JPH08150617A - 圧縮成形用シート及び該シートを用いた圧縮成形品の製造方法 - Google Patents

圧縮成形用シート及び該シートを用いた圧縮成形品の製造方法

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JPH08150617A
JPH08150617A JP29292094A JP29292094A JPH08150617A JP H08150617 A JPH08150617 A JP H08150617A JP 29292094 A JP29292094 A JP 29292094A JP 29292094 A JP29292094 A JP 29292094A JP H08150617 A JPH08150617 A JP H08150617A
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JP
Japan
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sheet
molding
compression molding
parts
resin
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Application number
JP29292094A
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English (en)
Inventor
Toshimitsu Tsuji
敏充 辻
Natsuki Morishita
夏樹 森下
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】圧縮成形用シートは、熱硬化性樹脂を主成分と
し、高温硬化型有機過酸化物と中温硬化型有機過酸化物
を含有した熱硬化樹脂組成物がシート状補強材に含浸さ
れ、かつ予備加熱により同組成物が半硬化されてなる成
形用シートであって、前記有機過酸化物のうち少なくと
も高温硬化型有機過酸化物が、半硬化された成形用シー
ト中に同シートを完全硬化するのに足る量残存したもの
である。 【効果】圧縮成形用シートが半硬化状態であるため、該
シートの上に熱硬化性成形材料を積層して、加熱加圧成
形すると、得られた成形品には、シートが置かれた部分
以外に、含浸された樹脂組成物が流れ出したり、熱硬化
性成形材料が加飾シートに滲み出したり、加飾シートに
クラックが発生することなく、所望の外観を呈する成形
品を効率よく得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧縮成形用シート、およ
び該シートを用いた圧縮成形品を製造する方法に関する
ものである。圧縮成型用シートは、浴槽、浴槽用壁材、
防水パン、カウンターなどの製造に使用され、特に表面
に模様を有するこれら成形品の製造に好適に使用され
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の模様付き成形品の製造方
法としては、以下に説明するような特開平2−2793
13の方法が知られていた。すなわち、表面模様形成用
粒状物と表面模様形成用樹脂との混合物を表面シートに
塗布し、この混合物塗布層の上に含浸用シートを重ね合
わせて圧縮成形用シートを形成する。ついで、このシー
トをその表面シート側を金型側にして金型にセットする
とともに圧縮成形用シートの上に熱硬化性成形材料を重
ね、金型により加熱圧縮成形を行う。その後、硬化した
成形品から前記表面シートを剥離し、模様付き成形品を
製造する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の製造方法では、圧縮成形用シートに含浸され
ている樹脂が架橋されていないために、圧縮成形用シー
トは軟かく、そのためこのシートに成形材料を重ねて加
熱圧縮成形を行う際に熱硬化性成形材料が圧縮成形用シ
ート表面に滲み出したり、あるいは同シートに含浸され
ている樹脂混合物が成形材料層中へ流れ出したりした。
【0004】本発明の目的は、上記加熱圧縮成形の際に
圧縮成形用シート表面に熱硬化性成形材料が滲み出すこ
とがなく、また圧縮成形用シートの樹脂混合物が成形材
料層中へ流れ出ることがない圧縮成形用シートを提供す
ること、及び該シートを用いた圧縮成形品の製造方法を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の圧縮成形用シー
トは、熱硬化性樹脂を主成分とし、高温硬化型有機過酸
化物と中温硬化型有機過酸化物を含有した熱硬化性樹脂
組成物がシート状補強材に含浸され、かつ予備加熱によ
り同組成物が半硬化されてなる成形用シートであって、
前記有機過酸化物のうち少なくとも高温硬化型有機過酸
化物が、半硬化された成形用シート中に同シートを完全
硬化するのに足る量残存していることを特徴としてい
る。
【0006】本発明の圧縮成形品の製造方法は、金型内
に上記圧縮成形用シートとこの上に熱硬化性成形材料と
を重ねて配し、加熱圧縮成形を行うことを特徴とするも
のである。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明で用いる高温硬化型有機過酸化物と
しては、10時間半減期温度(T10 h )が80〜110
℃の範囲内にあるものが好ましい。T10h が80℃より
低いと、圧縮成形用シートを予備加熱により半硬化させ
る際に高温硬化型有機過酸化物も分解しシートが完全硬
化してしまうおそれがある。一方T10h が110℃より
高くなると、成形温度が高くなり、そのため成形時の黄
変が生じることがある。
【0009】上記高温硬化型有機過酸化物の添加量は、
熱硬化性樹脂、共重合性モノマー、及び必要に応じて添
加される低収縮剤樹脂の合計量100重量部に対して好
ましくは0.05〜4重量部の範囲、より好ましくは
0.1〜3重量部の範囲、さらに好ましくは0.3〜
1.5重量部の範囲である。添加量が0.05重量部よ
り少ないと硬化が完了するまでに著しく時間がかかり、
成形品の生産性が悪くなる。逆に添加量が4重量部より
多いとコストが高くつき不利である。
【0010】上記高温硬化型有機過酸化物として、例え
ば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロ
ヘキサノンパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパ
ーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、
2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチル
パーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカ
ーボネート、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカル
ボキシ)ヘキサン、ジエチルエチレングリコールビス
(t−ブチルパーオキシカーボネート)、メチルイソブ
チルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレ
イックアシッド、t−ブチルパーオキシラウリレート、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキ
シ)ヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)
オクタン、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートが
挙げられる。
【0011】これらの高温硬化型有機過酸化物はそれぞ
れ単独で用いられても良いし、複数種を混合しても良
い。
【0012】本発明で用いる中温硬化型有機過酸化物と
しては、10時間半減期温度(T10 h )が30〜60℃
の範囲内にあるものが好ましい。T10h が30℃より低
いと圧縮成形用シートのポットライフが著しく短くな
る。一方T10h が60℃より高くなると、100℃で1
0分程度の予備加熱では半硬化には至らず、シートの生
産性が悪くなる。
【0013】上記中温硬化型有機過酸化物の添加量は、
熱硬化性樹脂、共重合性モノマー、及び必要に応じて添
加される低収縮剤樹脂の合計量100重量部に対して好
ましくは0.05〜4重量部の範囲、より好ましくは
0.1〜2重量部の範囲、さらに好ましくは0.2〜1
重量部の範囲である。添加量が0.05重量部より少な
いと圧縮成形用シートが半硬化するまでに著しく時間が
かかり、生産性が悪くなる。逆に添加量が4重量部より
多いとコストが高くつき不利になる上に、多量の硬化剤
分子の分解が同時に起こるためシートを半硬化の状態に
制御するのが難しくなる。
【0014】上記中温硬化型有機過酸化物として、例え
ば、イソブチルパーオキサイド、α−キュミルパーオキ
シネオデカノエート、ジ−3−メトキシブチルパーオキ
シジカーボネート、2,4,4−トリメチルペンチルパ
ーオキシネオデカネート、ジ−2−エチルヘキシルパー
オキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘ
キシル)パーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブ
チルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−
ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオ
キシネオヘキサノエート、2,4−ジクロロベンゾイル
パーオキサイド、o−シクロベンゾイルパーオキサイ
ド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオ
キサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピル
パーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカー
ボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネー
ト、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジ(メト
キシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ジ(エ
トキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキシ
ルパーオキシネオデカノエート、ジ(3−メチル−3−
メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、t−ヘキ
シルパーオキシネオヘキサノエート、t−ヘキシルパー
オキシピバレートが挙げられる。
【0015】これらの中温硬化型有機過酸化物はそれぞ
れ単独で用いられても良いし、複数種を混合しても良
い。
【0016】上記高温型有機過酸化物と中温型有機過酸
化物の組み合わせとしては、両者の10時間半減期温度
の差が30℃以上ある組み合わせが一般的である。温度
差30℃以下の組み合わせの場合、樹脂を半硬化させる
ときの条件によっては、高温型有機過酸化物が分解する
恐れがある。
【0017】本発明の圧縮成形用シート中の熱硬化性樹
脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリ
レート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂のうち少なくと
も1種が用いられる。これらの樹脂はそれぞれ単独で用
いられてもよいし、複数種を混合しても構わない。
【0018】上記不飽和ポリエステル樹脂は、公知慣用
の方法により、通常、有機ポリオールと脂肪族不飽和ポ
リカルボン酸と、さらに必要に応じて脂肪族飽和ポリカ
ルボン酸および/または芳香族ポリカルボン酸等とを反
応させることにより製造される。
【0019】上記エポキシアクリレート樹脂は、公知慣
用の方法により、通常、エポキシ樹脂と(メタ)アクリ
ル酸等の反応性二重結合を持つモノカルボン酸とを反応
させて製造される。
【0020】上記ウレタンアクリレート樹脂としては、
従来公知慣用のものが用いられる。例えば、アルキレン
ジオール、アルキレンジオールエステル、アルキレンジ
オールエーテル、ポリエーテルポリオールまたはポリエ
ステルポリオールなどの有機ポリオールに有機ポリイソ
シアネートを反応させ、さらにヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレートを反応させて製造される。
【0021】また、本発明の圧縮成形用シートに用いら
れる熱硬化性樹脂には、必要に応じてスチレン、α−メ
チルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、ジ
アリルフタレート、各種アクリレートモノマー、各種メ
タクリレートモノマーなどの共重合性モノマーを、熱硬
化性樹脂100重量部に対して0〜80重量部添加する
ことができる。通常、不飽和ポリエステル樹脂液の場合
は共重合性モノマーが30〜60重量%の範囲で含有さ
れる。
【0022】また、本発明の圧縮成形用シートに用いら
れる熱硬化性樹脂液(熱硬化性樹脂に共重合性モノマー
を加えたもの)には、低収縮剤として、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレン、
エチレン酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニルースチレン共
重合体、ポリブタジエン、飽和ポリエステル類、飽和ポ
リエーテル類などのような熱可塑性樹脂を、熱硬化性樹
脂分(熱硬化性樹脂および共重合性モノマーの合計量)
100重量部に対して0〜10重量部添加することがで
きる。
【0023】また、本発明の圧縮成形用シートに用いら
れる熱硬化性樹脂には上記樹脂液100重量部に対し
て、充填材として、ガラスパウダー、水酸化アルミニウ
ム、炭酸カルシウム等を0〜150重量部加えることが
できる。
【0024】またさらに本発明の圧縮成形用シートに用
いられる熱硬化性樹脂組成物には、ジメチルアニリン、
ナフテン酸コバルトなどの公知の硬化促進剤、パラベン
ゾキノンなどの重合禁止剤、ステアリン酸亜鉛等の金属
石鹸類、脂肪族燐酸塩、レシチンなどの離型剤、ホスフ
ァイト系化合物、フェノール系化合物などの安定剤など
を用途、目的に応じて適当量加えることができる。
【0025】これらの熱硬化性樹脂組成物を含浸させる
ための補強材としてはガラス繊維、ポリエステル、ポリ
プロピレン、レーヨン繊維等のチョップドストランド、
あるいはガラス繊維、ポリエステル、ポリプロピレン、
レーヨン繊維等から構成された織布、不織布などがあ
る。チョップドストランドも熱硬化性樹脂組成物と共に
シート状に形成される限り使用可能である。織布、不織
布の具体例としては、ガラスロービングクロス、ガラス
チョップドストランドマット、フィラメントマット、ガ
ラスコンティニアスマット、サーフェイスマット、ポリ
エステル不織布、ポリプロピレン不織布などが挙げられ
る。上記織布、不織布は、石目模様、幾何額模様、花柄
模様等を印刷したものであっても良い。上記織布、不織
布の目付量は無機繊維の場合100〜500g/m2
一方有機繊維の場合は20〜200g/m2 が一般的で
ある。織布、不織布は単層で用いられても良いし、また
2層以上重ねても良い。
【0026】また圧縮成形用シート中の樹脂組成物と補
強材の合計量中の補強材の割合は、5〜50重量%が一
般的である。補強材の割合が少なくなると樹脂の流れを
抑制することができなくなる。逆にこの割合が多すぎる
と樹脂混合物が補強材に十分に含浸せず、シートに気泡
が混じりやすくなる。
【0027】以下、本発明の圧縮成形用シートを加飾用
に用いる場合について説明する。
【0028】本発明の圧縮成形用シートを加飾用に用い
る場合、模様の付与の方法としては、上記シート状補
強材の表面に石目模様、幾何額模様、花柄模様等を印刷
したものを用いて、シートに模様を付与する。上記熱
硬化性樹脂組成物に柄材、顔料などを混入して、石目模
様などをシートに付与する。熱硬化性樹脂液、補強
材、充填材の各屈折率をほぼ一致させて、透明感、深み
感を有する人工大理石調模様をシートに付与する等の方
法が挙げられる。
【0029】本発明の上記柄材としては不飽和ポリエス
テル樹脂、フェノール樹脂またはメラミン樹脂等の熱硬
化性樹脂成形品を粗砕した粒状物や、天然雲母、着色雲
母、寒水石、天然石、貝殻、金属粉などが使用できる。
形状は特に限定されず、粒状、鱗片状のものが用いら
れ、大きさは通常0.1〜10mm、好ましくは0.5
〜5mm、更に好ましくは1〜3mmとされる。上記柄
材の配合量は、製造方法、要求される模様によってそれ
ぞれ異なるので適宜選択される。
【0030】また、本発明の圧縮成形用シートに用いら
れる熱硬化性樹脂組成物には、充填材として、ガラスパ
ウダー、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等を加え
ることができる。シートに透明性、深み感を付与したい
場合にはガラスパウダー、水酸化アルミニウムなどが好
適であり、隠蔽性を付与したい場合には炭酸カルシウム
などが好適である。上記充填材の配合量は、製造方法、
要求される模様によってそれぞれ異なるので適宜選択さ
れる。
【0031】また、本発明の圧縮成形用シートに用いら
れる熱硬化性樹脂組成物には、カーボンブラックや酸化
チタン、酸化鉄、シアニン系顔料、アルミニウムフレー
ク、ニッケル粉、金粉、銀粉、チタンイエローなどの顔
料、アゾ系染料やアントラキノン系、インジゴイド系、
スチルベン系などの染料を加えることができる。上記顔
料の配合量は要求される模様によってそれぞれ異なるの
で適宜選択される。
【0032】本発明の圧縮成形用シートを製造する方法
の例を挙げる。
【0033】補強材がチョップドストランドの場合、ま
ず熱硬化性樹脂、中温硬化型有機過酸化物、高温硬化型
有機過酸化物、チョップドストランド及び必要に応じて
添加する各種添加剤を配合した後、配合物をミキサー等
でよく混合して、熱硬化性樹脂組成物を調製する。次
に、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)のよ
うな保護フィルム上に上記熱硬化性樹脂組成物を塗布し
未硬化シートを製造する。また、例えば補強材が織布、
不織布である場合、熱硬化性樹脂、中温硬化型有機過酸
化物、高温硬化型有機過酸化物及び必要に応じて添加す
る各種添加剤を配合した後、配合物をミキサー等でよく
混合して、熱硬化性樹脂組成物を調製する。次に、例え
ばPETフィルムのような保護フィルム上に織布、不織
布を積層し、織布、不織布のもう一方の面、すなわちフ
ィルムのない面に樹脂組成物を塗布、含浸させ、この面
にも保護フィルムを積層し、未硬化シートを製造する。
または、まず保護フィルムに熱硬化性樹脂組成物を塗布
し、この塗布層の上にチョップドストランドマット、織
布、不織布を積層してマット等の中に樹脂組成物を含浸
させ、マット等のもう一方の面にも保護フィルムを積層
し、未硬化シートを製造する。
【0034】その後、この未硬化シートを赤外線ヒータ
ー、熱風、熱ロール、熱板等で60〜100℃において
1〜10分予備加熱し、未硬化シートが半硬化状態にな
ったときに重合を停止し、圧縮成形用シートを得る。
【0035】上記加熱温度が60℃より低いと未硬化シ
ートが半硬化するのに十分な量の中温硬化型有機過酸化
物が分解せず、加熱・加圧成形時に圧縮成形用シートの
樹脂が流れ出す恐れがある。一方加熱温度が100℃よ
り高いと中温硬化型有機過酸化物だけでなく高温硬化型
有機過酸化物も分解する。そのため圧縮成形用シートを
半硬化状態に制御するのが著しく難しくなる。加熱時間
が1分より短いと未硬化シートが半硬化するのに十分な
量の中温硬化型有機過酸化物が分解せず、加熱・加圧成
形時に圧縮成形用シートの樹脂が流れ出す恐れがある。
一方加熱時間が10分より長いと中温硬化型有機過酸化
物がほぼ完全に分解し、圧縮成形用シートは硬くなりす
ぎて加熱加圧成形時にクラックを生じる。
【0036】上記加熱温度は、中温型有機過酸化物の1
0時間半減期温度より30〜60℃高い範囲で選択する
のが一般的であり、さらには40〜50℃高い範囲で選
択するのがより好ましい。加熱温度が10時間半減期温
度より30℃未満高い温度である場合、中温型有機過酸
化物が十分に分解せず、未硬化シートが半硬化状態に至
らない恐れがある。一方加熱温度が10時間半減期温度
より60℃以上高い場合、多数の中温型有機過酸化物分
子が同時に分解を始めるのでシートを半硬化状態に制御
するのが難しくなる。
【0037】上記半硬化状態とは、シートがその形状を
保持し、表面がべとつかず、加熱・加圧成形時に樹脂の
流れ出しやシートのクラックが生じない程度の強度と柔
軟性をシートが有している状態をいい、具体的には硬化
度5〜60%の範囲が一般的であり、より好適には15
〜45%の範囲である。
【0038】一般的に用いられる圧縮成形用シートの全
体の厚みは0. 3〜3. 0mmである。シートの厚みが
薄いと成形材料の色が透けて見える。一方シートの厚み
が厚いとコストが高くつき不利である。
【0039】また本発明に用いる熱硬化性成形材料に
は、熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂、ビニ
ルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などが用い
られ、必要に応じて各種共重合性モノマー、低収縮剤、
各種充填材、着色剤、開始剤、補強材、添加剤等を加え
ることができる。
【0040】この様な成形材料の特に汎用的な例として
は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂をスチレンに溶解
し、熱可塑性樹脂からなる低収縮剤を加え、開始剤とし
ての有機過酸化物等を添加し、各種充填材、ガラス繊維
などの補強材を加え、SMCあるいはBMCの形態とし
たものが挙げられる。
【0041】本発明の圧縮成形用シートの材料は以上の
通りであるが、これを用いた本発明に係る成形品の製造
方法は、以下の通りである。
【0042】本発明に用いる成形機としては、従来公知
のプレス成形機が使用可能である。また、成形型として
は、従来公知の金型、鋳物型等が使用可能である。
【0043】また、成形型の形式としては、一般には上
下型が好ましく用いられる。この場合、通常は上型を可
動型、下型を固定型として用いる。
【0044】上記の成形機に、上記型を取り付け、80
〜180℃に加熱した後、下型上の所要位置に圧縮成形
用シートを載置する。
【0045】そして、SMCやBMC等の熱硬化性成形
材料を重ねて、型を締め、10〜120kg/cm2
圧力で30秒〜15分間加圧成形し、硬化させた後、型
を開け、製品を脱型すれば、積層材料からなる圧縮成形
品が得られる。
【0046】ここで、圧縮成形用シートとして加飾した
シートを用いる場合に下型に載置する向きとしては、製
品面側を印刷或いは柄材等によって加飾した面とするの
が普通であるが、必要に応じて、SMCやBMC等の成
形材料側を印刷或いは着色した面としても構わない。
【0047】ここで、加飾成形用シートの大きさとして
は、成形品の表面全面を加飾するための大きいものであ
っても構わないし、成形品の表面のうち一部のみを加飾
する小さいものであっても構わない。即ち、加飾成形用
シートの大きさは、求める意匠に応じて、任意の大きさ
および形とすれば良い。
【0048】
【作用】本発明による圧縮成形用シートは半硬化状態で
あるので、金型内に圧縮成形用シートの上に熱硬化性成
形材料を重ねて配し、加熱圧縮成形を行っても、圧縮成
形用シートの樹脂混合物が成形材料層中に流れ出した
り、熱硬化性成形材料が圧縮成形用シート表面に滲み出
すことがない。また圧縮成形用シートは完全硬化に至っ
ていないので、シートに柔軟性があり、加熱圧縮成形の
際にシートにクラックが生じない。
【0049】本発明の圧縮成形品の製造方法によれば、
圧縮成形用シートは半硬化状態であるので金型に載置す
る際の作業性が良く、また、完全硬化していないので、
熱硬化性成形材料との親和性が良好であり、その界面で
の密着性もすこぶる良好であることと相俟って、成形品
を効率良く得ることができる。
【0050】
【実施例】以下に、本発明の実施例と、これと比べるべ
き比較例をいくつか示す。ここで部は重量ベースであ
る。
【0051】<SMCの調製> ・不飽和ポリエステル樹脂液(イソフタル酸系の不飽和
ポリエステル樹脂約60重量%をスチレンモノマー約4
0重量%に溶解したもの)70部 ・ポリスチレン系低収縮剤樹脂(ポリスチレン樹脂約3
0重量%をスチレンモノマー約70重量に溶解したも
の)30部 ・炭酸カルシウム粉末(NS−100:日東粉化工業株
式会社製)120部 ・硬化剤(カヤブチルB:化薬アクゾ社製、ターシャリ
ーブチルパーオキシベンゾエート含有率98wt%)1部 ・増粘剤(酸化マグネシウム粉末、キョーワマグ15
0:協和化学工業株式会社製)1部 ・内部離型剤(ステアリン酸亜鉛:堺化学工業株式会社
製)3部 以上の材料を配合し、充分に撹拌した後、得られた混合
物をSMC含浸装置により、ガラス繊維(旭ファイバー
グラス株式会社製のロービング:ER4630LBD1
66Wを長さ25mmに切断したもの)60部に含浸さ
せ、これを40℃で24時間熟成してSMCを得た。
【0052】(実施例1)不飽和ポリエステル樹脂液
(品番7682、スチレン33重量%:日本ユピカ株式
会社製)100部と、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト(T10h 105℃:化薬アクゾ株式会社製)0.8部
と、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシ
ジカーボネート(T10h 44℃:化薬アクゾ株式会社
製)0.2部と、粒径約3mmの着色マイカ(黒)3部
と、着色マイカ(白)0. 5部と、着色マイカ(グレ
ー)0. 5部(伊藤産業株式会社製)とから成る樹脂組
成物をミキサーで混練し、得られた混練物をポリエチレ
ンテレフタレート(PET)フィルムに塗布し、この塗
布層の上にチョップドストランドマット(目付350g
/m 2 )を積層してマット中に樹脂組成物を含浸させ、
マットのもう一方の側にもPETフィルムを積層した。
この積層体を90℃の加熱炉で4.5分間、予備加熱し
て半硬化させ、加飾圧縮成形用シートを製造した。この
シートの取扱い性は良好であった。
【0053】この加飾圧縮成形用シートの構造を図1に
示す。図1中、(1) は始めに樹脂組成物を塗布したPE
Tフィルムで、これにチョップドストランドマットが積
層されてマット中に樹脂組成物が含浸させられている。
(1')は同マットのもう一方の面に積層したPETフィル
ム、(2) はマット中に樹脂組成物を含浸させてなる加飾
圧縮成形用シート、(2')は同シートの樹脂組成物層、
(3) は同組成物中に柄材として含まれる着色マイカであ
る。
【0054】図2において、300mm×300mmの
正方形の平板金型の上金型(4) を115℃、下金型(5)
を135℃に加熱した後、200mm×200mmに切
断した上記加飾圧縮成形用シート(2) の両側に積層され
たPETフィルム(1)(1)を剥がし、上記樹脂組成物層
(2')の側を下金型(5) の金型面に向けてシート(2) を配
した。上記SMC(6) 400g を加飾圧縮成形用シート
(2) の上に載せ、この状態で300トンのプレス機にて
上金型(4) と下金型(5) を締め、70Kg/ cm2 の圧力で
400秒間加熱圧縮成形を行った。得られた成形品は、
加飾表面層と成形材料層が一体化し、樹脂混合物の流
れ、SMCの滲み出し、加飾シートのクラックがないも
のであった。
【0055】(実施例2)不飽和ポリエステル樹脂液
(実施例1と同じ)100部と、t−ブチルパーオキシ
イソプロピルカーボネート(T10h 97℃:化薬アクゾ
株式会社製)0.5部と、ビス(4−t−ブチルシクロ
ヘキシル)パーオキシジカーボネート(T10 h 44℃:
化薬アクゾ株式会社製)0.5部と、ガラスパウダー2
5部(粒径5.7μm:日東紡績株式会社製)と、粒径
約3mmの着色マイカ(黒)3部と、着色マイカ(白)
0. 5部と、着色マイカ(グレー)0. 5部(伊藤産業
株式会社製)とから成る樹脂組成物をミキサーで混練
し、得られた混練物をPETフィルムに塗布し、この塗
布層上にチョップドストランドマット(目付350g/
2 )を積層してマット中に樹脂組成物を含浸させ、マ
ットのもう一方の側にもPETフィルムを積層した。こ
の積層体を90℃の加熱炉で3.5分間、予備加熱して
半硬化させ、加飾圧縮成形用シートを製造した。このシ
ートの取扱い性は良好であった。
【0056】実施例1と同様に成形を行った。得られた
成形品は、加飾表面層と成形材料が一体化し、樹脂混合
物の流れ、SMCの滲み出し、加飾シートのクラックが
ないものであった。
【0057】(実施例3)不飽和ポリエステル樹脂液
(実施例1と同じ)100部と、t−ブチルパーオキシ
イソプロピルカーボネート(T10h 97℃:化薬アクゾ
株式会社製)0.5部と、ビス(4−t−ブチルシクロ
ヘキシル)パーオキシジカーボネート(T10 h 44℃:
化薬アクゾ株式会社製)0.5部と、ガラスパウダー2
5部(5.7μm:日東紡績株式会社製)と、粒径約3
mmの着色マイカ(黒)3部と、着色マイカ(白)0.
5部と、着色マイカ(グレー)0. 5部(伊藤産業株式
会社製)とから成る樹脂組成物をミキサーで混練し、得
られた混練物をPETフィルムに塗布し、この塗布層上
にポリエステル不織布(ソンタラ#8100:目付13
6g/m2 :デュポンジャパン株式会社製)を積層して
マット中に樹脂組成物を含浸させ、この塗布層上にポリ
エステル不織布のもう一方の側にもPETフィルムを積
層した。この積層体を90℃の加熱炉で4分間、予備加
熱して半硬化させ、加飾圧縮成形用シートを製造した。
このシートの取扱い性は良好であった。
【0058】実施例1と同様にして成形を行った。得ら
れた成形品は、加飾表面層と成形材料が一体化し、樹脂
混合物の流れ、SMCの滲み出し、加飾シートのクラッ
クがないものであった。
【0059】(実施例4)不飽和ポリエステル樹脂液
(実施例1と同じ)100部と、t−ブチルパーオキシ
イソプロピルカーボネート(T10h 97℃:化薬アクゾ
株式会社製)0.2部と、2,4,4トリメチルペンチ
ルパーオキシジカーボネート(T10h 41℃:化薬アク
ゾ株式会社製)0.8部と、ガラスパウダー25部
(5.7μm:日東紡績株式会社製)と、粒径約3mm
の着色マイカ(黒)3部と、着色マイカ(白)0. 5部
と、着色マイカ(グレー)0. 5部(伊藤産業株式会社
製)とから成る樹脂組成物をミキサーで混練し、得られ
た混練物をPETフィルムに塗布し、この塗布層上にチ
ョップドストランドマット(目付350g/m2 )を積
層してマット中に樹脂組成物を含浸させ、マットのもう
一方の側にもPETフィルムを積層した。この積層体を
90℃の加熱炉で2分間、予備加熱半硬化させ、加飾圧
縮成形用シートを製造した。このシートの取扱い性は良
好であった。
【0060】実施例1と同様にして成形を行った。得ら
れた成形品は、加飾表面層と成形材料が一体化し、樹脂
混合物の流れ、SMCの滲み出し、加飾シートのクラッ
クがないものであった。
【0061】(実施例5)不飽和ポリエステル樹脂液
(実施例1と同じ)100部と、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート(T10h 105℃:化薬アクゾ株式会社
製)1.0部と、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキ
サイド(T10h 54℃:化薬アクゾ株式会社製)0.5
部と、ガラスパウダー25部(5.7μm:日東紡績株
式会社製)と、粒径約3mmの着色マイカ(黒)3部
と、着色マイカ(白)0. 5部と、着色マイカ(グレ
ー)0. 5部(伊藤産業株式会社製)とから成る樹脂組
成物をミキサーで混練し、得られた混練物をPETフィ
ルムに塗布し、この塗布層上にチョップドストランドマ
ット(目付350g/m2 )を積層してマット中に樹脂
組成物を含浸させ、マットのもう一方の側にもPETフ
ィルムを積層した。この積層体を90℃の加熱炉で8.
5分間、予備加熱して半硬化させ、加飾圧縮成形用シー
トを製造した。このシートの取扱い性は良好であった。
【0062】実施例1と同様にして成形を行った。得ら
れた成形品は、加飾表面層と成形材料が一体化し、樹脂
混合物の流れ、SMCの滲み出し、加飾シートのクラッ
クがないものであった。
【0063】(実施例6)不飽和ポリエステル樹脂液
(品番9305Z、スチレン50重量%:武田薬品株式
会社製)100部と、メチルイソブチルケトンパーオキ
サイド(T10h 88℃:化薬アクゾ株式会社製)0.5
部と、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキ
シジカーボネート(T10h 44℃:化薬アクゾ株式会社
製)2.0部と、ガラスパウダー100部と、粒径約3
mmの着色マイカ(黒)6部と、着色マイカ(白)1部
と、着色マイカ(グレー)1部(伊藤産業株式会社製)
と、カーボンブラック0.02部とから成る樹脂組成物
をミキサーで混練し、得られた混練物をPETフィルム
に塗布し、この塗布層上にチョップドストランドマット
(目付450g/m2 )を積層してマット中に樹脂組成
物を含浸させ、マットのもう一方の側にもPETフィル
ムを積層した。この積層体を80℃の加熱炉で4分間、
予備加熱して半硬化させ、加飾圧縮成形用シートを製造
した。このシートの取扱い性は良好であった。
【0064】得られた成形品は、加飾表面層と成形材料
が一体化し、樹脂混合物の流れ、SMCの滲み出し、加
飾シートのクラックがないものであった。
【0065】(実施例7)不飽和ポリエステル樹脂液
(実施例6と同じ)100部と、メチルイソブチルケト
ンパーオキサイド(T10h 88℃:化薬アクゾ株式会社
製)1.5部と、2,4,4トリメチルペンチルパーオ
キシジカーボネート(T10h 41℃:化薬アクゾ株式会
社製)0.5部と、ガラスパウダー100部と、不飽和
ポリエステル樹脂粉砕物(黒)6部と、不飽和ポリエス
テル樹脂粉砕物(白)2部(日本フェロー株式会社製)
とから成る樹脂組成物をミキサーで混練し、得られた混
練物をPETフィルムに塗布し、この塗布層上にチョッ
プドストランドマット(目付450g/m2 )を積層し
てマット中に樹脂組成物を含浸させ、マットのもう一方
の側にもPETフィルムを積層した。この積層体を80
℃の加熱炉で7分間、予備加熱して半硬化させ、加飾圧
縮成形用シートを製造した。このシートの取扱い性は良
好であった。
【0066】実施例1と同様にして成形を行った。得ら
れた成形品は、加飾表面層と成形材料が一体化し、樹脂
混合物の流れ、SMCの滲み出し、加飾シートのクラッ
クがないものであった。
【0067】(実施例8)不飽和ポリエステル樹脂液
(実施例6と同じ)100部と、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート(T10h 105℃:化薬アクゾ株式会社
製)0.5部と、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキ
サイド(T10h 54℃:化薬アクゾ株式会社製)0.5
部と、ガラスパウダー100部と、不飽和ポリエステル
樹脂粉砕物(黒)6部と、不飽和ポリエステル樹脂粉砕
物(白)2部とから成る樹脂組成物をミキサーで混練
し、得られた混練物をPETフィルムに塗布し、この塗
布層上にチョップドストランドマット(目付450g/
2 )を積層してマット中に樹脂組成物を含浸させ、マ
ットのもう一方の側にもPETフィルムを積層した。こ
の積層体を100℃の加熱炉で4分間、予備加熱して半
硬化させ、加飾圧縮成形用シートを製造した。このシー
トの取扱い性は良好であった。
【0068】実施例1と同様にして成形を行った。得ら
れた成形品は、加飾表面層と成形材料が一体化し、樹脂
混合物の流れ、SMCの滲み出し、加飾シートのクラッ
クがないものであった。
【0069】(実施例9)不飽和ポリエステル樹脂液
(実施例1と同じ)100部と、t−ブチルパーオキシ
イソプロピルカーボネート(T10h 97℃:化薬アクゾ
株式会社製)1部と、ビス(4−t−ブチルシクロヘキ
シル)パーオキシジカーボネート(T10h 44℃:化薬
アクゾ株式会社製)0.05部と、ガラスパウダー25
部(5.7μm:日東紡績株式会社製)と、粒径約3m
mの着色マイカ(黒)3部と、着色マイカ(白)0. 5
部と、着色マイカ(グレー)0. 5部(伊藤産業株式会
社製)とから成る樹脂組成物をミキサーで混練し、得ら
れた混練物をPETフィルムに塗布し、この塗布層上に
チョップドストランドマット(目付350g/m2 )を
積層してマット中に樹脂組成物を含浸させ、マットのも
う一方の側にもPETフィルムを積層した。この積層体
を90℃の加熱炉で9分間、予備加熱して半硬化させ、
加飾圧縮成形用シートを製造した。このシートの取扱い
性は良好であった。
【0070】実施例1と同様にして成形を行った。得ら
れた成形品は、僅かにSMCが滲み出したものであっ
た。
【0071】(実施例10)不飽和ポリエステル樹脂液
(実施例1と同じ)100部と、t−ブチルパーオキシ
イソプロピルカーボネート(T10h 97℃:化薬アクゾ
株式会社製)1部と、2,4−ジクロロベンゾイルパー
オキサイド(T10h 54℃:化薬アクゾ株式会社製)
5.0部と、ガラスパウダー25部(5.7μm:日東
紡績株式会社製)と、粒径約3mmの着色マイカ(黒)
3部と、着色マイカ(白)0. 5部と、着色マイカ(グ
レー)0. 5部(伊藤産業株式会社製)とから成る樹脂
組成物をミキサーで混練し、得られた混練物をPETフ
ィルムに塗布し、この塗布層上にチョップドストランド
マット(目付350g/m2 )を積層してマット中に樹
脂組成物を含浸させ、マットのもう一方の側にもPET
フィルムを積層した。この積層体を90℃の加熱炉で
1.5分間、予備加熱して半硬化させ、加飾圧縮成形用
シートを製造した。このシートの取扱い性は良好であっ
た。
【0072】実施例1と同様にして成形を行った。得ら
れた成形品は、加飾表飾シートの表面に僅かにクラック
が発生したものであった。
【0073】(比較例1)特開平2−279313号公
報記載の方法に従い加飾シートを製造した。具体的に
は、不飽和ポリエステル樹脂液(実施例1と同じ)と、
t−ブチルパーオキシベンゾエート(T10h 105℃:
化薬アクゾ株式会社製)1部と、ガラスパウダー100
部と、砕石8部(伊藤産業株式会社製)と、酸化鉄0.
1部(黒)と、酸化チタン1部(白)を混合し、得られ
た混合物をPETフィルム上に塗布し、この塗布層上に
ポリエステル製不織布(ソンタラ#8100:目付13
6g/m2 :デュポンジャパン株式会社製)を重ね合わ
せ、不織布のもう一方の側にもPETフィルムを積層し
た。こうして加飾圧縮成形用シートを製造した。このシ
ートの取扱い性は良好であった。
【0074】200mm×200mmに切断した上記加
飾圧縮成形用シートから樹脂塗布層の反対側のPETフ
ィルムを剥がし、上記樹脂組成物の塗布層を下型面に向
けてシートを置いた。その他は実施例1と同様に成形を
行った。得られた成形品からPETフィルムを剥がし
た。この成形品では加飾表面層と成形材料は一体化して
いたが、SMCが加飾シート表面にかなり滲み出してい
た。
【0075】(比較例2)不飽和ポリエステル樹脂液
(実施例1と同じ)100部と、t−ブチルパーオキシ
イソプロピルカーボネート(T10h 97℃:化薬アクゾ
株式会社製)1部と、ガラスパウダー25部(5.7μ
m:日東紡績株式会社製)と、粒径約3mmの着色マイ
カ(黒)3部と、着色マイカ(白)0. 5部と、着色マ
イカ(グレー)0. 5部(伊藤産業株式会社製)とから
成る樹脂組成物をミキサーで混練し、得られた混練物を
PETフィルムに塗布し、この塗布層上にチョップドス
トランドマット(目付350g/m2 )を積層してマッ
ト中に樹脂組成物を含浸させ、マットのもう一方の側に
もPETフィルムを積層した。この積層体を90℃の加
熱炉で9分間、予備加熱して半硬化させ、加飾圧縮成形
用シートを製造した。このシートはべとつき、取扱い性
が困難なものであった。
【0076】実施例1と同様にして成形を行った。得ら
れた成形品は、加飾圧縮成形用シートが破れ、樹脂混合
物が全面に流れ出したものであった。
【0077】(比較例3)不飽和ポリエステル樹脂液
(実施例1と同じ)100部と、ビス(4−t−ブチル
シクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(T10h
4℃:化薬アクゾ株式会社製)1部と、ガラスパウダー
25部(5.7μm:日東紡績株式会社製)と、粒径約
3mmの着色マイカ(黒)3部と、着色マイカ(白)
0. 5部と、着色マイカ(グレー)0. 5部(伊藤産業
株式会社製)とから成る樹脂組成物をミキサーで混練
し、得られた混練物をPETフィルムに塗布し、この塗
布層上にチョップドストランドマット(目付350g/
2 )を積層してマット中に樹脂組成物を含浸させ、マ
ットのもう一方の側にもPETフィルムを積層した。こ
の積層体を90℃の加熱炉で4分間、予備加熱して半硬
化させ、加飾圧縮成形用シートを製造した。このシート
の取扱い性は良好であった。
【0078】実施例1と同様にして成形を行った。得ら
れた成形品は、加飾表飾シートが完全には硬化せず、ス
チレン臭のするものであった。
【0079】実施例1〜10を表1に、比較例1〜3を
表2にそれぞれまとめて示す。
【0080】
【表1】
【表2】
【0081】
【発明の効果】本発明に従えば、圧縮成形用シートが半
硬化状態であるため、該シートの上に熱硬化性成形材料
を積層して、加熱加圧成形すると、得られた成形品に
は、シートが置かれた部分以外に、含浸された樹脂組成
物が流れ出したり、熱硬化性成形材料が加飾シートに滲
み出したり、加飾シートにクラックが発生することな
く、所望の外観を呈する成形品を効率よく得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】両面にPETフィルムを積層した加飾圧縮成形
用シートの断面図である。
【図2】金型内に圧縮成形用シートとその上に成形材料
を配した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1,1´:PETフィルム 2:加飾圧縮成形用シート 2´:樹脂組成物層 3:着色マイカ 4:上金型 5:下金型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂を主成分とし、高温硬化型
    有機過酸化物と中温硬化型有機過酸化物を含有した熱硬
    化性樹脂組成物がシート状補強材に含浸され、かつ予備
    加熱により同組成物が半硬化されてなる成形用シートで
    あって、前記有機過酸化物のうち少なくとも高温硬化型
    有機過酸化物が、半硬化された成形用シート中に同シー
    トを完全硬化するのに足る量残存していることを特徴と
    する圧縮成形用シート。
  2. 【請求項2】 金型内に請求項1に記載の圧縮成形用シ
    ートとこの上に熱硬化性成形材料とを重ねて配し、加熱
    圧縮成形を行うことを特徴とする圧縮成形品の製造方
    法。
JP29292094A 1994-11-28 1994-11-28 圧縮成形用シート及び該シートを用いた圧縮成形品の製造方法 Pending JPH08150617A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR3060011A1 (fr) * 2016-12-08 2018-06-15 Arkema France Agent de durcissement pour durcir une resine de polymere

Cited By (3)

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WO2018130351A1 (en) * 2016-12-08 2018-07-19 Arkema France Curing agent for curing a polymer resin
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