JPH08195624A - 発振器 - Google Patents

発振器

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JPH08195624A
JPH08195624A JP13262395A JP13262395A JPH08195624A JP H08195624 A JPH08195624 A JP H08195624A JP 13262395 A JP13262395 A JP 13262395A JP 13262395 A JP13262395 A JP 13262395A JP H08195624 A JPH08195624 A JP H08195624A
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JP
Japan
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phase shift
circuit
inductor
resistor
oscillator
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JP13262395A
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English (en)
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Tadataka Oe
忠孝 大江
Tsutomu Nakanishi
努 中西
Takeshi Ikeda
毅 池田
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Original Assignee
Individual
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発振周波数を大幅に調整することが可能で、
安定に動作する発振器を得ること。 【構成】 抵抗を介して入力信号が反転入力端子に入力
されるオペアンプ、入力信号の電圧が両端に印加される
インダクタおよび可変抵抗からなる直列回路、オペアン
プの出力を反転入力端子に帰還させる抵抗からなる2つ
の移相回路10、30と、後段の移相回路30から出力される
信号を前段の移相回路10の入力側に帰還させる帰還抵抗
70とを含んで構成されている。移相回路10、30内のイン
ダクタと抵抗からなる直列回路の時定数を変化させて発
振周波数を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、発振周波数を大幅に
調整することが可能な発振器に関する。
【0002】
【従来の技術】正弦波発振器として従来より能動素子お
よびリアクタンス素子を使用した各種の発振回路が提案
され実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】正弦波発振器として、
図33に示すウィーン・ブリッジ型発振器、図34に示
すブリッジT型発振器が従来より知られている。
【0004】図33より明らかなように、ウィーン・ブ
リッジ型発振器においては、周波数を変化させるために
キャパシタCと可変抵抗Rsからなる直列回路の可変抵
抗Rsの抵抗値と、キャパシタCと可変抵抗Rpからなる
並列回路の可変抵抗Rpの抵抗値とを連動して変化させ
なければならないが、直列回路の可変抵抗Rsの抵抗値
と並列回路の可変抵抗Rpの抵抗値に連動誤差が生じる
と、増幅器Aに入力される電圧が増減するので、その結
果、発振出力が変動する。そして、発振出力が小さくな
れば発振が停止し、大きくなれば発振出力に著しい歪み
を生じることになる。
【0005】通常、正弦波発振器の出力変動を少なくす
るように安定化することは難しく、その安定化手段は増
幅器の振幅特性に非線形を付加すること、すなわち、出
力の大きさによってその増幅度が変化するような特性を
付加することになる。
【0006】このように特性を付加することは増幅器の
直線性を悪化させることになるから、出力波形の歪率を
悪化させることになり、出力電圧の安定性と歪率とは二
率背反の関係にある。
【0007】直列回路の抵抗Rsと並列回路の可変抵抗
Rpの比を一定に保って変化させることは、回路を集積
回路化して、外部から電圧制御の手法で可変抵抗を変化
させる場合には特に困難である。
【0008】ウィーン・ブリッジ型発振器に限らず、図
34に示すブリッジT型発振器や移相型発振器でも同様
のことがいえる。
【0009】さらに、発振周波数を大幅に調整し得る可
変周波数発振器を集積回路によって形成することも困難
である。
【0010】そこで、この発明は、このような課題を解
決するために考えられたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、この発明の発振器は、反転入力端子に第1の抵
抗の一方端が接続されており前記第1の抵抗を介して交
流信号が入力される差動入力増幅器と、前記差動入力増
幅器の反転入力端子と出力端子との間に接続された第2
の抵抗と、前記第1の抵抗の他方端に接続された第3の
抵抗およびインダクタからなる直列回路とを含み、前記
第3の抵抗および前記インダクタの接続部を前記差動入
力増幅器の非反転入力端子に接続した2つの移相回路を
備え、縦続接続された前記2つの移相回路の後段の出力
を前段の入力側に帰還させるとともに、前記2つの移相
回路のいずれか一方から正弦波発振出力を取り出すこと
を特徴とする。
【0012】また、この発明の発振器は、反転入力端子
に第1の抵抗の一方端が接続されており前記第1の抵抗
を介して交流信号が入力される差動入力増幅器と、前記
差動入力増幅器の反転入力端子と出力端子との間に接続
された第2の抵抗と、前記第1の抵抗の他方端に接続さ
れた第3の抵抗およびインダクタからなる直列回路とを
含み、前記第3の抵抗および前記インダクタの接続部を
前記差動入力増幅器の非反転入力端子に接続した2つの
移相回路と、入力される交流信号の位相を変えずに出力
する非反転回路と、を備え、前記2つの移相回路および
前記非反転回路のそれぞれを縦続接続し、これら縦続接
続された複数の回路の中の最終段の出力を初段の入力側
に帰還させるとともに、これら複数の回路のいずれかか
ら正弦波発振出力を取り出すことを特徴とする。
【0013】また、この発明の発振器は、反転入力端子
に第1の抵抗の一方端が接続されており前記第1の抵抗
を介して交流信号が入力される差動入力増幅器と、前記
差動入力増幅器の反転入力端子と出力端子との間に接続
された第2の抵抗と、前記第1の抵抗の他方端に接続さ
れた第3の抵抗およびインダクタからなる直列回路とを
含み、前記第3の抵抗および前記インダクタの接続部を
前記差動入力増幅器の非反転入力端子に接続した2つの
移相回路と、入力される交流信号の位相を反転して出力
する位相反転回路と、を備え、前記2つの移相回路およ
び前記移相反転回路のそれぞれを縦続接続し、これら縦
続接続された複数の回路の中の最終段の出力を初段の入
力側に帰還させるとともに、これら複数の回路のいずれ
かから正弦波発振出力を取り出すことを特徴とする。
【0014】また、この発明の発振器は、演算増幅器
と、入力された交流信号が印加される抵抗およびインダ
クタよりなる時定数回路と、前記時定数回路に発生した
信号を前記演算増幅器の非反転入力端子に入力する回路
と、前記演算増幅器の反転入力端子に接続され、入力信
号が印加される入力抵抗および前記演算増幅器の出力端
子と反転入力端子との間に接続された帰還抵抗とを有
し、入力された交流信号を互いに反対方向に移相する2
段の移相回路と、後段の移相回路の出力を前段の移相回
路の入力へ帰還する帰還側インピーダンス素子と、を備
えることを特徴とする。
【0015】また、この発明の発振器は、演算増幅器
と、入力された交流信号が印加される抵抗およびインダ
クタよりなる時定数回路と、前記時定数回路に発生した
信号を前記演算増幅器の非反転入力端子に入力する回路
と、前記演算増幅器の反転入力端子に接続され、入力信
号が印加される入力抵抗および前記演算増幅器の出力端
子と反転入力端子との間に接続された帰還抵抗とを有
し、交流信号を同じ方向に移相する2段の移相回路と、
前記2段の移相回路のうち、1段の移相回路の出力の位
相を反転する位相反転回路と、前記2段の移相回路およ
び前記位相反転回路を含む閉回路を形成する帰還側イン
ピーダンス素子と、を備えることを特徴とする。
【0016】
【実施例】以下、この発明を適用した一実施例の発振器
について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】以下の実施例の発振器の特徴は、交流信号
の位相をシフトさせる前段の移相回路と、前段の移相回
路と入出力電圧間の位相関係が反対となるように交流信
号をシフトさせる後段の移相回路とによって閉回路を形
成して、この閉回路の利得を1より大きく設定し、閉回
路の位相差の総和が0°となる周波数で発振動作をさせ
ることにある。
【0018】あるいは、以下の実施例の発振器の特徴
は、交流信号の位相をシフトさせる前段の移相回路と、
前段の移相回路と入出力電圧間の位相関係が同じとなる
ように交流信号をシフトさせる後段の移相回路と、後段
の移相回路の出力の位相を反転させる位相反転回路とに
よって閉回路を形成し、この閉回路の利得を1より大き
く設定し、閉回路の位相差の総和が0°となる周波数で
発振動作をさせることにある。
【0019】(第1実施例)図1は、この発明を適用し
た第1実施例の発振器の構成を示す回路図である。同図
に示す発振器1は、それぞれが入力信号の位相を所定量
シフトさせることにより所定の周波数において合計で0
°の位相シフトを行う2つの移相回路10、30と、後段の
移相回路30の出力を前段の移相回路10の入力側に帰還さ
せる帰還抵抗70とを含んで構成されている。この帰還抵
抗70は0Ωから有限の抵抗値を有している。
【0020】図2は、図1に示した前段の移相回路10の
構成を抜き出して示したものである。同図に示す前段の
移相回路10は、差動入力増幅器の一種であるオペアンプ
(演算増幅器)12と、入力端22に入力された信号の位相
を所定量シフトさせてオペアンプ12の非反転入力端子に
入力する可変抵抗16およびインダクタ17と、入力端22と
オペアンプ12の反転入力端子との間に挿入された抵抗18
と、オペアンプ12の出力端24と反転入力端子との間に挿
入された抵抗20とを含んで構成されている。
【0021】なお、この明細書ではオペアンプ12等は理
想的に動作すると仮定し、実際に回路を設計する上で理
想からのずれが問題となる場合にはその都度説明を加え
るものとする。
【0022】このような構成を有する移相回路10におい
て、所定の交流信号が入力端22に入力されると、オペア
ンプ12の非反転入力端子には、インダクタ17の両端に現
れる電圧VL1が印加される。
【0023】また、図2に示したオペアンプ12の2入力
(反転入力端子と非反転入力端子)間には電位差が生じ
ないので、オペアンプ12の反転入力端子の電位と、可変
抵抗16とインダクタ17の接続点の電位とは等しくなる。
したがって、抵抗18の両端には、可変抵抗16の両端に現
れる電圧VR1と同じ電圧VR1が現れる。
【0024】ここで、抵抗18と抵抗20の各抵抗値が等し
い場合には、これら2つの抵抗18、20に同じ電流が流れ
るため、抵抗20の両端にも電圧VR1が現れる。しかも、
これら2つの抵抗18、20の各両端に現れる電圧VR1はベ
クトル的に同方向を有しており、オペアンプ12の反転入
力端子(電圧VL1)を基準にして考えると、抵抗18の両
端電圧VR1をベクトル的に加算したものが入力電圧Ei
に、抵抗20の電圧VR1をベクトル的に減算したものが出
力電圧Eoになる。
【0025】図3は、移相回路10の入出力電圧とインダ
クタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【0026】同図に示すように、インダクタ17の両端に
現れる電圧VL1と可変抵抗16の両端に現れる電圧VR1と
は互いに90°位相がずれており、これらをベクトル的
に加算したものが入力電圧Eiとなる。したがって、入
力信号の振幅が一定で周波数のみが変化した場合には、
図3に示す半円の円周に沿ってインダクタ17の両端電圧
VL1と可変抵抗16の両端電圧VR1とが変化する。
【0027】また、電圧VL1から電圧VR1をベクトル的
に減算したものが出力電圧Eoとなる。非反転入力端子
に印加される電圧VL1を基準に考えると、入力電圧Ei
と出力電圧Eoとは電圧VR1を合成する方向が異なるだ
けでありその絶対値は等しくなる。したがって、入出力
電圧の大きさと位相の関係は、入力電圧Eiおよび出力
電圧Eoを斜辺とし、電圧VR1の2倍を底辺とする二等
辺三角形で表すことができ、出力信号の振幅は周波数に
関係なく入力信号の振幅と同じであって、位相シフト量
は図3に示すφ1で表されることがわかる。
【0028】また、図3から明らかなように、電圧VL1
と電圧VR1とは円周上で直角に交わるため、理論的には
入力電圧Eiと電圧VL1との位相差は、周波数ωが0か
ら∞まで変化するに従って90°から0°まで変化す
る。そして、移相回路10全体の位相シフト量φ1はその
2倍であり、周波数に応じて180°から0°まで変化
する。
【0029】次に、上述した入出力電圧間の関係を定量
的に検証する。
【0030】入力電圧Eiを入力端22に印加したときに
抵抗18、20を通って入力端22から出力端24に向かって流
れる電流をI、抵抗18と抵抗20の各抵抗値が等しくその
値をrとすると、抵抗18、20のそれぞれの両端電圧は−
I・rとなる。
【0031】ところで、上述したように図2に示したオ
ペアンプ12の2入力間には電位差が生じてはならないの
で、オペアンプ12の非反転入力端子に印加されるインダ
クタ17の両端電圧VL1と出力電圧Eoとの間には、
【数1】 の関係がある。
【0032】また、オペアンプ12の2入力間に電位差が
生じないためには、可変抵抗16の両端電圧VR1と抵抗18
の両端電圧−I・rを加算した値が0とならなければな
らないので、
【数2】 となる。(1)式および(2)式から、
【数3】 となる。
【0033】また、インダクタ17と可変抵抗16の各両端
電圧VL1、VR1を加算したものが入力端22に印加される
電圧Eiであるから、これらの各電圧の間には、
【数4】 の関係がある。(3)式および(4)式から、
【数5】 となる。ここで、Lはインダクタ17のインダクタンス、
Rは可変抵抗16の抵抗値を表し、LR回路の時定数をT
(=L/R)とした。
【0034】この(5)式においてs=jωを代入して変
形すると、
【数6】 となる。(6)式から出力電圧Eoの絶対値を求めると、
【数7】 となる。すなわち、(7)式は、この実施例の移相回路10
は入出力間の位相がどのように回転しても、その出力信
号の振幅は入力信号の振幅に等しく一定であることを表
している。
【0035】また、(6)式から出力電圧Eoの入力電圧E
iに対する位相シフト量φ1を求めると、
【数8】 となる。この(8)式から、例えばωがほぼ1/T(=R
/L)となるような周波数における位相シフト量φ1は
ほぼ90°となり、入力信号の振幅を減衰させることな
く位相のみをほぼ90°シフトさせることができる。し
かも、可変抵抗16の抵抗値Rを可変することにより、位
相シフト量φ1がほぼ90°となる周波数ωを変化させ
ることができる。
【0036】図4は、図1に示した後段の移相回路30の
構成を抜き出して示したものである。同図に示す後段の
移相回路30は、差動入力増幅器の一種であるオペアンプ
32と、入力端42に入力された信号の位相を所定量シフト
させてオペアンプ32の非反転入力端子に入力するインダ
クタ37および可変抵抗36と、入力端42とオペアンプ32の
反転入力端子との間に挿入された抵抗38と、オペアンプ
32の出力端44と反転入力端子との間に挿入された抵抗40
とを含んで構成されている。
【0037】このような構成を有する移相回路30におい
て、所定の交流信号が入力端42に入力されると、オペア
ンプ32の非反転入力端子には、可変抵抗36の両端に現れ
る電圧VR2が印加される。
【0038】また、図4に示したオペアンプ32の2入力
(反転入力端子と非反転入力端子)間には電位差が生じ
ないので、オペアンプ32の反転入力端子の電位と、イン
ダクタ37と可変抵抗36の接続点の電位とは等しくなる。
したがって、抵抗38の両端には、インダクタ37の両端に
現れる電圧VL2と同じ電圧VL2が現れる。
【0039】ここで、抵抗38と抵抗40の各抵抗値が等し
い場合には、これら2つの抵抗38、40に同じ電流が流れ
るため、抵抗40の両端にも電圧VL2が現れる。しかも、
これら2つの抵抗38、40の各両端に現れる電圧VL2はベ
クトル的に同方向を向いており、オペアンプ32の反転入
力端子(電圧VR2)を基準にして考えると、抵抗38の両
端電圧VL2をベクトル的に加算したものが入力電圧Ei
に、抵抗40の両端電圧L2をベクトル的に減算したものが
出力電圧Eoになる。
【0040】図5は、後段の移相回路30の入出力電圧と
インダクタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図で
ある。
【0041】同図に示すように、可変抵抗36の両端に現
れる電圧VR2とインダクタ37の両端に現れる電圧VL2と
は互いに90°位相がずれており、これらをベクトル的
に加算したものが入力電圧Eiとなる。したがって、入
力信号の振幅が一定で周波数のみが変化した場合には、
図5に示す半円の円周に沿って可変抵抗36の両端電圧V
R2とインダクタ37の両端電圧VL2とが変化する。
【0042】また、上述したように電圧VR2から電圧V
L2をベクトル的に減算したものが出力電圧Eoとなる。
非反転入力端子に印加される電圧VR2を基準に考える
と、入力電圧Eiと出力電圧Eoとは電圧VL2を合成する
方向が異なるだけでありその絶対値は等しくなる。した
がって、入出力電圧の大きさと位相の関係は、入力電圧
Eiおよび出力電圧Eoを斜辺とし、電圧VL2の2倍を底
辺とする二等辺三角形で表すことができ、出力信号の振
幅は周波数に関係なく入力信号の振幅と同じであって、
位相シフト量は図5に示すφ2で表されることがわか
る。
【0043】また、図5から明らかなように、電圧VR2
と電圧VL2とは円周上で直角に交わるため、理論的には
入力電圧Eiと電圧VR2との位相差は、周波数ωが0か
ら∞まで変化するに従って0°から90°まで変化す
る。そして、移相回路30全体のシフト量φ2はその2倍
であり、周波数に応じて0°から180°まで変化す
る。
【0044】次に、上述した入出力電圧間の関係を定量
的に検証する。
【0045】前段の移相回路10の場合と同様に、電圧E
iを入力端42に印加したときに抵抗38、40を通って入力
端42から出力端44に向かって流れる電流をI、抵抗38と
抵抗40の各抵抗値が等しくその値をrとすると、抵抗3
8、40のそれぞれの両端電圧は−I・rとなる。
【0046】図4に示したオペアンプ32の2入力間には
電位差が生じてはならないので、オペアンプ32の非反転
入力端子に印加される可変抵抗36の両端電圧VR2と出力
電圧Eoとの間には、
【数9】 の関係がある。
【0047】また、オペアンプ32の2入力間に電位差が
生じないためには、インダクタ37の両端電圧VL2と抵抗
38の両端電圧−I・rを加算した値が0とならなければ
ならないので、
【数10】 となる。(9)式および(10)式から、
【数11】 となる。
【0048】また、可変抵抗36とインダクタ37の各両端
電圧VR2、VL2を加算したものが入力端42に印加される
電圧Eiであるから、これらの各電圧の間には、
【数12】 の関係がある。(11)式および(12)式から、
【数13】 となる。ここで、Lはインダクタ37のインダクタンス、
Rは可変抵抗36の抵抗値を表し、前段の移相回路10の場
合と同様にLR回路の時定数をT(=L/R)とした。
【0049】(13)式においてs=jωを代入して変形す
ると、
【数14】 となる。
【0050】上述した(13)式および(14)式は、前段の移
相回路10について示した(5)式および(6)式と符号のみ異
なっている。したがって、出力電圧Eoの絶対値は(7)式
をそのまま適用することができ、後段の移相回路30は入
出力間の位相がどのように回転しても、その出力信号の
振幅は入力信号の振幅に等しく一定であることがわか
る。
【0051】また、(14)式から出力電圧Eoの入力電圧
Eiに対する位相シフト量φ2を求めると、
【数15】 となる。この(15)式から、例えばωがほぼ1/T(=R
/L)となるような周波数における位相シフト量φ2は
ほぼ90°となり、入力信号の振幅を減衰させることな
く位相のみをほぼ90°シフトさせることができる。し
かも、可変抵抗36の抵抗値Rを可変することにより、位
相シフト量φ2がほぼ90°となる周波数ωを変化させ
ることができる。
【0052】このようにして、2つの移相回路10、30の
それぞれにおいて位相が所定量シフトされる。しかも、
図3および図5に示すように、各移相回路10、30におけ
る入出力電圧の相対的な位相関係は反対方向であって、
ある周波数において2つの移相回路10、30の全体により
位相シフト量が0°となる信号が出力される。
【0053】また、後段の移相回路30の出力は、帰還抵
抗70を介して前段の移相回路10の入力側に帰還されてお
り、ループゲインを1より大きく設定することにより、
一巡したときに位相シフト量が0°となるような周波数
で正弦波発振が行われる。
【0054】図6は、上述した構成を有する2つの移相
回路10、30の全体を伝達関数K1を有する回路に置き換
えたシステム図であり、伝達関数K1を有する回路と抵
抗値R0の帰還抵抗70とによって閉ループが形成されて
いる。図7は、図6に示すシステムをミラーの定理によ
って変換したシステム図であり、同図に示すように抵抗
値R0を有する帰還抵抗70を入力シャント抵抗に変換す
ると、その抵抗値Rsは、
【数16】 で表すことができる。
【0055】この式において、K1が1より大きい場合
を考えると、入力シャント抵抗Rsは負性抵抗となるこ
とがわかる。
【0056】伝達関数K1を有する理想的な移相回路
(オール・パス・ネットワーク)で任意の有限な周波数
において位相シフト量が0°である条件を満たすものと
すれば、この周波数において、選択的に負性抵抗を実現
することになり、発振が可能となる。実際には入力シャ
ント抵抗は移相回路の入力インピーダンスと並列接続さ
れた形となり、これらを合成したものが負性抵抗となる
必要があるが、帰還抵抗70の抵抗値R0を低く設定した
り、移相回路の入力インピーダンスを高く設定すること
は設計上極めて容易であるため、理論上は移相回路の入
力インピーダンスの影響を無視して考えることができ
る。
【0057】ところで、(5)式から明らかなように、前
段の移相回路10の伝達関数K2は、
【数17】 であり、(13)式から明らかなように、後段の移相回路30
の伝達関数K3は、
【数18】 である。但し、移相回路10および30内の各CR回路の時
定数は異なる場合も想定し、それぞれをT1、T2とし
た。
【0058】したがって、移相回路10と30を2段縦続接
続した場合の全体の伝達関数K1は、
【数19】 となる。ここで、計算を簡単にするために、s=jω、
2=−ω2、A=1+T1・T2・s2=1−T1・T2・ω
2、B=T1+T2とおくと、
【数20】 となる。この(20)式において、移相回路10、30を2段接
続した全体の入出力間の位相差が0°となるには、(20)
式の右辺の虚数項が0にならなければならないので、次
の式が成立する。
【数21】 したがって、1−T1・T2・ω2=0またはω=0とな
る。ここで、ω=0の場合は入力信号が直流の場合であ
って位相差が180°となるので、結局他方の条件(1
−T1・T2・ω2=0)を満たすω=1/√(T1・T2)
のときに位相差が0°となる。この周波数において入力
シャント抵抗Rsは負性抵抗となって、発振電圧条件と
周波数条件を同時に満たすことになる。
【0059】なお、オペアンプ12および32が理想的に動
作する場合には、抵抗18と20の各抵抗値が等しい場合に
この移相回路10の利得が1となり、抵抗38と40の各抵抗
値が等しい場合にこの移相回路30の利得が1となる。し
かし、実際には理想からのずれがあり、各移相回路にお
ける利得は1以下となるため、前段の移相回路10内の抵
抗20の抵抗値を抵抗18の抵抗値より大きく設定すること
により、あるいは、後段の移相回路30内の抵抗40の抵抗
値を抵抗38の抵抗値より大きく設定することにより、全
体のループゲインを1より大きく設定する必要がある。
【0060】このように、2つの移相回路10、30を組み
合わせることにより、閉ループを一巡する信号の位相シ
フト量をある周波数において0°とすることができ、こ
のときのループゲインを1より大きくすることにより正
弦波発振が持続される。また、位相シフト量が0°とな
る周波数は、各移相回路10、30内の可変抵抗16あるいは
36の抵抗値を変えることにより変化させることができる
ため、容易に周波数可変型の発振器を実現することがで
きる。
【0061】また、この実施例の発振器1において、イ
ンダクタ17および37は、写真触刻法等によりスパイラル
状の導体を形成することによって半導体基板上へ形成す
ることが可能となるが、このようなインダクタ17および
37を用いることにより、それ以外の構成部品(オペアン
プや抵抗)とともに半導体基板上に形成することができ
ることから、発振周波数を調整し得る発振器1の全体を
半導体基板上に形成して集積回路とすることも容易であ
る。但し、この場合にはインダクタ17および37が有する
インダクタンスは極めて小さくなるため、発振周波数が
高くなる。別の見方をすれば、発振器1の発振周波数は
R/Lに比例し、この中のインダクタンスLは集積化等
により小さくすることが容易であるため、発振周波数の
高周波化に適している。
【0062】なお、上述した第1実施例の発振器1にお
いて、前段に移相回路10を、後段に移相回路30をそれぞ
れ配置したが、これらの全体によって入出力信号間の位
相シフト量が0°となればよいことから、これらの前後
を入れ換えて前段に移相回路30を、後段に移相回路10を
それぞれ配置して発振器を構成するようにしてもよい。
【0063】また、上述した第1実施例の発振器1は、
2つの移相回路10、30の全体により位相シフト量が0°
となって所定の発振動作を行うようになっており、位相
をシフトさせない非反転回路を追加するようにしてもよ
い。
【0064】図8は、図1に示した発振器1に非反転回
路50を追加した発振器1aの構成を示す図である。この
非反転回路50は、反転入力端子が抵抗54を介して接地さ
れているとともにこの反転入力端子と出力端子との間に
抵抗56が接続されたオペアンプ52を含んで構成されてお
り、2つの抵抗54、56の抵抗比によって定まる所定の増
幅度を有するバッファとして機能する。このような構成
を有する非反転回路50は、入力信号の位相を変えずに出
力しており、この増幅度を調整してループゲインを1以
上に設定することが容易であり、このようにループゲイ
ンを調整することにより、2つの移相回路10、30による
位相シフト量が0°となる周波数において所定の発振動
作が行われる。
【0065】(第2実施例)上述した第1実施例の発振
器1および1aは、構成が異なる2つの移相回路10およ
び30を組み合わせて構成したが、同じ構成を有する2つ
の移相回路を組み合わせて発振器を構成するようにして
もよい。
【0066】図1に示す発振器1に含まれる一方の移相
回路10は図2に示した基本構成を有しており、移相回路
10の入力と出力との間には(5)式で表される関係が成立
する。以下では、図2に示す構成を有する移相回路10を
(5)式中の分数の符号を用いて便宜上「−型の移相回
路」と称して説明を行う。また、図1に示す発振器1に
含まれる他方の移相回路30は図4に示した基本構成を有
しており、移相回路30の入力と出力との間には(13)式で
表された関係が成立する。以下では、図4に示す構成を
有する移相回路30を(13)式中の分数の符号を用いて便宜
上「+型の移相回路」と称して説明を行う。
【0067】このように各移相回路を便宜上2つのタイ
プに分類した場合には、第1実施例の発振器1、1a
は、タイプが異なる2つの移相回路10および30を組み合
わせることにより、全体としての位相シフト量が0°と
なる周波数において発振動作を行うようになっている。
【0068】ところで、1つの−型の移相回路10の後段
に信号の位相を反転させる位相反転回路を接続した場合
のその全体の入出力間の関係に着目すると、(5)式にお
いて分数の符号「−」を反転して「+」にすればよく、
1つの−型の移相回路の後段に位相反転回路を接続した
構成が1つの+型の移相回路に等価であるといえる。同
様に、1つの+型の移相回路30の後段に信号の位相を反
転させる位相反転回路を接続した場合のその全体の入出
力間の関係に着目すると、(13)式において分数の符号
「+」を反転して「−」にすればよく、1つの+型の移
相回路の後段に位相反転回路を接続した構成が1つの−
型の移相回路に等価であるといえる。
【0069】したがって、第1実施例においてタイプが
異なる2つの移相回路10および30を組み合わせて発振器
を構成する代わりに、同タイプの2つの移相回路と位相
反転回路を組み合わせて発振器を構成することができ
る。
【0070】図9は、第2実施例の発振器の構成を示す
図である。同図に示す発振器1bは、図2に示す−型の
2つの移相回路10と、後段の移相回路10の出力信号の位
相をさらに反転する位相反転回路80と、位相反転回路80
の出力を前段の移相回路10の入力側に帰還させる帰還抵
抗70とを含んで構成されている。この帰還抵抗70は0Ω
から有限の抵抗値を有している。
【0071】位相反転回路80は、入力信号が抵抗84を介
して反転入力端子に入力されるとともに非反転入力端子
が接地されたオペアンプ82と、このオペアンプ82の反転
入力端子と出力端子との間に接続された抵抗86とを含ん
で構成されている。抵抗84を介してオペアンプ82の反転
入力端子に交流信号が入力されると、オペアンプ82の出
力端子からは位相が反転した逆相の信号が出力され、こ
の逆相の信号が図9に示した発振器1bの出力端子92か
ら取り出されるようになっている。また、この位相反転
回路80は、2つの抵抗84、86の抵抗比によって定まる所
定の増幅度を有する。
【0072】このような構成を有する位相反転回路80を
用いることにより、入力信号の位相を反転するととも
に、増幅度を調整して発振器1bのループゲインを1以
上に設定することが容易となる。
【0073】ところで、上述した第1実施例で説明した
ように、−型の2つの移相回路10のそれぞれは、入力信
号の周波数ωが0から∞まで変化するにしたがって位相
シフト量が180°から0°まで変化する。例えば、2
つの移相回路10内のLR回路の時定数が同じであると仮
定し、これをTとおくと、ω=1/Tの周波数では2つ
の移相回路10のそれぞれにおける位相シフト量が90°
となる。したがって、2つの移相回路10の全体によって
位相が180°シフトされ、さらに後段に接続された位
相反転回路80によって位相が反転され、全体として、位
相が一巡して位相シフト量が0°となる信号が位相反転
回路80から出力される。この位相反転回路80の出力を帰
還抵抗70を介して前段の移相回路10の入力側に帰還させ
ることにより、周波数ωを有する正弦波発振が行われ
る。
【0074】2つの移相回路10のそれぞれの伝達関数K
21は、それぞれの移相回路10内のLR回路の時定数をT
すると、(17)式においてT1をTに置き換えて、
【数22】 となる。したがって、これら2つの移相回路10を縦続接
続し、さらにその後段に位相反転回路80を接続した場合
の全体の伝達関数K11は、
【数23】 となる。この(23)式の右辺は、第1実施例において(19)
式に示した伝達関数K1のT1とT2をTに置き換えたも
のに等しい。すなわち、(23)式は第1実施例において示
した2つの移相回路10、30と非反転回路50とを接続した
場合の全体の伝達関数に等しいものであり、この実施例
において同タイプの2つの移相回路10と位相反転回路80
とを接続した構成が、第1実施例において図1に示した
構成に等価であることがわかる。
【0075】したがって、第2実施例の発振器1bにお
いて、位相反転回路80の増幅度を適切な値にしてループ
ゲインを1以上に設定することにより、一巡したときに
位相シフト量が0°となるような周波数で正弦波発振が
持続される。
【0076】また、各移相回路10内の可変抵抗16の抵抗
値Rを可変することにより、各移相回路10における位相
シフト量を変えることができるため、2つの移相回路10
の全体により合計で位相シフト量が0°となる周波数を
変えることができ、容易に周波数可変型の発振器1bを
実現することができる。
【0077】また、この実施例の発振器1bにおいて、
インダクタ17は、写真触刻法等によりスパイラル状の導
体を形成することによって半導体基板上へ形成すること
が可能となるが、このようなインダクタ17を用いること
により、それ以外の構成部品(オペアンプや抵抗)とと
もに発振器1bの全体を半導体基板上に形成して集積回
路とすることも容易である。また、集積化した場合には
容易に発振周波数を高周波化することができる。
【0078】(第3実施例)上述した第2実施例の発振
器1bでは−型の2つの移相回路10を接続した場合を説
明したが、+型の移相回路30を2段接続することにより
発振器を構成するようにしてもよい。
【0079】図10は、第3実施例の発振器の構成を示
す図である。同図に示す発振器1cは、図4に示す+型
の2つの移相回路30と、後段の移相回路30の出力信号の
位相をさらに反転する位相反転回路80と、位相反転回路
80の出力を前段の移相回路30の入力側に帰還させる帰還
抵抗70とを含んで構成されている。
【0080】位相反転回路80は、第2実施例において図
9に示したものであり、後段の移相回路30から出力され
る信号の位相をさらに反転して発振器1cの出力端子92
から出力する。
【0081】上述した第1実施例で説明したように、+
型の2つの移相回路30のそれぞれは、入力信号の周波数
ωが0から∞まで変化するにしたがって位相シフト量が
0°から180°まで変化する。例えば、2つの移相回
路30内のLR回路の時定数が同じであると仮定し、その
値をTとおくと、ω=1/Tの周波数では2つの移相回
路30のそれぞれにおける位相シフト量が90°となる。
したがって、2つの移相回路30の全体によって位相が1
80°シフトされ、さらに後段に接続された位相反転回
路80によって位相が反転され、全体として、位相が一巡
して位相シフト量が0°となる信号が位相反転回路80か
ら出力される。この位相反転回路80の出力を帰還抵抗70
を介して前段の移相回路30の入力側に帰還させることに
より、周波数ωを有する正弦波発振が行われる。
【0082】2つの移相回路30の伝達関数K31は、それ
ぞれの移相回路内のLR回路の時定数をTとすると、(1
8)式においてT2をTに置き換えて、
【数24】 となる。この伝達関数K31は(22)式に示した移相回路10
の伝達関数K21の符号「−」を「+」に置き換えたもの
であり、2つの移相回路30を縦続接続し、さらにその後
段に位相反転回路80を接続した場合の全体の伝達関数K
12は、
【数25】 となって、第2実施例において(23)式に示した伝達関数
K11と同じとなる。
【0083】すなわち、この実施例において同タイプの
2つの移相回路30と位相反転回路80とを接続した構成
が、第1実施例においてタイプが異なる2つの移相回路
10、30と非反転回路50とを接続した構成や、第2実施例
において−型の2つの移相回路10と位相反転回路80とを
接続した構成に等価であるといえる。
【0084】したがって、第3実施例の発振器1cにお
いて、位相反転回路80の増幅度を適切な値にしてループ
ゲインを1以上に設定することにより、一巡したときに
位相シフト量が0°となるような周波数で正弦波発振が
持続される。
【0085】また、各移相回路30内の可変抵抗36の抵抗
値Rを可変することにより、各移相回路30における位相
シフト量を変えることができるため、2つの移相回路30
の全体により合計で位相シフト量が0°となる周波数を
変えることができ、容易に周波数可変型の発振器1cを
実現することができる。
【0086】また、この実施例の発振器1cにおいて、
インダクタ37は、写真触刻法等によりスパイラル状の導
体を形成することによって半導体基板上へ形成すること
が可能となるが、このようなインダクタ37を用いること
により、それ以外の構成部品(オペアンプや抵抗)とと
もに発振器1cの全体を半導体基板上に形成して集積回
路とすることも容易である。また、集積化した場合には
容易に発振周波数を高周波化することができる。
【0087】(その他の実施例)ところで、上述した各
実施例の発振器は、2つの移相回路または2つの移相回
路と非反転回路あるいは位相反転回路によって構成され
ており、接続された複数の回路の全体によって所定の周
波数において合計の位相シフト量を0°にすることによ
り所定の発振動作を行うようになっている。したがっ
て、位相シフト量だけに着目すると、移相回路と非反転
回路あるいは位相反転回路とをどのような順番で接続す
るかはある程度の自由度があり、必要に応じて接続順番
を決めることができる。
【0088】図11および図12は、タイプが異なる2
つの移相回路を組み合わせて発振器を構成した場合にお
いて、2つの移相回路10、30と非反転回路50の接続状態
を示す図である。なお、これらの図において、帰還側イ
ンピーダンス素子70aは、最も一般的には図1等に示す
ように帰還抵抗70を使用する。但し、帰還側インピーダ
ンス素子70aをキャパシタあるいはインダクタにより形
成したり、抵抗やキャパシタあるいはインダクタを組み
合わせて形成してもよい。
【0089】図11(A)には2つの移相回路10、30の後
段に非反転回路50を配置した構成が示されており、図8
に示した発振器1aに対応している。図11(B)には2
つの移相回路30、10の後段に非反転回路50を配置した構
成が示されている。このように、後段に非反転回路50を
配置した場合には、この非反転回路50に出力バッファの
機能を持たせることにより、大きな出力電流を取り出す
こともできる。
【0090】図11(C)には2つの移相回路10、30の中
間に非反転回路50を配置した構成が、図11(D)には2
つの移相回路30、10の中間に非反転回路50を配置した構
成がそれぞれ示されている。このように、中間に非反転
回路50を配置した場合には、前段の移相回路10あるいは
30と後段の移相回路30あるいは10の相互干渉を完全に防
止することができる。
【0091】図12(A)には2つの移相回路10、30の前
段に非反転回路50を配置した構成が、図12(B)には2
つの移相回路30、10の前段に非反転回路50を配置した構
成がそれぞれ示されている。このように、前段に非反転
回路50を配置した場合には、前段の移相回路10あるいは
30に対する帰還側インピーダンス素子70aの影響を最小
限に抑えることができる。
【0092】同様に、図13および図14は、同タイプ
の2つの移相回路を組み合わせて発振器を構成した場合
において、2つの移相回路10あるいは30と位相反転回路
80の接続状態を示す図である。なお、これらの図におい
て、帰還側インピーダンス素子70aは、最も一般的には
図9等に示すように帰還抵抗70を使用する。但し、帰還
側インピーダンス素子70aをキャパシタあるいはインダ
クタにより形成したり、抵抗やキャパシタあるいはイン
ダクタを組み合わせて形成してもよい。
【0093】図13(A)には2つの移相回路10の後段に
位相反転回路80を配置した構成が示されており、図9に
示した発振器1bに対応している。図13(B)には2つ
の移相回路30の後段に位相反転回路80を配置した構成が
示されており、図10に示した発振器1cに対応してい
る。このように、後段に位相反転回路80を配置した場合
には、この位相反転回路80に出力バッファの機能を持た
せることにより、大きな出力電流を取り出すこともでき
る。
【0094】図13(C)には2つの移相回路10の間に位
相反転回路80を配置した構成が、図13(D)には2つの
移相回路30の間に位相反転回路80を配置した構成がそれ
ぞれ示されている。このように、中間に位相反転回路80
を配置した場合には、2つの移相回路間の相互干渉を完
全に防止することができる。
【0095】図14(A)には2つの移相回路10の前段に
位相反転回路80を配置した構成が、図14(B)には2つ
の移相回路30の前段に位相反転回路80を配置した構成が
それぞれ示されている。このように、前段に位相反転回
路80を配置した場合には、前段の移相回路10あるいは30
に対する帰還側インピーダンス素子70aの影響を最小限
に抑えることができる。
【0096】また、上述した各実施例において示した移
相回路10、30には可変抵抗16あるいは36が含まれてい
る。これらの可変抵抗16、36は、具体的には接合型ある
いはMOS型のFETを用いて実現することができる。
【0097】図15は、各実施例において示した2種類
の移相回路内の可変抵抗16あるいは36をFETに置き換
えた場合の移相回路の構成を示す図である。
【0098】同図(A)には、図1等に示した一方の移相
回路10において、可変抵抗16をFETに置き換えた構成
が示されている。同図(B)には、図1等に示した他方の
移相回路30において、可変抵抗36をFETに置き換えた
構成が示されている。
【0099】このように、FETのソース・ドレイン間
に形成されるチャネルを抵抗体として利用して可変抵抗
16あるいは36の代わりに使用すると、ゲート電圧を可変
に制御してこのチャネル抵抗をある範囲で任意に変化さ
せて各移相回路における位相シフト量を変えることがで
きる。したがって、各発振器において一巡する信号の位
相シフト量が0°となる周波数を変えることができるた
め、発振器の発振周波数を任意に変更することができ
る。
【0100】なお、図15に示した各移相回路は、可変
抵抗を1つのFET、すなわちpチャネルあるいはnチ
ャネルのFETによって構成したが、pチャネルのFE
TとnチャネルのFETとを並列接続して1つの可変抵
抗を構成し、各FETのゲートとサブストレート間に大
きさが等しく極性が異なるゲート電圧を印加するように
してもよい。抵抗値を可変する場合にはこのゲート電圧
の大きさを変えればよい。このように、2つのFETを
組み合わせて可変抵抗を構成することにより、FETの
非線形領域の改善を行うことができるため、発振出力の
歪みを少なくすることができる。
【0101】また、上述した各実施例において示した移
相回路10あるいは30は、インダクタ17、37と直列に接続
された可変抵抗16あるいは36の抵抗値を変化させて位相
シフト量を変化させることにより全体の発振周波数を変
えるようにしたが、インダクタ17、37を可変インダクタ
によって形成し、そのインダクタンスを変化させること
により発振周波数を変えるようにしてもよい。
【0102】図16は、各実施例において示した2種類
の移相回路内のインダクタ17あるいは37を可変インダク
タに置き換えた場合の移相回路の構成を示す図である。
【0103】同図(A)には、図1等に示した一方の移相
回路10において、可変抵抗16を固定抵抗に置き換えると
ともにインダクタ17を可変インダクタ17aに置き換えた
構成が示されている。同図(B)には、図1等に示した他
方の移相回路30において、可変抵抗36を固定抵抗に置き
換えるとともにインダクタ37を可変インダクタ37aに置
き換えた構成が示されている。
【0104】このように、インダクタ17あるいは37を可
変インダクタ17aあるいは37aに置き換えて、それらが
有するインダクタンスをある範囲で任意に変化させて各
移相回路における位相シフト量を変えることができる。
したがって、各発振器において一巡する信号の位相シフ
ト量が0°となる周波数を変えることができ、発振周波
数を任意に変更することができる。
【0105】ところで、上述した図16(A)、(B)では
可変インダクタ17aあるいは37aのインダクタンスのみ
を可変したが、同時に可変抵抗16あるいは36の抵抗値を
可変するようにしてもよい。図16(C)には、図1等に
示した一方の移相回路10において、可変抵抗16を用いる
とともにインダクタ17を可変インダクタ17aに置き換え
た構成が示されている。同図(D)には、図1等に示した
他方の移相回路30において、可変抵抗36を用いるととも
にインダクタ37を可変インダクタ37aに置き換えた構成
が示されている。
【0106】また、図16(C)、(D)に示した可変抵抗
を図15に示したようにFETのチャネル抵抗を利用し
て形成することができることはいうまでもない。特に、
pチャネルのFETとnチャネルのFETとを並列接続
して1つの可変抵抗を構成し、各FETのベースとサブ
ストレート間に大きさが等しく極性が異なるゲート電圧
を印加した場合には、FETの非線形領域の改善を行う
ことができるため、発振出力の歪みを少なくすることが
できる。
【0107】このように、可変抵抗と可変インダクタを
組み合わせて移相回路を構成した場合であっても、可変
抵抗の抵抗値および可変インダクタのインダクタンスを
ある範囲で任意に変化させて各移相回路における位相シ
フト量を変えることができる。したがって、各発振器に
おいて一巡する信号の位相シフト量が0°となる周波数
を変えることができ、発振周波数を任意に変更すること
ができる。
【0108】また、上述したように可変抵抗や可変イン
ダクタを用いる場合の他、素子定数が異なる複数の抵抗
あるいはインダクタを用意しておいて、スイッチを切り
換えることにより、これら複数の素子の中から1つある
いは複数を選ぶようにしてもよい。この場合にはスイッ
チ切り換えにより接続する素子の個数および接続方法
(直列接続、並列接続あるいはこれらの組み合わせ)に
よって、素子定数を不連続に切り換えることができる。
例えば、可変抵抗の代わりに抵抗値がR、2R、4R、
…といった2のn乗の系列の複数の抵抗を用意しておい
て、1つあるいは任意の複数を選択して直列接続するこ
とにより、等間隔の抵抗値の切り換えをより少ない素子
で容易に実現することができる。
【0109】図17は、上述した可変インダクタ17aの
具体例を示す図であり、半導体基板上に形成された平面
構造の概略が示されている。なお、同図に示す可変イン
ダクタ17aの構造は、そのまま可変インダクタ37aにも
適用することができる。
【0110】同図に示す可変インダクタ17aは、半導体
基板110上に形成された渦巻き形状のインダクタ導体112
と、その外周を周回するように形成された制御用導体11
4と、これらインダクタ導体112および制御用導体114の
両方を覆うように形成された絶縁性磁性体118とを含ん
で構成されている。
【0111】上述した制御用導体114は、制御用導体114
の両端に可変のバイアス電圧を印加するために可変電圧
電源116が接続され、この可変電圧電源116によって印加
する直流バイアス電圧を可変に制御することにより、制
御用導体114に流れるバイアス電流を変化させることが
できる。
【0112】また、半導体基板110は、例えばn型シリ
コン基板(n−Si基板)やその他の半導体材料(例え
ばゲルマニウムやアモルファスシリコン等の非晶質材
料)が用いられる。また、インダクタ導体112は、アル
ミニウムや金等の金属薄膜あるいはポリシリコン等の半
導体材料を渦巻き形状に形成されている。
【0113】なお、図17に示した半導体基板110に
は、可変インダクタ17aの他に図1等に示した発振器の
他の構成部品が形成されている。
【0114】図18は、図17に示した可変インダクタ
17aのインダクタ導体112および制御用導体114の形状を
さらに詳細に示す図である。
【0115】同図に示すように、内周側に位置するイン
ダクタ導体112は、所定ターン数(例えば約4ターン)
の渦巻き形状に形成されており、その両端には2つの端
子電極122、124が接続されている。同様に、外周側に位
置する制御用導体114は、所定ターン数(例えば約2タ
ーン)の渦巻き形状に形成されており、その両端には2
つの制御電極126、128が接続されている。
【0116】図19は、図18のA−A線拡大断面図で
あり、インダクタ導体112と制御用導体114を含む絶縁性
磁性体118の横断面が示されている。
【0117】同図に示すように、半導体基板110表面に
絶縁性の磁性体膜118aを介してインダクタ導体112およ
び制御用導体114が形成されており、さらにその表面に
絶縁性の磁性体膜118bが被覆形成されている。これら
2つの磁性体膜118a、118bによって図17に示した絶
縁性磁性体118が形成されている。
【0118】例えば、磁性体膜118a、118bとしては、
ガンマ・フェライトやバリウム・フェライト等の各種磁
性体膜を用いることができる。また、これらの磁性体膜
の材質や形成方法については各種のものが考えられ、例
えばFeO等を真空蒸着して磁性体膜を形成する方法
や、その他分子線エピタキシー法(MBE法)、化学気
相成長法(CVD法)、スパッタ法等を用いて磁性体膜
を形成する方法等がある。
【0119】なお、絶縁膜130は、非磁性体材料によっ
て形成されており、インダクタ導体112および制御用導
体114の各周回部分の間を覆っている。このようにして
各周回部分間の磁性体膜118a、118bを排除することに
より、各周回部分間に生じる漏れ磁束を最小限に抑える
ことができるため、インダクタ導体112が発生する磁束
を有効に利用して大きなインダクタンスを有する可変イ
ンダクタ17aを実現することができる。
【0120】このように、図17等に示した可変インダ
クタ17aは、インダクタ導体112と制御用導体114とを覆
うように絶縁性磁性体118(磁性体膜118a、118b)が
形成されており、制御用導体114に流す直流バイアス電
流を可変に制御することにより、上述した絶縁性磁性体
118を磁路とするインダクタ導体112の飽和磁化特性が変
化し、インダクタ導体112が有するインダクタンスが変
化する。
【0121】したがって、インダクタ導体112のインダ
クタンスそのものを直接変化させることができ、しか
も、半導体基板110上に薄膜形成技術や半導体製造技術
を用いて形成することができるため製造が容易となる。
さらに、半導体基板110上には発振器1等の他の構成部
品を形成することも可能であるため、各実施例の発振器
の全体を集積化によって一体形成する場合に適してい
る。
【0122】なお、図17等に示した可変インダクタ17
aは、図20あるいは図21に示すように、インダクタ
導体112と制御用導体114とを交互に周回させたり、イン
ダクタ導体112と制御用導体114とを重ねて形成するよう
にしてもよい。いずれの場合であっても、制御用導体11
4に流す直流バイアス電流を変化させることにより絶縁
性磁性体118の飽和磁化特性を変えることができ、イン
ダクタ導体112が有するインダクタンスをある範囲で変
化させることができる。
【0123】また、図17等に示した可変インダクタ17
aは、半導体基板110上にインダクタ導体112等を形成す
る場合を例にとり説明したが、セラミックス等の絶縁性
あるいは導電性の各種基板上に形成するようにしてもよ
い。
【0124】また、磁性体膜118a、118bとして絶縁性
材料を用いたが、メタル粉(MP)のような導電性材料
を用いるようにしてもよい。但し、このような導電性の
磁性体膜を上述した絶縁性の磁性体膜118a等に置き換
えて使用すると、インダクタ導体112等の各周回部分が
短絡されてインダクタ導体として機能しなくなるため、
各インダクタ導体と導電性の磁性体膜との間を電気的に
絶縁する必要がある。この絶縁方法としては、インダク
タ導体112等を酸化して絶縁酸化膜を形成する方法や、
化学気相法等によりシリコン酸化膜あるいは窒化膜を形
成する方法等がある。
【0125】特に、メタル粉等の導電性材料は、ガンマ
・フェライト等の絶縁性材料に比べると透磁率が大きい
ため、大きなインダクタンスを確保することができる利
点がある。
【0126】また、図17等に示した可変インダクタ17
aは、インダクタ導体112と制御用導体114の両方の全体
を絶縁性磁性体118で覆うようにしたが、一部のみを覆
って磁路を形成するようにしてもよい。
【0127】図22は、絶縁性磁性体118を部分的に形
成した可変インダクタを示す図である。同図に示すよう
に、絶縁性磁性体118がインダクタ導体112と制御用導体
114の一部を覆うように形成されており、この部分的に
形成された絶縁性磁性体118によって磁路が形成され
る。このように、磁路となる絶縁性磁性体(あるいは導
電性磁性体でもよい)118を部分的に形成した場合に
は、磁路が狭まることによりインダクタ導体112および
制御用導体114によって生じる磁束が飽和しやすくな
る。したがって、制御用導体114に少ないバイアス電流
を流した場合であっても磁束が飽和し、少ないバイアス
電流を可変に制御することによりインダクタ導体112の
インダクタンスを変えることができる。このため、制御
系の構造を簡略化することができる。
【0128】また、図17等に示した可変インダクタ17
aは、インダクタ導体112と制御用導体114とを同心状に
巻回して形成したが、これら各導体を半導体基板110表
面の隣接した位置に形成してそれらの間を絶縁性あるい
は導電性の磁性体によって形成した磁路によって磁気結
合させてもよい。
【0129】図23は、インダクタ導体と制御用導体と
を隣接した位置に並べて形成した場合の可変インダクタ
17bの概略を示す平面図である。
【0130】同図に示す可変インダクタ17bは、半導体
基板110上に形成された渦巻き形状のインダクタ導体112
aと、このインダクタ導体112aと隣接した位置に形成
された渦巻き形状の制御用導体114aと、インダクタ導
体112aと制御用導体114aの各渦巻き中心を覆うように
形成された絶縁性磁性体(あるいは導電性磁性体)119
とを含んで構成されている。
【0131】図17等に示した可変インダクタ17aと同
様に、制御用導体114aにはその両端に可変のバイアス
電圧を印加するために可変電圧電源116が接続されてお
り、この可変電圧電源116によって印加するバイアス電
圧を可変に制御することにより、制御用導体114aに流
れる所定のバイアス電流を変化させることができる。
【0132】図24は、図23に示した可変インダクタ
17bのインダクタ導体112aおよび制御用導体114aの形
状をさらに詳細に示した図である。
【0133】同図に示すように、インダクタ導体112a
は、所定ターン数(例えば約4ターン)の渦巻き形状に
形成されており、その両端には2つの端子電極122、124
が接続されている。同様に、インダクタ導体112aに隣
接して配置された制御用導体114aは、所定ターン数
(例えば約2ターン)の渦巻き形状に形成されており、
その両端には2つの制御電極126、128が接続されてい
る。
【0134】図25は、図24のB−B線拡大断面図で
あり、インダクタ導体112aと制御用導体114aを含む絶
縁性磁性体119の横断面が示されている。
【0135】同図に示すように、半導体基板110表面に
絶縁性の磁性体膜119aおよび絶縁性の非磁性体膜132が
形成されており、その表面にインダクタ導体112aおよ
び制御用導体114aがそれぞれ形成されている。そし
て、これらインダクタ導体112aと制御用導体114aの各
中心部を貫くようにさらに表面に絶縁性の磁性体膜119
bが被覆形成されている。これら2つの磁性体膜119
a、119bによってインダクタ導体112aと制御用導体11
4aの共通の磁路となる環状の磁性体119が形成されてい
る。
【0136】なお、図25に示した絶縁性の非磁性体膜
132は、磁性体膜119aとほぼ同じ膜厚を有しており、さ
らにそれらの表面においてインダクタ導体112aと制御
用導体114aのそれぞれをほぼ同じ高さに形成するため
のものである。したがって、インダクタ導体112aおよ
び制御用導体114aに多少の段差が生じてもよい場合に
は、非磁性体膜132を形成せずに、半導体基板110上に直
接インダクタ導体112aおよび制御用導体114aの一部を
形成するようにしてもよい。
【0137】また、磁性体膜119a表面のインダクタ導
体112aおよび制御用導体114aの各周回部分の間には、
図17等に示した可変インダクタ17aと同様に絶縁膜13
0が形成されている。このように部分的に絶縁膜130を充
填して各周回部分間の磁性体膜119a、119bを排除する
ことにより、各周回部分間に生じる漏れ磁束を最小限に
抑えることができるため、インダクタ導体112aによっ
て発生した磁束は、そのほとんどが磁性体膜119a、119
bを通って制御用導体114aと交差するようになる。し
たがって、漏れ磁束を少なくすることにより、インダク
タ導体112aが発生する磁束を有効に利用して大きなイ
ンダクタンスを得ることができる。
【0138】このように、上述した可変インダクタ17b
は、インダクタ導体112aと制御用導体114aの各渦巻き
中心を通るように環状の絶縁性磁性体119(磁性体膜119
a、119b)が形成されている。したがって、制御用導
体114aに流す直流バイアス電流を可変に制御すること
により、上述した磁性体119を磁路とするインダクタ導
体112aの飽和磁化特性が変化し、インダクタ導体112a
が有するインダクタンスも変化する。
【0139】また、上述したように各実施例の発振器1
等を半導体基板上に形成した場合には、インダクタ17あ
るいは37としてあまり大きなインダクタンスを確保する
ことができない。したがって、半導体基板上に実際に形
成したインダクタ17等の小さなインダクタンスを、回路
を工夫することにより見かけ上大きくすることができれ
ば、時定数Tを大きな値に設定して発振周波数の低周波
数化を図る際に都合がよい。
【0140】図26は、図1等に示した移相回路10、30
に用いたインダクタ17あるいは37を素子単体ではなく回
路によって構成した変形例を示す図であり、実際に半導
体基板上に形成されるインダクタ素子(インダクタ導
体)のインダクタンスを見かけ上大きくみせるインダク
タンス変換回路として機能する。なお、図26に示した
回路全体が移相回路10、30に含まれるインダクタ17ある
いは37に対応している。
【0141】図26に示すインダクタンス変換回路17c
は、所定のインダクタンスL0を有するインダクタ210
と、2つのオペアンプ212、214と、2つの抵抗216、218
とを含んで構成されている。
【0142】1段目のオペアンプ212は、出力端子が反
転入力端子に接続された利得1の非反転増幅器であっ
て、主にインピーダンス変換を行うバッファとして機能
する。同様に、2段目のオペアンプ214も出力端子が反
転入力端子に接続されており、利得1の非反転増幅器と
して機能する。また、これら2つの非反転増幅器の間に
は抵抗216と218による分圧回路が挿入されている。
【0143】このように、間に分圧回路を挿入すること
により、2つの非反転増幅器を含む増幅器全体の利得を
0から1の間で自由に設定することができる。
【0144】図26に示したインダクタンス変換回路17
cにおいて、インダクタ210を除く回路全体の伝達関数
をK4とすると、インダクタンス変換回路17cは図27
に示すシステム図で表すことができる。図28は、これ
をミラーの定理によって変換したシステム図である。
【0145】図27に示したインピーダンスZ0を用い
て図28に示したインピーダンスZ1を表すと、
【数26】 となる。ここで、図26に示したインダクタンス変換回
路17cの場合には、インピーダンスZ0=jωL0であ
り、これを(26)式に代入して、
【数27】
【数28】 となる。この(28)式は、インダクタンス変換回路17cに
おいてインダクタ210が有するインダクタンスL0が見掛
け上は1/(1−K4)倍になったことを示している。
【0146】したがって、利得K4が正であって0から
1の間にある場合には、1/(1−K4)は常に1より
大きくなるため、インダクタンスL0を大きいほうに変
化させることができる。
【0147】ところで、図26に示したインダクタンス
変換回路17cにおける増幅器の利得、すなわちオペアン
プ212と214の全体により構成される増幅器の利得K4
は、抵抗216と218によって構成される分圧回路の分圧比
によって決まり、それぞれの抵抗値をR16、R18とする
と、
【数29】 となる。この利得K4を(28)式に代入して見かけ上のイ
ンダクタンスLを計算すると、
【数30】 となる。したがって、抵抗216と218の抵抗比R18/R16
を大きくすることにより、2つの端子204、206間の見か
け上のインダクタンスLを大きくすることができる。例
えば、R18=R16の場合には、(30)式からインダクタン
スLをL0の2倍にすることができる。
【0148】このように、上述したインダクタンス変換
回路17cは、2つの非反転増幅器の間に挿入された分圧
回路の分圧比を変えることにより、実際に接続されてい
るインダクタ210のインダクタンスL0を見かけ上大きく
することができる。そのため、半導体基板上に図1等に
示した発振器1等の全体を形成するような場合には、半
導体基板上に小さなインダクタンスL0を有するインダ
クタ210をスパイラル状の導体等によって形成しておい
て、図26に示したインダクタンス変換回路によって大
きなインダクタンスLに変換することができ、集積化に
際して好都合となる。特に、このようにして大きなイン
ダクタンスを確保することができれば、図1に示した発
振器1等の発振周波数を比較的低い周波数領域まで下げ
ることが容易となる。また、集積化を行うことにより、
発振器全体の実装面積を小型化して、材料コスト等の低
減も可能となる。
【0149】なお、抵抗216、218による分圧回路の分圧
比を固定した場合の他、これら2つの抵抗216、218の少
なくとも一方を可変抵抗により形成することにより、具
体的には接合型やMOS型のFETあるいはpチャネル
FETとnチャネルFETとを並列に接続して可変抵抗
を形成することにより、この分圧比を連続的に変化させ
てもよい。この場合には、図26に示したオペアンプ21
2、214を含んで構成される増幅器全体の利得が変わり、
端子204、206間のインダクタンスLも連続的に変化す
る。したがって、このインダクタンス変換回路17cを図
16に示した可変インダクタ17aの代わりに使用するこ
とにより、各移相回路における位相シフト量をある範囲
で任意に変化させることができる。このため、発振器に
おいて一巡する信号の位相シフト量が0°となる周波数
を変えることができ、上述した発振器の発振周波数を任
意に変更することができる。
【0150】また、図26に示したインダクタンス変換
回路17cは、2つのオペアンプ212、214を含む増幅器全
体の利得が1以下に設定されているため、全体をエミッ
タホロワ回路あるいはソースホロワ回路に置き換えるよ
うにしてもよい。
【0151】図29は、オペアンプ212、214を含む増幅
器全体をエミッタホロワ回路に置き換えたインダクタン
ス変換回路の構成を示す図である。同図(A)に示すイン
ダクタンス変換回路17dは、エミッタに2つの抵抗22
4、226が接続されたバイポーラトランジスタ228と、こ
の2つの抵抗224、226による分圧点とトランジスタ228
のベースとの間に接続されたインダクタ210と、直流電
流阻止用のキャパシタ230とを含んで構成されている。
インダクタ210の一方端側に挿入されたキャパシタ230
は、周波数特性に影響を与えないようにそのインピーダ
ンスは動作周波数において極めて小さく、すなわち大き
な静電容量に設定されている。
【0152】上述したエミッタホロワ回路の利得は、主
に2つの抵抗224、226の抵抗比に応じて決まり、しかも
その利得は常に1未満であるため、(28)式からわかるよ
うに、実際にインダクタ210が有するインダクタンスL0
を見掛け上大きくすることができる。しかも、1つのエ
ミッタホロワ回路を用いているだけであり、回路構成が
簡略化でき、最高動作周波数も高く設定することができ
る。
【0153】図29(B)はその変形例を示す図であり、
同図(A)の2つの抵抗224、226を可変抵抗232に置き換
えた点が異なっている。このように可変抵抗232を用い
ることにより、利得を任意にしかも連続的に変化させる
ことができるため、見掛け上のインダクタンスLも任意
にしかも連続的に変化させることができ、このインダク
タンス変換回路17eを図16に示した可変インダクタ17
aの代わりに使用することにより、各移相回路における
位相シフト量をある範囲で任意に変化させることができ
る。このため、発振器において一巡する信号の位相シフ
ト量が0°となる周波数を変えることができ、上述した
発振器の発振周波数を任意に変更することができる。
【0154】なお、図29(B)に示したインダクタンス
変換回路17eは、同図(A)の2つの抵抗224、226を1つ
の可変抵抗232に置き換えているが、これら2つの抵抗2
24、226の少なくとも一方を可変抵抗によって構成する
ようにしてもよい。
【0155】図30は、図29(A)および(B)に示した
インダクタンス変換回路17d、17eのそれぞれをソース
ホロワ回路によって実現したものであり、バイポーラト
ランジスタ228をFET234に置き換えたものである。図
30(A)が図29(A)に、図30(B)が図29(B)にそ
れぞれ対応している。
【0156】図31は、図26に示したインダクタンス
変換回路17cの変形例を示す図である。図31に示すイ
ンダクタンス変換回路17fは、npn型のバイポーラト
ランジスタ236およびそのエミッタに接続された抵抗240
と、pnp型のバイポーラトランジスタ238とそのエミ
ッタに接続された抵抗242と、インダクタンスL0を有す
るインダクタ210とを含んで構成されている。
【0157】上述した一方のトランジスタ236と抵抗240
により第1のエミッタホロワ回路が、他方のトランジス
タ238と抵抗242により第2のエミッタホロワ回路がそれ
ぞれ形成され、それらが縦続接続されている。しかも、
npn型のトランジスタ236とpnp型のトランジスタ2
38を用いているため、インダクタ210の一方端であるト
ランジスタ236のベース電位とトランジスタ238のエミッ
タ電位とをほぼ同じに設定することができ、直流電流阻
止用のキャパシタが不要となる。
【0158】なお、この発明は上記実施例に限定される
ものではなく、この発明の要旨の範囲内で種々の変形実
施が可能である。
【0159】例えば、上述した実施例の発振器1等には
2つの移相回路が含まれているが、発振周波数を可変す
る場合には、両方の移相回路に含まれるLR回路を構成
する抵抗とインダクタの少なくとも一方の素子定数を変
える場合の他、一方の移相回路に含まれるLR回路を構
成する抵抗とインダクタの少なくとも一方の素子定数を
変える場合が考えられる。この場合には、いずれか一方
の移相回路において、一方端が接地されている素子の素
子定数を変えるほうが容易である。また、全ての抵抗や
インダクタの各素子定数を固定して、発振周波数が固定
の発振器を構成することもできる。
【0160】また、上述した実施例においては、オペア
ンプを用いて移相回路10、30を構成することにより安定
度の高い回路を構成することができるが、この実施例の
ような使い方をする場合にはオフセット電圧や電圧利得
はそれほど高性能なものが要求されないため、所定の増
幅度を有する差動入力増幅器を各移相回路内のオペアン
プの代わりに使用するようにしてもよい。
【0161】図32は、オペアンプの構成の中で各実施
例の移相回路の動作に必要な部分を抽出した回路図であ
り、全体が所定の増幅度を有する差動入力増幅器として
動作する。同図に示す差動入力増幅器は、FETにより
構成された差動入力段100と、この差動入力段100に定電
流を与える定電流回路102と、定電流回路102に所定のバ
イアス電圧を与えるバイアス回路104と、差動入力段100
に接続された出力アンプ106とによって構成されてい
る。同図に示すように、実際のオペアンプに含まれるオ
フセット調整回路等を省略して、差動入力増幅器の構成
を簡略化することができる。このように、回路の簡略化
を行うことにより、動作周波数の上限を高くすることが
できるため、その分この差動入力増幅器を用いて構成し
た発振器1等の動作周波数の上限を高くすることができ
る。
【0162】また、上述した各実施例の発振器は、発振
器を構成する2つの移相回路の中の1つの回路から、あ
るいは2つの移相回路と非反転回路50あるいは位相反転
回路80の中の1つの回路から正弦波信号を取り出すよう
にしたが、発振器を構成する2つの回路あるいは3つの
回路から正弦波信号を取り出すようにしてもよい。特
に、発振器を構成する2つの移相回路10あるいは30の各
時定数を同じに設定した場合には、各移相回路における
位相シフト量が90°となるため、互いに位相が90°
ずれた2相出力を取り出すことができる。また、位相反
転回路80とその前段の移相回路からは、互いに位相が反
転した2相出力を取り出すことができる。
【0163】
【発明の効果】以上の各実施例に基づく説明から明らか
なように、発振周波数が高い場合にはこの発明の発振器
を構成する各素子は集積回路の製法によって形成するこ
とが可能であるから、発振器を半導体ウエハ上に集積回
路として小型に形成でき、大量生産によって安価に作る
ことができる。また、各移相回路内のインダクタをイン
ダクタンス変換回路を用いて大きいほうに変換すること
ができ、発振周波数を低周波化することもできる。
【0164】特に、各移相回路におけるLR回路の可変
抵抗としてFETのソース・ドレイン間のチャネルを使
用し、このFETのゲートに印加する制御電圧を変化さ
せてチャネルの抵抗を変化させるように構成すると、制
御電圧を印加する配線のインダクタンスや静電容量の影
響を回避することができ、ほぼ設計どおりの理想的な特
性を備えた発振器を得ることができる。
【0165】また、従来のLC共振を利用した発振器に
おいては、発振周波数ωが1/√LCであるから、発振
周波数を調整するために静電容量Cまたはインダクタン
スLを変化させると、発振周波数はその変化量の平方根
に比例して変化するが、この発明の発振器では発振周波
数ωが例えばR/Lであって、発振周波数は抵抗値Rに
比例して変化させることができるので、発振周波数の大
幅な変更および調整が可能となる。また、インダクタン
スLは小さくすることが容易であるため、発振周波数の
高周波化を図ることが容易であり、高い発振周波数を有
する発振器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用した第1実施例の発振器の構成
を示す回路図、
【図2】図1に示した前段の移相回路の構成を抜き出し
て示した図、
【図3】前段の移相回路の入出力電圧とインダクタ等に
現れる電圧との関係を示すベクトル図、
【図4】図1に示した後段の移相回路の構成を抜き出し
て示した図、
【図5】後段の移相回路の入出力電圧とインダクタ等に
現れる電圧との関係を示すベクトル図、
【図6】2つの移相回路の全体を伝達関数K1を有する
回路に置き換えたシステム図、
【図7】図6に示すシステムをミラーの定理によって変
換したシステム図、
【図8】第1実施例の発振器の変形例を示す図、
【図9】第2実施例の発振器の構成を示す回路図、
【図10】第3実施例の発振器の構成を示す回路図、
【図11】移相回路と非反転回路との接続形態を示す
図、
【図12】移相回路と非反転回路との接続形態を示す
図、
【図13】移相回路と位相反転回路との接続形態を示す
図、
【図14】移相回路と位相反転回路との接続形態を示す
図、
【図15】移相回路の可変抵抗をFETに置き換えた移
相回路の構成を示す図、
【図16】移相回路のインダクタを可変インダクタに置
き換えた移相回路の構成を示す図、
【図17】可変インダクタの一例を示す図、
【図18】図17に示した可変インダクタのインダクタ
導体および制御用導体の形状をさらに詳細に示す図、
【図19】図18のA−A線拡大断面図、
【図20】図17に示した可変インダクタの変形例を示
す図、
【図21】図17に示した可変インダクタの変形例を示
す図、
【図22】図17に示した可変インダクタの変形例を示
す図、
【図23】可変インダクタの他の例を示す図、
【図24】図23に示した可変インダクタのインダクタ
導体および制御用導体の形状をさらに詳細に示す図、
【図25】図24のB−B線拡大断面図、
【図26】インダクタが実際に有するインダクタンスを
見かけ上大きくするインダクタンス変換回路の構成を示
す図、
【図27】図26に示した回路を伝達関数を用いて表し
た図、
【図28】図27に示す構成をミラーの定理によって変
換した図、
【図29】図26に含まれる2つのオペアンプを含む増
幅器全体をエミッタホロワ回路に置き換えたインダクタ
ンス変換回路の構成を示す図、
【図30】図29の回路をソースホロワ回路によって実
現した構成を示す図、
【図31】インダクタンス変換回路の変形例を示す図、
【図32】オペアンプの構成の中でこの発明の移相回路
の動作に必要な部分を抽出した回路図、
【図33】従来の正弦波発振器の一例を示す回路図、
【図34】従来の正弦波発振器の一例を示す回路図であ
る。
【符号の説明】
1 発振器 10、30 移相回路 12、32 オペアンプ(演算増幅器) 16、36 可変抵抗 17、37 インダクタ 18、20、38、40 抵抗 50 非反転回路 70 帰還抵抗 92 出力端子

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反転入力端子に第1の抵抗の一方端が接
    続されており前記第1の抵抗を介して交流信号が入力さ
    れる差動入力増幅器と、前記差動入力増幅器の反転入力
    端子と出力端子との間に接続された第2の抵抗と、前記
    第1の抵抗の他方端に接続された第3の抵抗およびイン
    ダクタからなる直列回路とを含み、前記第3の抵抗およ
    び前記インダクタの接続部を前記差動入力増幅器の非反
    転入力端子に接続した2つの移相回路を備え、 縦続接続された前記2つの移相回路の後段の出力を前段
    の入力側に帰還させるとともに、前記2つの移相回路の
    いずれか一方から正弦波発振出力を取り出すことを特徴
    とする発振器。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記2つの移相回路から2相出力を取り出すことを特徴
    とする発振器。
  3. 【請求項3】 反転入力端子に第1の抵抗の一方端が接
    続されており前記第1の抵抗を介して交流信号が入力さ
    れる差動入力増幅器と、前記差動入力増幅器の反転入力
    端子と出力端子との間に接続された第2の抵抗と、前記
    第1の抵抗の他方端に接続された第3の抵抗およびイン
    ダクタからなる直列回路とを含み、前記第3の抵抗およ
    び前記インダクタの接続部を前記差動入力増幅器の非反
    転入力端子に接続した2つの移相回路と、 入力される交流信号の位相を変えずに出力する非反転回
    路と、 を備え、前記2つの移相回路および前記非反転回路のそ
    れぞれを縦続接続し、これら縦続接続された複数の回路
    の中の最終段の出力を初段の入力側に帰還させるととも
    に、これら複数の回路のいずれかから正弦波発振出力を
    取り出すことを特徴とする発振器。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 前記2つの移相回路および前記非反転回路から2相出力
    を取り出すことを特徴とする発振器。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記直列回路を構成する前記第3の抵抗および前記イン
    ダクタの接続の仕方を、前記2つの移相回路において反
    対にしたことを特徴とする発振器。
  6. 【請求項6】 反転入力端子に第1の抵抗の一方端が接
    続されており前記第1の抵抗を介して交流信号が入力さ
    れる差動入力増幅器と、前記差動入力増幅器の反転入力
    端子と出力端子との間に接続された第2の抵抗と、前記
    第1の抵抗の他方端に接続された第3の抵抗およびイン
    ダクタからなる直列回路とを含み、前記第3の抵抗およ
    び前記インダクタの接続部を前記差動入力増幅器の非反
    転入力端子に接続した2つの移相回路と、 入力される交流信号の位相を反転して出力する位相反転
    回路と、 を備え、前記2つの移相回路および前記移相反転回路の
    それぞれを縦続接続し、これら縦続接続された複数の回
    路の中の最終段の出力を初段の入力側に帰還させるとと
    もに、これら複数の回路のいずれかから正弦波発振出力
    を取り出すことを特徴とする発振器。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 前記2つの移相回路および前記位相反転回路から2相出
    力を取り出すことを特徴とする発振器。
  8. 【請求項8】 請求項6または7において、 前記直列回路を構成する前記第3の抵抗および前記イン
    ダクタの接続の仕方を、前記2つの移相回路において同
    じにしたことを特徴とする発振器。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかにおいて、 前記差動入力増幅器は演算増幅器であることを特徴とす
    る発振器。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記第
    3の抵抗を可変抵抗により形成し、この抵抗値を変える
    ことにより、発振周波数を変化させることを特徴とする
    発振器。
  11. 【請求項11】 請求項10において、 前記可変抵抗をFETのチャネルによって形成し、ゲー
    ト電圧を変えてチャネル抵抗を変えることを特徴とする
    発振器。
  12. 【請求項12】 請求項10において、 前記可変抵抗をpチャネル型のFETとnチャネル型の
    FETとを並列接続することにより形成し、極性が異な
    る各FETのゲート電圧の大きさを変えてチャネル抵抗
    を変えることを特徴とする発振器。
  13. 【請求項13】 請求項1〜9のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記イ
    ンダクタが有するインダクタンスを変えることにより、
    発振周波数を変化させることを特徴とする発振器。
  14. 【請求項14】 請求項13において、 前記インダクタは、 基板上にほぼ平面状に渦巻き形状に形成されたインダク
    タ導体と、 前記基板上であって前記インダクタ導体とほぼ同心状に
    形成されており、所定の直流バイアス電流が流される制
    御用導体と、 前記インダクタ導体と前記制御用導体とを覆うように形
    成された磁性体と、 を備え、前記制御用導体に流す直流バイアス電流を変え
    て前記インダクタ導体の両端に現れるインダクタンスを
    変化させることを特徴とする発振器。
  15. 【請求項15】 請求項13において、 前記インダクタは、 基板上にほぼ平面状に渦巻き形状に形成されたインダク
    タ導体と、 前記基板上であって前記インダクタ導体に隣接する位置
    にほぼ平面状で渦巻き形状に形成されており、所定の直
    流バイアス電流が流される制御用導体と、 前記インダクタ導体と前記制御用導体の各渦巻き中心を
    貫通するように環状に形成された磁性体と、 を備え、前記制御用導体に流す直流バイアス電流を変え
    て前記インダクタ導体の両端に現れるインダクタンスを
    変化させることを特徴とする発振器。
  16. 【請求項16】 請求項1〜9のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記第
    3の抵抗として抵抗値が固定の複数の抵抗を有してお
    り、スイッチ切り換えにより選択的に接続することによ
    り、発振周波数を変化させることを特徴とする発振器。
  17. 【請求項17】 請求項1〜9のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記イ
    ンダクタとしてインダクタンスが固定の複数のインダク
    タを有しており、スイッチ切り換えにより選択的に接続
    することにより、発振周波数を変化させることを特徴と
    する発振器。
  18. 【請求項18】 請求項1〜9のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記イ
    ンダクタを、利得を0から1の間に設定した増幅器と、
    前記増幅器の入出力間に並列接続されたインダクタ素子
    に置き換えることにより、前記増幅器の入力側からみた
    インダクタンスを実際に前記インダクタ素子が有するイ
    ンダクタンスよりも大きくすることを特徴とする発振
    器。
  19. 【請求項19】 請求項18において、 前記増幅器の利得を可変して前記増幅器の入力側からみ
    たインダクタンスを変えることにより、発振周波数を変
    化させることを特徴とする発振器。
  20. 【請求項20】 演算増幅器と、入力された交流信号が
    印加される抵抗およびインダクタよりなる時定数回路
    と、前記時定数回路に発生した信号を前記演算増幅器の
    非反転入力端子に入力する回路と、前記演算増幅器の反
    転入力端子に接続され、入力信号が印加される入力抵抗
    および前記演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間
    に接続された帰還抵抗とを有し、入力された交流信号を
    互いに反対方向に移相する2段の移相回路と、 後段の移相回路の出力を前段の移相回路の入力へ帰還す
    る帰還側インピーダンス素子と、 を備えることを特徴とする発振器。
  21. 【請求項21】 演算増幅器と、入力された交流信号が
    印加される抵抗およびインダクタよりなる時定数回路
    と、前記時定数回路に発生した信号を前記演算増幅器の
    非反転入力端子に入力する回路と、前記演算増幅器の反
    転入力端子に接続され、入力信号が印加される入力抵抗
    および前記演算増幅器の出力端子と反転入力端子との間
    に接続された帰還抵抗とを有し、交流信号を同じ方向に
    移相する2段の移相回路と、 前記2段の移相回路のうち、1段の移相回路の出力の位
    相を反転する位相反転回路と、 前記2段の移相回路および前記位相反転回路を含む閉回
    路を形成する帰還側インピーダンス素子と、 を備えることを特徴とする発振器。
  22. 【請求項22】 請求項20または21において、 前段の移相回路の時定数回路の抵抗および/または後段
    の移相回路の時定数回路の抵抗を変化させて発振周波数
    を調整することを特徴とする発振器。
  23. 【請求項23】 請求項20または21において、 発振周波数の調整を行う抵抗をFETのチャネルで形成
    することを特徴とする発振器。
  24. 【請求項24】 請求項1〜23のいずれかにおいて、 半導体集積回路として形成することを特徴とする発振
    器。
JP13262395A 1994-08-01 1995-05-08 発振器 Pending JPH08195624A (ja)

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