JP2005187665A - ポリアミドおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、主としてカプロアミドを繰り返し単位とするポリアミドおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、溶融成形時に再生するモノマーやオリゴマーの量が少なく、成形装置の口金汚染が低減でき、かつ、再溶融時における樹脂の重合度変化の水分依存性が小さく、安定した成形性を有するポリアミドおよびその製造方法に関する。
【解決手段】
主としてカプロアミドを繰り返し単位とし、アミノ末端基ジカルボン酸無水物により末端封鎖されたポリアミド。主としてカプロアミドを含む樹脂原料を初期重合する工程、および該初期重合物を、アミノ末端基濃度Aとカルボキシル末端基濃度C(eq/ton)の積が10000以下となるまで溶融重合した時点で、溶融状態のポリマーにジカルボン酸無水物を添加する工程を包含する、上記ポリアミドの製造方法。
【選択図】 なし
本発明は、主としてカプロアミドを繰り返し単位とするポリアミドおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、溶融成形時に再生するモノマーやオリゴマーの量が少なく、成形装置の口金汚染が低減でき、かつ、再溶融時における樹脂の重合度変化の水分依存性が小さく、安定した成形性を有するポリアミドおよびその製造方法に関する。
【解決手段】
主としてカプロアミドを繰り返し単位とし、アミノ末端基ジカルボン酸無水物により末端封鎖されたポリアミド。主としてカプロアミドを含む樹脂原料を初期重合する工程、および該初期重合物を、アミノ末端基濃度Aとカルボキシル末端基濃度C(eq/ton)の積が10000以下となるまで溶融重合した時点で、溶融状態のポリマーにジカルボン酸無水物を添加する工程を包含する、上記ポリアミドの製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、主としてカプロアミドを繰り返し単位とするポリアミドおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、溶融成形時に再生するモノマーやオリゴマーの量が少なく、成形装置の口金汚染が低減でき、かつ、再溶融時における樹脂の重合度変化の水分依存性が小さく、安定した成形性を有するポリアミドおよびその製造方法に関する。
ポリアミドは、機械的、化学的、熱的特性に優れ、かつ高ガスバリアー性を有するため、繊維やエンジニアリングプラスチック、フィルム等として広く使用されている。一般に、ポリアミドは未反応のモノマーやオリゴマーが重合直後で約10質量%含有されており、熱水等でそれらの低分子量物を抽出除去している。しかしながら、ポリアミドを成形加工する際、溶融押出し機等でポリアミドを再溶融すると、モノマーやオリゴマーが再生成する。その結果、前記の低分子量物が熱により気化して、成形装置の口金を汚染するという問題や、成形品中に前記の低分子量物が残存して、ポリアミドの品質が低下するという問題があった。
特に、主にカプロアミドを繰り返し単位とするポリアミドは、ジカルボン酸とジアミンから構成されるポリアミドよりも、モノマーであるカプロラクタムが比較的生成し易いという特性を有する。
また、ポリアミドは、水分の含有量を厳密にコントロールしないと、末端基の存在に起因して成形中の重合度が大きく変化する傾向がある。そのため、成形工程での樹脂重合度の安定性が損なわれ、安定した成形性が得られなくなるという問題もあった。
一般に、ポリアミドの末端基濃度が高いと、再溶融時のモノマーやオリゴマーの再生量が多くなる傾向がある。そのため、ポリアミドのカルボキシル末端やアミノ末端と反応する化合物を添加することにより、上記問題を低減せしめたポリアミドが開発されている。具体的には、モノアミンまたはモノカルボン酸の存在下で重合または共重合させて得られるポリアミドが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
再生モノマー、オリゴマー量を低減させるという点では、前記特許文献1に開示された方法は有効である。しかしながら、相対粘度の低下が著しく、必要な物性を確保できないといった欠点がある。また、モノアミンまたはモノカルボン酸を調合時に添加する特許文献1の方法は、反応速度が遅くなるという問題がある。この問題を解決する方法として、得られたポリアミドに、前記のモノアミンまたはモノカルボン酸を溶融混合させる方法を用いると、モノアミンやモノカルボン酸は比較的沸点が低いため、高温の溶融ポリマーへ添加した際に蒸発し、再生モノマーやオリゴマー量の低減効果がなくなる。
また、特許文献2において、有機グリシジルエステルをポリアミドのカルボキシル基、アミノ基と反応させる方法が開示されている。
しかしながら、この方法では、有機グリシジルエステルとポリアミドチップとをドライブレンドし、次いで押出機内で溶融混練する際に、有機グリシジルエステルがポリアミドの末端基と反応するため、成形前のドライブレンドの工程が余計に必要となる。また、ドライブレンドは調合時の添加や溶融ポリマーへの添加に比べ、均一に混合させることが難しく、組成変動の原因となる。したがって、均一な末端基濃度のポリアミドを得ることは困難である。
特開平4−28727号公報
特開平10−219104号公報
本発明の目的は、溶融時におけるポリアミドのモノマーとオリゴマーの再生成を抑制することにより、樹脂の成型加工の際に成形装置の口金や製品の汚染を抑制し、生産性や品質向上を改善することにある。また、末端基濃度を低減させることにより、成形中のポリアミドの重合度変化の水分含有率依存性が低減され、成形工程での樹脂重合度が安定し、安定した成形性が得られることが予測される。
また溶融重合時の反応速度低下による生産性低下をきたすことなく、均一に末端封鎖されたポリアミドの製造方法を提供せんとするものである。
本発明者等は溶融時におけるポリアミドのモノマーとオリゴマーの再生成を抑制することにより、樹脂の成型加工の際に成形装置の口金や製品の汚染を抑制し、生産性や品質向上に寄与するポリアミドについて鋭意検討した結果、末端基が特定の官能基で封鎖されたポリアミド樹脂がこれらの課題を解決することを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、主としてカプロアミドを繰り返し単位とし、アミノ末端基の一部または全部をジカルボン酸無水物により末端封鎖されたポリアミドに関する。
好ましい実施態様において、本発明のポリアミドは、アミノ末端基濃度A(eq/ton)が、10〜40であり得る。
別の好ましい実施態様において、本発明のポリアミドは、アミノ末端基濃度[A](eq/ton)およびカルボキシル末端基濃度[C](eq/ton)が式(1)および式(2):
300 <([A]×[C])< 1500・・・(1)
20 <([C]−[A])< 100 ・・・(2)
を満足し得る。
300 <([A]×[C])< 1500・・・(1)
20 <([C]−[A])< 100 ・・・(2)
を満足し得る。
また、本発明の一局面において、主としてε−カプロラクタムを含む樹脂原料を初期重合する工程、および該初期重合物を、アミノ末端基濃度[A](eq/ton)とカルボキシル末端基濃度[C](eq/ton)の積が10000以下となるまで溶融重合した溶融状態のポリマーにジカルボン酸無水物を添加する工程を包含する方法により、上記を満足するポリアミドを得ることができる。
好ましい実施態様において、ジカルボン酸無水物を添加した後、エレメント数が3以上20未満のスタティックミキサーを用いて混合し得る。
さらに好ましい実施態様において、ジカルボン酸無水物を添加した後、ポリマー生成物を溶融状態で50〜1000秒間缶内に滞留させ得る。
以上のように本発明のポリアミドは、ジカルボン酸無水物を添加することにより、活性な末端基の濃度を小さくしているため、再溶融時のモノマーやオリゴマーの再生成量が少なく、成形装置の口金汚染が低減でき、かつ、再溶融時における樹脂重合度変化の水分率依存性が小さく、安定した成形性を有する。
また本発明のポリアミドを製造するに際し、重合度を高めた溶融状態のポリマーにジカルボン酸無水物を添加することにより、重合反応速度を損ねることなく、効率的に上記ポリアミドを得ることができる。
そのため、本発明のポリアミドは、繊維やエンジニアリングプラスチック、フィルム等に広く利用可能である。
以下、本発明のポリアミドおよびその製造方法をさらに詳細に説明する。
本発明のポリアミド樹脂は、重合が実質的に完了した溶融状態のポリマーにジカルボン酸無水物を添加することによって得ることができる。かかるジカルボン酸類無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水酢酸、無水酪酸、無水イソ酪酸のような飽和または不飽和の脂肪族酸無水物、ならびに無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水フタル酸のような芳香族酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸のような飽和または不飽和の脂環式酸無水物などを挙げることができる。
ジカルボン酸無水物の添加量は、製造しようとするポリアミドに対して、下限において好ましくは5eq/ton以上、より好ましくは10eq/ton以上、さらに好ましくは15eq/ton以上、なおさらに好ましくは30eq/ton以上であり、上限において好ましくは120eq/ton以下、より好ましくは110eq/ton以下、さらに好ましくは100eq/ton以下、なおさらに好ましくは80eq/ton以下、いっそう好ましくは60eq/ton以下、特に好ましくは45eq/ton以下である。これらの添加量が少ないと、ポリアミドの末端基濃度が十分に低減されない可能性があり、再生モノマー、オリゴマー量を低減させにくくなる。逆に酸無水物の量が多すぎると重合度が低くなりやすく、相対粘度が低下するなど、製品の物性に悪影響を及ぼしやすい他、ポリアミドの着色を生じやすい。
本発明のポリアミドは、主としてε−カプロラクタムを含む樹脂原料に水や6−アミノヘキサン酸などの重合開始剤を加えて加熱して初期重合を行い、生成した初期重合物を減圧してさらに重合度を上げることによって得られる。または、常圧下で加熱して必要重合度まで上げても得られる。前記溶融重合の工程は回分式であっても連続式であってもどちらでも良い。
本発明のポリアミド中のアミノ末端基濃度[A](eq/ton)の下限は、好ましくは10以上、より好ましくは12以上、さらに好ましくは15以上、特に好ましくは18以上である。アミノ末端基濃度を過度に小さくしようとすると、酸無水物の添加量が多くなりやすく、末端封鎖の効果がさらに大きくなる可能性はあるが、大過剰の酸無水物を使用した場合は、コスト高になって経済的に製造が困難になるだけでなく、未反応状態の酸無水物がポリアミド中に残留しやすく、ポリアミドの物性に所望でない影響を与え得る。本発明のポリアミド中のアミノ末端基濃度[A](eq/ton)の上限は、好ましくは40以下、より好ましくは37以下、さらに好ましくは33以下、いっそう好ましくは28以下、特に好ましくは25以下である。アミノ末端基濃度が大きすぎると、再溶融時のモノマーまたはオリゴマーの再生量が多くなる傾向がある。
本発明のポリアミド中のカルボキシ末端基濃度[C](eq/ton)の上限は、好ましくは95以下、より好ましくは70以下、なおより好ましくは60以下、さらに好ましくは55以下である。カルボキシ末端基濃度が高すぎると、ポリマーは、製品として必要な機械物性を満足するだけの重合度に到達することが困難となりやすい。本発明のポリアミド中のカルボキシ末端基濃度[C](eq/ton)の下限は、好ましくは30以上、より好ましくは35以上、なおより好ましくは40以上、さらに好ましくは45以上、特に好ましくは48以上である。このカルボキシ末端基濃度が低すぎると、重合度が高くなりすぎやすく、溶融流動特性を損ないやすい。
一実施態様において、好ましいポリアミドはまた、アミノ末端基濃度[A](eq/ton)およびカルボキシル末端基濃度[C](eq/ton)の積によって特定され得る。この濃度積の下限は、好ましくは350以上、さらに好ましくは400以上、なおさらに好ましくは500以上、いっそう好ましくは600以上である。また、[A]×[C]の上限は、好ましくは1450以下、より好ましくは1300以下、さらに好ましくは1200以下、なおさらに好ましくは1000以下である。この濃度積の値を過度に小さくしようとすると、酸無水物の添加量が増加しやすく、経済的に製造するのが困難になり、かつ過剰の未反応の酸無水物がポリアミド中に残留して、製品の物性に悪影響を与える可能性がある。逆に濃度積が大きすぎると再生モノマーまたはオリゴマーが増加しやすい。
また、一実施態様において、本発明のポリアミドは、[C]と[A]との差、[C]−[A]により特定され得、その下限は、好ましくは22以上であり、さらに好ましくは25以上であり、なおさらに好ましくは27以上である。[C]−[A]の上限は、好ましくは90以下、より好ましくは80以下、さらに好ましくは60以下、なおさらに好ましくは50以下、特に好ましくは40以下である。この差が小さ過ぎる場合は末端封鎖反応が充分に行われていない可能性があり、本発明の効果が小さくなりやすい。また逆に差が大き過ぎる場合は、やはり経済的に製造するのが困難になる他、重合度が低くなりやすく、製品の物性に悪影響を及ぼしやすい。また後工程で他の樹脂と接着する場合、樹脂の種類によっては相溶性が悪化して接着強度が充分に得られない場合がある。
本発明によれば、従来の末端封鎖したポリアミドよりも、比較的高い相対粘度を有するポリアミドが得られ得る。
ポリアミドの相対粘度は、下限において、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.1以上、さらに好ましくは2.2以上、なおさらに好ましくは2.5以上、いっそう好ましくは2.8以上、よりいっそう好ましくは2.85以上である。相対粘度の上限は、好ましくは3.4以下、より好ましくは3.3以下、さらに好ましくは3.2以下、なおさらに好ましくは3.1以下、いっそう好ましくは3.0以下、よりいっそう好ましくは2.9以下である。相対粘度が高すぎると、溶融流動特性を損ないやすく、逆に低すぎると機械的強度が低くなりやすいので好ましくない。
重合が実質的に完了したポリマーにジカルボン酸無水物を添加する場合、アミノ末端基濃度[A](eq/ton)とカルボキシル末端基濃度[C](eq/ton)の積が10000以下となるまで溶融重合した後、溶融状態のポリマーに添加する。ジカルボン酸無水物を添加した後は重合反応速度が低下するため、末端基濃度の積が高すぎるポリマーにジカルボン酸無水物を添加すると、ポリマーは、製品として必要な機械物性を満足するだけの重合度に到達することが困難となりやすい。
ジカルボン酸無水物は、溶融重合の実質的に完了したポリマーが冷却固化される前に添加しても良いし、一度冷却固化した後再溶融したポリマーに添加しても良い。いずれを選択するかは、前後の工程条件によって任意に選ぶことができる。
ジカルボン酸無水物とポリマーとの混合には、攪拌翼を備えた縦型反応槽、スタティックミキサー、ダイナミックミキサー、2軸押出機等の混練機が使用可能であるが、構成の簡素さから、スタティックミキサー方式が望ましい。スタティックミキサーの好ましいエレメント数は3以上20未満である。エレメント数が小さすぎる場合、混合不良となり製品物性のバラツキが大きくなり、逆にエレメント数を過度に大きくしても、混合性の点から得られる効果よりも設備の煩雑さから生じる不利益の方が勝るようになりやすい。好ましいエレメント数は下限において4以上、さらに好ましくは5以上であり、上限において好ましくは15未満、さらに好ましくは12未満、なおさらに好ましくは10以下である。
好ましい実施態様において、ジカルボン酸無水物を添加された溶融状態のポリマーは、50〜1000秒の間溶融状態で滞留される。滞留時間が短すぎると末端封鎖反応が不十分になりやすく、逆に過剰に長く滞留させても、末端封鎖反応速度が小さくなって実質的な反応の進行が停滞し得、時間の浪費になり得る。好ましい滞留時間は下限において60秒以上、さらに好ましくは100秒以上、なおさらに好ましくは150秒以上、いっそう好ましくは200秒以上であり、上限において好ましくは800秒以下、さらに好ましくは600秒以下、なおさらに好ましくは500秒以下である。
ジカルボン酸無水物を添加した後工程に、必要に応じて脱気工程を設けても良い。脱気工程には通常ポリマーの融点以上で温度調節の可能な横型反応槽が用いられる。
本発明のポリアミドは、繰り返し単位として、主にカプロアミドを含み、好ましくは繰り返し単位の80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上がカプロアミドから構成される。
本発明のポリアミドの製造に使用する樹脂原料は、ポリアミドの物性や成形性に悪影響を及ぼさない範囲でカプロラクタム以外の共重合成分を含み得る。このような共重合成分としては、ラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類、パラ−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸等が使用され得る。
また、本発明のポリアミドはその目的を損なわない範囲で種々の添加剤を必要に応じて含有させることができる。かかる添加剤としては、ヒンダートフェノール、リン酸エステル、亜リン酸エステルなどの酸化防止剤、トリアジンなどの耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、可塑剤、有機滑剤、無機滑剤、難燃剤、導電性付与剤、繊維状強化剤等が挙げられる。本発明ではポリアミドをフィルムに成形する際、フィルムのスリップ性を改良する目的で無機微粒子を添加することができ、具体的にはカオリン、シリカ(二酸化ケイ素)、ゼオライト、タルク、アルミナ(酸化アルミニウム)などを挙げることができる。無機微粒子の添加量は、特に限定されないが、好ましくは、ポリマー100重量部に対して0.01〜1重量部である。
更に、本発明のポリアミドは物性や成形性に悪影響を及ぼさない範囲でモノマー組成の異なる別のポリアミドをブレンドすることもできる。例えば本発明のポリアミド樹脂のフィルム物性(ガスバリア性等)を改良する目的で、上記ポリアミド100重量部に対して1〜80重量部、より好ましくは70重量部以下、さらに好ましくは60重量部以下、なおさらに好ましくは50重量部以下、いっそう好ましくは40重量部以下の他のポリアミド樹脂を配合することができる。
かかる他のポリアミド樹脂として具体的には、ポリドデカノアミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン6,9)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6,10)、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロン6,12)、ポリキシリレンアジパミド(MXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ナイロン6,T)、ポリフェニレンフタラミドなどが挙げられるが、特にガスバリア性の改良にはMXD6、ナイロン6,Tなどの芳香族系ポリアミドが好ましい。本発明のポリアミド樹脂は繊維やエンジニアリングプラスチック、フィルム等の分野で広く利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例で得られたポリアミド樹脂の特性値は以下の方法で評価した。
(1)相対粘度[RV]
ポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度管にて測定した。
(2)末端アミノ基[AEG]
試料0.6gをフェノール/エタノール(容積比4/1)50mlに溶解し、次いで、水/エタノール(容積比3/2)20mlを加え、指示薬メチルオレンジを一滴加えた。エタノール性塩酸水溶液(1/10NのHClを100mlとエタノール50mlに蒸留水を加えて500mlに調整した。)で滴定し、以下の式により算出した。ブランクとして遷移金属の原子価量を差し引いた。
AEG(meq/Kg)={[(A−B)×N×f]/(w×1000)}×106
A:滴定量(ml)
B:溶媒のブランク滴定量(ml)
N:エタノール性HClの濃度(mol/l)
f:エタノール性HClのファクター
w:試料重量(g)
(3)末端カルボキシル基[CEG]
試料0.2gにベンジルアルコール10mlを加え、180±5℃にて5分間で溶解させた。この溶液を水中にて15秒間冷却し、フェノールフタレインを指示薬として、エタノール性水酸化カリウム溶液(0.5N−KOH80mlにエタノールを加え1000mlに調製した)で滴定し、以下の式により算出した。
(1)相対粘度[RV]
ポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度管にて測定した。
(2)末端アミノ基[AEG]
試料0.6gをフェノール/エタノール(容積比4/1)50mlに溶解し、次いで、水/エタノール(容積比3/2)20mlを加え、指示薬メチルオレンジを一滴加えた。エタノール性塩酸水溶液(1/10NのHClを100mlとエタノール50mlに蒸留水を加えて500mlに調整した。)で滴定し、以下の式により算出した。ブランクとして遷移金属の原子価量を差し引いた。
AEG(meq/Kg)={[(A−B)×N×f]/(w×1000)}×106
A:滴定量(ml)
B:溶媒のブランク滴定量(ml)
N:エタノール性HClの濃度(mol/l)
f:エタノール性HClのファクター
w:試料重量(g)
(3)末端カルボキシル基[CEG]
試料0.2gにベンジルアルコール10mlを加え、180±5℃にて5分間で溶解させた。この溶液を水中にて15秒間冷却し、フェノールフタレインを指示薬として、エタノール性水酸化カリウム溶液(0.5N−KOH80mlにエタノールを加え1000mlに調製した)で滴定し、以下の式により算出した。
CEG(meq/kg)={[(A−B)×N×f]/(w×1000)}×106
A:滴定量(ml)
B:溶媒のブランク滴定量(ml)
N:エタノール性水酸化カリウムの濃度(mol/l)
f:エタノール性水酸化カリウムのファクター
w:試料重量(g)
(4)再生CL量
チップ約20gを厚みが1mm、内径10cm、外径14cmの正方形のステンレス枠内に広げ、285℃で15分間ヒートプレスを行い、加熱後ただちに冷却してシート状とする。シート約10gを200mlのメタノールを用いて90℃で18時間ソックスレー抽出を行い、得られた抽出液について、ガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製、GC−14BPF 100V)によりシートのCL量を定量する。チップのCL量も同様の方法で定量し、シートとチップのCL量の差を再生CL量とした。
A:滴定量(ml)
B:溶媒のブランク滴定量(ml)
N:エタノール性水酸化カリウムの濃度(mol/l)
f:エタノール性水酸化カリウムのファクター
w:試料重量(g)
(4)再生CL量
チップ約20gを厚みが1mm、内径10cm、外径14cmの正方形のステンレス枠内に広げ、285℃で15分間ヒートプレスを行い、加熱後ただちに冷却してシート状とする。シート約10gを200mlのメタノールを用いて90℃で18時間ソックスレー抽出を行い、得られた抽出液について、ガスクロマトグラフィー(島津製作所(株)製、GC−14BPF 100V)によりシートのCL量を定量する。チップのCL量も同様の方法で定量し、シートとチップのCL量の差を再生CL量とした。
前記ガスクロマトグラフィー装置は、カラムとしてCBP1−W25−500を用い、検出には水素炎イオン化検出法を用いた。10l/minの窒素をキャリアーとし、入口温度150℃、検出温度230℃にて測定を行った。
成形加工における再溶融時の再生ε−カプロラクタム(CL)量は少ない程好ましい。再生CL量は0.60%以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.55%以下、なおさらに好ましくは0.50%以下である。
得られた樹脂の色調を、目視で観察し、◎(非常に良好)、○(良好)、×(不良)で評価した。
実施例1〜6、比較例1〜2
2リットルのオートクレーブにε−カプロラクタムを700g、水を14g投入し、窒素置換の後密閉して260℃まで攪拌しながら昇温し、加圧下で1.5時間初期重合を行った。次に、缶内圧力を窒素にて大気圧まで戻してそのまま2.5時間常圧反応を行い、54hPaまで減圧して2時間反応を行った。再度大気圧まで戻し、後の表1に示すジカルボン酸無水物あるいはカルボン酸を添加し、1分間攪拌の後静置して脱泡した。次にエレメント数6のスタティックミキサーを内部に備えた内径16mm、総延長500mmの配管をオートクレーブ出口部ギヤポンプの後部に接続し、オートクレーブ上部から窒素加圧してポリアミドを排出した。排出の速度は30g/分となるようギヤポンプの回転数を調節し、ストランドカットしてチップ状とした。得られたポリアミドチップは90℃で熱水抽出してモノマーやオリゴマーを除去して真空乾燥し、表1に示す各物性について測定を行った。
2リットルのオートクレーブにε−カプロラクタムを700g、水を14g投入し、窒素置換の後密閉して260℃まで攪拌しながら昇温し、加圧下で1.5時間初期重合を行った。次に、缶内圧力を窒素にて大気圧まで戻してそのまま2.5時間常圧反応を行い、54hPaまで減圧して2時間反応を行った。再度大気圧まで戻し、後の表1に示すジカルボン酸無水物あるいはカルボン酸を添加し、1分間攪拌の後静置して脱泡した。次にエレメント数6のスタティックミキサーを内部に備えた内径16mm、総延長500mmの配管をオートクレーブ出口部ギヤポンプの後部に接続し、オートクレーブ上部から窒素加圧してポリアミドを排出した。排出の速度は30g/分となるようギヤポンプの回転数を調節し、ストランドカットしてチップ状とした。得られたポリアミドチップは90℃で熱水抽出してモノマーやオリゴマーを除去して真空乾燥し、表1に示す各物性について測定を行った。
Claims (6)
- 主としてカプロアミドを繰り返し単位とし、アミノ末端基の一部または全部が、ジカルボン酸無水物により末端封鎖されたポリアミド。
- 請求項1記載のポリアミドの製造方法であって、
主としてε−カプロラクタムを含む樹脂原料を初期重合する工程、および
該初期重合物を、アミノ末端基濃度A(eq/ton)とカルボキシル末端基濃度C(eq/ton)の積が10000以下となるまで溶融重合した時点で、溶融状態のポリマーにジカルボン酸無水物を添加する工程を包含する、方法。 - 前記ジカルボン酸無水物を添加した後、エレメント数が3以上20未満のスタティックミキサーを用いて混合する工程をさらに包含する、請求項2記載の方法。
- 前記ジカルボン酸無水物を添加した後、ポリマー生成物を溶融状態で50〜1000秒間缶内に滞留させる工程をさらに包含する、請求項3記載の方法。
- 請求項1に記載のポリアミドであって、アミノ末端基濃度A(eq/ton)およびカルボキシル末端基濃度C(eq/ton)が下記式(1)及び(2)を満足する、ポリアミド:
300<A×C<1500 ・・・(1)
20<(C−A)<100 ・・・(2) - アミノ末端基濃度A(eq/ton)が、10〜40である、請求項1に記載のポリアミド。
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