JPH08129043A - 表面電位測定器 - Google Patents

表面電位測定器

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Publication number
JPH08129043A
JPH08129043A JP26847394A JP26847394A JPH08129043A JP H08129043 A JPH08129043 A JP H08129043A JP 26847394 A JP26847394 A JP 26847394A JP 26847394 A JP26847394 A JP 26847394A JP H08129043 A JPH08129043 A JP H08129043A
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JP
Japan
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surface potential
distance
measured
potential
measuring
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Application number
JP26847394A
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English (en)
Inventor
Takashi Harada
隆 原田
Isao Sugano
功 菅野
Kenkichi Izumi
健吉 和泉
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Shishido Electrostatic Ltd
Original Assignee
Shishido Electrostatic Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】物体の大きさによらずに、その表面電位を非接
触で精度よく測定することができる表面電位測定器を提
供する。 【構成】測定対象物Wに対向配置されるセンサ電極10
に生じた電位レベルを測定対象物Wの表面電位に比例し
たレベルとして表面電位を測定する電位測定手段40
と、センサ電極10と測定対象物Wとの二つの異なる距
離(x1 ,x2 )でそれぞれ電位測定手段40により測
定される測定表面電位(V1 ,V2 )から次式(1)又
は(2)により測定対象物Wの真の表面電位Vを求める
マイクロコンピュータ28とを備える。 V=V1 ・exp〔(x1 /a)・ln(V1
2 )〕……(1) V=V2 ・exp〔(x2 /a)・ln(V1
2 )〕……(2) 但し、a=x2 −x1 。また、exp〔 〕は自然対数
の底“e”の指数関数を意味する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、帯電体等の物体の表面
電位を非接触で測定する表面電位測定器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の表面電位測定器として
は、所謂、静電誘導型や振動型、回転セクタ型のものが
一般に知られており、これらの測定器は、物体に導体材
料から成るセンサ電極を対向配置したとき、静電誘導に
より物体の表面電位に応じたレベルの電位がセンサ電極
に生じることを利用し、該センサ電極の電位レベルを検
出することで、物体の表面電位を測定するものである。
【0003】この場合、静電誘導型の測定器にあって
は、センサ電極に生じる電位を、そのまま該センサ電極
に接続されたコンデンサに充電し、該コンデンサの充電
電圧を検出することで、物体の表面電位を測定する。
【0004】また、振動型や回転セクタ型の測定器にあ
っては、抵抗を介して接地したセンサ電極と物体との間
で導体材料から成る音叉型振動体を振動させたり、導体
材料から成る回転羽根車を回転させることで、センサ電
極に物体の表面電位に応じた振幅レベルを有する交流の
電位信号を生ぜしめ、その電位信号の振幅レベルを検出
することで、物体の表面電位を測定する。
【0005】尚、センサ電極に生じる電位レベルは、物
体の表面電位だけでなく、物体からの距離にも依存し、
表面電位が同じであっても、該距離が大きくなる程、セ
ンサ電極に生じる電位レベルが小さくなる。このため、
従来の測定器にあっては、通常、表面電位を測定するた
めのセンサ電極と物体との距離をあらかじめ所定距離に
定めている。そして、その所定距離で測定を行った場合
に(このとき、基本的には、センサ電極に生じる電位レ
ベルは物体の実際の表面電位に比例する)、表面電位と
センサ電極の電位レベルとのあらかじめ定めた比例関係
に基づき、該センサ電極の電位レベルから表面電位を測
定することができるようになっている。
【0006】ところで、本願発明者の知見によれば、前
記測定器により、センサ電極と物体との距離を所定距離
として物体の表面電位を測定した場合、該物体の実際の
表面電位が同じであっても、その表面電位の測定値は物
体の大きさの影響を受ける。この場合、物体の大きさが
ある程度以上の大きさであれば、センサ電極に生じる電
位レベルは、物体の大きさが相違してもほぼ同一レベル
となって表面電位の測定値もほぼ同一となるが、比較的
小さな物体にあっては、その大きさが小さくなる程、セ
ンサ電極に生じる電位レベルが顕著に小さくなって、表
面電位の測定値も小さくなる。具体的には、例えば四角
形の導体平板を所定電位に帯電させてその表面電位を測
定すると、20〜30cm四方以上の大きさの導体平板
にあっては、表面電位の測定値はほぼ同一となるが、そ
れよりも小さな例えば2.5cm四方の導体平板にあっ
ては、表面電位の測定値が、20〜30cm四方以上の
大きさの導体平板の測定値の半分程度となってしまう。
【0007】このため、従来の測定器においては、種々
様々な大きさの物体について、その表面電位を精度よく
測定することが困難なものとなっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は物体の大きさ
によらずに、その表面電位を非接触で精度よく測定する
ことができる表面電位測定器を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、種々の
検討の結果、前述したような従来の測定器において、セ
ンサ電極に生じる電位レベルにより測定される該表面電
位の測定値VX (これはセンサ電極の電位レベルに比例
する)は、実際の表面電位をVとして次式により近似的
に表されることを知見した。
【0010】 Vx =V・exp〔−x/T〕 ……(5) ここで、式(5)において、xはセンサ電極と物体との
距離、Tは物体の大きさによって定まる正の定数であ
る。また、exp〔 〕は自然対数の底“e”の指数関
数である(以下、本願明細書ではexp〔 〕をこのよ
うに定義する)。
【0011】すなわち、表面電位の測定値VX は、図6
に実線aで示すように、センサ電極と物体との距離xが
大きくなるに従って指数関数的に減衰する。そして、物
体の大きさが小さくなると、同図仮想線bで示すよう
に、距離xに対する測定値VXの減衰度合いが大きくな
り、このことは式(5)におけるT値が小さくなること
を意味している。またT値は、基本的に物体の大きさの
みに依存し、該物体の表面電位の大きさ等には依存しな
い。
【0012】従って、センサ電極と物体との二つの異な
る距離x1 ,x2 の位置でそれぞれ表面電位を測定した
とき、その測定値をそれぞれV1 ,V2 とすると次式
(6),(7)が得られる。
【0013】 V1 =V・exp〔−x1 /T〕 ……(6) V2 =V・exp〔−x2 /T〕 ……(7) 式(6),(7)により、Tを求めると、 T=a/ln(V1 /V2 ) ……(3) 但し、a=x2 −x1 が得られ、さらに式(3)を式(6),(7)に代入し
て整理すると、 V=V1 ・exp〔(x1 /a)・ln(V1 /V2 )〕……(1) V=V2 ・exp〔(x2 /a)・ln(V1 /V2 )〕……(2) が得られる。
【0014】また、式(5)から次式(4)が得られ
る。
【0015】 V=VX ・exp〔x/T〕 ……(4) 以上のことから、センサ電極と物体との二つの異なる距
離x1 ,x2 の位置でそれぞれ表面電位を測定すれば、
それらの測定値V1 ,V2 を用いて、前記式(1)又は
(2)により物体の実際の表面電位Vを求めることがで
きることが判る。
【0016】また、この場合、前記式(3)を用いれ
ば、物体の大きさに依存した定数Tの値を求めることも
でき、このTの値を求めておけば、該物体とセンサ電極
との任意の距離xにおいて表面電位を測定することで、
その測定値Vx を用いて前記式(4)により物体の実際
の表面電位Vを求めることができることが判る。
【0017】かかる知見に基づき、本発明の第1の態様
は、前記の目的を達成するために、測定対象物に対向配
置したとき、該測定対象物の表面電位に応じたレベルの
電位を静電誘導により生じるセンサ電極と、該センサ電
極に生じた電位レベルを前記測定対象物の表面電位に比
例したレベルとして前記測定対象物の表面電位を測定す
る電位測定手段とを備えた表面電位測定器において、前
記センサ電極を前記測定対象物から第1の距離(x1
の位置に配置したとき前記電位測定手段により測定され
る第1の測定表面電位(V1 )と、前記センサ電極を前
記測定対象物から前記第1の距離(x1 )と異なる第2
の距離(x2)の位置に配置したとき前記測定手段によ
り測定される第2の測定表面電位(V 2 )とから前記式
(1)又は(2)により演算値(V)を求める演算手段
を備え、該演算値(V)を前記測定対象物の真の表面電
位として得ることを特徴とする。
【0018】また、本発明の第2の態様は、測定対象物
に対向配置したとき、該測定対象物の表面電位に応じた
レベルの電位を静電誘導により生じるセンサ電極と、該
センサ電極に生じた電位レベルを前記測定対象物の表面
電位に比例したレベルとして該センサ電極の電位レベル
に基づき前記測定対象物の表面電位を測定する電位測定
手段とを備えた表面電位測定器において、前記センサ電
極を前記測定対象物から第1の距離(x1 )の位置に配
置したとき前記電位測定手段により測定される第1の測
定表面電位(V1 )と、前記センサ電極を前記測定対象
物から前記第1の距離(x1 )と異なる第2の距離(x
2)の位置に配置したとき前記電位測定手段により測定
される第2の測定表面電位(V2 )とから前記式(3)
により演算値(T)を求める第1の演算手段と、該第1
の演算手段により求められた演算値(T)を記憶保持す
る記憶手段と、該記憶保持後に前記センサ電極を前記測
定対象物から任意の距離(x)の位置に配置したとき前
記電位測定手段により測定される第3の測定表面電位
(Vx )から前記演算値(T)を用いて前記式(4)に
より演算値(V)を求める第2の演算手段を備え、該演
算値(V)を前記測定対象物の真の表面電位として得る
ことを特徴とする。
【0019】そして、前記第1の態様において、前記セ
ンサ電極と測定対象物との距離を測定する測距手段を備
え、前記電位測定手段は、前記センサ電極を前記測定対
象物に対して接近又は離反させる際に、前記測距手段に
より測定される距離があらかじめ所定値に定められた前
記第1の距離及び第2の距離になった時にそれぞれ前記
第1の測定表面電位及び第2の測定表面電位を測定する
ことを特徴とする。
【0020】また、前記第2の態様において、前記セン
サ電極と測定対象物との距離を測定する測距手段を備
え、前記電位測定手段は、前記センサ電極を前記測定対
象物に対して接近又は離反させる際に、前記測距手段に
より測定される距離があらかじめ所定値に定められた前
記第1の距離及び第2の距離になった時にそれぞれ前記
第1の測定表面電位及び第2の測定表面電位を測定し、
前記第2の演算手段は、前記センサ電極を前記測定対象
物から任意の距離(x)の位置に配置したとき前記測距
手段により測定された距離(x)の測定値を用いて前記
式(4)の演算を行うことを特徴とする。
【0021】さらに、前記測距手段は、レーザ測距手段
であることを特徴とする。
【0022】また、前記第1又は第2の態様において、
前記センサ電極の電位レベルを増幅する可変ゲインの増
幅器と、該増幅器の出力レベルをA/D変換するA/D
変換器と、前記増幅器のゲインを設定するゲイン設定手
段とを備えると共に、前記電位測定手段は該ゲイン設定
手段により設定された前記増幅器のゲインにおいて前記
A/D変換器により得られるデジタルデータに基づき前
記各測定表面電位を測定し、前記ゲイン設定手段は、前
記A/D変換器の分解能で前記デジタルデータから得ら
れる前記各測定表面電位が所定の精度内に収まるように
前記センサ電極の電位レベルに応じて前記増幅器のゲイ
ンを設定することを特徴とする。
【0023】
【作用】本発明の第1の態様によれば、前記センサ電極
と測定対象物との二つの異なる距離(x1 ,x2 )にお
いてそれぞれ前記電位測定手段により測定される第1及
び第2の測定表面電位(V1 ,V2 )を用い、前記式
(5)に基づく前記式(1)又は(2)により演算値V
を求め、その演算値Vを測定対象物の真の表面電位とし
て得るので、測定対象物の大きさによらずに測定対象物
の真の表面電位を測定することが可能となる。
【0024】また、本発明の第2の態様によれば、ま
ず、前記センサ電極と測定対象物との二つの異なる距離
(x1 ,x2 )においてそれぞれ前記電位測定手段によ
り測定される第1及び第2の測定表面電位(V1
2 )を用い、前記式(3)により該測定対象物の大き
さによって定まる前記T値を求めて前記記憶手段に記憶
保持し、その後は、前記センサ電極と該測定対象物との
任意の距離(x)において前記電位測定手段により測定
される第3の測定表面電位(VX )と、先に求めた前記
T値とを用いて前記式(4)により演算値Vを測定対象
物の真の表面電位として得るので、測定対象物の大きさ
によらずに測定対象物の真の表面電位を測定することが
可能となる。そして、この場合、前記T値を求めた後に
は、前記センサ電極と該測定対象物との距離を任意の単
一的な距離に保持した状態で前記電位測定手段により前
記第3の測定表面電位(VX )を連続的に測定すること
で、測定対象物の真の表面電位を連続的に測定すること
が可能となる。
【0025】前記第1又は第2の態様において、前記第
1及び第2の測定表面電位(V1 ,V2 )を得るセンサ
電極と測定対象物との距離(x1 ,x2 )は基本的には
それらが異なるものであれば任意の距離でよいが、それ
らの距離(x1 ,x2 )をあらかじめ所定値とすると共
に、センサ電極と測定対象物との距離を測定する測距手
段を設け、該センサ電極を測定対象物に接近又は離反さ
せる際に、測定手段により測定される距離が所定値に定
められた前記距離(x1 ,x2 )になった時に前記電位
測定手段により前記式(1)又は(2)の演算に必要な
前記第1及び第2の測定表面電位(V1 ,V2 )を得る
ことにより、それらの測定表面電位(V 1 ,V2 )を連
続的に効率よく得ることが可能となると共に、前記式
(1)又は(2)の演算により測定対象物の真の表面電
位を求める上で常に最適な距離(x 1 ,x2 )で測定表
面電位(V1 ,V2 )を得ることが可能となる。
【0026】この場合、特に前記第2の態様にあって
は、前記測距手段により測定された距離(x)の測定値
を用いて前記式(4)の演算を行うことにより、前記T
値を求めた後の測定対象物の真の表面電位の測定を容易
に行うことが可能となる。
【0027】さらに、前記測距手段をレーザ測距手段と
することで、測距精度を高めることが可能となり、その
結果、最終的に得られる真の表面電位の測定値の精度を
高めることが可能となる。
【0028】また、前記第1又は第2の態様において、
前記センサ電極の電位レベルを増幅する増幅器と、該増
幅器の出力レベルをA/D変換するA/D変換器とを備
えると共に、前記電位測定手段が前記A/D変換器によ
り得られるデジタルデータに基づき前記各測定表面電位
を測定する場合に、測定しようとする測定対象物の表面
電位の範囲を広くすると、特に該表面電位の小さい側で
センサ電極の電位レベやそれに比例した増幅器の出力レ
ベルが小さなものとなって、それをA/D変換器により
A/D変換してなるデジタルデータから得られる前記各
測定表面電位の精度が悪くなり、その結果最終的に得ら
れる真の表面電位の精度も悪くなる。
【0029】そこで、本発明はさらに、前記増幅器のゲ
インを可変とすると共に、前記センサ電極の電位レベル
(これを増幅したものでもよい)に応じて、ゲイン設定
手段により前記増幅器のゲインを設定する。このように
することで、A/D変換器によりA/D変換する増幅器
の出力レベルを測定精度上、必要なレベルに確保するこ
とが可能となり、それにより、測定対象物の表面電位の
広い範囲で精度よく、その真の表面電位を測定すること
が可能となる。
【0030】
【実施例】本発明の一例を図1乃至図6を参照して説明
する。図1は本実施例の表面電位測定器の外観斜視図、
図2及び図3は図1の測定器の要部の回路構成図、図4
は図1の測定器に備えられたマイクロコンピュータの機
能的構成を示すブロック図、図5及び図6は図1の測定
器の作動を説明するための線図である。
【0031】図1を参照して、本実施例の表面電位測定
器は、後述の電子回路等をそれぞれ収容した本体ユニッ
ト1及び携帯型のセンサユニット2を備え、それらのユ
ニット1,2は伸縮自在なコイル状接続ケーブル3を介
して接続されている。本体ユニット1の箱形筐体1aの
表面部には、本実施例の測定器の起動・停止を行うため
の電源スイッチ4が設けられている。
【0032】センサユニット2の箱形筐体2aの前面部
には、電位測定用のセンサ部5と、測距用のレーザセン
サヘッド6とが設けられ、測定に際しては、これらのセ
ンサ部5及びレーザセンサヘッド6が測定対象物Wに対
向配置される。また、センサユニット2の筐体2aの上
面部には、測定対象物Wの表面電位の測定値等を表示す
る表示器7と、測定モードを選択するためのモード選択
スイッチ8と、該モード選択スイッチ8により選択され
た測定モードを確定し実行するための確定スイッチ9と
が設けられている。
【0033】この場合、前記センサ部5は、振動型のも
のであり、図2に示すように測定対象物Wに対向配置さ
れる導体材料からなる平板状のセンサ電極10と、その
前方で測定対象物Wとの間に設けられた導体材料からな
る音叉型振動体11とにより構成されている。センサ電
極10はセンサユニット2内で抵抗12を介して接地さ
れ、また、音叉型振動体11はセンサユニット2内で直
接的に接地されている。そして、音叉型振動体11は、
測定に際して、その両側部に固着された圧電素子13
a,13bを介して後述の回路により所定周波数で振動
されるようになっており、この時、センサ電極10に、
測定対象物Wの表面電位に応じた振幅レベル(電位レベ
ル)を有する上記所定周波数の交流信号が静電誘導によ
り生じる。
【0034】尚、本実施例の測定器においては、モード
選択スイッチ8を操作することで、後述の3種類の測定
モードが表示器7に順次表示され、その表示状態で確定
スイッチ9を操作することで、表示された測定モードが
設定されて実行されるようになっている。また、前記レ
ーザセンサヘッド6は、半導体レーザを使用して距離測
定を行う公知のものであり、センサ部5を測定対象物W
に対向配置したとき、前記センサ電極10と測定対象物
Wとの距離に応じた信号を出力する。
【0035】前記本体ユニット1及びセンサユニット2
の内部には、図2に示すような電子回路が収容されてい
る。
【0036】すなわち、センサユニット2内には、測定
時にセンサ電極10に生じる信号(交流信号)を増幅す
る増幅回路(プリアンプ)14と、該増幅回路14の出
力から高周波ノイズ成分を除去するローパスフィルタ1
5と、該ローパスフィルタ15の出力を順次増幅する2
段の増幅回路16,17と、増幅回路17の出力から測
定対象物Wの表面電位に応じた直流レベルの信号を生成
する電位信号生成回路18とが備えられている。
【0037】また、センサユニット2内には、前記セン
サ部5の音叉型振動体11を駆動するための回路構成と
して、前記圧電素子13a,13bのうちの一方の圧電
素子13aの出力信号から高周波ノイズを除去するロー
パスフィルタ19と、該ローパスフィルタ19の出力を
増幅して他方の圧電素子13bに付与する駆動用増幅回
路20と、該駆動用増幅回路20の出力を基に、前記電
位信号生成回路18が前記直流レベルの信号を生成する
ために必要なパルスを生成して電位信号生成回路18に
付与するパルス発生/移相調整回路21とが備えられて
いる。
【0038】この場合、前記増幅回路17は、図3に示
すように、前記増幅回路16の出力が直流分遮断用のコ
ンデンサ23と抵抗24とを介して反転入力端子に入力
されるオペアンプ25と、該オペアンプ25の反転入力
端子及び出力端子間にそれぞれ半導体アナログスイッチ
素子やリレー等により構成されたスイッチ素子26a,
26b,26cを介して接続された抵抗27a,27
b,27cとにより構成され、ON状態とするスイッチ
素子26a,26b,26cを切換えることで、増幅回
路17のゲインを3段階に切換可能としている。具体的
には、各スイッチ素子26a,26b,26cのON状
態に対応して、ぞれぞれ増幅回路17のゲインが、例え
ば1倍、10倍、100倍となるように抵抗24及び2
7a,27b,27cの抵抗値が設定されている。該増
幅回路17は、本発明の構成に対応させると、可変ゲイ
ンの増幅器を構成するものである。
【0039】尚、増幅回路16は、これに設けられた図
示しない可変抵抗の抵抗値を調整することで、そのゲイ
ン調整を可能としている。
【0040】前記駆動用増幅回路20は、前記電源スイ
ッチ4がON操作されたとき、圧電素子13bに初期駆
動用の信号を付与することにより前記音叉型振動体11
の振動を開始せしめ、この時、該振動により圧電素子1
3aに生じる信号を増幅して圧電素子13bに付与する
ことにより音叉型振動体11の振動を所定周波数で継続
させるようにしている。
【0041】前記パルス発生/移相調整回路21は、図
5に示すように、測定時に増幅回路17から出力される
交流信号u(その周波数は音叉型振動体11の振動周波
数と一致する)に同期したパルスPを生成して電位信号
生成回路18に付与するようにしている。そして、電位
信号生成回路18は、パルスPの入力時点の増幅回路1
7から出力された交流信号uの電圧レベル、すなわち、
該交流信号uの振幅レベルを保持して出力し、これによ
り、該交流信号uの振幅レベル(これが測定対象物Wの
表面電位に応じたものとなる)を示す直流レベルの信号
qを生成するようにしている。
【0042】一方、前記本体ユニット1内には、前記レ
ーザセンサヘッド6の出力を処理するレーザアンプユニ
ット6aと、図示しないCPUやRAM、ROM等によ
り構成されたマイクロコンピュータ28とが備えられて
いる。このマイクロコンピュータ28(以下、単にマイ
コン28と称する)には、前記レーザアンプユニット6
aの出力と電位信号生成回路18の出力とが、本体ユニ
ット1内のマルチプレクサ29及びA/D変換器30を
介してデジタルデータ化されて入力される共に前記モー
ド選択スイッチ8及び確定スイッチ9や、表示器7が接
続されている。
【0043】この場合、マイコン28は、その主要な機
能的構成として、図4に示すように、レーザアンプユニ
ット6aからマルチプレクサ29及びA/D変換器30
を介して入力されるデータを読み込んで、そのデータに
より前記センサ電極10及び測定対象物Wの距離を把握
する距離把握部31と、電位信号生成回路18からマル
チプレクサ29及びA/D変換器30を介して入力され
るデータを読み込んで、それを比例換算することにより
測定対象物Wの表面電位の測定値を得る電位把握部32
と、前記式(1),(3),(4)の演算をそれぞれ行
う演算部33,34,35と、演算部34により求めら
れる式(3)のT値等を記憶保持する記憶部(記憶手
段)36と、前記表示器7を駆動する表示駆動部37
と、前記増幅回路17のスイッチ素子26a,26b,
26cを介して該増幅回路17のゲインを設定するゲイ
ン設定部(ゲイン設定手段)38と、これらの各機能的
構成を統括的に制御するシーケンス制御部39とを備え
ている。
【0044】ここで、かかる本実施例の構成と、本発明
の第1及び第2の態様の構成とを対応させると、前記電
位把握部32は、前記増幅回路14、ローパスフィルタ
15、増幅回路16,17、電位信号生成回路18、マ
ルチプレクサ29及びA/D変換器30と併せて電位測
定手段40を、距離把握部31は、レーザセンサヘッド
6及びレーザアンプユニット6a、マルチプレクサ29
及びA/D変換器30と併せて測距手段41を、前記演
算部33は本発明の第1の態様における演算手段を、前
記演算部34,35はそれぞれ本発明の第2の態様にお
ける第1及び第2の演算手段を構成するものである。
【0045】尚、本体ユニット1には、図示しないバッ
テリや、前記電源スイッチ4のON操作に連動して前述
の各回路にバッテリから給電せしめる電源回路(図示し
ない)が備えられている。
【0046】次に、本実施例の測定器の作動を説明す
る。
【0047】本実施例の測定器においては、前記式
(1)を用いて測定対象物Wの表面電位を測定する第1
測定モードと、前記式(3),(4)を用いて測定対象
物Wの表面電位を測定する第2測定モードと、従来の測
定器と同様にセンサ電極10と測定対象物Wとのあらか
じめ定められた所定距離で測定対象物Wの表面電位を測
定する第3測定モードとの3種類の測定モードを選択可
能としている。
【0048】すなわち、電源スイッチ4をON操作した
後に、選択スイッチ8を押操作すると、その操作信号が
マイコン28に与えられ、この時、該マイコン28は、
選択スイッチ8の押操作毎に、測定モードの種類を表示
駆動部37により表示器7に切換・表示させる。そし
て、前記3種類の測定モードのうちの一つの測定モード
が表示器7に表示された状態で、測定者が確定スイッチ
7を押操作すると、その操作信号がマイコン28に与え
られ、この時、該マイコン28は、表示された種類の測
定モードにおける測定を行うための初期処理を行い、そ
の後に、選択された測定モードにおける測定がなされ
る。
【0049】以下、前記各測定モードにおける測定作動
を順に説明する。
【0050】まず、前記第1測定モードにおいては、上
記のように選択スイッチ8及び確定スイッチ9により該
第1測定モードを選択・設定した後、センサユニット2
を測定対象物Wに向かって徐々に接近させる。この場
合、前記センサ部5及びレーザセンサヘッド6を設けた
センサユニット2の筐体2aの前面部を測定対象物Wの
表面にほぼ平行に対向配置した状態で、測定対象物Wの
表面に向かってそれとほぼ垂直な方向でセンサユニット
2を接近させる。
【0051】この時、レーザセンサヘッド6は、測定対
象物Wとの距離xに応じた信号を逐次出力し、それが本
体ユニット1内のレーザアンプユニット6aにより処理
された後にアナログ出力され、そのレベルがマルチプレ
クサ29及びA/D変換器30を介してデジタルデータ
化されてマイコン28に与えられる。そして、マイコン
28は、距離把握部31により、与えられたデータを読
み取って、測定対象物Wとセンサ電極10との距離xを
把握する。
【0052】一方、これと並行して、センサ電極10に
は、測定対象物Wの表面電位に応じた振幅レベルの交流
信号が誘起され、それが増幅回路(プリアンプ)14に
より適当なレベルに増幅された後に、ローパスフィルタ
15を介して高周波ノイズ成分が除去され、次いで、増
幅回路16,17により増幅されて電位信号生成回路1
8に付与される。そして、電位信号生成回路18は、前
述したように付与された交流信号の振幅レベルを示す直
流レベルの信号(図5参照)を生成して出力する。この
場合、電位信号生成回路18から出力される信号のレベ
ルは、センサユニット2を測定対象物Wに接近させるに
伴って指数関数的に上昇していく。また、上記のように
電位信号生成回路部18から出力される信号のレベル
は、マルチプレクサ29及びA/D変換器30を介して
デジタルデータ化されてマイコン28の電位把握部32
に与えられる。該電位把握部32においては、与えられ
たデータにより、電位信号生成回路18から出力されて
いる信号のレベルを読み取り、さらにそのレベルの読み
取り値をあらかじめ定められた比例関係に従って比例換
算することにより、センサユニット2を測定対象物Wに
接近させていく際の、センサ電極10と測定対象物Wと
の距離xにおける測定対象物Wの表面電位の測定値VX
(図6参照)が逐次得られる。
【0053】上記のようにセンサユニット2を測定対象
物Wに接近させる過程で、マイコン28は、距離把握部
31により前述のように把握されるセンサ電極10と測
定対象物Wとの距離xが、第1測定モードにおいてあら
かじめ定められた2種類の所定の距離x1 ,x2 (本実
施例では例えばx1 =3cm、x2 =5cm)となった
時に、それぞれ前記電位把握部32により得られる測定
対象物Wの表面電位の測定値V1 ,V2 (図6参照)が
シーケンス制御部39の指示により演算部33に取り込
まれる。そして、該演算部33は、それらの測定値
1 ,V2 と、距離x1 ,x2 のあらかじめ定められた
距離差a=x2 −x1 (本実施例では2cm)とを用い
て前記式(1)により、演算値Vを測定対象物Wの真の
表面電位として求める。求められた演算値Vは、シーケ
ンス制御部39の制御により、表示駆動部37を介して
表示器7に表示される。
【0054】この場合、本実施例の測定器においては、
例えば10kVに帯電させた20cm四方の導体平板を
基準とし、該導体平板に対して上記のように第1測定モ
ードにおける測定を行ったときに、表示器7に表示され
る表面電位値が10kVになるように、電位信号生成回
路18から出力される信号のレベルの読み取り値を表面
電位の測定値に換算するための比例定数がマイコン28
の電位把握部32に対してあらかじめ設定されている。
これにより、前記式(1)により求められる演算値V
は、測定対象物Wの真の表面電位を示すものとなり、し
かも、その演算値Vは測定対象物Wの大きさの影響をほ
とんど受けない。
【0055】すなわち、前記図6を参照して明らかなよ
うに、各距離x1 ,x2 における測定値V1 ,V2 は、
測定対象物Wの大きさの影響を受けるのであるが(測定
対象物Wの大きさが小さくなると、測定値V1 ,V2
小さくなる)、それらの測定値V1 ,V2 から式(1)
により求められる演算値Vは、仮想的にセンサ電極10
と測定対象物Wとの距離xを“0”とした状態における
測定値を推定したものであり、その距離x=0の状態で
はセンサ電極10に生じる電位は測定対象物Wの大きさ
の影響を受けず、該測定対象物Wの実際の表面電位にの
み依存する。従って、測定値V1 ,V2 から式(1)に
より演算値Vを求めることで、測定対象物Wの真の表面
電位を、該測定対象物Wの大きさによらずに非接触で精
度よく測定することができる。
【0056】尚、かかる第1測定モードの測定におい
て、増幅回路17のゲインは、電位把握部32により読
み取られる電位信号生成回路18の出力レベル(これは
センサ電極10に生じる交流信号の振幅レベルに比例す
る)に応じてマイコン28のゲイン設定部38により適
宜、切換・設定されるのであるが、このことは、後述の
第2測定モードや第3測定モードにおいても同様であ
り、これについては後述する。
【0057】また、本実施例の第1測定モードの測定に
おいて、演算値V(真の表面電位値)を式(1)により
求めるに際して、距離x1 =3cm、x2 =5cmにお
ける測定値V1 ,V2 を用いたが、他の任意の距離
1 ,x2 における測定値V1 ,V2 を用いてもよい。
【0058】また、本実施例の第1測定モードの測定に
おいて、センサユニット2を測定対象物Wに接近させる
ようにしたが、逆に接近状態から離反させるようにして
もよく、さらに、式(2)により真の表面電位値Vを求
めるようにしてもよい。
【0059】また、本実施例の第1測定モードの測定に
おいて、演算値V(真の表面電位値)を式(1)により
求めるための測定値V1 ,V2 を得る距離x1 ,x2
あらかじめ所定距離に定めたが、それらの測定値V1
2 を得る距離x1 ,x2 を測定者が随意に選択できる
ようにすることも可能である。この場合には、例えばセ
ンサユニット2を測定対象物Wに接近あるいは離反させ
る際に、測定者が随意に選んだ二つの距離x1 ,x2
おいて、測定者の指示により、電位把握部32により把
握される表面電位の測定値V1 ,V2 を演算部33に取
り込ませると共に、それらの測定値V1 ,V2 を得た時
に距離把握部31により把握される距離x1 ,x2 の測
定値を演算部33に取り込み、それらの測定値V1 ,V
2 及び距離x1 ,x2 の測定値を用いて前記式(1)又
は(2)により真の表面電位値Vを求めればよい。但
し、本実施例のように、測定値V1 ,V2 を得る距離x
1 ,x2 をあらかじめ所定距離に定めておくことで、式
(1)又は(2)により真の表面電位値Vを求める上で
最適な測定値V1 ,V2 を得ることができ、それによ
り、求められる表面電位値Vの精度を高いものに確保す
ることができる。
【0060】次に、前記第2測定モードにおいては、前
記第1測定モードと同様に、まず、選択スイッチ8及び
確定スイッチ9により第2測定モードを選択・設定した
後、センサユニット2を測定対象物Wに向かって徐々に
接近させる。
【0061】この時、前記第1測定モードと全く同様
に、マイコン28の距離把握部31によりレーザアンプ
ユニット6aの出力レベルからセンサ電極10と測定対
象物Wとの距離xが逐次把握されると共に、電位把握部
32により電位信号生成回路18の出力レベルから距離
xにおける表面電位の測定値VX (図6参照)が逐次得
られる。
【0062】そして、この過程において、前記第1測定
モードと同様に、距離把握部31により把握される距離
xがあらかじめ定められた距離x1 ,x2 (本実施例で
はx 1 =3cm、x2 =5cm)となった時に、それぞ
れ電位把握部32により得られる測定値V1 ,V2 がシ
ーケンス制御部39の制御により演算部34に取り込ま
れる。該演算部34においては、取り込んだ測定値
1 ,V2 と距離x1 ,x 2 の距離差(2cm)とを用
いて前記式(3)により、該測定対象物Wの大きさによ
って定まるT値を求める。求められたT値はマイコン2
8の記憶部36に記憶保持される。このように測定対象
物WのT値が求められて記憶部36に記憶保持される
と、次に、センサ電極10と該測定対象物Wとの任意の
距離xでセンサユニット2を測定対象物Wに対向配置し
た状態で、マイコン28の距離把握部31により把握さ
れる距離xと、その距離xで電位把握部32により把握
される表面電位の測定値VX と、記憶部36に記憶保持
されたT値とがシーケンス制御部39の制御により演算
部35に取り込まれ、該演算部35は、取り込んだデー
タを用いて前記式(4)により測定対象物Wの真の表面
電位値Vを求める。求められた表面電位値Vは、表示駆
動部37を介して表示器7に表示される。
【0063】かかる第2測定モードにおける測定は、測
定対象物Wの大きさに対応するT値を実際に求める点で
前記第1測定モードとは相違するものの、基本的には、
前記第1測定モードと同じ測定原理に従って測定対象物
Wの真の表面電位値Vを求めるものであるので、該第1
測定モードと同様に、測定対象物Wの真の表面電位を、
該測定対象物Wの大きさによらずに非接触で精度よく測
定することができる。
【0064】尚、第2測定モードにおいて、測定対象物
WのT値を求めた後に、表面電位の測定を行う距離x
は、T値を求めたときの前記所定の距離x1 ,x2 のい
ずれかと同じか、あるいは、それらの距離x1 ,x2
間の距離であることが測定精度上、特に好適である。こ
のため、本実施例においては、T値を求めた後に、表面
電位の測定を行う際には、距離把握部31により把握さ
れるセンサ電極10と測定対象物Wとの距離が前記距離
1 ,x2 いずれかと同じか、あるいは、それらの距離
1 ,x2 の間の距離である場合に、測定距離が好適で
ある旨を表示器7に表示させるようにしている。
【0065】このような第2測定モードの測定は、例え
ば次のような測定に際して有効である。
【0066】すなわち、例えば連続的に搬送される長尺
樹脂フィルムの表面電位を連続的に測定する場合におい
て、第2測定モードを使用すると、最初にセンサ電極1
0と樹脂フィルムとの二つの距離x1 ,x2 で前述した
ような測定を行って、該樹脂フィルムの大きさに対応し
たT値を求めておくことで、以後は、センサユニット2
を樹脂フィルムに接近させたり離反させたりすることな
く、センサ電極10と樹脂フィルムとの距離xを適当な
距離に保持した状態で該樹脂フィルムの表面電位を連続
的に測定することができる。
【0067】尚、本実施例の第2測定モードにおいて
も、前記第1測定モードと同様に、前記T値を求める際
のセンサ電極10と測定対象物Wとの二つの距離x1
2 を任意に定め、あるいは、測定者が随意に選択でき
るようにすることも可能であることはもちろんである。
この場合、上記距離x1 ,x2 を測定対象物WのT値を
求める上で最適な所定値に設定しておくことで、求めら
れるT値の精度を高めることができ、その結果、該T値
を用いて得られる真の表面電位値の精度を高めることが
できる。
【0068】次に、前記第3測定モードにおいては、選
択スイッチ8及び確定スイッチ9により第3測定モード
を選択・設定した後、従来の測定器と同様に、センサ電
極10と測定対象物Wとの距離xがあらかじめ定められ
た所定距離(本実施例では例えば前記距離x2 =5c
m)となる位置でセンサユニット2を保持する。この
時、マイコン28のシーケンス制御部39の制御によ
り、電位把握部32は、電位信号生成回路18の出力レ
ベルを比例換算してなる表面電位値を表示駆動部37に
付与し、それが表示器7に表示される。この場合、本実
施例の測定器においては、例えば10kVに帯電させた
20cm四方の導体平板を基準とし、該導体平板に対し
て上記のように第3測定モードにおける測定を行ったと
きに、表示器7に表示される表面電位値が10kVにな
るように、電位信号生成回路18から出力される信号の
レベルの読み取り値を表面電位値に比例換算するための
比例定数(これは第1及び第2測定モードにおける比例
定数と異なる)がマイコン28の電位把握部32に対し
て設定される。これにより、従来の測定器と同様に表面
電位の測定がなされる。
【0069】かかる第3測定モードの測定は、例えばレ
ーザを用いた前記測距手段41によりセンサ電極10と
測定対象物Wとの距離xを測定することができない場合
等に使用する。
【0070】次に、前述の各測定モードにおける増幅回
路17のゲインの切換・設定について説明する。
【0071】本実施例の測定器においては、測定可能な
表面電位の範囲を例えば20kV〜100Vの広い範囲
としており、このため、仮に増幅回路17を削除し、そ
の前段の増幅回路16の出力をそのまま電位信号生成回
路18に入力するようにすると、前記各測定モードにお
いて必要な距離x1 やx2 における電位信号生成回路1
8の出力レベルは、例えば表面電位が100Vである場
合には表面電位が20kVである場合に較べて非常に小
さくなって、A/D変換器30でA/D変換し得る最小
の単位電圧に近いレベルとなり、このような場合には、
マイコン28の電位把握部32による、電位信号生成回
路18の出力レベルの読み取り値の精度が悪化し、その
結果、表面電位の測定値の必要な精度を確保することが
できなくなる。
【0072】そこで、本実施例の測定器においては、測
定対象物Wの表面電位の20kV〜100Vの範囲にお
いて、前記距離x1 ,x2 における電位信号生成回路1
8の出力レベル(これはセンサ電極10に生じる信号レ
ベルに比例する)が所定の範囲内に収まるように、マイ
コン28のゲイン設定部38により、増幅回路17のゲ
インを前記スイッチ26a〜26c(図3参照)を介し
て切換・設定する。この場合、各測定モードにおける測
定初期においては、例えばスイッチ26aをON状態と
することで増幅回路17のゲインを1倍に設定してお
き、前記距離x1,x2 における電位信号生成回路18
の出力レベルの読み取り(A/D変換器30のデータの
読み取り)に際して、その読み取り値が前記所定の範囲
を下回った場合には、その読み取り値の大きさに応じて
スイッチ26b又はスイッチ26cをON状態とするこ
とで増幅回路17のゲインを10倍又は100倍に切換
・設定し、電位信号生成回路18の出力レベルが前記所
定の範囲内に収まるようにする。このようにすること
で、表面電位の20kV〜100Vの広い範囲におい
て、電位信号生成回路18の出力レベルの読み取り精度
を十分なものとすることができ、表面電位の測定値の必
要な精度を確保することができる。
【0073】尚、増幅回路17のゲインを10倍又は1
00倍に設定した場合において、マイコン28の電位把
握部32が、電位信号生成回路18の出力レベルの読み
取り値を比例換算する際の比例定数は、増幅回路17の
ゲインを1倍とした場合の1/10倍、1/100倍と
する。
【0074】また、本実施例においては、測距手段41
としてレーザ測距手段を採用しているので、センサ電極
10と測定対象物Wとの距離xを高精度で把握すること
ができ、従って、特に前記第1及び第2測定モードの測
定に際して、確実に前記距離x1 ,x2 の位置で、前記
測定値V1 ,V2 を得ることができ、それにより、最終
的に得られる真の表面電位値Vの精度を高めることがで
きる。この場合、本実施例において測距手段として例え
ば超音波式の測距手段を採用することも可能であるが、
一般に、超音波式の測距手段はレーザ測距手段に比較し
て距離の測定精度が劣る。従って、本実施例のように測
距手段41としてレーザ測距手段を採用することが表面
電位の測定精度上好ましい。
【0075】尚、本実施例では、振動型の測定器を例に
とって説明したが、静電誘導型や回転セクタ型の測定器
についても本発明を適用することが可能であることはも
ちろんである。
【0076】また、本発明の測定原理によれば、例えば
二つのセンサ電極を測定対象物に対して所定の距離差を
存して対向配置する(例えば各センサ電極を測定対象物
からそれに垂直な垂線上の距離3cm、5cmの位置
で、且つ測定対象物の表面に平行な方向で若干の間隔を
存してそれぞれ配置する)と共に、この時、各センサ電
極に生じる電位レベルから本実施例と同様にそれらの二
つの距離における表面電位の測定値V1 ,V2 を得、さ
らに、それらの測定値V1 ,V2 から前記式(1)又は
(2)により真の表面電位値を求めるようにすることも
可能である。あるいは、上記のように二つのセンサ電極
を用いて得られる前記測定値V1 ,V2 から式(3)に
より測定対象物のT値を求めた後に、いずれか一方のセ
ンサ電極を測定対象物から任意の距離の位置に配置した
時に本実施例の第2測定モードと同様に得られる表面電
位の測定値VX と先に求めたT値とを用いて式(4)に
より真の表面電位値を求めるようにすることも可能であ
る。
【0077】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
の第1の態様によれば、センサ電極と測定対象物との二
つの異なる距離(x1 ,x2 )においてそれぞれ電位測
定手段により測定される第1及び第2の測定表面電位
(V1 ,V2 )から式(1)又は(2)により演算値V
を測定対象物の真の表面電位として求めるよにしたこと
によって、測定対象物の表面電位を該測定対象物の大き
さによらずに精度よく測定することができる。
【0078】また、本発明の第2の態様によれば、ま
ず、センサ電極と測定対象物との二つの異なる距離(x
1 ,x2 )においてそれぞれ電位測定手段により測定さ
れる第1及び第2の測定表面電位(V1 ,V2 )から該
測定対象物の大きさによって定まるT値を式(3)によ
り求めた後に、センサ電極と測定対象物との任意の距離
(x)において電位測定手段により測定される第3の測
定表面電位(VX )と前記T値とから式(4)により演
算値Vを測定対象物の真の表面電位として求めるように
したことによって、前記第1の態様と同様に測定対象物
の表面電位を該測定対象物の大きさによらずに精度よく
測定することができると共に、前記T値を求めた後には
測定対象物の表面電位を連続的に測定することができ
る。
【0079】そして、センサ電極と測定対象物との距離
を測定する測距手段を設けると共に、前記距離(x1
2 )をあらかじめ所定値としておき、センサ電極を測
定対象物に接近又は離反させる際に、測距手段により測
定される距離が所定値とした前記距離(x1 ,x2 )と
なったときに前記第1及び第2の測定表面電位(V1
2 )を得るようにしたことによって、それらの測定表
面電位(V1 ,V2 )を連続的に効率よく得ることがで
きると共に、式(1)又は(2)により真の表面電位を
求め、あるいは式(3)によりT値を求める上で最適な
距離(x1 ,x 2 )で前記第1及び第2の測定表面電位
(V1 ,V2 )を得ることができ、それにより真の表面
電位の測定精度を向上させることができる。
【0080】この場合さらに、本発明の第2の態様にあ
っては、式(4)により真の表面電位を求めるための第
3の測定表面電位を得るセンサ電極と測定対象物との距
離を測距手段により測定し、その距離の測定値を用いて
式(4)により真の表面電位を求めるようにしたことに
よって、前記T値を求め後の真の表面電位の測定を自動
的に効率よく行うことができる。
【0081】また、測距手段としてレーザ測距手段を採
用することによって、前記距離(x 1 ,x2 )等の測定
精度を高めることができ、その結果真の表面電位の測定
精度を高めることができる。
【0082】また、測定に際してセンサ電極に生じる電
位レベルを増幅器により増幅してなるレベルをA/D変
換器によりA/D変換し、それにより得られるデジタル
データに基づき各測定表面電位を測定する場合に、セン
サ電極に生じる電位レベルに応じて増幅器のゲインを設
定するようにしたことによって、測定対象物の表面電位
の広い範囲において、各測定表面電位を精度よく測定す
ることができ、それにより測定対象物の表面電位の広い
範囲において真の表面電位の測定値を必要な精度に確保
することができる表面電位測定器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面電位測定器の一例の外観斜視図。
【図2】図1の測定器の要部の回路構成図。
【図3】図1の測定器の要部の回路構成図。
【図4】図1の測定器に備えられたマイクロコンピュー
タの機能的構成を示すブロック図。
【図5】図1の測定器の作動を説明するための線図。
【図6】図1の測定器の作動を説明するための線図。
【符号の説明】
10…センサ電極、17…可変ゲインの増幅回路、30
…A/D変換器、33〜35…演算手段、36…記憶手
段、38…ゲイン設定手段、40…電位測定手段、41
…測距手段、W…測定対象物。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】測定対象物に対向配置したとき、該測定対
    象物の表面電位に応じたレベルの電位を静電誘導により
    生じるセンサ電極と、該センサ電極に生じた電位レベル
    を前記測定対象物の表面電位に比例したレベルとして前
    記測定対象物の表面電位を測定する電位測定手段とを備
    えた表面電位測定器において、 前記センサ電極を前記測定対象物から第1の距離
    (x1 )の位置に配置したとき前記電位測定手段により
    測定される第1の測定表面電位(V1 )と、前記センサ
    電極を前記測定対象物から前記第1の距離(x1 )と異
    なる第2の距離(x2)の位置に配置したとき前記測定
    手段により測定される第2の測定表面電位(V 2 )とか
    ら次式(1)又は(2)により演算値(V)を求める演
    算手段を備え、 V=V1 ・exp〔(x1 /a)・ln(V1 /V2 )〕……(1) V=V2 ・exp〔(x2 /a)・ln(V1 /V2 )〕……(2) 但し、a=x2 −x1 。また、exp〔 〕は自然対数
    の底“e”の指数関数を意味する。該演算値(V)を前
    記測定対象物の真の表面電位として得ることを特徴とす
    る表面電位測定器。
  2. 【請求項2】測定対象物に対向配置したとき、該測定対
    象物の表面電位に応じたレベルの電位を静電誘導により
    生じるセンサ電極と、該センサ電極に生じた電位レベル
    を前記測定対象物の表面電位に比例したレベルとして該
    センサ電極の電位レベルに基づき前記測定対象物の表面
    電位を測定する電位測定手段とを備えた表面電位測定器
    において、 前記センサ電極を前記測定対象物から第1の距離
    (x1 )の位置に配置したとき前記電位測定手段により
    測定される第1の測定表面電位(V1 )と、前記センサ
    電極を前記測定対象物から前記第1の距離(x1 )と異
    なる第2の距離(x2)の位置に配置したとき前記電位
    測定手段により測定される第2の測定表面電位(V2
    とから次式(3)により演算値(T)を求める第1の演
    算手段と、 T=a/ln(V1 /V2 ) ……(3) 但し、a=x2 −x1 。 該第1の演算手段により求められた演算値(T)を記憶
    保持する記憶手段と、 該記憶保持後に前記センサ電極を前記測定対象物から任
    意の距離(x)の位置に配置したとき前記電位測定手段
    により測定される第3の測定表面電位(Vx )から前記
    演算値(T)を用いて次式(4)により演算値(V)を
    求める第2の演算手段を備え、 V=VX ・exp〔x/T〕 ……(4) 但し、exp〔 〕は自然対数の底“e”の指数関数を
    意味する。該演算値(V)を前記測定対象物の真の表面
    電位として得ることを特徴とする表面電位測定器。
  3. 【請求項3】前記センサ電極と測定対象物との距離を測
    定する測距手段を備え、前記電位測定手段は、前記セン
    サ電極を前記測定対象物に対して接近又は離反させる際
    に、前記測距手段により測定される距離があらかじめ所
    定値に定められた前記第1の距離及び第2の距離になっ
    た時にそれぞれ前記第1の測定表面電位及び第2の測定
    表面電位を測定することを特徴とする請求項1記載の表
    面電位測定器。
  4. 【請求項4】前記センサ電極と測定対象物との距離を測
    定する測距手段を備え、前記電位測定手段は、前記セン
    サ電極を前記測定対象物に対して接近又は離反させる際
    に、前記測距手段により測定される距離があらかじめ所
    定値に定められた前記第1の距離及び第2の距離になっ
    た時にそれぞれ前記第1の測定表面電位及び第2の測定
    表面電位を測定し、前記第2の演算手段は、前記センサ
    電極を前記測定対象物から任意の距離(x)の位置に配
    置したとき前記測距手段により測定された距離(x)の
    測定値を用いて前記式(4)の演算を行うことを特徴と
    する請求項2記載の表面電位測定器。
  5. 【請求項5】前記測距手段は、レーザ測距手段であるこ
    とを特徴とする請求項3又は4記載の表面電位測定器。
  6. 【請求項6】前記センサ電極の電位レベルを増幅する可
    変ゲインの増幅器と、該増幅器の出力レベルをA/D変
    換するA/D変換器と、前記増幅器のゲインを設定する
    ゲイン設定手段とを備えると共に、前記電位測定手段は
    該ゲイン設定手段により設定された前記増幅器のゲイン
    において前記A/D変換器により得られるデジタルデー
    タに基づき前記各測定表面電位を測定し、 前記ゲイン設定手段は、前記A/D変換器の分解能で前
    記デジタルデータから得られる前記各測定表面電位が所
    定の精度内に収まるように前記センサ電極の電位レベル
    に応じて前記増幅器のゲインを設定することを特徴とす
    る請求項1乃至5のいずれかに記載の表面電位測定器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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