JPH0865101A - 同調増幅器 - Google Patents

同調増幅器

Info

Publication number
JPH0865101A
JPH0865101A JP11765795A JP11765795A JPH0865101A JP H0865101 A JPH0865101 A JP H0865101A JP 11765795 A JP11765795 A JP 11765795A JP 11765795 A JP11765795 A JP 11765795A JP H0865101 A JPH0865101 A JP H0865101A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
circuit
phase shift
input
inductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11765795A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadataka Oe
忠孝 大江
Tsutomu Nakanishi
努 中西
Takeshi Ikeda
毅 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP11765795A priority Critical patent/JPH0865101A/ja
Publication of JPH0865101A publication Critical patent/JPH0865101A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Networks Using Active Elements (AREA)
  • Amplifiers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 同調周波数と最大減衰量とを互いに干渉する
ことなく、任意に調整し得る同調増幅器を得ること。 【構成】 FETのソースおよびドレインに発生する同
相および逆相の信号をキャパシタあるいは抵抗を介して
合成することにより所定の位相シフトを行う2つの移相
回路10、30と、後段の移相回路30の出力信号の位相を変
えずに増幅する非反転回路50と、帰還抵抗70および入力
抵抗74のそれぞれを介することにより非反転回路50から
出力される信号と入力端子90に入力される入力信号とを
所定の割合で加算する加算回路とを含んで構成されてい
る。移相回路10、30内のインダクタと抵抗からなる直列
回路の時定数を変化させて同調周波数を調整し、入力抵
抗74と帰還抵抗70の抵抗比を変化させて最大減衰量を調
整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、同調周波数と最大減
衰量とを互いに干渉することなく、任意に調整し得る同
調増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】同調増幅器として従来より能動素子およ
びリアクタンス素子を使用した各種の増幅回路が提案さ
れ実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の同調増幅器にお
いては、同調周波数を調整すると、LC回路に依存する
Qと利得が変化し、最大減衰量を調整すると同調周波数
が変化したり、また、図38の特性曲線AおよびBに示
すように、最大減衰量を調整すると同調周波数における
利得が変化するので、同調周波数、同調周波数における
利得、最大減衰量C1、C2を互いに干渉しあうことな
く調整することは極めて困難であった。
【0004】さらに、同調周波数および最大減衰量を調
整し得る同調増幅器を集積回路によって形成することも
困難であった。
【0005】そこで、この発明は、このような課題を解
決するために考えられたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、この発明の同調増幅器は、入力信号が一方端に
入力される入力側インピーダンス素子と、帰還信号が一
方端に入力される帰還側インピーダンス素子とを含んで
おり、前記入力信号と前記帰還信号とを加算する加算回
路と、入力された交流信号を同相および逆相の交流信号
に変換して出力する変換手段と、前記変換手段によって
変換された一方の交流信号をインダクタを介して他方の
交流信号を抵抗を介して合成する合成手段とを含む2つ
の移相回路と、入力される交流信号の位相を変えずに所
定の増幅度で増幅して出力する非反転回路と、を備え、
前記2つの移相回路および前記非反転回路のそれぞれを
縦続接続し、これら縦続接続された複数の回路の中の初
段の回路に対して前記加算回路によって加算された信号
を入力するとともに、最終段の回路から出力される信号
を前記帰還信号として前記帰還側インピーダンス素子の
一方端に入力し、これら複数の回路のいずれかの出力を
同調信号として出力することを特徴とする。
【0007】また、この発明の同調増幅器は、入力信号
が一方端に入力される入力側インピーダンス素子と、帰
還信号が一方端に入力される帰還側インピーダンス素子
とを含んでおり、前記入力信号と前記帰還信号とを加算
する加算回路と、入力された交流信号を同相および逆相
の交流信号に変換して出力する変換手段と、前記変換手
段によって変換された一方の交流信号をインダクタを介
して他方の交流信号を抵抗を介して合成する合成手段と
を含む2つの移相回路と、入力される交流信号の位相を
反転するとともに所定の増幅度で増幅して出力する位相
反転回路と、を備え、前記2つの移相回路および前記位
相反転回路のそれぞれを縦続接続し、これら縦続接続さ
れた複数の回路の中の初段の回路に対して前記加算回路
によって加算された信号を入力するとともに、最終段の
回路から出力される信号を前記帰還信号として前記帰還
側インピーダンス素子の一方端に入力し、これら複数の
回路のいずれかの出力を同調信号として出力することを
特徴とする。
【0008】また、この発明の同調増幅器は、入力側イ
ンピーダンス素子を介して入力された交流信号を同相お
よび逆相の交流信号に変換して出力する変換手段と、変
換された前記2つの交流信号を第1のインダクタおよび
第1の抵抗を介して合成して移相する手段とよりなる第
1の移相回路と、前記第1の移相回路で移相された交流
信号を同相および逆相の交流信号に変換して出力する変
換手段と、変換された前記2つの交流信号を第2の抵抗
および第2のインダクタを介して合成して、前記第1の
移相回路とは反対方向に移相する手段とよりなる第2の
移相回路と、前記第2の移相回路の出力を帰還側インピ
ーダンス素子を介して前記第1の移相回路の変換手段の
入力へ帰還する回路と、を備えることを特徴とする。
【0009】また、この発明の同調増幅器は、入力抵抗
を介して入力された交流信号を同相および逆相の交流信
号に変換して出力する変換手段と、変換された前記2つ
の交流信号を第1のインダクタおよび第1の抵抗を介し
て合成して移相する手段とよりなる第1の移相回路と、
前記第1の移相回路で移相された交流信号を同相および
逆相の交流信号に変換して出力する変換手段と、変換さ
れた前記2つの交流信号を第2の抵抗および第2のイン
ダクタを介して合成して、前記第1の移相回路と同じ方
向に移相する第2の移相回路と、前記第2の移相回路の
出力の位相を反転して出力する位相反転回路と、前記位
相反転回路の出力を帰還抵抗を介して前記第1の移相回
路の変換手段の入力へ帰還する回路と、を備えることを
特徴とする。
【0010】
【実施例】以下、この発明を適用した一実施例の同調増
幅器について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0011】以下の実施例の同調増幅器の特徴は、入力
側インピーダンス素子(例えば入力抵抗)を介して入力
された交流信号の位相をシフトさせる前段の移相回路
と、前段の移相回路とは入出力電圧間の位相関係が反対
となるように交流信号の位相をシフトさせる後段の移相
回路と、後段の移相回路の出力を位相を変えずに所定の
増幅度で増幅して出力する非反転回路と、非反転回路の
出力を前段の移相回路の入力に帰還させる帰還側インピ
ーダンス素子(例えば帰還抵抗)とを備え、システム全
体の利得をほぼ1に設定し、閉回路の位相差の総和が0
°となる周波数で同調増幅動作をさせることにある。
【0012】あるいは、以下の実施例の同調増幅器の特
徴は、入力側インピーダンス素子を介して入力された交
流信号の位相をシフトさせる前段の移相回路と、前段の
移相回路と入出力電圧間の位相関係が同じになるように
交流信号の位相をシフトさせる後段の移相回路と、後段
の移相回路の出力の位相を反転するとともに所定の増幅
度で増幅して出力する位相反転回路と、位相反転回路の
出力を前段の移相回路の入力に帰還させる帰還側インピ
ーダンス素子とを備え、システム全体の利得をほぼ1に
設定し、閉回路の位相差の総和が0°となる周波数で同
調増幅動作をさせることにある。
【0013】(第1実施例)図1は、この発明を適用し
た第1実施例の同調増幅器の構成を示す回路図である。
同図に示す同調増幅器1は、それぞれが入力信号の位相
を所定量シフトさせることにより所定の周波数において
合計で0°の位相シフトを行う2つの移相回路10、30
と、移相回路30の出力信号の位相を変えずに所定の増幅
度で増幅して出力する非反転回路50と、帰還抵抗70およ
び入力抵抗74(入力抵抗74は帰還抵抗70のn倍の抵抗値
を有しているものとする)のそれぞれを介することによ
り非反転回路50から出力される信号(帰還信号)と入力
端子90に入力される信号(入力信号)とを所定の割合で
加算する加算回路とを含んで構成されている。
【0014】図2は、図1に示した前段の移相回路10の
構成を抜き出して示したものである。同図に示す前段の
移相回路10は、ゲートが入力端22に接続されたFET12
と、このFET12のソース・ドレイン間に直列に接続さ
れた可変抵抗14およびインダクタ17と、FET12のドレ
インと正電源との間に接続された抵抗18と、FET12の
ソースと負電源との間に接続された抵抗20とを含んで構
成されている。
【0015】なお、インダクタ17とFET12のドレイン
との間に挿入されているキャパシタ19は直流電流阻止用
であり、そのインピーダンスは動作周波数において極め
て小さく、すなわち大きな静電容量を有している。ま
た、図1に示した移相回路10の前段に設けられたキャパ
シタ72も直流電流阻止用であり、そのインピーダンスは
動作周波数において極めて小さく、すなわち大きな静電
容量を有している。さらに、直列接続された2つの抵抗
25、26は、電源電圧を分圧してFET12に適切なバイア
ス電圧を印加するためのものである。
【0016】ここで、上述したFET12のソースおよび
ドレインに接続された2つの抵抗20、18の抵抗値はほぼ
等しく設定されており、入力端22に印加される入力電圧
の交流成分に着目すると、位相が一致した信号がFET
12のソースから、位相が反転した信号がFET12のドレ
インからそれぞれ出力されるようになっている。
【0017】この実施例では、正電源と負電源によって
電源電圧を印加しているが、負電源側をアースに置き換
えて単一電源で動作させてもよい。さらに、FET12は
セルフバイアスとすることができることから、抵抗25を
省略して抵抗26のみによってFET12のバイアス電圧を
印加するようにしてもよい。
【0018】このような構成を有する移相回路10におい
て、所定の交流信号が入力端22に入力されると、すなわ
ちFET12のゲートに所定の交流電圧(入力電圧)が印
加されると、FET12のソースにはこの入力電圧と同相
の交流電圧が現れ、反対にFET12のドレインにはこの
入力電圧と逆相であってソースに現れる電圧と振幅が等
しい交流電圧が現れる。このソースおよびドレインに現
れる交流電圧の振幅をともにEiとする。
【0019】このFET12のソース・ドレイン間には可
変抵抗14とインダクタ17とにより構成される直列回路が
接続されている。したがって、FET12のソースおよび
ドレインに現れる電圧のそれぞれを可変抵抗14あるいは
インダクタ17を介して合成した信号が出力端24から出力
される。
【0020】図3は、移相回路10の入出力電圧とインダ
クタ等に現れる電圧との関係を示すベクトル図である。
【0021】FET12のソースとドレインにはそれぞれ
入力電圧と同相および逆相であって電圧振幅がEiの交
流電圧が現れるため、ソース・ドレイン間の電位差(交
流成分)は2Eiとなる。また、インダクタ17の両端に
現れるVL1と可変抵抗14の両端に現れる電圧VR1とは互
いに90°位相がずれており、これらをベクトル的に合
成(加算)したものが、FET12のソース・ドレイン間
の電位差2Eiに等しくなる。
【0022】したがって、図3に示すように、電圧Ei
の2倍を斜辺とし、インダクタ17の両端電圧VL1と可変
抵抗14の両端電圧VR1とが直交する2辺を構成する直角
三角形を形成することになる。このため、入力信号の振
幅が一定で周波数のみが変化した場合には、図3に示す
半円の円周に沿ってインダクタ17の両端電圧VL1と可変
抵抗14の両端電圧VR1とが変化する。
【0023】ところで、インダクタ17と可変抵抗14の接
続点と負電源との電位差を出力電圧Eoとして取り出す
ものとすると、この出力電圧Eoは、図3に示した半円
においてその中心点を始点とし、電圧VL1と電圧VR1と
が交差する円周上の一点を終点とするベクトルで表すこ
とができ、その大きさは半円の半径Eiに等しくなる。
しかも、入力信号の周波数が変化しても、このベクトル
の終点は円周上を移動するだけであるため、周波数に応
じて出力振幅が変化しない安定した出力を得ることがで
きる。
【0024】また、図3から明らかなように、電圧VL1
と電圧VR1とは円周上で直角に交わるため、理論的には
FET12のゲートに印加される入力電圧と電圧VL1との
位相差は、周波数ωが0から∞まで変化するに従って9
0°から0°まで変化する。そして、移相回路10全体の
位相シフト量φ1はその2倍であり、周波数に応じて1
80°から0°まで変化する。
【0025】次に、上述した入出力電圧間の関係を定量
的に検証する。図4は、上述した移相回路10を等価的に
表した図である。
【0026】FET12のソースおよびドレインには、F
ET12のゲートに印加される入力電圧と同相あるいは逆
相の電圧がそれぞれ発生するため、これら2つの電圧を
発生する2つの電圧源27、28に置き換えて考えることが
できる。このとき、図4に示す等価回路の閉ループに流
れる電流Iは、インダクタ17のインダクタンスをL、可
変抵抗14の抵抗値をRとすると、
【数1】 となる。また、図4に示す出力端24と負電源との電位差
を出力電圧Eoとして取り出すものとすると、電圧Eiと
出力電圧Eoを加算した電圧がインダクタ17の両端電圧
に等しいことから、
【数2】 の関係が成立する。上述した(2)式に(1)式を代入して計
算すると、
【数3】 となる。ここで、LR回路の時定数をT(=L/R)と
した。
【0027】この(3)式においてs=jωを代入して変
形すると、
【数4】 となる。(4)式から出力電圧Eoの絶対値を求めると、
【数5】 となる。すなわち、(5)式は、この実施例の移相回路10
は入出力間の位相がどのように回転しても、その出力信
号の振幅は一定であることを表している。
【0028】また、(4)式から出力電圧Eoの入力電圧に
対する位相シフト量φ1を求めると、
【数6】 となる。この(6)式から、例えば、ωがほぼ1/T(=
R/L)となるような周波数における位相シフト量φ1
はほぼ90°となる。しかも、可変抵抗14の抵抗値Rを
可変することにより、位相シフト量φ1がほぼ90°と
なる周波数ωを変化させることができる。
【0029】図5は、図1に示した後段の移相回路30の
構成を抜き出して示したものである。同図に示す後段の
移相回路30は、ゲートが入力端42に接続されたFET32
と、このFET32のソース・ドレイン間に直列に接続さ
れたインダクタ37および可変抵抗34と、FET32のドレ
インと正電源との間に接続された抵抗38と、FET32の
ソースと負電源との間に接続された抵抗40とを含んで構
成されている。
【0030】移相回路10と同様に、図5に示したFET
32のソースおよびドレインに接続された2つの抵抗40、
38の抵抗値はほぼ等しく設定されており、入力端42に印
加される入力電圧の交流成分に着目すると、位相が一致
した信号がFET32のソースから、位相が反転した信号
がFET32のドレインからそれぞれ出力されるようにな
っている。
【0031】また、インダクタ37とFET32のソースと
の間に挿入されているキャパシタ39は直流電流阻止用で
あり、そのインピーダンスは動作周波数において極めて
小さく、すなわち大きな静電容量を有している。図1に
示した移相回路30の前段に設けられたキャパシタ48も直
流電流阻止用であり、交流成分のみが移相回路30に入力
される。また、抵抗46はFET32に適切なバイアス電圧
を印加するためのものである。
【0032】このような構成を有する移相回路30におい
て、所定の交流信号が入力端42に入力されると、すなわ
ちFET32のゲートに所定の交流電圧(入力電圧)が印
加されると、FET32のソースにはこの入力電圧と同相
の交流電圧が現れ、反対にFET32のドレインにはこの
入力電圧と逆相であってソースに現れる電圧と振幅が等
しい交流電圧が現れる。このソースおよびドレインに現
れる交流電圧の振幅をともにEiとする。
【0033】このFET32のソース・ドレイン間にはイ
ンダクタ37と可変抵抗34とにより構成される直列回路が
接続されている。したがって、FET32のソースおよび
ドレインに現れる電圧のそれぞれをインダクタ37あるい
は可変抵抗34を介して合成した信号が出力端44から出力
される。
【0034】FET32のソースとドレインにはそれぞれ
入力電圧と同相および逆相であって電圧振幅がEiの交
流電圧が現れるため、ソース・ドレイン間の電位差は2
Eiとなる。また、可変抵抗34の両端に現れる電圧VR2
とインダクタ37の両端に現れる電圧VL2とは互いに90
°位相がずれており、これらをベクトル的に加算したも
のが、FET32のソース・ドレイン間の電位差2Eiに
等しくなる。
【0035】したがって、図6に示すように、電圧Ei
の2倍を斜辺とし、可変抵抗34の両端電圧VR2とインダ
クタ37の両端電圧VL2とが直交する2辺を構成する直角
三角形を形成することになる。このため、入力信号の振
幅が一定で周波数のみが変化した場合には、図6に示す
半円の円周に沿って可変抵抗34の両端電圧VR2とインダ
クタ37の両端電圧VL2とが変化する。
【0036】インダクタ37と可変抵抗34の接続点と負電
源との電位差を出力電圧Eoとして取り出すものとする
と、この出力電圧Eoは、図6に示した半円においてそ
の中心点を始点とし、電圧VR2と電圧VL2とが交差する
円周上の一点を終点とするベクトルで表すことができ、
その大きさは半円の半径Eiに等しくなる。しかも、入
力信号の周波数が変化しても、このベクトルの終点は円
周上を移動するだけであるため、周波数に応じて出力振
幅が変化しない安定した出力を得ることができる。
【0037】また、図6から明らかなように、電圧VR2
と電圧VL2とは円周上で直角に交わるため、理論的には
FET32のゲートに印加される入力電圧と電圧VR2との
位相差は、周波数ωが0から∞まで変化するに従って0
°から90°まで変化する。そして、移相回路30全体の
位相シフト量φ2はその2倍であり、周波数に応じて0
°から180°まで変化する。
【0038】次に、上述した入出力電圧間の関係を定量
的に検証する。図7は、上述した移相回路30を等価的に
表した図である。
【0039】FET32のソースおよびドレインには、ゲ
ートに印加される入力電圧と同相あるいは逆相の電圧が
それぞれ発生するため、上述した移相回路10の場合と同
様に、これら2つの電圧を発生する2つの電圧源27、28
に置き換えて考えることができる。このとき、図7に示
す等価回路の閉ループに流れる電流Iは、可変抵抗34の
抵抗値をR、インダクタ37のインダクタンスをLとする
と、上述した(1)式で表すことができる。したがって、
図7に示す出力端44と負電源との電位差を出力電圧Eo
として取り出すものとすると、電圧Eiと出力電圧Eoを
加算した電圧が可変抵抗34の両端電圧に等しいことか
ら、
【数7】 の関係が成立する。上述した(7)式に(1)式を代入して計
算すると、
【数8】 となる。ここで、移相回路10の場合と同様にLR回路の
時定数をTとした。
【0040】この(8)式においてs=jωを代入して変
形すると、
【数9】 となる。
【0041】上述した(8)式および(9)式は、移相回路10
について計算した(3)式および(4)式と符号のみ異なって
いる。したがって、出力電圧Eoの絶対値は(5)式をその
まま適用することができ、移相回路30は、入出力間の位
相がどのように回転しても、その出力信号の振幅は一定
であることを表している。
【0042】また、(9)式から出力電圧Eoの入力電圧に
対する位相シフト量φ2を求めると、
【数10】 となる。この(10)式から、例えば、ωがほぼ1/T(=
R/L)となるような周波数における位相シフト量φ2
はほぼ90°となる。しかも、可変抵抗34の抵抗値Rを
可変することにより、位相シフト量φ2がほぼ90°と
なる周波数ωを変化させることができる。
【0043】このようにして、2つの移相回路10、30の
それぞれにおいて位相が所定量シフトされる。しかも、
図3および図6に示すように、各移相回路10、30におけ
る入出力電圧の相対的な位相関係は反対方向であって、
ある周波数において2つの移相回路10、30の全体により
位相シフト量が0°の信号が出力される。
【0044】また、図1に示した非反転回路50は、ドレ
インと正電源との間に抵抗54が、ソースと負電源との間
に抵抗56がそれぞれ接続されたFET52と、ベースがF
ET52のドレインに接続されているとともにコレクタが
抵抗60を介してソースに接続されたトランジスタ58とを
含んで構成されている。なお、非反転回路50の前段に設
けられた抵抗62はFET52に適切なバイアス電圧を印加
するためのものであり、キャパシタ64は移相回路30の出
力から直流成分を取り除く直流電流阻止用であって交流
成分のみが非反転回路50に入力される。
【0045】FET52は、ゲートに交流信号が入力され
ると、逆相の信号をドレインから出力する。また、トラ
ンジスタ58は、ベースにこの逆相の信号が入力される
と、さらに位相を反転した信号、すなわちFET52のゲ
ートに入力された信号の位相を基準に考えると同相の信
号をコレクタから出力し、この同相の信号が非反転回路
50から出力される。
【0046】この非反転回路50の出力は、出力端子92か
ら同調増幅器1の出力として取り出されるとともに、帰
還抵抗70を介して前段の移相回路10の入力側に帰還され
ており、この帰還された信号と入力抵抗74を介して入力
される信号とが加算され、この加算された電圧が移相回
路10の入力端(図2に示した入力端22)に印加されてい
る。
【0047】また、上述した非反転回路50の増幅度は、
上述した抵抗54、56、60の各抵抗値によって決まり、こ
れら各抵抗の抵抗値を調整することにより、図1に構成
を示す同調増幅器1のループゲインがほぼ1に設定され
ている。すなわち、実際には信号振幅の減衰が生じてル
ープゲインが1よりかなり小さくなるため、この減衰分
を非反転回路50による増幅で補うことにより、ループゲ
インをほぼ1に設定することが可能となる。
【0048】図8は、上述した構成を有する2つの移相
回路10、30および非反転回路50の全体を伝達関数K1を
有する回路に置き換えたシステム図であり、伝達関数K
1を有する回路と並列に抵抗R0を有する帰還抵抗70が、
直列に帰還抵抗70のn倍の抵抗値(nR0)を有する入
力抵抗74が接続されている。図9は、図8に示すシステ
ムをミラーの定理によって変換したシステム図であり、
変換後のシステム全体の伝達関数Aは、
【数11】 で表すことができる。
【0049】ところで、(3)式から明らかなように、前
段の移相回路10の伝達関数K2は、
【数12】 であり、(8)式から明らかなように、後段の移相回路30
の伝達関数K3は、
【数13】 である。したがって、移相回路10、30を2段縦続接続し
た場合の全体の伝達関数K1は、
【数14】 となる。なお、上述したように実際には2つの移相回路
10、30の後段に非反転回路50を接続してループゲインを
ほぼ1に設定しているが、(12)式および(13)式によって
表される伝達関数K2、K3は各移相回路において信号振
幅の減衰が生じないものとして求めたものであり、(14)
式により求めた伝達関数K1は、2つの移相回路10、30
に非反転回路50を接続した全体の伝達関数と同じとな
る。この(14)式を上述した(11)式に代入すると、
【数15】 となる。
【0050】この(15)式によれば、ω=0(直流の領
域)のときにA=−1/(2n+1)となって、最大減
衰量を与えることがわかる。また、ω=∞のときにも最
大減衰量を与えることがわかる。さらに、ω=1/Tの
同調点(2つの移相回路10の各時定数が異なる場合であ
ってそれぞれをT1、T2とした場合には、ω=1/√
(T1・T2)の同調点)においてはA=1であって帰還
抵抗70と入力抵抗74の抵抗比nに無関係であることがわ
かる。換言すれば、図10に示すように、nの値を変化
させても同調点がずれることなく、かつ同調点の減衰量
も変化しない。
【0051】このように、この実施例の同調増幅器1に
よれば、帰還抵抗70と入力抵抗74の抵抗比nを変えても
同調周波数および同調時の利得が一定であり、最大減衰
量のみを変化させることができる。反対に、最大減衰量
は上述した抵抗比nによって決定されるため、各移相回
路10、30内の可変抵抗14あるいは34の抵抗値を変えて同
調周波数を変えた場合であっても、この最大減衰量に影
響を与えることはなく、同調周波数、同調周波数におけ
る利得、最大減衰量を互いに干渉しあうことなく調整す
ることができる。
【0052】また、この実施例の同調増幅器1におい
て、インダクタ17および37は、写真触刻法等によりスパ
イラル状の導体を形成することによって半導体基板上へ
形成することが可能となるが、このようなインダクタ17
および37を用いることにより、それ以外の構成部品(F
ETや抵抗あるいはキャパシタ)とともに半導体基板上
に形成することができることから、同調周波数および最
大減衰量を調整し得る同調増幅器1の全体を半導体基板
上に形成して集積回路とすることも容易である。但し、
この場合にはインダクタ17および37が有するインダクタ
ンスは極めて小さくなるため、同調周波数が高くなる。
別の見方をすれば、同調増幅器1の同調周波数はR/L
に比例し、この中のインダクタンスLは集積化等により
小さくすることが容易であるため、同調周波数の高周波
化に適している。
【0053】なお、図1に示した第1実施例の同調増幅
器1は、移相回路10、30および非反転回路50のそれぞれ
の間に直流電流阻止用のキャパシタを設けるとともにF
ETのゲートにバイアス印加用の抵抗を接続して最適な
動作点で各回路が動作するようにしたが、図11に示す
ように直流電流阻止用のキャパシタ等を省略した状態で
適切な動作点となるように各素子の素子定数を調整する
ようにしてもよい。
【0054】また、第1実施例の同調増幅器1では、前
段に移相回路10を、後段に移相回路30をそれぞれ配置し
たが、これらの全体によって入出力信号間の位相シフト
量が0°となればよいことから、図12に示すようにこ
れらの前後を入れ換えて前段に移相回路30を、後段に移
相回路10をそれぞれ配置して同調増幅器1aを構成する
ようにしてもよい。
【0055】また、上述したこの実施例の同調増幅器1
等に含まれる非反転回路50は、バイポーラトランジスタ
58を含んで構成したが、これをFETに置き換えて、2
段のソース接地回路によって構成するようにしてもよ
い。この場合には、同調増幅器1等に使用されるトラン
ジスタの全てがFETで統一されるため、製造プロセス
の簡略化が可能となる。
【0056】(第2実施例)上述した第1実施例の同調
増幅器1は、構成が異なる2つの移相回路10および30を
組み合わせて構成したが、同じ構成を有する2つの移相
回路を組み合わせて同調増幅器を構成するようにしても
よい。
【0057】図1に示す同調増幅器1に含まれる一方の
移相回路10は図2に示した基本構成を有しており、移相
回路10の入力と出力との間には(3)式で表される関係が
成立する。以下では、図2に示す構成を有する移相回路
10を(3)式中の分数の符号を用いて便宜上「−型の移相
回路」と称して説明を行う。また、図1に示す同調増幅
器1に含まれる他方の移相回路30は図5に示した基本構
成を有しており、移相回路30の入力と出力との間には
(8)式で表された関係が成立する。以下では、図5に示
す構成を有する移相回路30を(8)式中の分数の符号を用
いて便宜上「+型の移相回路」と称して説明を行う。
【0058】このように各移相回路を便宜上2つのタイ
プに分類した場合には、第1実施例の同調増幅器1は、
タイプが異なる2つの移相回路10および30を組み合わせ
ることにより、全体としての位相シフト量が0°となる
周波数において同調動作を行うようになっている。
【0059】ところで、1つの−型の移相回路10の後段
に信号の位相を反転させる位相反転回路を接続した場合
のその全体の入出力間の関係に着目すると、(3)式にお
いて分数の符号「−」を反転して「+」にすればよく、
1つの−型の移相回路の後段に位相反転回路を接続した
構成が1つの+型の移相回路に等価であるといえる。同
様に、1つの+型の移相回路30の後段に信号の位相を反
転させる位相反転回路を接続した場合のその全体の入出
力間の関係に着目すると、(8)式において分数の符号
「+」を反転して「−」にすればよく、1つの+型の移
相回路の後段に位相反転回路を接続した構成が1つの−
型の移相回路に等価であるといえる。
【0060】したがって、第1実施例においてタイプが
異なる2つの移相回路10および30を組み合わせて同調増
幅器を構成する代わりに、同タイプの2つの移相回路と
位相反転回路を組み合わせて同調増幅器を構成すること
ができる。
【0061】図13は、第2実施例の同調増幅器の構成
を示す図である。同図に示す同調増幅器1bは、図2に
示す−型の2つの移相回路10と、後段の移相回路10の出
力信号の位相をさらに反転する位相反転回路80と、帰還
抵抗70および入力抵抗74(入力抵抗74は帰還抵抗70の抵
抗値のn倍の抵抗値を有しているものとする)のそれぞ
れを介することにより位相反転回路80から出力される信
号(帰還信号)と入力端子90に入力される信号(入力信
号)とを所定の割合で加算する加算回路とを含んで構成
されている。
【0062】位相反転回路80は、ドレインと正電源との
間に抵抗84が、ソースと負電源との間に抵抗86がそれぞ
れ接続されたFET82を含んで構成されている。FET
82のゲートに交流信号が入力されると、FET82のドレ
インからは位相が反転した逆相の信号が出力され、この
逆相の信号が同調増幅器1bの出力端子92から取り出さ
れる。この位相反転回路80は、2つの抵抗84、86の抵抗
比によって定まる所定の増幅度を有する。
【0063】また、この位相反転回路80の出力は、帰還
抵抗70を介して前段の移相回路10の入力側に帰還されて
おり、この帰還された信号と入力抵抗74を介して入力さ
れる信号とが加算され、この加算された電圧が前段の移
相回路10の入力端(図2に示した入力端22)に印加され
る。
【0064】このような帰還ループを形成することによ
り、ある周波数において2つの移相回路10によって位相
が180°シフトされ、さらに位相反転回路80によって
位相が反転され、全体として帰還ループを一巡する信号
の位相シフト量が0°となる。このとき、位相反転回路
80の増幅度を所定の値にして、同調増幅器1b全体のル
ープゲインをほぼ1に設定することにより、同調動作が
行われる。
【0065】ところで、上述した2つの移相回路10およ
び位相反転回路80を含む第2実施例の同調増幅器1b
は、その全体を伝達関数K1を有する回路に置き換える
と、第1実施例の場合と同様に、図8に示すシステム図
で表すことができる。したがって、ミラーの定理によっ
て変換することにより図9に示すシステム図で表すこと
ができ、変換後のシステム全体の伝達関数Aは(11)式で
表すことができる。
【0066】また、移相回路10の伝達関数K2は(12)式
で表されるため、移相回路10を2段接続し、さらにその
後段に位相反転回路80を接続した場合の全体の伝達関数
K1は、
【数16】 となる。この(16)式で求めた伝達関数K1は、(14)式で
求めた第1実施例の同調増幅器1の2つの移相回路10、
30および非反転回路50の全体の伝達関数K1と同じであ
り、同調増幅器1bの全体の伝達関数は(15)式に示した
Aをそのまま適用することができる。
【0067】したがって、第2実施例の同調増幅器1b
は、第1実施例の同調増幅器1と同様の特性を有してお
り、ω=0(直流の領域)のときにA=−1/(2n+
1)となって、最大減衰量を与えることがわかる。ま
た、ω=∞のときにも最大減衰量を与えることがわか
る。さらに、ω=1/Tの同調点(2つの移相回路10の
各時定数が異なる場合であってそれぞれをT1、T2とし
た場合には、ω=1/√(T1・T2)の同調点)におい
てはA=1であって帰還抵抗70と入力抵抗74の抵抗比n
に無関係であって、図10に示すようにnの値を変化さ
せても同調点がずれることなく、かつ同調点の減衰量も
変化しない。
【0068】このように、この実施例の同調増幅器1b
によれば、帰還抵抗70と入力抵抗74の抵抗比nを変えて
も同調周波数および同調時の利得が一定であり、最大減
衰量のみを変化させることができる。反対に、最大減衰
量は上述した抵抗比nによって決定されるため、各移相
回路10内の可変抵抗14の抵抗値を変えて同調周波数を変
えた場合であっても、この最大減衰量に影響を与えるこ
とはなく、同調周波数、同調周波数における利得、最大
減衰量を互いに干渉しあうことなく調整することができ
る。
【0069】また、第1実施例と同様に、インダクタ17
は写真触刻法等によりスパイラル状の導体を形成するこ
とによって半導体基板上へ形成することが可能となる
が、このようなインダクタ17を用いることにより、それ
以外の構成部品(FETや抵抗あるいはキャパシタ)と
ともに半導体基板上に形成することができることから、
同調周波数および最大減衰量を調整し得る同調増幅器1
bの全体を半導体基板上に形成して集積回路とすること
も容易である。また、集積化した場合には容易に同調周
波数を高周波化することができる。
【0070】なお、図13に示した第2実施例の同調増
幅器1bは、2つの移相回路10および位相反転回路80の
それぞれの間に直流電流阻止用のキャパシタを設けると
ともにFETのゲートにバイアス印加用の抵抗を接続し
て最適な動作点で各回路が動作するようにしたが、図1
4に示すように直流電流阻止用のキャパシタ等を省略し
た状態で適切な動作点となるように各素子の素子定数を
調整するようにしてもよい。
【0071】(第3実施例)上述した第2実施例の同調
増幅器1bでは−型の2つの移相回路10を接続した場合
を説明したが、+型の移相回路30を2段接続することに
より同調増幅器を構成するようにしてもよい。
【0072】図15は、第3実施例の同調増幅器の構成
を示す図である。同図に示す同調増幅器1cは、図5に
示す+型の2つの移相回路30と、後段の移相回路30の出
力信号の位相をさらに反転する位相反転回路80と、帰還
抵抗70および入力抵抗74(入力抵抗74は帰還抵抗70の抵
抗値のn倍の抵抗値を有しているものとする)のそれぞ
れを介することにより位相反転回路80から出力される信
号(帰還信号)と入力端子90に入力される信号(入力信
号)とを所定の割合で加算する加算回路とを含んで構成
されている。
【0073】位相反転回路80は、第2実施例において図
13に示したものであり、FET82のゲートに交流信号
が入力されると、このFET82のドレインからは位相が
反転した逆相の信号が出力される。
【0074】上述した第1実施例で説明したように、+
型の2つの移相回路30のそれぞれは、入力信号の周波数
ωが0から∞まで変化するにしたがって位相シフト量が
0°から180°まで変化する。例えば、2つの移相回
路30内のLR回路の時定数が同じであると仮定し、その
値をTとおくと、ω=1/Tの周波数では2つの移相回
路30のそれぞれにおける位相シフト量が90°となる。
したがって、2つの移相回路30の全体によって位相が1
80°シフトされ、さらに後段に接続された位相反転回
路80によって位相が反転され、全体として、位相が一巡
して位相シフト量が0°となる信号が位相反転回路80か
ら出力される。また、この位相反転回路80の出力は、帰
還抵抗70を介して前段の移相回路30の入力側に帰還され
ており、この帰還された信号と入力抵抗74を介して入力
される信号とが加算され、この加算された電圧が前段の
移相回路30の入力端(図5に示した入力端42)に印加さ
れている。
【0075】このような帰還ループを形成することによ
り、ある周波数において2つの移相回路30によって位相
が180°シフトされ、さらに位相反転回路80によって
位相が反転され、全体として帰還ループを一巡する信号
の位相シフト量が0°となる。このとき、位相反転回路
80の増幅度を所定の値にして、同調増幅器1c全体のル
ープゲインをほぼ1に設定することにより、同調動作が
行われる。
【0076】ところで、上述した2つの移相回路30およ
び位相反転回路80を含む第3実施例の同調増幅器1c
は、その全体を伝達関数K1を有する回路に置き換える
と、第1実施例の場合と同様に、図8に示すシステム図
で表すことができる。したがって、ミラーの定理によっ
て変換することにより図9に示すシステム図で表すこと
ができ、変換後のシステム全体の伝達関数Aは(11)式で
表すことができる。
【0077】また、(13)式から明らかなように、2つの
移相回路30のそれぞれの伝達関数K3は、(12)式で表さ
れる移相回路10の伝達関数K2と符号のみ異なっている
ことから、移相回路30を2段接続した後にさらに位相反
転回路80を接続した場合の全体の伝達関数K1は(16)式
に示したものをそのまま適用することができる。したが
って、第2実施例の同調増幅器1bと同様に、同調増幅
器1cの全体の伝達関数は(15)式に示したAをそのまま
適用することができる。
【0078】したがって、第3実施例の同調増幅器1c
は、第1実施例の同調増幅器1等と同様の特性を有して
おり、ω=0(直流の領域)のときにA=−1/(2n
+1)となって、最大減衰量を与えることがわかる。ま
た、ω=∞のときにも最大減衰量を与えることがわか
る。さらに、ω=1/Tの同調点(2つの移相回路30の
各時定数が異なる場合であってそれぞれをT1、T2とし
た場合には、ω=1/√(T1・T2)の同調点)におい
てはA=1であって帰還抵抗70と入力抵抗74の抵抗比n
に無関係であって、図10に示すようにnの値を変化さ
せても同調点がずれることなく、かつ同調点の減衰量も
変化しない。
【0079】このように、この実施例の同調増幅器1c
によれば、帰還抵抗70と入力抵抗74の抵抗比nを変えて
も同調周波数および同調時の利得が一定であり、最大減
衰量のみを変化させることができる。反対に、最大減衰
量は上述した抵抗比nによって決定されるため、各移相
回路30内の可変抵抗34の抵抗値を変えて同調周波数を変
えた場合であっても、この最大減衰量に影響を与えるこ
とはなく、同調周波数、同調周波数における利得、最大
減衰量を互いに干渉しあうことなく調整することができ
る。
【0080】また、第1実施例等と同様に、インダクタ
37は写真触刻法等によりスパイラル状の導体を形成する
ことによって半導体基板上へ形成することが可能となる
が、このようなインダクタ37を用いることにより、それ
以外の構成部品(FETや抵抗あるいはキャパシタ)と
ともに半導体基板上に形成することができることから、
同調周波数および最大減衰量を調整し得る同調増幅器1
cの全体を半導体基板上に形成して集積回路とすること
も容易である。また、集積化した場合には容易に同調周
波数を高周波化することができる。
【0081】なお、図15に示した第2実施例の同調増
幅器1cは、2つの移相回路30および位相反転回路80の
それぞれの間に直流電流阻止用のキャパシタを設けると
ともにFETのゲートにバイアス印加用の抵抗を接続し
て最適な動作点で各回路が動作するようにしたが、図1
6に示すように直流電流阻止用のキャパシタ等を省略し
た状態で適切な動作点となるように各素子の素子定数を
調整するようにしてもよい。
【0082】(その他の実施例)ところで、上述した各
実施例の同調増幅器は、2つの移相回路と非反転回路あ
るいは2つの移相回路と位相反転回路によって構成され
ており、接続された3つの回路の全体によって所定の周
波数において合計の位相シフト量を0°にすることによ
り所定の同調動作を行うようになっている。したがっ
て、位相シフト量だけに着目すると、3つの回路をどの
ような順番で接続するかはある程度の自由度があり、必
要に応じて接続順番を決めることができる。
【0083】図17および図18は、タイプが異なる2
つの移相回路を組み合わせて同調増幅器を構成した場合
において、2つの移相回路10、30と非反転回路50の接続
状態を示す図である。なお、これらの図において、帰還
側インピーダンス素子70aおよび入力側インピーダンス
素子74aは、各同調増幅器の出力信号と入力信号とを所
定の割合で加算するためのものであり、最も一般的には
図1等に示すように、帰還側インピーダンス素子70aと
して帰還抵抗70を、入力側インピーダンス素子74aとし
て入力抵抗74を使用する。
【0084】但し、帰還側インピーダンス素子70aおよ
び入力側インピーダンス素子74aは、それぞれの素子に
入力された信号の位相関係を変えることなく加算できれ
ばよいことから、帰還側インピーダンス素子70aおよび
入力側インピーダンス素子74aをともにキャパシタによ
り、あるいは帰還側インピーダンス素子70aおよび入力
側インピーダンス素子74aをともにインダクタにより形
成するようにしてもよい。または、抵抗やキャパシタあ
るいはインダクタを組み合わせることにより、インピー
ダンスの実数分および虚数分の比を同時に調整しうるよ
うにして各インピーダンス素子を形成してもよい。
【0085】図17(A)には2つの移相回路10、30の後
段に非反転回路50を配置した構成が示されており、図1
に示した同調増幅器1に対応している。図17(B)には
2つの移相回路30、10の後段に非反転回路50を配置した
構成が示されており、図12に示した同調増幅器1aに
対応している。このように、後段に非反転回路50を配置
した場合には、この非反転回路50に出力バッファの機能
を持たせることにより、大きな出力電流を取り出すこと
もできる。
【0086】図17(C)には2つの移相回路10、30の中
間に非反転回路50を配置した構成が、図17(D)には2
つの移相回路30、10の中間に非反転回路50を配置した構
成がそれぞれ示されている。このように、中間に非反転
回路50を配置した場合には、前段の移相回路10あるいは
30と後段の移相回路30あるいは10の相互干渉を完全に防
止することができる。
【0087】図18(A)には2つの移相回路10、30の前
段に非反転回路50を配置した構成が、図18(B)には2
つの移相回路30、10の前段に非反転回路50を配置した構
成がそれぞれ示されている。このように、前段に非反転
回路50を配置した場合には、前段の移相回路10あるいは
30に対する帰還側インピーダンス素子70aの影響を最小
限に抑えることができる。
【0088】同様に、図19および図20は、同タイプ
の2つの移相回路を組み合わせて同調増幅器を構成した
場合において、2つの移相回路10あるいは30と位相反転
回路80の接続状態を示す図である。なお、図17につい
て説明したように、帰還側インピーダンス素子70aおよ
び入力側インピーダンス素子74aは、各同調増幅器の出
力信号と入力信号とを所定の割合で加算するためのもの
であり、最も一般的には図1等に示すように、帰還側イ
ンピーダンス素子70aとして帰還抵抗70を、入力側イン
ピーダンス素子74aとして入力抵抗74を使用する。但
し、帰還側インピーダンス素子70aおよび入力側インピ
ーダンス素子74aは、それぞれの素子に入力された信号
の位相関係を変えることなく加算できればよいことか
ら、キャパシタ等によって形成するようにしてもよい。
【0089】図19(A)には2つの移相回路10の後段に
位相反転回路80を配置した構成が示されており、図13
に示した同調増幅器1bに対応している。図19(B)に
は2つの移相回路30の後段に位相反転回路80を配置した
構成が示されており、図15に示した同調増幅器1cに
対応している。このように、後段に位相反転回路80を配
置した場合には、この位相反転回路80に出力バッファの
機能を持たせることにより、大きな出力電流を取り出す
こともできる。
【0090】図19(C)には2つの移相回路10の間に位
相反転回路80を配置した構成が、図19(D)には2つの
移相回路30の間に位相反転回路80を配置した構成がそれ
ぞれ示されている。このように、中間に位相反転回路80
を配置した場合には、2つの移相回路間の相互干渉を完
全に防止することができる。
【0091】図20(A)には2つの移相回路10の前段に
位相反転回路80を配置した構成が、図20(B)には2つ
の移相回路30の前段に位相反転回路80を配置した構成が
それぞれ示されている。このように、前段に位相反転回
路80を配置した場合には、前段の移相回路10あるいは30
に対する帰還側インピーダンス素子70aの影響を最小限
に抑えることができる。
【0092】また、上述した各実施例において示した移
相回路10、30には可変抵抗14あるいは34が含まれてい
る。これらの可変抵抗14、34は、具体的には接合型ある
いはMOS型のFETを用いて実現することができる。
【0093】図21は、各実施例において示した2種類
の移相回路内の可変抵抗14あるいは34をFETに置き換
えた場合の移相回路の構成を示す図である。
【0094】同図(A)には、図1等に示した一方の移相
回路10において、可変抵抗14をFETに置き換えた構成
が示されている。同図(B)には、図1等に示した他方の
移相回路30において、可変抵抗34をFETに置き換えた
構成が示されている。
【0095】このように、FETのソース・ドレイン間
に形成されるチャネルを抵抗体として利用して可変抵抗
14あるいは34の代わりに使用すると、ゲート電圧を可変
に制御してこのチャネル抵抗をある範囲で任意に変化さ
せて各移相回路における位相シフト量を変えることがで
きる。したがって、各同調増幅器において一巡する信号
の位相シフト量が0°となる周波数を変えることができ
るため、同調増幅器の同調周波数を任意に変更すること
ができる。
【0096】なお、図21に示した各移相回路は、可変
抵抗を1つのFET、すなわちpチャネルあるいはnチ
ャネルのFETによって構成したが、pチャネルのFE
TとnチャネルのFETとを並列接続して1つの可変抵
抗を構成し、各FETのゲートとサブストレート間に大
きさが等しく極性が異なるゲート電圧を印加するように
してもよい。抵抗値を可変する場合にはこのゲート電圧
の大きさを変えればよい。このように、2つのFETを
組み合わせて可変抵抗を構成することにより、FETの
非線形領域の改善を行うことができるため、同調信号の
歪みを少なくすることができる。
【0097】また、上述した各実施例において示した移
相回路10あるいは30は、インダクタ17、37と直列に接続
された可変抵抗14あるいは34の抵抗値を変化させて位相
シフト量を変化させることにより全体の同調周波数を変
えるようにしたが、インダクタ17、37を可変インダクタ
によって形成し、そのインダクタンスを変化させること
により同調周波数を変えるようにしてもよい。
【0098】図22は、各実施例において示した2種類
の移相回路内のインダクタ17あるいは37を可変インダク
タに置き換えた場合の移相回路の構成を示す図である。
【0099】同図(A)には、図1等に示した一方の移相
回路10において、可変抵抗14を固定抵抗に置き換えると
ともにインダクタ17を可変インダクタ17aに置き換えた
構成が示されている。同図(B)には、図1等に示した他
方の移相回路30において、可変抵抗34を固定抵抗に置き
換えるとともにインダクタ37を可変インダクタ37aに置
き換えた構成が示されている。
【0100】このように、インダクタ17あるいは37を可
変インダクタ17aあるいは37aに置き換えて、それらが
有するインダクタンスをある範囲で任意に変化させて各
移相回路における位相シフト量を変えることができる。
したがって、各同調増幅器において一巡する信号の位相
シフト量が0°となる周波数を変えることができ、同調
周波数を任意に変更することができる。
【0101】ところで、上述した図22(A)、(B)では
可変インダクタ17aあるいは37aのインダクタンスのみ
を可変したが、同時に可変抵抗14あるいは34の抵抗値を
可変するようにしてもよい。図22(C)には、図1等に
示した一方の移相回路10において、可変抵抗14を用いる
とともにインダクタ17を可変インダクタ17aに置き換え
た構成が示されている。同図(D)には、図1等に示した
他方の移相回路30において、可変抵抗34を用いるととも
にインダクタ37を可変インダクタ37aに置き換えた構成
が示されている。
【0102】また、図22(C)、(D)に示した可変抵抗
を図21に示したようにFETのチャネル抵抗を利用し
て形成することができることはいうまでもない。特に、
pチャネルのFETとnチャネルのFETとを並列接続
して1つの可変抵抗を構成し、各FETのベースとサブ
ストレート間に大きさが等しく極性が異なるゲート電圧
を印加した場合には、FETの非線形領域の改善を行う
ことができるため、同調信号の歪みを少なくすることが
できる。
【0103】このように、可変抵抗と可変インダクタを
組み合わせて移相回路を構成した場合であっても、可変
抵抗の抵抗値および可変インダクタのインダクタンスを
ある範囲で任意に変化させて各移相回路における位相シ
フト量を変えることができる。したがって、各同調増幅
器において一巡する信号の位相シフト量が0°となる周
波数を変えることができ、同調周波数を任意に変更する
ことができる。
【0104】また、上述したように可変抵抗や可変イン
ダクタを用いる場合の他、素子定数が異なる複数の抵抗
あるいはインダクタを用意しておいて、スイッチを切り
換えることにより、これら複数の素子の中から1つある
いは複数を選ぶようにしてもよい。この場合にはスイッ
チ切り換えにより接続する素子の個数および接続方法
(直列接続、並列接続あるいはこれらの組み合わせ)に
よって、素子定数を不連続に切り換えることができる。
例えば、可変抵抗の代わりに抵抗値がR、2R、4R、
…といった2のn乗の系列の複数の抵抗を用意しておい
て、1つあるいは任意の複数を選択して直列接続するこ
とにより、等間隔の抵抗値の切り換えをより少ない素子
で容易に実現することができる。このため、同調周波数
が複数ある回路、例えばAMラジオに各実施例の同調増
幅器を適用して、複数の放送局から1局を選局して受信
するような用途に適している。
【0105】図23は、上述した可変インダクタ17aの
具体例を示す図であり、半導体基板上に形成された平面
構造の概略が示されている。なお、同図に示す可変イン
ダクタ17aの構造は、そのまま可変インダクタ37aにも
適用することができる。
【0106】同図に示す可変インダクタ17aは、半導体
基板110上に形成された渦巻き形状のインダクタ導体112
と、その外周を周回するように形成された制御用導体11
4と、これらインダクタ導体112および制御用導体114の
両方を覆うように形成された絶縁性磁性体118とを含ん
で構成されている。
【0107】上述した制御用導体114は、制御用導体114
の両端に可変のバイアス電圧を印加するために可変電圧
電源116が接続され、この可変電圧電源116によって印加
する直流バイアス電圧を可変に制御することにより、制
御用導体114に流れるバイアス電流を変化させることが
できる。
【0108】また、半導体基板110は、例えばn型シリ
コン基板(n−Si基板)やその他の半導体材料(例え
ばゲルマニウムやアモルファスシリコン等の非晶質材
料)が用いられる。また、インダクタ導体112は、アル
ミニウムや金等の金属薄膜あるいはポリシリコン等の半
導体材料を渦巻き形状に形成されている。
【0109】なお、図23に示した半導体基板110に
は、可変インダクタ17aの他に図1等に示した同調増幅
器の他の構成部品が形成されている。
【0110】図24は、図23に示した可変インダクタ
17aのインダクタ導体112および制御用導体114の形状を
さらに詳細に示す図である。
【0111】同図に示すように、内周側に位置するイン
ダクタ導体112は、所定ターン数(例えば約4ターン)
の渦巻き形状に形成されており、その両端には2つの端
子電極122、124が接続されている。同様に、外周側に位
置する制御用導体114は、所定ターン数(例えば約2タ
ーン)の渦巻き形状に形成されており、その両端には2
つの制御電極126、128が接続されている。
【0112】図25は、図24のA−A線拡大断面図で
あり、インダクタ導体112と制御用導体114を含む絶縁性
磁性体118の横断面が示されている。
【0113】同図に示すように、半導体基板110表面に
絶縁性の磁性体膜118aを介してインダクタ導体112およ
び制御用導体114が形成されており、さらにその表面に
絶縁性の磁性体膜118bが被覆形成されている。これら
2つの磁性体膜118a、118bによって図23に示した絶
縁性磁性体118が形成されている。
【0114】例えば、磁性体膜118a、118bとしては、
ガンマ・フェライトやバリウム・フェライト等の各種磁
性体膜を用いることができる。また、これらの磁性体膜
の材質や形成方法については各種のものが考えられ、例
えばFeO等を真空蒸着して磁性体膜を形成する方法
や、その他分子線エピタキシー法(MBE法)、化学気
相成長法(CVD法)、スパッタ法等を用いて磁性体膜
を形成する方法等がある。
【0115】なお、絶縁膜130は、非磁性体材料によっ
て形成されており、インダクタ導体112および制御用導
体114の各周回部分の間を覆っている。このようにして
各周回部分間の磁性体膜118a、118bを排除することに
より、各周回部分間に生じる漏れ磁束を最小限に抑える
ことができるため、インダクタ導体112が発生する磁束
を有効に利用して大きなインダクタンスを有する可変イ
ンダクタ17aを実現することができる。
【0116】このように、図23等に示した可変インダ
クタ17aは、インダクタ導体112と制御用導体114とを覆
うように絶縁性磁性体118(磁性体膜118a、118b)が
形成されており、制御用導体114に流す直流バイアス電
流を可変に制御することにより、上述した絶縁性磁性体
118を磁路とするインダクタ導体112の飽和磁化特性が変
化し、インダクタ導体112が有するインダクタンスが変
化する。
【0117】したがって、インダクタ導体112のインダ
クタンスそのものを直接変化させることができ、しか
も、半導体基板110上に薄膜形成技術や半導体製造技術
を用いて形成することができるため製造が容易となる。
さらに、半導体基板110上には同調増幅器1等の他の構
成部品を形成することも可能であるため、各実施例の同
調増幅器の全体を集積化によって一体形成する場合に適
している。
【0118】なお、図23等に示した可変インダクタ17
aは、図26あるいは図27に示すように、インダクタ
導体112と制御用導体114とを交互に周回させたり、イン
ダクタ導体112と制御用導体114とを重ねて形成するよう
にしてもよい。いずれの場合であっても、制御用導体11
4に流す直流バイアス電流を変化させることにより絶縁
性磁性体118の飽和磁化特性を変えることができ、イン
ダクタ導体112が有するインダクタンスをある範囲で変
化させることができる。
【0119】また、図23等に示した可変インダクタ17
aは、半導体基板110上にインダクタ導体112等を形成す
る場合を例にとり説明したが、セラミックス等の絶縁性
あるいは導電性の各種基板上に形成するようにしてもよ
い。
【0120】また、磁性体膜118a、118bとして絶縁性
材料を用いたが、メタル粉(MP)のような導電性材料
を用いるようにしてもよい。但し、このような導電性の
磁性体膜を上述した絶縁性の磁性体膜118a等に置き換
えて使用すると、インダクタ導体112等の各周回部分が
短絡されてインダクタ導体として機能しなくなるため、
各インダクタ導体と導電性の磁性体膜との間を電気的に
絶縁する必要がある。この絶縁方法としては、インダク
タ導体112等を酸化して絶縁酸化膜を形成する方法や、
化学気相法等によりシリコン酸化膜あるいは窒化膜を形
成する方法等がある。
【0121】特に、メタル粉等の導電性材料は、ガンマ
・フェライト等の絶縁性材料に比べると透磁率が大きい
ため、大きなインダクタンスを確保することができる利
点がある。
【0122】また、図23等に示した可変インダクタ17
aは、インダクタ導体112と制御用導体114の両方の全体
を絶縁性磁性体118で覆うようにしたが、一部のみを覆
って磁路を形成するようにしてもよい。
【0123】図28は、絶縁性磁性体118を部分的に形
成した可変インダクタを示す図である。同図に示すよう
に、絶縁性磁性体118がインダクタ導体112と制御用導体
114の一部を覆うように形成されており、この部分的に
形成された絶縁性磁性体118によって磁路が形成され
る。このように、磁路となる絶縁性磁性体(あるいは導
電性磁性体でもよい)118を部分的に形成した場合に
は、磁路が狭まることによりインダクタ導体112および
制御用導体114によって生じる磁束が飽和しやすくな
る。したがって、制御用導体114に少ないバイアス電流
を流した場合であっても磁束が飽和し、少ないバイアス
電流を可変に制御することによりインダクタ導体112の
インダクタンスを変えることができる。このため、制御
系の構造を簡略化することができる。
【0124】また、図23等に示した可変インダクタ17
aは、インダクタ導体112と制御用導体114とを同心状に
巻回して形成したが、これら各導体を半導体基板110表
面の隣接した位置に形成してそれらの間を絶縁性あるい
は導電性の磁性体によって形成した磁路によって磁気結
合させてもよい。
【0125】図29は、インダクタ導体と制御用導体と
を隣接した位置に並べて形成した場合の可変インダクタ
17bの概略を示す平面図である。
【0126】同図に示す可変インダクタ17bは、半導体
基板110上に形成された渦巻き形状のインダクタ導体112
aと、このインダクタ導体112aと隣接した位置に形成
された渦巻き形状の制御用導体114aと、インダクタ導
体112aと制御用導体114aの各渦巻き中心を覆うように
形成された絶縁性磁性体(あるいは導電性磁性体)119
とを含んで構成されている。
【0127】図23等に示した可変インダクタ17aと同
様に、制御用導体114aにはその両端に可変のバイアス
電圧を印加するために可変電圧電源116が接続されてお
り、この可変電圧電源116によって印加するバイアス電
圧を可変に制御することにより、制御用導体114aに流
れる所定のバイアス電流を変化させることができる。
【0128】図30は、図29に示した可変インダクタ
17bのインダクタ導体112aおよび制御用導体114aの形
状をさらに詳細に示した図である。
【0129】同図に示すように、インダクタ導体112a
は、所定ターン数(例えば約4ターン)の渦巻き形状に
形成されており、その両端には2つの端子電極122、124
が接続されている。同様に、インダクタ導体112aに隣
接して配置された制御用導体114aは、所定ターン数
(例えば約2ターン)の渦巻き形状に形成されており、
その両端には2つの制御電極126、128が接続されてい
る。
【0130】図31は、図30のB−B線拡大断面図で
あり、インダクタ導体112aと制御用導体114aを含む絶
縁性磁性体119の横断面が示されている。
【0131】同図に示すように、半導体基板110表面に
絶縁性の磁性体膜119aおよび絶縁性の非磁性体膜132が
形成されており、その表面にインダクタ導体112aおよ
び制御用導体114aがそれぞれ形成されている。そし
て、これらインダクタ導体112aと制御用導体114aの各
中心部を貫くようにさらに表面に絶縁性の磁性体膜119
bが被覆形成されている。これら2つの磁性体膜119
a、119bによってインダクタ導体112aと制御用導体11
4aの共通の磁路となる環状の磁性体119が形成されてい
る。
【0132】なお、図31に示した絶縁性の非磁性体膜
132は、磁性体膜119aとほぼ同じ膜厚を有しており、さ
らにそれらの表面においてインダクタ導体112aと制御
用導体114aのそれぞれをほぼ同じ高さに形成するため
のものである。したがって、インダクタ導体112aおよ
び制御用導体114aに多少の段差が生じてもよい場合に
は、非磁性体膜132を形成せずに、半導体基板110上に直
接インダクタ導体112aおよび制御用導体114aの一部を
形成するようにしてもよい。
【0133】また、磁性体膜119a表面のインダクタ導
体112aおよび制御用導体114aの各周回部分の間には、
図23等に示した可変インダクタ17aと同様に絶縁膜13
0が形成されている。このように部分的に絶縁膜130を充
填して各周回部分間の磁性体膜119a、119bを排除する
ことにより、各周回部分間に生じる漏れ磁束を最小限に
抑えることができるため、インダクタ導体112aによっ
て発生した磁束は、そのほとんどが磁性体膜119a、119
bを通って制御用導体114aと交差するようになる。し
たがって、漏れ磁束を少なくすることにより、インダク
タ導体112aが発生する磁束を有効に利用して大きなイ
ンダクタンスを得ることができる。
【0134】このように、上述した可変インダクタ17b
は、インダクタ導体112aと制御用導体114aの各渦巻き
中心を通るように環状の絶縁性磁性体119(磁性体膜119
a、119b)が形成されている。したがって、制御用導
体114aに流す直流バイアス電流を可変に制御すするこ
とにより、上述した磁性体119を磁路とするインダクタ
導体112aの飽和磁化特性が変化し、インダクタ導体112
aが有するインダクタンスも変化する。
【0135】また、上述したように各実施例の同調増幅
器1等を半導体基板上に形成した場合には、インダクタ
17あるいは37としてあまり大きなインダクタンスを確保
することができない。したがって、半導体基板上に実際
に形成したインダクタ17等の小さなインダクタンスを回
路を工夫することにより、見かけ上大きくすることがで
きれば時定数Tを大きな値に設定して同調周波数の低周
波数化を図る際に都合がよい。
【0136】図32は、図1等に示した移相回路10、30
に用いたインダクタ17あるいは37を素子単体ではなく回
路によって構成した変形例を示す図であり、実際に半導
体基板上に形成されるインダクタ素子(インダクタ導
体)のインダクタンスを見かけ上大きくみせるインダク
タンス変換回路として機能する。なお、図32に示した
回路全体が移相回路10、30に含まれるインダクタ17ある
いは37に対応している。
【0137】図32に示すインダクタンス変換回路17c
は、所定のインダクタンスL0を有するインダクタ210
と、2つのオペアンプ212、214と、2つの抵抗216、218
とを含んで構成されている。
【0138】1段目のオペアンプ212は、出力端子が反
転入力端子に接続された利得1の非反転増幅器であっ
て、主にインピーダンス変換を行うバッファとして機能
する。同様に、2段目のオペアンプ214も出力端子が反
転入力端子に接続されており、利得1の非反転増幅器と
して機能する。また、これら2つの非反転増幅器の間に
は抵抗216と218による分圧回路が挿入されている。
【0139】このように、間に分圧回路を挿入すること
により、2つの非反転増幅器を含む増幅器全体の利得を
0から1の間で自由に設定することができる。
【0140】図32に示したインダクタンス変換回路17
cにおいて、インダクタ210を除く回路全体の伝達関数
をK4とすると、インダクタンス変換回路17cは図33
に示すシステム図で表すことができる。図34は、これ
をミラーの定理によって変換したシステム図である。
【0141】図33に示したインピーダンスZ0を用い
て図34に示したインピーダンスZ1を表すと、
【数17】 となる。ここで、図32に示したインダクタンス変換回
路17cの場合には、インピーダンスZ0=jωL0であ
り、これを(17)式に代入して、
【数18】
【数19】 となる。この(19)式は、インダクタンス変換回路17cに
おいてインダクタ210が有するインダクタンスL0が見掛
け上は1/(1−K4)倍になったことを示している。
【0142】したがって、利得K4が正であって0から
1の間にある場合には、1/(1−K4)は常に1より
大きくなるため、インダクタンスL0を大きいほうに変
化させることができる。
【0143】ところで、図32に示したインダクタンス
変換回路17cにおける増幅器の利得、すなわちオペアン
プ212と214の全体により構成される増幅器の利得K4
は、抵抗216と218によって構成される分圧回路の分圧比
によって決まり、それぞれの抵抗値をR16、R18とする
と、
【数20】 となる。この利得K4を(19)式に代入して見かけ上のイ
ンダクタンスLを計算すると、
【数21】 となる。したがって、抵抗216と218の抵抗比R18/R16
を大きくすることにより、2つの端子204、206間の見か
け上のインダクタンスLを大きくすることができる。例
えば、R18=R16の場合には、(21)式からインダクタン
スLをL0の2倍にすることができる。
【0144】このように、上述したインダクタンス変換
回路17cは、2つの非反転増幅器の間に挿入された分圧
回路の分圧比を変えることにより、実際に接続されてい
るインダクタ210のインダクタンスL0を見かけ上大きく
することができる。そのため、半導体基板上に図1等に
示した同調増幅器1等の全体を形成するような場合に
は、半導体基板上に小さなインダクタンスL0を有する
インダクタ210をスパイラル状の導体等によって形成し
ておいて、図32に示したインダクタンス変換回路によ
って大きなインダクタンスLに変換することができ、集
積化に際して好都合となる。特に、このようにして大き
なインダクタンスを確保することができれば、図1に示
した同調増幅器1等の同調周波数を比較的低い周波数領
域まで下げることが容易となる。また、集積化を行うこ
とにより、同調増幅器全体の実装面積を小型化して、材
料コスト等の低減も可能となる。
【0145】なお、抵抗216、218による分圧回路の分圧
比を固定した場合の他、これら2つの抵抗216、218の少
なくとも一方を可変抵抗により形成することにより、具
体的には接合型やMOS型のFETあるいはpチャネル
FETとnチャネルFETとを並列に接続して可変抵抗
を形成することにより、この分圧比を連続的に変化させ
てもよい。この場合には、図32に示したオペアンプ21
2、214を含んで構成される増幅器全体の利得が変わり、
端子204、206間のインダクタンスLも連続的に変化す
る。したがって、このインダクタンス変換回路17cを図
22に示した可変インダクタ17aの代わりに使用するこ
とにより、各移相回路における位相シフト量をある範囲
で任意に変化させることができる。このため、同調増幅
器において一巡する信号の位相シフト量が0°となる周
波数を変えることができ、上述した同調増幅器の同調周
波数を任意に変更することができる。
【0146】また、図32に示したインダクタンス変換
回路17cは、2つのオペアンプ212、214を含む増幅器全
体の利得が1以下に設定されているため、全体をエミッ
タホロワ回路あるいはソースホロワ回路に置き換えるよ
うにしてもよい。
【0147】図35は、オペアンプ212、214を含む増幅
器全体をエミッタホロワ回路に置き換えたインダクタン
ス変換回路の構成を示す図である。同図(A)に示すイン
ダクタンス変換回路17dは、エミッタに2つの抵抗22
4、226が接続されたバイポーラトランジスタ228と、こ
の2つの抵抗224、226による分圧点とトランジスタ228
のベースとの間に接続されたインダクタ210と、直流電
流阻止用のキャパシタ230とを含んで構成されている。
インダクタ210の一方端側に挿入されたキャパシタ230
は、周波数特性に影響を与えないようにそのインピーダ
ンスは動作周波数において極めて小さく、すなわち大き
な静電容量に設定されている。
【0148】上述したエミッタホロワ回路の利得は、主
に2つの抵抗224、226の抵抗比に応じて決まり、しかも
その利得は常に1未満であるため、(19)式からわかるよ
うに、実際にインダクタ210が有するインダクタンスL0
を見掛け上大きくすることができる。しかも、1つのエ
ミッタホロワ回路を用いているだけであり、回路構成が
簡略化でき、最高動作周波数も高く設定することができ
る。
【0149】図35(B)はその変形例を示す図であり、
同図(A)の2つの抵抗224、226を可変抵抗232に置き換
えた点が異なっている。このように可変抵抗232を用い
ることにより、利得を任意にしかも連続的に変化させる
ことができるため、見掛け上のインダクタンスLも任意
にしかも連続的に変化させることができ、このインダク
タンス変換回路17eを図22に示した可変インダクタ17
aの代わりに使用することにより、各移相回路における
位相シフト量をある範囲で任意に変化させることができ
る。このため、同調増幅器において一巡する信号の位相
シフト量が0°となる周波数を変えることができ、上述
した同調増幅器の同調周波数を任意に変更することがで
きる。
【0150】なお、図35(B)に示したインダクタンス
変換回路17eは、同図(A)の2つの抵抗224、116を1つ
の可変抵抗232に置き換えているが、これら2つの抵抗2
24、226の少なくとも一方を可変抵抗によって構成する
ようにしてもよい。
【0151】図36は、図35(A)および(B)に示した
インダクタンス変換回路17d、17eのそれぞれをソース
ホロワ回路によって実現したものであり、バイポーラト
ランジスタ228をFET234に置き換えたものである。図
36(A)が図35(A)に、図36(B)が図35(B)にそ
れぞれ対応している。
【0152】図37は、図32に示したインダクタンス
変換回路17cの変形例を示す図であり、直流電流阻止用
のキャパシタ230を使用しないインダクタンス変換回路1
7fの構成が示されている。図37に示すインダクタン
ス変換回路17fは、npn型のバイポーラトランジスタ
236およびそのエミッタに接続された抵抗240と、pnp
型のバイポーラトランジスタ238とそのエミッタに接続
された抵抗242と、インダクタンスL0を有するインダク
タ210とを含んで構成されている。
【0153】上述した一方のトランジスタ236と抵抗240
により第1のエミッタホロワ回路が、他方のトランジス
タ238と抵抗242により第2のエミッタホロワ回路がそれ
ぞれ形成され、それらが縦続接続されている。しかも、
npn型のトランジスタ236とpnp型のトランジスタ2
38を用いているため、インダクタ210の一方端であるト
ランジスタ236のベース電位とトランジスタ238のエミッ
タ電位とをほぼ同じに設定することができ、直流電流阻
止用のキャパシタ230が不要となる。
【0154】なお、この発明は上記実施例に限定される
ものではなく、この発明の要旨の範囲内で種々の変形実
施が可能である。
【0155】例えば、図1等に示した各同調増幅器にお
いては、帰還側インピーダンス素子として抵抗値が固定
の帰還抵抗70を用い、入力側インピーダンス素子として
抵抗値可変の入力抵抗74を用いるようにしたが、反対に
帰還側インピーダンス素子を可変抵抗によって形成する
ようにしてもよい。あるいは、帰還側インピーダンス素
子および入力側インピーダンス素子の両方を抵抗値が固
定の抵抗によって形成するようにしてもよい。
【0156】また、帰還抵抗あるいは入力抵抗のいずれ
か一方を可変抵抗によって形成する場合には、この可変
抵抗を図21に示したようにFETのチャネル抵抗を利
用して形成することができることはいうまでもない。特
に、pチャネルのFETとnチャネルのFETとを並列
接続して1つの可変抵抗を構成し、各FETのベースと
サブストレート間に大きさが等しく極性が異なるゲート
電圧を印加した場合には、FETの非線形領域の改善を
行うことができるため、同調信号の歪みを少なくするこ
とができる。
【0157】また、帰還側インピーダンス素子および入
力側インピーダンス素子をキャパシタとした場合には少
なくとも一方を可変容量ダイオードやゲート容量可変の
FETにより構成して最大減衰量を任意に変更可能に形
成してもよい。
【0158】また、上述した実施例の同調増幅器1等に
は2つの移相回路が含まれているが、同調周波数を可変
する場合には、両方の移相回路に含まれるLR回路を構
成する抵抗とインダクタの少なくとも一方の素子定数を
変える場合の他、一方の移相回路に含まれるLR回路を
構成する抵抗とインダクタの少なくとも一方の素子定数
を変える場合が考えられる。あるいは、図1等に示した
各移相回路内の可変抵抗14、34を抵抗値が固定の抵抗に
置き換えて、同調周波数が固定の同調増幅器を構成する
ようにしてもよい。
【0159】また、上述した図1等においては、接合型
のFET12あるいはFET32を用いて移相回路10等を構
成する場合を図示したが、MOS型のFETにより、あ
るいはバイポーラトランジスタによって移相回路を構成
するようにしてもよい。
【0160】FETをバイポーラトランジスタに置き換
えた移相回路においては、入力信号がベースに入力され
たときにベース・エミッタ間で電流が流れるため、エミ
ッタに現れる電圧(交流電圧)とコレクタに現れる電圧
(交流電圧)とは正確には同じにはならない。但し、電
流増幅度が数十倍から百倍程度である場合には、その差
は1%から数%であり、事実上無視することができる。
あるいは、エミッタ抵抗よりコレクタ抵抗を若干大きく
設定することにより、この差を補正するようにしてもよ
い。
【0161】特に、バイポーラトランジスタを用いて移
相回路を構成した場合には、動作周波数の上限を高くす
ることができ、また、ベース・エミッタ間の電位差がF
ETのゲート・ソース間の電位差よりも小さいため移相
回路に入出力される信号振幅の減衰を少なくすることが
できる。したがって、少なくとも1段目の移相回路10あ
るいは30をバイポーラトランジスタを用いて構成するこ
とが好ましい。但し、2段目の移相回路は高入力インピ
ーダンスにする必要があるため、FETを用いて構成す
ることが好ましい。
【0162】
【発明の効果】以上の各実施例に基づく説明から明らか
なように、同調周波数が高い場合にはこの発明の同調増
幅器を構成する各素子は集積回路の製法によって形成す
ることが可能であるから、同調増幅器を半導体ウエハ上
に集積回路として小型に形成でき、大量生産によって安
価に作ることができる。また、各移相回路内のインダク
タをインダクタンス変換回路を用いて大きいほうに変換
することができ、同調周波数を低周波化することもでき
る。
【0163】特に、各移相回路におけるLR回路の可変
抵抗としてFETのソース・ドレイン間のチャネルを使
用し、このFETのゲートに印加する制御電圧を変化さ
せてチャネルの抵抗を変化させるように構成すると、制
御電圧を印加する配線のインダクタンスや静電容量の影
響を回避することができ、ほぼ設計どおりの理想的な特
性を備えた同調増幅器を得ることができる。
【0164】また、従来のLC共振を利用した同調増幅
器においては、同調周波数ωが1/√LCであるから、
同調周波数を調整するために静電容量Cまたはインダク
タンスLを変化させると、同調周波数はその変化量の平
方根に比例して変化するが、この発明の同調増幅器では
同調周波数ωが例えばR/Lであって、同調周波数は抵
抗値Rに比例して変化させることができるので、同調周
波数の大幅な変更および調整が可能となる。また、イン
ダクタンスLは小さくすることが容易であるため、同調
周波数の高周波化を図ることが容易であり、高い同調周
波数を有する同調増幅器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用した第1実施例の同調増幅器の
構成を示す回路図、
【図2】図1に示した前段の移相回路の構成を抜き出し
て示した図、
【図3】前段の移相回路の入出力電圧とインダクタ等に
現れる電圧との関係を示すベクトル図、
【図4】図2に示した移相回路を等価的に表した図、
【図5】図1に示した後段の移相回路の構成を抜き出し
て示した図、
【図6】後段の移相回路の入出力電圧とインダクタ等に
現れる電圧との関係を示すベクトル図、
【図7】図5に示した移相回路を等価的に表した図、
【図8】2つの移相回路の全体を伝達関数K1を有する
回路に置き換えたシステム図、
【図9】図8に示すシステムをミラーの定理によって変
換したシステム図、
【図10】この実施例の同調増幅器の同調特性を示す
図、
【図11】第1実施例の同調増幅器の変形例を示す図、
【図12】第1実施例の同調増幅器の他の変形例を示す
図、
【図13】第2実施例の同調増幅器の構成を示す回路
図、
【図14】第2実施例の同調増幅器の変形例を示す図、
【図15】第3実施例の同調増幅器の構成を示す回路
図、
【図16】第3実施例の同調増幅器の変形例を示す図、
【図17】移相回路と非反転回路との接続形態を示す
図、
【図18】移相回路と非反転回路との接続形態を示す
図、
【図19】移相回路と位相反転回路との接続形態を示す
図、
【図20】移相回路と位相反転回路との接続形態を示す
図、
【図21】移相回路の可変抵抗をFETに置き換えた移
相回路の構成を示す図、
【図22】移相回路のインダクタを可変インダクタに置
き換えた移相回路の構成を示す図、
【図23】可変インダクタの一例を示す図、
【図24】図23に示した可変インダクタのインダクタ
導体および制御用導体の形状をさらに詳細に示す図、
【図25】図24のA−A線拡大断面図、
【図26】図23に示した可変インダクタの変形例を示
す図、
【図27】図23に示した可変インダクタの変形例を示
す図、
【図28】図23に示した可変インダクタの変形例を示
す図、
【図29】可変インダクタの他の例を示す図、
【図30】図29に示した可変インダクタのインダクタ
導体および制御用導体の形状をさらに詳細に示す図、
【図31】図30のB−B線拡大断面図、
【図32】インダクタが実際に有するインダクタンスを
見かけ上大きくするインダクタンス変換回路の構成を示
す図、
【図33】図32に示した回路を伝達関数を用いて表し
た図、
【図34】図33に示す構成をミラーの定理によって変
換した図、
【図35】図32に含まれる2つのオペアンプを含む増
幅器全体をエミッタホロワ回路に置き換えたインダクタ
ンス変換回路の構成を示す図、
【図36】図35の回路をソースホロワ回路によって実
現した構成を示す図、
【図37】インダクタンス変換回路の変形例を示す図、
【図38】従来の同調増幅器における同調周波数、同調
周波数における利得、最大減衰量の関係の一例を示す特
性曲線図である。
【符号の説明】
1 調増幅器 10、30 移相回路 12、32 界効果トランジスタ(FET) 14、34 変抵抗 17、37 インダクタ 18、20、38、40 抵抗 19、39 キャパシタ 50 非反転回路 70 帰還抵抗 74 入力抵抗 90 入力端子 92 出力端子

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号が一方端に入力される入力側イ
    ンピーダンス素子と、帰還信号が一方端に入力される帰
    還側インピーダンス素子とを含んでおり、前記入力信号
    と前記帰還信号とを加算する加算回路と、 入力された交流信号を同相および逆相の交流信号に変換
    して出力する変換手段と、前記変換手段によって変換さ
    れた一方の交流信号はインダクタを介して他方の交流信
    号は抵抗を介して合成する合成手段とを含む2つの移相
    回路と、 入力される交流信号の位相を変えずに所定の増幅度で増
    幅して出力する非反転回路と、 を備え、前記2つの移相回路および前記非反転回路のそ
    れぞれを縦続接続し、これら縦続接続された複数の回路
    の中の初段の回路に対して前記加算回路によって加算さ
    れた信号を入力するとともに、最終段の回路から出力さ
    れる信号を前記帰還信号として前記帰還側インピーダン
    ス素子の一方端に入力し、これら複数の回路のいずれか
    の出力を同調信号として出力することを特徴とする同調
    増幅器。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記移相回路に含まれる前記変換手段は、ソースおよび
    ドレインのそれぞれにあるいはエミッタおよびコレクタ
    のそれぞれに抵抗値がほぼ等しい抵抗が接続されている
    とともに、ゲートあるいはベースに入力信号が入力され
    るトランジスタによって構成されており、前記トランジ
    スタのソース・ドレイン間あるいはエミッタ・コレクタ
    間に前記合成手段を構成する前記インダクタおよび前記
    抵抗からなる直列回路を接続し、これらの前記インダク
    タおよび前記抵抗の接続の仕方を前記2つの移相回路に
    おいて反対にしたことを特徴とする同調増幅器。
  3. 【請求項3】 入力信号が一方端に入力される入力側イ
    ンピーダンス素子と、帰還信号が一方端に入力される帰
    還側インピーダンス素子とを含んでおり、前記入力信号
    と前記帰還信号とを加算する加算回路と、 入力された交流信号を同相および逆相の交流信号に変換
    して出力する変換手段と、前記変換手段によって変換さ
    れた一方の交流信号をインダクタを介して他方の交流信
    号を抵抗を介して合成する合成手段とを含む2つの移相
    回路と、 入力される交流信号の位相を反転するとともに所定の増
    幅度で増幅して出力する位相反転回路と、 を備え、前記2つの移相回路および前記位相反転回路の
    それぞれを縦続接続し、これら縦続接続された複数の回
    路の中の初段の回路に対して前記加算回路によって加算
    された信号を入力するとともに、最終段の回路から出力
    される信号を前記帰還信号として前記帰還側インピーダ
    ンス素子の一方端に入力し、これら複数の回路のいずれ
    かの出力を同調信号として出力することを特徴とする同
    調増幅器。
  4. 【請求項4】 請求項3において、 前記移相回路に含まれる前記変換手段は、ソースおよび
    ドレインのそれぞれにあるいはエミッタおよびコレクタ
    のそれぞれに抵抗値がほぼ等しい抵抗が接続されている
    とともに、ゲートあるいはベースに入力信号が入力され
    るトランジスタによって構成されており、前記トランジ
    スタのソース・ドレイン間あるいはエミッタ・コレクタ
    間に前記合成手段を構成する前記インダクタおよび前記
    抵抗からなる直列回路を接続し、これらの前記インダク
    タおよび前記抵抗の接続の仕方を前記2つの移相回路に
    おいて同じにしたことを特徴とする同調増幅器。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記入力側インピーダンス素子および前記帰還側インピ
    ーダンス素子のそれぞれは抵抗であることを特徴とする
    同調増幅器。
  6. 【請求項6】 請求項5において、 前記入力側インピーダンス素子および前記帰還側インピ
    ーダンス素子の少なくとも一方を可変抵抗により形成
    し、前記入力側インピーダンス素子および前記帰還側イ
    ンピーダンス素子の抵抗比を変えることにより、最大減
    衰量を変化させることを特徴とする同調増幅器。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記合
    成手段の抵抗を可変抵抗により形成し、この抵抗値を変
    えることにより、同調周波数を変化させることを特徴と
    する同調増幅器。
  8. 【請求項8】 請求項6または7において、 前記可変抵抗をFETのチャネルによって形成し、ゲー
    ト電圧を変えてチャネル抵抗を変えることを特徴とする
    同調増幅器。
  9. 【請求項9】 請求項6または7において、 前記可変抵抗をpチャネル型のFETとnチャネル型の
    FETとを並列接続することにより形成し、極性が異な
    る各FETのゲート電圧の大きさを変えてチャネル抵抗
    を変えることを特徴とする同調増幅器。
  10. 【請求項10】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記合
    成手段のインダクタが有するインダクタンスを変えるこ
    とにより、同調周波数を変化させることを特徴とする同
    調増幅器。
  11. 【請求項11】 請求項10において、 前記合成手段のインダクタは、 基板上にほぼ平面状に渦巻き形状に形成されたインダク
    タ導体と、 前記基板上であって前記インダクタ導体とほぼ同心状に
    形成されており、所定の直流バイアス電流が流される制
    御用導体と、 前記インダクタ導体と前記制御用導体とを覆うように形
    成された磁性体と、 を備え、前記制御用導体に流す直流バイアス電流を変え
    て前記インダクタ導体の両端に現れるインダクタンスを
    変化させること特徴とする同調増幅器。
  12. 【請求項12】 請求項10において、 前記合成手段のインダクタは、 基板上にほぼ平面状に渦巻き形状に形成されたインダク
    タ導体と、 前記基板上であって前記インダクタ導体に隣接する位置
    にほぼ平面状で渦巻き形状に形成されており、所定の直
    流バイアス電流が流される制御用導体と、 前記インダクタ導体と前記制御用導体の各渦巻き中心を
    貫通するように環状に形成された磁性体と、 を備え、前記制御用導体に流す直流バイアス電流を変え
    て前記インダクタ導体の両端に現れるインダクタンスを
    変化させることを特徴とする同調増幅器。
  13. 【請求項13】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記合
    成手段の抵抗として抵抗値が固定の複数の抵抗を有して
    おり、スイッチ切り換えにより選択的に接続することに
    より、同調周波数を変化させることを特徴とする同調増
    幅器。
  14. 【請求項14】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記合
    成手段のインダクタとしてインダクタンスが固定の複数
    のインダクタを有しており、スイッチ切り換えにより選
    択的に接続することにより、同調周波数を変化させるこ
    とを特徴とする同調増幅器。
  15. 【請求項15】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記2つの移相回路の少なくとも一方に含まれる前記合
    成手段のインダクタを、利得を0から1の間に設定した
    増幅器と、前記増幅器の入出力間に並列接続されたイン
    ダクタ素子に置き換えることにより、前記増幅器の入力
    側からみたインダクタンスを実際に前記インダクタ素子
    が有するインダクタンスよりも大きくすることを特徴と
    する同調増幅器。
  16. 【請求項16】 請求項15において、 前記増幅器の利得を可変して前記増幅器の入力側からみ
    たインダクタンスを変えることにより、同調周波数を変
    化させることを特徴とする同調増幅器。
  17. 【請求項17】 入力側インピーダンス素子を介して入
    力された交流信号を同相および逆相の交流信号に変換し
    て出力する変換手段と、変換された前記2つの交流信号
    を第1のインダクタおよび第1の抵抗を介して合成して
    移相する手段とよりなる第1の移相回路と、 前記第1の移相回路で移相された交流信号を同相および
    逆相の交流信号に変換して出力する変換手段と、変換さ
    れた前記2つの交流信号を第2の抵抗および第2のイン
    ダクタを介して合成して、前記第1の移相回路とは反対
    方向に移相する手段とよりなる第2の移相回路と、 前記第2の移相回路の出力を帰還側インピーダンス素子
    を介して前記第1の移相回路の変換手段の入力へ帰還す
    る回路と、 を備えることを特徴とする同調増幅器。
  18. 【請求項18】 入力抵抗を介して入力された交流信号
    を同相および逆相の交流信号に変換して出力する変換手
    段と、変換された前記2つの交流信号を第1のインダク
    タおよび第1の抵抗を介して合成して移相する手段とよ
    りなる第1の移相回路と、 前記第1の移相回路で移相された交流信号を同相および
    逆相の交流信号に変換して出力する変換手段と、変換さ
    れた前記2つの交流信号を第2の抵抗および第2のイン
    ダクタを介して合成して、前記第1の移相回路と同じ方
    向に移相する第2の移相回路と、 前記第2の移相回路の出力の位相を反転して出力する位
    相反転回路と、 前記位相反転回路の出力を帰還抵抗を介して前記第1の
    移相回路の変換手段の入力へ帰還する回路と、 を備えることを特徴とする同調増幅器。
  19. 【請求項19】 請求項17または18において、 前記第1の移相回路の第1の抵抗および/または第2の
    移相回路の第2の抵抗を変化させて同調周波数を変化さ
    せることを特徴とする同調増幅器。
  20. 【請求項20】 請求項17または18において、 前記第1および第2の移相回路の各抵抗をFETのチャ
    ネルで形成することを特徴とする同調増幅器。
  21. 【請求項21】 請求項1〜20において、 半導体集積回路として形成することを特徴とする同調増
    幅器。
JP11765795A 1994-05-10 1995-04-20 同調増幅器 Pending JPH0865101A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11765795A JPH0865101A (ja) 1994-05-10 1995-04-20 同調増幅器

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11971494 1994-05-10
JP15310194 1994-06-13
JP6-119714 1994-09-27
JP6-153101 1994-09-27
JP11765795A JPH0865101A (ja) 1994-05-10 1995-04-20 同調増幅器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0865101A true JPH0865101A (ja) 1996-03-08

Family

ID=27313428

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11765795A Pending JPH0865101A (ja) 1994-05-10 1995-04-20 同調増幅器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0865101A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0803981B1 (en) Tuning circuit
JP3636774B2 (ja) 同調増幅器
EP0803980B1 (en) Tuning circuit
JP3606948B2 (ja) 同調増幅器
JPH0865101A (ja) 同調増幅器
JPH0936659A (ja) 発振器
JPH0865102A (ja) 同調増幅器
JP3628388B2 (ja) 同調増幅器
JPH0865044A (ja) 発振器
JP3628389B2 (ja) 同調増幅器
JPH08265057A (ja) 同調増幅器
JPH0865046A (ja) 発振器
JPH0865045A (ja) 発振器
WO1996004712A1 (fr) Amplificateur d'accord
JPH08195649A (ja) 同調増幅器
JPH08154016A (ja) 発振器
JP3625526B2 (ja) 同調増幅器
JPH08265058A (ja) 同調増幅器
JPH08195624A (ja) 発振器
JPH0974319A (ja) 受信機
JPH08195625A (ja) 発振器
JPH0936658A (ja) 発振器
JP3515270B2 (ja) 同調回路
JPH0865100A (ja) 同調増幅器
JP3628402B2 (ja) 同調増幅器