JPH08130103A - 電圧非直線性抵抗素子の製造方法および電圧非直線性抵抗素子 - Google Patents

電圧非直線性抵抗素子の製造方法および電圧非直線性抵抗素子

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JPH08130103A
JPH08130103A JP6288841A JP28884194A JPH08130103A JP H08130103 A JPH08130103 A JP H08130103A JP 6288841 A JP6288841 A JP 6288841A JP 28884194 A JP28884194 A JP 28884194A JP H08130103 A JPH08130103 A JP H08130103A
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oxygen concentration
temperature
linear resistance
voltage
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JP6288841A
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Masahito Furukawa
正仁 古川
Minoru Ogasawara
稔 小笠原
Kenji Koseki
健二 小関
Tomohiro Sogabe
智浩 曽我部
Takeshi Nomura
武史 野村
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、より高いエネルギー耐量を有する
電圧非直線性抵抗素子の製造方法および電圧非直線性抵
抗素子を提供することを目的とするものである。 【構成】 本発明の電圧非直線性抵抗素子の製造方法
は、ZnOを主成分とする電圧非直線性抵抗素子原料粉
末の成形体を、昇温工程、高温保持工程および降温工程
を備える焼成工程により焼成する際に、焼成雰囲気を、
前記降温工程の開始時点から650℃になるまでの間の
いずれかの時点と、400℃から前記降温工程終了まで
の間のいずれかの時点との間の温度領域において、酸素
濃度が空気より高い高酸素濃度雰囲気とし、前記降温工
程の他の領域を酸素濃度が15〜20%の雰囲気とする
ことを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電圧非直線性抵抗素子
の製造方法および電圧非直線性抵抗素子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年サイリスタ、トランジスタ、集積回
路などの半導体素子および半導体回路とその応用の急速
な発展にともない計測、制御、通信機器および電力機器
における半導体素子、半導体回路の使用が普及し、これ
ら機器の小型化、高性能化が急速に進展している。しか
し、他方ではこのような進歩にともない、これらの機器
やその部品の耐電圧、耐サージ、耐ノイズ性能は十分な
ものとはいえなかった。このためこれらの機器や部品を
異常なサージやノイズから保護すること、あるいは回路
電圧を安定化することがきわめて重要な課題になってき
ている。これらの課題の解決のために電圧非直線性がき
わめて大きく、放電耐量の大きい、寿命特性の優れた、
しかも安価な電圧非直線性抵抗体材料の開発が要請され
てきている。
【0003】これらの目的のため、シリコンカーバイド
(SiC)、セレン(Se)、シリコン(Si)、Zn
O等を主成分としたバリスタが利用されている。なかで
もZnOを主成分としたバリスタは、一般に制限電圧が
低く、電圧非直線指数が大きいなどの特徴を有してい
る。そのため半導体素子のような過電流耐量の小さなも
ので構成される機器の過電圧に対する保護に適している
ので、SiCバリスタなどに代って広く利用されるよう
になっている。
【0004】ところで、通常、上記のようなZnO系電
圧非直線性抵抗素子は、ZnOを主成分とする電圧非直
線性抵抗素子原料粉末の成形体を、他の材料の電圧非直
線性抵抗素子と同様、加熱昇温工程、高温保持工程およ
び冷却工程を備える焼成工程により焼成して製造されて
いる。従来、焼成の全工程は、同一酸素分圧の雰囲気
(通常は大気)中で行なわれていたが、従来のバリスタ
においては、そのエネルギー耐量が600J/cm3
度であり、エネルギー印加による特性変化の少ない、よ
り高いエネルギー耐量を持つバリスタが要求されてい
る。上記エネルギー耐量とは、次のように定義される。
すなわち、試料に2msecの方形波の所定の電圧の電
圧パルスを印加し、この電圧パルスの印加を、電圧値を
大きくしながら数分間隔で繰り返すと、バリスタ電圧は
徐々に変化して行くが、その変化率が−10%に達した
(ΔV1mA /V1mA ×100=−10%)ときの、試料
に印加された単位体積当たりのエネルギー(印加電圧×
電流×印加時間/素子体積(単位:J/cm3 ))がエ
ネルギー耐量である。
【0005】そこで、本発明は、より高いエネルギー耐
量を有する電圧非直線性抵抗素子の製造方法および電圧
非直線性抵抗素子を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(3)の発明により達成される。 (1)ZnOを主成分とする電圧非直線性抵抗素子原料
粉末の成形体を、昇温工程、高温保持工程および降温工
程を備える焼成工程により焼成する際に、焼成雰囲気
を、前記降温工程の開始時点から650℃になるまでの
間のいずれかの時点と、400℃から前記降温工程終了
までの間のいずれかの時点との間の温度領域において、
酸素濃度が空気より高い高酸素濃度雰囲気とし、前記降
温工程の他の領域を酸素濃度が15〜20%の雰囲気と
することを特徴とする電圧非直線性抵抗素子の製造方
法。 (2)焼成雰囲気を、前記昇温工程の少なくとも一部に
おいて、酸素濃度が15%未満の低酸素濃度雰囲気と
し、その後、酸素濃度が15〜20%の雰囲気とする上
記(1)の電圧非直線性抵抗素子の製造方法。 (3)上記(1)または(2)の製造方法により製造さ
れた電圧非直線性抵抗素子であって、単位厚み当たりの
バリスタ電圧が、100〜300Vの範囲にある電圧非
直線性抵抗素子。
【0007】
【作用・効果】本発明の電圧非直線性抵抗素子において
は、焼成の降温工程の少なくとも650〜400℃の温
度範囲における焼成雰囲気を、空気より高い酸素濃度の
高酸素濃度雰囲気としたことにより、従来、エネルギー
耐量が600J/cm3 程度であったものが、10%程
度以上増大した。これにより、大きなエネルギーを印加
しても特性の安定した電圧非直線性抵抗素子を得ること
ができる。
【0008】なお、特開昭59−106102号公報に
は、上記の焼成工程において、高温保持工程の後半時点
から冷却工程に入った直後の時点までの間に、焼成雰囲
気の酸素分圧を、2×10-1気圧(空気の酸素分圧)未
満の値から、2×10-1気圧以上の値に切り換えて、α
の値の向上を図ったZnO系バリスタの製造方法が提案
されているが、エネルギー耐量の向上をその課題として
おらず、特に、高温焼成等の条件で作製した場合、粒成
長が進むので、使用電圧が比較的低い電圧、例えば、単
位厚み当たり10〜50V程度で用いられる電圧非直線
性抵抗素子に関するものである。これに対して、本発明
の電圧非直線性抵抗素子は、好ましくは単位厚み当たり
100〜300V程度の高電圧で使用されるものであっ
て、粒成長は極力抑制されることが望ましい。また、特
開平2−219203号公報および特開平5−7460
8号公報には、電圧非直線性抵抗体の焼成の全工程を酸
素分圧40%以上の雰囲気で行なうことが開示されてい
るが、エネルギー耐量の向上を課題としておらず、しか
も上記と同様に低電圧用のものであって、本発明とは異
なる。
【0009】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0010】本発明の電圧非直線性抵抗素子は、酸化亜
鉛を主成分とする希土類系酸化亜鉛電圧非直線性抵抗素
子、およびビスマス系酸化亜鉛電圧非直線性抵抗素子で
あることが好ましい。酸化亜鉛の含有量は、上記希土類
系およびビスマス系のいずれにおいても、Zn換算で金
属または半金属元素中の80原子%以上、好ましくは8
5〜99原子%が好ましい。
【0011】希土類系においては、上記酸化亜鉛に副成
分として、希土類元素のうち少なくとも1種の酸化物;
酸化コバルト;酸化クロム;III b族元素の少なくとも
1種の酸化物;Ia族元素の少なくとも1種の酸化物;
酸化カルシウム;および酸化シリコンを含有することが
好ましい。
【0012】これら副成分を構成する金属元素のうち、
希土類は、Y、ランタノイドのいずれであってもよい
が、特にLa,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,
Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuのうちの1種
または2種以上が好ましい。2種以上用いるときの混合
比は任意である。そして、その含有量は、金属および半
金属元素のみの原子百分率に換算して、希土類元素のう
ち少なくとも1種の総量が0.05〜5原子%であるこ
とが好ましい。コバルトの含有量は0.1〜20原子%
であることが好ましい。クロムの含有量は0.01〜1
原子%であることが好ましい。III b族元素としては、
硼素、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムのうち
少なくとも1種が好ましく、2種以上用いるときの量比
は任意であるが、その総量は0.0005〜0.5原子
%が好ましい。Ia族元素としては、カリウム、ルビジ
ウム、セシウムのうち少なくとも1種が好ましく、2種
以上用いるときの量比は任意であるが、その総量は0.
001〜1原子%が好ましい。カルシウムの含有量は
0.01〜2原子%が好ましく、シリコンの含有量は
0.001〜0.5原子%が好ましい。
【0013】このような前提において、カルシウムとシ
リコンの原子比(Ca/Si)は0.2〜20の範囲、
特に2〜6の範囲に設定されていることが好ましい。
【0014】このような量規制が好ましいのは以下の理
由による。Zn量が減少すると高温高湿度中での負荷寿
命試験において劣化しやすくなる傾向がある。希土類元
素は電圧非直線抵抗特性を向上させるが、多すぎると、
サージ耐量を低下させる傾向がある。Coは電圧非直線
抵抗特性を向上させるが、多すぎると、制限電圧特性を
低下させる傾向がある。Crは電圧非直線抵抗特性を向
上させるが、多すぎると、エネルギー耐量を低下させる
傾向がある。III b族元素は制限電圧特性、エネルギー
耐量を向上させるが、多すぎると、電圧非直線抵抗特性
を低下させる傾向がある。Ia族元素はリーク(漏洩)
電流特性を向上させるが、多すぎると、エネルギー耐量
を低下させる傾向がある。Caは電圧非直線抵抗特性を
向上させるが、多すぎると、エネルギー耐量を低下させ
る傾向がある。Siはリーク(漏洩)電流特性を向上さ
せるが、多すぎると、焼結を阻害する傾向がある。Ca
/Si比が、0.2未満となったり、20超となると特
に初期のI−V特性の非対称性が悪化し、かつその劣化
が増大し、非直線性が低下する傾向がある。また、Ca
/Si比が0.2未満のときには負荷寿命も悪化する傾
向がある。
【0015】さらに、副成分中には酸化マグネシウムが
含有されることが好ましい。Mgの含有量は0.05〜
10原子%が好ましい。Mgの添加により、I−V特性
の非対称性の劣化が防止され、リーク電流が減少する。
【0016】このような組成を有するバリスタ素子は焼
結体であって、1〜100μm 程度のグレインを有す
る。グレインは、主成分ZnOとともに、コバルト、ア
ルミニウム等の副成分が含有され、さらに粒界にはその
他の副成分が存在する。
【0017】一方、ビスマス系の場合には、上記酸化亜
鉛に副成分として、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化
アンチモン、酸化クロム、酸化マンガン、酸化ニッケ
ル、酸化銀、酸化珪素、およびIII b族元素の少なくと
も一種の酸化物を含有することが好ましい。コバルトの
含有量は、0.1〜20原子%であることが好ましい。
ビスマスの含有量は0.5〜10原子%、アンチモンの
含有量は0.5〜10原子%であることが好ましい。ク
ロムの含有量は0.1〜5原子%、マンガンの含有量は
0.1〜5原子%、ニッケルの含有量は0.01〜1原
子%、銀の含有量は0.01〜0.5原子%、珪素の含
有量は0.01〜0.5原子%であることが好ましい。
また、III b族元素は、硼素、アルミニウム、ガリウム
およびインジウムのうち少なくとも1種が好ましく、2
種以上用いるときの量比は任意であるが、その総量は
0.0005〜0.5原子%が好ましい。
【0018】そして、このような焼結体は常法に従い電
極付け等を施され電圧非直線性抵抗素子とされる。この
際、ガラス等によるコートは通常必要としない。また、
その用途としては、家庭用電気製品用、産業用機器用等
の全ての電圧非直線性抵抗素子に用いることができ、特
に高電圧用等産業機器用等の大きな素子に用いることが
望ましい。従って、本発明の電圧非直線性抵抗素子の単
位厚み(mm)当たりのバリスタ電圧は、100〜300
Vであることが好ましい。
【0019】次に、このような素子の本発明による製造
方法について説明する。この際、焼成は、図1に示した
ように、昇温工程、高温保持工程および降温工程からな
るものであることが好ましい。ここで、後の説明のた
め、上記昇温工程、高温保持工程および降温工程を、昇
温開始から第1所定温度aまでのA領域、このA領域に
続き、上記第1所定温度aより高温の昇温工程中の第2
所定温度bまでのB領域、このB領域に続き、上記高温
保持工程の終了までのC領域、このC領域に続き、即ち
上記降温工程開始から、650℃までの間の第1雰囲気
切り換え温度xまでのD領域、このD領域に続き、雰囲
気温度が650℃に低下するまでのE領域、このE領域
に続き、雰囲気温度が400℃に低下するまでのF領
域、このF領域に続き、室温までの間の第2雰囲気切り
換え温度yまでのG領域、このG領域に続き、雰囲気温
度が室温に低下するまでのH領域に分割する。
【0020】本発明においては、降温工程のうち上記第
1雰囲気切り換え温度xから上記第2雰囲気切り換え温
度yまでの間の温度領域、即ち、E、FおよびG領域、
少なくともF領域、すなわち650〜400℃の温度領
域において、雰囲気を、酸素濃度が空気より高い高酸素
濃度雰囲気とする。少なくともこのF領域において、高
酸素濃度雰囲気とすることにより、電圧非直線性抵抗素
子のエネルギー耐量の向上が図れる。高酸素濃度雰囲気
において、酸素濃度は、20%超〜100%、特に40
〜100%、さらに50〜100%が好ましい。この酸
素濃度とすることにより、エネルギー耐量の向上が図れ
る。上記降温工程のうち、上記D領域は、酸素濃度が1
5〜20%の中酸素濃度雰囲気に設定されることが好ま
しい。上記第1雰囲気切り換え温度xが降温工程当初の
温度(高温保持工程から降温工程に移行したときの温
度)であるときには、このD領域は存在しない。
【0021】上記H領域において、その雰囲気は、高酸
素濃度雰囲気から上記中酸素濃度雰囲気に切り換えられ
ることが好ましい。上記第1雰囲気切り換え温度x以降
の全てを高酸素濃度雰囲気とする場合には、このH領域
は存在しない。なお、雰囲気を高酸素濃度雰囲気として
いる領域においては、酸素濃度を20%超〜100%の
範囲すなわち高酸素濃度を保ったままで変化させてもよ
い。
【0022】上記昇温工程および高温保持工程において
は、その雰囲気を、酸素濃度が空気以下の雰囲気とする
ことが好ましい。特に、昇温工程の上記B領域において
は、酸素濃度が15%未満の低酸素濃度雰囲気とするこ
とが好ましい。特に、この酸素濃度は、10%気圧以
下、特に5%以下が望ましい。なお、この低酸素濃度雰
囲気の酸素濃度は通常0.001%以上とする。そのB
領域における酸素濃度を上記のように設定した理由は、
素体内部および表面における均一な粒成長のためには、
上記範囲の酸素濃度下で熱処理することが必要であるか
らである。このような酸素分圧を得るためには、減圧し
たり、窒素、アルゴン等のガスを用いて行ってもよい。
なお、B領域を規定する所定温度aおよびbは、それぞ
れ例えば400〜700℃、1000〜1200℃に設
定すればよい。なお、昇温工程における上記B領域以外
の領域は、酸素濃度15〜20%の雰囲気とする。ま
た、上記B領域の雰囲気は、上記の低酸素濃度雰囲気で
あることが特に好ましいが、上記中酸素濃度雰囲気であ
ってもよい。
【0023】上記昇温工程のB領域に続く領域および高
温保持工程からなるC領域においては、その雰囲気を、
酸素濃度15〜20%の中酸素濃度雰囲気、特に大気と
することが好ましい。その理由は、高温保持工程で本焼
成を行なうには、焼結を進めるため、上記程度の酸素濃
度であることが好ましく、上記の範囲未満であると、粒
成長を抑制し、焼結が不十分となり、上記の範囲を超え
ると、好ましくない粒成長が生ずるおそれがある。
【0024】第1図に示される例においては、昇温工
程、高温保持工程、および降温工程からなる一連の工程
を行なっている。高温保持工程における温度は、材料に
よっても異なるが、通常1150〜1450℃、特に1
200〜1300℃の範囲に設定される。昇降温速度
は、毎時5〜1000℃程度、特に100〜400℃程
度とすることが好ましい。この例においては、降温工程
のE、FおよびG領域において上記高酸素濃度雰囲気と
し、他を中酸素濃度雰囲気以下とする。なお、上述のよ
うに、加熱昇温工程の少なくともB領域を上記低酸素濃
度雰囲気としてもよい。このとき、図2に示したよう
に、昇温工程中に前処理温度保持工程を設けてもよい。
このように昇温工程中に前処理温度保持工程を設ける際
には、この前処理温度保持工程までを中酸素濃度雰囲気
とし、その後低酸素濃度雰囲気に切り換えることが望ま
しい。前処理温度保持工程における保持温度は、500
〜1000℃の範囲、特に500〜800℃、さらには
600〜700℃の範囲とすることが望ましい。これ
は、成形体中のバインダを分解する脱バインダを十分に
行うためである。
【0025】また、降温工程において、雰囲気を高酸素
濃度雰囲気に切り換えた後、その領域のいずれかの地点
において、図3に示したように、後処理温度保持工程を
設けてもよい。この場合、他の工程は、図1および図2
に示したものと同様であってよい。なお、図3には、図
2に示した焼成工程に後処理温度保持工程を設けたもの
を示した。
【0026】上記全ての例で、本焼成工程における高温
度保持工程の保持時間は、0.5〜10時間、特に2〜
8時間とすることが好ましい。この程度の時間があれ
ば、ZnOの粒子の素体内外における均一な成長および
充分な半導体化を達成することができるからである。図
2に示したように、前処理温度保持工程を設ける場合に
は、その保持時間は、6時間以下、特に1〜4時間とす
ることが望ましい。また、図3に示したように、後処理
温度保持工程を設ける場合には、その保持時間は、0.
5〜10時間、特に2〜6時間程度とすることが望まし
い。
【0027】なお、原料としては、ZnO等の酸化物
や、焼成により酸化物となる化合物、例えば、炭酸塩、
シュウ酸塩等を用いればよい。原料ZnOの粒径は0.
1〜5μm 程度とし、原料副成分源の粒径は0.1〜3
μm 程度とするか、あるいは溶液添加してもよい。混合
および成形は常法に従う。
【0028】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0029】実施例1 ZnO粉末に、Pr6 11(Pr換算で金属または半金
属元素中の0.5原子%)、Co3 4 (Co換算で金
属または半金属元素中の1.5原子%)、Cr2
3 (Cr換算で金属または半金属元素中の0.1原子
%)、Al2 3 (Al換算で金属または半金属元素中
の0.01原子%)、K2 CO3 (K換算で金属または
半金属元素中の0.05原子%)、CaCO3 (Ca換
算で金属または半金属元素中の0.1原子%)、および
SiO2 (Si換算で金属または半金属元素中の0.0
3原子%)添加し、混合した後、バインダを用いて造粒
した。これを、直径11.3mm、厚さ3mmのディスク状
に加圧成形した。
【0030】これを、図2に示した焼成温度パターン
で、次のように焼成雰囲気を換えて焼成した。まず、上
記A領域の雰囲気を脱バインダのため大気とした。昇温
速度は、200℃/時間とした。温度が600℃となっ
たとき、その温度で2時間保持した。その後、雰囲気を
2 ガスとして、該雰囲気の酸素濃度を15%以下のほ
ぼ0%とし、再び昇温(昇温速度は初期のものと同じに
した)を行なった。この後、1200℃で再び雰囲気を
大気に切り換え、雰囲気をそのままとして1270℃ま
で昇温し、高温保持工程を行い、本焼成を行なった。続
いて、表1に示すように雰囲気を切り換え降温工程を行
い焼結体を得た。降温速度は、200℃/時間とした。
焼結体の形状は、直径9.6mm、厚さ2.6mmのデ
ィスク状であった。なお、表1において、xの温度と
は、雰囲気を大気から高酸素濃度雰囲気等に切り換えた
温度であり、yの温度とは、雰囲気を高酸素濃度雰囲気
から中酸素濃度雰囲気に切り換えた温度であり、このy
の温度の欄において、「−」は雰囲気を高酸素濃度雰囲
気から中酸素濃度雰囲気に切り換えずに、そのまま高酸
素濃度雰囲気に保持したものを示す。
【0031】
【表1】
【0032】上記焼結体の両面に電極を焼き付けて素子
すなわち電圧非直線性抵抗素子である試料1〜23を作
り、エネルギー耐量を測定した。エネルギー耐量を測定
する際、バリスタ電圧を測定したところ、すべての試料
が、約470V(180V/mm)であった。各試料の
エネルギー耐量を上記表1に示した。
【0033】上記表1から分かるように、少なくともF
領域において高酸素濃度雰囲気とした実施例において
は、エネルギー耐量が670J/cm3 以上となり、比
較のものより10%以上向上した。
【0034】実施例2 ZnO粉末に、Bi2 3 (Bi換算で金属または半金
属元素中の3原子%)、Sb2 3 (Sb換算で金属ま
たは半金属元素中の5原子%)、Co3 4 (Co換算
で金属または半金属元素中の1原子%)、MnO2 (M
n換算で金属または半金属元素中の1原子%)、NiO
(Ni換算で金属または半金属元素中の0.2原子
%)、Cr2 3 (Cr換算で金属または半金属元素中
の0.5原子%)、Al2 3 (Al換算で金属または
半金属元素中の0.01原子%)、Ag2 O(Ag換算
で金属または半金属元素中の0.1原子%)、およびS
iO2(Si換算で金属または半金属元素中の0.05
原子%)添加し、混合した後、バインダを用いて造粒し
た。これを、直径11.3mm、厚さ3mmのディスク状に
加圧成形した。これを用いて、上記実施例1と同様に試
料を作製し、実施例1の試料3および試料13と同じ同
じ条件で焼成を行なったところ、実施例1の試料3およ
び試料13同様、本発明に従って焼成された試料は、本
発明外の方法によって焼成された試料に比べてエネルギ
ー耐量が10%程度向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電圧非直線性抵抗素子の製造方法に従
う焼成パターンの一例を示す図である。
【図2】本発明の電圧非直線性抵抗素子の製造方法に従
う焼成パターンの他の例を示す図である。
【図3】本発明の電圧非直線性抵抗素子の製造方法に従
う焼成パターンの他の例を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 曽我部 智浩 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 野村 武史 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ZnOを主成分とする電圧非直線性抵抗
    素子原料粉末の成形体を、昇温工程、高温保持工程およ
    び降温工程を備える焼成工程により焼成する際に、 焼成雰囲気を、前記降温工程の開始時点から650℃に
    なるまでの間のいずれかの時点と、400℃から前記降
    温工程終了までの間のいずれかの時点との間の温度領域
    において、酸素濃度が空気より高い高酸素濃度雰囲気と
    し、前記降温工程の他の領域を酸素濃度が15〜20%
    の雰囲気とすることを特徴とする電圧非直線性抵抗素子
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 焼成雰囲気を、前記昇温工程の少なくと
    も一部において、酸素濃度が15%未満の低酸素濃度雰
    囲気とし、その後、酸素濃度が15〜20%の雰囲気と
    する請求項1の電圧非直線性抵抗素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の製造方法により製造
    された電圧非直線性抵抗素子であって、単位厚み当たり
    のバリスタ電圧が、100〜300Vの範囲にある電圧
    非直線性抵抗素子。
JP6288841A 1994-10-28 1994-10-28 電圧非直線性抵抗素子の製造方法および電圧非直線性抵抗素子 Withdrawn JPH08130103A (ja)

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JP6288841A JPH08130103A (ja) 1994-10-28 1994-10-28 電圧非直線性抵抗素子の製造方法および電圧非直線性抵抗素子

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008277786A (ja) * 2007-03-30 2008-11-13 Tdk Corp 電圧非直線性抵抗体磁器組成物および電圧非直線性抵抗体素子

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