JP2006257224A - 赤色酸化物蛍光体およびこれを用いた発光装置 - Google Patents

赤色酸化物蛍光体およびこれを用いた発光装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2006257224A
JP2006257224A JP2005075342A JP2005075342A JP2006257224A JP 2006257224 A JP2006257224 A JP 2006257224A JP 2005075342 A JP2005075342 A JP 2005075342A JP 2005075342 A JP2005075342 A JP 2005075342A JP 2006257224 A JP2006257224 A JP 2006257224A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxide
phosphor
light
emitting device
red
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005075342A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5178993B2 (ja
Inventor
Hajime Saito
肇 齊藤
Mototaka Tanetani
元隆 種谷
Takayuki Yuasa
貴之 湯浅
Setsuhisa Tanabe
勢津久 田部
Yoichi Kawakami
養一 川上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyoto University
Sharp Corp
Original Assignee
Kyoto University
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyoto University, Sharp Corp filed Critical Kyoto University
Priority to JP2005075342A priority Critical patent/JP5178993B2/ja
Publication of JP2006257224A publication Critical patent/JP2006257224A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5178993B2 publication Critical patent/JP5178993B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B20/00Energy efficient lighting technologies, e.g. halogen lamps or gas discharge lamps

Landscapes

  • Luminescent Compositions (AREA)

Abstract

【課題】 400nm帯青紫色励起光の吸収量を向上させた赤色酸化物蛍光体、およびこれを用いることによりパワー変換効率の安定性に優れた発光装置を提供する。
【解決手段】 付活元素としてSmを含み、単斜晶構造を有する一般式A23(Aは1種以上の3価金属、Oは酸素)で表される酸化物結晶を母体とする赤色酸化物蛍光体、ならびに、青紫色発光を呈する半導体励起光源と、付活元素としてSmを含み、単斜晶構造を有する一般式A23(Aは1種以上の3価金属、Oは酸素)で表される酸化物結晶を母体とする酸化物蛍光体を含んでなり、前記半導体励起光源からの青紫色発光が前記酸化物蛍光体で赤色に変換されることを特徴とする発光装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、蛍光体およびこれを用いた発光装置に関し、特に照明用途に用いられる赤色酸化物蛍光体およびこれを用いて可視光を呈する発光装置に関する。
従来より、可視光発光装置として固体励起光源により酸化物蛍光体を励起して可視多色発光や白色発光を得る試みがなされている。たとえば、特許文献1には、GaN系半導体を用いたブロードエリアレーザを励起光源とし、蛍光体として希土類元素で付活されたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)を用いて可視光あるいは白色発光を得る発光装置が開示されている。
特開2002−9402号公報
発光材料として希土類元素で付活させた酸化物蛍光体(希土類元素付活酸化物蛍光体)は、内部量子効率と色純度に優れる利点を有するが、希土類元素の多くは吸収帯が380nm以短の紫外領域にあるため、このような希土類元素付活酸化物蛍光体を効率的に励起するためには紫外光励起が必要となる。
一方、小型・長寿命な固体励起光源として近年さかんに利用されているGaN系半導体発光素子は、380〜450nmの青紫色発光の外部量子効率が高く、ほぼ405nmに外部量子効率の最大値を示している。このため、上記の希土類元素付活酸化物蛍光体とGaN系半導体発光素子を組み合わせた発光装置は、パワー変換効率が著しく低い。
なお、ここで「励起光源の外部量子効率」とは、(放射された光子数)/(注入されたキャリア数)を、「蛍光体の内部量子効率」とは、(放射された光子数)/(吸収されたフォトン数)を、「発光装置のパワー変換効率」とは、(放射された光出力)/(励起光源駆動電力)と定義される。
GaN系半導体を380nm以短の紫外領域で発光させるには、発光層をAlGaNで構成してワイドギャップ化する手法が考えられるが、AlGaN発光層は外部量子効率が低く、また結晶成長が難しいため欠陥を多く含み、信頼性に乏しい。さらに、紫外光を励起光源として用いた場合、酸化物蛍光体の分散媒体に樹脂材料を用いることができない。多くの樹脂材料は紫外光に対し十分な耐性を有しておらず、特にアニオンに硫黄(S)を含む硫化物蛍光体は、長期の紫外光照射に対し劣化を生じやすいためである。
このように、GaN系半導体発光素子で励起して用いる希土類酸化物活蛍光体およびこれを用いた発光装置は、パワー変換効率と信頼性の点で問題を有していた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、400nm帯青紫色励起光の吸収量を向上させた赤色酸化物蛍光体、およびこれを用いることによりパワー変換効率の安定性に優れた発光装置を提供することである。
本発明の赤色酸化物蛍光体は、付活元素としてSmを含み、単斜晶構造を有する一般式A23(Aは1種以上の3価金属、Oは酸素)で表される酸化物結晶を母体とすることを特徴とする。
ここにおいて、上記3価金属Aが、La、Eu、Gd、Luから選択される1種以上の希土類元素を含むことが好ましく、Gdであることがより好ましい。
また上記3価金属Aが、Sc、Y、B、Al、Ga、Inから選択される1種以上のIII族金属元素をさらに含むことが好ましい。
本発明の赤色酸化物蛍光体における上記酸化物結晶は、((Y,Sc)1-xGdx23(0.7≦x≦1)であるのが特に好ましい。
また上記Smの付活濃度は、対応する上記酸化物結晶のAに対して0.05〜1mol%の範囲であるのが好ましい。
本発明はまた、青紫色発光を呈する半導体励起光源と、付活元素としてSmを含み、単斜晶構造を有する一般式A23(Aは1種以上の3価金属、Oは酸素)で表される酸化物結晶を母体とする酸化物蛍光体を含んでなり、上記半導体励起光源からの青紫色発光が上記酸化物蛍光体で赤色に変換されることを特徴とする発光装置も提供する。
本発明の発光装置において、上記半導体励起光源は、InGaNを発光層に含みピーク波長400〜415nmの青紫色を呈するIII族窒化物半導体発光素子であるのが好ましい。
また本発明の発光装置において、上記半導体励起光源は、半導体レーザ素子または発光ダイオード素子であるのが好ましい。
本発明の発光装置はまた、上記半導体励起光源からの青紫色発光をピーク波長500〜550nmの緑色に変換する蛍光体と、上記半導体励起光源からの青紫色発光をピーク波長420〜490nmの青色に変換する蛍光体をさらに含むのが、好ましい。
本発明の赤色酸化物蛍光体は、付活元素としてSm(サマリウム)を含み、単斜晶構造を有する一般式A23(Aは1種以上の3価金属、Oは酸素)で表される酸化物結晶を母体とすることにより、Smの吸収帯をおよそ400〜415nmに広げることができ、蛍光体の吸収効率を安定に向上させることができる。
また、このような赤色酸化物蛍光体と青紫色発光を呈する半導体励起光源とを含んでなり、上記半導体励起光源からの青紫色発光が上記酸化物蛍光体で赤色に変換されることを特徴とする本発明の発光装置によれば、パワー変換効率が高く安定性に優れた発光装置を実現することができる。
本発明の赤色酸化物蛍光体は、付活元素としてSm(サマリウム)を含む。Smは、およそ403nmに光吸収のピークを有するため、青紫色励起光を高い効率で吸収し、610nmの赤色蛍光を呈する。光吸収は分裂したSmの4f準位間で生じるため、その吸収帯は数nmと非常に狭い。一方、励起光源として用いる半導体発光素子の発光スペクトル幅は、単色性に優れた半導体レーザ素子の場合1nm以下である。したがって、蛍光体母体の結晶場によるSmのエネルギ準位変動の影響や、半導体励起光源の波長ばらつき、温度による波長変動によって、蛍光体の励起光吸収量が大きく変動する。
本発明の赤色酸化物蛍光体は、その母体として単斜晶構造を有する一般式A23(Aは1種以上の3価金属、Oは酸素)で表される酸化物結晶を用いたことを特徴とする。このような酸化物結晶を母体とすることで、付活元素として含むSmの吸収帯をおよそ400〜415nmに広げることができる。このことにより、蛍光体の吸収効率を安定に向上させることができるので、パワー変換効率が高く安定性に優れた発光装置を製造することができる。
本発明において蛍光体母体として用いられる酸化物結晶は、単斜晶構造を有する一般式A23(Aは1種以上の3価金属、Oは酸素)で表されるものであれば特に制限されるものではない。図1には、単斜晶構造を有する前記酸化物結晶(Gd23)と、立方晶構造を有する前記酸化物結晶(La23)をそれぞれ母体として用いたSmを含有する赤色酸化物蛍光体について、励起スペクトルを測定した結果を示している。図1に示すように、立方晶構造のLa23では、405nmの励起波長に対し、吸収帯ピークの半分程度しか吸収されない。また、励起スペクトル幅が狭く、励起波長のばらつきやゆらぎによって吸収量は大きく変動してしまう。一方、斜方晶構造のGd23では励起スペクトル幅が広く、405nmの励起波長に対し、吸収帯ピークの80%以上を吸収することができる。また、励起波長のばらつきやゆらぎによっても吸収量変動は小さいことも図1から分かる。このことから、本発明においては単斜晶構造を有する前記酸化物結晶を用いることを必須の要件とする。
なお、赤色酸化物蛍光体に上記酸化物結晶が含まれていること、および当該酸化物結晶が単斜晶構造を有することは、たとえばX線回折装置(MultiFlex、リガク社製)を用いてX線回折による結晶構造評価を行うことにより確認することができる。
このような酸化物結晶における3価金属Aは、特に制限されるものではないが、たとえばLa(ランタン)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Lu(ルテニウム)から選択される1種以上の希土類元素を好適な例として挙げることができる。このような希土類元素の酸化物、すなわち(La、Eu、Gd、Lu)23はB型と呼ばれる単斜晶構造をとることができる。このことにより、Smの吸収帯をおよそ400〜415nmに広げることができ、安定かつ高効率な赤色蛍光を得ることができる。これらの中でも、Smの吸収帯を広げる効果が最も高い(実施例にて後述する)ことから、3価金属AとしてGdを用いるのが特に好ましい。
また、本発明に用いる酸化物結晶における3価金属Aは、上述した希土類元素とともに、III族金属元素を含み、複合酸化物結晶として形成されていてもよい。このようなIII族金属元素も特に制限されるものではないが、たとえばSc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、B(ホウ素)、Al(アルミニウム)、Ga(ガリウム)、In(インジウム)から選択される1種以上を好適な例として挙げることができる。上記例示した少なくともいずれかのIII族金属元素を希土類元素とともに用い複合酸化物結晶として形成することで、Smの吸収帯を広げることができると共に、そのピーク吸収波長を任意に制御することが可能となる。中でも、YまたはScを上記希土類元素と共に用いることが好ましい。YはSmと3価イオン半径が近いため、結晶性の低下を生じずSmを酸化物結晶中に均一に固溶させることができ、このことにより、赤色蛍光特性が均一で歩留まりに優れた赤色蛍光体を製造することができる。また前記III族金属元素は、主にピーク吸収波長を長波長側に移動させる効果を有するのに対し、Scを用いることで、ピーク吸収波長を短波長側に移動させることができるという利点がある。
本発明における酸化物結晶としては、具体的には、(Y1-xGdx23、(Sc1-xGdx23、(Al1-xGdx23、(B1-xGdx23、(Ga1-xGdx23、(In1-xGdx23およびこれらの複合酸化物などが例示され、中でも上述した利点を有する好適な組み合わせとして((Y,Sc)1-xGdx23が特に好ましい。
なお、複合酸化物結晶((Y,Sc)1-xGdx23において、Gd組成xは0.7≦x≦1の範囲にあることが好ましい。xが0.7未満の場合には、複合酸化物は安定に存在せず、Y23あるいはSc23とGd23に相分離しやすくなり、Smの吸収帯を広げてピーク吸収波長を任意に制御することが困難になるからである。図2は、Smを含み(Y1-xGdx23を母体とする赤色酸化物蛍光体およびSmを含み(Sc1-xGdx23を母体とする赤色酸化物蛍光体のGd組成依存性を示すグラフである。Y、Sc組成の増大と共に蛍光強度は減少するが、結晶構造が単斜晶から立方晶に転移するGd組成0.7以下では、蛍光強度の減少が著しいことが分かる。
本発明の赤色酸化物蛍光体におけるSmの付活濃度が、対応する上記酸化物結晶の3価金属Aに対して0.05〜1mol%の範囲であるのが好ましく、0.1〜0.3mol%の範囲であることがさらに好ましい。Smの付活濃度が0.05mol%未満の場合には、Sm原子が少なすぎるため励起光の吸収量および蛍光強度が十分でない傾向にあるためであり、また1mol%を超える場合には、Sm原子が多すぎるため濃度消光を生じ蛍光強度が低下してしまう虞があるためである。なお、赤色酸化物蛍光体におけるSmの付活濃度は、たとえば蛍光X線装置、二次イオン質量分析装置、ICP発光分析装置などを用い、濃度に応じて適切な組成分析を行うことで確認することができる。
本発明の赤色酸化物蛍光体の製造方法は、特に制限されるものではないが、たとえばまず、母体として用いる上記一般式A23で表される酸化物結晶とSmとを、Smが所望のモル%となるようにそれぞれ秤量し、乳鉢で0.5〜1時間程度混合する。上述のように1種以上のIII族金属元素を共に含ませる場合や、La、Eu、Gd、Luから選択される2種以上を含ませる場合には、3価金属Aの組成がと所定のモル比となるように秤量し、乳鉢に添加して混合する。その後、混合試料をプレス機を用いてペレットに成形した後、電気炉を用いて800〜1500℃で1〜24時間焼結し、その後室温まで冷却する。なお、焼結度合いを調整するため、温度を段階的に上昇させていってもよい。このようにして、本発明の赤色酸化物蛍光体を作製することができる。
また本発明の赤色酸化物蛍光体は、非平衡度の高い結晶成長手法によって成長することも可能である。たとえば、上述のペレットをターゲットとしてレーザアブレーション法を用いて基板上に形成すれば、薄膜状の蛍光体を得ることができる。
本発明はまた、青紫色発光を呈する半導体励起光源と、付活元素としてSmを含み、単斜晶構造を有する一般式A23(Aは1種以上の3価金属、Oは酸素)で表される酸化物結晶を母体とする酸化物蛍光体を含んでなり、上記半導体励起光源からの青紫色発光が上記酸化物蛍光体で赤色に変換されることを特徴とする発光装置も提供する。上記Sm含有酸化物蛍光体は、400〜415nmに吸収帯を有するため、青紫色励起光を高い効率で吸収する。このことにより、高いパワー変換効率で赤色を呈する発光装置を実現することができる。
青紫色発光を呈する半導体励起光源は、Smの吸収スペクトル範囲内に発光スペクトルを有することが好ましく、ピーク波長範囲は400〜415nm、さらに好ましくは405〜410nmであることが好ましい。ピーク波長がこの範囲から大きく外れると、励起光の大部分がSmに吸収されなくなるため、吸収効率が低下する。
上記ピーク波長を実現できる半導体発光素子の構成材料としては、窒化物であるGaN系半導体、酸化物であるZnO系半導体、あるいはII−V族化合物半導体であるZnSSe系半導体などを用いることができる。中でも特に、InGaNを発光層に含みピーク波長400〜415nmの青紫色を呈するIII族窒化物半導体発光素子を半導体励起光源として用いるのが好ましい。III族窒化物を用いた発光素子は、青紫色発光を高い外部量子効率で呈することができる半導体発光材料であり、特に発光層をInGaN混晶とすることによって、発光波長を外部量子効率が最も高い400〜415nmに制御することができる。このことにより、発光波長がSmの吸収帯の範囲内にあるため、Smが励起光を効率よく吸収することができる。
また本発明の発光装置における半導体励起光源は、半導体レーザ素子または発光ダイオード素子であるのが好ましい。
上記半導体励起光源が半導体レーザ素子であれば、発振光のスペクトル幅が狭いため、Smの吸収ピークを効率的に励起することができる。このことにより、パワー変換効率の高い発光装置を製造することができる。また、半導体レーザ素子は光ファイバなど線状導波路の伝搬性に優れているので、これを利用して高効率な線状発光装置を製造することができる。特に、発光素子として高い外部量子効率を有するInGaN系半導体レーザ素子は、外部量子効率の最大値を405nmに有し、発振スペクトルをSmの吸収スペクトルにほぼ一致させることができるため、最も好ましい。なお、半導体レーザ素子は、端面発光型、面発光型のいずれであってもよい。
上記半導体励起光源が発光ダイオード素子であれば、発光スペクトル幅は半導体レーザ素子に比べて広いため、Smの吸収帯域全域にわたって励起することができる。本発明の発光装置に用いているSm含有赤色蛍光体は、吸収帯が広いため、スペクトル幅が広い励起光においても利用効率が高く、パワー変換効率に優れた発光装置を製造することができる。
本発明の発光装置において、赤色酸化物蛍光体(、ならびに場合によっては青色蛍光体および緑色蛍光体(後述))は、通常、適宜の媒質中に均一に分散された状態で固形化され、発光体を形成する。媒質としては、たとえば、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂のうちから選ばれる少なくともいずれかを含む有機樹脂が挙げられる。媒質として有機樹脂を用いることによって、上記赤色酸化物蛍光体(ならびに、場合によっては青色蛍光体および緑色蛍光体)の分散性に優れ、かつ加工性に優れた発光体を得ることができるという利点がある。中でも、またエポキシ樹脂を用いると、吸湿性が低く寸法安定性に優れた媒質とすることができる利点があり、アクリル樹脂を用いると、可視光の透過性が高い媒質とすることができる利点がある。さらに、シリコン樹脂またはポリカーボネート樹脂を用いると、青紫色発光に対する耐久性に優れた媒質とすることができる利点がある。勿論、媒質は上述した有機樹脂を組み合わせて用いてもよい。
また、上記媒質としてガラスを用いてもよい。ガラスは有機樹脂と比較して光透過性と耐久性が格段に優れるという利点があり、また、上記赤色酸化物蛍光体(ならびに、場合によっては上記青色蛍光体および緑色蛍光体)の分散性にも優れ安価であるので、信頼性に優れた発光装置を低コストで製造することができるという利点がある。
本発明の発光装置において、上記媒質中に分散された赤色酸化物蛍光体の含有量は、媒質に対し0.1〜20重量%の範囲内であるのが好ましく、0.2〜5重量%の範囲内であるのがより好ましい。上記含有量が0.1重量%未満であると、白色発光を得たときに赤色成分が乏しく、演色性に劣る傾向にあるためであり、また20重量%を超えると、白色発光を得たときに青緑色成分とのバランスが取れず、演色性に劣る傾向にあるためである。
本発明の発光装置は、Sm含有赤色蛍光体に加え青色蛍光体および緑色蛍光体を含むことにより、高効率な白色発光を得ることができる。特に、半導体励起光源からの青紫色発光をピーク波長500〜550nmの緑色に変換する蛍光体と、上記半導体励起光源からの青紫色発光をピーク波長420〜490nmの青色に変換する蛍光体をさらに含むことにより、色温度が高く演色性に優れた白色発光を得ることができるとともに、各蛍光体の充填量を調整することにより、微妙な発光を得ることが可能になる。
ここで、青色蛍光体および緑色蛍光体は、それぞれ上記範囲内のピーク波長を有するような従来公知の適宜の蛍光体を好適に用いることができる。青色蛍光体としては、CaAl24:Eu,GaN:Zn,AlN:Tb,La2Si8114:Ce,BaMgAl1017:Eu、緑色蛍光体としてはSrAl24:Eu,Ca3Sc2Si312:Ce,α−SiAlONなどを用いることができる。
青色蛍光体および緑色蛍光体の含有量は、それぞれ、媒質に対し0.5〜30重量%の範囲内であるのが好ましく、1〜10重量%の範囲内であるのがより好ましい。上記含有量が0.5重量%未満であると、白色発光を得たときに青および緑色成分が乏しく、演色性に劣る傾向にあるためであり、また30重量%を超えると、白色発光を得たときに青赤色成分とのバランスが取れず、演色性に劣る傾向にあるためである。
なお、本発明の発光装置は、いずれか1あるいは2色のみの蛍光体を用いて任意に可視発光を得る発光装置としても勿論よい。
以下、本発明の発光装置の具体例について説明する。
図3は、本発明の好ましい第一の例の発光装置100を模式的に示す図である。図3に示す発光装置100においては、支持基板101上に、InGaN半導体で構成された青紫色発光を呈する半導体励起光源102が配置され、その上に本発明の赤色酸化物蛍光体を均一に分散させた樹脂層104が配置される。青紫色発光を呈する半導体励起光源102として、図3には、たとえば300μm角の大きさの半導体レーザ素子を用い、50μmの等間隔でアレイ状に配置されてなる青紫色半導体レーザ素子を用いている。支持基板101としては、半導体励起光源102および樹脂層104を支持することができるならば、その材質は任意のものを用いることができ、たとえばガラス、プラスチック、セラミックスなどを用いてよい。また、サファイアなどIII族窒化物半導体のエピタキシャル成長用基板を支持基板101に用いることもでき、半導体励起光源102をアレイ状に作り付けた基板をそのまま支持基板として用いれば、半導体励起光源102の配置および配線の手間を大幅に省くことができる。また図3に示す例においては、青紫色半導体レーザ素子を仕切る隔壁105が設けられる。隔壁105は、当該隔壁105に入射した光が赤色酸化物蛍光体に向けて高効率に反射されるように、その表面がたとえばAl、Pt、Agなどの光反射率の高い材料にて形成されるのが好ましい。
なお、図3においては、樹脂層104中に赤色酸化物蛍光体のみを分散させた例を示しているが、上述したように半導体励起光源からの青紫色発光をピーク波長500〜550nmの緑色に変換する蛍光体と、上記半導体励起光源からの青紫色発光をピーク波長420〜490nmの青色に変換する蛍光体をさらに分散させて実現しても勿論よい。これにより、色温度が高く演色性に優れた白色発光を得ることができると共に、各蛍光体の充填量を調整することにより、微妙な発色を得ることが可能となる。
図4は、本発明の好ましい第二の例の発光装置201を模式的に示す図である。図4に示す例の発光装置201においては、たとえば本発明の赤色酸化物蛍光体204a、緑色蛍光体204bおよび青色蛍光体204cを均一に分散させ、線状に形成した線状樹脂202と、青紫色発光を呈する半導体励起光源203とを、基本的に備える。図4に示す例において、半導体励起光源203としてはInGaN窒化物半導体レーザ素子が用いられ、このInGaN窒化物半導体レーザ素子は線状樹脂202の一端より青紫色の励起光を入射可能なように配置されてなる。図4に示した例の発光装置201は、線状白色光源として用いることができる。
図5は、本発明の好ましい第三の例の発光装置301を模式的に示す図である。図5に示す例の発光装置301においては、波長変換部としてコア302とクラッド303を有する光ファイバを用い、コア302を導波する励起光の一部がクラッド303側へ漏曳する構造を有する(側面偏光式)と共に、本発明の赤色酸化物蛍光体304a、緑色蛍光体304bおよび青色蛍光体304cをクラッド303に均一に分散させてなる。このような構成の発光装置301も本発明の発光装置に包含される。光ファイバとしては、従来公知の適宜のものを用いることができ、特に制限はされないが、Smおよび蛍光体を簡便に分散させることができるなどの理由から、コア302がPMMA(ポリメチルメタアクリレート)などのアクリル系樹脂にて形成され、クラッド303がフッ化ビニリデンやPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素系樹脂にて形成された光ファイバ304を用いるのが好ましい。また、フッ化物ガラスやボロンガラス、シリカなどのガラスファイバを用いても本発明の効果を得ることができる。クラッド303には、光拡散材がさらに含有されていてもよい。
図5に示す例の発光装置301は青紫色発光を呈する半導体励起光源305をさらに備え、この半導体励起光源305としては、たとえば光ファイバの一端より青紫色の励起光を入射可能に配置されたInGaN窒化物半導体レーザ素子が用いられる。かかる構成を備える発光装置301は、図4に示した例の発光装置201と同様の形状ではあるが、励起光はコア部302を導波して徐々にクラッド部303に浸透して吸収および発光に寄与するため、図4に示した例の発光装置201と比較して長手の発光装置を構成して均一に発光させることができる。図5に示した例の発光装置301は、線状白色光源として用いることができ、従来の蛍光灯に代わる照明光源や、あるいはこれを編み込んでフレキシブルな面状光源としても用いることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
Smを0.2mol%添加した希土類元素の単純酸化物を母体とする蛍光体を固相反応により作製した。希土類元素酸化物Gd23を5g秤量し、Gdに対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料をプレス器を用いてペレット(径:20mm、高さ:3mm)に成形した後、電気炉を用いて1600℃で6時間焼結し、その後室温まで冷却して、赤色酸化物蛍光体を作製した。
<実施例2>
Smを0.2mol%添加した希土類元素の単純酸化物を母体とする蛍光体を固相反応により作製した。希土類元素酸化物La23を5g秤量し、Laに対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料をプレス器を用いてペレット(径:20mm、高さ:3mm)に成形した後、電気炉を用いて1600℃で6時間焼結し、その後室温まで冷却して、赤色酸化物蛍光体を作製した。
<実施例3>
Smを0.2mol%添加した希土類元素の単純酸化物を母体とする蛍光体を固相反応により作製した。希土類元素酸化物Eu23を5g秤量し、Euに対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料をプレス器を用いてペレット(径:20mm、高さ:3mm)に成形した後、電気炉を用いて1600℃で6時間焼結し、その後室温まで冷却して、赤色酸化物蛍光体を作製した。
<実施例4>
Smを0.2mol%添加した希土類元素の単純酸化物を母体とする蛍光体を固相反応により作製した。希土類元素酸化物Lu23を5g秤量し、Luに対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料をプレス器を用いてペレット(径:20mm、高さ:3mm)に成形した後、電気炉を用いて1600℃で6時間焼結し、その後室温まで冷却して、赤色酸化物蛍光体を作製した。
<比較例1>
Smを0.2mol%添加した希土類の単純酸化物を母体とする蛍光体を固相反応により作製した。希土類酸化物La23を5g秤量し、Laに対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料をプレス器を用いてペレット(径:20mm、高さ:3mm)に成形した後、電気炉を用いて1600℃で6時間焼結し、その後室温まで冷却して、赤色酸化物蛍光体を作製した。
<比較例2>
Smを0.2mol%添加した希土類の単純酸化物を母体とする蛍光体を固相反応により作製した。希土類酸化物Lu23を5g秤量し、Luに対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料をプレス器を用いてペレット(径:20mm、高さ:3mm)に成形した後、電気炉を用いて1600℃で6時間焼結し、その後室温まで冷却して、実施例2の赤色酸化物蛍光体を作製した。
<評価試験1>
実施例1〜4、比較例1、2で得られた赤色酸化物蛍光体について、X線回折による結晶構造評価と積分球によるピーク波長405nmの半導体レーザ光の吸収効率および内部量子効率の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006257224
表1より、B型構造と呼ばれる単斜晶構造を有する酸化物結晶を母体として用い、かつSmを含有する赤色酸化物蛍光体において吸収効率および内部量子効率が優れており、このような酸化物結晶として、La23、Eu23、Gd23、Lu23が好ましく、特にGd23が好ましいことが判った。
また図1には、単斜晶構造を有する酸化物結晶を用いた赤色酸化物蛍光体(実施例1)および立方晶構造を有する酸化物結晶を用いた赤色酸化物蛍光体(比較例1)について、励起スペクトルを測定した結果を示す。図1のグラフにおいて縦軸は強度(任意単位)を示し、横軸は波長(nm)を示す。図1に示すように、比較例1の赤色酸化物蛍光体では、405nmの励起波長に対し、吸収帯ピークの半分程度しか吸収されない。また、励起スペクトル幅が狭く、励起波長のばらつきやゆらぎによって吸収量は大きく変動してしまう。これに対し、実施例1の赤色酸化物蛍光体では、励起スペクトル幅が広く、405nmの励起波長に対し、吸収帯ピークの80%以上を吸収することができる。また、励起波長のはらつきやゆらぎによっても吸収量変動は小さいことが分かった。
<実施例5>
Smを含み、複合酸化物(Y0.2Lu0.823を母体材料として用いた赤色酸化物蛍光体を作製した。酸化ルテチウムLu23、酸化イットリウムY23をそれぞれ4.38gおよび0.62g(Lu/Yモル比=8/2)秤量し、LuとYの総モル量に対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料を成型した後、1800℃で6時間焼結させ、その後室温まで急冷して実施例1と同様のペレットを得た。X線回折により結晶構造評価を行った結果、本実施例の蛍光体における母体材料はB型単斜晶構造であった。
<評価試験2>
実施例5で作製した赤色酸化物蛍光体について積分球によるピーク波長405nmの半導体レーザ光の吸収効率および内部量子効率の評価を行った結果、吸収効率は80%で内部量子効率は75%であった。表1に示した単純酸化物であるLu23(実施例4)を母体として用いた赤色酸化物蛍光体と比較すると、発光特性が改善されていることが分かった。
<実施例6>
Smを含み、複合酸化物(Gd0.80.223を母体材料として用いた赤色酸化物蛍光体を作製した。酸化ガドリウムGd23、酸化イットリウムY23をそれぞれ4.32gおよび0.68g(Gd/Yモル比=8/2)秤量と、GdとYの総モル量に対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料を成型および焼結させ、実施例1と同様のペレットを得た。X線回折により結晶構造評価を行った結果、得られた蛍光体における母体材料はB型単斜晶構造であった。
<比較例3>
Smを含み、複合酸化物(Gd0.50.523を母体材料として用いた赤色酸化物蛍光体を作製した。酸化ガドリウムGd23、酸化イットリウムY23をそれぞれ2.72gおよび1.70g(Gd/Yモル比=5/5)秤量と、GdとYの総モル量に対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料を成型および焼結させ、実施例1と同様のペレットを得た。X線回折により結晶構造評価を行った結果、得られた蛍光体における母体材料はC型立方晶構造であった。
<実施例7>
Smを含み、複合酸化物である(Gd0.8Sc0.223を母体材料として用いた赤色酸化物蛍光体を作製した。酸化ガドリウムGd23、酸化スカンジウムSc23をそれぞれ4.35gおよび0.42g(Gd/Scモル比=8/2)秤量と、GdとScの総モル量に対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料を成型および焼結させ、実施例1と同様のペレットを得た。X線回折により結晶構造評価を行った結果、得られた蛍光体における母体材料はB型単斜晶構造であった。
<比較例4>
Smを含み、複合酸化物である(Gd0.5Sc0.523を母体材料として用いた赤色酸化物蛍光体を作製した。酸化ガドリウムGd23、酸化スカンジウムSc23をそれぞれ2.72gおよび1.03g(Gd/Scモル比=5/5)秤量と、GdとScの総モル量に対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料を成型および焼結させ、実施例1と同様のペレットを得た。X線回折により結晶構造評価を行った結果、得られた蛍光体における母体材料はC型立方晶構造であった。
<実施例8>
Smを含み、複合酸化物である(Gd0.8Lu0.223を母体材料として用いた赤色酸化物蛍光体を作製した。酸化ガドリウムGd23、酸化ルテチウムLu23をそれぞれ4.35gおよび1.20g(Gd/Luモル比=8/2)秤量と、GdとLuの総モル量に対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料を成型および焼結させ、実施例1と同様のペレットを得た。X線回折により結晶構造評価を行った結果、得られた蛍光体における母体材料はB型単斜晶構造であった。
<比較例5>
Smを含み、複合酸化物である(Gd0.5Lu0.523を母体材料として用いた赤色酸化物蛍光体を作製した。酸化ガドリウムGd23、酸化ルテチウムLu23をそれぞれ2.72gおよび2.98g(Gd/Luモル比=5/5)秤量と、GdとLuの総モル量に対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料を成型および焼結させ、実施例1と同様のペレットを得た。X線回折により結晶構造評価を行った結果、得られた母体材料はC型立方晶構造であった。
<実施例9>
Smを含み、複合酸化物である(Gd0.8Ga0.223を母体材料として用いた赤色酸化物蛍光体を作製した。酸化ガドリウムGd23、酸化ガリウムGa23をそれぞれ4.35gおよび0.56g(Gd/Gaモル比=8/2)秤量と、GdとGaの総モル量に対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料を成型および焼結させ、実施例1と同様のペレットを得た。X線回折により結晶構造評価を行った結果、得られた蛍光体における母体材料はB型単斜晶構造であった。
<実施例10>
Smを含み、複合酸化物である(Gd0.80.223を母体材料として用いた赤色酸化物蛍光体を作製した。酸化ガドリウムGd23、酸化ホウ素B23をそれぞれ4.35gおよび0.21g(Gd/Bモル比=8/2)秤量と、GdとBの総モル量に対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料を成型および焼結させ、実施例1と同様のペレットを得た。X線回折により結晶構造評価を行った結果、得られた蛍光体における母体材料はB型単斜晶構造であった。
<実施例11>
Smを含み、複合酸化物である(Gd0.8Al0.223を母体材料として用いた赤色酸化物蛍光体を作製した。酸化ガドリウムGd23、酸化アルミニウムAl23をそれぞれ4.35gおよび0.31g(Gd/Alモル比=8/2)秤量と、GdとAlの総モル量に対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料を成型および焼結させ、実施例1と同様のペレットを得た。X線回折により結晶構造評価を行った結果、得られた蛍光体における母体材料はB型単斜晶構造であった。
<実施例12>
Smを含み、複合酸化物である(Gd0.8In0.223を母体材料として用いた赤色酸化物蛍光体を作製した。酸化ガドリウムGd23、酸化インジウムIn23をそれぞれ4.35gおよび0.83g(Gd/Inモル比=8/2)秤量と、GdとInの総モル量に対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料を成型および焼結させ、実施例1と同様のペレットを得た。X線回折により結晶構造評価を行った結果、得られた蛍光体における母体材料はB型単斜晶構造であった。
<評価試験3>
実施例6〜12および比較例3〜5で得られた各赤色酸化物蛍光体について、積分球によるピーク波長405nmの半導体レーザ光の吸収効率および内部量子効率の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2006257224
この結果より、酸化物蛍光体は複数の希土類元素あるいは他のIII族金属元素を含んで構成されていてもよく、結晶構造が単斜晶であれば、本発明の効果が得られることが分かった。このようなIII族金属には、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などを用いることができる。特に、希土類金属にGd、その他のIII族金属にYあるいはScを選択して複合酸化物とした蛍光体が好ましい。これはYおよびScの3価イオン半径が希土類イオンが近いため、混晶化による結晶性低下は生じにくいためであると考えられる。
図2は、Smを含み(Y1-xGdx23を母体とする赤色酸化物蛍光体およびSmを含み(Sc1-xGdx23を母体とする赤色酸化物蛍光体のGd組成依存性を示すグラフである。図2のグラフにおいて、縦軸は強度(任意単位)を示し、横軸はGd組成xを示している。Y、Sc組成の増大と共に蛍光強度は減少するが、結晶構造が単斜晶から立方晶に転移するGd組成0.7以下では、蛍光強度の減少が著しいことが分かった。これより、((Y,Sc)1-xGd)23においては、Gd組成xは0.7≦x≦1の範囲にあることが好ましい。
<比較例6>
Smを含み、III族金属の単純酸化物Y23を母体とする赤色酸化物蛍光体を、以下のようにして作製した。Y23を5g秤量し、Euに対しSmが0.2mol%となるようSm酸化物Sm23を秤量して乳鉢で60分混合した。混合試料をプレス器を用いてペレット(径:20mm、高さ:3mm)に成形した後、電気炉を用いて1600℃で6時間焼結し、その後室温まで冷却した。
X線回折により結晶構造評価を行った結果、得られた蛍光体における母体材料は立方晶構造であった。また得られた蛍光体についてピーク波長405nmの半導体レーザ光の吸収効率および内部量子効率の評価を行ったところ、吸収効率は40%、内部量子効率は30%であり、本発明の効果が得られなかった。
<実施例13>
図3に示した例の発光装置100を作製した。実施例1で作製した赤色酸化物蛍光体103をエポキシ樹脂に均一に分散させて、樹脂層104を形成した。具体的には、ビスフェノールAを含むエポキシ主剤(スタイキャスト1266、エマーソンアンドカミング社製)10gに赤色酸化物蛍光体103を20mg添加後、均一に混合分散させ、硬化剤を添加した後ただちに支持基板101上に塗布し、常温にて24時間架橋硬化させるという手順にて、支持基板101上に樹脂層104を形成した。支持基板101としては、サファイアを用いた。青紫色発光を呈する半導体励起光源102としては、ピーク波長405nmのInGaN半導体レーザ素子であって、300μm角の大きさのものを、50μmの等間隔でアレイ状に配置し、光出射面端面が樹脂層104を向くように実装した。また青紫色発光素子102間は、Alで形成された隔壁105にて仕切るようにした。このように構成された本発明の発光装置100において、InGaN半導体レーザ素子に80mAの電流を流したところ、出力30mWで波長405nmのレーザ光が樹脂層104に入射し、樹脂層104上表面から赤色発光が得られた。発光装置のパワー変換効率を、発光装置100を積分球内に設置し、放射された白色光を集光して全光束量を測定し、これを励起光源である発光素子102の消費電力で除することによって測定したところ、501m/Wであった。
<比較例7>
Smを含み、立方晶構造を有するY23を母体とする赤色酸化物蛍光体を用いたこと以外は実施例15と同様にして、図3に示した構造の発光装置を作製した。実施例15と同様にして測定されたパワー変換効率は251m/Wであった。
<実施例14>
図4に示した例の発光装置201を作製した。媒質としてアクリル樹脂を用い、これに実施例1で作製した赤色酸化物蛍光体204a、SrAl24:Eu緑色蛍光体204b、およびCaAl24:Eu青色蛍光体204cを、0.2:1:2.5の比率で均一に分散させた後硬化させ、これを直径3mmに成形するというようにして、線状発光体202を形成した。青紫色発光を呈する半導体励起光源203としては、InGaN窒化物半導体レーザ素子を用い、線状樹脂202の一端より青紫色の励起光を入射可能に配置した。このように構成された本発明の発光装置201において、InGaN窒化物半導体レーザ素子に80mAの電流を流したところ、出力30mWで波長405nmのレーザ光が線状樹脂202の一端より入射し、線状樹脂202の側面およびレーザ光を入射したのと反対側の端面から白色発光が得られた。実施例15と同様にして測定されたパワー変換効率は50m/Wであった。
<実施例15>
図5に示した例の発光装置301を作製した。コア302およびその外周部を同心円状に被覆したクラッド303よりなる光ファイバにおいて、クラッド303に実施例1で作製した赤色酸化物蛍光体304a、SrAl24:Eu緑色蛍光体304b、およびCaAl24:Eu青色蛍光体304cを、0.2:1:2.5の比率で均一に分散させたものを形成した。光ファイバは、コア(導径:0.2mm)がポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)で形成され、クラッド(導径:0.5mm)がフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体で形成され、クラッド303の屈折率がコア302よりも小さいものを用いた。また、コア302を導光するレーザ光の一部がクラッド303に漏洩するよう、クラッドにおけるフッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの重合体比を調整した。青紫色発光を呈する半導体励起光源305としてはInGaN窒化物半導体レーザ素子を用い、光ファイバの一端より青紫色の励起光を入射可能に配置した。このように構成された本発明の発光装置301において、InGaN窒化物半導体レーザ素子305に80mAの電流を流したところ、出力30mWで波長405nmのレーザ光がコア302に入射し、クラッド303から白色発光が得られた。実施例15と同様にして測定されたパワー変換効率は50m/Wであった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
単斜晶構造を有する前記酸化物結晶(Gd23)と、立方晶構造を有する前記酸化物結晶(La23)をそれぞれ母体として用いたSmを含有する赤色酸化物蛍光体について、励起スペクトルを測定した結果を示すグラフである。 Smを含み(Y1-xGdx23を母体とする赤色酸化物蛍光体およびSmを含み(Sc1-xGdx23を母体とする赤色酸化物蛍光体のGd組成依存性を示すグラフである。 本発明の好ましい第一の例の発光装置100を模式的に示す図である。 本発明の好ましい第二の例の発光装置201を模式的に示す図である。 本発明の好ましい第三の例の発光装置301を模式的に示す図である。
符号の説明
100,201,301 発光装置、101 支持基板、102,203,305 励起光源、104 樹脂層、202 線状樹脂、302 コア、303 クラッド、103,204a,304a 赤色酸化物蛍光体、204b,304c 青色蛍光体、204b,304c 緑色蛍光体。

Claims (11)

  1. 付活元素としてSmを含み、単斜晶構造を有する一般式A23(Aは1種以上の3価金属、Oは酸素)で表される酸化物結晶を母体とすることを特徴とする赤色酸化物蛍光体。
  2. 前記3価金属Aが、La、Eu、Gd、Luから選択される1種以上の希土類元素を含む請求項1に記載の赤色酸化物蛍光体。
  3. 前記3価金属Aが、Sc、Y、B、Al、Ga、Inから選択される1種以上のIII族金属元素をさらに含む請求項2に記載の赤色酸化物蛍光体。
  4. 前記希土類元素がGdである請求項2に記載の赤色酸化物蛍光体。
  5. 前記酸化物結晶が((Y,Sc)1-xGdx23(0.7≦x≦1)である請求項3または4に記載の赤色酸化物蛍光体。
  6. 前記Smの不活濃度が、対応する前記酸化物結晶のAに対して0.05〜1mol%の範囲である請求項1に記載の赤色酸化物蛍光体。
  7. 青紫色発光を呈する半導体励起光源と、付活元素としてSmを含み、単斜晶構造を有する一般式A23(Aは1種以上の3価金属、Oは酸素)で表される酸化物結晶を母体とする酸化物蛍光体を含んでなり、前記半導体励起光源からの青紫色発光が前記酸化物蛍光体で赤色に変換されることを特徴とする発光装置。
  8. 前記半導体励起光源が、InGaNを発光層に含みピーク波長400〜415nmの青紫色を呈するIII族窒化物半導体発光素子である請求項7に記載の発光装置。
  9. 前記半導体励起光源が、半導体レーザ素子である請求項7に記載の発光装置。
  10. 前記半導体励起光源が、発光ダイオード素子である請求項7に記載の発光装置。
  11. 前記半導体励起光源からの青紫色発光をピーク波長500〜550nmの緑色に変換する蛍光体と、前記半導体励起光源からの青紫色発光をピーク波長420〜490nmの青色に変換する蛍光体をさらに含む、請求項7に記載の発光装置。
JP2005075342A 2005-03-16 2005-03-16 発光装置 Expired - Fee Related JP5178993B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005075342A JP5178993B2 (ja) 2005-03-16 2005-03-16 発光装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005075342A JP5178993B2 (ja) 2005-03-16 2005-03-16 発光装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006257224A true JP2006257224A (ja) 2006-09-28
JP5178993B2 JP5178993B2 (ja) 2013-04-10

Family

ID=37096841

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005075342A Expired - Fee Related JP5178993B2 (ja) 2005-03-16 2005-03-16 発光装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5178993B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008195779A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Sharp Corp 発光装置
CN108060457A (zh) * 2017-12-21 2018-05-22 苏州晶享嘉世光电科技有限公司 一种钪酸钆钇晶体及熔体法晶体生长方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08134443A (ja) * 1993-12-17 1996-05-28 Toshiba Corp 蛍光体、陰極線管、蛍光ランプおよび放射線増感紙

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08134443A (ja) * 1993-12-17 1996-05-28 Toshiba Corp 蛍光体、陰極線管、蛍光ランプおよび放射線増感紙

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008195779A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Sharp Corp 発光装置
CN108060457A (zh) * 2017-12-21 2018-05-22 苏州晶享嘉世光电科技有限公司 一种钪酸钆钇晶体及熔体法晶体生长方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5178993B2 (ja) 2013-04-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5628394B2 (ja) 蛍光体変換半導体発光デバイス
JP6427721B1 (ja) 積層ルミネッセンス集光器
JP5432435B2 (ja) 蛍光体変換発光デバイス
Raukas et al. Ceramic phosphors for light conversion in LEDs
US20200041885A1 (en) Light concentrator module
US20070194693A1 (en) Light-Emitting Device
KR20120104377A (ko) 발광 물질을 갖는 발광 다이오드 소자
KR102215665B1 (ko) 형광분말, 이의 제조방법 및 이를 구비하는 발광소자
EP3425022A1 (en) Phosphor and light emitting device
US20080290786A1 (en) Light Emitting Device, and Lighting System, Image Display Using the Same
JP2011012215A (ja) セラミックス複合体
JP2019500722A (ja) 超高輝度を得るための多重励起ルミネッセンスロッド構成
JP2018529201A (ja) セラミックガーネットを備える照明デバイス
CN110305661A (zh) 红色氮化物萤光体及其发光装置
KR20140043055A (ko) 카보니트라이드 및 카바이도니트라이드 형광체 및 이를 사용한 발광 장치
JP7108841B2 (ja) 蛍光体および発光装置
JP4592457B2 (ja) 赤色蛍光体およびこれを用いた発光装置
US10955114B2 (en) Phosphor and light-emitting apparatus
JP5178993B2 (ja) 発光装置
JP2007277277A (ja) 蛍光体混合物、発光装置、画像表示装置、及び照明装置
KR20130028374A (ko) 백색 발광다이오드 소자용 산화질화물 형광체, 그의 제조방법 및 그를 이용한 백색 led 소자
JP7322318B2 (ja) レーザ蛍光体ベースの画素化光源
EP3660553B1 (en) Light-emitting device
JP2021151933A (ja) セラミクス複合体
JP2019131785A (ja) 蛍光体および発光装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070712

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100216

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100402

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20100413

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100413

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100601

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100820

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20100909

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20101022

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130109

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees