JP2019152146A - 鞍乗型車両用エンジンユニットおよび鞍乗型車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で始動性の高い鞍乗型車両用エンジンユニットを提供する。【解決手段】スタータモータおよびジェネレータとして兼用される回転電機20は、エンジン本体10のクランクシャフトに結合されている。制御装置60は、電磁ピックアップ50が生成する検出信号を用いて回転電機20を制御する。制御装置60は、アイドル停止条件が成立すると、エンジン本体10をアイドル停止状態とする。制御装置60は、再始動条件が成立すると、回転電機20によりクランクシャフトを正転方向に駆動し、かつ燃料噴射装置18を作動させてエンジン本体10を再始動させる。制御装置60は、回転電機20によりクランクシャフトをスイングバック位置まで逆転させるスイングバック制御を実行する。制御装置60は、再始動制御において、回転電機20によりクランクシャフトの正転方向への駆動を開始した後に、燃料噴射装置18に非同期噴射を行わせる。【選択図】図4

Description

この発明は、鞍乗型車両用エンジンユニットおよび鞍乗型車両に関する。
特許文献1は、エンジンの停止後にクランク軸を所定の位置まで逆転させて次のエンジン始動に備えるエンジン始動装置を備えたスクータ型自動二輪車を開示している。この車両は、スタータモータとACジェネレータとを組み合わせたスタータ兼ジェネレータ(ACGスタータ)を備えている。この車両は、車両を停止させるとエンジンを自動停止させ、その後、発進操作がされるとACGスタータを自動的に正転駆動してエンジンを再始動させるエンジン自動停止始動機能(いわゆるアイドルストップ機能)を有している。エンジン始動後は、ACGスタータは発電機として機能する。エンジンが停止すると、ACGスタータが逆転駆動され、逆転方向に関して圧縮上死点の手前の位置までクランク軸を逆転させる、スイングバック動作が行われる。エンジンが再始動されるときには、ACGスタータの正転駆動が開始されると、クランク軸の回転は圧縮上死点までの助走期間に充分に加速され、それによって、クランク軸を含む回転系の慣性トルクが大きくなる。したがって、ACGスタータの駆動トルクに加えて、回転系の慣性トルクを利用できる。それにより、ACGスタータの駆動トルクが小さくても、圧縮上死点を乗り越してクランク軸を回転させるために必要なトルクを得ることができる。したがって、ACGスタータの小型化を図ることができる。
特許文献1のACGスタータは、U相、V相、W相のそれぞれに対応してひとつずつ設けられるロータ角度センサを備えており、ロータ角度センサは、ホールICまたは磁気抵抗(MR)素子で構成されている。このロータ角度センサによって検出されるロータの回転位置に基づいて、ステータコイルのU,V,W各相に電流を供給する通電制御が行われる。さらに、ロータ角度センサは、クランク軸の回転位置(ステージ)を判定するために用いられる。これを利用して、スイングバック動作のときに、所定の位置までクランク軸が逆転される。
一方、特許文献2は、クランク角センサが生成するクランクパルスを計数してクランク軸の回転位置を検出する構成を備えたエンジンを開示している。こうして検出された回転位置を用いて4ストロークエンジンの行程が判別される。特許文献2は、さらに、キック操作によってエンジンが始動される際に、行程判別の完了を待たずにインジェクタから燃料を噴射させる非同期噴射を開示している。より具体的には、クランクパルスが規定数(たとえば2〜3個)入力されると、クランクパルスの平均パルス間隔が演算され、その平均パルス間隔がしきい値以下であれば、インジェクタが燃料を噴射する。このような非同期噴射によって、エンジンの始動性が向上する。
特開2002−332938号公報 特開2010−38017号公報
クランクパルスを生成するためのクランク角センサは、具体的には、電磁ピックアップによって構成することができる。ロータ上に回転方向に沿って間隔を空けて配列された検出体がロータの回転に伴って順次通過する検出領域に臨むように、電磁ピックアップが配置される。電磁ピックアップは、検出領域を検出体が通過することにより、電磁誘導によって、検出信号を生成する。この検出信号を波形整形することによって、クランクパルスが得られる。
発明者は、クランクシャフトに結合されたロータの回転位置を電磁ピックアップを用いて検出し、その検出された回転位置に基づいてスタータ・ジェネレータを制御する構成を有する鞍乗型車両用エンジンについて研究してきた。特許文献1に開示されているようなロータ角度センサは、高価であるため、コストダウンの妨げとなるからである。
一方、スタータモータおよびジェネレータ(発電機)として兼用されるスタータ・ジェネレータは、主として、鞍乗型車両の小さな搭載スペースのために、大型化が許されない。そのため、必要な発電力を確保しながら大きな駆動トルクを発生させることが難しい。したがって、確実な始動のために、特許文献1に記載されているようなスイングバック動作を行うことが有効である。さらに、始動性を高めるためには、特許文献2に記載されているような非同期噴射が有効である。
ところが、特許文献2の構成では、クランクパルスが数パルス入力されることでインジェクタが作動して非同期噴射が行われるから、スイングバックの際に生じるクランクパルスに応答して非同期噴射が実行されるおそれがある。そのため、スイングバック期間中に吸気バルブが開くと(吸気行程)、噴射された燃料が吸気管を逆流するおそれがある。それにより、たとえば、エアクリーナが燃料で汚染されるおそれがある。
そこで、この発明の一実施形態は、前述のような課題を解決し、安価な構成で始動性を高めることができる鞍乗型車両用エンジンユニットを提供する。また、この発明の一実施形態は、そのようなエンジンユニットを備えた鞍乗型車両を提供する。
この発明の一実施形態は、鞍乗型車両に備えられるエンジンユニットを提供する。このエンジンユニットは、気筒とクランクシャフトと燃料噴射装置とを有する4ストロークエンジン本体と、回転電機と、電磁ピックアップと、制御装置とを含む。前記回転電機は、前記クランクシャフトに対して動力伝達可能に結合されている。前記回転電機は、前記クランクシャフトを回転するスタータモータ、および前記クランクシャフトの回転力によって発電するジェネレータとして兼用される。前記回転電機は、前記クランクシャフトの回転とともに回転するロータと、前記ロータに対向するステータとを有する。前記電磁ピックアップは、前記ロータの回転方向に間隔を空けて前記ロータ上に配列された複数の被検出部が通過する領域に検出領域を有する。前記電磁ピックアップは、前記被検出部の前記検出領域の通過に伴って検出信号を生成する。前記制御装置は、前記エンジン本体の燃焼動作を制御する燃焼制御部と、前記電磁ピックアップが生成する検出信号を用いて前記回転電機を制御する回転電機制御部とを有する。前記制御装置は、前記電磁ピックアップが生成する検出信号を用いて、前記クランクシャフトの位置を特定する位置特定処理を実行する。また、前記制御装置は、アイドル停止条件が成立すると、前記エンジン本体の燃焼を停止させてアイドル停止状態とするアイドル停止制御を実行する。前記制御装置は、前記アイドル停止状態において、再始動条件が成立すると、前記回転電機により前記クランクシャフトを正転方向に駆動し、かつ前記燃料噴射装置を作動させて前記エンジン本体を再始動させる再始動制御を実行する。前記制御装置は、前記エンジン本体が前記アイドル停止状態となった後、前記クランクシャフトの正転方向への駆動を開始するまでに、前記回転電機により前記クランクシャフトを逆転方向に駆動して、前記クランクシャフトを所定のスイングバック位置まで逆転させるスイングバック制御を実行する。前記制御装置は、前記再始動制御において、前記回転電機により前記クランクシャフトの正転方向への駆動を開始した後に、前記燃料噴射装置に非同期噴射を行わせる始動非同期噴射制御を実行する。
鞍乗型車両の限られた搭載スペースのために、スタータモータおよびジェネレータとして兼用される回転電機は、できるだけ小型に構成されることが要求される。この要求のために、回転電機をスタータモータとして用いるときの駆動トルクをあまり大きくすることができない。そこで、エンジン本体がアイドル停止状態となってから、次に再始動されるまでの間に、スイングバック動作が行われる。したがって、エンジン本体を再始動するとき、スイングバック位置から圧縮上死点位置に至るまでにクランクシャフトの回転を充分に加速できる。それにより、クランクシャフトを含む回転系の慣性トルクと回転電機が発生する駆動トルクとの両方を利用して、圧縮上死点を乗り越すことができるから、小型の回転電機を用いながら、エンジン本体を始動できる。
一方、アイドル停止中に再始動条件が成立すると、回転電機によってクランクシャフトが正転方向に駆動される。そして、この正転方向への駆動が開始されると、非同期噴射が行われる。行程判別を待たずに燃料が噴射されることにより、その後に最初に圧縮上死点位置が到来すると、エンジン本体の初爆を生じさせることができる。これにより、スムーズなエンジン始動が可能になる。
しかも、回転電機がクランクシャフトの正転方向への駆動を開始することを条件に非同期噴射が行われるので、スイングバック動作の際に非同期噴射が実行されることはない。したがって、エンジン本体の吸気経路を燃料が逆流することを回避できる。
この実施形態では、回転電機のロータの回転情報、すなわちクランクシャフトの位置情報が電磁ピックアップを用いて取得されるので、ホールICのような位置センサを用いる場合に比較して構成が安価である。その反面、電磁ピックアップの検出信号だけでは、クランクシャフトの回転方向を判別できないから、電磁ピックアップの検出信号のみを基準にした非同期噴射では、スイングバック時にも燃料が噴射されるおそれがある。この問題が、前述の構成によって解決される。
したがって、この実施形態により、安価な構成で始動性を高めることができる鞍乗型車両用エンジンユニットを提供できる。
前記制御装置は、前記エンジン本体が停止したときに、前記スイングバック制御を行ってもよい。このスイングバック制御は、アイドル停止制御によるエンジン本体の停止時に限らず、アイドル停止制御以外の要因によるエンジン本体の停止時にも行われることが好ましい。アイドル停止制御以外の要因の具体例は、使用者によるメインスイッチのオフ操作である。
また、前記制御装置は、前記再始動条件が充足されたときに、前記再始動制御により前記回転電機が前記クランクシャフトを正転方向に駆動開始するよりも前に前記スイングバック制御を行ってもよい。
この発明の一実施形態では、前記制御装置は、前記始動非同期噴射制御において、前記クランクシャフトの前記正転方向への回転開始を判別する正転判別を実行する。前記制御装置は、前記正転判別によって前記クランクシャフトが前記正転方向への回転を開始したと判別されることを条件に、前記燃料噴射装置に非同期噴射を行わせる。
この構成により、クランクシャフトが正転方向への回転を開始したと判別されることを条件に非同期噴射が行われるので、スイングバック動作の際に非同期噴射が実行されることを確実に回避できる。したがって、エンジン本体の吸気経路を燃料が逆流することをより確実に回避できる。さらに、万一、回転電機への通電によってクランクシャフトの逆転方向への短期間の回転が生じたとしても、非同期噴射が実行されることもない。したがって、エンジン本体の吸気経路を燃料が逆流することを確実に回避できる。
クランクシャフトが正転方向への回転を開始したかどうかの判別は、たとえば、回転電機の正転方向への駆動制御の態様と、電磁ピックアップが生成する検出信号のタイミングとの関係を利用して行ってもよい。
この発明の一実施形態では、前記エンジン本体は、前記気筒内の燃料に点火する点火プラグを含む。前記制御装置は、前記始動非同期噴射制御において、前記回転電機が前記クランクシャフトの正転方向への駆動を開始した後、最初の圧縮上死点位置までに前記燃料噴射装置に非同期噴射を行わせる。前記再始動制御は、前記回転電機が前記クランクシャフトの正転方向への駆動を開始した後の最初の圧縮上死点位置の近傍に設定した初爆点火位置で前記点火プラグに火花放電を起こさせる初爆点火制御を含む。
この構成により、再始動制御において、クランクシャフトの正転方向への駆動が開始されると、非同期噴射によって燃料が供給され、その後に最初の圧縮上死点位置で点火プラグの火花放電によって燃料が着火する。これにより、最初の圧縮上死点位置で初爆を得ることができる。
前記初爆点火位置は、エンジン本体の始動が完了した後に適用される通常の点火位置と同じ位置であってもよい。
この発明の一実施形態では、前記複数の被検出部は、所定の基準クランク位置で前記電磁ピックアップが基準検出信号を生成するように構成されている。前記スイングバック位置は、たとえば、当該スイングバック位置から前記クランクシャフトを正転方向に回転させたときに最初の前記基準クランク位置の次の上死点が圧縮上死点となるように、定められている。前記制御装置は、前記位置特定処理において、前記初爆点火位置が、前記電磁ピックアップが生成する検出信号を用いて特定する。
この構成により、スイングバック位置からクランクシャフトが正転方向に回転されると、電磁ピックアップが基準クランク位置で基準検出信号を生成する。それにより、基準クランク位置と電磁ピックアップの検出信号とに基づく位置特定が可能になる。したがって、その後、圧縮上死点の近傍の初爆点火位置を電磁ピックアップの検出信号に基づいて特定できる。そして、初爆点火位置の到来が電磁ピックアップの検出信号に基づいて検出されると、点火プラグが火花放電する。非同期噴射は、回転電機がクランクシャフトを正転方向に駆動し始めることによって実行されるので、スイングバック位置から初爆点火位置に至るまでに非同期噴射を完了させることができる。したがって、初爆点火位置で点火プラグが火花放電することにより、最初の圧縮上死点位置で初爆を得ることができる。
この発明の一実施形態では、前記制御装置は、前記始動非同期噴射制御において、前記回転電機により前記クランクシャフトの正転方向への駆動が開始されると、その直後に前記電磁ピックアップが生成する検出信号をトリガとして前記燃料噴射装置に前記非同期噴射を行わせる。この構成により、クランクシャフトの正転方向への駆動が開始されると、速やかに非同期噴射を行って、初爆に備えることができる。
前記スイングバック位置は、エンジン本体の始動が完了した後に適用される通常の噴射位置(同期噴射に適用される噴射位置)よりも前の位置であることが好ましい。これにより、非同期噴射であっても、適切なタイミングでの燃料噴射が可能になる。前記スイングバック位置は、同期噴射に適用される噴射位置の直前の位置であることが好ましい。直前の位置とは、具体的には、当該直前の位置(スイングバック位置)からクランクシャフトを正転方向に回転したときに電磁ピックアップが噴射位置で最初の検出信号を生成する位置であることが好ましい。これにより、同期噴射に適用される噴射位置で非同期噴射を行わせることができる。
この発明の一実施形態では、前記エンジンユニットは、前記鞍乗型車両に搭載されるバッテリと前記回転電機との間を流れる電流を制御する複数のスイッチング素子を備えたインバータをさらに含む。前記回転電機制御部は、前記電磁ピックアップが生成する検出信号を用いて前記スイッチング素子を制御する。
この構成により、ホールICのような高価な位置センサを用いることなく、インバータのスイッチング素子を制御して、回転電機とバッテリとの間を流れる電流を制御できる。すなわち、電磁ピックアップの検出信号を用いて、回転電機をスタータモータとして利用するために駆動したり、回転電機をジェネレータとして利用するために電流経路をオン/オフしたりすることができる。
この発明の一実施形態では、前記制御装置は、前記始動非同期噴射制御において、前記クランクシャフトの前記正転方向への回転開始を判別する正転判別を実行する。前記制御装置は、前記正転判別によって前記クランクシャフトが前記正転方向への回転を開始したと判別されることを条件に、前記燃料噴射装置に非同期噴射を行わせる。前記正転判別は、前記回転電機制御部による前記スイッチング素子の制御と前記電磁ピックアップが生成する検出信号とに基づいて、前記スイッチング素子の制御と前記検出信号とのタイミングが整合しているかどうかを判定する正転同期回転判定を含む。
この構成により、ロータ回転方向に関する情報を生成しない電磁ピックアップを用いながら、クランクシャフトが正転方向への回転を開始したかどうかを判別できる。それにより、クランクシャフトが逆転方向に回転しているときに非同期噴射が実行されることを回避でき、吸気経路における燃料の逆流を回避できる。
この発明の一実施形態では、前記制御装置は、前記エンジン本体の行程を判別する行程判別を実行する。前記制御装置は、前記行程判別の結果に基づいて前記燃料噴射装置に同期噴射を行わせる同期噴射制御を実行する。前記制御装置は、前記始動非同期噴射制御を、前記行程判別の結果が得られるよりも前に実行する。
この構成により、アイドル停止状態からの再始動時には、行程判別がされるよりも前の非同期噴射によって燃料がエンジン本体に供給されるので、エンジン本体を速やかに始動できる。始動後は、行程判別結果に基づく同期噴射によって、適切なタイミングで燃料が供給される。
この発明の一実施形態では、前記制御装置は、前記非同期噴射における燃料噴射量を、前記同期噴射における燃料噴射量とは異なる規則に基づいて定める。これにより、アイドル停止状態からの再始動時のエンジン本体の状態と、始動後のエンジン本体の状態とにそれぞれ適合した燃料噴射量を個別の規則に基づいて定めることができる。それにより、再始動時の始動性を高めることができ、かつ運転中には必要充分な燃料をエンジン本体に供給できる。
この発明の一実施形態では、前記制御装置は、前記エンジン本体を前記アイドル停止状態以外の停止状態から始動する通常始動時には、前記始動非同期噴射制御を実行せず、前記同期噴射制御により前記燃料噴射装置から燃料を噴射させる。
通常始動時には、アイドル停止状態からの再始動時ほどの始動性は求められない。したがって、非同期噴射を行わなくてもよい。
また、アイドル停止制御以外の要因でエンジン本体の運転を停止したときにも制御装置がスイングバック制御を行う場合には、通常始動時までにクランクシャフトの位置がスイングバック位置から移動している可能性がある。すなわち、アイドル停止状態からの再始動の場合には、エンジン停止からの経過時間が短いので、クランクシャフトはスイングバック位置またはその近傍に位置していると考えられる。一方、アイドル停止制御以外の要因でエンジン本体が停止される場合とは、典型的には、使用者がエンジンユニットの使用(すなわち、鞍乗型車両の使用)を中断する場合である。したがって、エンジン本体が長時間に亘って運転停止状態に置かれる可能性が高い。そのため、通常始動時には、エンジン本体の運転が停止されてから長時間が経過している場合があるので、その間にクランクシャフトの位置がスイングバック位置から変動している可能性がある。したがって、通常始動時に非同期噴射を行うことは必ずしも適切ではない。
この発明の一実施形態では、前記複数の被検出部は、所定の基準クランク位置で前記電磁ピックアップが基準検出信号を生成するように構成されている。前記スイングバック位置は、たとえば、当該スイングバック位置から前記クランクシャフトを正転方向に回転させたときに最初の前記基準クランク位置の次の上死点位置が圧縮上死点位置となるように、定められている。前記制御装置は、前記行程判別において、前記再始動制御によって前記回転電機が前記クランクシャフトの正転方向への駆動を開始した後に前記電磁ピックアップが最初に生成する前記基準検出信号に基づいて前記エンジン本体の行程を判別する。
この構成によれば、再始動制御において、回転電機によりクランクシャフトを正転方向に回転させると、クランクシャフトは、スイングバック位置から基準クランク位置を経て圧縮上死点位置に至る。すなわち、基準クランク位置で電磁ピックアップが基準検出信号を生成すると、次の上死点位置は排気上死点位置ではなく圧縮上死点位置である。このような関係となるようにスイングバック位置が定められている。したがって、再始動制御によってクランクシャフトが正転方向への回転を始めたときに電磁ピックアップが生成する最初の基準検出信号を監視することにより、行程を判別できる。
この発明の一実施形態では、前記制御装置は、前記始動非同期噴射制御において、始動非同期噴射実行条件の成立を条件に前記燃料噴射装置に非同期噴射を行わせる。前記始動非同期噴射実行条件は、前記鞍乗型車両に備えられて前記回転電機に接続されるバッテリの電圧に関するバッテリ電圧条件、前記エンジン本体の温度に関する条件であるエンジン温度条件、および前記非同期噴射の回数制限に関する条件である非同期噴射回数制限条件のうちの一つ以上を含むことが好ましい。
バッテリ電圧条件は、バッテリ電圧が閾値以上であることであってもよい。バッテリ電圧が低いときには、スイングバック制御によってクランクシャフトをスイングバック位置に正確に位置制御できない懸念があるので、非同期噴射を回避することが好ましい。
エンジン温度条件は、エンジン本体の温度が下限温度以上であることを含むことが好ましい。エンジン本体の温度が低いと、非同期噴射によって噴射された燃料が適切に気化せず、燃焼不良となるおそれがある。エンジン温度条件は、エンジン本体の温度が上限温度以下であることを含んでいてもよい。エンジン本体の温度が高いと、圧縮行程において、点火前に自己着火するおそれがあるからである。
非同期噴射回数制限条件は、非同期噴射の回数を上限回数(たとえば1回)以下に制限する条件であってもよい。行程判別に時間を要すると非同期噴射が繰り返されるおそれがある。その場合に、過剰な燃料が供給され、点火プラグかぶりが生じるおそれがある。したがって、非同期噴射回数を制限することが適切である。
この発明の一実施形態では、前記スイングバック制御は、前記クランクシャフトの前記逆転方向への回転を判別する逆転判別を含む。前記制御装置は、前記逆転判別によって前記クランクシャフトの前記逆転方向への回転が判別されないときには、前記スイングバック制御を中止する。
この構成によれば、スイングバック動作を試みてもクランクシャフトが逆転方向に回転しないときには、スイングバック制御が中止される。それにより、スイングバック制御に起因する過剰な電力消費を回避でき、次回の始動のために電力を残すことができる。
この発明の一実施形態では、前記逆転判別は、前記電磁ピックアップが生成する検出信号を用いた前記回転電機の脱調判定を含む。この構成により、電磁ピックアップが生成する検出信号を用いて回転電機の脱調判定を行うことができ、その脱調判定を逆転判別のために利用できる。したがって、高価な回転位置センサを備えることなく、回転電機の逆転判別を行える。
この発明の一実施形態では、前記エンジン本体は、単一の前記気筒を有する単気筒4ストロークエンジン本体である。単気筒4ストロークエンジン本体は、クランキング時の負荷トルクの変動が大きく、圧縮上死点位置付近で負荷トルクが最大となる。そこで、スイングバック動作を行うことで、非力な回転電機であっても、圧縮上死点を乗り越してクランキングすることができる。加えて、アイドル停止状態からの再始動に際しては、非同期噴射が行われるので、単気筒4ストロークエンジン本体の始動性を向上できる。
この発明の一実施形態では、前記エンジンユニットは、前記燃料噴射装置に燃料を供給する燃料ポンプをさらに含む。前記制御装置は、前記再始動条件が成立すると、前記クランクシャフトの回転開始を待たずに、前記燃料ポンプの駆動を開始する。
この構成によれば、再始動条件が成立すると、速やかに燃料ポンプの駆動が開始される。それにより、非同期噴射に備えることができる。したがって、非同期噴射が行われるときには、充分な圧力の燃料が燃料噴射装置に供給されるので、確実に燃料を噴射できる。それにより、始動性を高めることができる。
この発明の一実施形態は、前述のような特徴を有する鞍乗型車両用エンジンユニットを備えた鞍乗型車両を提供する。鞍乗型車両は、前記クランクシャフトの回転が伝達される車輪を含む。また、鞍乗型車両は、鞍乗型のシートを含む。この構成により、安価な構成で始動性が高められたエンジンユニットを備えた鞍乗型車両を実現できる。
この発明により、安価な構成で始動性が高めることができる鞍乗型車両用エンジンユニットを提供できる。また、このようなエンジンユニットを備えた鞍乗型車両を提供できる。
図1は、鞍乗型車両の概観を示す側面図である。 図2は、鞍乗型車両に備えられるエンジンユニットの概略構成を模式的に示す部分断面図である。 図3は、エンジンユニットに備えられる回転電機の断面図である。 図4は、エンジンユニットを含む鞍乗型車両の電気的な構成を示すブロック図である。 図5は、エンジン始動からエンジン停止までの制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。 図6は、スイングバック制御の一例を説明するためのフローチャートである。 図7は、アイドル停止状態からの再始動に伴う制御処理の一例を説明するためのフローチャートである。 図8Aは、通常始動時の動作例を説明するための図である。 図8Bは、通常始動時の動作例を説明するための図であり、図8Aの動作に続く動作を表している。 図9は、アイドルストップ状態からの再始動時の動作例を説明するための図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、鞍乗型車両の概観を示す側面図である。鞍乗型車両1は、エンジンユニットEUと、車体2と、車輪3a,3bと、バッテリ4と、鞍乗型のシート5とを備えている。エンジンユニットEU、バッテリ4およびシート5は、車体2に支持されている。車輪3a,3bは、車体2の前方部および後方部にそれぞれ回転可能に支持されている。エンジンユニットEUは、駆動輪である車輪3b(この実施形態では後輪)を駆動し、車輪3bを回転させることによって、鞍乗型車両1を走行させる。車輪3a(前輪)は、この実施形態では、従動輪である。車体2の前方部には、左右に回動可能なハンドルバー6が支持されている。車輪3aは、ハンドルバー6の回動に応じて左右に回動する。ハンドルバー6の一端、この実施形態では右端には、アクセル操作子8(アクセルグリップ)が配置されている。アクセル操作子8は、ハンドルバー6の端部に回動操作可能に取り付けられている。アクセル操作子8は、エンジンユニットEUのスロットルを操作するために使用者によって操作されるスロットル操作子の一例である。
図2は、エンジンユニットEUの概略構成を模式的に示す部分断面図である。エンジンユニットEUは、車両用4ストロークエンジンユニットであり、より具体的には、鞍乗型車両1に搭載可能なエンジンユニットである。
エンジンユニットEUは、4ストローク単気筒エンジン本体10と、回転電機20とを備えている。4ストローク単気筒エンジン本体10(以下「エンジン本体10」という。)は、1つの気筒を有する単気筒の4ストロークエンジンである。
エンジン本体10は、クランクケース11と、シリンダ12と、ピストン13と、コネクティングロッド14と、クランクシャフト15とを備えている。
ピストン13は、シリンダ12内に往復移動自在に設けられている。クランクシャフト15は、クランクケース11内に回転可能に設けられている。コネクティングロッド14は、ピストン13とクランクシャフト15とを接続しており、ピストン13の往復運動をクランクシャフト15に伝達する。クランクシャフト15は、一対のベアリング17を介して、クランクケース11に回転自在に支持されている。
クランクシャフト15の一端部15aには、回転電機20が取り付けられている。これにより、回転電機20は、クランクシャフト15に対して動力伝達可能に結合されている。クランクシャフト15の他端部15bには、変速機CVTが取り付けられている。変速機CVTは、入力の回転速度に対する出力の回転速度の比である変速比を変更する。
シリンダ12の上部には、シリンダヘッド16が取り付けられている。シリンダ12とシリンダヘッド16とピストン13とによって、燃焼室21が区画される。シリンダヘッド16には、吸気バルブIVと、燃料噴射装置18と、点火プラグ19と、排気バルブEVとが設けられている。シリンダヘッド16には、燃焼室21と連通する吸気路22および排気路23が形成されている。吸気バルブIVは吸気路22を開閉し、排気バルブEVは排気路23を開閉する。
燃料噴射装置18は、燃料を噴射することによって、燃焼室21に燃料を供給する。吸気バルブIVは、燃焼室21への空気の流入を制御する。吸気バルブIVおよび排気バルブEVは、クランクシャフト15の位置に応じて開閉する。吸気バルブIVは、開状態となることによって、燃料を含んだ空気を燃焼室21に供給する。点火プラグ19は、燃焼室21に臨むように配置されており、燃焼室21内で火花放電を生じさせることにより、燃焼室21内に導入された空気および燃料の混合気に着火する。排気バルブEVは、開状態となることにより、燃焼後の排気をシリンダ12から排気管25へと排出させる。
吸気路22に接続された吸気管24には、スロットルバルブTVが配置されている。スロットルバルブTVは、燃焼室21に供給される空気の量を調整する。スロットルバルブTVの開度は、アクセル操作子8(図1参照)の操作に応じて調整される。
エンジン本体10の1燃焼サイクルには、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、および排気行程が1回ずつ含まれる。吸気行程では、吸気バルブIVが開かれ、ピストン13が下死点に向かって移動する。その間に、燃料噴射装置18が燃料を噴射する。それによって、燃焼室21内に空気と燃料との混合気が吸入される。圧縮行程では、吸気バルブIVが閉じられた状態でピストン13が上死点(圧縮上死点)に向かって移動し、それによって、燃焼室21内の混合気が圧縮される。ピストン13が圧縮上死点位置付近にあるときに点火プラグ19が火花放電する。それにより、混合気が着火されて膨張し、ピストン13を下死点に向かって移動させる膨張行程が生じる。排気行程では排気バルブEVが開かれ、ピストン13が上死点(排気上死点)に向かって移動することにより、排ガスが排気管25へと排出される。
エンジン本体10は、クランクシャフト15を介して回転力を出力する。クランクシャフト15の回転力は、変速機CVTを介して、車輪3b(図1参照)に伝達される。鞍乗型車両1(図1参照)は、クランクシャフト15を介してエンジン本体10から出力される回転力を受ける車輪3bによって駆動される。
図3は、図2に示す回転電機20の回転軸線に垂直な断面を示す断面図である。回転電機20は、永久磁石式回転電機であり、より具体的には、永久磁石式三相ブラシレス型発電機である。回転電機20は、さらに、永久磁石式三相ブラシレス型モータとしても機能する。
回転電機20は、ロータ30と、ステータ40とを有する。回転電機20は、この実施形態では、ラジアルギャップ型である。また、この実施形態では、回転電機20は、アウターロータ型である。すなわち、ロータ30はアウターロータであり、ステータ40はインナーステータである。
図2および図3に表れているように、ロータ30は、ロータ本体部31を有する。ロータ本体部31は、たとえば強磁性材料からなる。ロータ本体部31は、有底筒状に構成されている。ロータ本体部31は、筒状ボス部32と、円板状の底壁部33と、筒状のバックヨーク部34とを有する。底壁部33およびバックヨーク部34は一体的に形成されている。底壁部33およびバックヨーク部34は筒状ボス部32を介してクランクシャフト15に固定されている。したがって、ロータ30は、クランクシャフト15とともに回転する。ロータ30には、電流が供給される巻線が設けられていない。底壁部33には、冷却ファンFが設けられている。
ロータ30は、永久磁石部37を有する。ロータ30は、複数の磁極部37aを有している。複数の磁極部37aは、この実施形態では、永久磁石部37により形成されている。複数の磁極部37aは、バックヨーク部34の内周に設けられている。永久磁石部37は、この実施形態では、複数の永久磁石を有する。複数の磁極部37aは、複数の永久磁石のそれぞれに設けられている。ただし、永久磁石部37は、1つの環状の永久磁石によって形成することもできる。この場合、1つの永久磁石は、複数の磁極部37aが内周面に並ぶように着磁される。
複数の磁極部37aは、ロータ30(より具体的にはバックヨーク部34)の周方向にN極とS極とが内周面に交互に配置されるように設けられている。周方向に隣り合う磁極部37aは、磁極部対37pをなしている。この実施形態では、ステータ40と対向するロータ30の磁極数は、24個である。したがって、12個の磁極部対37pが設けられている。ロータ30の磁極数とは、ステータ40と対向する磁極の数をいう。ロータ30の永久磁石とステータ40とは、エアギャップを介して対向している。磁極部37aは、回転電機20の径方向におけるステータ40の外側に設けられている。バックヨーク部34は、径方向における磁極部37aの外側に設けられている。回転電機20は、ステータ40の歯部43の数よりも多い磁極部37aを有している。
ステータ40は、ステータコアSTと複数のステータ巻線Wとを有する。ステータコアSTは、周方向に間隔(この実施形態では等間隔)を空けて放射状に設けられた複数の歯部(ティース)43を有する。複数の歯部43は、ステータコアSTから径方向外側に向かって一体的に延びている。この実施形態においては、合計18個の歯部43が周方向に間隔を空けて設けられている。隣接するステータコアSTの間にスロットSLが形成されている。したがって、ステータコアSTは、周方向に間隔を空けて形成された合計18個のスロットSLを有する。前述のように、ロータ30は、歯部43の数より多い数の磁極部37aを有する。磁極部37aの数は、スロット数の4/3である。
各歯部43の周囲には、ステータ巻線Wが巻回されている。つまり、複数相のステータ巻線Wは、スロットSLを通るように設けられている。図3には、ステータ巻線Wが、スロットSLの中にある状態が示されている。複数相のステータ巻線Wのそれぞれは、U相、V相、W相の何れかの巻線である。ステータ巻線Wは、たとえば、U相、V相、W相の順に周方向に並ぶように配置される。
ロータ30の外面には、ロータ30の回転位置を検出させるための複数(この実施形態では11個)の被検出部38が備えられている。複数の被検出部38は、磁気作用によって検出される。複数の被検出部38は、周方向に間隔を空けてロータ30の外面に設けられている。被検出部38は、強磁性体で形成されている。
図3には、11個の被検出部38の位置と、被検出部38が設けられていない欠落位置とにそれぞれに割り当てられた番号「0」〜「23」が示されている。これらの番号は、エンジン本体10の1燃焼サイクル、すなわち、ロータ30の2回転に亘って割り当てられており、1燃焼サイクル中のクランクシャフト15の位置を表す。具体的には、番号「0」〜「11」が1回転目のクランクシャフト15の位置を表し、番号「12」〜「23」が2回転目のクランクシャフト15の位置を表す。
電磁ピックアップ50は、ロータ30の回転位置を検出するロータ位置検出装置として用いられる。電磁ピックアップ50は、複数の被検出部38と対向する位置に設けられている。電磁ピックアップ50は、被検出部38を磁気的に検出するピックアップコイル51を備えている。電磁ピックアップ50は、さらに、検出用磁石52およびコア53を備えている。番号「0」の被検出部38が電磁ピックアップ50の対向位置を通過するとき、クランクシャフト15が圧縮上死点またはその近傍の位置にある。番号「12」の被検出部38が電磁ピックアップ50の対向位置を通過するとき、クランクシャフト15が排気上死点またはその近傍の位置にある。
回転電機20は、エンジン本体10のクランクシャフト15と結合されている。具体的には、ロータ30は、クランクシャフト15に対し固定された速度比で回転するようクランクシャフト15と結合されている。
この実施形態では、ロータ30が、クランクシャフト15に、動力伝達機構(たとえば、ベルト、チェーン、ギア、減速機、増速機等)を介さずに取り付けられている。ロータ30は、クランクシャフト15に対し、1:1の速度比で回転する。回転電機20は、エンジン本体10の燃焼動作時にロータ30が正転方向に回転するように構成されている。
回転電機20は、エンジン始動時には、クランクシャフト15を正転方向に回転させてエンジン本体10を始動させるスタータモータとして機能する。また、回転電機20は、エンジン本体10が燃焼動作する場合に、エンジン本体10に駆動されて発電するジェネレータとして機能する。すなわち、回転電機20は、クランクシャフト15を正転方向に回転させてエンジン本体10を始動させる機能と、エンジン本体10が燃焼動作する場合に、エンジン本体10によって駆動されて発電する機能との双方を兼ね備えている。
回転電機20は、鞍乗型車両1が備えるバッテリ4(図1参照)により駆動されてクランクシャフト15に回転に対する力を付与する。より具体的には、回転電機20は、クランクシャフト15を正転方向に回転駆動することができ、かつ逆転方向に回転駆動することができる。さらに、回転電機20は、バッテリ4により駆動されて、クランクシャフト15の回転方向とは逆方向の力、すなわちブレーキ力を付与することもできる。
複数の被検出部38は、ロータ30の外面に、ロータ30の回転方向に沿って間隔を空けて配列されている。電磁ピックアップ50は、ロータ30の回転に伴って複数の被検出部38と順次対向する位置に検出領域を有している。すなわち、電磁ピックアップ50は、ロータ30の回転中に、複数の被検出部38が順次進入する検出領域に臨んで配置されている。
さらに具体的に説明すると、被検出部38は、30度の角度間隔でロータ30の外面に設けられている。図3の一点鎖線は、被検出部38が設けられた角度間隔を示している。隣り合う被検出部38どうしが測定角度θを成す角度間隔で配置されている。この実施形態では、測定角度θは30度である。
電磁ピックアップ50は、ロータ30が測定角度θ回転するごとに、複数の被検出部38のそれぞれを検出する。電磁ピックアップ50は、被検出部38のそれぞれを検出するごとに、検出信号を出力する。より正確には、被検出部38が検出領域を通って移動することにより、電磁誘導によってピックアップコイル51に起電力が生じ、それによって、検出信号が生成される。すなわち、電磁ピックアップ50は、検出領域を通る被検出部38の移動を検出して検出信号を出力する。
この実施形態では、各被検出部38は、1つの磁極部対37pに対応している。複数の被検出部38は、それぞれ対応する磁極部対37pに対して同一の相対位置関係を有する。
この実施形態では、ロータ30に、11個の被検出部38が設けられている。11個の被検出部38は、ロータ30に測定角度θの間隔で配置された12の位置のうちの、11ヶ所にそれぞれ設けられている。具体的には、番号「0」〜「4」,「6」〜「11」(または「12」〜「16」,「18」〜「23」)の11ヶ所に被検出部38が配置されている。番号「5」(または「17」)は、被検出部38が配置されていない欠落位置を表す。
複数の被検出部38は、クランクシャフト15の周方向に等間隔または実質的に等間隔に位置している。欠落位置(番号「5」または「17」)を挟んで周方向に隣り合う2つの位置(番号「4」および「6」の2つの位置、または「16」および「18」の2つの位置)に配置された2個の被検出部38の間の角度間隔2θは、測定角度θの2倍である。このように、複数の被検出部38によって形成される複数の間隔の一つが他の間隔と異なるので、クランクシャフト15の1回転の中の基準位置(基準クランク位置)を検出することが可能である。この基準位置、すなわち、番号「5」および「17」が付与された欠落位置に対応して電磁ピックアップ50が生成する検出信号が基準検出信号である。
以下の説明では、被検出部38の番号を用いてクランクシャフト15の回転位置(クランク位置)を表現する場合がある。たとえば、位置「9」というときには、電磁ピックアップ50によって番号「9」の被検出部38が検出される状態(図3参照)のクランクシャフト15の回転位置を意味する。
図4は、エンジンユニットEUを含む鞍乗型車両1の電気的な概略構成を示すブロック図である。エンジンユニットEUには、制御装置60およびインバータ61が備えられている。制御装置60は、インバータ61を含む鞍乗型車両1の各部を制御する。
インバータ61には、回転電機20およびバッテリ4が接続されている。回転電機20がジェネレータとして機能するとき、回転電機20で発電された電力は、インバータ61を介し、電源ライン71を通ってバッテリ4に供給される。これにより、バッテリ4は、回転電機20で発電された電力によって充電される。また、回転電機20がスタータモータとして用いられるときには、バッテリ4は、電源ライン71からインバータ61を介して回転電機20に電力を供給する。電源ライン71には、メインリレー9が介装されている。したがって、バッテリ4は、メインリレー9を介して、インバータ61と接続されている。メインリレー9は、制御装置60によって開閉される。
インバータ61は、複数の(たとえば6個の)スイッチング素子611〜616を備えている。スイッチング素子611〜616は、三相ブリッジインバータを構成している。ステータ巻線Wは、スイッチング素子611〜616と接続されている。複数のスイッチング素子611〜616は、複数相のステータ巻線Wの各相と接続されている。より詳細には、複数のスイッチング素子611〜616のうち、直列に接続された2つのスイッチング素子がハーフブリッジを構成している。各相のハーフブリッジは、バッテリ4に対し並列に接続されている。各相のハーフブリッジを構成するスイッチング素子611〜616は、複数相のステータ巻線Wの各相とそれぞれ接続されている。スイッチング素子611〜616のそれぞれは、たとえばトランジスタであり、より詳細にはFET(電界効果型トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などである。
スイッチング素子611〜616は、複数相のステータ巻線Wとバッテリ4との間の電流の通過/遮断を制御する。
回転電機20がモータとして機能する場合、スイッチング素子611〜616のオン/オフによって複数相のステータ巻線Wのそれぞれに対する通電および通電停止が切り替えられる。
また、回転電機20がジェネレータとして機能する場合、スイッチング素子611〜616のオン/オフ動作によって、ステータ巻線Wのそれぞれとバッテリ4との間の電流の通過/遮断が切り替えられる。スイッチング素子611〜616のオン・オフが順次切り替えられることによって、回転電機20から出力される三相交流の整流および電圧の制御が行われる。このように、スイッチング素子611〜616は、回転電機20からバッテリ4および電装品類に出力される電流を制御する。
このような発電動作において、電源ライン71に接続されたコンデンサ67は、回転電機20が発電動作をするときに電源ライン71に導出される電圧を平滑化する。
制御装置60は、エンジン本体10に備えられた電装品である燃料噴射装置18および点火プラグ19に接続されており、これらを制御する。また、制御装置60は、燃料ポンプ80に接続されており、その動作を制御する。燃料ポンプ80は、図示しない燃料タンクから燃料噴射装置18へと燃料を供給する。
また、制御装置60には、電磁ピックアップ50が接続されており、当該電磁ピックアップ50が生成する検出信号が入力される。さらに、制御装置60には、スロットル位置センサ82およびエンジン温度センサ83が接続されており、これらの検出信号が入力される。スロットル位置センサ82は、スロットルバルブTVのバルブ位置、すなわちスロットル開度を検出する。スロットルバルブTVはアクセル操作子8によって操作されるので、スロットル位置センサ82は、アクセル操作子8の操作を検出することができる。エンジン温度センサ83は、エンジン本体10の温度をエンジン温度として検出する。エンジン温度センサ83は、エンジン本体10の近傍に配置される。エンジン本体10が水冷式エンジンであるときには、エンジン温度センサ83は、冷却水の温度をエンジン温度の代替指標として検出してもよい。
さらに、制御装置60には、エンジン本体10を始動するときに使用者が操作するスタータスイッチ70が接続されている。制御装置60は、スタータスイッチ70の操作を検出すると、回転電機20の駆動を含む始動制御を実行する。
バッテリ4の電力は、電源ライン72を介して、制御装置60に供給され、さらに、燃料ポンプ80、燃料噴射装置18、点火プラグ19などの電装品に供給される。電源ライン72には、メインスイッチ7が介装されている。メインスイッチ7は、鞍乗型車両1の使用開始に際して使用者が導通操作し、鞍乗型車両1の使用終了に際して使用者が遮断操作するスイッチである。
メインスイッチ7が導通されると、制御装置60、燃料ポンプ80、燃料噴射装置18、点火プラグ19などがバッテリ4に接続され、作動可能となる。また、メインスイッチ7が導通しているとき、さらにメインリレー9が導通していれば、回転電機20によって生成された電力が、電源ライン71,72を介して、制御装置60、燃料ポンプ80、燃料噴射装置18、点火プラグ19などに供給可能である。
制御装置60は、さらに、メインリレー9とインバータ61との間で電源ライン71に接続されている。したがって、制御装置60は、メインリレー9が遮断されているときでも、回転電機20が発生する電力を受けることができる。制御装置60は、電力が供給されていて作動可能なときに、メインリレー9の開閉を制御する。
制御装置60は、回転電機制御部62と、燃焼制御部63とを備えている。
制御装置60の燃焼制御部63は、エンジン本体10を制御する。回転電機制御部62は、回転電機20を制御する。具体的には、回転電機制御部62は、インバータ61を制御する。それにより、回転電機制御部62は、回転電機20の駆動動作および発電動作を制御する。
燃焼制御部63は、エンジン本体10の燃焼動作を制御する。燃焼制御部63は、エンジン本体10の燃焼動作を制御することによって、エンジン本体10の出力を制御する。より具体的には、燃焼制御部63は、点火プラグ19および燃料噴射装置18を制御する。
回転電機制御部62は、インバータ61に備えられた複数のスイッチング素子611〜616を制御することによって、電源ライン71を通ってバッテリ4と回転電機20との間を流れる電流を制御する。回転電機制御部62は、スイッチング素子611〜616のそれぞれのオン/オフ動作を制御することによって、回転電機20の動作を制御する。
制御装置60は、プロセッサ(CPU)64と、メモリ65(記憶装置)とを有するコンピュータで構成されている。メモリ65は、プログラムおよび演算に関するデータを記憶する。CPU64は、メモリ65に格納された制御プログラムおよびデータに基づいて演算処理を行う。回転電機制御部62および燃焼制御部63の機能は、CPU64が制御プログラムを実行することによって実現される。したがって、回転電機制御部62および燃焼制御部63のそれぞれによる動作は、具体的には、コンピュータの形態を有する制御装置60の動作である。
図5は、エンジン始動からエンジン停止までの制御装置60による処理の一例を説明するためのフローチャートである。鞍乗型車両1の使用を開始するとき、使用者は、メインスイッチ7をオンする。これにより、バッテリ4から制御装置60に電力が供給され、制御装置60は、処理を開始する。制御装置60は、メインリレー9を導通させ、バッテリ4とインバータ61とを接続する。
使用者は、さらに、エンジン本体10の運転を開始させるためにスタータスイッチ70を操作する(ステップS1:YES)。これに応答して、制御装置60は、回転電機20を正転方向に駆動するための制御を実行する(ステップS2)。すなわち、制御装置60は、インバータ61のスイッチング素子611〜616を制御することにより、バッテリ4から回転電機20に電力を供給させる。それにより、クランクシャフト15の回転が始まる。
クランクシャフト15の回転が始まると、電磁ピックアップ50から検出信号が生成される。制御装置60は、この検出信号を波形整形してクランクパルスを得る。制御装置60は、クランクパルスに基づいて規定されるタイミングでスイッチング素子611〜616をオン/オフ制御し、それにより、回転電機20のブラシレス駆動制御を行う。
制御装置60は、クランクパルスが所定数(たとえば2〜3個)生成されると(ステップS3:YES)、燃料ポンプ80の駆動を開始して(ステップS4)、エンジン本体10の始動に備える。
一方、制御装置60は、クランクパルスを監視し、欠落位置(番号「5」または「17」)が到来したかどうかを判断する(ステップS5)。欠落位置が到来すると(ステップS5:YES)、制御装置60は、クランクパルスの計数を開始する(ステップS6)。そして、欠落位置を基準として、クランクパルスの計数値に基づいて、クランクシャフト15の回転位置を特定する位置特定処理を行う(ステップS7)。以後、制御装置60は、クランクパルスの計数と、その計数値に基づく位置特定処理とを常時行う。
さらに、制御装置60は、クランクパルスの間隔に基づいてエンジン回転速度を監視し、その変動に基づいて吸気行程を検出する(ステップS8。吸気行程検出に基づく仮行程判別)。吸気行程が検出されると、それ以後は、クランクシャフト15の回転位置に基づいて、行程判別が可能となる。すなわち、位置「0」〜「11」と位置「12」〜「23」とを区別することができる。制御装置60は、クランクシャフト15の回転位置が噴射位置(たとえば位置「8」)となるのを待機し、噴射位置になると(ステップS9:YES)、燃料噴射装置18から燃料を噴射させる(ステップS10)。さらに、制御装置60は、クランクシャフト15の回転位置が点火位置になるのを待機し、点火位置になると(ステップS11:YES)、点火プラグ19を火花放電させて燃焼室21内の混合気に点火する(ステップS12)。点火位置は、上死点位置の近傍の位置(たとえば位置「0」および「12」)に設定されている。点火位置(たとえば位置「0」および「12」)は、上死点位置と一致していてもよく、また上死点位置から微少角度ずれた位置であってもよい。
その後、制御装置60は、クランクパルスの間隔に基づいてエンジン回転速度を監視し、エンジン回転速度が完爆回転速度に達すると(ステップS13:YES)、点火用の行程判別を行う(ステップS14)。点火用の行程判別は、たとえば、1燃焼サイクル中のエンジン回転速度の変動に基づく行程判別を含む。この点火用の行程判別以前は、1回転に一度点火プラグ19の火花放電を行い、1燃焼サイクル中で2度の点火が行われる。具体的には、圧縮上死点位置付近および排気上死点位置付近の2つの位置(たとえば位置「0」および「12」)を点火位置として、これらの2つの点火位置において、点火プラグ19が火花放電する。点火用の行程判別の後は、1燃焼サイクル中に一度、すなわち、圧縮上死点位置付近の点火位置(たとえば位置「0」)において、点火プラグ19が火花放電する。
点火用の行程判別の完了後は、クランクパルスの計数によって、クランクシャフト15の2回転を30度ずつに区切った24個の回転位置「0」〜「23」が正確に判別され、噴射位置における燃料噴射(ステップS15。同期噴射制御)および点火位置における点火(ステップS16)が繰り返されて、エンジン本体10の燃焼が継続する。
エンジン本体10が始動されると、制御装置60は、アイドル停止制御を実行する。すなわち、鞍乗型車両1が信号待ち等で停車してアイドル停止条件が充足されると(ステップS17:YES)、制御装置60は、燃料噴射制御および点火制御を中断し、エンジン本体10の燃焼を停止させる(ステップS18)。この状態がアイドル停止状態である。
アイドル停止条件は、次の条件A1〜A4の全てが所定の継続時間(たとえば3秒間)継続することであってもよい。
A1:スロットル開度が全閉開度
A2:車速が所定値(たとえば3km/h)以下
A3:エンジン回転速度がアイドル回転速度域(たとえば2500rpm以下)
A4:エンジン温度が所定値(たとえば60℃)以上
クランクシャフト15の回転が停止すると、制御装置60は、スイングバック制御(ステップS19)を実行する。
アイドル停止でなく、使用者がメインスイッチ7をオフしたときも(ステップS20:YES)、制御装置60は、燃料噴射制御および点火制御を中断し、エンジン本体10の燃焼を停止させる(ステップS21)。このとき、制御装置60は、メインスイッチ7がオフされた後もメインリレー9をオン状態に保持してバッテリ4との接続を保持し、エンジン本体10を停止させるための制御を行う(ステップS21)。さらに、制御装置60は、クランクシャフト15の回転が停止すると、スイングバック制御(ステップS22)を実行する。このスイングバック制御(ステップS22)の後、制御装置60は、メインリレー9をオフし(ステップS23)、バッテリ4との接続を遮断する。
エンジン本体10を停止させる際に、クランクシャフト15の回転を速やかに停止させるために、制御装置60は、ブレーキ制御を行ってもよい。ブレーキ制御とは、インバータ61のスイッチング素子611〜616を制御することによって、回転電機20にクランクシャフト15の回転方向とは反対のトルクを発生させる制御である。また、クランクシャフト15の回転が停止した後、スイングバック制御(ステップS19,S21)に先立って、制御装置60は、ステータ巻線Wに一定時間通電して停止位置制御を行ってもよい。停止位置制御は、クランクシャフト15の位置を12個の回転位置「0」〜「11」(または「12」〜「23」)のいずれかの位置に正確に導くための制御である。
図6は、スイングバック制御(図5のステップS19,S22)の一例を説明するためのフローチャートである。制御装置60は、インバータ61のスイッチング素子611〜616を逆転パターンで駆動することによって、回転電機20を逆転方向に駆動する(ステップS31)。それにより、クランクシャフト15が逆転方向に回転し始める。
制御装置60は、クランクシャフト15の逆転方向への回転を判別する逆転判別を実行する。バッテリ4の電圧が低いと、インバータ61を通じてステータ巻線Wに相電流を印加してもクランクシャフト15の回転が追従せず、脱調する場合がある。そこで、制御装置60は、逆転判別を実行する。より具体的には、制御装置60は、脱調が生じているかどうかを判定する(ステップS32)。たとえば、制御装置60は、電磁ピックアップ50が所定時間以上検出信号を生成しない場合、すなわち、クランクパルスが所定時間以上生じない場合に、脱調が生じていると判断してもよい。脱調が生じると(ステップS32:YES)、制御装置60は、回転電機20の駆動制御を停止し(ステップS33)、スイングバックを中止する。
脱調が生じていないと判断されると(ステップS32:NO)、すなわち、クランクシャフト15が回転していると判断されると、制御装置60は、クランクシャフト15の位置が、所定のスイングバック位置(たとえば位置「7」)かどうかを判断する(ステップS34)。クランクシャフト15の位置は、クランクパルスの計数(逆転方向への回転のときには計数値を減じる計数)する位置特定処理によって得られる。クランクシャフト15の位置がスイングバック位置に達するまで回転電機20が逆転駆動され、スイングバック位置に達すると(ステップS34:YES)、回転電機20の駆動が停止される(ステップS35)。
スイングバック位置は、直前の圧縮上死点位置の手前(逆転方向に関する手前)に設定されることが好ましい。クランクシャフトがスイングバック位置まで逆転された後、前述の停止位置制御が行われることが好ましい。この停止位置制御により、クランクシャフト15を12個の回転位置「0」〜「11」(または「12」〜「23」)のいずれかの位置に正確に導くことができ、多くの場合には、スイングバック位置に制御できる。
電磁ピックアップ50は、被検出部38の移動に伴う電磁誘導を利用しているため、クランクシャフト15の回転停止直前には検出信号を生成しないおそれがあり、正確な位置情報が失われる可能性がある。したがって、エンジン停止時(ステップS18,S21)に制御装置60が認識するクランクシャフト15の位置、およびスイングバック動作停止時(ステップS35)に制御装置60が認識するクランクシャフト15の位置には誤差が含まれる可能性がある。しかし、スイングバック動作には、さほどの正確さは要求されないので、スイングバック後のクランクシャフト15の位置がスイングバック位置(目標位置)から多少ずれていても問題はない。
図7は、アイドル停止状態からの再始動に伴う制御装置60の処理の一例を説明するためのフローチャートである。アイドル停止状態において、制御装置60は、再始動制御を実行する。すなわち、アイドル停止状態において、再始動条件が充足されると(ステップS41:YES)、制御装置60は、回転電機20を正転方向に駆動するための制御を実行する(ステップS42)。すなわち、制御装置60は、インバータ61のスイッチング素子611〜616を正転パターンで制御することにより、バッテリ4から回転電機20に電力を供給させる。それにより、クランクシャフト15の正転方向への回転が始まる。
クランクシャフト15の回転が始まると、電磁ピックアップ50から検出信号が生成される。制御装置60は、この検出信号を波形整形してクランクパルスを得る。制御装置60は、クランクパルスに基づいて規定されるタイミングでスイッチング素子611〜616を正転パターンでオン/オフ制御し、それにより、回転電機20を正転方向に駆動する。
また、制御装置60は、再始動条件が充足されると(ステップS41:YES)、クランクパルスの生成を待たずに、燃料ポンプ80の駆動を開始し(ステップS43)、早期の燃料噴射に備える。すなわち、再始動条件が充足されると、制御装置60は、クランクシャフト15の回転開始を待たずに、燃料ポンプ80を駆動開始する。
再始動条件は、たとえば、スロットル位置センサ82によって検出されるスロットル開度が所定開度以上となったことを含む。この場合、使用者がアクセル操作子8を所定角度以上回動操作することが、再始動条件である。このようなアクセル操作子8の操作により、使用者の再始動意思を検出できる。また、再始動条件は、スタータスイッチ70が操作されたことを含んでいてもよい。したがって、アイドル停止状態でスタータスイッチ70が操作されると、エンジン本体10を再始動するための制御が開始される。
インバータ61を通じてステータ巻線Wに相電流を印加してもクランクシャフト15の回転が追従せず、脱調して、クランクシャフト15を正確に回転させることができないおそれがある。そこで、制御装置60は、クランクシャフト15の正転方向への回転開始を判別する正転判別を実行する。具体的には、制御装置60は、クランクシャフト15が相電流に同期して回転しているかどうかを判断するための正転同期回転判定を実行する(ステップS44)。たとえば、制御装置60は、電磁ピックアップ50の検出信号のタイミングが、インバータ61のスイッチング素子611〜616のオン/オフタイミングに対する適正タイミングからずれている場合に、正転方向に同期回転していないと判断してもよい。正転方向への同期回転が検出されない場合には、制御装置60は、回転電機20の駆動制御を停止し、再度、回転電機20の正転駆動(ステップS42)を試みる。こうして、クランクシャフト15が正転方向に同期回転するまで、正転駆動(ステップS42)が繰り返される。
クランクシャフト15が正転方向に同期回転すると(ステップS44:YES)、制御装置60は、始動非同期噴射制御を実行する。具体的には、制御装置60は、始動非同期噴射実行条件の成否を判断する(ステップS45)。非同期噴射とは、欠落位置の検出や吸気行程検出に基づく仮行程判別がされるよりも前に燃料噴射装置18が燃料を噴射することをいう。
始動非同期噴射実行条件は、たとえば、バッテリ4の電圧に関するバッテリ電圧条件、エンジン本体10の温度に関する条件であるエンジン温度条件、および非同期噴射の回数制限に関する条件である非同期噴射回数制限条件のうちの一つ以上を含む。
バッテリ電圧条件は、バッテリ電圧が閾値以上であることであってもよい。バッテリ電圧が低いときには、直前のエンジン停止時にスイングバック制御が適切に行われていない懸念があるので、非同期噴射を回避することが好ましい。具体的には、バッテリ電圧が低いと、クランクシャフト15をスイングバック位置まで適切に逆転させられない可能性がある。また、停止位置制御が不十分である可能性もある。
エンジン温度条件は、エンジン温度が下限温度以上であることを含む。エンジン温度が過度に低いと、非同期噴射によって噴射された燃料が適切に気化せず、燃焼不良となるおそれがある。エンジン温度条件は、エンジン温度が上限温度以下であることを含んでいてもよい。エンジン温度が高いと、圧縮行程において、点火前に自己着火するおそれがある。エンジン温度は、エンジン温度センサ83によって検出される。
非同期噴射回数制限条件は、非同期噴射の回数を上限回数(たとえば1回)以下に制限する条件である。行程判別までに時間を要すると非同期噴射が繰り返されるおそれがある。その場合に、過剰な燃料が供給され、点火プラグ19にプラグかぶりが生じるおそれがある。したがって、非同期噴射回数を制限することが適切である。
始動非同期噴射実行条件が充足されると(ステップS45:YES)、制御装置60は、その直後のクランクパルスの入力に応答して(ステップS46:YES)、燃料噴射装置18から燃料を非同期噴射させる(ステップS47)。このときに噴射される燃料の量は、同期噴射のときとは異なる規則に従って設定される。たとえば、スロットル開度を変数としたマップが、同期噴射用および非同期噴射用の二種類準備される。同期噴射のときには同期噴射用マップに従って燃料噴射量が決定され、非同期噴射のときには非同期噴射用マップに従って燃料噴射量が決定される。
始動非同期噴射実行条件が充足されなければ(ステップS45:NO)、非同期噴射(ステップS47)は省かれる。
制御装置60は、クランクパルスを監視し、欠落位置が到来したかどうかを判断する(ステップS48)。欠落位置が到来すると、制御装置60は、クランクパルスの計数を開始する(ステップS49)。そして、欠落位置を基準として、クランクパルスの計数値に基づいて、クランクシャフト15の回転位置を特定する位置特定処理を行う(ステップS50)。以後、制御装置60は、クランクパルスの計数およびそれに基づく位置特定処理を常時行う。
さらに、制御装置60は、初爆点火制御を行う。すなわち、位置特定処理(ステップS50)によって、点火位置(初爆点火位置)の到来が検出されると(ステップS51:YES)、制御装置60は、点火プラグ19の火花放電を生じさせる(ステップS52)。非同期噴射(ステップS47)がされていれば、燃焼室21内に燃料が導入されているので、燃焼が生じる。
スイングバック位置は予め定められているので、最初の欠落位置が到来すると、正確な行程判別が可能になる。そのため、アイドル停止からの再始動のときには、吸気行程検出に基づく仮行程判別(図5のステップS8参照)を省くことができる。
その後は、制御装置60は、クランクパルスの間隔に基づいてエンジン回転速度を監視し、エンジン回転速度が完爆回転速度に達すると(ステップS53:YES)、点火用の行程判別を行う(ステップS54)。点火用の行程判別以前は、1回転に一度点火プラグ19の火花放電を行い、1燃焼サイクル中で2度の点火が行われる。
点火用の行程判別の完了後は、クランクパルスの計数によって、クランクシャフト15の2回転を30度ずつに区切った24個の回転位置「0」〜「23」が正確に判別され、噴射位置における燃料噴射(ステップS55。同期噴射制御)および点火位置における点火(ステップS56)が繰り返されて、エンジン本体10の燃焼が継続する。
この後のアイドル停止制御またはメインスイッチ7のオフ操作に応答する通常停止等は、図5の場合と同様である(ステップS17〜S23)。
図8Aおよび図8Bは、通常始動時の動作例を説明するための図である。図8Aおよび図8Bは、一連の動作例を示しており、図8Aの動作に続く動作が図8Bに表されている。
1燃焼サイクルの回転区間、すなわち720度(2回転)の回転区間内のクランクシャフト15の回転位置は、回転区間を24等分する位置「0」〜「23」で、電磁ピックアップ50の検出信号を用いて検出される。位置「5」および「17」が欠落位置(基準クランク位置)であり、位置「0」が圧縮上死点位置の付近に設定された点火位置である。位置「12」は、排気上死点の付近に設定された位置である。行程判別(図5のステップS14参照)の完了前には、位置「0」に加えて位置「12」でも点火が行われる。
この動作例では、位置「5」〜「12」の区間で排気バルブEVが開かれ、位置「11」〜「18」の区間で吸気バルブIVが開かれる。たとえば、位置「8」が噴射位置である。スイングバック位置(目標位置)は、逆転方向にクランクシャフト15を回転した場合に圧縮上死点位置付近の点火位置「0」よりも手前となる位置であり、たとえば位置「7」である。スイングバック位置は、当該スイングバック位置からクランクシャフト15を正転方向に回転させたときに最初の欠落位置(基準クランク位置)の次の上死点が圧縮上死点となるように、定められている。より具体的には、スイングバック位置は、噴射位置「8」とその直前の圧縮上死点(位置「0」付近)との間に定めることが好ましく、噴射位置「8」寄りの位置であればさらに好ましい。さらに具体的には、スイングバック位置は、噴射位置「8」の直前の位置「7」であることが好ましい。
クランクシャフト15が位置「7」(スイングバック位置)にあると、回転電機20を正転方向に駆動したとき、噴射位置「8」が到来した後に欠落位置「17」が到来し、ここからクランクパルスの計数が始まる。そのため、スイングバック位置「7」の直後の噴射位置「8」では同期噴射を行うことができない。したがって、最初の圧縮上死点位置付近の点火位置「0」では、燃焼室21内に燃料が存在しないので、点火プラグ19が点火しても燃焼が生じない。
最初の圧縮上死点位置を過ぎて、吸気行程検出に基づく仮行程判別が終了すると、次の噴射位置「8」では同期噴射が行われる。したがって、次の圧縮上死点位置付近の点火位置「0」で点火プラグ19が点火すると、燃焼が生じ、エンジン本体10の運転が始まる。
このように、スイングバック位置「7」から2燃焼サイクル目で初爆が生じる。
図9は、アイドルストップ状態からの再始動時の動作例を説明するための図である。アイドル停止から再始動までの時間は一般に長くないので、アイドル停止状態の間にクランクシャフト15の回転位置が大きく変わることはない。したがって、再始動時には、クランクシャフト15はスイングバック位置「7」またはその近傍にある。
この状態から、回転電機20を正転方向に駆動すると、電磁ピックアップ50は遅くとも欠落位置「17」よりも前に検出信号を生成し、したがって、クランクパルスが発生する。クランクパルスに応答して、非同期噴射が行われる。その後、欠落位置「17」が到来し、ここからクランクパルスの計数が始まる。しかも、再始動時のスイングバック位置が位置「7」またはその近傍にあるので、最初の欠落位置は位置「5」ではなく位置「17」であるとの仮定が成り立つ。したがって、最初に検出される欠落位置を位置「17」と見なすことができ、それにより、それ以降、行程判別(クランク位置の特定)が可能になる。
制御装置60は、最初の圧縮上死点位置付近の点火位置「0」(初爆点火位置)で、点火プラグ19を点火させる。このとき、非同期噴射によって既に燃焼室21内に燃料が導入されているので、初爆を起こさせることができ、エンジン本体10の運転が始まる。
こうして、最初の圧縮上死点位置から燃焼を開始させることができ、スイングバック位置「7」から1燃焼サイクル内に初爆を生じさせることができる。これにより、アイドル停止状態からの再始動を速やかに行える。通常の始動時と比較すると、1燃焼サイクル分早いエンジン始動が可能である。
スイングバック位置「7」から回転電機20を正転方向に駆動すると、多くの場合には、スイングバック位置「7」の次の位置「8」(同期噴射のための噴射位置)で最初のクランクパルスが発生する。したがって、この実施形態では、同期噴射と同じまたはほぼ同じタイミングで非同期噴射を行うことができる。
以上のように、この実施形態によれば、制御装置60は、エンジン本体10の運転を停止した後、スイングバック制御を実行して、クランクシャフト15をスイングバック位置まで逆転させる。したがって、その後のエンジン始動時には、圧縮上死点位置までにクランクシャフト15を加速する助走区間を確保できる。そのため、回転電機20が発生する駆動トルクに加えて、クランクシャフト15を含む回転系の慣性トルクを利用して、圧縮上死点を乗り越すことができる。よって、回転電機20は、大きな駆動トルクを発生する必要がなく、それに応じて小型化が可能である。換言すれば、発電機能を有する回転電機20をエンジン始動用のスタータモータとして兼用しながら、エンジン始動を支障無く行うことができる。
一方、アイドル停止中に再始動条件が成立すると、回転電機20がクランクシャフト15を正転方向に駆動する。この正転方向の駆動が開始されると、制御装置60は、燃料噴射装置18により非同期噴射を行わせる。したがって、その後の最初の圧縮上死点位置付近の点火位置で点火プラグ19に火花放電を起こさせることにより、初爆を得ることができる。これにより、スムーズなエンジン始動が可能になる。
非同期噴射は、電磁ピックアップ50からの検出信号の入力のみに応答するのではなく、クランクシャフト15の正転方向への駆動開始が条件となる。そのため、スイングバック動作の際に非同期噴射が行われることはなく、このような非同期噴射に起因して吸気経路を燃料が逆流したりすることもない。すなわち、電磁ピックアップ50の検出信号は、回転方向に関する情報を持たないけれども、それにもかかわらず、スイングバック動作の際の不所望な非同期噴射を回避できる。
このようにして、電磁ピックアップ50によってクランクシャフト15の回転情報を取得し、かつ電磁ピックアップ50の出力に基づいてインバータ61を制御する安価な構成でありながら、始動性の高いエンジンユニットEUを実現できる。
さらに、この実施形態では、制御装置60は、クランクシャフト15が正転方向に回転し始めたことを判別する正転判別を実行し、それに基づいて、非同期噴射を行っている。これにより、クランクシャフト15が逆転方向に回転しているときに燃料が噴射されることを確実に回避できる。たとえば、回転電機20への通電によってクランクシャフト15が逆転方向に多少角変位したとしても、非同期噴射が実行されないので、燃料が吸気経路を逆流することがない。
また、この実施形態では、スイングバック位置からクランクシャフト15の正転方向への回転が開始されたときに、最初の圧縮上死点位置よりも前に非同期噴射が行われる。それにより、最初の圧縮上死点位置において確実に初爆を得ることができる。
さらに、この実施形態では、スイングバック位置と最初の圧縮上死点位置との間に欠落位置(基準クランク位置)が位置する関係となっている。そのため、最初の圧縮上死点位置に至る前にクランクシャフト15の位置を特定することができ、それに基づく行程判別が可能となる。その結果、初爆のための点火位置を正確に特定して、最初の圧縮上死点位置において初爆を確実に得ることができる。
また、この実施形態では、同期噴射のための噴射位置の直前にスイングバック位置が配置されている。そのため、再始動のために回転電機20がクランクシャフト15を正転方向に回転し始めると、噴射位置またはその近傍において最初のクランクパルスが生じ、非同期噴射が行われる。したがって、非同期噴射においても、適切なタイミングで燃料を噴射できる。
さらに、この実施形態では、アイドル停止状態からの再始動時に非同期噴射が行われるので、速やかな再始動が可能となる。その一方で、アイドル停止状態でないときにスタータスイッチ70を操作して行われる通常の始動の際には、非同期噴射は行われず、同期噴射によって確実なエンジン始動が行われる。
また、この実施形態では、非同期噴射の際の燃料噴射量が、同期噴射の際の燃料噴射量とは異なる規則に基づいて定められる。それにより、アイドル停止状態からの再始動時のエンジン本体10の状態に基づいて非同期噴射のための燃料噴射量を定めることができるので、始動性を高めることができる。また、エンジン本体10が始動した後の通常の運転時には、別の規則に基づいて定められる燃料噴射量による同期噴射が行われるので、必要充分な燃料をエンジン本体10に供給できる。
さらに、この実施形態では、始動非同期噴射実行条件の成立を条件に非同期噴射が行われる。そして、始動非同期噴射実行条件が、バッテリ電圧条件、エンジン温度条件および非同期噴射回数制限条件のうちの少なくとも一つを含む。それにより、適切な条件下で、非同期噴射を行うことができる。より具体的には、非同期噴射によって最初の圧縮上死点で初爆が得られる可能性が高い条件下で、非同期噴射を行って、再始動時の始動性を高めることができる。
また、この実施形態では、スイングバック制御において、脱調判定により、クランクシャフト15の逆転判別が行われ、脱調が生じているときにはスイングバック制御が中止される。これにより、スイングバック制御に起因する過剰な電力消費が回避され、次回の始動のための電力がバッテリ4に残される。また、脱調判定を逆転判別に利用しているので、高価な回転位置センサを必要としない。
さらに、この実施形態では、再始動条件が充足されると、クランクシャフト15の回転開始を待たずに、すなわち、クランクパルスの発生を待たずに、燃料ポンプ80の駆動が開始される。これにより、非同期噴射に備えることができる。すなわち、非同期噴射が実行されるときには、燃料噴射装置18に対して充分な圧力で燃料を供給できる。
以上、この発明の一実施形態について説明してきたが、この発明は、さらに他の形態で実施することができる。
たとえば、前述の実施形態では、エンジン本体10の運転停止に伴ってスイングバック制御が行われている。しかし、スイングバック制御は、エンジン本体10がアイドル停止状態となってから、再始動のためにクランクシャフト15の正転方向への駆動が開始されるまでの間に行われればよい。たとえば、アイドル停止の際にはスイングバック制御は行わず、再始動条件が充足されたときに、スイングバック制御を行い、その後に回転電機20によってクランクシャフト15を正転方向に回転してもよい。
また、前述の実施形態では、クランクシャフト15が正転方向に回転開始したことを判別する正転判別を行っているが、これを省いてもよい。すなわち、回転電機20の正転駆動を開始したことを条件に非同期噴射を行ってもよい。たとえば、回転電機20の正転駆動を開始し、一定時間だけ待機した後に、非同期噴射を許可し、その直後のクランクパルスに同期して非同期噴射を実行してもよい。
また、前述の実施形態では、通常の始動時には、非同期噴射を行っていないけれども、通常の始動時にも再始動時と同様の非同期噴射を行ってもよい。
さらに、前述の実施形態では、ロータ30上の欠落位置が電磁ピックアップ50を通過するときに基準検出信号が生成される。しかし、基準検出信号を生成させるための被検出部の配置は、これに限られない。たとえば、ロータ30の周方向の長さが他の被検出部とは異なる一つの基準被検出部を設けてもよい。
また、前述の実施形態では、単気筒4ストロークエンジンを例にとったけれども、複数気筒を有する4ストロークエンジンにこの発明が適用されてもよい。
さらに、前述の実施形態では、前後2つの車輪3a,3bを有する鞍乗型車両を例にとったけれども、3つの車輪を有する鞍乗型車両など、他の形態の鞍乗型車両にもこの発明を適用できる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
EU エンジンユニット、1 鞍乗型車両、2 車体、3a,3b 車輪、4 バッテリ、5 シート、7 メインスイッチ、10 エンジン本体、15 クランクシャフト、18 燃料噴射装置、19 点火プラグ、20 回転電機、30 ロータ、40 ステータ、38 被検出部、50 電磁ピックアップ、60 制御装置、61 インバータ、611〜616 スイッチング素子、62 回転電機制御部、63 燃焼制御部、70 スタータスイッチ、80 燃料ポンプ

Claims (17)

  1. 鞍乗型車両に備えられるエンジンユニットであって、
    気筒とクランクシャフトと燃料噴射装置とを有する4ストロークエンジン本体と、
    前記クランクシャフトに対して動力伝達可能に結合され、前記クランクシャフトを回転するスタータモータ、および前記クランクシャフトの回転力によって発電するジェネレータとして兼用され、前記クランクシャフトの回転とともに回転するロータと、前記ロータに対向するステータとを有する回転電機と、
    前記ロータの回転方向に間隔を空けて前記ロータ上に配列された複数の被検出部が通過する領域に検出領域を有し、前記被検出部の前記検出領域の通過に伴って検出信号を生成する電磁ピックアップと、
    前記エンジン本体の燃焼動作を制御する燃焼制御部と、前記電磁ピックアップが生成する検出信号を用いて前記回転電機を制御する回転電機制御部とを有する制御装置と、を含み、
    前記制御装置が、
    前記電磁ピックアップが生成する検出信号を用いて、前記クランクシャフトの位置を特定する位置特定処理と、
    アイドル停止条件が成立すると、前記エンジン本体の燃焼を停止させてアイドル停止状態とするアイドル停止制御と、
    前記アイドル停止状態において、再始動条件が成立すると、前記回転電機により前記クランクシャフトを正転方向に駆動し、かつ前記燃料噴射装置を作動させて前記エンジン本体を再始動させる再始動制御と、
    前記エンジン本体が前記アイドル停止状態となった後、前記クランクシャフトの正転方向への駆動を開始するまでに、前記回転電機により前記クランクシャフトを逆転方向に駆動して、前記クランクシャフトを所定のスイングバック位置まで逆転させるスイングバック制御と、
    前記再始動制御において、前記回転電機により前記クランクシャフトの正転方向への駆動を開始した後に、前記燃料噴射装置に非同期噴射を行わせる始動非同期噴射制御と、
    を実行する、鞍乗型車両用エンジンユニット。
  2. 前記制御装置は、前記始動非同期噴射制御において、前記クランクシャフトの前記正転方向への回転開始を判別する正転判別を実行し、前記正転判別によって前記クランクシャフトが前記正転方向への回転を開始したと判別されることを条件に、前記燃料噴射装置に非同期噴射を行わせる、請求項1に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  3. 前記エンジン本体は、前記気筒内の燃料に点火する点火プラグを含み、
    前記制御装置は、前記始動非同期噴射制御において、前記回転電機が前記クランクシャフトの正転方向への駆動を開始した後、最初の圧縮上死点位置までに前記燃料噴射装置に非同期噴射を行わせ、
    前記再始動制御は、前記回転電機が前記クランクシャフトの正転方向への駆動を開始した後の最初の圧縮上死点位置の近傍に設定した初爆点火位置で前記点火プラグに火花放電を起こさせる初爆点火制御を含む、請求項1または2に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  4. 前記複数の被検出部は、所定の基準クランク位置で前記電磁ピックアップが基準検出信号を生成するように構成されており、
    前記スイングバック位置から前記クランクシャフトを正転方向に回転させたときに最初の前記基準クランク位置の次の上死点が圧縮上死点となるように、前記スイングバック位置が定められており、
    前記制御装置は、前記位置特定処理において、前記初爆点火位置が、前記電磁ピックアップが生成する検出信号を用いて特定する、請求項3に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  5. 前記制御装置は、前記始動非同期噴射制御において、前記回転電機により前記クランクシャフトの正転方向への駆動が開始されると、その直後に前記電磁ピックアップが生成する検出信号をトリガとして前記燃料噴射装置に前記非同期噴射を行わせる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  6. 前記エンジンユニットは、前記鞍乗型車両に搭載されるバッテリと前記回転電機との間を流れる電流を制御する複数のスイッチング素子を備えたインバータをさらに含み、
    前記回転電機制御部は、前記電磁ピックアップが生成する検出信号を用いて前記スイッチング素子を制御する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  7. 前記制御装置は、前記始動非同期噴射制御において、前記クランクシャフトの前記正転方向への回転開始を判別する正転判別を実行し、前記正転判別によって前記クランクシャフトが前記正転方向への回転を開始したと判別されることを条件に、前記燃料噴射装置に非同期噴射を行わせ、
    前記正転判別は、前記回転電機制御部による前記スイッチング素子の制御と前記電磁ピックアップが生成する検出信号とに基づいて、前記スイッチング素子の制御と前記検出信号とのタイミングが整合しているかどうかを判定する正転同期回転判定を含む、請求項6に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  8. 前記制御装置は、
    前記エンジン本体の行程を判別する行程判別と、
    前記行程判別の結果に基づいて前記燃料噴射装置に同期噴射を行わせる同期噴射制御と、を実行し、
    前記始動非同期噴射制御を、前記行程判別の結果が得られるよりも前に実行する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  9. 前記制御装置は、前記非同期噴射における燃料噴射量を、前記同期噴射における燃料噴射量とは異なる規則に基づいて定める、請求項8に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  10. 前記制御装置は、前記エンジン本体を前記アイドル停止状態以外の停止状態から始動する通常始動時には、前記始動非同期噴射制御を実行せず、前記同期噴射制御により前記燃料噴射装置から燃料を噴射させる、請求項8または9に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  11. 前記複数の被検出部は、所定の基準クランク位置で前記電磁ピックアップが基準検出信号を生成するように構成されており、
    前記スイングバック位置から前記クランクシャフトを正転方向に回転させたときに最初の前記基準クランク位置の次の上死点位置が圧縮上死点位置となるように、前記スイングバック位置が定められており、
    前記制御装置は、前記行程判別において、前記再始動制御によって前記回転電機が前記クランクシャフトの正転方向への駆動を開始した後に前記電磁ピックアップが最初に生成する前記基準検出信号に基づいて前記エンジン本体の行程を判別する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  12. 前記制御装置は、前記始動非同期噴射制御において、始動非同期噴射実行条件の成立を条件に前記燃料噴射装置に非同期噴射を行わせ、
    前記始動非同期噴射実行条件が、
    前記鞍乗型車両に備えられて前記回転電機に接続されるバッテリの電圧に関するバッテリ電圧条件、前記エンジン本体の温度に関する条件であるエンジン温度条件、および前記非同期噴射の回数制限に関する条件である非同期噴射回数制限条件のうちの一つ以上を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  13. 前記スイングバック制御は、前記クランクシャフトの前記逆転方向への回転を判別する逆転判別を含み、前記制御装置は、前記逆転判別によって前記クランクシャフトの前記逆転方向への回転が判別されないと、前記スイングバック制御を中止する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  14. 前記逆転判別は、前記電磁ピックアップが生成する検出信号を用いた前記回転電機の脱調判定を含む、請求項13に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  15. 前記エンジン本体は、単一の前記気筒を有する単気筒4ストロークエンジン本体である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  16. 前記燃料噴射装置に燃料を供給する燃料ポンプをさらに含み、
    前記制御装置は、前記再始動条件が成立すると、前記クランクシャフトの回転開始を待たずに、前記燃料ポンプの駆動を開始する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の鞍乗型車両用エンジンユニット。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の鞍乗型車両用エンジンユニットと、
    前記クランクシャフトの回転が伝達される車輪と、
    鞍乗型のシートと、を含む、鞍乗型車両。
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