爆発圧力の有無に応
じてブラシレスモータ26がオルタネータあるいはモータ
として作動し、該クランク軸11の回転トルク変動を抑制
して低減させる。
すなわち、一般に、往復式内燃機関が発生する瞬時の
トルクは、爆発1次成分によるトルク(正のトルク)
と、往復質量による慣性トルク(負のトルク)と、が合
成されたもので、周期的に変動する性質を持っている。
例えば、4サイクルの直列4気筒機関の場合、クランク
軸のトルクは第3図に曲線Aで示すように変動してい
る。また、このような機関にオルタネータを装着し連続
して出力電流を取り出すと、クランク軸のトルク(曲線
A)からオルタネータの発電負荷トルクTAを減じたもの
がクランク軸の出力トルクとなって、正負の各トルクの
バランスが大きくくずれトルク変動がさらに大きくな
る。
そこで、本実施例では、クランク軸11が負のトルクを
受けているときには第3図bに示すようにブラシレスモ
ータ26をモータとして作動させることにより、モータ発
生トルク(正のトルク)TMをクランク軸11に付与して負
のトルクを抑制させるように作用させる。一方、正のト
ルクを受けているときには第3図bに示すようにブラシ
レスモータ26をオルタネータとして作動させることによ
り、通常の負荷に対する上記発電負荷トルク(比較的小
さい負のトルク)TAおよびブラシレスモータ26をオルタ
ネータとして作動させたためのバッテリ34の充電に必要
な充電負荷トルク(大きい負のトルク)TBを共にクラン
ク軸11に付与して正のトルクを抑制させるように作用さ
せる。そして、第3図cに曲線Cで示すように正負の各
トルクを略バランスさせトルク変動を低減させている。
すなわち、この低速回転域において、第1気筒のピス
トン位置が上死点前95゜〜0゜の範囲にあるとき(クラ
ンク軸11が負のトルクを受けているとき)には、回転数
信号Snおよびクランク角信号Scが共にHレベルとなり信
号発生回路51がモータ信号Sm(設定進み角θを60゜に切
り替えるための信号)を出力する。これにより、前述し
たの場合と同様の原理により通電制御回路53がブラシ
レスモータ26をモータとして作動させる。したがって、
クランク軸11にはモータ発生トルクTMが正のトルクとし
て作用することとなり、第3図cに曲線Cで示すように
クランク軸11のトルク変動が低減する。一方、ピストン
位置が上死点を超え上死点後85゜未満の範囲にあるとき
(クランク軸11が正のトルクを受けているとき)には回
転数信号SnはHレベルであるが、クランク角信号ScがL
レベルとなっている。このため、上記モータ信号Smの出
力が停止され、通電制御回路53がブラシレスモータ26を
オルタネータとして作動させる。したがって、クランク
軸11には発電負荷トルクTAおよび充電負荷トルクTBの双
方が負のトルクとして作用することとなり、第3図cに
曲線Cで示すようにクランク軸11のトルク変動が低減す
る。また、このときにはトルク変動を抑制しつつ、オル
タネータとして発電を行うこともできる。なお、上述し
た各制御は、第3図中では省略されているが、ピストン
位置が上死点前95゜〜0゜の範囲にあるときや下死点を
超え下死点後85゜未満の範囲においても同様に行われて
おり、以後このような1サイクル毎の制御が各サイクル
で継続して実行される。この結果、第3図cに曲線Cで
示すようにクランク軸11の出力トルクが正負の各範囲に
おいて略バランスすることとなり、回転トルク変動を低
減させることができる。また、実際上回転トルク変動は
機関低速時において著しく発生しているが、本装置によ
れば上述したようにこのトルク変動を低減させることが
でき、低速域における回転を滑らかにすることができ
る。
中高速回転時(1000rpm以上)の作用 このときには、ブラシレスモータ26がオルタネータと
して作動する。すなわち、この中高速域においては、回
転数信号Snが常にLレベルであり、クランク各信号Scの
Hレベル化に拘らず信号発生回路51がモータ信号Smを出
力しない。したがって、通電制御回路53がブラシレスモ
ータ26を常時オルタネータとして作動させる。
以上、〜において説明したように、本実施例によ
れば、機関始動時には、設定進み角θを0゜にしてモー
タの駆動トルク(始動トルク)を増大することができ、
機関の始動性を向上できる。また、低速回転時には設定
進み角θを60゜にして適切な大きさの駆動トルクとする
ことができ、トルク変動を効果的に抑制することができ
る。さらに、機関の回転トルク変動を抑制する装置とし
てクランク軸11に直結されたブラシレスモータ26を用い
ることにより、抑制装置自体を従来に比して簡素化して
軽量化を図ることができる。さらに、本抑制装置は、発
電装置や始動装置に共用できるため、従来のオルタネー
タおよびスタータモータを省略することができるととも
に、回転トルク変動を抑制するために必要な消費電力を
極めて小さくすることができる。その結果、アイドル時
におけるバッテリの負担を軽減させることができるとと
もに、燃費や機関出力を向上させることができる。
なお、本発明は上述したような手動変速機を備えた車
両に限らず、自動変速機を備えた車両にも勿論適用する
ことができる。
次に、本発明を理解する上で必要と思われる基礎的事
項の説明、並びに、上述した実施例の動作に関する補足
的説明を行う。
(1)設定進み角とは 2極交流発電機で起電力が最大となる電機角はπ/d
〔rad〕(=90゜)、4極交流発電機ではπ/4〔rad〕
(=45゜)であるが(第4図)、電動機の場合には回転
トルクを生み出すために、この角度よりも駆動電流の位
相を進める(すなわち進相させる)必要があり、その進
相角を「設定進み角」と言う。
設定進み角は回転数に依存し、たとえば、回転数が低
いほど小さな進み角で大きなトルクが得られる(第5
図)。このため、極低回転数で大きなトルクが要求され
るスタータモータでは、その設定進み角がほぼπ/2〔ra
d〕(2極の場合)又はπ/4(4極の場合)に近い値に
設定されている。
ここで、設定進み角をほぼπ/2〔rad〕(2極の場
合)又はπ/4〔rad〕(4極の場合)に設定(以下「進
み角小」)した場合と、それよりも大きく設定(以下
「進み角大」)した場合とを比較する。第6図から理解
されるように、低回転数では「進み角小」のトルクが
「進み角大」のトルクを上回り、ある回転数よりも高回
転域では「進み角大」のトルクが上回る。
したがって、適正な設定進み角は、極低回転数で使用
するスタータモータの場合には小さく、それよりも高い
回転域で使用するオルタネータの場合には大きくなけれ
ばならない。
本願発明の「三相交流ブラシレスモータの設定進み角
を、機関の始動時には所定の小さい値に設定する一方、
始動後は該始動時の値よりも大きい値に設定する」とい
う技術事項は、一つのモータでスタータモータとオルタ
ネータとを兼用するための必須要件である。
(2)三相交流ブラシレスモータの発電動作について 前出の第2図において、OR1〜OR6の出力がインアクテ
ィブ(図ではLレベル)となるときは、エンジン始動時
以外(AND7〜AND12の出力がインアクティブ)で、か
つ、低回転・負トルク以外(AND1〜AND6の出力がインア
クティブ)のときである。このときには、通電制御回路
53のすべてのドライブトランジスタ(Q8〜Q22)がオフ
しているから、三相交流ブラシレスモータ26の電機子巻
線25(ステータ側の巻線)には電流が供給されない。
ここで、三相交流ブラシレスモータ26がエンジンで回
転駆動されると、その電機子巻線25に起電力が生じる。
電機子巻線25の任意相(たとえばT相)の起電力(便宜
的にT相の下側が+、上側が−)に着目すると、T相
(+)→D8→バッテリ34(+)→バッテリ34(−)→グ
ランド→D7(及びD5)→S相(及びR相)→T相(−)
という経路で閉回路が形成される。閉回路中のダイオー
ド(ここではD5、D7及びD8)は、起電力から見た場合に
順方向であるから、起電力がバッテリ34の電圧よりも高
ければ、ダイオードがオンし、バッテリ34を充填するこ
とができる。したがって、上述の実施例によれば、上記
必須の技術事項を備えたことにより、三相交流ブラシレ
スモータ26を電動機と発電機(オルタネータ)の双方で
用いることができる。
(3)電動機と発電機の動作領域について 上述の実施例では、エンジンの始動時又は低回転・負
トルク時に三相交流ブラシレスモータ26を「電動機」と
して用い、それ以外のときには「発電機」として用いる
ようにしている。
前出の第2図において、エンジン始動時には信号Sn2
がHレベルになり、低回転域では信号SnがHレベルにな
り、また、負トルク時には信号ScがHレベルになる。信
号Sn2がHレベルになると、AND7〜AND12に対して電源
(Sms)が供給され、また、信号Snと信号Scが共にHレ
ベルになると、AND1〜AND6に電源(Sm)が供給される。
したがって、、AND7〜AND12への電源供給時がエンジン
始動時、AND1〜AND6への電源供給時が低回転・負トルク
時である。これらのエンジン始動時及び低回転・負トル
ク時におけるOR1〜OR6の動作タイミングを第7図に示
す。
低回転・負トルク時のAND1の出力は、角度センサ43か
らの信号がHレベルで、かつ、角度センサ44からの信号
がLレベルのときにアクティブ(Hレベル)になる。便
宜的に信号名を43、44とすると論理式では「43×44バ
ー」と表すことができる(バーは信号44の負論理)。同
様にAND2の出力は「43バー×44」、AND3の出力は「44×
45バー」、AND4の出力は「44バー×45」、AND5の出力は
「45×43バー」、AND6の出力は「45バー×43」と表すこ
とができる。また、エンジン始動時のAND7の出力は「44
バー×45」、AND8の出力は「44×45バー」、AND9の出力
は「45バー×43」、AND10の出力は「45×43バー」、AND
11の出力は「43バー×44」、AND12の出力は「43×44バ
ー」と表すことができる。
第7図の白抜き横長矩形図形とハッチング横長矩形図
形は、低回転・負トルク時及びエンジン始動時における
AND1〜AND6及びAND7〜AND12の出力アクティブ(すなわ
ちOR1〜OR6の出力アクティブ期間)を示している。ハッ
チング横長矩形図形は、電機子巻線に対する電流の供給
(シンク)期間、白抜き横長矩形図形は同巻線からの電
流の引き抜き(ドレン)期間であり、たとえば、R相に
供給された電流は、その前半部でS相からドレンされ、
後半部でT相からドレンされる。
ここで、低回転・負トルク時とエンジン始動時の帯の
並び方を比べると、順番は同じであるが位相がずれてい
る。すなわち、エンジン始動時における設定進み角に対
し、低回転・負トルク時の設定進み角が60゜だけずれて
いる。上述したように、回転数がきわめて低いエンジン
始動時には設定進み角をほとんどゼロにするのであるか
ら、このずれは、設定進み角を大きくしたことに他なら
ない。
設定進み角を大きくすると、中回転域でも大きなトル
クを取り出すことができる(第6図)。したがって、低
回転・負トルク時には、三相交流ブラシレスモータ26を
電動機として動作させることができ、エンジントルクの
一時的な落ち込みを電動機のトルクで補完することがで
きる。さらに、低回転時であっても、負トルクでないと
き、すなわち、クランク軸がシリンダ内の爆発圧内を受
けて回転しているときは、先にも述べたとおり、三相交
流ブラシレスモータ26を発電機(言い換えれば補機負
荷)として動作させることができるから、爆発圧力に伴
う一時的なトルクの上昇を迎えることができる。
以上のとおり、上述の実施例では、(イ)クランク軸
がシリンダ内の爆発圧力を受けているときに、三相交流
ブラシレスモータへの通電を停止するので、同モータを
発電機(補機負荷)として動作させることができ、爆発
圧力によるトルク上昇を抑制できる、(ロ)クランク軸
が爆発圧力を受けていないとき(負トルク時)に、三相
交流ブラシレスモータへの通電を許容するので、同モー
タを電動機として動作させることができ、一時的に低下
したエンジントルクを補完することができる、(ハ)同
モータの設定進み角を、エンジン始動時と低回転・負ト
ルク時の双方に適正化したので、上記モータをスタータ
モータとして使用することができる、という格別の作用
効果が得られるのである。
(効果) 本発明によれば、始動時には、三相交流ブラシレスモ
ータを大きなモータトルクを発生する同期電動機として
動作させることができ、機関の始動性を改善できる。ま
た、始動後の運転領域では、クランク軸がシリンダ内の
爆発圧力を受けていないときと、受けているときのそれ
ぞれに対応して三相交流ブラシレスモータを適度なモー
タトルクを発生する同期電動機と同期発電機の2形態で
動作させることができ、クランク軸の回転トルク変動を
抑制することができる。
なお、実施例では、設定進み角θを、0゜と60゜の2
段階に切り替えているが、これに限るものではない。こ
れよりも多段であってもよいし、あるいは、連続的に変
化するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第3図は本発明の一実施例を示す図であり、第
1図はそのブラシレスモータの側面断面図、第2図はそ
の制御回路を示す図、第3図はその作用を説明するため
の図である。第4図〜第7図は本発明の補足説明図であ
り、第4図はその設定進み角の説明図、第5図はその設
定進み角とトルクとの関係図、第6図はその設定進み角
の大小とトルクとの関係図、第7図はその動作フロー図
である。第8図は従来のトルク変動抑制装置を示す概略
構成図である。 (符号の説明) 11:クランク軸 26:ブラシレスモータ 51:信号発生回路(モータ信号発生手段) 53:通電制御回路(通電制御手段) 36:クランク角センサ(クランク角検出手段)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】機関のトランク角を検出するクランク角検
    出手段と、 機関のトランク軸に直結された三相交流ブラシレスモー
    タと、 前記クランク角検出手段によって検出されたクランク角
    が前記機関の爆発行程以外の所定のクランク角範囲にあ
    るときモータ信号を出力し、前記クランク角検出手段に
    よって検出されたクランク角が前記所定のクランク角範
    囲にないとき該モータ信号の出力を停止するモータ信号
    発生手段と、 モータ信号が入力されたとき前記三相交流ブラシレス
    モータを同期電動機として作動させモータ信号の入力が
    停止されたとき前記三層交流ブラシレスモータを同期発
    電機として作動させるように前記三相交流ブラシレスモ
    ータへの通電を制御する通電制御手段とを備え、且つ、 前記三相交流ブラシレスモータの設定進み角θを、機関
    の始動時には所定の小さい値に設定する一方、始動後は
    該始動時の値よりも大きい値に設定するように構成した
    ことを特徴とする内燃機関のトルク変動抑制装置。
JP58227494A 1983-11-30 1983-11-30 内燃機関のトルク変動抑制装置 Expired - Lifetime JPH0816454B2 (ja)

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