JP3330704B2 - バッテリの交流定電流充放電回路及びこれを用いたバッテリ試験装置 - Google Patents

バッテリの交流定電流充放電回路及びこれを用いたバッテリ試験装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、バッテリの交流定電流
充放電回路及び、この交流定電流充放電回路を使用して
バッテリの残存容量又は劣化判定を行うバッテリ試験装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、バッテリの残存容量や劣化判定を
行うバッテリ試験装置としては、容量試験による方法が
一般に行われている。この方法は、電池を実際に放電さ
せ容量を測定し、残存容量や劣化判定を行うものであ
る。又、この他にバッテリ内の電解液比重を測定する方
法も行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術には次の様な問題点があった。すなわち 1.バッテリの容量を測定する方法では、長時間バッテ
リに比較的大きな電流を流すため、容量試験器全体とし
て大きさ、重量の面で作業者にとって取り扱いにくく負
担の大きなものであった。又、測定のために定電流充放
電する時間は数時間に及び、さらに定電流放電後の回復
充電まで考慮すると試験にほぼ1日を要するという効率
の悪いものであった。
【0004】2.バッテリ内の電解液比重を測定する方
法では、前記バッテリ容量試験器で行う方法に比較し
て、作業者への負担や試験時間についてはかなり改善で
き優位性は有るものの、密閉型のバッテリの測定は困難
であった。
【0005】従って、上記の如き従来技術の有する問題
点を克服すべく、本発明の目的は次の通りである。 1.作業者にとって負担の大きい、しかも長時間を要す
る放電容量の実測や電解液比重の測定を行う事無しにバ
ッテリの残存容量又は劣化判定を行う為に、バッテリに
交流定電流を給電し、該定電流とバッテリ端子電圧か
ら、バッテリ内部インピーダンスを算出可能とするバッ
テリ交流定電流充放電回路を提案することを目的とす
る。
【0006】2.交流によるバッテリ内部インピーダン
スを測定する為、実数及び虚数分の測定が可能になり、
高精度なバッテリ試験装置を提案する事を目的とする。
【0007】3.前記交流定電流充放電回路を用いてマ
イコンによりバッテリ内部インピーダンスを算出しバッ
テリの残存容量又は劣化判定を行うバッテリ試験装置を
提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は上記目
的に対応して、次の様な手段を有している。被測定用バ
ッテリの交流定電流充放電回路は、該バッテリの定電流
充電を行うための、例えば定電流制御素子としてMOS
FETを用いた定電流充電回路と、該バッテリより定電
流放電を行なう為の、例えば定電流制御素子としてMO
SFETを用いた定電流放電回路により構成され、この
各々の定電流充放電回路に入力される制御信号は、それ
ぞれ定電流充電回路用誤差増幅回路と定電流放電回路用
誤差増幅回路より信号入力される。
【0009】そして2つの誤差増幅回路の各々の基準電
圧には、ほぼ同一電位で逆極性の2組の電位レベル(定
電流制御素子のしきい値電圧Vthレベルの印加用)が
それぞれに印加され、さらに2つの誤差増幅回路の各々
の比較入力は共通の入力線で結ばれ、一組の任意の周波
数及び電圧値の交流信号が入力される事により、定電流
充電回路から被測定用バッテリに充電される定電流と、
定電流放電回路を通し、被測定用のバッテリから放電さ
れる定電流は、バッテリ端子から見て、2つの誤差増幅
回路の各々の比較入力に入力される交流信号により制御
される交流定電流となるように構成された事を特徴とし
ている。
【0010】さらに、バッテリ試験装置として、上記の
バッテリ交流定電流充放電回路と、マイコン部内に、上
述の交流定電流を定電流制御するための交流信号の成形
部分、バッテリ交流定電流及びバッテリ端子電圧の Pea
k to Peak 値(以下IPP、VPP)を検出する検出部
分、さらに検出したIPP、VPPの最大値と最小値の
差分であるそれぞれΔIPP、ΔVPPよりバッテリ内
部インピーダンス(ΔVPP/ΔIPP)を算出する算
出部分を搭載し、算出した内部インピーダンスを表示す
る表示器により構成された事を特徴としている。
【0011】
【作用】バッテリ交流定電流充放電回路の定電流充放電
制御用の2組の半導体スイッチをそれぞれMOSFET
とすることにより、そのゲート駆動は、前段の交流制御
信号により分配された)電圧を印加するだけで良く、回
路的にも簡単なものとなり、また駆動電力は微小なもの
とする事が可能となる。
【0012】又、バッテリ試験装置は、搭載するマイコ
ンによりバッテリ交流定電流及び端子電圧の Peak to P
eak 値であるIPP,VPPを検出するため、バッテリ
交流定電流充放電回路を動作させる時間はごく短時間で
よく、定電流制御素子であるMOSFETの電力損失、
温度上昇はほとんど無視できるため回路構成部品は小さ
なものとなり、結果としてバッテリ試験装置を小型なも
のとする事が可能となる。また、IPP,VPPを検出
しそれぞれの差分であるΔIPP、ΔVPPによりバッ
テリ内部インピーダンスを算出するためバッテリの直流
電圧分は、考慮する必要がない。
【0013】
【実施例】図1に本発明のバッテリ交流定電流充放電回
路の構成を示し、図2に本発明のバッテリ交流定電流充
放電回路を用いたバッテリ試験装置の構成を示す。図
1、2に於いて、1はバッテリ交流定電流充放電回路、
2は定電流充電回路誤差増幅器、3は定電流放電回路用
誤差増幅器、4は交流信号入力部、5は定電流充電回
路、5Aは定電流充電回路の定電流制御素子、例えばM
OSFET、5Bは定電流充電回路の誤差増幅器、5C
は検出抵抗、6は定電流放電回路、6Aは定電流放電回
路の定電流制御素子例えばMOSFET、6Bは定電流
放電回路の誤差増幅器、6Cは検出抵抗、7Aは定電流
充電回路用誤差増幅器の電位レベル、7Bは定電流放電
回路用誤差増幅器の電位レベル、8A,8Bは定電流制
御信号、9は充電用電源、10は被測定用バッテリ、1
1は交流電流検出抵抗、12はアースレベル、13はマ
イコン、13Aはマイクロプロッセサ(cpu)、13
BはDA変換器、13Cはアナログマルチプレクサ、1
3Dはサンプルホールド回路、13EはAD変換器、1
4はフィルタ、15A,15Bは誤差増幅器、16は表
示器である。
【0014】次に図1,2に基づき本発明のバッテリ交
流定電流充放電回路、バッテリ試験装置の動作、構成に
ついて説明する。先ず図1に於いて、バッテリ交流定電
流充放電回路1内の定電流充電回路用誤差増幅器2、定
電流放電回路用増幅器3の比較入力に交流信号入力部4
より交流定電流制御用の交流信号が入力される。そして
定電流充電回路用誤差増幅器2、定電流放電回路用増幅
器3の基準入力には、定電流充電回路5、定電流放電回
路6の定電流制御素子であるMOSFET5A,6Aの
ゲートしきい値電圧Vthに等しい、ほぼ同一電位で逆
極性である電位レベル7A、7Bを印加するため、定電
流充電回路用誤差増幅器2、定電流放電回路用増幅器3
の出力より定電流充電回路5、定電流放電回路6に入力
される定電流制御信号8A,8Bは、後段の回路が処理
可能な範囲に増幅され、そして電位レベル7A、7B分
だけ直流重畳された交流基準信号となる。
【0015】従って、定電流制御信号8A,8Bが定電
流充電回路5の誤差増幅器5B、定電流放電回路6の誤
差増幅器6Bの基準入力に入力されるとMOSFET5
A,6Aのゲートレベルには、自身のしきい値電圧Vt
hの電位レベル7A,7Bを基準として振幅を繰り返す
交流基準信号が入力されることになる。そしてこの交流
基準信号により制御されMOSFET5A,6Aには交
流基準信号に同期し相似型な交流半波状の電流がMOS
FET5Aには充電用電源9より、MOSFET6Aに
は被測定用バッテリ10より給電される。さらに検出抵
抗5C,6Cにより誤差増幅器5B,6Bの比較入力に
帰還入力する事により、定電流充電回路5、定電流放電
回路6の電流は定電流化される。
【0016】そしてこの時の交流電流検出抵抗11を流
れる電流は、バッテリ端子からみて交流定電流となり上
述の回路構成でバッテリに交流定電流を給電出来る。
【0017】尚、定電流充電回路5のMOSFET5A
は、アースレベル12を基準としたゲート電圧が自身の
しきい値電圧Vth以下の交流基準信号では動作でき
ず、また定電流放電回路6のMOSFET6Aは、アー
スレベル12を基準としたゲート電圧が自身のしきい値
電圧Vth以上では動作できない事は明白である。
【0018】次に図2のバッテリ試験装置の実施例であ
るが、マイコン13内部のマイクロプロッセサ(cp
u)13Aの周辺として位置づけられたROM(図示せ
ず)に事前搭載した交流信号のデータは、DA変換器1
3Bにより、図1の交流信号入力部4に相当するアナロ
グ交流信号に変換され、フィルタ14を介し、より精度
の高い交流信号とし、交流定電流制御用の交流信号とし
てバッテリ交流定電流充放電回路1に入力され、これに
より上述したようにバッテリ10には交流定電流が給電
される。
【0019】この際、バッテリ交流定電流は交流電流検
出抵抗11で検出され、又、バッテリ端子電圧は直接若
しくは抵抗分圧回路等で検出され、それぞれ誤差増幅器
15A,15Bで後段の回路が処理可能な範囲に増幅さ
れ、マイコン13に内蔵されたアナログマルチプレクサ
13Cに入力される。続いて後段のサンプルホールド回
路13Dで検出したバッテリ交流定電流値とバッテリ端
子電圧値は、交互にサンプリングされ、かつホールドさ
れる。ホールドされたデータは、AD変換器13Eによ
りデジタル変換されマイクロプロッセサ(cpu)13
Aの周辺として位置づけられたRAM(図示せず)に逐
次保管又は加算され、マイクロプロッセサ(cpu)1
3Aで一括処理される。そしてバッテリ交流定電流及び
バッテリ端子電圧のそれぞれの Peak to Peak 値(IP
P,VPP)の差分であるΔIPP,ΔVPPを計算し
バッテリの内部インピーダンス(ΔVPP/ΔIPP)
を算出し、LCD等の表示器16に表示することにより
バッテリの残存容量又は劣化判定を可能とする。
【0020】この方法による測定では、インピーダンス
Z=R+jωL+(1/jωC)を測定出来るので虚数
部分すなわちバッテリ内部のインダクタンスLやキャパ
シタンスCも測定出来る為、より高精度なバッテリ試験
が可能である。但しjは虚数、ωは角周波数である。
【0021】尚、対象バッテリの残存容量とバッテリ内
部インピーダンスの相関を示した回帰式をマイクロプロ
ッセサ(cpu)13A内に事前に搭載し、表示器にバ
ッテリの残存容量が表示されるようにすればバッテリの
残存容量又は劣化判定は、より簡明なものとなる事は言
うまでもない。
【0022】又、交流定電流制御用の交流信号を一定時
間(例えば10サイクル分)供給し、IPP、VPPを
10回分データサンプリングしてその値を平均化し内部
インピーダンスを算出するようにすればバッテリの残存
容量又は劣化判定の精度がより向上する事は言うまでも
ない。
【0023】さらにIPP,VPPを検出する為、同時
に両者の位相差も測定可能であり内部インピーダンスを
実数部と虚数部に分けて算出、表示できる事も言うまで
もない。
【0024】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているため、以下に示すような効果を有する。 (1)バッテリ交流定電流充放電回路は、その定電流制
御素子にMOSFETを使用するためゲート駆動電力は
低減でき、又回路も簡単なものとすることが可能とな
る。
【0025】(2)バッテリ試験装置は、搭載するマイ
コンによりバッテリ交流定電流及びバッテリ端子電圧の
それぞれの Peak to Peak 値であるIPP,VPPを検
出するため、バッテリ交流定電流充放電回路を動作させ
る時間はごく短時間(例えば、検出精度を上げるため1
0HZの交流を10回データサンプリングするとしたら
1Sec間)でよく、定電流制御素子であるMOSFE
Tの電力損失、温度上昇はほとんど無視できるため回路
構成部品は小さなものとなり、結果としてバッテリ試験
装置を小型、軽量なものとする事が可能となる。又、瞬
時にバッテリの残存容量又は劣化判定を行うことが出来
る。
【0026】(3)交流によるバッテリ内部のインピー
ダンス測定法である為、バッテリの純抵抗分だけでな
く、インダクタンス、キャパシタンス分も測定出来る
為、高精度なバッテリ試験装置が実現出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバッテリ交流定電流充放電回路。
【図2】本発明のバッテリ交流定電流充放電回路を用い
たバッテリ試験装置。
【符号の説明】
1 バッテリ交流定電流充放電回路 2 定電流充電回路用誤差増幅器 3 定電流放電回路用誤差増幅器 4 交流信号入力部 5 定電流充電回路 5A 定電流充電回路の定電流制御素子(MOSFE
T) 5B 定電流充電回路の誤差増幅器 5C 検出抵抗 6 定電流放電回路 6A 定電流放電回路の定電流制御素子(MOSFE
T) 6B 定電流放電回路の誤差増幅器 6C 検出抵抗 7A 定電流充電回路用誤差増幅器の電位レベル 7B 定電流放電回路用誤差増幅器の電位レベル 8A 定電流制御信号 8B 定電流制御信号 9 充電用電源 10 被測定用バッテリ 11 交流電流検出抵抗 12 アースレベル 13 マイコン 13A マイクロプロッセサ(cpu) 13B DA変換器 13C アナログマルチプレクサ 13D サンプルホールド回路 13E AD変換器 14 フィルタ 15A 誤差増幅器 15B 誤差増幅器 16 表示器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高野 和夫 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 尾形 努 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 河野 勝 東京都千代田区内幸町一丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 稲垣 伸夫 東京都武蔵野市緑町三丁目9番11号 株 式会社アフティ内 審査官 武田 知晋 (56)参考文献 特開 平3−229181(JP,A) 特開 昭61−124876(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 31/36 H02J 7/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バッテリの定電流充電を行なう定電流充
    電回路と、前記バッテリより定電流放電を行なう定電流
    放電回路への各々の定電流制御信号は、それぞれ定電流
    充電回路用誤差増幅回路と定電流放電回路用誤差増幅回
    路より信号入力され、前記2つの誤差増幅回路の各々の
    基準電源には、ほぼ同一電位で逆極性の2組の電位レベ
    ルをそれぞれに印加し、前記2つの誤差増幅回路の各々
    の比較入力は共通入力線で結び、一組の交流信号を入力
    する事により、前記定電流充電回路から前記バッテリに
    充電される定電流と、前記定電流放電回路を通し該バッ
    テリから放電される定電流は、前記バッテリ端子から見
    て交流定電流となるようにし、前記定電流充電回路を構
    成する定電流制御素子及び前記定電流放電回路を構成す
    る定電流制御素子は、各々MOSFETを用いた事を特
    徴とするバッテリの交流定電流充放電回路。
  2. 【請求項2】 マイクロコンピュータ(以下マイコンと
    いう)からの交流定電流制御用の交流信号を特許請求の
    範囲第1項記載の交流定電流充放電回路に与えることに
    より、バッテリに交流定電流を流し、前記マイコンによ
    り、該交流定電流と前記バッテリ端子電圧のそれぞれの
    Peak to Peak 値を検出して、前記バッテリの内部イン
    ピーダンスを算出し、該バッテリの残存容量又は劣化判
    定を行なう事を特徴とするバッテリ試験装置。
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