JPH08134443A - 蛍光体、陰極線管、蛍光ランプおよび放射線増感紙 - Google Patents

蛍光体、陰極線管、蛍光ランプおよび放射線増感紙

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JPH08134443A
JPH08134443A JP27022194A JP27022194A JPH08134443A JP H08134443 A JPH08134443 A JP H08134443A JP 27022194 A JP27022194 A JP 27022194A JP 27022194 A JP27022194 A JP 27022194A JP H08134443 A JPH08134443 A JP H08134443A
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恵子 アルベサール
Yoshikazu Okumura
美和 奥村
Takeshi Takahara
武 高原
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武夫 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 緻密で均質な蛍光面を形成した陰極線管、蛍
光ランプおよび放射線増感紙を提供する。 【構成】 平均粒径が0.5〜15μmでありかつ長径
と短径との比が1.0〜1.5である球状粒子からな
り、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.5重量%以下
含む蛍光体からなる蛍光面を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は真球状の希土類酸化物蛍
光体、並びに真球状の蛍光体を用いた陰極線管、蛍光ラ
ンプおよび放射線増感紙に関する。
【0002】
【従来の技術】陰極線管や蛍光ランプあるいは放射線増
感紙に用いられる蛍光体は、電子線、紫外線あるいは放
射線によって励起したときの発光効率の観点から数μm
の粒径が必要とされている。この程度の粒径を有する結
晶粒を得るために、蛍光体は通常、フラックスを用いた
固相反応によって合成される。しかし、フラックスを用
いて合成された形状は完全な球形ではなく、原料粒子の
形状や結晶構造を反映して多面体に近い形となる。
【0003】こうした蛍光体を用いて例えば陰極線管の
蛍光面を形成した場合、電子線励起によって生じる発光
が蛍光面からの光出力としては必ずしも十分に利用され
ないという欠点がある。すなわち、蛍光体粒子の形状が
多面体に近いと、緻密な蛍光膜が得られず空隙が生じる
うえ、光反射膜としてのアルミバックの平滑度も劣り凹
凸が生じる。このため、発光した光の乱反射が大きくな
り、これが光の損失の原因となる。同様に前記のような
蛍光体を蛍光ランプに用いた場合にも、緻密な蛍光膜が
得られないため、紫外線励起による発光が十分有効に利
用されない。
【0004】緻密な蛍光膜を形成して発光を有効利用す
るためには、複数の蛍光体を混合することが有効な場合
もある。しかし、この方法では異なる発光特性を持つ蛍
光体を混合するために所望の発光特性、例えば高い発光
効率を実現できないおそれがある。
【0005】例えば、カラー陰極線管は次のような方法
により製造される。ガラス内面に蛍光体および感光性樹
脂からなる懸濁液(スラリー)を全面塗布して蛍光膜を
形成し、紫外線を照射して所望の領域だけを重合させ
る。この後、紫外線が照射されなかった領域の蛍光膜を
洗い流す。このとき、蛍光膜の光散乱が大きいと紫外線
が蛍光膜の内部にまで侵入しないので内部が重合しにく
い。このため、蛍光膜の輝度が最大になる十分厚い膜が
形成されにくい。また、光散乱が大きいと、所望の領域
以外の領域まで感光して重合するため、設計通りの蛍光
膜パターンを得ることが困難になる。
【0006】投射型映像装置に用いられる陰極線管は、
通常、蛍光体を陰極線外囲器中のバリウム水溶液中に懸
濁し、これにカリウム珪酸塩水溶液を加え蛍光体を陰極
線管フェース内面に沈降させて蛍光膜を作製する。この
ようにして作製した赤色、緑色および青色に発光する3
本の陰極線管のそれぞれの前に光学レンズを取り付け、
拡大して映像をスクリーンに投影する。スクリーンで十
分な明るさを得るために大きな電子銃入力が用いられ
る。したがって、蛍光面に微小な欠陥があっても拡大さ
れるために緻密な蛍光面が、特に最近の高品位画像の蛍
光に伴って要求され、また高負荷の条件でも光出力の低
下・劣化の少ないことが要求されている。
【0007】一方、医療用や材料検査用のX線像増倍管
では、出力面の像をさらにTVカメラで撮影し拡大して
観測することが多い。このため、特に均一かつ緻密で高
解像度の蛍光面が必要とされている。
【0008】上述した光の散乱は蛍光膜に含まれる粒子
の全表面積が大きいほど大きいから、粒子の形状が球状
になることが望ましい。そこで、球形にできるだけ近い
形状を有する蛍光体粒子を得る試みとして、B.C.G
rabmaier,W.Rossner,J.Lepp
ert;Phys.Stat.Sol.(a)130,
K183(1992)に示されるようなエマルジョンを
用いる方法が知られている。しかし、この方法で得られ
る蛍光体は微粒子の集まりであって結晶性が不良なため
再焼成が必要となる。この結果得られる蛍光体粒子の形
状は必ずしも完全な球形ではなく、また粒径も小さいた
め陰極線管や蛍光ランプに用いる蛍光体としては好まし
くない。
【0009】球状蛍光体を得る他の試みとして、特開昭
62−201989号公報には高温プラズマ中において
造粒した蛍光体原料を加熱する方法が開示され、希土類
酸化物もこの蛍光体のなかに含まれている。しかし、こ
の方法で得られる蛍光体は好ましい粒径を得ることが難
しく、分散性や付着力に問題があり、また発光色と発光
効率の点で実用蛍光体として望ましい付活剤濃度が得ら
れないことなどの欠点があった。
【0010】さらに、カラー表示装置には赤、緑、青の
3色発光の蛍光体が使用される。この場合、赤色はでき
るだけ色再現範囲が広くなるように、深い赤色でかつ明
るい蛍光体が望まれる。この条件に最も近い代表的な陰
極線管用赤色蛍光体はY2 3 S:Euである。しか
し、この蛍光体は粒子形状が多面体であるため、上述し
た光散乱に起因する欠点を有しており、これに代わりう
る粒子形状が球形で深い赤色に発光する蛍光体が要望さ
れている。
【0011】次に、照明用蛍光ランプには、明るさだけ
でなくその照明の下での色の見え方の良さすなわち効率
と演色性の高さの両方が要求されるため、両者を共に向
上させた3波長形蛍光ランプが広く使われている。この
3波長形蛍光ランプは例えば、発光ピークが450nm
付近にあり青色に発光する2価ユーロピウム付活アルミ
ン酸バリウム・マグネシウム蛍光体や2価ユーロピウム
付活ハロリン酸バリウム・カルシウム・ストロンチウム
蛍光体、発光ピークが545nm付近にあり緑色に発光
するセリウム・テルビウム付活リン酸ランタン蛍光体や
セリウム・テルビウム付活アルミン酸マグネシウム蛍光
体、および発光ピークが611nm付近にあり赤色に発
光するユーロピウム付活酸化イットリウム(Y2 3
Eu)蛍光体など3色の蛍光体を適量混合してガラスバ
ルブ内に塗布することによって得られる。この蛍光ラン
プの平均演色評価数Ra は84〜88という高い値を示
し、被照射体の色彩をより自然に美しく感じさせる効果
に優れている。しかし、上記3波長形蛍光ランプは彩度
の高い赤に対する特殊演色評価数R9 が20〜40と低
いという欠点がある。
【0012】これを改善する目的で、本出願人らは特願
平5−244878号において、上記3種の蛍光体に加
えて発光ピークが623nm付近にあり深赤色に発光す
るユーロピウム付活酸化ガドリニウム(Gd2 3 :E
u)蛍光体を混合することを開示した。例えば、上述し
たような3種の蛍光体に12重量%のGd2 3 :Eu
蛍光体を混合することにより、R9 を18ポイント向上
させることができた。しかし、一方で全光束は2.4%
低下しており、R9 を10ポイント向上させるためには
約1.3%の全光束低下が避けられなかった。
【0013】また、R.C.Ropp:J.Elect
rochem.Soc.,112巻、181頁(196
5年)に示されるように、Gd2 3 :Euは単斜晶の
結晶系に属する。ところが、R.S.Roth et
al.:J.Res.National Bureau
of Standards,64A巻、309頁(1
960年)に示されるように、Gd2 3 は室温では立
方晶が安定であり、高温安定相である単斜晶を得るには
1200℃以上の高温にした後、急冷することが必要で
あり、通常のるつぼ中の蛍光体焼成法では製造が困難で
ある。
【0014】一方、Arai et al.:J.Al
loys and Compounds,192巻、4
5頁(1993年)に示されるように、プラセオジムを
付活した単斜晶Gd2 3 は、立方晶Gd2 3 では得
られない緑色の発光バンドを有するため短残光緑色発光
が必要な用途に使用できる可能性があるが、上記と同様
に高温安定相である単斜晶を得るための製造上の問題点
を解決することが要求される。
【0015】さらに最近は液晶ディスプレイのバックラ
イトとして蛍光ランプが多用されるようになっている。
この場合、蛍光ランプは光反射フィルムと導光板および
拡散板を組み合わせて用いられるが、省エネルギーを目
的として、蛍光ランプの発光効率は光反射板を組み合わ
せたときにできるだけ大きいことが望まれている。従来
の蛍光ランプでは、蛍光膜の光透過率が低く、発光した
光の一部を反射フィルムによって再度蛍光ランプを透過
させ、一方向に集束させるときに光の損失が大きいとい
う問題があった。また、発光輝度とコンパクトさの点か
ら管径は一般照明用ランプの管径25〜35mmに比べ
てずっと小さく、蛍光体塗布は従来の蛍光体スラリーの
流し込みではなく、注射器注入法あるいは減圧吸入法な
どが用いられる。このときスラリー中の蛍光体に凝集が
あったり流動性が悪いと注入ノズルでの蛍光体の詰まり
や形成された蛍光膜肌の悪化などの問題が生じる。
【0016】一方、放射線増感紙の場合、感度の低下を
防ぐために、蛍光膜を厚くして放射線の吸収を増やし、
発光効率を上げることが考えられる。しかしこの場合、
蛍光体の粒子層が粒子層が多くなるために光の散乱も増
え、十分な感度向上が得られない。一方、蛍光膜に使用
する蛍光体の平均粒径を大きくすると光の散乱は抑えら
れるが、得られた放射線像の鮮鋭度は減少してしまう。
そこで、感度の高く、かつ鮮鋭度の高い放射線像が得ら
れる増感紙を得るために、平均粒径の異なる蛍光体を塗
布して2層の蛍光膜を形成する方法が提案されている
(特開平1−57758号)。この場合、まず湿式沈澱
・焼成法により作製された粒子を沈降法によって分級
し、平均粒径の異なる蛍光体を作製する。この平均粒径
の異なった蛍光体(例えば平均粒径が4.2μmおよび
9.6μmのCaWO4 )にバインダーを混合してスラ
リーとして、ナイフコーターにより保護膜上に塗布す
る。その上に、平均粒径の小さい蛍光体(例えば平均粒
径が4.2μmのCaWO4 )のスラリーを同様に塗布
する。次に、この蛍光膜上に支持体を接着させて増感紙
を得る。しかし、この製造方法は工程が多いうえに、異
なった平均粒径を持つ蛍光体を使用するため粒径や配合
割合などを設定することが困難であるため、所望の放射
線増感紙が得られにくい。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決するためになされたものであり、粒径が小さく真球
に近い形状を有する希土類酸化物蛍光体を提供し、緻密
で均質な蛍光面を形成して輝度の高い陰極線管や蛍光ラ
ンプを得ることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の蛍光体
は、Ln2 3 :R(ただし、LnはLa,Gd,Lu
およびYからなる群より選択される少なくとも1種の元
素、Rはランタニド族より選択される少なくとも1種の
元素)で表される組成を有し、平均粒径が0.5〜15
μmでありかつ長径と短径との比が1.0〜1.5であ
る透明球状粒子からなり、粒径0.2μm以下の超微粒
子を0.5重量%以下含むことを特徴とするものであ
る。
【0019】本発明の陰極線管は、Ln2 3 :R(た
だし、LnはLa,Gd,LuおよびYからなる群より
選択される少なくとも1種の元素、Rはランタニド族よ
り選択される少なくとも1種の元素)で表される組成を
有し、平均粒径が0.5〜15μmでありかつ長径と短
径との比が1.0〜1.5である透明球状粒子からな
り、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.5重量%以下
含む蛍光体を少なくとも一成分として含有する蛍光体層
を形成したことを特徴とするものである。また本発明の
陰極線管は、Gd2 3 :R(ただし、Rはランタニド
族より選択される少なくとも1種の元素)の組成式で表
され、少なくとも一部の結晶系が単斜晶系であり、平均
粒径が0.5〜15μmでありかつ長径と短径との比が
1.0〜1.5である透明球状粒子からなり、粒径0.
2μm以下の超微粒子を0.5重量%以下含む蛍光体を
含有する蛍光体層を形成したことを特徴とするものであ
る。
【0020】本発明の蛍光ランプは、Ln2 3 :R
(ただし、LnはLa,Gd,LuおよびYからなる群
より選択される少なくとも1種の元素、Rはランタニド
族より選択される少なくとも1種の元素)で表される組
成を有し、平均粒径が0.5〜15μmでありかつ長径
と短径との比が1.0〜1.5である透明球状粒子から
なり、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.5重量%以
下含む蛍光体を少なくとも一成分として含有する蛍光体
層をガラスバルブの内面に形成したことを特徴とするも
のである。また本発明の蛍光ランプは、Gd2 3 :E
uの組成式で表され、単斜晶系の結晶の割合が5〜10
0%であり、平均粒径が0.5〜3μmでありかつ長径
と短径との比が1.0〜1.5である透明球状粒子から
なり、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.5重量%以
下含む蛍光体と、発光ピークが611nm付近にあり赤
色に発光するユーロピウム付活酸化イットリウム蛍光体
と、発光ピークが540〜570nmにあり緑色に発光
する蛍光体と、発光ピークが450nm付近にあり青色
に発光する蛍光体とを混合した蛍光体を主成分とする蛍
光体層をガラスバルブの内面に形成したことを特徴とす
るものである。
【0021】また本発明の陰極線管は、蛍光体種にかか
わらず、平均粒径が0.5〜15μmであり、かつ長径
と短径との比が1.0〜1.5である透明球状粒子から
なり、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.5重量%以
下含む蛍光体を塗布したことを特徴とするものである。
陰極線管はシャドウマスクを有する直視型カラー陰極線
管あるいは投射型映像装置に用いられるものである。陰
極線管がX線像増倍管である場合、用いる蛍光体は平均
粒径が0.5〜3μmであることが望ましい。
【0022】さらに本発明の蛍光ランプは、蛍光体種に
かかわらず、平均粒径が0.5〜15μmであり、かつ
長径と短径との比が1.0〜1.5である透明球状粒子
からなり、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.5重量
%以下含む蛍光体をガラス管の内面に塗布してなること
を特徴とするものである。このうち特にガラス管の外部
の1/3以上の面積が光反射率50〜98%の反射材で
覆われているもの、および蛍光ランプを形成するガラス
管の内径が8mm以下であるものでは良好な特性が得ら
れる。
【0023】本発明の放射線増感紙は、蛍光膜に使用す
る蛍光体として、蛍光体種にかかわらず、平均粒径が
0.1〜20μmであり、かつ長径と短径との比が1.
0〜1.5である透明球状粒子からなり、粒径0.2μ
m以下の超微粒子を0.001〜5重量%、好ましくは
0.01〜1重量%含む蛍光体を含有することを特徴と
するものである。
【0024】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0025】本発明の蛍光体は希土類酸化物からなり、
Ln2 3 :R(ただし、LnはLa,Gd,Luおよ
びYからなる群より選択される少なくとも1種の元素、
Rはランタニド族より選択される少なくとも1種の元
素)の組成式で表され、平均粒径が0.5〜15μmで
ありかつ長径と短径との比が1.0〜1.5である透明
球状粒子からなり、粒径0.2μm以下の超微粒子を
0.5重量%以下含んでいる。
【0026】このうち、Gd2 3 :R(ただし、Rは
ランタニド族より選択される少なくとも1種の元素)の
組成式で表され、少なくとも一部の結晶系が単斜晶系で
あり、平均粒径が0.5〜15μmでありかつ長径と短
径との比が1.0〜1.5である透明球状粒子からな
り、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.5重量%以下
含み、赤色または緑色の発光色を呈する蛍光体は、陰極
線管に好適に用いられる。なお、Rはランタニド族元素
を表すが、このなかでも特に蛍光体として有用な元素は
Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,E
r,Tm,Ybである。
【0027】また、Gd2 3 :Euの組成式で表さ
れ、単斜晶系の結晶の割合が5〜100%であり、平均
粒径が0.5〜3μmでありかつ長径と短径との比が
1.0〜1.5である透明球状粒子からなり、粒径0.
2μm以下の超微粒子を0.5重量%以下含み、赤色の
発光色を呈する蛍光体は、蛍光ランプに好適に用いられ
る。ここで、Euの濃度範囲は1〜6モル%であること
が好ましい。Eu濃度が上記範囲をはずれる場合には、
発光効率が低下する。
【0028】本発明において、蛍光体粒子の平均粒径を
0.5〜15μmと規定したのは、平均粒径が0.5μ
mよりも小さい場合または15μmよりも大きい場合に
は、蛍光面の輝度が低くなってしまうためである。
【0029】より具体的には、陰極線管に用いられるG
2 3 :R蛍光体の平均粒径は1〜10μmであるこ
とが好ましい。平均粒径に関するこのような最適な範囲
は経験的に知られている。
【0030】また、蛍光ランプに好適に用いられる赤色
の発光色を呈するGd2 3 :Eu蛍光体粒子の平均粒
径を0.5〜3μmと規定したのは以下のような理由に
よる。すなわち、蛍光ランプにおいて混合蛍光体を用い
る場合、赤色成分などの蛍光体は視感度的に全光束に対
して不利に働くので、できるだけ粒径が小さい方が全光
束が高くなることが経験的に知られている。このため、
平均粒径は3μm以下であることが好ましい。一方、極
端に粒径が小さくなると粉体の取り扱いが困難になるた
め、平均粒径は0.5μm以上であることが好ましい。
【0031】本発明の蛍光体は、個々の蛍光体粒子の長
径と短径との比(アスペクト比)、すなわち個々の蛍光
体粒子において径が最大の部分と最小の部分との比が
1.0〜1.5の範囲にあり、エッジなどの突起がなく
球形に近い形状をもつものである。蛍光体粒子の長径と
短径との比は、1.0〜1.2であることがより好まし
い。
【0032】本発明の蛍光体は、粒径0.2μm以下の
超微粒子を0.5重量%以下含む。数μmの透明球状粒
子の表面に0.5重量%以上の超微粒子が付着または混
在すると、光散乱が増加するために球状粒子ひいてはこ
れから形成した蛍光膜の光透過性が低下する。また、超
微粒子は発光効率が低いため、数μmの透明球状粒子を
混在すると、蛍光体全体の発光効率が低下する。一方、
超微粒子が0.5重量%以下である場合、超微粒子は球
状粒子の表面に付着し、蛍光体の流動性と分散性の向上
および蛍光膜の付着力強化の点で有効である。ただし、
0.001重量%以下では実質的に超微粒子は存在しな
いといえ、上記の効果は失われる。
【0033】本発明の蛍光体の組成に関しては、RがE
uでありそのLnに対する原子比が1〜6%、RがTb
でありそのLnに対する原子比が0.1〜6%、RがP
rでありそのLnに対する原子比が0.01〜0.5%
であることが望ましい。これらの範囲からはずれると、
発光色および発光効率の点で陰極線管あるいは蛍光ラン
プに応用する場合に実用に耐えないからである。Tbの
場合に原子比の範囲が広いのは、低濃度で発光色が青く
なり高濃度で発光色が緑色になるが、どちらの場合も目
的によって使用可能なためである。
【0034】本発明の蛍光体は、原料蛍光体粒子を溶融
した後、急冷することにより製造できる。具体的には、
例えば原料蛍光体粒子をキャリアガスとともに高温の熱
プラズマ中に供給し、短時間の後に熱プラズマ外部へ出
すという方法を用いることができる。ここで熱プラズマ
とは気体の高温電離状態を意味する。熱プラズマは数〜
数十メガヘルツの高周波電磁波または直流電流による気
体放電により発生させることができ、いわゆるトーチま
たはフレーム部のガス温度が数千から1万℃に達するも
のである。高周波熱プラズマ装置は、例えば吉田ら:
「鉄と鋼」誌、第68巻、第10号、20頁(1982
年)に詳述されている。
【0035】本発明においては、特開昭62−2019
89号公報の製造方法とは異なり、得られる蛍光体の付
活剤濃度とは異なる付活剤濃度を持ち、かつ造粒しない
蛍光体を原料として用いる。このような原料蛍光体はフ
ラックスを用いて製造してもよいし、シュウ酸塩共沈生
成物を分解して製造してもよい。原料蛍光体の粒子表面
を酸処理するかまたは微量の有機物界面活性剤を付与し
て、その分散性と流動性を改善することにより、原料蛍
光体と得られる球状蛍光体との平均粒径の差を50%以
内に収めることができる。原料蛍光体の一次粒子の粒径
は約2μm以上であることが望ましい。これは、一次粒
子の粒径が小さい場合には、たとえ一次粒子が凝集した
二次粒子の径が2μm以上であったとしても、全体が熱
プラズマ中で気化し、これを急冷して得られる粒子は
0.2μm以下になることが多いためである。一方、一
次粒子あるいは二次粒子の径が大きすぎる場合には得ら
れる蛍光体の粒径も大きくなり、実用には適さない。一
次粒子および二次粒子の粒径は20μm以下であること
が望ましい。一次粒子径が2μm以上の場合でも熱プラ
ズマ処理時に一部の蛍光体が気化・冷却されて、粒径
0.2μm以下の超微粒子が含まれる。超微粒子の量は
熱プラズマの出力、原料蛍光体の供給位置および処理蛍
光体の回収方法によって変化する。本発明においては、
余分の超微粒子が含まれる場合、液中例えば水中で超音
波処理することにより超微粒子を除去し、その含有量を
0.5重量%以下にする。熱プラズマ処理を行った後、
800〜1200℃で再焼成すると、凝集した超微粒子
が再成長していくぶん粒径が大きくなって球状粒子の表
面に付着する。
【0036】本発明においては得られる蛍光体の結晶系
を高温相と低温相の両方とすることができる。例えば、
Gd2 3 蛍光体の場合、原料の結晶系が低温で安定な
立方晶であっても、熱プラズマ中では原料粒子がGd2
3 の立方晶から単斜晶への転移温度より高い温度にさ
らされ、その後急冷されるため、高温安定相である単斜
晶が容易に形成される。一方、本発明の超微粒子を含む
球状蛍光体を、さらに800〜1200℃で再焼成する
と、球状形状を保持したまま容易に低温安定の立方晶系
に変化させることができる。
【0037】本発明において、熱プラズマ処理して得ら
れる球状蛍光体の付活剤濃度は原料蛍光体とは異なる。
例えば、ランプ用赤色蛍光体のY2 3 :Euを原料と
した場合、Eu/Yの原子比は、原料で4.4%であっ
ても、熱プラズマ処理した球状蛍光体では3.5%程度
に低下する。一方、超微粒子の部分ではEu/Yは約2
0%にも達する。この結果、球状蛍光体の発光色は所望
の赤色からずれて橙色にシフトした色を呈し、また発光
効率が20%程度低下する。Tb付活単斜晶Gd2 3
蛍光体の場合、Tb濃度が減少すると発光スペクトル中
で544nmの発光線に代表される緑色成分に対して4
15nmの発光線に代表される青色成分が強くなる。所
望の緑色発光蛍光体を得るためには、Tb/Lnの原子
比を2〜6%のある値にする必要があるが、熱プラズマ
処理によってTb/Ln原子比が原料の値から変化して
しまう。付活剤濃度の変化の程度は熱プラズマ処理条
件、例えば原料蛍光体の供給量などによって異なるが、
付活剤濃度の変化を全くなくすことはできない。したが
って、所望の発光色が得られる球状蛍光体中の付活剤濃
度を得るためには、原料蛍光体の付活剤濃度を調整す
る。
【0038】本発明の蛍光体はほぼ球形に近い粒子形状
を有するので、これを用いて液中での沈降またはスラリ
ーの塗布によって蛍光膜を形成すると、最密充填に近い
蛍光膜が得られる。また、このような粒子形状の蛍光体
粒子を用いて形成された蛍光膜では粒子の全表面積が小
さいので、同じ塗布量でも従来の蛍光体を用いた場合よ
りも光散乱が少なくなり、光透過量が大きくなる。した
がって、例えばカラー陰極線管の蛍光面を光印刷法によ
り形成した場合には、蛍光面の光透過率が大きいことか
ら蛍光膜の深い部分まで感光するので、従来の蛍光体を
用いた場合よりも、膜厚を厚くすることができ、膜厚の
制御も容易になる。しかも、光透過率が大きくかつ緻密
な膜であることから、光散乱に起因する端部の凹凸やむ
らのない良質な蛍光膜パターンが得られる。さらに、カ
ラー陰極線管でも単色陰極線管でも、蛍光膜が最密充填
に近いために、蛍光面の上に形成される光反射金属膜の
平滑性が良好になる。このため、蛍光面で発光した光の
うち電子線励起側に進行した部分の光を効率よく反射で
き、輝度を向上させることができる。これに加えて、蛍
光膜の光透過率が大きいため、蛍光面で発光した光のう
ち電子線励起側とは反対の方向(人間が観測する側)に
進行する光の割合が大きくなり、輝度向上に寄与する。
【0039】本発明の蛍光体は0.5重量%以下の超微
粒子を主に粒子表面に付着した状態で含んでいるため、
流動性に優れ、他の蛍光体と混合するときに容易に均一
蛍光体が得られる。これは特に混合蛍光体として用いら
れることの多いランプ用として有用である。また、蛍光
ランプおよび陰極線管の蛍光膜としたときに、ガラス基
板および蛍光体どうしの付着力が、実質的に超微粒子を
含まない場合に比べて大きくなる。この理由の1つは、
蛍光ランプおよび陰極線管の製造工程のうちの400〜
700℃の加熱工程において超微粒子が低融点結着剤の
役割を果たすことにあると考えられる。
【0040】なお、本発明において陰極線管に用いられ
る単斜晶系のGd2 3 :R蛍光体はRの種類によって
発光色が異なるため、好適な用途も異なる。すなわち、
単斜晶Gd2 3 :Euの場合、その発光色は低温安定
型である立方晶の場合よりも深みのある赤色であり、カ
ラー陰極線管や投射型陰極線管の赤色成分に適してい
る。単斜晶Gd2 3 :Prの場合、その発光色は低温
安定型である立方晶の赤色から緑色発光バンドを含む黄
緑色に変化する。この発光は残光時間が10μs程度と
非常に短いため、短残光が必要な特殊陰極線管に適して
いる。単斜晶Gd2 3 :Tbは、効率の高い緑色発光
を示すため、投射型CRTの緑色成分に適している。
【0041】また、本発明において蛍光ランプに用いら
れる単斜晶系のGd2 3 :Eu蛍光体は、上述したよ
うに発光ピークが623nm付近にあり、これを発光ピ
ークが611nm付近にあり赤色に発光するユーロピウ
ム付活酸化イットリウム蛍光体、発光ピークが540〜
570nmにあり緑色に発光する蛍光体、および発光ピ
ークが450nm付近にあり青色に発光する蛍光体と混
合した蛍光体を主成分とする蛍光体層をガラスバルブの
内面に形成することにより、蛍光ランプのR9を改善す
ることができる。
【0042】前記緑色に発光する蛍光体としてはセリウ
ム・テルビウム付活リン酸ランタン蛍光体およびセリウ
ム・テルビウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム
蛍光体からなる群より選択される少なくとも1種、前記
青色に発光する蛍光体としては2価ユーロピウム付活ハ
ロリン酸バリウム・マグネシウム蛍光体、2価ユーロピ
ウム・マンガン共付活ハロリン酸バリウム・マグネシウ
ム蛍光体および2価ユーロピウム付活ハロリン酸バリウ
ム・カルシウム・ストロンチウム蛍光体からなる群より
選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0043】上記蛍光体の配合割合は蛍光ランプの相関
色温度を何度に設定するかによっても変わってくるが、
通常、青色発光蛍光体10〜50重量%、緑色発光蛍光
体20〜45重量%、Gd2 3 :Eu蛍光体およびY
2 3 :Eu蛍光体が合計で30〜76重量%の範囲内
で配合すれば、所望の蛍光ランプが得られる。
【0044】ただし、立方晶Gd2 3 :Euは、Y2
3 :Eu蛍光体と同様に611nm付近に発光ピーク
を有するためY2 3 :Eu蛍光体と代替的に用いるこ
とができ、蛍光ランプの演色性に悪影響を及ぼすことは
ない。したがって、Gd2 3 :Euは完全に単斜晶で
ある必要はなく、5%程度以上の単斜晶が含まれていれ
ば残りは立方晶でも問題はない。
【0045】本発明のシャドウマスクを有する直視型カ
ラー陰極線管の蛍光面は、蛍光膜の光散乱が少なく光透
過率が高いため膜厚の制御が容易でかつ輝度が高い。ま
た蛍光膜パターンを容易に設計に近く形成することがで
きる。蛍光体は、平均粒径が0.5〜15μmであり、
かつ長径と短径との比が1.0〜1.5である透明球状
粒子からなり、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.5
重量%以下含むものであればこの効果を得ることができ
る。蛍光体種は、希土類酸化物の他にZnS:AgやZ
nS:CuあるいはZnS:Cu,Auのような硫化亜
鉛系蛍光体、Ln2 2 S:R(ただし、LnはLa,
Gd,LuおよびYからなる群より選択される少なくと
も1種の元素、Rはランタニド族より選択される少なく
とも1種の元素)の組成式で表される希土類オキシ硫化
物系蛍光体であってもよい。
【0046】本発明の投射型映像装置に用いられる陰極
線管の蛍光面は、球状蛍光体粒子が凝集することなく分
散性がよいために充填密度が高く、粒径0.2μm以下
の超微粒子を含んでいるために基板ガラスに付着力の強
い膜を有する。これにより映像を拡大して投影したと
き、蛍光面の蛍光体によるざらつきが目立たない。ま
た、膜の熱伝導性が向上するために大きな電子線入力す
なわち高負荷になっても温度上昇が少ないことと、電子
線が基板ガラスの直接照射しないために蛍光体の劣化や
ガラスの着色が少なく、長時間作動したときの光出力低
下が少ない。用いる蛍光体は、平均粒径が0.5〜15
μmであり、かつ長径と短径との比が1.0〜1.5で
ある透明球状粒子からなり、粒径0.2μm以下の超微
粒子を0.5重量%以下含むものであればこの効果を得
ることができる。蛍光体種の例としては、希土類酸化物
の他にZnS:Agのような硫化亜鉛系蛍光体、Ln2
2 S:R(ただし、LnはLa,Gd,LuおよびY
からなる群より選択される少なくとも1種の元素、Rは
ランタニド族より選択される少なくとも1種の元素)の
組成式で表される希土類オキシ硫化物系蛍光体、Y
3 (Al,Ga)5 12:Tb、Y2 SiO5 :Tb、
InBO3 :Tb、Zn2 SiO4 :Mn、LaOC
l:Tb,Ti、(La,Gd)OBr:Ceを挙げる
ことができる。
【0047】本発明のX線像増倍管は図1に示すような
構造を有する。ここで、11は入力蛍光面であって、X
線入力を可視光に変換する。12は光電陰極で光を受け
た位置で電子を放出する。13は集束電極で管内に電子
レンズを形成する。14は陽極で、陰極との間に25〜
30kVの電位差をつくり、陰極で放出された電子を加
速する。15は出力蛍光面でガラス基板の上に蛍光体層
およびアルミ金属膜がこの順に形成される。16は真空
容器である。本発明では出力蛍光面に用いる球状蛍光体
の分散性が良いために充填密度の高い均質な蛍光面が得
られ、これによって分解能を高くすることができる。こ
のときさらに分解能を高くするために、できるだけ粒径
が小さいことが望ましい。特に蛍光体粒子が球状である
ためにガラス基板との接触が点接触に近くなり、ガラス
基板と蛍光体間の光学的結合度が少ないために、球状で
ない蛍光体に比べてガラス基板と平行方向の発光成分が
少なくなり、分解能とコントラストおよび出力が向上す
る。ただし、あまり小さすぎると発光効率が低下するの
で、平均粒径が0.5〜3μmにあることが望ましい。
沈降法、遠心法あるいは電着法による膜形成時に必要な
分散性と流動性および形成された膜の付着力は、蛍光体
表面に付着した粒径0.2μm以下の超微粒子の存在に
よって十分なものが得られる。用いる蛍光体は従来の
(Zn,Cu)S:Ag系硫化亜鉛蛍光体でもよいが、
この系の蛍光体は粒径を1μmよりも小さくすると発光
効率が低下する欠点がある。この他に本発明の希土類酸
化物蛍光体およびLn2 2 S:R(ただし、LnはL
a,Gd,LuおよびYからなる群より選択される少な
くとも1種の元素、Rはランタニド族より選択される少
なくとも1種の元素)の組成式で表される希土類オキシ
硫化物系蛍光体を用いることができる。
【0048】本発明の蛍光ランプは、球状蛍光体が凝集
せず分散性が良く、超微粒子を含んで流動性が良いため
に2種以上の蛍光体を混合するとき容易に均一混合が得
られ、緻密な蛍光膜が得られる。このため蛍光ランプの
両端の色ズレが少ない。このときに用いられる蛍光体は
平均粒径が0.5〜15μmであり、かつ長径と短径と
の比が1.0〜1.5である透明球状粒子からなり、粒
径0.2μm以下の超微粒子を0.5重量%以下含む条
件を満たす蛍光体ならば種類を問わない。例えば、青色
としてCaWO4 、CaWO4 :Pb、BaMg2 Al
1627:Eu、(Sr,Ca)10(PO4 6 Cl2
Eu、緑色としてLaPO4 :Ce,Tb、CeMgA
1119:Tb、Zn2 SiO4 :Mn、赤色としてY
2 3 :Eu、Y(P,V)O4 :Euを挙げることが
できる。
【0049】本発明の蛍光ランプは管径が8mm以下で
あるときに特に効果が著しい。すなわち蛍光体が分散性
と流動性の良い性質を持つために注射器注入法あるいは
減圧吸入法による蛍光体塗布時に蛍光体がノズルに詰ま
ることがなく容易に均質な蛍光面が得られる。
【0050】本発明の蛍光ランプは液晶ディスプレイの
導光体方式バックライトに用いられる場合のように反射
板と組み合わせて使用されるものであるとき、さらに大
きな効果を示す。本発明の液晶バックライト用蛍光ラン
プを組み込んだ導光体方式バックライトを備えた液晶デ
ィスプレイの構造を図2に示す。ここで、21は蛍光ラ
ンプ、22は光反射フィルム、23は導光板、24は拡
散板、25は液晶表示パネル、26はランプカバーであ
る。液晶バックライト用蛍光ランプから導光板方向以外
の方向に放出された光出力は反射フィルムで反射されて
導光板方向に集束される。このときガラス管の外部の1
/3以上の面積が光反射率50〜98%の反射材で覆わ
れていることが好ましい。1/3以下の面積あるいは5
0%以下の光反射率であるとき集光効果が小さく、反射
材を用いたこの構造の意味がなくなる。光反射率が98
%以上の材料は現実にはほとんど存在しないが、もしあ
ったとすれば、以下に述べる球状蛍光体を塗布した蛍光
ランプの効果は小さくなる。反射光の大部分は蛍光ラン
プを横切って拡散板方向に集束される。本発明の蛍光ラ
ンプの蛍光膜は球状蛍光体を塗布しているために通常蛍
光体からなる膜に比べ大きな光透過率をもつ。このため
通常蛍光体を塗布した同じ全光出力の蛍光ランプと比較
すると導光板方向に集束された光出力は10%以上も大
きくすることができる。さらにこのとき本発明の蛍光ラ
ンプは分散性の良い球状蛍光体を塗布するために管径8
mm以下であっても容易に製造でき液晶ディスプレイ装
置の薄型化に有効である。
【0051】本発明の増感紙は、球状粒子を使用してい
るため緻密で均質な光散乱の少ない蛍光膜が得られる。
用いられる蛍光体は平均粒径0.1〜20μmであり、
個々の粒子の長径と短径との比が1.0〜1.5である
透明球状粒子からなり、粒径0.2μm位化の超微粒子
を0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜1重量
%含む蛍光体であれば、その種類は問わない。例えば、
CaWO4 、CaWO4 :Pb、Ln2 2 S:R(た
だし、LnはLa,Gd,LuおよびYからなる群より
選択される少なくとも1種の元素、Rはランタニド族よ
り選択される少なくとも1種の元素)の組成式で表され
る希土類オキシ硫化物系蛍光体、Ln23 :R(ただ
し、LnはLa,Gd,LuおよびYからなる群より選
択される少なくとも1種の元素、Rはランタニド族より
選択される少なくとも1種の元素)の組成式で表される
希土類酸化物系蛍光体、Ba1-x Srx FCl1-y Br
y:Eu(x=0〜1、y=0〜1)、BaSO4 :E
u、LaOBr:R(R=Tb、Tm)、HfP
2 7 、Hf3 (PO4 4 、YTaO4 、GaTaO
4などがある。
【0052】図3に本発明の放射線増感紙の構造を示
す。ここで31aと31bは放射線増感紙(31aがフ
ロント増感紙、31bがバック増感紙)、32は放射線
フィルムであり、33が写したい像を透過してきた放射
線である。31aと31bの放射線増感紙は、34の支
持体上の35の蛍光膜、および36の保護膜により構成
されている。入射した放射線により31aおよび31b
の増感紙の蛍光体が発光し、この発光により放射線フィ
ルムを両面から効率よく感光する。このとき、粒径が2
0μm以上の蛍光体を使用した増感紙で写真撮影を行う
と、画像の均質性が損なわれる。また、本発明の蛍光体
粒子は粒径0.2μm以下の超微粒子を0.001〜5
重量%、好ましくは0.01〜1重量%含むが、5重量
%を超えて超微粒子が含まれていると、光散乱が増加す
るために、この蛍光体で作製した蛍光膜の光透過率が低
下し、実用性に乏しくなる。一方、上記範囲内の超微粒
子を含んでいると、蛍光体の流動性と分散性が向上す
る。このため、液中での蛍光体の沈降や蛍光体スラリー
の塗布によって蛍光膜を作製したときに、この蛍光膜は
最密充填に近くなる。このため従来の蛍光体を用いた場
合に大きかった蛍光膜内の乱反射が少なくなり、蛍光面
からの光出力として利用される発光の割合が大きくなり
(蛍光膜の透過率が向上し)、蛍光膜の輝度が向上す
る。例えば、同じ平均粒径を有する原料蛍光体と本発明
に係る球状粒子蛍光体とを用いて、同じ塗布量の蛍光膜
を作製して比較すると、球状粒子蛍光体ではより薄い蛍
光膜が得られるため、鮮鋭度の高い放射線像が得られ
る。
【0053】また、超微粒子を含む本発明の蛍光体は分
散性が良いために混合しやすく、2層塗布放射線増感紙
を作製するための、平均粒径の異なった蛍光体を使用し
た蛍光膜の作製が容易である。また、超微粒子を含んで
いるため、平均粒径の異なった蛍光体を使用しなくて
も、2層蛍光膜の増感紙を作製できる。すなわち超微粒
子を多く(1重量%程度)含む本発明の蛍光体を使用し
て、超音波洗浄を行い粒径数μmの粒子と超微粒子を分
散させた後に沈降法により支持体上に蛍光膜を作製する
と、支持体側に超微粒子の層ができ、その上に緻密な粒
径数μmの粒子と超微粒子の混合膜ができあがる。この
場合、従来例に比べて、少ない工程で感度および鮮鋭度
の高い放射線像が得られる放射線増感紙を得ることがで
きる。
【0054】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0055】(実施例1)原料としてY2 3 :Eu蛍
光体を用いた。この原料蛍光体の平均粒径をブレーン法
により測定したところ4.5μmであった。この原料蛍
光体をアルゴンガスをキャリアガスとして高周波プラズ
マ中に供給して溶融し急冷することによって本発明に係
る蛍光体を得た。得られた蛍光体の平均粒径をブレーン
法により測定したところ4.8μmであった。得られた
蛍光体の電子顕微鏡写真を図4に示す。この電子顕微鏡
写真から求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は
1.00〜1.10の範囲にあった。また、この蛍光体
のX線回折パターンはY2 3 のものと同一であり、そ
の組成もY2 3 :Euであることが確かめられた。こ
の蛍光体を加速電圧10kV、電流密度1μA/cm2
の電子線で励起して粉体輝度を測定したところ、原料蛍
光体の98%の値であった。
【0056】次に、得られた蛍光体を用いて沈降法によ
りコーティングウェイト7mg/cm2 の蛍光面を形成
し、アルミバックを施した後、電子銃を装着し、排気・
封止して7インチ投射型陰極線管を作製した。この陰極
線管について電圧30kV、ビーム電流200μAの条
件で輝度を測定したところ790ft−Lであった。こ
の値は、原料蛍光体を用いて同様に作製した陰極線管の
輝度750ft−Lに比べて5%高い値であった。
【0057】(実施例2)シュウ酸塩共沈生成物を90
0℃で分解焼成した後、フラックスとしてアルカリ土類
ハロゲン化物を用いて1100℃で焼成することによ
り、Pr濃度が0.1モル%のLa2 3 :Pr蛍光体
を得た。この原料蛍光体の平均粒径をブレーン法により
測定したところ6.8μmであった。この原料蛍光体を
実施例1と同様にアルゴンガスをキャリアガスとして高
周波プラズマ中に供給して溶融し急冷することによって
本発明に係る蛍光体を得た。得られた蛍光体の平均粒径
をブレーン法により測定したところ7.3μmであっ
た。電子顕微鏡写真から求めた個々の蛍光体粒子の長径
と短径との比は1.00〜1.15の範囲にあり、超微
粒子を0.3重量%含んでいた。この蛍光体の粉体輝度
を実施例1と同様の条件で測定したところ、原料蛍光体
の78%の値であった。このように粉体輝度がかなり低
下しているのは、Prがいくぶん酸化されたことによる
ものと考えられる。また、このときの発光色は緑色であ
り、510nm付近と670nm付近にピークを有する
スペクトルを示した。この発光色は原料蛍光体と同一で
あり組成も同一であった。
【0058】次に、得られた蛍光体を用いて沈降法によ
りコーティングウェイト11mg/cm2 の蛍光面を形
成し、アルミバックを施した後、電子銃を装着し、排気
・封止して7インチ投射型陰極線管を作製した。この陰
極線管について、電圧30kV、ビーム電流200μA
の条件で輝度を測定したところ300ft−Lであっ
た。この値は、原料蛍光体を用いて同様に作製した陰極
線管の輝度250ft−Lに比べて20%高い値であっ
た。このように本実施例の蛍光体は、原料蛍光体と比較
して、粉体輝度が低いにもかかわらず、陰極線管として
の輝度は高くなっている。これは、本実施例の蛍光体の
粒子形状が真球に近い形状であることによる。
【0059】(実施例3)シュウ酸塩共沈生成物を90
0℃で分解焼成した後、フラックスを用いずに1400
℃で焼成することにより、Eu濃度が5モル%Gd2
3 :Eu蛍光体を得た。この原料蛍光体のX線回折を測
定したところ、大部分は単斜晶系のGd23 であった
が、最強ピーク比で5%の立方晶系のGd2 3 のパタ
ーンも観測された。この原料蛍光体の平均粒径をブレー
ン法により測定したところ3.5μmであったが、やや
凝集ぎみであった。この原料蛍光体を実施例1と同様に
アルゴンガスをキャリアガスとして高周波プラズマ中に
供給して溶融し急冷することによって本発明に係る蛍光
体を得た。得られた蛍光体の平均粒径をブレーン法によ
り測定したところ4.2μmであった。電子顕微鏡写真
から求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.
00〜1.18の範囲にあった。得られた蛍光体のX線
回折を測定したところ、単斜晶系のGd2 3 と一致
し、立方晶系のGd2 3 のパターンは見られず、ほぼ
完全に単斜晶系のGd2 3 :Eu蛍光体になっている
ことが確かめられた。得られた蛍光体を波長254nm
の紫外線で励起して粉体輝度を測定したところ、原料蛍
光体の95%の値であった。
【0060】次に、得られた蛍光体をニトロセルロース
バインダを用いてガラス管内面に塗布することにより、
定格40Wの蛍光ランプを作製した。また、原料蛍光体
を用いて同様の蛍光ランプを作製した。定格入力下で両
者の蛍光ランプの光束を測定したところ、実施例3の蛍
光ランプは原料蛍光体の蛍光ランプに比べ3%高い値を
示した。
【0061】(実施例4)原料として立方晶の結晶系に
属するGd2 3 :Eu蛍光体を用いた。この原料蛍光
体の平均粒径をブレーン法により測定したところ3.4
μmであった。この原料蛍光体をアルゴンと酸素との混
合ガスをキャリアガスとして高周波プラズマトーチ中に
供給して溶融し急冷して粉体試料を得た。この蛍光体を
水中に懸濁し、超音波洗浄して静置し、上層部分を除去
し、吸引ろ過の後に100℃で乾燥して本発明に係る蛍
光体を得た。得られた蛍光体の平均粒径をブレーン法に
より測定したところ3.6μmであった。得られた蛍光
体の電子顕微鏡写真を図5に示す。電子顕微鏡写真から
求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.00
〜1.10の範囲にあった。この蛍光体は粒径0.2μ
m以下の超微粒子を0.02重量%含んでいた。この蛍
光体のX線回折パターンは原料蛍光体と全く異なり、単
斜晶系であることを示していた。この蛍光体を加速電圧
10kV、電流密度1μA/cm2 の電子線または波長
254nmの紫外線で励起して発光スペクトルを測定し
たところ、主発光波長は623nmであり、発光色度値
はx=0.63、y=0.35であった。これらの値は
原料蛍光体の主発光波長611nmおよび発光色度値x
=0.62、y=0.36から変化していた。
【0062】次に、得られた蛍光体を用いて沈降法によ
り塗布量7mg/cm2 の蛍光面を形成し、アルミバッ
クを施した後、電子銃を装着し、排気・封止して7イン
チ投射型陰極線管を作製した。この陰極線管について、
電圧29kV、ビーム電流1500μAの条件で輝度を
測定したところ、3500ft−Lであった。この値
は、1300℃で焼成し急冷して得た単斜晶Gd
2 3 :Eu蛍光体を用いて同様に作製した陰極線管の
輝度2700ft−Lに比べて30%高い値であった。
【0063】(実施例5)原料として立方晶の結晶系に
属するY2 3 :Eu蛍光体を用いた。Eu/Y原子比
は4.4%であった。この原料蛍光体の平均粒径をブレ
ーン法により測定したところ3.2μmであった。この
原料蛍光体をアルゴンと酸素との混合ガスをキャリアガ
スとして高周波プラズマトーチ中に供給して溶融し急冷
しサイクロンで回収することによって真球に近い粒子か
らなる蛍光体を得た。この蛍光体を水中に懸濁し、超音
波洗浄して静置し、上層部分を除去し、吸引ろ過・乾燥
した。この蛍光体には立方晶の結晶系のほかに、わずか
に単斜晶の結晶系の粒子が含まれていた。また、粒径
0.2μm以下の超微粒子が0.1%含まれていた。こ
の蛍光体を空気中、1100℃で2時間焼成して得られ
た蛍光体は立方晶の結晶系の粒子のみからなっていた。
この蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したとこ
ろ3.8μmであった。電子顕微鏡写真から求めた個々
の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.00〜1.10
の範囲にあった。超微粒子はいくぶん溶融・結晶成長し
て粒子表面に付着したが、その量は約0.1%であっ
た。Eu/Y原子比は3.5%であった。この蛍光体を
加速電圧10kV、電流密度1μA/cm2 の電子線ま
たは波長254nmの紫外線で励起して発光スペクトル
を測定したところ、主発光波長は611nmであり、原
料蛍光体と同一であった。ただし、その発光効率は原料
蛍光体に比べ電子線励起で110%、紫外線励起で80
%であった。
【0064】次に、得られた蛍光体を用いて沈降法によ
り塗布量7mg/cm2 の蛍光面を形成し、アルミバッ
クを施した後、電子銃を装着し、排気・封止して7イン
チ投射型陰極線管を作製した。沈降膜形成時の膜はがれ
および陰極線管形成後の振動による膜形成法が原因とな
る耐圧不良などの問題はなかった。この陰極線管につい
て、電圧29kV、ビーム電流1500μAの条件で輝
度を測定したところ、5300ft−Lであった。この
値は、熱プラズマ処理する前の原料蛍光体を用いて同様
に作製した陰極線管の輝度4700ft−Lに比べて1
3%高い値であった。
【0065】(実施例6)25インチカラー陰極線管パ
ネルに、青色発光および緑色発光の蛍光体ストライプを
作製した後、赤色発光蛍光体として実施例4で得られた
蛍光体を通常の手順により塗布した。蛍光面の露光・現
像過程を経た後、塗布量を測定すると、4.0mg/c
2 であった。蛍光面ストライプの端部の凹凸(キレ)
を目視判定したところ、最良の10点であった。一方、
1300℃で焼成し急冷して得た単斜晶Gd2 3 :E
u蛍光体を用いて場合には、塗布量は3.1mg/cm
2 、キレ点数は7点であった。次いで、有機物フィルミ
ング、アルミ膜蒸着、ベーキング、ファンネルと電子銃
取付、排気・封止の各工程を経て陰極線管を作製した。
この陰極線管の赤色発光輝度は、1300℃で焼成し急
冷して得た単斜晶Gd2 3 :Eu蛍光体を用いて同様
に作製した陰極線管の輝度の120%であった。
【0066】この陰極線管の色再現域の広さは、実施例
4の原料の立方晶Gd2 3 :Eu蛍光体または実施例
5の原料の立方晶Y2 3 :Eu蛍光体を用いて同様に
作製した陰極線管のいずれに対しても約7%広いことが
確認された。
【0067】(実施例7)原料として実施例4と同じ立
方晶の結晶系に属するGd2 3 :Eu蛍光体を用い
た。この原料蛍光体をアルゴンガスをキャリアガスとし
てプラズマ溶射用直流プラズマトーチ中に供給して溶融
し、水中に吹き込んで急冷することによって本発明に係
る蛍光体を得た。得られた蛍光体の平均粒径をブレーン
法により測定したところ4.2μmであり、粒径0.2
μm以下の超微粒子を0.05%含んでいた。得られた
蛍光体の電子顕微鏡写真を図6に示す。この蛍光体は、
実施例4の高周波熱プラズマ法により作製された蛍光体
と比べると真球度がやや劣り、個々の蛍光体粒子の長径
と短径との比は1.00〜1.30の範囲にあったが、
真球に近いとみなすことができるものであった。また、
この蛍光体のX線回折パターンは原料蛍光体と全く異な
り、単斜晶系であることを示していた。
【0068】次に、得られた蛍光体を用いて沈降法によ
り塗布量7mg/cm2 の蛍光面を形成し、アルミバッ
クを施した後、電子銃を装着し、排気・封止して7イン
チ投射型陰極線管を作製した。この陰極線管について、
電圧29kV、ビーム電流1500μAの条件で輝度を
測定したところ、3400ft−Lであった。この値
は、原料蛍光体を用いて同様に作製した陰極線管の輝度
3200ft−Lに比べて6%高い値であった。
【0069】(実施例8)熱プラズマ処理の原料として
立方晶の結晶系に属し、5モル%のTbを含むGd2
3 :Tb蛍光体を用いた。この原料蛍光体の平均粒径は
3.5μmであった。この原料蛍光体をアルゴンガスを
キャリアガスとして高周波プラズマトーチ中に供給して
溶融し、急冷した後サイクロンで回収することによって
本発明に係る蛍光体を得た。得られた蛍光体の平均粒径
は4.2μmであった。電子顕微鏡から求めた個々の蛍
光体粒子の長径と短径との比は1.0〜1.10の範囲
にあり、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.2重量%
含んでいた。この蛍光体のX線回折パターンは原料蛍光
体と全く異なり、単斜晶系であった。
【0070】この蛍光体を加速電圧10kV、電流密度
1μA/cm2 の電子線で励起したところ、緑色の発光
色を示し、発光効率は原料の立方晶蛍光体に比べて3倍
以上の値を示した。
【0071】次に、得られた蛍光体を用いて沈降法によ
り実施例4と同様にして7インチ投射型陰極線管を作製
した。電圧29kV、ビーム電流1500μAの条件で
の輝度は原料蛍光体に比べて3.5倍以上の値を示し
た。
【0072】(実施例9)熱プラズマ処理の原料として
立方晶の結晶系に属するGd2 3 :Pr蛍光体を用い
た。この原料蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定
したところ3.2μmであった。この原料蛍光体をアル
ゴンガスをキャリアガスとして高周波プラズマトーチ中
に供給して溶融し急冷することによって本発明に係る蛍
光体を得た。得られた蛍光体の平均粒径をブレーン法に
より測定したところ3.8μmであった。電子顕微鏡写
真から求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は
1.00〜1.10の範囲にあった。また、この蛍光体
のX線回折パターンは原料蛍光体と全く異なり、単斜晶
系であることを示していた。この蛍光体を加速電圧10
kV、電流密度1μA/cm2 の電子線または波長25
4nmの紫外線で励起して発光スペクトルを測定したと
ころ、緑色の発光色を示し、発光色度値はx=0.3
1、y=0.51であった。この発光特性は、原料蛍光
体が赤色の発光色を示し、発光色度値x=0.64、y
=0.28であったのと比較して大幅に変化していた。
【0073】次に、得られた蛍光体を用いて沈降法によ
り塗布量7mg/cm2 の蛍光面を形成し、アルミバッ
クを施した後、電子銃を装着し、排気・封止して7イン
チ投射型陰極線管を作製した。この陰極線管について、
電圧29kV、ビーム電流1500μAの条件で輝度を
測定したところ、580ft−Lであった。この値は、
1300℃で焼成し急冷して得た単斜晶Gd2 3 :P
r蛍光体を用いて同様に作製した陰極線管の輝度500
ft−Lに比べて16%高い値であった。
【0074】(比較例1)2価ユーロピウム付活ハロリ
ン酸バリウム・カルシウム・ストロンチウム蛍光体、セ
リウム・テルビウム付活リン酸ランタン蛍光体および市
販の球状粒子でないユーロピウム付活酸化イットリウム
蛍光体を混合し、管径32mmのガラスバルブ内面に塗
布して、相関色温度が5000Kで、黒点軌跡上の色度
を持つ40W形の従来の3波長形直管蛍光ランプを作製
した。このランプの点灯0時間における全光束は364
0ルーメン、赤色の特殊演色評価数R9 は35であっ
た。
【0075】(比較例2)ガドリニウムとユーロピウム
のシュウ酸塩共沈を900℃で分解焼成した後、アルカ
リ土類ハロゲン化物をフラックスに用い、1400℃で
焼成してEu濃度が5モル%のGd2 3 :Eu蛍光体
を得た。X線回折を測定したところ、ほぼ完全に単斜晶
系になっていることが確認された。また、この蛍光体の
平均粒径をブレーン法により測定したところ3.5μm
であった。
【0076】次に、比較例1で示した3種の蛍光体とこ
のGd2 3 :Eu蛍光体を混合して5000K40W
形の直管蛍光ランプを作製した。このランプの点灯0時
間における全光束は3580ルーメン、赤色の特殊演色
評価数R9 は47であった。このように比較例1の蛍光
ランプと比べると全光束は1.6%低下し、R9 は12
ポイント向上している。すなわち、R9 を10ポイント
向上させるためには1.4%の全光束低下を伴う。
【0077】(実施例10)比較例2と同様のガドリニ
ウムとユーロピウムのシュウ酸塩共沈を1000℃で分
解焼成してGd2 3 :Eu粉末を得た。この粉末のX
線回折を測定したところ、立方晶の回折パターンが得ら
れた。次に、この粉末をアルゴンと酸素との混合ガスを
キャリアガスとして高周波プラズマトーチ中に供給し、
溶融急冷することによって本発明に係る蛍光体を得た。
この蛍光体のブレーン法により測定した平均粒径は1.
5μmであった。得られた蛍光体の電子顕微鏡写真を図
7に示す。電子顕微鏡写真より求めた個々の蛍光体粒子
の長径と短径との比は1.00〜1.15の範囲にあっ
た。また、この蛍光体のX線回折ピークの比から立方晶
と単斜晶との比を計算すると、単斜晶がほぼ80%含ま
れていることがわかった。
【0078】次に、比較例1で示した3種の蛍光体とこ
のGd2 3 :Eu蛍光体を混合して5000K40W
形の直管蛍光ランプを作製した。このときGd2 3
Eu蛍光体の混合比率は20重量%であった。このラン
プの点灯0時間における全光束は3570ルーメン、赤
色の特殊演色評価数R9 は55であった。このように比
較例1の蛍光ランプと比べると全光束は2.0%低下し
ていたが、R9 は20ポイント向上していた。すなわ
ち、R9 を10ポイント向上させるのに全光束は1.0
%しか低下しない。
【0079】(実施例11)カラーTV用赤色蛍光体と
同じフラックス法で作製したY2 2 S:Euを原料と
して用いた。ただし、Eu/Y原子比は8.0%とし
た。この原料蛍光体の平均粒径は4.1μmであった。
この原料蛍光体を1/40希釈硝酸溶液中で20分間撹
拌し水洗した後、吸引ろ過しアルコール置換して乾燥し
た。この試料に2重量%の硫黄を加え、アルゴン雰囲気
の4MHz高周波プラズマトーチ中に導入し、急冷して
サイクロンで回収した。得られた試料に水中で超音波を
印加し、静置した後、上層部分を除去して球状粒子を得
た。この試料の粒子表面には0.1μm程度の大きさの
超微粒子が0.05%含まれていた。この試料は灰紫色
の体色を呈し、可視光反射率は40%であった。さら
に、この試料を硫黄雰囲気中、900℃で1時間焼成し
て蛍光体を得た。図8にこの蛍光体の電子顕微鏡写真を
示す。この蛍光体は平均粒径4.5μmの球状粒子から
なっていた。この電子顕微鏡写真から求めた個々の蛍光
体粒子の長径と短径との比は1.00〜1.10の範囲
にあった。この蛍光体の体色は白色で可視光反射率は9
4%であった。この蛍光体のX線回折を測定したとこ
ろ、オキシ硫化物の回折パターンを示していた。この蛍
光体のEu/Y原子比は3.7%であった。加速電圧1
0kV,電流密度0.5μA/cm2 の条件での電子線
励起による発光色はカラーTV用として好適な赤色であ
った。
【0080】25インチカラー陰極線管パネルに、青色
発光および緑色発光の蛍光体ストライプを作製した後、
赤色発光蛍光体として実施例4で得られた蛍光体を通常
の手順により塗布した。このとき露光用の420〜35
0nmの紫外光の透過率は3%であった。蛍光面の露光
・現像過程を経た後、塗布量を測定すると、4.0mg
/cm2 であった。蛍光面ストライプの端部の凹凸(キ
レ)を目視判定したところ、最良の10点であった。一
方、熱プラズマ処理しない原料のカラーTV用赤色蛍光
体を用いた場合には紫外光の透過率は1%であり、塗布
量は3.5mg/cm2 、キレ点数は9点であった。次
いで、有機物フィルミング、アルミ膜蒸着、ベーキン
グ、ファンネルと電子銃取付、排気・封止の各工程を経
て陰極線管を作製した。この陰極線管の赤色発光輝度
は、熱プラズマ処理しないEu/Y原子比3.7%のY
2 2 S:EuカラーTV用赤色蛍光体を用いて同様に
作製した陰極線管の輝度の120%であった。
【0081】(実施例12)フラックス法で作製した平
均粒径1.5μmのY2 2 S:Tbを原料として用い
た。Tb/Y原子比は6.5%であった。この原料蛍光
体に1/100希釈タモール水溶液を加え、吸引ろ過し
アルコール置換して乾燥した。この試料に3重量%の硫
黄を加え、アルゴン雰囲気の4MHz高周波プラズマト
ーチ中に導入して急冷してサイクロンで回収した。得ら
れた試料に水中で超音波を印加し、静置した後、上層部
分を除去して球状粒子を得た。この蛍光体には超微粒子
が0.05%含まれていた。この試料は肌色の体色を呈
し、可視光反射率は50%であった。さらに、この試料
を実施例11と同様に硫黄雰囲気中、900℃で1時間
焼成して蛍光体を得た。この蛍光体は判別できる超微粒
子を0.02%含む平均粒径1.2μmの白色の球状粒
子からなり、可視光反射率は91%であった。Tb/Y
原子比は3.5%であった。電子線励起による発光スペ
クトルは544nmnバンドが415nmのバンドより
10倍以上強く、緑色を示した。
【0082】この蛍光体を硫酸リチウム−珪酸カリウム
法で径25mmのガラス基板上に沈降させて蛍光膜を形
成した。次いで、有機物フィルミング、アルミ膜蒸着、
ベーキングを行った後に、9インチX線入力面を持つX
線像増倍管の出力面として取り付け、排気・封止の各工
程を経て陰極線管を作製した。このX線像増倍管を25
kVの陰極電圧で動作させたときの出力面の解像度は中
心で55ラインペア/cmであり、光出力は1mR/s
ecのX線入力あたり80ニットであった。一方、原料
の球状粒子でないY2 2 S:Tb蛍光体を用いて同様
にして作製したX線像増倍管の解像度は40ラインペア
/cmで、光出力は75ニットであった。
【0083】(実施例13)実施例1の原料として用い
たY2 3 :Eu蛍光体および実施例1の球状蛍光体
を、それぞれ内径4.5mmのガラス管に減圧吸入法に
よって6mg/cm2のコーティングウェイトで塗布
し、ガラス管の外面の50%の面積を反射率80%のフ
ィルム状反射板で覆った全長150mmの冷陰極蛍光ラ
ンプを作製した。これらの蛍光ランプを2Wの入力電力
で点灯させたとき、実施例1の原料蛍光体を用いた蛍光
ランプの両端の輝度の差は6%であったが、球状蛍光体
を用いた蛍光ランプの両端の輝度の差は1.5%であっ
た。
【0084】次に、図2に示した液晶ディスプレイにお
いて、蛍光ランプ21と反射板22を合わせた形で上記
2種類の蛍光ランプを用い、液晶パネル25としてはカ
ラーフィルタを備えていないモノクロームのTFT液晶
パネルを用いて赤色のモノクローム表示液晶ディスプレ
イを作製した。2Wの入力電力で点灯させたとき、球状
蛍光体を用いた蛍光ランプの場合の表示面の輝度は、実
施例1の原料蛍光体を用いた蛍光ランプの場合の表示面
の輝度に比べて18%高い値であった。
【0085】(実施例14)市販の蛍光ランプ用青色発
光、緑色発光および赤色発光の蛍光体を混合した蛍光体
を用いてコーティングウェイトを5.5mg/cm2
した以外は実施例13と同様な方法で同一形状の蛍光ラ
ンプを作製した。この蛍光ランプを2Wの入力電力で点
灯させたとき、蛍光ランプの両端の輝度の差は9%であ
った。また、この蛍光ランプの蛍光膜の拡散透過率は3
0%であった。
【0086】次に市販の蛍光ランプ用青色発光、緑色発
光および赤色発光の蛍光体をアルゴンをキャリアガスと
して高周波プラズマ中に供給して溶融し、急冷した後、
水中で超音波洗浄することによって、それぞれ平均粒径
4.6μm(0.2μm以下の超微粒子含有率0.08
重量%)、平均粒径5.2μm(0.2μm以下の超微
粒子含有率0.06重量%)、および平均粒径4.3μ
m(0.2μm以下の超微粒子含有率0.01重量%)
の3種類の球状蛍光体を得た。これらの蛍光体を混合し
て同様の蛍光ランプを作製した。この蛍光ランプを2W
の入力電力で点灯させたとき、蛍光ランプの両端の輝度
の差は2.5%であった。また、この蛍光ランプの蛍光
膜の拡散透過率は55%であり、上記蛍光ランプの1.
8倍の値であった。
【0087】これらの2種類の蛍光ランプを用い、液晶
パネルとしてカラーフィルタを備えたTFT液晶パネル
を用いた以外は実施例13と同様の方法でカラー液晶デ
ィスプレイを作製した。2Wの入力電力で点灯させたと
き、球状蛍光体を用いた蛍光ランプを用いた場合の白色
表示時の表示面の輝度は、原料蛍光体を用いた前者の蛍
光ランプを用いた場合の白色表示時の表示面の輝度に比
べて12%高い値であった。
【0088】(実施例15)通常の湿式沈降・焼成法に
より、平均粒径11.3μmのCaWO4 蛍光体を作製
した。この原料蛍光体を、アルゴンと酸素の混合ガスを
キャリアとして高周波熱プラズマ中に供給して溶融した
後、急冷することによって本発明に係る蛍光体を得た。
得られた蛍光体の平均粒径は10.5μmであり、超音
波洗浄を行った後には粒径0.2μm以下の超微粒子を
0.05重量%含んでいた。この蛍光体にバインダーを
混合してスラリーを調製し、支持体上にドクターブレー
ド法により、乾燥後の蛍光体塗布量が40mg/cm2
になるように均一に塗布して蛍光膜を形成した後、保護
膜を接着し増感紙を得た。一方、比較のため、原料蛍光
体を用いて上記と同様にして放射線増感紙を得た(比較
例3)。各増感紙の蛍光体膜の塗布厚さを測定したとこ
ろ、比較例3では149μmであったのに対し、実施例
15では128μmであった。
【0089】次に、得られた各増感紙について、X線フ
ィルムと重ね合わせて常法によりX線撮影を行い、現像
されたX線フィルムについて感度および鮮鋭度を測定し
た。実施例15の感度は、比較例3に対して104%で
あった。また、コントラスト法によりMTFを測定し、
MTF空間周波数2本/mmの値により鮮鋭度を比べる
と、実施例15は比較例3に対して109%であった。
【0090】(実施例16)通常の湿式沈澱・焼成法に
より、平均粒径4.9μmのGd2 2 S:Tb蛍光体
を作製した。この原料蛍光体をアルゴンと酸素の混合ガ
スをキャリアとして高周波熱プラズマ中に供給して溶融
した後、急冷した。この際、条件を変化させることによ
り、本発明に係る平均粒径2.4μmおよび9.5μm
の2種の蛍光体を得た。超音波洗浄を行った後の蛍光体
は0.2μm以下の超微粒子をそれぞれ0.05重量%
および0.01重量%含んでいた。これらの蛍光体にバ
インダーを混合して小粒子蛍光体のスラリーと2種の蛍
光体スラリーを調製し、このスラリーを順次用いて、支
持体上にドクターブレード法により乾燥後の膜厚が25
0μmになるように均一に2層塗布して蛍光膜を形成し
た後、保護膜を接着して放射線増感紙を得た。一方、比
較のために、通常の湿式沈澱・焼成法により製造され
た、平均粒径が2.5μmおよび9.8μmの2種のG
2 2 S:Tb蛍光体を用いて上記と同様にして放射
線増感紙を得た(比較例4)。各増感紙の蛍光膜の塗布
量を測定したところ、比較例4では78mg/cm2
あったのに対し、実施例16では96mg/cm2 であ
った。
【0091】次に、得られた各放射線増感紙について、
X線フィルムと重ね合わせて常法によりX線撮影を行
い、現像されたX線フィルムについて感度および鮮鋭度
を測定した。実施例16の感度は、比較例4に対して1
09%であった。また、コントラスト法によりMTFを
測定し、MTF空間周波数2本/mmの値により鮮鋭度
を比べると、実施例16は比較例4に対して101%で
あった。
【0092】(実施例17)通常の湿式沈澱・焼成法に
より、平均粒径8.1μmのGd2 2 S:Tb蛍光体
を作製した。この原料蛍光体をアルゴンと酸素の混合ガ
スをキャリアとして高周波熱プラズマ中に供給して溶融
した後、急冷することによって、本発明に係る蛍光体を
得た。得られた蛍光体の平均粒径は7.6μmであっ
た。超音波洗浄を行い、0.2μm以下の超微粒子を1
重量%含む蛍光体を、沈降法により保護膜上に乾燥後の
蛍光体塗布量が80mg/cm2 になるように蛍光体を
沈降させて蛍光膜を形成した後、支持体を接着して放射
線増感紙を得た。この放射線増感紙から1cm2 の試片
を切り出し、その断面のSEM像を観察したところ、実
施例16の2層塗布蛍光膜と同様の構造を持つ蛍光膜が
得られていることがわかった。
【0093】次に、得られた増感紙について、X線フィ
ルムと重ね合わせて常法によりX線撮影を行い、現像さ
れたX線フィルムについて感度および鮮鋭度を測定し
た。実施例17の感度は、比較例4に対して112%で
あった。また、コントラスト法によりMTFを測定し、
MTF空間周波数2本/mmの値により鮮鋭度を比べる
と、実施例17は比較例4に対して118%であった。
【0094】なお、以上の実施例では本発明に係る蛍光
体を投射管、カラー陰極線管または直管形の蛍光ランプ
に用いたが、直視型の端末用陰極線管もしくは低速電子
線蛍光表示管または環状もしくはコンパクト型の蛍光ラ
ンプに用いた場合にも同様の効果を達成できる。
【0095】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の蛍光体は、
粒径が小さく真球に近い形状を有するので、緻密で均質
かつ付着力の強い蛍光面を形成することができ、ひいて
は輝度の高い陰極線管や蛍光ランプあるいは放射線増感
紙を得ることができる。また、本発明の蛍光体に特有の
発光色を利用して、各種用途に適した陰極線管や、R9
を向上させた蛍光ランプを得ることができる。
【0096】また本発明の蛍光ランプは液晶ディスプレ
イの導光体方式バックライトとして用いた場合に輝度を
高くでき、管径が細い蛍光ランプを製造する際にも歩留
りが改善するために液晶ディスプレイの薄型化に有効で
ある。
【0097】一方、本発明の放射線増感紙を用いて、放
射線撮影を行うと、感度が高く、かつ鮮鋭度の高い放射
線写真が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るX線像増倍管の構造を示す図。
【図2】本発明に係る蛍光ランプを組み込んだ導光体方
式バックライトを備えた液晶ディスプレイ装置の構造を
示す図。
【図3】本発明に係る放射線増感紙の構造を示す図。
【図4】本発明の実施例1における希土類酸化物蛍光体
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真。
【図5】本発明の実施例4における希土類酸化物蛍光体
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真。
【図6】本発明の実施例7における希土類酸化物蛍光体
の粒子構造を示す電子顕微鏡写真。
【図7】本発明の実施例10における希土類酸化物蛍光
体の粒子構造を示す電子顕微鏡写真。
【図8】本発明の実施例11における希土類オキシ硫化
物蛍光体の粒子構造を示す電子顕微鏡写真。
【符号の説明】
11…入力蛍光面、12…光電陰極、13…集束電極、
14…陽極、15…出力蛍光面、16…真空容器、21
…蛍光ランプ、22…光反射フィルム、23…導光板、
24…拡散板、25…液晶表示パネル、26…ランプカ
バー、31a、31b…放射線増感紙、32…放射線フ
ィルム、33…放射線、34…支持体、35…蛍光膜、
36…保護膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥村 美和 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 高原 武 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地 株式会 社東芝堀川町工場内 (72)発明者 伊藤 武夫 埼玉県深谷市幡羅町1丁目9番2号 株式 会社東芝深谷電子工場内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ln2 3 :R(ただし、LnはLa,
    Gd,LuおよびYからなる群より選択される少なくと
    も1種の元素、Rはランタニド族より選択される少なく
    とも1種の元素)の組成式で表され、平均粒径が0.5
    〜15μmでありかつ長径と短径との比が1.0〜1.
    5である透明球状粒子からなり、粒径0.2μm以下の
    超微粒子を0.5重量%以下含むことを特徴とする蛍光
    体。
  2. 【請求項2】 RがEuでありそのLnに対する原子比
    が1〜6%、RがTbでありそのLnに対する原子比が
    0.1〜6%、またはRがPrでありそのLnに対する
    原子比が0.01〜5%であることを特徴とする請求項
    1記載の蛍光体。
  3. 【請求項3】 Gd2 3 :R(ただし、Rはランタニ
    ド族より選択される少なくとも1種の元素)の組成式で
    表され、少なくとも一部の結晶系が単斜晶系であること
    を特徴とする請求項1記載の蛍光体。
  4. 【請求項4】 RがEuでありそのLnに対する原子比
    が1〜6%、RがTbでありそのLnに対する原子比が
    0.1〜6%、またはRがPrでありそのLnに対する
    原子比が0.01〜5%であることを特徴とする請求項
    3記載の蛍光体。
  5. 【請求項5】 Gd2 3 :Euの組成式で表され、単
    斜晶系の結晶の割合が5〜100%であり、平均粒径が
    0.5〜3μmであることを特徴とする請求項1記載の
    蛍光体。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の蛍光体を含有する蛍光体
    層を形成したことを特徴とする陰極線管。
  7. 【請求項7】 請求項3記載の蛍光体を少なくとも一成
    分として含有する蛍光体層を形成したことを特徴とする
    陰極線管。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の蛍光体を少なくとも一成
    分として含有する蛍光体層をガラスバルブの内面に形成
    したことを特徴とする蛍光ランプ。
  9. 【請求項9】 請求項5記載の蛍光体と、発光ピークが
    611nm付近にあり赤色に発光するユーロピウム付活
    酸化イットリウム蛍光体と、発光ピークが540〜57
    0nmにあり緑色に発光する蛍光体と、発光ピークが4
    50nm付近にあり青色に発光する蛍光体とを混合した
    蛍光体を主成分とする蛍光体層をガラスバルブの内面に
    形成したことを特徴とする蛍光ランプ。
  10. 【請求項10】 前記緑色に発光する蛍光体がセリウム
    ・テルビウム付活リン酸ランタン蛍光体およびセリウム
    ・テルビウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム蛍
    光体からなる群より選択される少なくとも1種からな
    り、前記青色に発光する蛍光体が2価ユーロピウム付活
    ハロリン酸バリウム・マグネシウム蛍光体、2価ユーロ
    ピウム・マンガン共付活ハロリン酸バリウム・マグネシ
    ウム蛍光体および2価ユーロピウム付活ハロリン酸バリ
    ウム・カルシウム・ストロンチウム蛍光体からなる群よ
    り選択される少なくとも1種からなることを特徴とする
    請求項9記載の蛍光ランプ。
  11. 【請求項11】 平均粒径が0.5〜15μmであり、
    かつ長径と短径との比が1.0〜1.5である透明球状
    粒子からなり、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.5
    重量%以下含む蛍光体を塗布したことを特徴とする陰極
    線管。
  12. 【請求項12】 陰極線管がシャドウマスクを有する直
    視型カラー陰極線管であることを特徴とする請求項11
    記載の陰極線管。
  13. 【請求項13】 陰極線管が投射型映像装置に用いられ
    ることを特徴とする請求項11記載の陰極線管。
  14. 【請求項14】 平均粒径が0.5〜3μmであり陰極
    線管がX線像増倍管であることを特徴とする請求項11
    記載の陰極線管。
  15. 【請求項15】 平均粒径が0.5〜15μmであり、
    かつ長径と短径との比が1.0〜1.5である透明球状
    粒子からなり、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.5
    重量%以下含む蛍光体をガラス管の内面に塗布してなる
    ことを特徴とする蛍光ランプ。
  16. 【請求項16】 ガラス管の外部の1/3以上の面積が
    光反射率50〜98%の反射材で覆われていることを特
    徴とする請求項15記載の蛍光ランプ。
  17. 【請求項17】 蛍光ランプを形成するガラス管の内径
    が8mm以下であることを特徴とする請求項15記載の
    蛍光ランプ。
  18. 【請求項18】 支持体上に蛍光膜および保護膜を形成
    した放射線増感紙において、前記蛍光膜が、平均粒径が
    0.5〜20μmであり、かつ長径と短径との比が1.
    0〜1.5である透明球状粒子からなり、粒径0.2μ
    m以下の超微粒子を0.001〜5重量%含む蛍光体を
    含有することを特徴とする放射線増感紙。
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