JPH08142915A - リヤパーセルパネルの補強構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 レインフオースを小型化できてリヤパーセル
パネル上壁のトランクヒンジブラケット取付け部分の剛
性を高められるリヤパーセルパネルの補強構造を提供を
図る。 【構成】 リヤパーセルパネル１の上壁３に形成したシ
ートベルトリトラクタ２３配設用の取付孔８の下側を略
コ字状に跨いで帯板状のレインフオース１４を前後方向
に配置し、その後端部を上壁３上に接合したリヤウエス
トパネル４の前方延設部６との重合部分に接合する一
方、前端部をリヤパーセルパネル１の前縁部の裏側に接
合したパーセルレインフオース１２と上壁３との接合部
分に挾着接合して、該前縁部分に形成された閉断面部１
３内に突出配置し、前端末部をリヤパーセルパネル１の
前壁２の裏面に突き当てて接合してある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は自動車のリヤパーセルパ
ネルの補強構造、とりわけ、トランクヒンジブラケット
の取付部周りの補強構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５は従来のリヤパーセルパネルの構造
を示すもので、リヤパーセルパネル１はパーセルセンタ
ー１Ａとパーセルサイド１Ｂとを接合して形成され、パ
ーセルサイド１Ｂの側縁に曲折成形したフランジ１ａを
介してリヤピラーインナ１０に接合固定してある。

【０００３】リヤパーセルパネル１の前壁２は図外のリ
ヤシートのシートバックサポートパネルとして機能し、
上壁３の後端部には凹部３ａを車幅方向に形成してこの
凹部３ａを塞ぐ形でリヤウエストパネル４を接合し、該
リヤウエストパネル４に車幅方向に形成した凸部４ａと
前記凹部３ａとで車幅方向に延在する閉断面部５を形成
して、リヤウエスト部分に車幅方向の骨格構造を構成し
ている。

【０００４】リヤウエストパネル４の両側部にはパーセ
ルサイド１Ｂ部分の上壁３面に接合される前方延設部６
を形成してあり、これら上壁３と前方延設部６との重合
部分に図外のトランクヒンジブラケットの取付け孔７を
形成してある。

【０００５】このトランクヒンジブラケットはヒンジア
ームを軸支した膨出部を前記取付け孔７に下側から挿入
し、前記重合部分の裏面にボルト・ナット等により締結
固定するようにしている。

【０００６】また、このリヤパーセルパネル１の前縁部
と前記前方延設部６の重合部分との間には該前方延設部
６の前縁に近接して図外の後席用シートベルトリトラク
タの取付け孔８を形成し、該取付け孔８にシートベルト
リトラクタを上方より挿入して孔縁部に締結固定するよ
うにしている。

【０００７】また、前記取付け孔８に隣接してパーセル
センター１Ａ部分の上壁３に図外のスピーカーの取付け
孔９を形成し、該取付け孔９にスピーカーを上方より挿
入して固定するようにしている。

【０００８】この類似構造は、例えば実開平１−５７９
４９号公報、実開平２−６９５５８号公報等に示されて
いる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】リヤパーセルパネル１
の上壁３のトランクヒンジブラケット取付け部の前方に
比較的大きなシートベルトリトラクタ用の取付け孔８を
形成してあるため、該上壁３のトランクヒンジブラケッ
ト取付け部分の剛性が低下してしまう。

【００１０】そこで、この剛性低下を補うため取付け孔
８周りにレインフオースを接合することが考えられる
が、上壁３は平板状であるため、スピーカー用の取付け
孔９周りに接合したレインフオース１１と同様に取付け
孔８周りに広範囲に亘ってレインフオースを接合配置す
るか、あるいは前記スピーカー用の取付け孔９周りに接
合したレインフオース１１をシートベルトリトラクタ用
の取付け孔８周りにまで広範囲に亘って延設して接合す
る必要があり、何れにしてもレインフオースが大型化し
て重量的におよびコスト的に不利となってしまうことは
否めない。

【００１１】また、このようにレインフオースが大型化
してしまうと、リヤパーセルパネル１の上壁３の裏側に
配設される電子制御部品等、他の機能部品の配設スペー
スを制約し、該機能部品の配設レイアウトが困難になっ
てしまう不具合を生じる。

【００１２】そこで、本発明はレインフオースを可及的
に小型化できてリヤパーセルパネル上壁のトランクヒン
ジブラケット取付け部分の剛性を高めることができるリ
ヤパーセルパネルの補強構造を提供するものである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】請求項１にあっては、リ
ヤパーセルパネルの側部上壁とリヤウエストパネルとの
重合部分の裏面にトランクヒンジブラケットを結合固定
し、リヤパーセルパネルの前縁部と前記重合部分との間
にシートベルトリトラクタ用の取付け孔を形成した構造
において、前記リヤパーセルパネルの前縁部の裏側にパ
ーセルレインフオースを接合して車幅方向に延在する閉
断面部を形成し、かつ、前記取付け孔の下側を略コ字状
に跨いで帯板状のレインフオースを前後方向に配置して
その後端部を前記重合部分の裏面に接合する一方、前端
部をリヤパーセルパネルの上壁とパーセルレインフオー
スとの接合部分に挾着接合して閉断面部内に突出配置
し、前端末部をリヤパーセルパネルの前壁裏面に突き当
てて接合したことを特徴としている。

【００１４】請求項２にあっては、請求項１に記載の帯
板状のレインフオースの閉断面部外に配設される部分の
両側縁に下向きにフランジを形成すると共に、閉断面部
内に配設される部分の中央部に前後方向にビード部を形
成したことを特徴としている。

【００１５】

【作用】請求項１によれば、取付け孔の下側を略コ字状
に跨いで前後方向に配置したレインフオースの後端部
を、リヤパーセルパネルの側部上壁にリヤウエストパネ
ルを重合して多重パネル構造とした剛性の高い重合部分
に接合してあり、また、前端部をリヤパーセルパネル前
縁部の上壁とその裏側に接合配置したパーセルレインフ
オースとの接合部分に挾着接合して該前縁部の車幅方向
骨格構造を構成する閉断面部内に突出配置し、かつ、前
端末をリヤパーセルパネルの前壁裏面に接合して、該閉
断面部の前後端部にしっかりと接合してあるから、この
レインフオースが帯板状であっても該レインフオースが
取付け孔を跨いで前後の高剛性部分を結合した梁として
機能して、トランクヒンジブラケット取付け部分に作用
する荷重を前記閉断面部に合理的に分散負担させること
ができて、取付け孔形成部分の強度剛性を一段と高める
ことができる。

【００１６】また、レインフオースを帯板状に形成して
これを前後方向に配設してあるから、レインフオースの
小型化と、その配設占有領域を車体側部とすることによ
って、リヤパーセルパネル上壁の裏側に配設される種々
の機能部品の配設スペースを十分に確保できて、該機能
部品の配設レイアウトの自由度を拡大することができ、
かつ、軽量化とコストダウンとを実現することができ
る。

【００１７】請求項２によれば、帯板状のレインフオー
スの閉断面部外に配設される部分の両側縁部に下向きに
形成したフランジと、閉断面部内に配設される部分の中
央部に前後方向に形成したビード部とによって該レイン
フオースの曲げ剛性および捩り剛性が高められるから、
該レインフオースの梁機能を更に充実させて前記取付け
孔形成部分の強度剛性をより一層高めることができる。

【００１８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面と共に前記従来
の構成と同一部分に同一符号を付して詳述する。

【００１９】図１，２において、パーセルセンター１Ａ
とパーセルサイド１Ｂとを接合して形成したリヤパーセ
ルパネル１は、パーセルサイド１Ｂの側縁に曲折成形し
たフランジ１ａを介してリヤピラーインナ１０（図４参
照）に接合してある。

【００２０】リヤパーセルパネル１の上壁３の後端部に
形成した凹部３ａを塞ぐ形でリヤウエストパネル４を接
合し、リヤウエストパネル４に形成した凸部４ａと前記
凹部３ａとで車幅方向に延在する閉断面部５を形成し
て、リヤウエスト部分に車幅方向の骨格構造を構成して
いる。

【００２１】リヤウエストパネル４の両側部に形成した
前方延設部６はパーセルサイド１Ｂ部分の上壁３面に接
合して多重パネル構造としてあり、トランクヒンジブラ
ケット２０のヒンジアーム２１を軸支した膨出部２０ａ
を前記重合部分に形成した取付け孔７に下側から挿入
し、トランクヒンジブラケット２０を該重合部分の裏面
にボルト・ナット２２により締結固定してある。

【００２２】リヤパーセルパネル１の前縁部の裏側に
は、前壁２の裏面と上壁３の裏面にパセルレインフオー
ス１２の前後縁のフランジ１２ａを接合して、該前縁部
分に車幅方向に延在する閉断面部１３を形成し、車幅方
向骨格構造を構成している。

【００２３】本実施例では、この前縁部分を上方へ膨出
成形して閉断面部１３の面積を拡大してある。

【００２４】前記上壁３と前方延設部６との重合部分と
閉断面部１３との間には、該前方延設部６の前縁に近接
してシートベルトリトラクタ２３用の取付け孔８を形成
してあって、この取付け孔８の下側を略コ字状に跨いで
帯板状のレインフオース１４を前後方向に配置してあ
る。

【００２５】レインフオース１４の後端部は前記上壁３
と前方延設部６の前端部が重合した部分の裏面にスポッ
ト溶接によって接合固定してある。

【００２６】また、レインフオース１４の中央部はリヤ
パーセルパネル１の前縁部分の上壁３とパーセルレイン
フオース１２の後部のフランジ１２ａとの接合部分に挾
着してスポット溶接により接合して閉断面部１３内に突
出配置し、かつ、前端部をリヤパーセルパネル１の前壁
２の裏面に突き当ててスポット溶接により接合してあ
り、中央部と前端部の両接合部間は平面状、即ち前後方
向に直線的に延びる様に形成してある。

【００２７】後席用のシートベルトリトラクタ２３は前
記取付け孔８に上方より挿入し、ブラケット２４の前端
部に形成したフック部２４ａを取付け孔８の前縁部に形
成した係止孔１５に係着すると共に、該ブラケット２４
の後端部を前記前方延設部６の前端部と上壁３およびレ
インフオース１４の後端部との接合部分にボルト・ナッ
ト２５により締結固定してある。図１中２３ａはシート
ベルトリトラクタ２３に巻取られたシートベルトを示
す。

【００２８】以上の実施例構造によれば、シートベルト
リトラクタ２３用の取付け孔８の下側を略コ字状に跨い
で前後方向に配置したレインフオース１４の後端部を、
パーセルサイド１Ｂの上壁３にリヤウエストパネル４の
前方延設部６を重合して多重パネル構造とした剛性の高
い部分に接合してあり、また、該レインフオース１４の
前端部をリヤパーセルパネル１の前縁部の上壁２とパー
セルレインフオース１２の後部のフランジ１２ａとの接
合部分に挾着接合して、該前縁部の車幅方向骨格構造を
構成する閉断面部１３内に突出配置し、前端末部をリヤ
パーセルパネル１の前壁２の裏面に接合して、該閉断面
部１２の前後端部にしっかりと接合してあるから、この
レインフオース１４が帯板状であっても該レインフオー
ス１４が取付け孔８を跨いで前後の高剛性部分を結合し
た梁として機能して、トランクヒンジブラケット２０の
取付け部分に作用する荷重を前記閉断面部１３に合理的
に分散負担させることができて、取付け孔８形成部分の
強度剛性を一段と高めることができる。特にレインフオ
ース１４の中央接合部と前端接合部間が平面状となって
いるため梁として有効に機能する。

【００２９】この結果、トランクヒンジの取付け剛性を
高められてトランクリッドの開閉動作を安定化できるこ
とは勿論、トランクリッドとトランク開口部周縁とのパ
ーティングのずれを回避することができ、品質感および
信頼性を向上することができる。

【００３０】また、レインフオース１４を帯板状に形成
して、これをパーセルサイド１Ｂの上壁３の裏側に前後
方向に配設してあるから、レインフオース１４の小型化
と、その配設占有領域を車体側部とすることによって、
リヤパーセルパネル１の上壁３の裏側に配設される図外
の電子部品等の機能部品の配設スペースを十分に確保で
き、該機能部品の配設レイアウトの自由度を拡大するこ
とができる。

【００３１】図３，４はレインフオース１４の異なる実
施例を示すもので、レインフオース１４Ａの前記閉断面
部１３外に配設される部分の両側縁には下向きにフラン
ジ１４ａを曲折成形してあると共に、該閉断面部１３内
に配設される部分の中央部には、下側に突出するビード
部１４ｂを前後方向に形成してある。

【００３２】この実施例でもレインフオース１４Ａは中
央接合部から前端接合部にかけて直線状に延びる様に形
成してある。一方、パーセルサイド１Ｂの上壁３はこの
ビード部１４ｂを形成した部分に見合う断面形状にエン
ボス成形して、ビード部１４ｂを上壁３とパーセルレイ
ンフオース１２の後部のフランジ１２ａとの間に重合し
てスポット溶接により接合してある。

【００３３】従って、この実施例によれば前記両側縁の
フランジ１４ａと中央部のビード部１４ｂとによって帯
板状のレインフオース１４Ａの曲げ剛性および捩れ剛性
が高められるから、該レインフオース１４Ａの梁機能を
更に充実させることができて、前記取付け孔８形成部分
の強度剛性をより一層高めることができる。

【００３４】なお、前記実施例ではリヤパーセルパネル
１の前縁部分を上方へ膨出成形して閉断面部１３の面積
を拡大してあるが、該前縁部を平坦に形成してあっても
よいことは勿論である。

【００３５】

【発明の効果】以上、本発明によれば次に述べる効果を
奏せられる。

【００３６】請求項１によれば、リヤパーセルパネルの
側部上壁にトランクヒンジブラケット取付け部の前方に
設けたシートベルトリトラクタ用の取付け孔の下側を略
コ字状に跨いで帯板状のレインフオースを前後方向に配
置し、そして、このレインフオースの後端部をリヤパー
セルパネルの上壁とリヤウエストパネルの前方延設部と
で多重パネル構造とした剛性の高い重合部分に接合し、
前端部はリヤパーセルパネル前縁部の上壁とその裏側に
接合配置したパーセルレインフオースとの接合部分に挾
着固定して該前縁部の車幅方向骨格構造を構成する閉断
面部内に突出配置し、かつ、前記端末部をリヤパーセル
パネルの前壁裏面に突き当てて接合して、該閉断面部の
前後端部にしっかりと接合してあるから、このレインフ
オースが前述のように帯板状であっても該レインフオー
スが取付け孔を跨いで前後の高剛性部分を結合した梁と
して機能して、トランクヒンジブラケット取付け部分に
作用する荷重を前記閉断面部に合理的に分散負担させる
ことができ、前記取付け孔形成部分の強度剛性を一段と
高められる。

【００３７】この結果、トランクヒンジの取付け剛性を
高められてトランクリッドの開閉動作を安定化できるこ
とは勿論、トランクリッドとトランク開口部周縁とのパ
ーティングのずれを回避することができ、品質感および
信頼性を一段と向上することができる。

【００３８】また、レインフオースを帯板状に形成して
これを前後方向に配設してあるから、レインフオースの
小型化と、その配設占有領域を車体側部とすることによ
って、リヤパーセルパネル上壁の裏側に配設される種々
の機能部品の配設スペースを十分に確保できて、該機能
部品の配設レイアウトの自由度を拡大することができ
る。

【００３９】しかも、このレインフオースの小型化によ
って車体の軽量化とコストダウンを実現することができ
る。

【００４０】請求項２によれば、帯板状のレインフオー
スの閉断面部外に配設される部分の両側縁部分に下向き
に形成したフランジと、閉断面部内に配設される部分の
中央部に前後方向に形成したビード部とによって該レイ
ンフオースの曲げ剛性および捩り剛性が高められるか
ら、該レインフオースの梁機能を更に充実させて前記取
付け孔形成部分の強度剛性をより一層高めることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す断面図。

【図２】同実施例の斜視図。

【図３】レインフオースの異なる例を示す斜視図。

【図４】図３のＡ−Ａ線相当の断面図。

【図５】従来の構造を示す斜視図。

【符号の説明】

１ リヤパーセルパネル ２ 前壁 ３ 上壁 ４ リヤウエストパネル ６ 前方延設部 ８ シートベルトリトラクタ用の取付け孔 １２ パーセルレインフオース １３ 閉断面部 １４ レインフオース

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 リヤパーセルパネルの側部上壁とリヤウ
   エストパネルとの重合部分の裏面にトランクヒンジブラ
   ケットを結合固定し、リヤパーセルパネルの前縁部と前
   記重合部分との間にシートベルトリトラクタ用の取付け
   孔を形成した構造において、前記リヤパーセルパネルの
   前縁部の裏側にパーセルレインフオースを接合して車幅
   方向に延在する閉断面部を形成し、かつ、前記取付け孔
   の下側を略コ字状に跨いで帯板状のレインフオースを前
   後方向に配置してその後端部を前記重合部分の裏面に接
   合する一方、前端部をリヤパーセルパネルの上壁とパー
   セルレインフオースとの接合部分に挾着接合して閉断面
   部内に突出配置し、前端末部をリヤパーセルパネルの前
   壁裏面に突き当てて接合したことを特徴とするリヤパー
   セルパネルの補強構造。
2. 【請求項２】 レインフオースの閉断面部外に配設され
   た部分の両側縁に下向きにフランジを形成すると共に、
   閉断面部内に配設される部分の中央部に前後方向にビー
   ド部を形成したことを特徴とする請求項１記載のリヤパ
   ーセルパネルの補強構造。