JPH08151442A - ポリアミド樹脂およびその組成物 - Google Patents

ポリアミド樹脂およびその組成物

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JPH08151442A
JPH08151442A JP6294981A JP29498194A JPH08151442A JP H08151442 A JPH08151442 A JP H08151442A JP 6294981 A JP6294981 A JP 6294981A JP 29498194 A JP29498194 A JP 29498194A JP H08151442 A JPH08151442 A JP H08151442A
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JP
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polyamide resin
acid
resin
meq
polymerization
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JP6294981A
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Masahiko Fukushima
政彦 福島
Yoshimitsu Sakaguchi
佳充 坂口
Masaru Nanhei
勝 南平
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】再溶融時におけるモノマーやオリゴーの再生成
量が少なく、成形装置の口金汚染が低減でき、かつ、再
溶融時に樹脂の重合度変化の水分率依存性が小さく、安
定した成形性を有するポリアミド樹脂を得ること。 【構成】主としてカプラミド繰り返し単位とし、末端基
が (a) −NHCO−R−COOH (b) −CONH−(CH2 5 −COOH (c) −NHCO−(CH2 5 −NH2 (Rは炭素数30以下からなる炭化水素基)から構成さ
れていることを特徴とするポリアミド樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、再溶融時におけるモノ
マーやオリゴーの再生成量が少なく、成形装置の口金汚
染が低減でき、かつ、再溶融時に樹脂の重合度変化の水
分率依存性が小さく、安定した成形性を有するポリアミ
ド樹脂に関し、繊維やエンジニアリングプラスチック、
フィルム等に広く利用できるものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂は機械的、化学的、熱的
特性に優れ、かつ高ガスバリヤー性を有するため、繊維
やエンジニアリングプラスチック、フィルム等として工
業用途に広く使用されている。一般に、ポリアミド樹脂
は重合直後には未反応のモノマーやオリゴマーを約10
%程度含んでいるが、熱水等でそれらを抽出除去して製
品樹脂を得ている。しかし、ポリアミド樹脂を成形加工
する際、溶融押出し機等で再溶融すると、モノマーやオ
リゴマーが再生成した後に気化するなどして、成形装置
の口金を汚染したり、製品中に残存してその品質が低下
する原因となっている。また、ポリアミド樹脂は、含有
水分率を厳密にコントロールしないと、成形中の重合度
が変化する傾向が大きくなり、成形工程での樹脂重合度
の安定性が損なわれ、安定した成形性が得られなくなる
という問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ポリアミド樹脂の溶融
時におけるモノマーとオリゴマーの再生成を抑えること
ができれば、樹脂を成形加工する際に成形装置の口金や
製品の汚染が抑制でき、生産性や製品品質が向上する。
また、これまでポリアミド樹脂の含有水分率は成形中の
樹脂の重合度変化に対する寄与率が非常に高かったの
で、その依存性を低減することができれば、成形工程で
の樹脂重合度が安定し、安定した成形性が得られること
が予測されるため、両課題の両立が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は再溶融時の
モノマーとオリゴマーの再生成量が少なく、成形装置の
口金汚染が低減でき、かつ、再溶融時に樹脂重合度変化
の水分率依存性が小さく、安定した成形性を有するポリ
アミド樹脂について鋭意研究した結果、末端基が特定の
官能基や炭化水素類からなるポリアミド樹脂がこれらの
課題を解決することを知見し、本発明を完成するに到っ
た。
【0005】即ち本発明は、主としてカプラミド繰り返
し単位とし、末端基が (a) −NHCO−R−COOH (b) −CONH−(CH2 5 −COOH (c) −NHCO−(CH2 5 −NH2 (Rは炭素数30以下からなる炭化水素基)から構成さ
れていることを特徴とするポリアミド樹脂であり、さら
に末端アミノ基(c)の濃度X(meq/kg)と、末
端カルボキシル基(a)及び(b)の合計濃度Y(me
q/kg)の積が、下記式を満足し、かつ相対粘度が
2.0〜3.4である前記ポリアミド樹脂である。 300≦Y×Y≦1500(meq/kg)2
【0006】以下、本発明のポリアミド樹脂をさらに詳
細に説明する。本発明のポリアミド樹脂は炭素数30以
下のジカルボン酸類の存在下で、ε−カプロラクタムを
重合させることによって得ることができる。かかる炭素
数30以下のジカルボン酸類としては、マロン酸、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、
ドデカンジオン酸、トリデカジオン酸、テトラデカジオ
ン酸、ヘキサデカジオン酸、オクタデカジオン酸、オク
ダデセンジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコセンジ
オン酸、ドコサンジオン酸、2,2,4−トリメチルア
ジピン酸、のような脂肪族ジカルボン酸、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸、
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、キシリレンジ
カルボン酸のような芳香族ジカルボン酸などが挙げられ
る。
【0007】本発明のポリアミド樹脂を製造するには、
ジカルボン酸類の存在下で、ε−カプロラクタムを常法
にしたがって重合させればよい。その際、前記のジカル
ボン類は、重合反応開始前から減圧反応を始めるまでの
任意の段階で添加することができる。
【0008】ジカルボン酸類の添加量はε−カプロラク
タムに対して、10〜120meq/kg、好ましくは
15〜110meq/kg、さらに好ましくは20〜1
00meq/kgである。これらの添加量が少ないと本
発明の効果を有するポリアミド樹脂を製造することがで
きず、逆にこの量が多すぎると重合度が低くなり、製品
の物性に悪影響を及ぼすようになる。
【0009】重合反応はε−カプロラクタムに水や6−
アミノヘキサン酸などの重合開始剤を加えて加熱して初
期重合を行い、生成した初期重合物を減圧してさらに重
合度を上げることによって得られる。この減圧反応の圧
力は1〜400torrで行うのがよく、好ましくは5
〜300torr、さらに好ましくは10〜250to
rrで行うのがよい。減圧反応の圧力が高いと充分な重
合度の樹脂が得られず、低すぎるとポリアミド樹脂がゲ
ル化する恐れがあるので好ましくない。
【0010】上記の方法によって得られたポリアミド樹
脂の末端アミノ基(c)の濃度X(meq/kg)と、
カルボキシル基の濃度(a)及び(b)の合計濃度Y
(meq/kg)の積は、300≦X×Y≦1500
(meq/kg)2 であり、好ましくは350≦X×Y
≦1450(meq/kg)2 、さらに好ましくは40
0≦X×Y≦1400(meq/kg)2 である。この
濃度積の値が上記範囲より小さいと本発明の効果はさら
に大きくなるが、経済的に製造するのが困難になり、逆
に大きいと効果が小さくなるので好ましくない。
【0011】上記ポリアミド樹脂の末端アミノ基は樹脂
をフェノール/エタノール(容積比4/1)溶液に溶解
し、0.02N塩酸を所定量加えたのち、0.02Nの
水酸化ナトリウム水溶液で逆滴定して測定することがで
きる。また、末端カルボキシル基はポリアミド樹脂を1
80℃のベンジルアルコールに溶解し、指示薬を加えて
0.02Nの水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定し
て測定することができる。なお末端−NHCO−R−C
OOH基は、 1H NMRスペクトルより確認すること
ができる。
【0012】本発明のポリアミド樹脂の相対粘度は20
℃でJIS K 6810(96%硫酸・樹脂濃度1
%)に従って測定した値であり、2.0〜3.4、好ま
しくは2.1〜3.3、さらに好ましくは2.2〜3.
2である。相対粘度がこの範囲より高すぎると、成形品
の機械的強度は大きくなるが溶融流動特性を損なうよう
になり、逆に低すぎる機械的強度が低くなるので好まし
くない。
【0013】また、本発明のポリアミド樹脂はその目的
を損なわない範囲で種々の添加剤を必要に応じて含有さ
せることができる。かかる添加剤としては、ヒンダード
フェノール、リン酸エステル、亜リン酸エステルなどの
酸化防止剤、トリアジンなどの耐候安定剤、帯電防止
剤、着色剤、可塑剤、有機滑剤、無機滑剤、難燃剤、導
電性付与剤、繊維状強化剤等が挙げられる。本発明では
ポリアミド樹脂をフィルムに成形する際、フィルムのス
リップ性を改良する目的でポリアミド樹脂組成物100
重量%に対して無機微粒子0.01〜1重量%を添加す
ることができ、具体的にはカオリン、シリカ(二酸化ケ
イ素)、ゼオライト、タルク、アルミナ(酸化アルミニ
ウム)などを挙げることができる。
【0014】更に、本発明のポリアミド樹脂は物性や成
形性に悪影響を及ぼさない範囲で他の樹脂類をブレンド
することもできる。例えば本発明のポリアミド樹脂のフ
ィルム物性(ガスバリア性等)を改良する目的で、上記
ポリアミド樹脂100重量部に対して1〜20、好まし
くは1〜15、さらに好ましくは1〜10重量部の他の
ポリアミド樹脂を配合することができる。かかる他のポ
リアミド樹脂として具体的には、ポリドデカノアミド
(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナ
イロン6,6)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイ
ロン6,9)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロ
ン6,10)、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナ
イロン6,12)、ポリキシリレンアジパミド(MXD
6)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ナイロン
6,T)、ポリフェニレンフタラミドなどが挙げられる
が、特にガスバリア性の改良にはMXD6、ナイロン
6,Tなどの芳香族系ポリアミド樹脂が好ましい。本発
明のポリアミド樹脂は繊維やエンジニアリングプラスチ
ック、フィルム等の分野で広く利用することができる。
【0015】
【実施例】本発明を以下の実施例によって具体的に説明
するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施
例に限定されるものてはない。なお、実施例中のモノマ
ーやオリゴマーの再生成量の測定その他の特性の評価方
法は以下の通りである。
【0016】モノマーやオリゴマーの再生成量の測定方
:後述の重合によって得られた樹脂を熱水抽出して、
モノマーやオリゴマーを除去した後真空乾燥して、26
0℃に熱したヒートプレス機で厚さ約1mmのシートに
成形し、メタノールを溶媒としてさらにソックスレー連
続抽出器でモノマーやオリゴマーを除去してから真空乾
燥した。次にこのシートを約280℃で15分間再溶融
し、再生成したモノマーやオリゴマーをソックスレー連
続抽出器で抽出し、Waters製の液体クロマトグラ
フィーを用いてそれらの定量を行った。 なお、オリゴ
マーは代表として環状2量体を選択した。
【0017】成形装置口金汚れ:樹脂の溶融押し出し時
における口金汚れが発生しなかった場合は「○」、口金
汚れが発生した場合は「×」で示した。成形安定性 :樹脂の溶融押し出し時に樹脂含有水分率が
変化した時の重合度変化の度合いが大きかった場合は
「×」、重合度が変化しなかった場合は「○」で示し
た。
【0018】実施例1〜5、比較例1〜3 2リットルのオートクレーブにε−カプロラクタムを7
00g、水を14g、表1に示す種類と量のジカルボン
酸やモノカルボン酸をそれぞれ投入し、窒素置換の後密
閉して260℃まで撹拌しながら昇温し、加圧下で1.
5時間初期重合を行った。次に、缶内圧力を大気圧まで
戻してそのまま2.5時間常圧反応を行い、表1に示す
圧力まで減圧して2時間反応を行った。反応終了後撹拌
を止めて脱泡してから窒素で復圧し、得られたポリアミ
ド樹脂をストランドカットした後に熱水抽出してモノマ
ーやオリゴマーを除去して真空乾燥した。表1に実施例
1〜5と比較例1〜3の各々の測定結果を示す。
【0019】
【表1】
【0020】表1から明らかなとおり、本発明のポリア
ミド樹脂(実施例1〜5)は再溶融時のモノマーやオリ
ゴマーの再生減量が少なく、成形装置の口金汚染が低減
でき、かつ安定した成形性を有しているのに対して、比
較例のポリアミド樹脂はモノマー等の再生成量が多く、
それに伴って成形装置の口金汚れや成形安定性に問題が
あることが判る。
【0021】実施例6 実施例4のポリアミド樹脂100重量部に対して、島津
製作所(株)製 遠心沈降式粒度分布計 SA−CP4
を用いて平均粒径を測定した値が1.0〜3.5ミクロ
ンであるシリカ微粒子を0.5重量部配合した。実施例
4と本例の樹脂の相対粘度、末端アミノ基、末端カルボ
キシル基濃度は等しく、シリカ微粒子の配合によるモノ
マーと環状2量体再生成量、成形装置口金汚れの程度、
成形安定性等への効果に悪影響はなかった。また、ポリ
アミド樹脂をフィルムに成型した場合のフィルムのスリ
ップ性は良好であった。
【0022】実施例7、8 表2に示すポリマー組成で実施例4で得られたポリアミ
ド樹脂(A成分)に対して、ポリメタキシリレンアジパ
ミド(B成分:Tm=240℃、相対粘度2.23)を
加え、250℃の温度に加熱してTダイより押し出し、
温度82℃に保持した冷却ロールで固化させ未延伸フィ
ルムを作成し、この未延伸フィルムを縦3.8倍、横
4.0倍に二軸延伸し、190℃で30秒間緊張熱固定
してフィルムを得た。なお、フィルムの酸素透過係数は
理化精機工業(株)製二連式ガス透過率測定器を用い、
ASTM−D1434−58に準じた方法で30℃で測
定した(単位:cc・cm/cm2 ・秒・cmHg)。
ポリマー組成と酸素透過係数の測定結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】表2から明らかなとおり、本発明ポリアミ
ド樹脂に酸素透過率の低いポリメタキシリレンアジパミ
ドを一定量配合するこにより、本発明の目的を損なわず
に低酸素透過性フィルムを得ることができることが判
る。
【0025】
【発明の効果】以上かかる構成よりなる本発明ポリアミ
ド樹脂は、ジカルボン酸類の存在下でε−カプロラクタ
ムを重合し、活性なアミノ基とカルボキシル基の濃度積
を小さくしているため、再溶融時のモノマーやオリゴマ
ーの再生成量が少なく、成形装置の口金汚染が低減で
き、かつ、再溶融時に樹脂重合度変化の水分率依存性が
小さく、安定した成形性を有する。また、本発明のポリ
アミド樹脂に無機微粒子や他のポリアミド樹脂を配合す
ることにより、上記効果を損なわずにさらに他の特性を
付与または強化することができる等、産業界に寄与する
こと大である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主としてカプラミド繰り返し単位とし、末
    端基が (a) −NHCO−R−COOH (b) −CONH−(CH2 5−COOH (c) −NHCO−(CH2 5 −NH2 (Rは炭素数30以下からなる炭化水素基)から構成さ
    れていることを特徴とするポリアミド樹脂。
  2. 【請求項2】末端アミノ基(c)の濃度X(meq/k
    g)と、末端カルボキシル基(a)及び(b)の合計濃
    度Y(meq/kg)の積が、下記式を満足し、かつ相
    対粘度が2.0〜3.4である請求項1記載のポリアミ
    ド樹脂。 300≦Y×Y≦1500(meq/kg)2
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載のポリアミド樹脂10
    0重量部に対して、無機微粒子を0.01〜1重量部配
    合したポリアミド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】請求項1又は2記載のポリアミド樹脂組成
    物100重量部に対して、他のポリアミド樹脂を1〜2
    0重量部配合したポリアミド樹脂組成物。
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Cited By (4)

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