JPH08149946A - 魚節または魚節加工品の製造法 - Google Patents

魚節または魚節加工品の製造法

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JPH08149946A
JPH08149946A JP6315995A JP31599594A JPH08149946A JP H08149946 A JPH08149946 A JP H08149946A JP 6315995 A JP6315995 A JP 6315995A JP 31599594 A JP31599594 A JP 31599594A JP H08149946 A JPH08149946 A JP H08149946A
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fish
amino acid
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sugar
processed
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JP6315995A
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Hidehiko Wakabayashi
秀彦 若林
Kyosuke Ishiguro
恭佑 石黒
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 魚節または魚節加工品に存在する苦渋味など
の好ましくない味の発現を抑止し、長期間に亙り好まし
い呈味、香味を安定に保持可能な魚節、魚節加工品を取
得する。 【構成】 魚節または魚節加工品の製造工程において、
側鎖に炭素原子の数が3以下のアルキル基を有する分枝
脂肪族構造を有するα−アミノ酸および糖を含有する混
合物を食品の調理条件下で加熱反応を行い、その加熱生
成物を添加する。 【効果】 好ましくない味の発現を抑止し、長期間に亙
り好ましい呈味、香味を安定に保持可能な魚節または魚
節加工品を取得できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、魚節または魚節加工品
の製造法、詳しくは、鰹節を代表とする各種の魚節製品
またはそれらの切削フレーク、破砕篩分品、粉末、顆粒
成形品、調味加工品などの魚節加工品の製造法に関す
る。
【0002】更に詳しくは、本発明は、魚節または魚節
加工品中に存在する苦渋味あるいは金属味などの異味を
低減、解消し、良質かつ好ましい呈味性及び香味性を強
調すると共に、その好ましい呈味性及び香味性を長期間
に亙って安定に保持可能な魚節または魚節加工品の製造
法に関するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、鰹節、鯖節、鰯節、宗太節、うる
め節などの魚節の基本的な製造法としては、鰹、鯖、
鰯、宗太鰹、潤目鰯などの赤身の鮮魚より肉部を採り、
煮熟後整形し、必要により再整形し、焙乾により乾燥
後、「かび付け」を行い熟成する方法が実施されてき
た。
【0004】現在でもこの基本的な製造法には変わりは
ないが、良質の原料魚は、恒常的に払底傾向にあるた
め、従来に比較して低品位の原料魚をも利用せざるを得
ないのが現状である。従って、従来の魚節の製造法を、
その侭、低品位の原料魚に適用するときには、低品位の
魚節製品、魚節加工品が齎される結果となっている。
【0005】また、低品位の魚節製品または魚節加工品
の中には、含有する無機成分あるいは特殊なペプチド並
びに原料特有の成分に由来する苦渋味あるいは金属味な
どの異味成分、いわゆる嫌味成分が存在し、魚節製品ま
たは魚節加工品の良質かつ好ましい呈味効果及び香味効
果を阻害している場合が多い。
【0006】魚節製品または魚節加工品の呈味及び香味
の改善のために、これらの異味成分を魚節製品または魚
節加工品あるいはそれらの原料から除去することも考え
られるが、異味成分を効果的かつ選択的に除去すること
は相当に困難であり、異味を識別できない程度に迄除去
しようとすると、魚節製品または魚節加工品中の好まし
い呈味成分及び香味成分までも除去され、また、呈味及
び香味を強調する補助成分、いわゆる「こく味」、「香
味」などの微妙なバランスが損なわれてしまうことが多
い。
【0007】従って、異味成分を魚節製品または魚節加
工品、あるいはそれらの原料から除去することは、呈
味、香味の改善された魚節製品または魚節加工品の製造
法として、必ずしも適当ではない。
【0008】このため、魚節製品や魚節加工品中の異味
を識別できないようにするため、あるいは異味をより好
ましい呈味に変化せしめるために、可食性の成分を添加
することによって所謂「マスク」する方法が考えられて
いる。この可食性の成分を添加する方法は、魚節製品ま
たは魚節加工品の本来の呈味成分または香味成分の性質
を変化せしめることなく、また、呈味成分間、香味成分
間のバランスを損なうこともないので、異味成分を除去
する方法に比較して、はるかに有効、且つ、より実際的
な方法と評価できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明にあっては、有
効、且つ、実際的な方法により魚節製品または魚節加工
品中に存在する異味を感知させず、魚節製品または魚節
加工品中の本来のバランスのとれた好ましい呈味及び香
味を有する魚節製品または魚節加工品を製造することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題の解決に関し、鋭意、研究を重ねた結果、以下の通り
の(1)〜(3)の知見を得た。
【0011】(1)魚節製品または魚節加工品中の異味
を識別できないように、あるいは異味をより好ましい呈
味に変化せしめるためには、特定の可食性の成分を添加
する方法が有効である。
【0012】(2)その可食性の成分としては、魚節製
品または魚節加工品中の呈味成分の呈味性及び呈味成分
間のバランスを変化せしめる成分は回避すべきであり、
すなわち、可食性成分自体の呈味は無味あるいは可及的
低味であるべきである。
【0013】(3)その可食性成分の有効な添加量に
は、特定の添加量比範囲が存在する。
【0014】さらに、これらの要件に適合する可食性成
分について、広範囲に及ぶ多種類の可食性成分を検索、
検討の結果、以下の(4)の知見を得た。
【0015】(4)側鎖に炭素原子の数が3以下のアル
キル基よりなる分枝脂肪族構造を有するα−アミノ酸と
糖とを含有する混合物を、食品の調理加熱条件下で加熱
した反応生成物が最も適当である。
【0016】本発明は、これらの知見に基づいて完成さ
れたものである。
【0017】すなわち、請求項1に記載の第1発明は、
呈味、香味の改善された魚節の製造法に関するものであ
り、魚節の製造工程において、側鎖に炭素原子の数が3
以下のアルキル基よりなる分枝脂肪族構造を有するα−
アミノ酸と糖とを含有する混合物を、食品の調理加熱条
件下で加熱して得た反応生成物を添加することを特徴と
する魚節の製造法である。
【0018】請求項2に記載の第2発明は、呈味、香味
の改善された魚節の製造法に関するものであり、第1発
明において、側鎖に炭素原子の数が3以下のアルキル基
よりなる分枝脂肪族構造を有するα−アミノ酸として、
バリン、ロイシン、イソロイシン並びに炭素原子の数が
2以下のアルキルエステル残基を有するそれらのα−ア
ミノ酸エステルよりなる群から選択されたα−アミノ酸
を用いることを特徴とする魚節の製造法である。
【0019】請求項3に記載の第3発明は、呈味、香味
の改善された魚節の製造法にするものであり、第1発明
において、糖として、モノサッカライド、ジサッカライ
ド、トリサッカライド、糖アルコール及びそれらの混合
物よりなる群から選択された糖を用いることを特徴とす
る魚節の製造法である。
【0020】請求項4に記載の第4発明は、呈味、香味
の改善された魚節加工品の製造法に関するものであり、
魚節加工品の製造工程において、側鎖に炭素原子の数が
3以下のアルキル基よりなる分枝脂肪族構造を有するα
−アミノ酸と糖とを含有する混合物を食品の調理加熱条
件下で加熱して得た反応生成物を添加することを特徴と
する魚節加工品の製造法である。
【0021】請求項5に記載の第5発明は、第4発明を
特定する関係を有する発明であり、第4発明において、
側鎖に炭素原子の数が3以下のアルキル基よりなる分枝
脂肪族構造を有するα−アミノ酸として、バリン、ロイ
シン、イソロイシン並びに炭素原子の数が2以下のアル
キルエステル残基を有するそれらのα−アミノ酸エステ
ルよりなる群から選択されたα−アミノ酸を用いること
を特徴とする魚節加工品の製造法である。
【0022】請求項6に記載の第6発明は、第4発明を
特定する関係を有する発明であり、第4発明において、
糖として、モノサッカライド、ジサッカライド、トリサ
ッカライド、糖アルコール及びそれらの混合物よりなる
群から選択された糖を用いることを特徴とする魚節加工
品の製造法である。
【0023】
【作用】本発明の第1発明〜第6発明のいずれにおいて
も、使用する添加物は、側鎖に炭素原子の数が3以下の
アルキル基よりなる分枝脂肪族構造を有するα−アミノ
酸と糖とを含有する混合物を、食品の調理加熱条件下で
加熱して得た反応生成物である。
【0024】本発明において、側鎖に炭素原子の数が3
以下のアルキル基よりなる分枝脂肪族構造を有するα−
アミノ酸として、バリン、ロイシン、イソロイシン並び
に炭素原子の数が2以下のアルキルエステル残基を有す
るそれらのα−アミノ酸エステルよりなる群から選択さ
れるα−アミノ酸が好ましいアミノ酸として選択される
(第2発明及び第5発明)。
【0025】これらのアミノ酸は、特に高純度の標品を
選択する必要はないが、側鎖に炭素原子の数が3以下の
アルキル基よりなる分枝脂肪族構造を有するα−アミノ
酸を有するα−アミノ酸群以外の他のアミノ酸群に属す
るアミノ酸については、これを可及的に混入していない
標品を使用するとよい。他のアミノ酸群に属するアミノ
酸あるいはペプチド類などを高濃度に混入している混合
物に由来する加熱反応生成物は、本発明で使用する添加
物としては好ましくない。
【0026】尚、蛋白質の加水分解物をイオン交換樹脂
処理などの方法により処理して得られる分画区分、即
ち、側鎖に炭素原子の数が3以下のアルキル基よりなる
分枝脂肪族構造を有するα−アミノ酸を高濃度に含有す
る分画区分、例えば脱脂したエダム型硬質チーズの酸加
水分解物をアニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂及び脱
色樹脂により処理して取得するバリン高濃度分画区分
は、本発明のα−アミノ酸原料として有用である。
【0027】糖としては、多糖以外の各種の糖が使用さ
れる。特に、モノサッカライド、ジサッカライド、トリ
サッカライド、糖アルコール及びそれらの混合物よりな
る群から選択された糖が好ましい糖として選択される
(第3発明及び第6発明)。
【0028】より具体的には、モノサッカライドとして
はグルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロー
ス、リボースが、ジサッカライドとしてはサッカロース
(蔗糖)、セロビオース、ラクトース、マルトース、ト
レハロースが、トリサッカライドとしてはマルトトリオ
ースが、糖アルコールとしてはソルビトール、マンニト
ール、エリスリトール、グリセリンが、それらの混合物
としては高濃度フルクトース含有転化液糖シロップ(H
FS)が各々例示される。
【0029】なお、これらの糖は特に高純度の標品を選
択する必要はないが、可及的に糖以外の物質を混入して
いない標品を使用するとよい。例えばラクトースを使用
する場合、乳蛋白、乳脂肪の混入した糖の標品及びα−
アミノ酸を含有する混合物の加熱反応生成物には、チー
ズ様あるいは洋菓子様の香気が生成するので、かかる生
成物は魚節または魚節加工品に対する添加物としては適
当でない。
【0030】α−アミノ酸に対する糖の混合比は、当量
または当量以上の範囲から選択される。但し、糖が大過
剰の場合には加熱反応生成物にカラメル様の香気が強調
され過ぎるので適当でない。
【0031】側鎖に炭素原子の数が3以下のアルキル基
よりなる分枝脂肪族構造を有するα−アミノ酸と糖とを
含有する混合物は、通常の食品の調理加熱条件下に加熱
される。すなわち、解放系または半解放系で加熱され
る。具体的には50℃以上105℃以下の温度範囲が選
択される。
【0032】密閉加圧系における加熱、例えばオートク
レーブ内での高温加熱下では、所期の性質を有する加熱
反応生成物は生成しないので、かかる加熱条件は本発明
の方法にあっては適当でない。
【0033】通常の食品の調理加熱条件下の加熱は、1
0分以上12時間程度の範囲で行われる。通常、加熱は
均一、且つ、徐々におこなわれ、必要により湯煎などの
間接加熱を行ってもよい。
【0034】加熱反応時のpHも亦、通常の食品の調理
条件の範囲から選択される。即ち、弱酸性より弱塩基性
の範囲、より具体的にはpH2〜8の範囲が選択され
る。
【0035】なお、混合した香味の加熱反応生成物を魚
節または魚節加工品に添加する場合には、選択した特定
の組み合わせのα−アミノ酸及び糖よりなる混合物を加
熱反応せしめて取得する個別の反応生成物を、他の加熱
反応生成物と混合して添加すべきである。加熱以前にα
−アミノ酸を混合し加熱反応する場合には、所期の香気
が発現しない場合が多い。また、発現しても該加熱反応
物には、その特徴とする香気の冴えが失われることが多
い。
【0036】本発明における側鎖に炭素原子の数が3以
下のアルキル基よりなる分枝脂肪族構造を有するα−ア
ミノ酸と糖とを含有する混合物の加熱反応物は、酸味及
び食欲をそそる香気を有し、魚節または魚節加工品中に
存在する嫌味成分を「マスク」する効果並びに魚節また
は魚節加工品の呈味及び香味の保存安定化効果を有す
る。また、本加熱反応物には魚節または魚節加工品の有
する燻製様香味を強調する効果もある。
【0037】第1発明における魚節としては、鰹節、鯖
節、鰯節、宗太節、うるめ節などが挙げられる。すなわ
ち、鰹、鯖、鰯、宗太鰹、潤目鰯などの赤身の鮮魚より
肉部を採り、煮熟後整形し、必要により再整形し、焙乾
により乾燥後、「かび付け」を行い熟成する方法により
製造される魚節である。但し、原料魚あるいは製造方法
は上記の方法、工程に限定されるものではなく、種々の
変更があり得る。
【0038】例えば、原料魚の一部を白身の魚に置換え
たり、肉部の採取を省略して魚体全部を利用したり、焙
乾あるいは「かび付け」に要する時間を短縮したり、あ
るいはそれらの工程を省略するなど、種々の変更を採用
しうることは述べるまでもない。従って、「かび付け」
工程を省略して製造する「煮干し」「焼干し」などの魚
節類似品も亦、本発明の対象に含まれる。
【0039】第1発明の方法において、側鎖に炭素原子
の数が3以下のアルキル基よりなる分枝脂肪族構造を有
するα−アミノ酸と糖とを含有する混合物の加熱反応物
の添加は、魚節の製造工程中、任意の工程において実施
される。また、添加は複数の工程において、各工程共、
複数回の添加、すなわち分割しての添加も可能である。
一般に、初期の工程において所定量の加熱反応物の大部
分を高濃度に添加すると好結果を得ることができる。
【0040】加熱反応物の添加には、魚節の製造工程中
で加熱反応物の顆粒、粉末、粘質物あるいは濃縮物を散
布によって添加したり、加熱反応物の高濃度水性溶液を
噴霧によって添加したり、採取した魚肉原料あるいは中
間原料に加熱反応物の顆粒、粉末あるいは濃縮物をまぶ
すなど、任意の添加方法を採用することができる。
【0041】さらに魚節の製造工程中、原料または中間
原料が加熱を受ける場合には、加熱反応物を添加するこ
となく、側鎖に炭素原子の数が3以下のアルキル基より
なる分枝脂肪族構造を有するα−アミノ酸と糖とを含有
する混合物を添加し、原料または中間原料中あるいはそ
れらの表面上で加熱反応物を生成せしめ、加熱反応物を
添加した場合と同等の効果を得ることも出来る。
【0042】いずれの場合にあっても、加熱反応物の添
加終了時には加熱反応物が魚節の原料あるいは中間原料
中に均一に分布していることが望ましい。
【0043】加熱反応物の添加量は、魚節の製品重量比
0.1〜5%程度が適当である。この添加量範囲以下で
は、加熱反応物の添加効果は明瞭でない。一方、この添
加量範囲を越える場合には、加熱反応物に由来する香
味、カラメル臭、ときには焦臭に類する異臭が強調され
過ぎ適当でない。
【0044】第4発明における魚節加工品としては、魚
節の切削フレーク、破砕篩分品、粉末、顆粒成形品、調
味加工品、うま味調味料との混合顆粒成形品、「ふりか
け」食品、即席「おすまし」食品などが挙げられる。ま
た、それらの多くは乾燥品または半乾燥品であるが、
「鰹節抽出液体だし」などの液状品、あるいは「鰹せん
じ」、「アンチョビ・ペースト」などのペースト状品も
亦、本発明で対象とする魚節加工品に含まれる。
【0045】第4発明の方法において、側鎖に炭素原子
の数が3以下のアルキル基よりなる分枝脂肪族構造を有
するα−アミノ酸と糖とを含有する混合物の加熱反応物
の添加は、魚節加工品の製造工程中、任意の工程におい
て実施される。すなわち、原料魚節への添加、混合、魚
節の切削工程、破砕工程、粉砕工程で使用する調湿水性
溶液への添加、造粒工程で使用する調湿あるいは粒子結
着溶液への添加、調味工程で使用する調味液への添加、
調理工程で使用する調味液への添加、ペースト状品の製
造時における混練工程での添加など、種々の方法で添加
することができる。
【0046】また、添加は、複数の工程において、各工
程共、複数回の添加すなわち分割しての添加が可能であ
る。一般に、初期の工程において所定量の加熱反応物の
大部分を高濃度に添加すると好結果を得る。
【0047】さらに、魚節加工品の製造工程中、原料ま
たは中間原料が加熱を受ける場合には、加熱反応物を添
加することなく、側鎖に炭素原子の数が3以下のアルキ
ル基よりなる分枝脂肪族構造を有するα−アミノ酸と糖
とを含有する混合物を添加し、原料または中間原料中あ
るいはそれらの表面上で加熱反応物を生成せしめ、加熱
反応物を添加した場合と同等の効果を得ることも出来
る。
【0048】加熱反応物の添加量は、魚節加工品の製品
重量比0.1〜5%程度が適当である。この添加量範囲
以下では加熱反応物の添加効果は明瞭でない。一方、こ
の添加量範囲を越える場合には、加熱反応物に由来する
好ましからざる呈味、香味、すなわち、苦味、カラメル
臭、ときには焦臭に類する異臭が強調され過ぎるので適
当でない。
【0049】加熱反応物の添加方法としては、顆粒状あ
るいは粉末を原料魚節あるいは加工処理中の中間原料に
散布によって添加したり、加工処理中に加熱反応物の高
濃度水性溶液を噴霧によって添加するなど、任意の添加
方法が採用される。いずれの場合にあっても、添加終了
時に加熱反応物が魚節加工品の原料あるいは中間原料中
に均一に分布していることが望ましい。
【0050】以下、実施例により本発明の方法について
説明する。なお、これらの実施例は本発明を限定するも
のではない。実施例の記載中、特記の無い限り、「部」
は重量部を、「%」は(重量/重量)%を示す。
【0051】
【実施例】
(実施例1)=加熱反応物の調製= 表1に示す組み合わせの特定された側鎖に炭素原子の数
が3以下のアルキル基よりなる分枝脂肪族構造を有する
α−アミノ酸と糖とを含有する混合物を、還流解放下、
沸騰水浴上6時間加熱反応せしめ、4種類の加熱反応物
A〜Dを取得した。
【0052】
【表1】
【0053】(実施例2)=「荒節」の製造及びその抽
出「だし」の評価= 新鮮なホンガツオより採肉した原料魚肉を煮熟し「身割
り」した魚肉を、実施例1で調製した加熱反応物A〜D
を各15%含有し25℃に保持した酸性水溶液に10分
間、浸漬した。
【0054】浸漬後、浸漬液の滴下を待って、焙乾用の
スノコに配列し、室温送風下、室内で30分間乾燥し
た。この浸漬操作及び風乾操作により、何れも、「身割
り」魚肉比3%の加熱反応物溶液が付着したことを認め
た。これは製品「荒節」に対し0.7%の加熱反応物の
添加に相当する。この「身割り」魚肉を、焙乾風炉中で
3日間、連続して焙乾し、使用した加熱反応物A〜Dに
対応する4種類の製品、「荒節A」乃至「荒節D」を取
得した。なお、焙乾処理中、「身割り」魚肉を登載した
スノコの上下位置を3回変更し、均一な焙乾を計った。
製品「荒節」の原料魚肉に対する歩留は15%、また、
その水分含量は8〜12%、粗脂肪含量は6〜10%で
あった。
【0055】また、加熱反応物を含有しない同様の酸性
水溶液に、同一条件下に浸漬処理を行い、以下、同様に
処理した対照「荒節」を製造した。対照「荒節」の歩
留、水分含量及び粗脂肪含量は、製品「荒節」のそれら
とほぼ同一であった。
【0056】製品「荒節A」乃至「荒節D」並びに対照
「荒節」を各1本宛、和紙を用いて包装し、温度25
℃、相対湿度60%に維持した環境下に保存した。
【0057】製品「荒節」及び対照「荒節」各1本を、
製造直後、1週間後、3月後及び6月後にそれぞれ取り
出し、家庭用の鰹節削り鉋器を使用して「荒節」の長手
方向に全面にわたるように、その略半分を削りおろし
た。
【0058】取得した削りフレークを秤量し、その10
0gを耐熱ガラスポット中に入れ、500mLのイオン
交換樹脂処理水を注ぎいれた。該フレーク分散液を室温
より沸騰に至るまで10分間、沸騰下に5分間保持し抽
出した。熱時、抽出液、すなわち各々の「だし」を、予
め充分に水洗してある濾紙を載置した濾斗上に注下し
て、フレークを除去した製品「荒節A」乃至「荒節D」
の「だし」ならびに対照「荒節」の「だし」をそれぞれ
取得した。
【0059】これらの「だし」を室温(25℃)まで放
冷し、直ちに5名のパネラーによる官能試験に付した。
この試験は、製品「荒節」の「だし」および対照「荒
節」の「だし」について、対照「だし」を明示し、対照
との比較による差異識別の有無並びに呈味の好ましさ及
び香味の好ましさについて最高点を5点とする5点法に
よる採点評価を問う試験である。
【0060】製品「荒節」の「だし」及び対照「荒節」
の「だし」について、各保存期間経過後における判別結
果をまとめて、表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】表2に示される通り、製品「荒節A」乃至
「荒節D」の「だし」と、対照「荒節」の「だし」との
間には、何れの保存期間の場合にあっても、呈味及び香
味について明瞭な相違が認められ、何れの場合にあって
も加熱反応物含有溶液処理を行った製品「荒節」の「だ
し」を好ましいとするパネラーが多かった。この人数の
相違は有意義と認められる。
【0063】また、「荒節」の保存期間が長期に亙るに
従って、製品「荒節」の「だし」と対照「荒節」の「だ
し」との間の呈味及び香味の相違は、より判然とする傾
向が認められた。
【0064】すなわち、加熱反応物含有溶液処理は「荒
節」の「だし」の呈味及び香味を改善し、また、好まし
い呈味及び香味を長期間に亙って安定に保存する効果の
あることが認められた。
【0065】(実施例3)=「鰹節フレーク」の製造及
びそれらの抽出「だし」の評価= 市販の中位の大きさの高知県産「亀節」を各1本宛、和
紙を用いて包装し、温度25℃、相対湿度60%に維持
した環境下に、1週間保存した。
【0066】1週間後に取り出し、家庭用の鰹節削り鉋
器を使用して「亀節」の長手方向に魚体の背部及び腹部
の全面にわたるように、その略半分を削りおろした。取
得した削りフレークを秤量し、その100gを和紙上に
約30cm角に拡散した後、実施例1で調製した加熱反
応物A〜Dを各15%含有する酸性水溶液10mLを製
パン用噴霧器を使用して万遍なく散布した。
【0067】散布後、和紙ごと、大型のデシケーターに
収容し、減圧下25℃に2時間保持し乾燥した。常圧に
復帰後、直ちに10g宛、ポリプロピレン製の透明袋に
分包し、開口部を加熱封鎖して、使用した加熱反応物A
〜Dに対応する4種類の製品「鰹節フレークA」乃至
「鰹節フレークD」を取得した。また、同様にして加熱
反応物を含有しない酸性水溶液10mLを同様に散布
後、乾燥し、分包して「対照鰹節フレーク」を取得し
た。
【0068】これらの袋入り「鰹節フレーク」を室温に
保存した。その後、「鰹節フレークA」乃至「鰹節フレ
ークD」及び「対照鰹節フレーク」の各1袋を、製造直
後、1週間後、3月後及び6月後にそれぞれ取り出し、
それぞれについて、開封後、袋内のフレーク全量を耐熱
ガラスポット中に入れ、100mLのイオン交換樹脂処
理水を注ぎいれた。このフレーク分散液を室温より沸騰
に至るまで10分間、沸騰下に5分間保持し抽出した。
熱時、抽出液、すなわち各々の「だし」を、予め充分に
水洗してある濾紙を載置した濾斗上に注下し、フレーク
を分離、除去した「鰹節フレークA」乃至「鰹節フレー
クD」の「だし」及び「対照鰹節フレーク」の「だし」
を取得した。
【0069】これらの「だし」を室温(25℃)まで放
冷し、直ちに、5名のパネラーによる製品の「だし」及
び対照の「だし」について、対照「だし」を明示し、対
照との比較による差異識別の有無、呈味の好ましさ及び
香味の好ましさについて最高点を5点とする5点法によ
る採点評価を問う官能試験に付した。製品の「だし」及
び対照の「だし」について、各保存期間経過後における
判別結果をまとめて表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】表3に示す通り、製品の「だし」と対照の
「だし」との間には、何れの保存期間の場合にあって
も、呈味及び香味について明瞭な相違が認められ、何れ
の場合にあっても、加熱反応物含有溶液を散布した製品
の「だし」を好ましいとするパネラーが多かった。この
人数の相違は有意義と認められる。また、袋入り「鰹節
フレーク」の保存期間が長期に亙るに従って、製品の
「だし」と対照の「だし」との間の呈味及び香味の相違
は、より判然とする傾向が認められた。すなわち、加熱
反応物含有溶液の散布は袋入り「鰹節フレーク」の「だ
し」の呈味及び香味を改善し、また、好ましい呈味及び
香味を長期間に亙って安定に保存する効果のあることが
認められた。
【0072】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明による魚
節及び魚節加工品の製造法は、通常の魚節及び魚節加工
品に屡々存在する苦渋味あるいは金属味などの異味の発
現を抑止することができ、長期間に亙り好ましい呈味及
び香味を安定に保存できる魚節及び魚節加工品が得られ
るという効果を有する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 魚節の製造工程において、側鎖に炭素原
    子の数が3以下のアルキル基よりなる分枝脂肪族構造を
    有するα−アミノ酸と糖とを含有する混合物を食品の調
    理加熱条件下で加熱して得た反応生成物を添加すること
    を特徴とする魚節の製造法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の魚節の製造法におい
    て、側鎖に炭素原子の数が3以下のアルキル基よりなる
    分枝脂肪族構造を有するα−アミノ酸として、バリン、
    ロイシン、イソロイシン並びに炭素原子の数が2以下の
    アルキルエステル残基を有するそれらのα−アミノ酸エ
    ステルよりなる群から選択されたα−アミノ酸を用いる
    ことを特徴とする魚節の製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の魚節の製造法におい
    て、糖として、モノサッカライド、ジサッカライド、ト
    リサッカライド、糖アルコール及びそれらの混合物より
    なる群から選択された糖を用いることを特徴とする魚節
    の製造法。
  4. 【請求項4】 魚節加工品の製造工程において、側鎖に
    炭素原子の数が3以下のアルキル基よりなる分枝脂肪族
    構造を有するα−アミノ酸と糖とを含有する混合物を食
    品の調理加熱条件下で加熱して得た反応生成物を添加す
    ることを特徴とする魚節加工食品の製造法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の魚節加工品の製造法に
    おいて、側鎖に炭素原子の数が3以下のアルキル基より
    なる分枝脂肪族構造を有するα−アミノ酸として、バリ
    ン、ロイシン、イソロイシン並びに炭素原子の数が2以
    下のアルキルエステル残基を有するそれらのα−アミノ
    酸エステルよりなる群から選択されたα−アミノ酸を用
    いることを特徴とする魚節加工品の製造法。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の魚節加工品の製造法に
    おいて、糖として、モノサッカライド、ジサッカライ
    ド、トリサッカライド、糖アルコール及びそれらの混合
    物よりなる群から選択された糖を用いることを特徴とす
    る魚節加工品の製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2010110269A1 (ja) * 2009-03-26 2012-09-27 キッコーマン株式会社 褐変反応物及び油脂食品
JP2013220042A (ja) * 2012-04-13 2013-10-28 Sato Suisan Kk 海産物漬物及びその製造方法

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