JPH08154035A - 同調増幅器 - Google Patents

同調増幅器

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JPH08154035A
JPH08154035A JP15561995A JP15561995A JPH08154035A JP H08154035 A JPH08154035 A JP H08154035A JP 15561995 A JP15561995 A JP 15561995A JP 15561995 A JP15561995 A JP 15561995A JP H08154035 A JPH08154035 A JP H08154035A
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inductor
signal
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Tadataka Oe
忠孝 大江
Tsutomu Nakanishi
努 中西
Takeshi Ikeda
毅 池田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 同調周波数と最大減衰量とを互いに干渉する
ことなく、任意に調整し得る同調増幅器を得ること。 【構成】 非反転回路50と、入力される交流信号の電圧
レベルを約1/2に分圧する2つの抵抗からなる第1の
直列回路と、入力される交流信号の位相を所定量シフト
させるインダクタと可変抵抗からなる第2の直列回路
と、第1および第2の直列回路の各出力の差分に対して
所定の増幅を行う差動増幅器とを含む2つの移相回路1
0、30と、帰還抵抗70および入力抵抗74のそれぞれを介
することにより後段の移相回路30から出力される信号と
入力端子90に入力される入力信号とを所定の割合で加算
する加算回路とを含んで構成されている。移相回路10、
30内のインダクタと可変抵抗からなる第2の直列回路の
時定数を変化させて同調周波数を調整し、入力抵抗74と
帰還抵抗70の抵抗比を変化させて最大減衰量を調整す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、同調周波数と最大減
衰量とを互いに干渉することなく、任意に調整し得る同
調増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】同調増幅器として従来より能動素子およ
びリアクタンス素子を使用した各種の増幅回路が提案さ
れ実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の同調増幅器にお
いては、同調周波数を調整すると、LC回路に依存する
Qと利得が変化し、最大減衰量を調整すると同調周波数
が変化したり、また、図33の特性曲線AおよびBに示
すように、最大減衰量を調整すると同調周波数における
利得が変化するので、同調周波数、同調周波数における
利得、最大減衰量C1、C2を互いに干渉しあうことな
く調整することは極めて困難であった。
【0004】さらに、同調周波数および最大減衰量を調
整し得る同調増幅器を集積回路によって形成することも
困難であった。
【0005】そこで、この発明は、このような課題を解
決するために考えられたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、この発明の同調増幅器は、入力信号が一方端に
入力される入力側インピーダンス素子と、帰還信号が一
方端に入力される帰還側インピーダンス素子とを含んで
おり、前記入力信号と前記帰還信号とを加算する加算回
路と、入力される交流信号が両端に印加される抵抗値が
ほぼ等しい第1および第2の抵抗により構成された第1
の直列回路と、前記交流信号が両端に印加される第3の
抵抗とインダクタにより構成された第2の直列回路と、
前記第1の直列回路を構成する前記第1および第2の抵
抗の接続点の電位と前記第2の直列回路を構成する前記
第3の抵抗と前記インダクタの接続点の電位との差分を
所定の増幅度で増幅して出力する差動増幅器とを含む2
つの移相回路と、を備え、前記2つの移相回路を縦続接
続し、これら縦続接続された2つの移相回路の中の前段
の移相回路に対して前記加算回路によって加算された信
号を入力するとともに、後段の移相回路から出力される
信号を前記帰還信号として前記帰還側インピーダンス素
子の一方端に入力し、これら2つの移相回路のいずれか
の出力を同調信号として取り出すことを特徴とする。
【0007】また、この発明の同調増幅器は、入力端子
に入力される交流信号が一方端に入力される入力側イン
ピーダンス素子と、帰還信号が一方端に入力される帰還
側インピーダンス素子とを含んでおり、前記入力端子に
入力される交流信号と前記帰還信号とを加算する加算回
路と、入力される交流信号が両端に印加される抵抗値が
ほぼ等しい第1および第2の抵抗により構成された第1
の直列回路と、前記交流信号が両端に印加される第3の
抵抗とインダクタにより構成された第2の直列回路と、
前記第1の直列回路を構成する前記第1および第2の抵
抗の接続点の電位と前記第2の直列回路を構成する前記
第3の抵抗と前記インダクタの接続点の電位との差分を
所定の増幅度で増幅して出力する差動増幅器とを含む2
つの移相回路と、入力される交流信号の位相を変えずに
出力する非反転回路と、を備え、前記2つの移相回路お
よび前記非反転回路のそれぞれを縦続接続し、これら縦
続接続された複数の回路の中の初段の回路に対して前記
加算回路によって加算された信号を入力するとともに、
最終段の回路から出力される信号を前記帰還信号として
前記帰還側インピーダンス素子の一方端に入力し、これ
ら複数の回路のいずれかの出力を同調信号として取り出
すことを特徴とする。
【0008】また、この発明の同調増幅器は、入力端子
に入力される交流信号が一方端に入力される入力側イン
ピーダンス素子と、帰還信号が一方端に入力される帰還
側インピーダンス素子とを含んでおり、前記入力端子に
入力される交流信号と前記帰還信号とを加算する加算回
路と、入力される交流信号が両端に印加される抵抗値が
ほぼ等しい第1および第2の抵抗により構成された第1
の直列回路と、前記交流信号が両端に印加される第3の
抵抗とインダクタにより構成された第2の直列回路と、
前記第1の直列回路を構成する前記第1および第2の抵
抗の接続点の電位と前記第2の直列回路を構成する前記
第3の抵抗と前記インダクタの接続点の電位との差分を
所定の増幅度で増幅して出力する差動増幅器とを含む2
つの移相回路と、入力される交流信号の位相を反転して
出力する位相反転回路と、を備え、前記2つの移相回路
および前記位相反転回路のそれぞれを縦続接続し、これ
ら縦続接続された複数の回路の中の初段の回路に対して
前記加算回路によって加算された信号を入力するととも
に、最終段の回路から出力される信号を前記帰還信号と
して前記帰還側インピーダンス素子の一方端に入力し、
これら複数の回路のいずれかの出力を同調信号として取
り出すことを特徴とする。
【0009】また、この発明の同調増幅器は、入力側イ
ンピーダンス素子を介して入力された交流信号を同相で
出力する非反転回路と、2つの抵抗の直列接続およびイ
ンダクタと抵抗との直列接続よりなり、前記非反転回路
の出力が印加される第1のブリッジ回路と、前記第1の
ブリッジ回路の2つの出力の差を得る第1の差動増幅器
とを有し、前記第1のブリッジ回路に入力された信号を
移相する第1の移相回路と、2つの抵抗の直列接続およ
び抵抗とインダクタとの直列接続よりなり、前記第1の
移相回路の出力が印加される第2のブリッジ回路と、前
記第2のブリッジ回路の2つの出力の差を得る第2の差
動増幅器とを有し、前記第2のブリッジ回路に入力され
た信号を前記第1の移相回路とは反対方向に移相する第
2の移相回路と、前記第2の移相回路の出力を帰還側イ
ンピーダンス素子を介して前記非反転回路の入力へ帰還
する回路と、を備えることを特徴とする。
【0010】また、この発明の同調増幅器は、入力抵抗
を介して入力された交流信号を反転して出力する位相反
転回路と、2つの抵抗の直列接続およびインダクタと抵
抗との直列接続よりなり、前記位相反転回路の出力が印
加される第1のブリッジ回路と、前記第1のブリッジ回
路の2つの出力の差を得る第1の差動増幅器とを有し、
前記第1のブリッジ回路に入力された信号を移相する第
1の移相回路と、2つの抵抗の直列接続およびインダク
タと抵抗との直列接続よりなり、前記第1の移相回路の
出力が印加される第2のブリッジ回路と、前記第2のブ
リッジ回路の2つの出力の差を得る第2の差動増幅器と
を有し、前記第2のブリッジ回路に入力された信号を前
記第1の移相回路と同じ方向に移相する第2の移相回路
と、前記第2の移相回路の出力を帰還抵抗を介して前記
位相反転回路の入力へ帰還する回路と、を備えることを
特徴とする。
【0011】
【実施例】以下、この発明を適用した一実施例の同調増
幅器について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】(第1実施例)図1は、この発明を適用し
た第1実施例の同調増幅器の構成を示す回路図である。
同図に示す同調増幅器1は、入力信号の位相を変えずに
出力する非反転回路50と、それぞれが入力信号の位相を
所定量シフトさせることにより所定の周波数において合
計で0°の位相シフトを行う2つの移相回路10、30と、
帰還抵抗70および入力抵抗74(入力抵抗74は帰還抵抗70
の抵抗値のn倍の抵抗値を有しているものとする)のそ
れぞれを介することにより後段の移相回路30から出力さ
れる信号(帰還信号)と入力端子90に入力される信号
(入力信号)とを所定の割合で加算する加算回路とを含
んで構成されている。なお、非反転回路50はバッファ回
路として機能するものであるが、同調増幅器の基本動作
のみに着目した場合には省略してもよい。
【0013】図2は、図1に示した前段の移相回路10の
構成を抜き出して示したものである。同図に示す前段の
移相回路10は、2入力の差分電圧を所定の増幅度(例え
ば約2倍)で増幅して出力する差動増幅器12と、入力端
22に入力された信号の位相を所定量シフトさせて差動増
幅器12の非反転入力端子に入力する可変抵抗16およびイ
ンダクタ17と、入力端22に入力された信号の位相を変え
ずにその電圧レベルを約1/2に分圧して差動増幅器12
の反転入力端子に入力する抵抗18および20とを含んで構
成されている。
【0014】なお、インダクタ17と可変抵抗16との間に
挿入されているキャパシタ19は直流電流阻止用であり、
そのインピーダンスは動作周波数において極めて小さ
く、すなわち大きな静電容量を有している。また、イン
ダクタ17と抵抗20の接続点が接地されている場合を考え
て以下の説明を行うものとする。
【0015】このような構成を有する移相回路10におい
て、所定の交流信号が入力端22に入力されると、差動増
幅器12の反転入力端子には、入力端22に印加される電圧
(入力電圧Ei)を抵抗18と抵抗20とによって分圧した
電圧が印加される。抵抗18および20の各抵抗値はほぼ等
しく設定されており、これら2つの抵抗18、20の直列回
路により構成される分圧回路によって約1/2に分圧さ
れた電圧Ei/2が差動増幅器12の反転入力端子に印加
される。
【0016】一方、入力信号が入力端22に入力される
と、差動増幅器12の非反転入力端子には、インダクタ17
と可変抵抗16の接続点(正確にはインダクタ17に直列に
接続されたキャパシタ19と可変抵抗16の接続点である
が、上述したようにこのキャパシタ19は直流電流阻止用
であって動作に影響を与えないため基本動作の説明を行
う場合には省略することができる)に現れる信号が入力
される。可変抵抗16とインダクタ17により構成されるL
R回路(直列回路)の一方端には入力信号が入力されて
いるため、入力信号の位相をこのLR回路によって所定
量シフトした信号の電圧が差動増幅器12の非反転入力端
子には印加される。
【0017】差動増幅器12は、このようにして2つの入
力端子に印加される電圧の差分を所定の増幅度、例えば
約2倍に増幅した信号を出力する。
【0018】図3は、移相回路10の入出力電圧とインダ
クタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【0019】同図に示すように、インダクタ17の両端に
現れる電圧VL1と可変抵抗16の両端に現れる電圧VR1
は、互いに位相が90°ずれており、これらをベクトル
的に合成(加算)したものが入力電圧Eiとなる。した
がって、入力信号の振幅が一定で周波数のみが変化した
場合には、図3に示す半円の円周に沿ってインダクタ17
の両端電圧VL1と可変抵抗16の両端電圧VR1とが変化す
る。
【0020】また、差動増幅器12の非反転入力端子に印
加される電圧(インダクタ17の両端電圧VL1)から反転
入力端子に印加される電圧(抵抗20の両端電圧Ei/
2)をベクトル的に減算したものが差分電圧Eo′とな
る。この差分電圧Eo′は、図3に示した半円におい
て、その中心点を始点とし、電圧VL1と電圧VR1とが交
差する円周上の一点を終点とするベクトルで表すことが
でき、その大きさは半円の半径Ei/2に等しくなる。
実際には、差動増幅器12はこの差分電圧Eo′を2倍に
増幅しており、出力電圧Eo=Eo′×2=Eiとなる。
したがって、この実施例の移相回路10において、入力信
号の振幅と出力信号の振幅とは等しく、入出力信号間で
信号の減衰が生じないことがわかる。
【0021】また、図3から明らかなように、電圧VL1
と電圧VR1とは円周上で直角に交わるため、入力電圧E
iと電圧VL1との位相差は、周波数ωが0から∞まで変
化するに従って90°から0°まで変化する。そして、
移相回路10全体の位相シフト量φ1はその2倍であり、
周波数に応じて180°から0°まで変化する。
【0022】次に、上述した入出力電圧間の関係を定量
的に検証する。
【0023】図4は、前段の移相回路10を等価的に表し
た図であり、差動増幅器12の入力側に設けられた2つの
直列回路に対応する構成が示されている。
【0024】抵抗18および20により構成される直列回路
の両端には入力電圧Eiが印加されるため、抵抗18、20
のそれぞれは電圧Ei/2を発生する2つの電圧源27、2
8に置き換えて考えることができる。このとき、図4に
示す等価回路の閉ループに流れる電流Iは、インダクタ
17のインダクタンスをL、可変抵抗16の抵抗値をRとす
ると、
【数1】 となる。ここで、図4に示す2点間の電位差(差分)E
o′を求めると、
【数2】 となる。上述した(2)式に(1)式を代入して計算すると、
【数3】 となる。また、この実施例の移相回路10の出力電圧Eo
は、上述した差分Eo′を2倍したものであるから、
【数4】 となる。ここで、可変抵抗16とインダクタ17からなるL
R回路の時定数をT(=L/R)とした。
【0025】この(4)式においてs=jωを代入して変
形すると、
【数5】 となる。(5)式から出力電圧Eoの絶対値を求めると、
【数6】 となる。すなわち、(6)式は、この実施例の移相回路10
は入出力間の位相がどのように回転しても、その出力信
号の振幅は入力信号の振幅に等しく一定であることを表
している。
【0026】また、(5)式から出力電圧Eoの入力電圧E
iに対する位相シフト量φ1を求めると、
【数7】 となる。この(7)式から、例えばωがほぼ1/T(=R
/L)となるような周波数における位相シフト量φ1は
ほぼ90°となり、入力信号の振幅を減衰させることな
く位相のみをほぼ90°シフトさせることができる。し
かも、可変抵抗16の抵抗値Rを可変することにより、位
相シフト量φ1がほぼ90°となる周波数ωを変化させ
ることができる。
【0027】図5は、図1に示した後段の移相回路30の
構成を抜き出して示したものである。同図に示す後段の
移相回路30は、2入力の差分電圧を所定の増幅度(例え
ば約2倍)で増幅して出力する差動増幅器32と、入力端
42に入力された信号の位相を所定量シフトさせて差動増
幅器32の非反転入力端子に入力するインダクタ37および
可変抵抗36と、入力端42に入力された信号の位相を変え
ずにその電圧レベルを約1/2に分圧して差動増幅器32
の反転入力端子に入力する抵抗38および40とを含んで構
成されている。
【0028】なお、インダクタ37に直列に挿入されてい
るキャパシタ39は直流電流阻止用であり、そのインピー
ダンスは動作周波数において極めて小さく、すなわち大
きな静電容量を有している。
【0029】このような構成を有する移相回路30におい
て、所定の交流信号が入力端42に入力されると、差動増
幅器32の反転入力端子には、入力端42に印加される電圧
(入力電圧Ei)を抵抗38と抵抗40とによって分圧した
電圧が印加される。抵抗38および40の各抵抗値はほぼ等
しく設定されており、これら2つの抵抗38、40の直列回
路により構成される分圧回路によって約1/2に分圧さ
れた電圧Ei/2が差動増幅器32の反転入力端子に印加
される。
【0030】一方、入力信号が入力端42に入力される
と、差動増幅器32の非反転入力端子には、インダクタ37
と可変抵抗36の接続点に現れる信号が入力される。イン
ダクタ37と可変抵抗36により構成されるLR回路(直列
回路)の一方端には入力信号が入力されているため、入
力信号の位相をこのLR回路によって所定量シフトした
信号の電圧が差動増幅器32の非反転入力端子には印加さ
れる。
【0031】差動増幅器32は、このようにして2つの入
力端子に印加される電圧の差分を所定の増幅度、例えば
約2倍に増幅した信号を出力する。
【0032】図6は、移相回路30の入出力電圧とインダ
クタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【0033】同図に示すように、可変抵抗36の両端に現
れる電圧VR2とインダクタ37の両端に現れる電圧VL2
は、互いに位相が90°ずれており、これらをベクトル
的に合成(加算)したものが入力電圧Eiとなる。した
がって、入力信号の振幅が一定で周波数のみが変化した
場合には、図6に示す半円の円周に沿って可変抵抗36の
両端電圧VR2とインダクタ37の両端電圧VL2とが変化す
る。
【0034】また、差動増幅器32の非反転入力端子に印
加される電圧(可変抵抗36の両端電圧VR2)から反転入
力端子に印加される電圧(抵抗40の両端電圧Ei/2)
をベクトル的に減算したものが差分電圧Eo′となる。
この差分電圧Eo′は、図6に示した半円において、そ
の中心点を始点とし、電圧VR2と電圧VL2とが交差する
円周上の一点を終点とするベクトルで表すことができ、
その大きさは半円の半径Ei/2に等しくなる。実際に
は、差動増幅器32はこの差分電圧Eo′を2倍に増幅し
ており、出力電圧Eo=Eo′×2=Eiとなる。したが
って、この実施例の移相回路30において、入力信号の振
幅と出力信号の振幅とは等しく、入出力信号間で信号の
減衰が生じないことがわかる。
【0035】また、図6から明らかなように、電圧VR2
と電圧VL2とは円周上で直角に交わるため、入力電圧E
iと電圧VR2との位相差は、周波数ωが0から∞まで変
化するに従って0°から90°まで変化する。そして、
移相回路30全体の位相シフト量φ2はその2倍であり、
周波数に応じて0°から180°まで変化する。
【0036】次に、上述した入出力電圧間の関係を定量
的に検証する。
【0037】図7は、後段の移相回路30を等価的に表し
た図であり、差動増幅器32の入力側に設けられた2つの
直列回路に対応する構成が示されている。
【0038】抵抗38および40により構成される直列回路
の両端には入力電圧Eiが印加されるため、前段の移相
回路10の場合と同様に、抵抗38、40のそれぞれは電圧E
i/2を発生する2つの電圧源27、28に置き換えて考え
ることができる。このとき、図7に示す等価回路の閉ル
ープに流れる電流Iは、可変抵抗36の抵抗値をR、イン
ダクタ37のインダクタンスをLとすると、上述した(1)
式で表すことができる。
【0039】ここで、図7に示す2点間の電位差(差
分)Eo′を求めると、
【数8】 となる。上述した(8)式に(1)式を代入して計算すると、
【数9】 となる。また、この実施例の移相回路30の出力電圧Eo
は、上述した差分Eo′を2倍したものであるから、
【数10】 となる。ここで、移相回路10と同様に、インダクタ37と
可変抵抗36からなるLR回路の時定数をT(=L/R)
とした。
【0040】(10)式においてs=jωを代入して変形す
ると、
【数11】 となる。
【0041】上述した(10)式および(11)式は、前段の移
相回路10について示した(4)式および(5)式と符号のみ異
なっている。したがって、出力電圧Eoの絶対値は(6)式
をそのまま適用することができ、後段の移相回路30は入
出力間の位相がどのように回転しても、その出力信号の
振幅は入力信号の振幅に等しく一定であることがわか
る。
【0042】また、(11)式から出力電圧Eoの入力電圧
Eiに対する位相シフト量φ2を求めると、
【数12】 となる。この(12)式から、例えばωがほぼ1/T(=R
/L)となるような周波数における位相シフト量φ2は
ほぼ90°となり、入力信号の振幅を減衰させることな
く位相のみをほぼ90°シフトさせることができる。し
かも、可変抵抗36の抵抗値Rを可変することにより、位
相シフト量φ2がほぼ90°となる周波数ωを変化させ
ることができる。
【0043】このようにして、2つの移相回路10、30の
それぞれにおいて位相が所定量シフトされる。しかも、
図3および図6に示すように、各移相回路10、30におけ
る入出力電圧の相対的な位相関係は反対方向であって、
所定の周波数において2つの移相回路10、30の全体によ
り位相シフト量が0°となる信号が出力される。
【0044】また、後段の移相回路30の出力は、帰還抵
抗70を介して移相回路10の前段に設けられた非反転回路
50の入力側に帰還されており、この帰還された信号と入
力抵抗74を介して入力される信号とが加算される。この
加算された信号は、バッファ回路として機能する非反転
回路50を介して移相回路10の入力端(図2に示した入力
端22)に入力される。
【0045】このような帰還ループを形成することによ
り、ある周波数において帰還ループを一巡する信号の位
相シフト量が0°となる。このとき、非反転回路50や2
つの移相回路10、30の各増幅度を調整して、同調増幅器
1全体のループゲインをほぼ1に設定することにより、
同調動作が行われる。
【0046】図8は、上述した構成を有する2つの移相
回路10、30および非反転回路50の全体を伝達関数K1を
有する回路に置き換えたシステム図であり、伝達関数K
1を有する回路と並列に抵抗R0を有する帰還抵抗70が、
直列に帰還抵抗70のn倍の抵抗値(nR0)を有する入
力抵抗74が接続されている。図9は、図8に示すシステ
ムをミラーの定理によって変換したシステム図であり、
変換後のシステム全体の伝達関数Aは、
【数13】 で表すことができる。
【0047】ところで、(4)式から明らかなように、前
段の移相回路10の伝達関数K2は、
【数14】 であり、(10)式から明らかなように、後段の移相回路30
の伝達関数K3は、
【数15】 である。したがって、移相回路10、30を2段縦続接続し
た場合の全体の伝達関数K1は、
【数16】 となる。この(16)式を上述した(13)式に代入すると、
【数17】 となる。
【0048】この(17)式によれば、ω=0(直流の領
域)のときにA=−1/(2n+1)となって、最大減
衰量を与えることがわかる。また、ω=∞のときにも最
大減衰量を与えることがわかる。さらに、ω=1/Tの
同調点(2つの移相回路10、30の各時定数が異なる場合
であってそれぞれをT1、T2とした場合には、ω=1/
√(T1・T2)の同調点)においてはA=1であって帰
還抵抗70と入力抵抗74の抵抗比nに無関係であることが
わかる。換言すれば、図10に示すように、nの値を変
化させても同調点がずれることなく、かつ同調点の減衰
量も変化しない。
【0049】このように、この実施例の同調増幅器1に
よれば、帰還抵抗70と入力抵抗74の抵抗比nを変えても
同調周波数および同調時の利得が一定であり、最大減衰
量のみを変化させることができる。反対に、最大減衰量
は上述した抵抗比nによって決定されるため、各移相回
路10、30内の可変抵抗16あるいは36の抵抗値を変えて同
調周波数を変えた場合であっても、この最大減衰量に影
響を与えることはなく、同調周波数、同調周波数におけ
る利得、最大減衰量を互いに干渉しあうことなく調整す
ることができる。
【0050】また、この実施例の同調増幅器1におい
て、インダクタ17および37は、写真触刻法等によりスパ
イラル状の導体を形成することによって半導体基板上へ
形成することが可能となるが、このようなインダクタ17
および37を用いることにより、それ以外の構成部品(差
動増幅器や抵抗等)とともに半導体基板上に形成するこ
とができることから、同調周波数および最大減衰量を調
整し得る同調増幅器1の全体を半導体基板上に形成して
集積回路とすることも容易である。但し、この場合には
インダクタ17および37が有するインダクタンスは極めて
小さくなるため、同調周波数が高くなる。別の見方をす
れば、同調増幅器1の同調周波数はR/Lに比例し、こ
の中のインダクタンスLは集積化等により小さくするこ
とが容易であるため、同調周波数の高周波化に適してい
る。
【0051】なお、上述した第1実施例の同調増幅器1
では、前段に移相回路10を、後段に移相回路30をそれぞ
れ配置したが、これらの全体によって入出力信号間の位
相シフト量が0°となればよいことから、これらの前後
を入れ換えて前段に移相回路30を、後段に移相回路10を
それぞれ配置して同調増幅器を構成するようにしてもよ
い。
【0052】(第2実施例)上述した第1実施例の同調
増幅器1は、構成が異なる2つの移相回路10および30を
組み合わせて構成したが、同じ構成を有する2つの移相
回路を組み合わせて同調増幅器を構成するようにしても
よい。
【0053】図1に示す同調増幅器1に含まれる一方の
移相回路10は図2に示した基本構成を有しており、移相
回路10の入力と出力との間には(4)式で表される関係が
成立する。以下では、図2に示す構成を有する移相回路
10を(4)式中の分数の符号を用いて便宜上「−型の移相
回路」と称して説明を行う。また、図1に示す同調増幅
器1に含まれる他方の移相回路30は図5に示した基本構
成を有しており、移相回路30の入力と出力との間には(1
0)式で表された関係が成立する。以下では、図5に示す
構成を有する移相回路30を(10)式中の分数の符号を用い
て便宜上「+型の移相回路」と称して説明を行う。
【0054】このように各移相回路を便宜上2つのタイ
プに分類した場合には、第1実施例の同調増幅器1は、
タイプが異なる2つの移相回路10および30を組み合わせ
ることにより、全体としての位相シフト量が0°となる
周波数において同調動作を行うようになっている。
【0055】ところで、1つの−型の移相回路10に信号
の位相を反転させる位相反転回路を接続した場合のその
全体の入出力間の関係に着目すると、(4)式において分
数の符号「−」を反転して「+」にすればよく、1つの
−型の移相回路に位相反転回路を接続した構成が1つの
+型の移相回路に等価であるといえる。同様に、1つの
+型の移相回路30に信号の位相を反転させる位相反転回
路を接続した場合のその全体の入出力間の関係に着目す
ると、(10)式において分数の符号「+」を反転して
「−」にすればよく、1つの+型の移相回路に位相反転
回路を接続した構成が1つの−型の移相回路に等価であ
るといえる。
【0056】したがって、第1実施例においてタイプが
異なる2つの移相回路10および30を組み合わせて同調増
幅器を構成する代わりに、同タイプの2つの移相回路と
位相反転回路を組み合わせて同調増幅器を構成すること
ができる。
【0057】図11は、第2実施例の同調増幅器の構成
を示す図である。同図に示す同調増幅器1aは、入力信
号の位相を反転する位相反転回路80と、図2に示す−型
の2つの移相回路10と、帰還抵抗70および入力抵抗74
(入力抵抗74は帰還抵抗70の抵抗値のn倍の抵抗値を有
しているものとする)のそれぞれを介することにより後
段の移相回路10から出力される信号(帰還信号)と入力
端子90に入力される信号(入力信号)とを所定の割合で
加算する加算回路とを含んで構成されている。
【0058】このような構成を有する同調増幅器1aに
おいて、ある周波数において2つの移相回路10によって
位相が180°シフトされるとともに、位相反転回路80
によって位相が反転されるため、全体として信号の位相
シフト量が0°となる。例えば、2つの移相回路10内の
LR回路の時定数が同じであると仮定し、その値をTと
おくと、ω=1/Tの周波数では2つの移相回路10のそ
れぞれにおける位相シフト量が90°となる。したがっ
て、位相反転回路80によって位相が反転されるととも
に、2つの移相回路10の全体によって位相が180°シ
フトされ、全体として、位相が一巡して位相シフト量が
0°となる信号が後段の移相回路10から出力される。
【0059】また、後段の移相回路10の出力は、帰還抵
抗70を介して位相反転回路80の入力側に帰還されてお
り、この帰還された信号と入力抵抗74を介して入力され
る信号とが加算され、この加算された信号が位相反転回
路80に入力されている。
【0060】このような帰還ループを形成することによ
り、位相反転回路80によって信号の位相が反転されると
ともに、ある周波数において2つの移相回路10によって
位相が180°シフトされ、全体として帰還ループを一
巡する信号の位相シフト量が0°となる。このとき、位
相反転回路80や2つの移相回路10の各増幅度を調整し
て、同調増幅器1a全体のループゲインをほぼ1に設定
することにより、同調動作が行われる。
【0061】ところで、上述した位相反転回路80および
2つの移相回路10を含む第2実施例の同調増幅器1a
は、その全体を伝達関数K1を有する回路に置き換える
と、第1実施例の場合と同様に、図8に示すシステム図
で表すことができる。したがって、ミラーの定理によっ
て変換することにより図9に示すシステム図で表すこと
ができ、変換後のシステム全体の伝達関数Aは(13)式で
表すことができる。
【0062】また、移相回路10の伝達関数K2は(14)式
で表されるため、位相反転回路80と2段の移相回路10と
を接続した場合の全体の伝達関数K1は、
【数18】 となる。この(18)式で求めた伝達関数K1は、(16)式で
求めた第1実施例の同調増幅器1の2つの移相回路10、
30の全体の伝達関数K1と同じであり、同調増幅器1a
の全体の伝達関数は(17)式に示したAをそのまま適用す
ることができる。
【0063】したがって、第2実施例の同調増幅器1a
は、第1実施例の同調増幅器1と同様の特性を有してお
り、ω=0(直流の領域)のときにA=−1/(2n+
1)となって、最大減衰量を与えることがわかる。ま
た、ω=∞のときにも最大減衰量を与えることがわか
る。さらに、ω=1/Tの同調点(2つの移相回路10の
各時定数が異なる場合であってそれぞれをT1、T2とし
た場合には、ω=1/√(T1・T2)の同調点)におい
てはA=1であって帰還抵抗70と入力抵抗74の抵抗比n
に無関係であって、図10に示すようにnの値を変化さ
せても同調点がずれることなく、かつ同調点の減衰量も
変化しない。
【0064】このように、この実施例の同調増幅器1a
によれば、帰還抵抗70と入力抵抗74の抵抗比nを変えて
も同調周波数および同調時の利得が一定であり、最大減
衰量のみを変化させることができる。反対に、最大減衰
量は上述した抵抗比nによって決定されるため、各移相
回路10内の可変抵抗16の抵抗値を変えて同調周波数を変
えた場合であっても、この最大減衰量に影響を与えるこ
とはなく、同調周波数、同調周波数における利得、最大
減衰量を互いに干渉しあうことなく調整することができ
る。
【0065】また、第1実施例と同様に、インダクタ17
は写真触刻法等によりスパイラル状の導体を形成するこ
とによって半導体基板上へ形成することが可能となる
が、このようなインダクタ17を用いることにより、それ
以外の構成部品(差動増幅器や抵抗等)とともに半導体
基板上に形成することができることから、同調周波数お
よび最大減衰量を調整し得る同調増幅器1aの全体を半
導体基板上に形成して集積回路とすることも容易であ
る。また、集積化した場合には容易に同調周波数を高周
波化することができる。
【0066】(第3実施例)上述した第2実施例の同調
増幅器1aでは−型の2つの移相回路10を接続した場合
を説明したが、+型の移相回路30を2段接続することに
より同調増幅器を構成するようにしてもよい。
【0067】図12は、第3実施例の同調増幅器の構成
を示す図である。同図に示す同調増幅器1bは、入力信
号の位相を反転する位相反転回路80と、図5に示す+型
の2つの移相回路30と、帰還抵抗70および入力抵抗74
(入力抵抗74は帰還抵抗70の抵抗値のn倍の抵抗値を有
しているものとする)のそれぞれを介することにより後
段の移相回路30から出力される信号(帰還信号)と入力
端子90に入力される信号(入力信号)とを所定の割合で
加算する加算回路とを含んで構成されている。
【0068】上述した第1実施例で説明したように、+
型の2つの移相回路30のそれぞれは、入力信号の周波数
ωが0から∞まで変化するにしたがって位相シフト量が
0°から180°まで変化する。例えば、2つの移相回
路30内のLR回路の時定数が同じであると仮定し、その
値をTとおくと、ω=1/Tの周波数では2つの移相回
路30のそれぞれにおける位相シフト量が90°となる。
したがって、2つの移相回路30の全体によって位相が1
80°シフトされるとともに、前段に設けられた位相反
転回路80によって位相が反転されるため、全体として、
位相が一巡して位相シフト量が0°となる信号が後段の
移相回路30から出力される。
【0069】また、後段の移相回路30の出力は、帰還抵
抗70を介して位相反転回路80の入力側に帰還されてお
り、この帰還された信号と入力抵抗74を介して入力され
る信号とが加算され、この加算された信号が位相反転回
路80に入力されている。
【0070】このような帰還ループを形成することによ
り、位相反転回路80によって信号の位相が反転されると
ともに、ある周波数において2つの移相回路30によって
位相が180°シフトされ、全体として帰還ループを一
巡する信号の位相シフト量が0°となる。このとき、位
相反転回路80や2つの移相回路30の各増幅度を調整し
て、同調増幅器1b全体のループゲインをほぼ1に設定
することにより、同調動作が行われる。
【0071】ところで、上述した位相反転回路80および
2つの移相回路30を含む第3実施例の同調増幅器1b
は、その全体を伝達関数K1を有する回路に置き換える
と、第1実施例の場合と同様に、図8に示すシステム図
で表すことができる。したがって、ミラーの定理によっ
て変換することにより図9に示すシステム図で表すこと
ができ、変換後のシステム全体の伝達関数Aは(13)式で
表すことができる。
【0072】また、(15)式から明らかなように、2つの
移相回路30のそれぞれの伝達関数K3は、(14)式で表さ
れる移相回路10の伝達関数K2と符号のみ異なっている
ことから、位相反転回路80と2段の移相回路30とを接続
した場合の全体の伝達関数K1は(18)式に示したものを
そのまま適用することができる。このため、第2実施例
の同調増幅器1aと同様に、同調増幅器1bの全体の伝
達関数は(17)式に示したAをそのまま適用することがで
きる。
【0073】したがって、第3実施例の同調増幅器1b
は、第1実施例の同調増幅器1等と同様の特性を有して
おり、ω=0(直流の領域)のときにA=−1/(2n
+1)となって、最大減衰量を与えることがわかる。ま
た、ω=∞のときにも最大減衰量を与えることがわか
る。さらに、ω=1/Tの同調点(2つの移相回路30の
各時定数が異なる場合であってそれぞれをT1、T2とし
た場合には、ω=1/√(T1・T2)の同調点)におい
てはA=1であって帰還抵抗70と入力抵抗74の抵抗比n
に無関係であって、図10に示すようにnの値を変化さ
せても同調点がずれることなく、かつ同調点の減衰量も
変化しない。
【0074】このように、この実施例の同調増幅器1b
によれば、帰還抵抗70と入力抵抗74の抵抗比nを変えて
も同調周波数および同調時の利得が一定であり、最大減
衰量のみを変化させることができる。反対に、最大減衰
量は上述した抵抗比nによって決定されるため、各移相
回路30内の可変抵抗36の抵抗値を変えて同調周波数を変
えた場合であっても、この最大減衰量に影響を与えるこ
とはなく、同調周波数、同調周波数における利得、最大
減衰量を互いに干渉しあうことなく調整することができ
る。
【0075】また、第1実施例等と同様に、インダクタ
37は写真触刻法等によりスパイラル状の導体を形成する
ことによって半導体基板上へ形成することが可能となる
が、このようなインダクタ37を用いることにより、それ
以外の構成部品(差動増幅器や抵抗等)とともに半導体
基板上に形成することができることから、同調周波数お
よび最大減衰量を調整し得る同調増幅器1bの全体を半
導体基板上に形成して集積回路とすることも容易であ
る。また、集積化した場合には容易に同調周波数を高周
波化することができる。
【0076】(その他の実施例)上述した各実施例の同
調増幅器に含まれる非反転回路50あるいは位相反転回路
80は、トランジスタやオペアンプや抵抗等を組み合わせ
て簡単に構成することができる。
【0077】図13は、オペアンプを用いて構成した非
反転回路と位相反転回路の具体例を示す図である。同図
(A)に示す非反転回路50は、反転入力端子が抵抗54を介
して接地されているとともにこの反転入力端子と出力端
子との間に抵抗56が接続されたオペアンプ52を含んで構
成されており、2つの抵抗54、56の抵抗比によって定ま
る所定の増幅度を有するバッファとして機能する。オペ
アンプ52の非反転入力端子に交流信号が入力されると、
オペアンプ52の出力端子からは同相の信号が出力され
る。
【0078】また、同図(B)に示す位相反転回路80は、
入力信号が抵抗84を介して反転入力端子に入力されると
ともに非反転入力端子が接地されたオペアンプ82と、こ
のオペアンプ82の反転入力端子と出力端子との間に接続
された抵抗86とを含んで構成されている。この位相反転
回路80は、2つの抵抗84、86の抵抗比によって定まる所
定の増幅度を有しており、抵抗84を介してオペアンプ82
の反転入力端子に交流信号が入力されると、オペアンプ
82の出力端子からは位相が反転した逆相の信号が出力さ
れる。
【0079】ところで、上述した各実施例の同調増幅器
は、2つの移相回路と非反転回路あるいは位相反転回路
によって構成されており、接続された複数の回路の全体
によって所定の周波数において合計の位相シフト量を0
°にすることにより所定の同調動作を行うようになって
いる。したがって、位相シフト量だけに着目すると、移
相回路と非反転回路あるいは位相反転回路とをどのよう
な順番で接続するかはある程度の自由度があり、必要に
応じて接続順番を決めることができる。
【0080】図14は、タイプが異なる2つの移相回路
と非反転回路とを組み合わせて同調増幅器を構成した場
合において、2つの移相回路と非反転回路50の接続状態
を示す図である。なお、これらの図において、帰還側イ
ンピーダンス素子70aおよび入力側インピーダンス素子
74aは、各同調増幅器の出力信号と入力信号とを所定の
割合で加算するためのものであり、最も一般的には図1
等に示すように、帰還側インピーダンス素子70aとして
帰還抵抗70を、入力側インピーダンス素子74aとして入
力抵抗74を使用する。
【0081】但し、帰還側インピーダンス素子70aおよ
び入力側インピーダンス素子74aは、それぞれの素子に
入力された信号の位相関係を変えることなく加算できれ
ばよいことから、帰還側インピーダンス素子70aおよび
入力側インピーダンス素子74aをともにキャパシタによ
り、あるいは帰還側インピーダンス素子70aおよび入力
側インピーダンス素子74aをともにインダクタにより形
成するようにしてもよい。または、抵抗やキャパシタあ
るいはインダクタを組み合わせることにより、インピー
ダンスの実数分および虚数分の比を同時に調整しうるよ
うにして各インピーダンス素子を形成してもよい。
【0082】図14(A)には、タイプが異なる(一方が
−型であって他方が+型である)2つの移相回路の後段
に非反転回路50を配置した構成が示されている。このよ
うに、後段に非反転回路50を配置した場合には、この非
反転回路50に出力バッファの機能を持たせることによ
り、大きな出力電流を取り出すこともできる。
【0083】図14(B)には、タイプが異なる2つの移
相回路の中間に非反転回路50を配置した構成が示されて
いる。このように、中間に非反転回路50を配置した場合
には、前段の移相回路10あるいは30と後段の移相回路30
あるいは10の相互干渉を完全に防止することができる。
【0084】図14(C)には、タイプが異なる2つの移
相回路の前段に非反転回路50を配置した構成が示されて
おり、図1に示した同調増幅器1に対応している。この
ように、前段に非反転回路50を配置した場合には、前段
の移相回路10あるいは30に対する帰還側インピーダンス
素子70aや入力側インピーダンス素子74aの影響を最小
限に抑えることができる。
【0085】同様に、図15は、同タイプの2つの移相
回路と位相反転回路を組み合わせて同調増幅器を構成し
た場合において、2つの移相回路と位相反転回路80の接
続状態を示す図である。なお、図14について説明した
ように、帰還側インピーダンス素子70aおよび入力側イ
ンピーダンス素子74aは、各同調増幅器の出力信号と入
力信号とを所定の割合で加算するためのものであり、最
も一般的には図1等に示すように、帰還側インピーダン
ス素子70aとして帰還抵抗70を、入力側インピーダンス
素子74aとして入力抵抗74を使用する。但し、帰還側イ
ンピーダンス素子70aおよび入力側インピーダンス素子
74aは、それぞれの素子に入力された信号の位相関係を
変えることなく加算できればよいことから、キャパシタ
等によって形成するようにしてもよい。
【0086】図15(A)には、同タイプの2つの移相回
路の後段に位相反転回路80を配置した構成が示されてい
る。このように、後段に位相反転回路80を配置した場合
には、この位相反転回路80に出力バッファの機能を持た
せることにより、大きな出力電流を取り出すこともでき
る。
【0087】図15(B)には、同タイプの2つの移相回
路の間に位相反転回路80を配置した構成が示されてい
る。このように、中間に位相反転回路80を配置した場合
には、2つの移相回路間の相互干渉を完全に防止するこ
とができる。
【0088】図15(C)には、2つの移相回路の前段に
位相反転回路80を配置した構成が示されており、図11
に示した同調増幅器1aや図12に示した同調増幅器1
bに対応している。このように、前段に位相反転回路80
を配置した場合には、前段の移相回路10あるいは30に対
する帰還側インピーダンス素子70aや入力側インピーダ
ンス素子74aの影響を最小限に抑えることができる。
【0089】また、上述した各実施例において示した移
相回路10、30には可変抵抗16あるいは36が含まれてい
る。これらの可変抵抗16、36は、具体的には接合型ある
いはMOS型のFETを用いて実現することができる。
【0090】図16は、各実施例において示した2種類
の移相回路内の可変抵抗16あるいは36をFETに置き換
えた場合の移相回路の構成を示す図である。
【0091】同図(A)には、図1等に示した一方の移相
回路10において、可変抵抗16をFETに置き換えた構成
が示されている。同図(B)には、図1等に示した他方の
移相回路30において、可変抵抗36をFETに置き換えた
構成が示されている。
【0092】このように、FETのソース・ドレイン間
に形成されるチャネルを抵抗体として利用して可変抵抗
16あるいは36の代わりに使用すると、ゲート電圧を可変
に制御してこのチャネル抵抗をある範囲で任意に変化さ
せて各移相回路における位相シフト量を変えることがで
きる。したがって、各同調増幅器において一巡する信号
の位相シフト量が0°となる周波数を変えることができ
るため、同調増幅器の同調周波数を任意に変更すること
ができる。
【0093】なお、図16に示した各移相回路は、可変
抵抗を1つのFET、すなわちpチャネルあるいはnチ
ャネルのFETによって構成したが、pチャネルのFE
TとnチャネルのFETとを並列接続して1つの可変抵
抗を構成し、各FETのゲートとサブストレート間に大
きさが等しく極性が異なるゲート電圧を印加するように
してもよい。抵抗値を可変する場合にはこのゲート電圧
の大きさを変えればよい。このように、2つのFETを
組み合わせて可変抵抗を構成することにより、FETの
非線形領域の改善を行うことができるため、同調信号の
歪みを少なくすることができる。
【0094】また、上述した各実施例において示した移
相回路10あるいは30は、インダクタ17、37と直列に接続
された可変抵抗16あるいは36の抵抗値を変化させて位相
シフト量を変化させることにより全体の同調周波数を変
えるようにしたが、インダクタ17、37を可変インダクタ
によって形成し、そのインダクタンスを変化させること
により同調周波数を変えるようにしてもよい。
【0095】図17は、各実施例において示した2種類
の移相回路内のインダクタ17あるいは37を可変インダク
タに置き換えた場合の移相回路の構成を示す図である。
【0096】同図(A)には、図1等に示した一方の移相
回路10において、可変抵抗16を固定抵抗に置き換えると
ともにインダクタ17を可変インダクタ17aに置き換えた
構成が示されている。同図(B)には、図1等に示した他
方の移相回路30において、可変抵抗36を固定抵抗に置き
換えるとともにインダクタ37を可変インダクタ37aに置
き換えた構成が示されている。
【0097】このように、インダクタ17あるいは37を可
変インダクタ17aあるいは37aに置き換えて、それらが
有するインダクタンスをある範囲で任意に変化させて各
移相回路における位相シフト量を変えることができる。
したがって、各同調増幅器において一巡する信号の位相
シフト量が0°となる周波数を変えることができ、同調
周波数を任意に変更することができる。
【0098】ところで、上述した図17(A)、(B)では
可変インダクタ17aあるいは37aのインダクタンスのみ
を可変したが、同時に可変抵抗16あるいは36の抵抗値を
可変するようにしてもよい。図17(C)には、図1等に
示した一方の移相回路10において、可変抵抗16を用いる
とともにインダクタ17を可変インダクタ17aに置き換え
た構成が示されている。同図(D)には、図1等に示した
他方の移相回路30において、可変抵抗36を用いるととも
にインダクタ37を可変インダクタ37aに置き換えた構成
が示されている。
【0099】また、図17(C)、(D)に示した可変抵抗
を図16に示したようにFETのチャネル抵抗を利用し
て形成することができることはいうまでもない。特に、
pチャネルのFETとnチャネルのFETとを並列接続
して1つの可変抵抗を構成し、各FETのベースとサブ
ストレート間に大きさが等しく極性が異なるゲート電圧
を印加した場合には、FETの非線形領域の改善を行う
ことができるため、同調信号の歪みを少なくすることが
できる。
【0100】このように、可変抵抗と可変インダクタを
組み合わせて移相回路を構成した場合であっても、可変
抵抗の抵抗値および可変インダクタのインダクタンスを
ある範囲で任意に変化させて各移相回路における位相シ
フト量を変えることができる。したがって、各同調増幅
器において一巡する信号の位相シフト量が0°となる周
波数を変えることができ、同調周波数を任意に変更する
ことができる。
【0101】また、上述したように可変抵抗や可変イン
ダクタを用いる場合の他、素子定数が異なる複数の抵抗
あるいはインダクタを用意しておいて、スイッチを切り
換えることにより、これら複数の素子の中から1つある
いは複数を選ぶようにしてもよい。この場合にはスイッ
チ切り換えにより接続する素子の個数および接続方法
(直列接続、並列接続あるいはこれらの組み合わせ)に
よって、素子定数を不連続に切り換えることができる。
例えば、可変抵抗の代わりに抵抗値がR、2R、4R、
…といった2のn乗の系列の複数の抵抗を用意しておい
て、1つあるいは任意の複数を選択して直列接続するこ
とにより、等間隔の抵抗値の切り換えをより少ない素子
で容易に実現することができる。このため、同調周波数
が複数ある回路、例えばAMラジオに各実施例の同調増
幅器を適用して、複数の放送局から1局を選局して受信
するような用途に適している。
【0102】図18は、上述した可変インダクタ17aの
具体例を示す図であり、半導体基板上に形成された平面
構造の概略が示されている。なお、同図に示す可変イン
ダクタ17aの構造は、そのまま可変インダクタ37aにも
適用することができる。
【0103】同図に示す可変インダクタ17aは、半導体
基板110上に形成された渦巻き形状のインダクタ導体112
と、その外周を周回するように形成された制御用導体11
4と、これらインダクタ導体112および制御用導体114の
両方を覆うように形成された絶縁性磁性体118とを含ん
で構成されている。
【0104】上述した制御用導体114は、制御用導体114
の両端に可変のバイアス電圧を印加するために可変電圧
電源116が接続され、この可変電圧電源116によって印加
する直流バイアス電圧を可変に制御することにより、制
御用導体114に流れるバイアス電流を変化させることが
できる。
【0105】また、半導体基板110は、例えばn型シリ
コン基板(n−Si基板)やその他の半導体材料(例え
ばゲルマニウムやアモルファスシリコン等の非晶質材
料)が用いられる。また、インダクタ導体112は、アル
ミニウムや金等の金属薄膜あるいはポリシリコン等の半
導体材料を渦巻き形状に形成されている。
【0106】なお、図18に示した半導体基板110に
は、可変インダクタ17aの他に図1等に示した同調増幅
器の他の構成部品が形成されている。
【0107】図19は、図18に示した可変インダクタ
17aのインダクタ導体112および制御用導体114の形状を
さらに詳細に示す図である。
【0108】同図に示すように、内周側に位置するイン
ダクタ導体112は、所定ターン数(例えば約4ターン)
の渦巻き形状に形成されており、その両端には2つの端
子電極122、124が接続されている。同様に、外周側に位
置する制御用導体114は、所定ターン数(例えば約2タ
ーン)の渦巻き形状に形成されており、その両端には2
つの制御電極126、128が接続されている。
【0109】図20は、図19のA−A線拡大断面図で
あり、インダクタ導体112と制御用導体114を含む絶縁性
磁性体118の横断面が示されている。
【0110】同図に示すように、半導体基板110表面に
絶縁性の磁性体膜118aを介してインダクタ導体112およ
び制御用導体114が形成されており、さらにその表面に
絶縁性の磁性体膜118bが被覆形成されている。これら
2つの磁性体膜118a、118bによって図18に示した絶
縁性磁性体118が形成されている。
【0111】例えば、磁性体膜118a、118bとしては、
ガンマ・フェライトやバリウム・フェライト等の各種磁
性体膜を用いることができる。また、これらの磁性体膜
の材質や形成方法については各種のものが考えられ、例
えばFeO等を真空蒸着して磁性体膜を形成する方法
や、その他分子線エピタキシー法(MBE法)、化学気
相成長法(CVD法)、スパッタ法等を用いて磁性体膜
を形成する方法等がある。
【0112】なお、絶縁膜130は、非磁性体材料によっ
て形成されており、インダクタ導体112および制御用導
体114の各周回部分の間を覆っている。このようにして
各周回部分間の磁性体膜118a、118bを排除することに
より、各周回部分間に生じる漏れ磁束を最小限に抑える
ことができるため、インダクタ導体112が発生する磁束
を有効に利用して大きなインダクタンスを有する可変イ
ンダクタ17aを実現することができる。
【0113】このように、図18等に示した可変インダ
クタ17aは、インダクタ導体112と制御用導体114とを覆
うように絶縁性磁性体118(磁性体膜118a、118b)が
形成されており、制御用導体114に流す直流バイアス電
流を可変に制御することにより、上述した絶縁性磁性体
118を磁路とするインダクタ導体112の飽和磁化特性が変
化し、インダクタ導体112が有するインダクタンスが変
化する。
【0114】したがって、インダクタ導体112のインダ
クタンスそのものを直接変化させることができ、しか
も、半導体基板110上に薄膜形成技術や半導体製造技術
を用いて形成することができるため製造が容易となる。
さらに、半導体基板110上には同調増幅器1等の他の構
成部品を形成することも可能であるため、各実施例の同
調増幅器の全体を集積化によって一体形成する場合に適
している。
【0115】なお、図18等に示した可変インダクタ17
aは、図21あるいは図22に示すように、インダクタ
導体112と制御用導体114とを交互に周回させたり、イン
ダクタ導体112と制御用導体114とを重ねて形成するよう
にしてもよい。いずれの場合であっても、制御用導体11
4に流す直流バイアス電流を変化させることにより絶縁
性磁性体118の飽和磁化特性を変えることができ、イン
ダクタ導体112が有するインダクタンスをある範囲で変
化させることができる。
【0116】また、図18等に示した可変インダクタ17
aは、半導体基板110上にインダクタ導体112等を形成す
る場合を例にとり説明したが、セラミックス等の絶縁性
あるいは導電性の各種基板上に形成するようにしてもよ
い。
【0117】また、磁性体膜118a、118bとして絶縁性
材料を用いたが、メタル粉(MP)のような導電性材料
を用いるようにしてもよい。但し、このような導電性の
磁性体膜を上述した絶縁性の磁性体膜118a等に置き換
えて使用すると、インダクタ導体112等の各周回部分が
短絡されてインダクタ導体として機能しなくなるため、
各インダクタ導体と導電性の磁性体膜との間を電気的に
絶縁する必要がある。この絶縁方法としては、インダク
タ導体112等を酸化して絶縁酸化膜を形成する方法や、
化学気相法等によりシリコン酸化膜あるいは窒化膜を形
成する方法等がある。
【0118】特に、メタル粉等の導電性材料は、ガンマ
・フェライト等の絶縁性材料に比べると透磁率が大きい
ため、大きなインダクタンスを確保することができる利
点がある。
【0119】また、図18等に示した可変インダクタ17
aは、インダクタ導体112と制御用導体114の両方の全体
を絶縁性磁性体118で覆うようにしたが、一部のみを覆
って磁路を形成するようにしてもよい。
【0120】図23は、絶縁性磁性体118を部分的に形
成した可変インダクタを示す図である。同図に示すよう
に、絶縁性磁性体118がインダクタ導体112と制御用導体
114の一部を覆うように形成されており、この部分的に
形成された絶縁性磁性体118によって磁路が形成され
る。このように、磁路となる絶縁性磁性体(あるいは導
電性磁性体でもよい)118を部分的に形成した場合に
は、磁路が狭まることによりインダクタ導体112および
制御用導体114によって生じる磁束が飽和しやすくな
る。したがって、制御用導体114に少ないバイアス電流
を流した場合であっても磁束が飽和し、少ないバイアス
電流を可変に制御することによりインダクタ導体112の
インダクタンスを変えることができる。このため、制御
系の構造を簡略化することができる。
【0121】また、図18等に示した可変インダクタ17
aは、インダクタ導体112と制御用導体114とを同心状に
巻回して形成したが、これら各導体を半導体基板110表
面の隣接した位置に形成してそれらの間を絶縁性あるい
は導電性の磁性体によって形成した磁路によって磁気結
合させてもよい。
【0122】図24は、インダクタ導体と制御用導体と
を隣接した位置に並べて形成した場合の可変インダクタ
17bの概略を示す平面図である。
【0123】同図に示す可変インダクタ17bは、半導体
基板110上に形成された渦巻き形状のインダクタ導体112
aと、このインダクタ導体112aと隣接した位置に形成
された渦巻き形状の制御用導体114aと、インダクタ導
体112aと制御用導体114aの各渦巻き中心を覆うように
形成された絶縁性磁性体(あるいは導電性磁性体)119
とを含んで構成されている。
【0124】図18等に示した可変インダクタ17aと同
様に、制御用導体114aにはその両端に可変のバイアス
電圧を印加するために可変電圧電源116が接続されてお
り、この可変電圧電源116によって印加するバイアス電
圧を可変に制御することにより、制御用導体114aに流
れる所定のバイアス電流を変化させることができる。
【0125】図25は、図24に示した可変インダクタ
17bのインダクタ導体112aおよび制御用導体114aの形
状をさらに詳細に示した図である。
【0126】同図に示すように、インダクタ導体112a
は、所定ターン数(例えば約4ターン)の渦巻き形状に
形成されており、その両端には2つの端子電極122、124
が接続されている。同様に、インダクタ導体112aに隣
接して配置された制御用導体114aは、所定ターン数
(例えば約2ターン)の渦巻き形状に形成されており、
その両端には2つの制御電極126、128が接続されてい
る。
【0127】図26は、図25のB−B線拡大断面図で
あり、インダクタ導体112aと制御用導体114aを含む絶
縁性磁性体119の横断面が示されている。
【0128】同図に示すように、半導体基板110表面に
絶縁性の磁性体膜119aおよび絶縁性の非磁性体膜132が
形成されており、その表面にインダクタ導体112aおよ
び制御用導体114aがそれぞれ形成されている。そし
て、これらインダクタ導体112aと制御用導体114aの各
中心部を貫くようにさらに表面に絶縁性の磁性体膜119
bが被覆形成されている。これら2つの磁性体膜119
a、119bによってインダクタ導体112aと制御用導体11
4aの共通の磁路となる環状の磁性体119が形成されてい
る。
【0129】なお、図26に示した絶縁性の非磁性体膜
132は、磁性体膜119aとほぼ同じ膜厚を有しており、さ
らにそれらの表面においてインダクタ導体112aと制御
用導体114aのそれぞれをほぼ同じ高さに形成するため
のものである。したがって、インダクタ導体112aおよ
び制御用導体114aに多少の段差が生じてもよい場合に
は、非磁性体膜132を形成せずに、半導体基板110上に直
接インダクタ導体112aおよび制御用導体114aの一部を
形成するようにしてもよい。
【0130】また、磁性体膜119a表面のインダクタ導
体112aおよび制御用導体114aの各周回部分の間には、
図18等に示した可変インダクタ17aと同様に絶縁膜13
0が形成されている。このように部分的に絶縁膜130を充
填して各周回部分間の磁性体膜119a、119bを排除する
ことにより、各周回部分間に生じる漏れ磁束を最小限に
抑えることができるため、インダクタ導体112aによっ
て発生した磁束は、そのほとんどが磁性体膜119a、119
bを通って制御用導体114aと交差するようになる。し
たがって、漏れ磁束を少なくすることにより、インダク
タ導体112aが発生する磁束を有効に利用して大きなイ
ンダクタンスを得ることができる。
【0131】このように、上述した可変インダクタ17b
は、インダクタ導体112aと制御用導体114aの各渦巻き
中心を通るように環状の絶縁性磁性体119(磁性体膜119
a、119b)が形成されている。したがって、制御用導
体114aに流す直流バイアス電流を可変に制御すること
により、上述した磁性体119を磁路とするインダクタ導
体112aの飽和磁化特性が変化し、インダクタ導体112a
が有するインダクタンスも変化する。
【0132】また、上述したように各実施例の同調増幅
器1等を半導体基板上に形成した場合には、インダクタ
17あるいは37としてあまり大きなインダクタンスを確保
することができない。したがって、半導体基板上に実際
に形成したインダクタ17等の小さなインダクタンスを、
回路を工夫することにより見かけ上大きくすることがで
きれば、時定数Tを大きな値に設定して同調周波数の低
周波数化を図る際に都合がよい。
【0133】図27は、図1等に示した移相回路10、30
に用いたインダクタ17あるいは37を素子単体ではなく回
路によって構成した変形例を示す図であり、実際に半導
体基板上に形成されるインダクタ素子(インダクタ導
体)のインダクタンスを見かけ上大きくみせるインダク
タンス変換回路として機能する。なお、図27に示した
回路全体が移相回路10、30に含まれるインダクタ17ある
いは37に対応している。
【0134】図27に示すインダクタンス変換回路17c
は、所定のインダクタンスL0を有するインダクタ210
と、2つのオペアンプ212、214と、2つの抵抗216、218
とを含んで構成されている。
【0135】1段目のオペアンプ212は、出力端子が反
転入力端子に接続された利得1の非反転増幅器であっ
て、主にインピーダンス変換を行うバッファとして機能
する。同様に、2段目のオペアンプ214も出力端子が反
転入力端子に接続されており、利得1の非反転増幅器と
して機能する。また、これら2つの非反転増幅器の間に
は抵抗216と218による分圧回路が挿入されている。
【0136】このように、間に分圧回路を挿入すること
により、2つの非反転増幅器を含む増幅器全体の利得を
0から1の間で自由に設定することができる。
【0137】図27に示したインダクタンス変換回路17
cにおいて、インダクタ210を除く回路全体の伝達関数
をK4とすると、インダクタンス変換回路17cは図28
に示すシステム図で表すことができる。図29は、これ
をミラーの定理によって変換したシステム図である。
【0138】図28に示したインピーダンスZ0を用い
て図29に示したインピーダンスZ1を表すと、
【数19】 となる。ここで、図27に示したインダクタンス変換回
路17cの場合には、インピーダンスZ0=jωL0であ
り、これを(19)式に代入して、
【数20】
【数21】 となる。この(21)式は、インダクタンス変換回路17cに
おいてインダクタ210が有するインダクタンスL0が見掛
け上は1/(1−K4)倍になったことを示している。
【0139】したがって、利得K4が正であって0から
1の間にある場合には、1/(1−K4)は常に1より
大きくなるため、インダクタンスL0を大きいほうに変
化させることができる。
【0140】ところで、図27に示したインダクタンス
変換回路17cにおける増幅器の利得、すなわちオペアン
プ212と214の全体により構成される増幅器の利得K4
は、抵抗216と218によって構成される分圧回路の分圧比
によって決まり、それぞれの抵抗値をR16、R18とする
と、
【数22】 となる。この利得K4を(21)式に代入して見かけ上のイ
ンダクタンスLを計算すると、
【数23】 となる。したがって、抵抗216と218の抵抗比R18/R16
を大きくすることにより、2つの端子204、206間の見か
け上のインダクタンスLを大きくすることができる。例
えば、R18=R16の場合には、(23)式からインダクタン
スLをL0の2倍にすることができる。
【0141】このように、上述したインダクタンス変換
回路17cは、2つの非反転増幅器の間に挿入された分圧
回路の分圧比を変えることにより、実際に接続されてい
るインダクタ210のインダクタンスL0を見かけ上大きく
することができる。そのため、半導体基板上に図1等に
示した同調増幅器1等の全体を形成するような場合に
は、半導体基板上に小さなインダクタンスL0を有する
インダクタ210をスパイラル状の導体等によって形成し
ておいて、図27に示したインダクタンス変換回路によ
って大きなインダクタンスLに変換することができ、集
積化に際して好都合となる。特に、このようにして大き
なインダクタンスを確保することができれば、図1に示
した同調増幅器1等の同調周波数を比較的低い周波数領
域まで下げることが容易となる。また、集積化を行うこ
とにより、同調増幅器全体の実装面積を小型化して、材
料コスト等の低減も可能となる。
【0142】なお、抵抗216、218による分圧回路の分圧
比を固定した場合の他、これら2つの抵抗216、218の少
なくとも一方を可変抵抗により形成することにより、具
体的には接合型やMOS型のFETあるいはpチャネル
FETとnチャネルFETとを並列に接続して可変抵抗
を形成することにより、この分圧比を連続的に変化させ
てもよい。この場合には、図27に示したオペアンプ21
2、214を含んで構成される増幅器全体の利得が変わり、
端子204、206間のインダクタンスLも連続的に変化す
る。したがって、このインダクタンス変換回路17cを図
17に示した可変インダクタ17aの代わりに使用するこ
とにより、各移相回路における位相シフト量をある範囲
で任意に変化させることができる。このため、同調増幅
器において一巡する信号の位相シフト量が0°となる周
波数を変えることができ、上述した同調増幅器の同調周
波数を任意に変更することができる。
【0143】また、図27に示したインダクタンス変換
回路17cは、2つのオペアンプ212、214を含む増幅器全
体の利得が1以下に設定されているため、全体をエミッ
タホロワ回路あるいはソースホロワ回路に置き換えるよ
うにしてもよい。
【0144】図30は、オペアンプ212、214を含む増幅
器全体をエミッタホロワ回路に置き換えたインダクタン
ス変換回路の構成を示す図である。同図(A)に示すイン
ダクタンス変換回路17dは、エミッタに2つの抵抗22
4、226が接続されたバイポーラトランジスタ228と、こ
の2つの抵抗224、226による分圧点とトランジスタ228
のベースとの間に接続されたインダクタ210と、直流電
流阻止用のキャパシタ230とを含んで構成されている。
インダクタ210の一方端側に挿入されたキャパシタ230
は、周波数特性に影響を与えないようにそのインピーダ
ンスは動作周波数において極めて小さく、すなわち大き
な静電容量に設定されている。
【0145】上述したエミッタホロワ回路の利得は、主
に2つの抵抗224、226の抵抗比に応じて決まり、しかも
その利得は常に1未満であるため、(21)式からわかるよ
うに、実際にインダクタ210が有するインダクタンスL0
を見掛け上大きくすることができる。しかも、1つのエ
ミッタホロワ回路を用いているだけであり、回路構成が
簡略化でき、最高動作周波数も高く設定することができ
る。
【0146】図30(B)はその変形例を示す図であり、
同図(A)の2つの抵抗224、226を可変抵抗232に置き換
えた点が異なっている。このように可変抵抗232を用い
ることにより、利得を任意にしかも連続的に変化させる
ことができるため、見掛け上のインダクタンスLも任意
にしかも連続的に変化させることができ、このインダク
タンス変換回路17eを図17に示した可変インダクタ17
aの代わりに使用することにより、各移相回路における
位相シフト量をある範囲で任意に変化させることができ
る。このため、同調増幅器において一巡する信号の位相
シフト量が0°となる周波数を変えることができ、上述
した同調増幅器の同調周波数を任意に変更することがで
きる。
【0147】なお、図30(B)に示したインダクタンス
変換回路17eは、同図(A)の2つの抵抗224、226を1つ
の可変抵抗232に置き換えているが、これら2つの抵抗2
24、226の少なくとも一方を可変抵抗によって構成する
ようにしてもよい。
【0148】図31は、図30(A)および(B)に示した
インダクタンス変換回路17d、17eのそれぞれをソース
ホロワ回路によって実現したものであり、バイポーラト
ランジスタ228をFET234に置き換えたものである。図
31(A)が図30(A)に、図31(B)が図30(B)にそ
れぞれ対応している。
【0149】図32は、図27に示したインダクタンス
変換回路17cの変形例を示す図である。図32に示すイ
ンダクタンス変換回路17fは、npn型のバイポーラト
ランジスタ236およびそのエミッタに接続された抵抗240
と、pnp型のバイポーラトランジスタ238とそのエミ
ッタに接続された抵抗242と、インダクタンスL0を有す
るインダクタ210とを含んで構成されている。
【0150】上述した一方のトランジスタ236と抵抗240
により第1のエミッタホロワ回路が、他方のトランジス
タ238と抵抗242により第2のエミッタホロワ回路がそれ
ぞれ形成され、それらが縦続接続されている。しかも、
npn型のトランジスタ236とpnp型のトランジスタ2
38を用いているため、インダクタ210の一方端であるト
ランジスタ236のベース電位とトランジスタ238のエミッ
タ電位とをほぼ同じに設定することができ、直流電流阻
止用のキャパシタが不要となる。
【0151】なお、この発明は上記実施例に限定される
ものではなく、この発明の要旨の範囲内で種々の変形実
施が可能である。
【0152】例えば、上述した各実施例の同調増幅器に
おいては、移相回路10、30内の差動増幅器12、32によっ
て2入力の差分を2倍に増幅して各移相回路の出力とす
ることにより、同調増幅器のループゲインをほぼ1に設
定するようにしたが、差動増幅器12、32の増幅度をこれ
以外の値に設定してもよい。例えば、各差動増幅器12、
32において2入力の差分を増幅せずに、あるいは2倍以
外の増幅度で増幅して出力するとともに、非反転回路50
あるいは位相反転回路80の増幅度を調整して同調増幅器
のループゲインをほぼ1に設定するようにしてもよい。
【0153】また、図1等に示した各同調増幅器におい
ては、帰還側インピーダンス素子として抵抗値が固定の
帰還抵抗70を用い、入力側インピーダンス素子として抵
抗値が固定の入力抵抗74を用いるようにしたが、少なく
とも一方の抵抗を可変抵抗により構成して最大減衰量を
任意に変更可能に形成してもよい。この場合に、可変抵
抗を図16に示したようにFETのチャネル抵抗を利用
して形成することができることはいうまでもない。特
に、pチャネルのFETとnチャネルのFETとを並列
接続して1つの可変抵抗を構成し、各FETのベースと
サブストレート間に大きさが等しく極性が異なるゲート
電圧を印加した場合には、FETの非線形領域の改善を
行うことができるため、同調信号の歪みを少なくするこ
とができる。
【0154】同様に、帰還側インピーダンス素子および
入力側インピーダンス素子をキャパシタとした場合には
少なくとも一方を可変容量ダイオードやゲート容量可変
のFETにより構成して最大減衰量を任意に変更可能に
形成してもよい。
【0155】また、上述した実施例の同調増幅器1等に
は2つの移相回路が含まれているが、同調周波数を可変
する場合には、両方の移相回路に含まれるLR回路を構
成する抵抗とインダクタの少なくとも一方の素子定数を
変える場合の他、一方の移相回路に含まれるLR回路を
構成する抵抗とインダクタの少なくとも一方の素子定数
を変える場合が考えられる。また、全ての抵抗やインダ
クタの各素子定数を固定して、同調周波数が固定の同調
増幅器を構成することもできる。
【0156】
【発明の効果】以上の各実施例に基づく説明から明らか
なように、同調周波数が高い場合にはこの発明の同調増
幅器を構成する各素子は集積回路の製法によって形成す
ることが可能であるから、同調増幅器を半導体ウエハ上
に集積回路として小型に形成でき、大量生産によって安
価に作ることができる。また、各移相回路内のインダク
タをインダクタンス変換回路を用いて大きいほうに変換
することができ、同調周波数を低周波化することもでき
る。
【0157】特に、各移相回路におけるLR回路の可変
抵抗としてFETのソース・ドレイン間のチャネルを使
用し、このFETのゲートに印加する制御電圧を変化さ
せてチャネルの抵抗を変化させるように構成すると、制
御電圧を印加する配線のインダクタンスや静電容量の影
響を回避することができ、ほぼ設計どおりの理想的な特
性を備えた同調増幅器を得ることができる。
【0158】また、この発明の同調増幅器は、最大減衰
量が入力側インピーダンス素子と帰還側インピーダンス
素子の抵抗比によって決まるとともに、同調周波数が各
移相回路におけるLR回路の時定数によって決まるた
め、最大減衰量や同調周波数および同調周波数における
利得を互いに干渉しあうことなく設定することができ
る。
【0159】また、従来のLC共振を利用した同調増幅
器においては、同調周波数ωが1/√LCであるから、
同調周波数を調整するために静電容量Cまたはインダク
タンスLを変化させると、同調周波数はその変化量の平
方根に比例して変化するが、この発明の同調増幅器では
同調周波数ωが例えばR/Lであって、同調周波数は抵
抗値Rに比例して変化させることができるので、同調周
波数の大幅な変更および調整が可能となる。また、イン
ダクタンスLは小さくすることが容易であるため、同調
周波数の高周波化を図ることが容易であり、高い同調周
波数を有する同調増幅器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用した第1実施例の同調増幅器の
構成を示す回路図、
【図2】図1に示した前段の移相回路の構成を抜き出し
て示した図、
【図3】前段の移相回路の入出力電圧とインダクタ等に
現れる電圧との関係を示すベクトル図、
【図4】図2に示した移相回路を等価的に表した図、
【図5】図1に示した後段の移相回路の構成を抜き出し
て示した図、
【図6】後段の移相回路の入出力電圧とインダクタ等に
現れる電圧との関係を示すベクトル図、
【図7】図5に示した移相回路を等価的に表した図、
【図8】2つの移相回路および非反転回路の全体を伝達
関数K1を有する回路に置き換えたシステム図、
【図9】図8に示すシステムをミラーの定理によって変
換したシステム図、
【図10】この実施例の同調増幅器の同調特性を示す
図、
【図11】第2実施例の同調増幅器の構成を示す回路
図、
【図12】第3実施例の同調増幅器の構成を示す回路
図、
【図13】非反転回路および位相反転回路の具体例を示
す図、
【図14】移相回路と非反転回路との接続形態を示す
図、
【図15】移相回路と位相反転回路との接続形態を示す
図、
【図16】移相回路の可変抵抗をFETに置き換えた移
相回路の構成を示す図、
【図17】移相回路のインダクタを可変インダクタに置
き換えた移相回路の構成を示す図、
【図18】可変インダクタの一例を示す図、
【図19】図18に示した可変インダクタのインダクタ
導体および制御用導体の形状をさらに詳細に示す図、
【図20】図19のA−A線拡大断面図、
【図21】図18に示した可変インダクタの変形例を示
す図、
【図22】図18に示した可変インダクタの変形例を示
す図、
【図23】図18に示した可変インダクタの変形例を示
す図、
【図24】可変インダクタの他の例を示す図、
【図25】図24に示した可変インダクタのインダクタ
導体および制御用導体の形状をさらに詳細に示す図、
【図26】図25のB−B線拡大断面図、
【図27】インダクタが実際に有するインダクタンスを
見かけ上大きくするインダクタンス変換回路の構成を示
す図、
【図28】図27に示した回路を伝達関数を用いて表し
た図、
【図29】図28に示す構成をミラーの定理によって変
換した図、
【図30】図27に含まれる2つのオペアンプを含む増
幅器全体をエミッタホロワ回路に置き換えたインダクタ
ンス変換回路の構成を示す図、
【図31】図30の回路をソースホロワ回路によって実
現した構成を示す図、
【図32】インダクタンス変換回路の変形例を示す図、
【図33】従来の同調増幅器における同調周波数、同調
周波数における利得、最大減衰量の関係の一例を示す特
性曲線図である。
【符号の説明】
1 同調増幅器 10、30 移相回路 12、32 差動増幅器 16、36 可変抵抗 17、37 インダクタ 18、20、38、40 抵抗 19、39 キャパシタ 50 非反転回路 70 帰還抵抗 74 入力抵抗 90 入力端子 92 出力端子

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号が一方端に入力される入力側イ
    ンピーダンス素子と、帰還信号が一方端に入力される帰
    還側インピーダンス素子とを含んでおり、前記入力信号
    と前記帰還信号とを加算する加算回路と、 入力される交流信号が両端に印加される抵抗値がほぼ等
    しい第1および第2の抵抗により構成された第1の直列
    回路と、前記交流信号が両端に印加される第3の抵抗と
    インダクタにより構成された第2の直列回路と、前記第
    1の直列回路を構成する前記第1および第2の抵抗の接
    続点の電位と前記第2の直列回路を構成する前記第3の
    抵抗と前記インダクタの接続点の電位との差分を所定の
    増幅度で増幅して出力する差動増幅器とを含む2つの移
    相回路と、 を備え、前記2つの移相回路を縦続接続し、これら縦続
    接続された2つの移相回路の中の前段の移相回路に対し
    て前記加算回路によって加算された信号を入力するとと
    もに、後段の移相回路から出力される信号を前記帰還信
    号として前記帰還側インピーダンス素子の一方端に入力
    し、これら2つの移相回路のいずれかの出力を同調信号
    として取り出すことを特徴とする同調増幅器。
  2. 【請求項2】 入力端子に入力される交流信号が一方端
    に入力される入力側インピーダンス素子と、帰還信号が
    一方端に入力される帰還側インピーダンス素子とを含ん
    でおり、前記入力端子に入力される交流信号と前記帰還
    信号とを加算する加算回路と、 入力される交流信号が両端に印加される抵抗値がほぼ等
    しい第1および第2の抵抗により構成された第1の直列
    回路と、前記交流信号が両端に印加される第3の抵抗と
    インダクタにより構成された第2の直列回路と、前記第
    1の直列回路を構成する前記第1および第2の抵抗の接
    続点の電位と前記第2の直列回路を構成する前記第3の
    抵抗と前記インダクタの接続点の電位との差分を所定の
    増幅度で増幅して出力する差動増幅器とを含む2つの移
    相回路と、 入力される交流信号の位相を変えずに出力する非反転回
    路と、 を備え、前記2つの移相回路および前記非反転回路のそ
    れぞれを縦続接続し、これら縦続接続された複数の回路
    の中の初段の回路に対して前記加算回路によって加算さ
    れた信号を入力するとともに、最終段の回路から出力さ
    れる信号を前記帰還信号として前記帰還側インピーダン
    ス素子の一方端に入力し、これら複数の回路のいずれか
    の出力を同調信号として取り出すことを特徴とする同調
    増幅器。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、 前記第2の直列回路を構成する前記第3の抵抗および前
    記インダクタの接続の仕方を、前記2つの移相回路にお
    いて反対にしたことを特徴とする同調増幅器。
  4. 【請求項4】 入力端子に入力される交流信号が一方端
    に入力される入力側インピーダンス素子と、帰還信号が
    一方端に入力される帰還側インピーダンス素子とを含ん
    でおり、前記入力端子に入力される交流信号と前記帰還
    信号とを加算する加算回路と、 入力される交流信号が両端に印加される抵抗値がほぼ等
    しい第1および第2の抵抗により構成された第1の直列
    回路と、前記交流信号が両端に印加される第3の抵抗と
    インダクタにより構成された第2の直列回路と、前記第
    1の直列回路を構成する前記第1および第2の抵抗の接
    続点の電位と前記第2の直列回路を構成する前記第3の
    抵抗と前記インダクタの接続点の電位との差分を所定の
    増幅度で増幅して出力する差動増幅器とを含む2つの移
    相回路と、 入力される交流信号の位相を反転して出力する位相反転
    回路と、 を備え、前記2つの移相回路および前記位相反転回路の
    それぞれを縦続接続し、これら縦続接続された複数の回
    路の中の初段の回路に対して前記加算回路によって加算
    された信号を入力するとともに、最終段の回路から出力
    される信号を前記帰還信号として前記帰還側インピーダ
    ンス素子の一方端に入力し、これら複数の回路のいずれ
    かの出力を同調信号として取り出すことを特徴とする同
    調増幅器。
  5. 【請求項5】 請求項4において、 前記第2の直列回路を構成する前記第3の抵抗および前
    記インダクタの接続の仕方を、前記2つの移相回路にお
    いて同じにしたことを特徴とする同調増幅器。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかにおいて、 前記入力側インピーダンス素子および前記帰還側インピ
    ーダンス素子のそれぞれは抵抗であることを特徴とする
    同調増幅器。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 前記入力側インピーダンス素子および前記帰還側インピ
    ーダンス素子の少なくとも一方を可変抵抗により形成
    し、前記入力側インピーダンス素子および前記帰還側イ
    ンピーダンス素子の抵抗比を変えることにより、最大減
    衰量を変化させることを特徴とする同調増幅器。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記第
    3の抵抗を可変抵抗により形成し、この抵抗値を変える
    ことにより、同調周波数を変化させることを特徴とする
    同調増幅器。
  9. 【請求項9】 請求項7または8において、 前記可変抵抗をFETのチャネルによって形成し、ゲー
    ト電圧を変えてチャネル抵抗を変えることを特徴とする
    同調増幅器。
  10. 【請求項10】 請求項7または8において、 前記可変抵抗をpチャネル型のFETとnチャネル型の
    FETとを並列接続することにより形成し、極性が異な
    る各FETのゲート電圧の大きさを変えてチャネル抵抗
    を変えることを特徴とする同調増幅器。
  11. 【請求項11】 請求項1〜5のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記イ
    ンダクタが有するインダクタンスを変えることにより、
    同調周波数を変化させることを特徴とする同調増幅器。
  12. 【請求項12】 請求項11において、 前記インダクタは、 基板上にほぼ平面状に渦巻き形状に形成されたインダク
    タ導体と、 前記基板上であって前記インダクタ導体とほぼ同心状に
    形成されており、所定の直流バイアス電流が流される制
    御用導体と、 前記インダクタ導体と前記制御用導体とを覆うように形
    成された磁性体と、 を備え、前記制御用導体に流す直流バイアス電流を変え
    て前記インダクタ導体の両端に現れるインダクタンスを
    変化させることを特徴とする同調増幅器。
  13. 【請求項13】 請求項11において、 前記インダクタは、 基板上にほぼ平面状に渦巻き形状に形成されたインダク
    タ導体と、 前記基板上であって前記インダクタ導体に隣接する位置
    にほぼ平面状で渦巻き形状に形成されており、所定の直
    流バイアス電流が流される制御用導体と、 前記インダクタ導体と前記制御用導体の各渦巻き中心を
    貫通するように環状に形成された磁性体と、 を備え、前記制御用導体に流す直流バイアス電流を変え
    て前記インダクタ導体の両端に現れるインダクタンスを
    変化させることを特徴とする同調増幅器。
  14. 【請求項14】 請求項1〜5のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記第
    3の抵抗として抵抗値が固定の複数の抵抗を有してお
    り、スイッチ切り換えにより選択的に接続することによ
    り、同調周波数を変化させることを特徴とする同調増幅
    器。
  15. 【請求項15】 請求項1〜5のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記イ
    ンダクタとしてインダクタンスが固定の複数のインダク
    タを有しており、スイッチ切り換えにより選択的に接続
    することにより、同調周波数を変化させることを特徴と
    する同調増幅器。
  16. 【請求項16】 請求項1〜5のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記イ
    ンダクタを、利得を0から1の間に設定した増幅器と、
    前記増幅器の入出力間に並列接続されたインダクタ素子
    に置き換えることにより、前記増幅器の入力側からみた
    インダクタンスを実際に前記インダクタ素子が有するイ
    ンダクタンスよりも大きくすることを特徴とする同調増
    幅器。
  17. 【請求項17】 請求項16において、 前記増幅器の利得を可変して前記増幅器の入力側からみ
    たインダクタンスを変えることにより、同調周波数を変
    化させることを特徴とする同調増幅器。
  18. 【請求項18】 入力側インピーダンス素子を介して入
    力された交流信号を同相で出力する非反転回路と、 2つの抵抗の直列接続およびインダクタと抵抗との直列
    接続よりなり、前記非反転回路の出力が印加される第1
    のブリッジ回路と、前記第1のブリッジ回路の2つの出
    力の差を得る第1の差動増幅器とを有し、前記第1のブ
    リッジ回路に入力された信号を移相する第1の移相回路
    と、 2つの抵抗の直列接続および抵抗とインダクタとの直列
    接続よりなり、前記第1の移相回路の出力が印加される
    第2のブリッジ回路と、前記第2のブリッジ回路の2つ
    の出力の差を得る第2の差動増幅器とを有し、前記第2
    のブリッジ回路に入力された信号を前記第1の移相回路
    とは反対方向に移相する第2の移相回路と、 前記第2の移相回路の出力を帰還側インピーダンス素子
    を介して前記非反転回路の入力へ帰還する回路と、 を備えることを特徴とする同調増幅器。
  19. 【請求項19】 請求項18において、 前記第1の移相回路の前記インダクタと直列接続された
    抵抗の抵抗値および/または前記第2の移相回路の前記
    インダクタと直列接続された前記抵抗の抵抗値を変化さ
    せて同調周波数を変化させることを特徴とする同調増幅
    器。
  20. 【請求項20】 請求項18において、 前記入力側インピーダンス素子および前記帰還側インピ
    ーダンス素子の素子定数の比を変化させて最大減衰量を
    変化させることを特徴とする同調増幅器。
  21. 【請求項21】 請求項18において、 各抵抗をFETのチャネルで形成し、このチャネル抵抗
    を変化させることを特徴とする同調増幅器。
  22. 【請求項22】 入力抵抗を介して入力された交流信号
    を反転して出力する位相反転回路と、 2つの抵抗の直列接続およびインダクタと抵抗との直列
    接続よりなり、前記位相反転回路の出力が印加される第
    1のブリッジ回路と、前記第1のブリッジ回路の2つの
    出力の差を得る第1の差動増幅器とを有し、前記第1の
    ブリッジ回路に入力された信号を移相する第1の移相回
    路と、 2つの抵抗の直列接続およびインダクタと抵抗との直列
    接続よりなり、前記第1の移相回路の出力が印加される
    第2のブリッジ回路と、前記第2のブリッジ回路の2つ
    の出力の差を得る第2の差動増幅器とを有し、前記第2
    のブリッジ回路に入力された信号を前記第1の移相回路
    と同じ方向に移相する第2の移相回路と、 前記第2の移相回路の出力を帰還抵抗を介して前記位相
    反転回路の入力へ帰還する回路と、 を備えることを特徴とする同調増幅器。
  23. 【請求項23】 請求項22において、 前記第1の移相回路のインダクタと直列接続された抵抗
    の抵抗値および/または前記第2の移相回路のインダク
    タと直列接続された抵抗の抵抗値を変化させて同調周波
    数を変化させることを特徴とする同調増幅器。
  24. 【請求項24】 請求項22において、 前記入力抵抗および前記帰還抵抗の抵抗値の比を変化さ
    せて最大減衰量を変化させることを特徴とする同調増幅
    器。
  25. 【請求項25】 請求項22において、 各抵抗をFETのチャネルで形成し、このチャネル抵抗
    を変化させることを特徴とする同調増幅器。
  26. 【請求項26】 請求項1〜25のいずれかにおいて、 半導体集積回路として形成することを特徴とする同調増
    幅器。
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