JPH11309731A - 加飾成形品の製造方法 - Google Patents

加飾成形品の製造方法

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JPH11309731A
JPH11309731A JP11919998A JP11919998A JPH11309731A JP H11309731 A JPH11309731 A JP H11309731A JP 11919998 A JP11919998 A JP 11919998A JP 11919998 A JP11919998 A JP 11919998A JP H11309731 A JPH11309731 A JP H11309731A
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JP
Japan
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decorative
thermosetting resin
weight
molded product
molding
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JP11919998A
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English (en)
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Hideaki Takezaki
秀昭 竹崎
Shohei Kawasaki
章平 川崎
Yoshinori Kitagawa
善詔 北川
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 絵付け面の立体感・透明感に富んだ深みのあ
る加飾成形品の製造方法を提供する。 【解決手段】 オーバーレー紙の両面に絵付けを施し、
熱硬化性樹脂を含浸させた加飾成形用シートを表面層と
して用い、該加飾成形用シートの裏面に熱硬化性樹脂成
形材料を積層もしくは充填し、加熱硬化して成形する加
飾成形品の製造方法であって、上記オーバーレー紙は、
熱硬化性樹脂を含浸させ、加熱硬化させたとき、裏面の
図柄が透視可能となるものであることを特徴とする加飾
成形品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は加飾成形品の製造方
法に関し、更に詳しくは、加飾成形用シートを用いた加
飾成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】バスタブやユニットバス等の繊維強化プ
ラスチック(FRP)製品は、ハンドレイアップ成形
法、スプレーアップ成形法等の成形法によって生産され
ていたが、生産性が低いため、量産されるFRP製品
は、チョップドストランドマットに不飽和ポリエステル
樹脂等と増粘剤、充填剤、離型剤、顔料等を混合した樹
脂コンパウンドを含浸し、ポリエチレンシートで両面を
被覆した成形材料、シート・モールディング・コンパウ
ンド(SMC)を金型表面を覆うように得られる成形品
の形状に応じたパターンでチャージし、加熱加圧、硬化
する所謂SMC成形法や不飽和ポリエステル樹脂等、繊
維類を短く切断した強化剤、充填剤、顔料、硬化剤等を
練り合わせて製造されるパテ状成形材料、バルク・モー
ルディング・コンパウンド(BMC)を金型にチャージ
し、加熱加圧、硬化する所謂BMC成形法等の生産性の
より高い成形法に移行してきている。
【0003】しかしながら、SMC成形法やBMC成形
法では、SMCやBMCが加熱加圧時に、金型型窩表面
を流動するものであるので、成形品の加飾は、全体を赤
なら赤色の着色したものしか得られず、デザインの自由
度が極めて狭いという欠点を有するものである。勿論、
印刷、塗装等の後加工を行えば、任意の意匠を施すこと
が可能ではあるが、印刷、塗装等の後加工に際して、後
加工の耐久性等を確保するために、非常に複雑な工程と
費用を要するものであって、後加工の生産性は極めて低
いものとなるという問題点を有するものであった。
【0004】これらの問題点を解消するFRP製品の加
飾方法として、例えば、特開平5−285973号公報
に、印刷したチタン紙にジアリルフタレート樹脂を含浸
させた加飾成形用シートをSMCに積層して成形方法が
開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
5−285973号公報に開示されている加飾成形用シ
ートは、セルロース60〜90重量%、TiO2 40〜
10重量%からなるチタン紙の片面に印刷が施されるも
のであるが、TiO2 の強い隠蔽力によって、印刷自体
は或る程度は鮮明になるが、透視効果による立体感が得
られないので偏平な感覚の加飾となっていた。又、Ti
2 の配合量が高くなるとチタン紙自体が脆くなって破
れ易くなる他、樹脂が含浸しにくくなるという制限から
印刷した部分の隠蔽性の色、柄の鮮明度が充分には得ら
れないので、印刷面の深み感に欠けるものであって、意
匠的効果が充分に得られないものであった。本発明はこ
れらの欠点を克服するものであり、絵付け面の立体感・
透明感に富んだ深みのある加飾成形品の製造方法を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
オーバーレー紙の両面に絵付けを施し、熱硬化性樹脂を
含浸させた加飾成形用シートを表面層として用い、該加
飾成形用シートの裏面に熱硬化性樹脂成形材料を積層も
しくは充填し、加熱硬化して成形する加飾成形品の製造
方法であって、上記オーバーレー紙は、熱硬化性樹脂を
含浸させ、加熱硬化させたとき、裏面の図柄が透視可能
となるものであることを特徴とする加飾成形品の製造方
法をその要旨とするものである。
【0007】請求項2記載の発明は、上記加飾成形用シ
ートの露出表面に加飾部材を分散させた透明な熱硬化性
樹脂層を積層し、加熱硬化させる請求項1記載の加飾成
形品の製造方法をその要旨とするものである。
【0008】本発明において使用されるオーバーレー紙
は、熱硬化性樹脂を含浸させ、加熱硬化させたとき、裏
面の図柄が透視可能となるものであればその材質や既存
の紙の使用用途別等の呼称に係わりなく使用でき、特に
限定されるものではないが、例えば、添加される充填剤
として、水酸化アルミニウムやガラスパウダー等を用い
た用紙が好適に用いられる。但し、上記用紙に用いられ
ている充填剤は、水酸化アルミニウムやガラスパウダー
のみに限定されるものではなく、一般に用いられている
炭酸カルシウムや二酸化チタン等の充填剤であっても、
その添加量を加減することによって上記透視性能を付与
するができるものである。
【0009】上記オーバーレー紙の両面に施される絵付
けは、一の面と面対称の位置に平行移動した図柄であっ
てもよく、故意に位置をずらせて施されたものであって
もよく、又、一の面の図柄と、無関係な図柄であっても
よい。
【0010】上記オーバーレー紙への絵付け手段は、特
に限定されるものではないが、例えば、グラビア印刷方
式、グラビア・オフセット印刷方式、シルクスクリーン
印刷方式等の印刷機を用いる方法、染料を滲み込ませた
り絵の具を塗布する染色手段や描画手段が用いられても
よい。
【0011】上記オーバーレー紙の両面に絵付けが施さ
れた後、該オーバーレー紙に熱硬化性樹脂が含浸され
る。上記熱硬化性樹脂としては、該熱硬化性樹脂を含浸
させ、加熱硬化させたとき、裏面の図柄が透視可能とな
るものであれば特に限定されるものではないが、例え
ば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリレート樹
脂、ウレタンアクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹
脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0012】上記不飽和ポリエステル樹脂に用いられる
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレ
ングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチル
グリコール、ジブロムネオペンチルグリコール、ヘキサ
ンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペ
ンタエリスリトールジアリルエーテル等の脂肪族ポリオ
ール、水素化ビスフェノールA等の脂環族ポリオール、
ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノール
A或いはビスフェノールSにエチレンオキシド、プロピ
レンオキシド、ブチレンオキシドなどの脂肪族オキシラ
ン化合物を、1分子中に平均1〜20個の範囲で付加さ
せてえられるポリオキシアルキレンビスフェノールA或
いはビスフェノールS等の芳香族ポリオール等が挙げら
れる。
【0013】上記不飽和ポリエステル樹脂に用いられる
ポリカルボン酸としては、例えば、(無水)マレイン
酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、セバシン酸、アジ
ピン酸、(無水)コハク酸等の脂肪族ポリカルボン酸、
(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、メチ
ルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒ
ドロ無水フタル酸等の芳香族ポリカルボン酸等が挙げら
れる。
【0014】又、上記エポキシアクリレート樹脂に用い
られるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール
A型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ
樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型
エポキシ樹脂等が挙げられ、上記グリシジルアミン型エ
ポキシ樹脂としては、更に具体的に、テトラグリシジル
メタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビ
スアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジルジア
ミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフ
ェノール、トリグリシジル−m−アミノフェノール、ジ
グリシジル−o−トルイジンからなるもの等が挙げられ
る。
【0015】又、上記ウレタンアクリレート樹脂に用い
られるポリオールとしては、例えば、上記不飽和ポリエ
ステル樹脂に用いられたアルキレンジオールやポリエー
テルポリオール、上記アルキレンジオールやポリエーテ
ルポリオールと上記不飽和ポリエステル樹脂に用いられ
たポリカルボン酸の縮合化合物等のポリエステルポリオ
ール等が挙げられる。
【0016】上記ウレタンアクリレート樹脂に用いられ
るポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリメチ
レンポリフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0017】上記ウレタンアクリレート樹脂に用いられ
るアクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、(メタ)ア
クリル酸、(メタ)アクリル酸アミド、ジメチルアミド
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】上記熱硬化性樹脂には硬化剤が添加され
る。上記硬化剤としては、例えば、メチルエチルケトン
パーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイ
ド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサ
イド、キュメンヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビ
ス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチル
パーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシアセテート、
t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオ
キシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブ
チルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキ
シフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレー
ト、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジベンゾイルパーオキシヘキサン、t−ブ
チルパーオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−
t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート
等が挙げられ、中でも、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン等が、安全性等を含んでの
取扱易さ、反応性、コスト等を総合して好適に用いられ
る。
【0019】上記硬化剤の添加量は、反応性不飽和結合
を有する熱硬化性樹脂と共重合性モノマーの合計量10
0重量部に対して好ましくは0.1〜8重量部、より好
ましくは0.5〜5重量部である。上記硬化剤の添加量
が少な過ぎると加飾成形用シートの硬化が不充分とな
り、多過ぎると加飾成形用シートが黄変し易くなる傾向
がある。
【0020】上記熱硬化性樹脂は、オーバーレー紙への
含浸を容易ならしめるために、必要に応じて有機溶剤が
添加されてもよい。有機溶剤の添加によって、熱硬化性
樹脂組成物の粘度を低減し、就中、前記する粉末状のメ
ラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられる場合には、上
記有機溶剤に溶解してオーバーレー紙への含浸を容易な
らしめる。上記有機溶剤としては、分子量が好ましくは
30〜300、より好ましくは40〜250、更に好ま
しくは50〜200である。上記有機溶剤の分子量が大
き過ぎると、加飾成形用シートの硬化時の立体障害が大
きくなり、その硬化が不充分となり、小さ過ぎると、揮
発等の移行性が大きくなって加飾成形用シートの貯蔵安
定性が低下する。
【0021】又、上記有機溶剤の沸点は、好ましくは4
0〜300℃、より好ましくは40〜150℃である。
上記有機溶剤の沸点が高過ぎる場合、必然的に分子量が
大きくなるか、極性が大きくなるため、加飾成形用シー
トの硬化時の立体障害が大きくなり、その硬化が不充分
となり、低過ぎると、揮発等の移行性が大きくなって加
飾成形用シートの貯蔵安定性が低下すると共に、加飾成
形品の製造時に、含有有機溶剤が加飾成形用シートの着
色料を溶解し、図柄を不鮮明なものにするおそれがあ
る。
【0022】上記有機溶剤としては、例えば、アセトン
(分子量:58、沸点:56℃)、トルエン(分子量:
92、沸点:110℃)、エタノール(分子量:46、
沸点:80℃)、n−ブタノール(分子量:74、沸
点:118℃)、ベンゼン(分子量:78、沸点:80
℃)、クロロホルム(分子量:119、沸点:60
℃)、酢酸エチル(分子量:88、沸点:77℃)、メ
チルエチルケトン(分子量:72、沸点:79℃)、イ
ソプロパノール(分子量:60、沸点:97℃)等が挙
げられる。特に、アセトン、トルエン、酢酸エチルが含
浸性、貯蔵安定性及び価格の観点から好適に用いられ
る。
【0023】上記有機溶剤の添加量は、用いられるオー
バーレー紙、熱硬化性樹脂等の性状によって適宜決定さ
れる。又、上記有機溶剤の加飾成形用シート中の残留量
は、オーバーレー紙に対して好ましくは0.5〜8重量
%、より好ましくは0.8〜4重量%、更に好ましくは
1〜3重量%である。上記残留量が多過ぎる場合には、
加飾成形用シートがべたついて、取扱難いものとなり、
逆に少な過ぎると、加飾成形用シートの硬化が不充分と
なる。
【0024】上記熱硬化性樹脂は、必要に応じて、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、
充填剤等の各種添加剤が添加されてもい。
【0025】上記熱硬化性樹脂のオーバーレー紙への含
浸量は、得られる加飾成形品の用途によって決定される
が、通常、オーバーレー紙100重量部に対して50〜
200重量部、好ましくは75〜150重量部である。
【0026】上記熱硬化性樹脂のオーバーレー紙への含
浸手段は、特に限定されるものではないが、例えば、デ
ィッピング法、スプレー法、バーコーター、ロールコー
ター、コンマコーター等のコーターを用いるコーティン
グ法等が挙げられる。
【0027】上記加飾成形用シートの上面及び/又は下
面に上記熱硬化性樹脂からなる透明樹脂層が積層されて
もよい。これらの透明樹脂層は、上記加飾成形用シート
の作製に際して熱硬化性樹脂の含浸量を多少多くした程
度の厚さ数μmのものから、例えば、ガラス繊維等の光
線透過性を有する補強材を透明な熱硬化性樹脂層内に埋
設した透明樹脂層のように、透明樹脂層を充分な厚さに
積極的に積層した数mm以上に及ぶものまで採られる加
飾設計に基づき任意に定めることができる。又、上記透
明樹脂層は、例えば、屈折率等の光学的性能が異なる少
なくとも2種以上が積層されたものであってもよい。
【0028】上記透明樹脂層には、上記加飾成形用シー
トの加飾をより引き立てる加飾部材が分散されていても
よい。上記加飾部材としては、材質、形状、分散の度合
等、特に限定されるものではないが、例えば、光反射性
のを有する着色粒子、フレーク等が挙げられる。
【0029】上記透明樹脂層に用いられる熱硬化性樹脂
は、特に限定されるものではないが、例えば、上記加飾
成形用シートに用いられた熱硬化性樹脂が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、充填剤等の
各種添加剤が添加されてもい。
【0030】本発明において使用される熱硬化性樹脂成
形材料は、金型で加熱硬化して成形する成形法に用いら
れるものであれば、特に限定されるものではないく、ハ
ンドレイアップ法、スプレーアップ法、マッチドダイ法
或いはプリプレグ法におけるが如く、液状の成形材料で
あってもよいが、プリミックス法の圧縮成形におけるが
如く、チョップドストランドマットに不飽和ポリエステ
ル樹脂等と増粘剤、充填剤、離型剤、顔料等を混合した
樹脂コンパウンドを含浸し、ポリエチレンシートで両面
を被覆したSMCや不飽和ポリエステル樹脂等、繊維類
を短く切断した強化剤、充填剤、顔料、硬化剤等を練り
合わせて製造されるBMCであってもよい。
【0031】上記熱硬化性樹脂成形材料に用いられる熱
硬化性樹脂は、特に限定されるものではないが、例え
ば、先に説明した加飾成形用シートに用いられた熱硬化
性樹脂が挙げられる。上記熱硬化性樹脂には、必要に応
じて、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリメチル(メタ)ア
クリレート、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、酢酸ビニル−スチレン共重合体、ポリブタジエ
ン、飽和ポリエステル類、飽和ポリエーテル類等の熱可
塑性樹脂を低収縮剤として添加されてもよい。
【0032】上記熱可塑性樹脂の添加量は、熱硬化性樹
脂と後述する重合性単量体の合計量に対し、好ましくは
0.1〜30重量%、より好ましくは0.3〜20重量
%である。上記添加量が多過ぎると、熱硬化性樹脂成形
材料の粘度が高くなり成形時に充分な流動性が得られ難
くなり、逆に、少な過ぎる場合には、意図した成形収縮
の改善効果が得られ難くなる。
【0033】又、上記熱硬化性樹脂には、必要に応じ
て、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニル
ベンゼン、ジビニルトルエン、ジアリルフタレート、各
種(メタ)アクリレートモノマー等の重合性単量体がラ
ジカル反応開始剤と共に添加されてもよい。上記ラジカ
ル反応開始剤としては、例えば、先に説明した加飾成形
用シートに用いられた硬化剤がラジカル反応開始剤とし
て使用できる。
【0034】上記重合性単量体の添加量は、熱硬化性樹
脂と重合性単量体の合計量に対し、好ましくは1〜70
重量%、より好ましくは3〜50重量%である。上記添
加量が少な過ぎると、熱硬化性樹脂成形材料の粘度が高
くなり成形時に充分な流動性が得られ難くなり、逆に、
多過ぎる場合には、加飾成形用シートとの密着性が低下
する。又、ラジカル反応開始剤の添加量は、熱硬化性樹
脂と重合性単量体の合計量100重量部に対し、好まし
くは0.3〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量
部である。上記添加量が少な過ぎると、熱硬化性樹脂成
形材料の硬化速度が遅くなり生産性を低下させ、逆に、
多過ぎる場合には、熱硬化性樹脂成形材料が硬化時に黄
変するおそれがある。
【0035】上記熱硬化性樹脂成形材料は、必要に応じ
て、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、導電性付
与剤、抗菌剤、防黴剤、補強繊維、充填剤、着色剤、硬
化促進剤、重合禁止剤、離型剤等の各種添加剤が添加さ
れてもい。上記補強繊維としては、例えば、ガラス繊
維、カーボン繊維等が挙げられる。これらの補強繊維の
添加量は、加飾成形品の用途等によって決定されるが、
通常、好ましくは熱硬化性樹脂と重合性単量体の合計量
100重量部に対し、好ましくは1〜100重量部、よ
り好ましくは3〜90重量部である。上記添加量が少な
過ぎると、熱硬化性樹脂成形材料の補強硬化が得られ
ず、逆に、多過ぎる場合には、熱硬化性樹脂成形材料の
粘度が高くなり成形時に充分な流動性が得られ難くな
る。
【0036】上記充填剤としては、例えば、グラファイ
ト、ダイヤモンド等の元素鉱物、岩塩、カリ岩塩、炭酸
カルシウム、藍鉄鉱、カルノー石、重晶石、石膏、ほう
砂、灰チタン石、雲母、タルク、水酸化アルミニウム、
ガラスバルーン等が挙げられる。
【0037】又、上記着色剤としては、特に限定される
ものではないが、中でも、酸化チタン、チタンイエロ
ー、キナクドリンレッド、キナクドリンマゼンタ、フタ
ロシアニンブルー、酸化鉄、カーボンブラック、鉄黒、
アルミニウムフレーク等は、上記熱硬化性樹脂成形材料
の硬化性に影響を及ぼすことが少ないので好適に用いら
れる。
【0038】上記熱硬化性樹脂成形材料に対する着色剤
の添加量は、特に限定されるものではなく、加飾成形品
の加飾方法によって決定されるものであるが、熱硬化性
樹脂成形材料の樹脂分100重量部に対して、好ましく
は1〜100重量部、より好ましくは3〜50重量部で
ある。又、上記充填剤の添加量は、好ましくは300重
量部以下、より好ましくは200重量部以下であり、上
記着色剤と充填剤の合計添加量は、好ましくは30〜3
20重量部、より好ましくは40〜200重量部であ
る。上記着色剤、充填剤の添加量が少な過ぎると、前記
加飾成形用シート背面の熱硬化性樹脂成形材料の隠蔽性
が充分に得られないおそれがあり、逆に、多過ぎる場合
には、熱硬化性樹脂成形材料の粘度が高くなり成形時に
充分な流動性が得られ難くなる。
【0039】これらの添加剤を配合した上記熱硬化性樹
脂成形材料は、金型を用いて成形されるが、成形機の種
類は特に限定されるものではなく、採られる成形方法に
適した成形機及び金型が決定される。上記成形機として
は、例えば、プレス成形機が好適に用いられ、圧縮成形
用の上下分割型の金型が使用される。上記上下分割型の
金型は、一般に、上型が可動型、下型が固定型として用
いられる。以下の説明において、上型及び下型はこのよ
うな分割型の金型の上型及び下型を意味している。
【0040】上記下型表面の所定位置に加飾成形用シー
トをその表面が接するように載置し、該加飾成形用シー
トの裏面に、SMC等の熱硬化性樹脂成形材料を積層し
てその所定量を充填し、加熱しながら上型をプレス成形
機で圧縮して行き所定温度圧力にて成形される。上記加
熱温度及び圧力は、用いられる熱硬化性樹脂成形材料等
の性状、成形される形状等に応じて適宜設定される。
【0041】上記加飾成形用シートの加飾面は、得られ
る加飾成形品の用途によって決められるものであるので
あるが、例えば、得られる加飾成形品の一表面全体(通
常、これらの製品の裏面は建築物内に隠れてしまうの
で、露出する面全体が加飾されることになる。)であっ
てもよく、部分、部分を特定して加飾するものであって
もよい。
【0042】請求項2記載の発明の加飾成形品の製造方
法において、透明な樹脂層を形成し得る熱硬化性樹脂成
形材料は、透明な樹脂層を形成し得るものであれば、特
に限定されるものではないが、例えば、請求項1記載の
発明の加飾成形品の製造方法において上記加飾成形用シ
ートもしくは熱硬化性樹脂成形材料に用いられた熱硬化
性樹脂及び添加剤が同様に挙げられる。
【0043】又、上記透明な樹脂層の透明性の程度は、
該樹脂層に分散された加飾部材がその表面から透視可能
であればよく、加飾方法によって適宜決定される。上記
透明な樹脂層には、必要に応じて、ガラス繊維の編織布
や不織布等の補強材が埋設されてなるものであってもよ
い。
【0044】又、上記透明な樹脂層に分散させる加飾部
材としては、上記透明な樹脂層を構成する熱硬化性樹脂
成形材料に悪影響を及ぼすおそれのないものであれば特
に限定されるものではなく、例えば、金属、陶磁器、そ
の他のセラミックス、土石、プラスチックス、木材、竹
材、紙、繊維、織布、不織布、これらの加工物、複合物
等が挙げられる。
【0045】上記加飾部材は、例えば、上記ガラス繊維
の編織布や不織布を埋設した1層の透明な樹脂層の上面
にのみ分散されてもよく、2層の透明な樹脂層の上面及
び中間層に分散されてもよく、その他、加飾成形用シー
トの絵柄の意匠性を阻害しない範囲において各種の加飾
部材分散層の設定が可能である。
【0046】上記加飾部材は、粒子状、フレーク状等微
細構造の分散体であってもよいが、光線透過率の高い幅
広の織布、不織布等であってもよい。特に加飾成形用シ
ートの裏面に積層される透明な樹脂層にあっては、背後
の熱硬化性樹脂成形材料からなる層を一部隠蔽する程度
に幅広の分散体であってもよい。
【0047】上記加飾部材を分散した透明な熱硬化性樹
脂層は、図2に示されるように、加飾成形品の加飾成形
用シート6の露出表面に積層されるものであるが、更
に、図3に示されるように、上記加飾成形用シート6と
熱硬化性樹脂成形材料層41との間に設けられてもよ
い。
【0048】請求項1記載の発明の加飾成形品の製造方
法は、叙上のように、オーバーレー紙は、熱硬化性樹脂
を含浸させ、加熱硬化させたとき、裏面の図柄が透視可
能となるものであり、該オーバーレー紙の背面が熱硬化
性樹脂成形材料層によって隠蔽されているので、オーバ
ーレー紙裏面の図柄が透視層を透し、表面の図柄と一体
となって観察者に立体的な図柄として認識させるもので
あって、極めて高度な加飾効果を奏するものである。
【0049】特に、上記加飾成形用シートの表面に、透
明樹脂層が積層されている場合には、図柄の立体感を一
層顕著にすると共に、使用による表面層の磨耗を防止す
ることによって、用いられた補強材の繊維間に黴等の繁
殖することがない等、長らく衛生的にも美麗に保持する
ことができる加飾成形品を製造することができる。
【0050】請求項2記載の発明の加飾成形品の製造方
法は、叙上のように、加飾成形用シートの表面に、加飾
部材を分散させた透明な熱硬化性樹脂層を積層している
ので、オーバーレー紙裏面の図柄が透視層を透して、表
面の図柄と一体となり、更に、加飾部材を分散した透明
樹脂層を積層することによって、上記加飾成形用シート
の図柄とこれらの加飾部材の透過光及び反射光が複雑に
絡み合って、観察者に立体的な図柄として認識させるも
のであるので、極めて高度な加飾効果を奏するものであ
る。
【0051】更に、加飾成形品の加飾成形用シート層の
表面を加飾部材を分散させた透明な熱硬化性樹脂層を設
けることによって、堅牢な表面性質を付与することだけ
に留まらず、ユニットバスの防水パンのように、水や湿
気に曝され、乾き難い環境で使用される製品にあって、
これら防水パンの表面層が磨耗して、細かな隙間を多く
持っている繊維補強材が露出するおそれがないので、黒
色や赤紫色等のしみを作る黴等の微生物の繁殖チャンス
を少なくする等、防黴性を含めた衛生的な加飾成形品を
製造し得るものである。
【0052】
【発明の実施の形態】以下実施例に基づき本発明を具体
的に説明する。
【0053】(実施例1) 〔成形機及び金型〕 成形機:川崎油工社製、プレス成形機(800トン) 金型:1m×1mの方形平板成形用、下型(固定型)、
上型(可動型)共加熱手段(電気ヒーター)及び冷却手
段(冷却水循環ジャケット)を装備した。
【0054】〔オーバーレー紙の調製〕厚さ0.12m
mのオーバーレー紙(興人社製、目付け量85g/
2 、充填剤として水酸化アルミニウム配合)の表面
(金型接触面側)には直径0.5〜2mmの粒子形状
を、灰色:茶色=5:1の割合で印刷部分の面積が50
%となるようにグラビア印刷方式で印刷し、裏面(熱硬
化性樹脂成形材料接触面側)には直径0.5〜2mmの
黒色粒子形状を、印刷部分の面積が30%となるように
疎らにグラビア印刷方式で印刷(石目柄)してオーバー
レー紙を調製した。
【0055】〔加飾成形用シートの調製〕上記オーバー
レー紙に、イソフタル酸系の不飽和ポリエステル樹脂
(数平均分子量約2000)の40重量%アセトン溶液
50重量部、ジアリルフタレート樹脂(数平均分子量約
700)の45重量%アセトン溶液50重量部及びt−
ブチルパーオキシベンゾエート(1時間半減期温度12
4.7℃)1.5重量部からなる熱硬化性樹脂組成物中
に、上記オーバーレー紙を浸漬して熱硬化性樹脂組成物
を含浸させ、ロール間を通して余剰の熱硬化性樹脂組成
物を除去した後、70℃のオーブンで乾燥させ、熱硬化
性樹脂含浸量80重量部(オーバーレー紙100重量部
に対し)の加飾成形用シートを調製した。
【0056】〔熱硬化性樹脂成形材料の調製〕イソフタ
ル酸系の不飽和ポリエステル樹脂(数平均分子量約20
00)の40重量%スチレン溶液70重量部、ポリスチ
レン(重量平均分子量約95000)の65重量%スチ
レン溶液30重量部、t−ブチルパーオキシイソプロピ
ルカーボネート1.5重量部、炭酸カルシウム粉末(日
東粉化社製、商品名「NS−100」)120重量部、
酸化チタン粉末(堺化学工業社製、商品名「SR−
1」)6重量部、酸化マグネシウム粉末(協和化学工業
社製、商品名「キョウワマグ150」)1重量部及びス
テアリン酸亜鉛(堺化学工業社製)3重量部を混練して
充分混合した熱硬化性樹脂組成物を、SMC製造装置を
用いて、長さ25mmのガラス繊維(旭ファイバーグラ
ス社製ロービング、商品名「ER4630LBD166
W」を切断したもの)70重量部に含浸させ、40℃に
て24時間熟成して厚さ約2mmの熱硬化性樹脂成形材
料を調製した。
【0057】図1に示すように、142℃に加熱された
下型に、80cm×80cmの上記加飾成形用シートの
表面を下向きに載置し、その上から50cm×50cm
の大きさに裁断された上記熱硬化性樹脂成形材料5枚
を、加飾成形用シートの載置から、60秒間内に積層し
てチャージし、130℃加熱された上型を型締めし、7
0kg/cm2 の圧力で300秒間加圧して加飾成形品
を作製した。
【0058】(比較例1)実施例1の加飾成形用シート
に替えて、二酸化チタン40重量%を含有するチタン紙
を用いたこと以外、実施例1と同様にして、加飾成形品
を作製した。
【0059】(比較例2)比較例1のオーバーレー紙の
一表面のみに加飾用印刷を施したこと以外、比較例1と
同様にして、加飾成形品を作製した。
【0060】実施例1、比較例1及び比較例2で得られ
た加飾成形品の性能を評価するため、加飾成形用シート
層の光線透過率及び加飾部分の意匠性を以下に示す方法
によって評価した。評価結果は表1に示す。
【0061】1.光線透過率:加飾成形用シートを加飾
成形品の作製条件と同条件で熱プレスした試料について
光線透過率を測定した。
【0062】2.意匠性評価:無作為抽出した47名の
評価によって、加飾成形品を自然光の下で観察し、立体
感を中心にその意匠性を、○:立体感があって加飾部分
が強い印象を与えたもの、×:平面的でプリントした模
造品という印象を与えたもの、の2段階で評価した。本
評価については、評価が別れず、全員一致であったの
で、数量的表示は省略した。
【0063】
【表1】
【0064】表1からも明らかなように、本発明の実施
例1の加飾成形品の製造方法は、熱硬化性樹脂を含浸し
たオーバーレー紙を、加熱硬化させたとき、裏面の図柄
を透視可能とし、該オーバーレー紙の印刷を両面印刷に
しているので、従来のチタン紙のようなTiO2 によっ
て隠蔽力を高め、表面に印刷した図柄を鮮明にするとい
った比較例1及び2の加飾成形品の製造方法では到底得
ることができない立体感があって加飾部分が強いインパ
クトを与える加飾成形品を製造することができる。これ
らの意匠性の評価は光線透過率の差によっても裏付けら
れている。
【0065】(実施例2) 〔加飾部材が分散された透明な熱硬化性樹脂層用プリプ
レグシートの調製〕チョップドストランドマット(目付
け量300g/m2 )2枚の間に、以下に示すポリエチ
レンテレフタレートフィルムを粉砕した着色微粉体を散
布し、チョップドストランドマット及び着色微粉体の各
々が、実施例1の加飾成形用シートの調製に用いられた
イソフタル酸系の不飽和ポリエステル樹脂(硬化剤とし
て、メチルエチルケトンパーオキサイド1重量部を含
む)100重量部に対し、30重量部となるようにプリ
プレグシートを調製した。
【0066】(加飾部材) 白色微粉体(粒径0.2mm):(粒径1.5mm):
(粒径2mm)=2:4:2(重量比) 黒色微粉体(粒径0.2mm):(粒径2mm)=2:
3(重量比) 灰色微粉体(粒径0.3mm):(粒径1mm)=2:
2(重量比)
【0067】〔熱硬化性樹脂成形材料の調製〕イソフタ
ル酸系の不飽和ポリエステル樹脂100重量部、t−ブ
チルパーオキシベンゾエート1重量部、平均粒径10μ
mのシランカップリング剤表面処理炭酸カルシウム18
0重量部、酸化チタン粉末(堺化学工業社製、商品名
「SR−1」)6重量部、酸化マグネシウム粉末(協和
化学工業社製、商品名「キョウワマグ150」)1重量
部及びステアリン酸亜鉛(堺化学工業社製)3重量部を
混練して充分混合した熱硬化性樹脂組成物を、SMC製
造装置を用いて、長さ25mmのガラス繊維に樹脂分含
有量が27重量%となるように含浸させ、40℃にて2
4時間熟成して厚さ約2mmの熱硬化性樹脂成形材料を
調製した。
【0068】実施例1と同様なプレス成形機を用いて、
図2に示す加飾成形品の部材構成で、145℃に加熱さ
れた下型(防水パン用金型、1100mm×1600m
m)に、上記加飾部材が分散された透明な熱硬化性樹脂
層用プリプレグシート(1100mm×1600mm)
を載置し、次いで、実施例1で用いたと同じ構成の11
00mm×1600mmの加飾成形用シートの表面を下
向きに載置し、最後に、上記熱硬化性樹脂成形材料(S
MC)を可及的平坦になるように充填し、その上から1
35℃加熱された上型を型締速度0.5mm/secで
型締めし、75kg/cm2 の圧力で600秒間加圧し
て加飾成形品を作製した。
【0069】(実施例3)実施例2の加飾部材が分散さ
れた透明な熱硬化性樹脂層用プリプレグシートに替え
て、2枚のチョップドストランドマットの各々の上下両
面(従ってチョップドストランドマット2枚の間にも)
実施例2と同様の比率で加飾部材を分散し、実施例2と
同様の比率で不飽和ポリエステル樹脂を含浸させてプリ
プレグシートを調製したこと以外、実施例2と同様にし
て加飾成形品を作製した。
【0070】(比較例3)実施例2の加飾部材が分散さ
れた透明な熱硬化性樹脂層用プリプレグシートに替え
て、加飾部材を用いなかったこと以外、実施例2と同様
にして調製されたプリプレグシートを用い、実施例2の
加飾成形用シートに替えて、比較例2の片面のみに石目
柄の加飾印刷が施された加飾成形用シートを用いたこと
以外、実施例2と同様にして加飾成形品を作製した。
【0071】(比較例4)実施例2の加飾部材が分散さ
れた透明な熱硬化性樹脂層用プリプレグシートに替え
て、1枚のチョップドストランドマットの上面(下型表
面に接する面)にのみ、実施例2と同じ分散度合で加飾
部材が分散されたプリプレグシートを用い、、実施例2
の加飾成形用シートに替えて、比較例2の片面のみに石
目柄の加飾印刷が施された加飾成形用シートを用いたこ
と以外、実施例2と同様にして加飾成形品を作製した。
【0072】(比較例5)比較例2の加飾成形品を実施
例2及び実施例3と対比し、比較例5として評価した。
【0073】実施例2、実施例3及び比較例3〜5で得
られた加飾成形品の性能を評価するため、加飾部分の意
匠性及び耐磨耗性を以下に示す方法によって評価した。
評価結果は表2に示す。
【0074】1.意匠性評価:無作為抽出した47名の
評価によって、加飾成形品を自然光の下で観察し、立体
感を中心にその意匠性を、○:立体感があって加飾部分
が強い印象を与えたもの、×:平面的でプリントした模
造品という印象を与えたもの、の2段階で評価した。本
評価については、評価が別れず、全員一致であったの
で、数量的表示は省略した。
【0075】2.耐磨耗性:亀の子たわしに2kgの荷
重をかけて、20cm間を2万回擦って、摩擦面の状態
を目視で観察し、○:加飾成形用シート層が正常に見
え、異常発生のないもの、×:加飾成形用シート層が擦
過傷により破損したもの、の2段階で評価した。
【0076】
【表2】
【0077】表2の意匠性評価の項目から明らかなよう
に、本発明の加飾成形品の製造方法で得られる実施例2
及び実施例3の加飾成形品は、加飾成形用シート層の表
面の図柄と裏面の図柄が一体となって観察者の視角に飛
び込み、立体的な図柄として認識させるものであるの
で、極めて高度な加飾効果を与えるものであって、従来
のチタン紙のようなTiO2 によって隠蔽力を高め、表
面に印刷した図柄を鮮明にするといった比較例3〜5の
加飾成形品の製造方法では到底得ることができないもの
であることを示している。
【0078】更に、耐磨耗性の項目から明らかなよう
に、本発明の加飾成形品の製造方法で得られた実施例2
及び実施例3の加飾成形品は、堅牢な表面性質を有する
ことに留まらず、ユニットバスの防水パンのように、水
や湿気に曝される、乾き難い環境で使用される製品にあ
って、加飾成形品の加飾成形用シート層の表面を加飾部
材を分散させた透明な熱硬化性樹脂層で被覆保護してい
るので、これら加飾成形品の表面層が磨耗して、細かな
隙間を多く持っている繊維補強材が露出するおそれがな
く、黒色や赤紫色等のしみを作る黴等の微生物の繁殖チ
ャンスを少なくなる等、防黴性を含めた衛生的な加飾成
形品を製造し得ることを示している。
【0079】
【発明の効果】請求項1記載の加飾成形品を製造方法
は、叙上のように構成されているので、オーバーレー紙
の両面に施された絵柄が、表面の図柄と裏面の図柄が一
体となって観察者の視角に飛び込み、立体的な図柄とし
て認識させるものであるので、極めて高度な加飾効果を
与えるものである。特に、上記加飾成形用シートの露出
表面に、透明樹脂層が積層されている場合には、図柄の
立体感を一層顕著にすると共に、使用による表面層の磨
耗を防止することによって、用いられた補強材の繊維間
に黴等の繁殖することがない等、長らく衛生的にも美麗
に保持することができる加飾成形品を製造することがで
きる。
【0080】請求項2記載の加飾成形品の製造方法は、
叙上のように構成されているので、加飾成形用シートの
図柄とこれらの加飾部材の透過光及び反射光が複雑に絡
み合って、観察者に立体的な図柄として認識させるもの
であるので、極めて高度な加飾効果を奏するものであ
る。
【0081】更に、加飾部材を分散させた透明な熱硬化
性樹脂層は、堅牢な表面性質を付与することに留まら
ず、ユニットバスの防水パンのように、水や湿気に曝さ
れ、乾き難い環境で使用される製品にあって、黒色や赤
紫色等のしみを作る黴等の微生物の繁殖チャンスを少な
くする等、防黴性を含めた衛生的な加飾成形品を製造し
得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するための設備の一例を示し、本
発明の加飾成形品の製造方法を説明するための説明図で
ある。
【図2】請求項2記載の発明の加飾成形品の製造方法で
得られる加飾成形品の実施の一例を示す断面図である。
【図3】請求項2記載の発明の加飾成形品の製造方法で
得られる加飾成形品の実施の他の例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 金型(上型) 2 金型(下型) 3 加飾成形用シート 4 熱硬化性樹脂成形材料 41 熱硬化性樹脂成形材料層 5 加飾部材を分散させた透明な熱硬化性樹脂層 6 加飾成形用シート 61 オーバーレー紙 62 加飾印刷層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オーバーレー紙の両面に絵付けを施し、
    熱硬化性樹脂を含浸させた加飾成形用シートを表面層と
    して用い、該加飾成形用シートの裏面に熱硬化性樹脂成
    形材料を積層もしくは充填し、加熱硬化して成形する加
    飾成形品の製造方法であって、上記オーバーレー紙は、
    熱硬化性樹脂を含浸させ、加熱硬化させたとき、裏面の
    図柄が透視可能となるものであることを特徴とする加飾
    成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記金型で加飾成形用シートの露出表面
    に加飾部材を分散させた透明な熱硬化性樹脂層を積層
    し、加熱硬化させる請求項1記載の加飾成形品の製造方
    法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019004952A1 (en) * 2017-06-29 2019-01-03 Karapinar Coskun PRODUCTION OF DECORATIVE AND CUSTOM PRODUCTS USING COMPOSITE MATERIALS

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