JPH0812871A - 印刷性、筆記性の良好な樹脂組成物および成形品 - Google Patents

印刷性、筆記性の良好な樹脂組成物および成形品

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JPH0812871A
JPH0812871A JP15117194A JP15117194A JPH0812871A JP H0812871 A JPH0812871 A JP H0812871A JP 15117194 A JP15117194 A JP 15117194A JP 15117194 A JP15117194 A JP 15117194A JP H0812871 A JPH0812871 A JP H0812871A
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JP
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resin
polyalkylene oxide
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ink
water
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Application number
JP15117194A
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English (en)
Inventor
Shuji Takagi
修治 高木
Hiroyuki Kitayama
浩之 北山
Manabu Osada
学 長田
Takahiro Imai
貴宏 今井
Hiroyuki Kamiyama
弘之 上山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 樹脂表面に何ら特別な処理等を施すことな
く、水性インクで印字、筆記が可能な水性インク受容性
樹脂組成物、および印刷性、筆記性が良好な樹脂成形品
の提供。 【構成】 架橋ポリアルキレンオキシド樹脂を10〜9
0重量%含有させた水性インク受容性熱可塑性樹脂組成
物、および架橋ポリアルキレンオキシド樹脂を10重量
%以上含有する熱可塑性樹脂100重量部と、無機質粒
子30〜200重量部との混練成形体の表面に十点表面
粗さ5μm以上の凹凸面を設けた樹脂成形品。 【効果】 該組成物は、水性インクで印字、筆記が可能
で、実用上十分な強度および耐久性を有する画像が形成
でき、該成形品は油性インク、水性インク、鉛筆のいず
れを用いても筆記が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水性インクで形成され
た画像が優れた耐水性、耐摩擦性を有する水性インク受
容性熱可塑性樹脂組成物に関する。また、該樹脂組成物
を用いた印刷性、筆記性が良好な樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に熱可塑性樹脂の表面は疎水性が強
く、吸水性がほとんど無い上、平滑であるため印刷性、
筆記性が十分に得られず、従って文字や図形などを印刷
したり筆記したりする用途への適用は制限されていた。
【0003】熱可塑性樹脂の表面に印刷性や筆記性を付
与する方法としては、樹脂表面を多孔質化あるいは粗面
化したり、無機フィラーを混合することによりインクを
染み込みやすくしたり、コロナ処理や火炎処理等により
表面親水性を上げインクの定着性を改善することなどが
広く行われている。
【0004】しかしながら、これらの方法では、油性イ
ンクでは良好な印刷性、筆記性が得られても水性インク
や鉛筆では印刷性、筆記性が不十分な場合が多く、油性
インク、水性インク、鉛筆のいずれに対しても良好な印
刷性、筆記性を示す樹脂成形品を得ることは困難であっ
た。特に水性インクでは樹脂の表面が疎水性であるため
弾きが強く画像が形成しにくい。また、画像が形成でき
た場合でも、樹脂自身に水性インク受容性がなく画像が
樹脂表面でのみ保持されるため、得られた画像の耐水
性、耐摩擦性がほとんど期待できないものであった。
【0005】この画像の耐水性を高めるために、水性イ
ンクに界面活性能を付与したポリアミン化合物を配合す
る等水性インクそのものの改質が行われている(特公平
5−60504号公報)。一方、近年水性インクの定着
性を改善するため、樹脂表面に水溶性樹脂や吸水性樹脂
をコーティングし水性インクの受容性を改善したものが
提案されており(特開平3−205149号公報、特公
昭61−34998号公報)、この方式は水性インクを
使用するインクジェットプリンター用のOHPシートと
して実用化が進んでいる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】樹脂表面に水溶性樹脂
や吸水性樹脂をコーティングし水性インクの受容性を改
善する方法ではインク受容層が水溶性または吸水性樹脂
で構成されているため、表面にべたつきが出る、インク
受容層自体に耐水性がない、受容層の機械強度が不足す
る、特に多量の水分が存在する場合にはインク受容層そ
のものの耐久性が全く期待できない等の問題がある。従
って、一般的な印刷基材としての用途への展開は困難で
あるとされていた。
【0007】さらに、従来、油性インクや水性インクで
は良好な印刷性、筆記性が得られても鉛筆では筆記性が
不十分な場合が多く、従って油性インク、水性インク、
鉛筆のいずれに対しても良好な印刷性、筆記性を示し、
しかも形成された画像が優れた耐水性、耐摩擦性を有す
る樹脂成形品が望まれていた。
【0008】本発明は、樹脂表面に何ら特別な処理等を
施すことなく、水性インクで印字、筆記が可能であり、
実用上十分な強度および耐久性を有する画像が形成でき
る、水性インク受容性樹脂組成物を提供することを第1
の目的とする。
【0009】さらに、本願発明の第2の目的は油性イン
ク、水性インク、鉛筆のいずれを用いても筆記可能な、
印刷性、筆記性の良好な樹脂成形品を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく、鋭意研究を行った結果、架橋ポリアル
キレンオキシド樹脂と熱可塑性樹脂を適当な比率で混合
して得られる熱可塑性樹脂組成物が水性インクに対し良
好な受容性を有すること、またインクが樹脂中に吸収さ
れる結果、得られた画像の耐水性、耐摩耗性が非常に優
れていることを見い出し本願第1の発明に到達した。
【0011】即ち、本願第1の発明は、架橋ポリアルキ
レンオキシド樹脂を10〜90重量%含有することを特
徴とする水性インク受容性熱可塑性樹脂組成物を提供す
るものである。
【0012】さらに本発明者らは、架橋ポリアルキレン
オキシド樹脂を10重量%以上含有する熱可塑性樹脂に
無機質粒子を混合した後成形品とし、表面に5μm以上
の凹凸面を設けることにより油性インク、水性インクの
みならず鉛筆を用いても筆記可能な、筆記性の良好な樹
脂成形品が得られることを見い出し、本願第2の発明を
完成するに至った。
【0013】即ち、本願第2の発明は、架橋ポリアルキ
レンオキシド樹脂を10重量%以上含有する熱可塑性樹
脂100重量部と、無機質粒子30〜200重量部との
混練成形体の表面に十点表面粗さ5μm以上の凹凸面を
設けたことを特徴とする筆記性の良好な樹脂成形品を提
供するものである。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられる架橋ポリアルキレンオキシド樹脂は、例え
ば、ポリアルキレンオキシドとイソシアネート化合物ま
たはポリカルボン酸またはシランカップリング剤とを反
応させることにより、あるいはポリアルキレンオキシド
とポリオールをイソシアネート化合物またはポリカルボ
ン酸またはシランカップリング剤と反応させることによ
り得ることができる。
【0015】ポリアルキレンオキシドとしては、重量平
均分子量が1000〜100万のものが用いられ、例え
ば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、
ポリブチレンオキシド、これらの共重合体、およびこれ
らの混合物などを挙げることができる。特に、重量平均
分子量2000〜10万のポリエチレンオキシド、ポリ
プロピレンオキシドおよびこれらの共重合体またはこれ
らの混合物が好ましく用いられる。
【0016】重量平均分子量が1000未満の場合、得
られる架橋ポリアルキレンオキシドのインク吸収性が極
端に低下したり、溶融粘度が極端に高くなったりして成
形する際の加工温度を高くしなければならなくなる場合
があり好ましくない。一方、重量平均分子量が100万
を超える場合には、得られる架橋ポリアルキレンオキシ
ドの架橋密度が低くなりインク吸収性が悪くなるため好
ましくない。
【0017】架橋反応時にポリアルキレンオキシドに1
分子当たり水酸基(−OH基)を2個以上含むポリオール
を添加し、ポリイソシアネート、ポリカルボン酸、シラ
ンカップリング剤などの架橋剤と反応させることによっ
て、溶融粘度の低い架橋ポリアルキレンオキシドが得ら
れ、これを用いることにより成形性が向上する。
【0018】添加し得るポリオールとしては、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコー
ル、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ヘ
キシレングリコール、オクチレングリコール、グリセリ
ルモノアセテート、グリセリルモノブチレート、ビスフ
ェノールAなどのジオール類、グリセリンやペンタエリ
スリトールなどの1分子当たり水酸基を3個以上含むポ
リオールが挙げられる。好ましくはエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、グリセリンなどが用いられ
る。
【0019】本発明において使用されるポリアルキレン
オキシドとポリオールの使用割合は、ポリアルキレンオ
キシド1モルに対してポリオール0〜100モルの範囲
が好ましい。さらに好ましくは0.001〜90モルの
範囲である。100モルを超えて使用すると得られた架
橋ポリアルキレンオキシドのインク吸収性が小さくな
り、本発明の水性インク受容性樹脂組成物として適しな
いものになる。
【0020】ウレタン架橋ポリアルキレンオキシド樹脂
の製造に用いるポリイソシアネートとしては、同一分子
内にイソシアネート基(−NCO基)を2個以上有する有
機化合物であればよい。その具体例としては、4,4'−
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレ
ンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、1,8−ジメチルベンゾール−2,4−ジイソ
シアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(TD
I)、TDIの3量体、ポリメチレンポリフェニルイソ
シアネート、トリメチロールプロパンなどのポリオール
にその活性水素の数に対応するモル数のジイソシアネー
トを反応させて得られるウレタンイソシアネート化合
物、ポリイソシアネートアダクトなどが挙げられる。好
ましくは、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート
(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−
トリレンジイソシアネート(TDI)などが用いられる。
【0021】本発明におけるポリアルキレンオキシドと
イソシアネート化合物の使用割合は、ポリアルキレンオ
キシドの末端水酸基の数とイソシアネート化合物の有す
るイソシアネート基の数の比(−NCO基/−OH基、
以下R値という)が0.5〜2.0となる範囲、好ましく
は、0.8〜1.8となる範囲から選択される。R値が
0.5未満のときは、架橋密度が低くなり十分なインク
吸収性を有する架橋ポリアルキレンオキシドが得られな
い。また、R値が2.0を超えると架橋密度が高くなる
と共に、溶融粘度が高くなり成形の際の加工性が悪くな
るため好ましくない。
【0022】ポリオールを使用する場合の、上記のポリ
アルキレンオキシド、ポリオールおよびイソシアネート
化合物の使用割合は、ポリアルキレンオキシドの末端水
酸基とポリオールの有する水酸基の数の和とイソシアネ
ート化合物の有するイソシアネート基の数の比(R値)が
0.5〜2.0となる範囲、好ましくは、0.8〜1.8と
なる範囲から選択される。
【0023】ポリアルキレンオキシドのモル数は、重量
を平均分子量で除することにより求められる。
【0024】ポリアルキレンオキシドにイソシアネート
化合物を反応させる方法としては、適当な溶媒を用いた
溶液状で所定温度に加熱して反応させる方法が一般的で
あるが、分散状で反応させる方法や、粉末状または固体
状で両者を均一に混合した後、架橋反応させることもで
きる。
【0025】反応温度は、通常、50〜250℃が適温
である。なお、この反応系にトリエチルアミン、トリエ
タノールアミン、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ア
セテート、トリエチレンジアミンなどを少量添加するこ
とにより、反応をより促進させることもできる。
【0026】エステル架橋ポリアルキレンオキシド樹脂
の製造に用いるポリカルボン酸としては、アジピン酸、
マレイン酸、フマール酸、マロン酸、コハク酸、フター
ル酸、イソフタール酸、テレフタール酸、グルタル酸、
ピメリン酸、セバシン酸、あるいはそのエステル類が挙
げられる。また、1分子中にカルボン酸基(−COOH
基)および/または水酸基(−OH基)を3個以上含むト
リメリット酸、ピロメリット酸、リンゴ酸、クエン酸の
ような化合物を併用すると良好な架橋構造が得られるこ
とが多い。
【0027】ポリアルキレンオキシドとポリオールおよ
びポリカルボン酸の使用割合は、ポリアルキレンオキシ
ドの末端水酸基とポリオールの有する水酸基の数の和と
ポリカルボン酸の有するカルボン酸基の数の比(−CO
OH基/−OH基)が0.5〜2.0となる範囲、好まし
くは、0.8〜1.8となる範囲から選択される。前記の
比が0.5未満のときは、架橋密度が低くなり、インク
吸収性が低下する。また、前記の比が2.0を超えると
未反応のカルボン酸が増加し、樹脂の安定性に悪影響を
与えるので好ましくない。
【0028】ポリアルキレンオキシドとポリカルボン酸
の架橋反応は前記のポリアルキレンオキシドとイソシア
ネート化合物の反応方法に準じて行うことができる。
【0029】シランカップリング法による架橋ポリアル
キレンオキシド樹脂の製造に用いるシランカップリング
剤としては、アルキルポリアルコキシシラン、アルキル
ポリハロゲノシラン、またはこれらのオリゴマーが使用
できる。具体的には、メチルトリメトキシシラン、ジメ
チルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、
エチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、メ
チルビニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシランな
どが挙げられる。
【0030】ポリアルキレンオキシドとポリオールおよ
びシランカップリング剤の使用割合は、ポリアルキレン
オキシドの末端水酸基とポリオールの有する水酸基の和
とシランカップリング剤の有するアルコキシ基またはハ
ロゲノ基の数の比が0.5〜2.0となる範囲、好ましく
は、0.8〜1.8となる範囲から選択される。前記の比
が0.5未満のときは、架橋密度が低くなり、インク吸
収性が低下する。また、前記の比が2.0を超えると架
橋密度が高くなると共に、溶融粘度が高くなり成形の際
の加工性が悪くなるため好ましくない。
【0031】ポリアルキレンオキシドとシランカップリ
ング剤の架橋反応は前記のポリアルキレンオキシドとイ
ソシアネート化合物の反応方法に準じて行うことができ
る。
【0032】本願第1の発明の水性インク受容性樹脂組
成物は上記で得られる架橋ポリアルキレンオキシドに各
種の熱可塑性樹脂を混合することにより得られる。耐熱
性や安定性の向上と印刷特性の改善のために無機フィラ
ーを配合しても良い。また、耐水性を高めるために各種
の染顔料定着剤を添加したり、樹脂の安定性を高めるた
めに酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、変色防止剤などを
添加しても良い。
【0033】本願第2の発明の樹脂成形品は、上記で得
られる架橋ポリアルキレンオキシドを10重量%以上含
有する熱可塑性樹脂に無機質粒子を混合した後成形品と
し、表面に5μm以上の凹凸面を設けることにより得ら
れる。
【0034】本願第1および第2の発明において架橋ポ
リアルキレンオキシドに混合する熱可塑性樹脂としては
架橋ポリアルキレンオキシド樹脂との混合分散が良好で
あれば特に制限なく使用することが可能であり、ポリオ
レフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂がある。
【0035】具体例を挙げればポリオレフィン樹脂とし
ては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが例示され、
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。ポリ
アミド樹脂としては、6−ナイロン、6,6−ナイロ
ン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイ
ロン等が挙げられる。ポリビニル系樹脂としてはポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリ
ビニルアセタール、ポリスチレン、ポリアクリル酸エス
テル、ポリメタクリル酸エステル等が挙げられる。その
他、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
を用いることもできる。好ましくは、エチレン−アクリ
ル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリエチレン、ポリ
スチレン、ポリブチレンテレフタレート、6−ナイロ
ン、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
【0036】本願第1の発明になる水性インク受容性樹
脂組成物における架橋ポリアルキレンオキシドと上記の
熱可塑性樹脂の配合割合は架橋ポリアルキレンオキシド
10〜90重量%に対して熱可塑性樹脂90〜10重量
%である。架橋ポリアルキレンオキシドが10重量%よ
り少ない量では、インクの乾燥速度が低下すると共に十
分な印刷特性が得られず、一方、90重量%より多く用
いた場合には樹脂の強度不足や耐水性不良が起こるおそ
れがある。
【0037】本願第2の発明になる樹脂成形品における
上記の熱可塑性樹脂に対する架橋ポリアルキレンオキシ
ドの配合量は10重量%以上である。10重量%より少
ない量では、インクを使用した場合にインクの乾燥速度
が低下すると共に十分な吸収特性が得られない。
【0038】本願第2の発明で使用される無機質粒子と
しては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレーなど
が挙げられる。通常、これら無機質粒子は粒径が0.5
〜20μmのものを使用するのが好ましい。粒径が0.5
μm未満では鉛筆による筆記性が得られない。20μmを
超えるとフィルム等比較的薄い成形品の製造が困難とな
り好ましくない。無機質粒子の配合量は前記架橋ポリア
ルキレンオキシド樹脂を10重量%以上含有する熱可塑
性樹脂100重量部に対し30〜200重量部、好まし
くは40〜150重量部である。30重量部より少ない
と鉛筆での筆記性が悪くなり、200重量部より多い場
合には成形品としての加工性が悪くなり適当でない。
【0039】本願第2の発明の樹脂成形品は、架橋ポリ
アルキレンオキシド樹脂を10重量%以上含有する熱可
塑性樹脂100重量部に対し無機質粒子を30〜200
重量部混合し、この混合物より得られた成形品の表面に
凹凸面を設けることにより得られる。該成形品を用いる
ことにより油性インク、水性インクはもとより、鉛筆に
よる筆記性も最終的に達成される。
【0040】本発明において表面に凹凸面を設ける方法
としては、例えばサンドブラスト加工、エンボス加工な
どの公知の手段が適用できる。その表面粗さの程度とし
ては、十点表面粗さ(Rz)で表した場合、5μm以上であ
ることが好ましい。Rzが5μm未満であると鉛筆での筆
記性に乏しく本発明の目的とするものが得られない。
【0041】本願第1の発明の水性インク受容性樹脂組
成物は、上記の架橋ポリアルキレンオキシドと熱可塑性
樹脂および必要に応じて酸化防止剤等の添加剤をニー
ダ、スクリュー、ロール等を使用し常法により混練する
ことにより容易に得ることができる。
【0042】上記で得られる水性インク受容性樹脂組成
物は熱可塑性で各々の成分は均一に分散されているため
加工性に富んでおり、インフレーションや押し出し加工
により容易にフィルムやシートに加工することができ
る。
【0043】また、このフィルムをポリプロピレン、ナ
イロン、ポリエチレンテレフタレート等の支持体シート
へラミネート加工したり、前記支持体樹脂との共押し出
し加工、また本発明の水性インク受容性樹脂を溶剤に溶
解または分散したものを支持体シートにコーティングす
る等一般に用いられる方法で複合シートとして製造する
ことも可能である。
【0044】本願第2の発明の成形品は、前記架橋ポリ
アルキレンオキシド樹脂を10重量%以上含有する熱可
塑性樹脂100重量部と無機質粒子30〜200重量部
とをあらかじめ混練したものを、インジェクションによ
り成形することにより、あるいはT−ダイ押し出し、イ
ンフレーションなどの方法によりフィルム化することに
より得られる。さらに、これらの混練物を溶剤に溶解し
た後、樹脂、不織布、紙などの支持体の表面に塗布する
ことにより成形品を得ることもできる。
【0045】
【実施例】以下に本発明を製造例および実施例により説
明するが、本発明はこれらの実施例により何等限定され
るものではない。 製造例1 冷却器、窒素導入管、温度計および撹拌翼を備えた1リ
ットルの4つ口セパラブルフラスコに重量平均分子量2
0000のポリエチレンオキシド100g、トルエン5
50mlを仕込んだ後、水分除去のため蒸留により200
mlのトルエンを留出させた。そこへ、4,4'−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート3.1g、1,4−ブタンジオ
ール0.72gとトリエチレンジアミン0.023gを添加
し、110℃にて3時間反応を行った。その後、ヘキサ
ン150mlを添加し、室温まで冷却して、ポリマーを析
出させた。このスラリーを濾過し、減圧乾燥して架橋ポ
リエチレンオキシド100gを得た。
【0046】製造例2 冷却器、窒素導入管、温度計および撹拌翼を備えた1リ
ットルの4つ口セパラブルフラスコに重量平均分子量1
2000のポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキ
シド共重合物100g、トルエン550mlを仕込んだ
後、水分除去のため蒸留により200mlのトルエンを留
出させた。そこへ、4,4'−ジフェニルメタンジイソシ
アネート2.6gとトリエチレンジアミン0.023gを添
加し、110℃にて3時間反応を行った。その後、ヘキ
サン150mlを添加し、室温まで冷却して、ポリマーを
析出させた。このスラリーを濾過し、減圧乾燥して架橋
ポリエチレンオキシド100gを得た。
【0047】製造例3 冷却器、窒素導入管、温度計および撹拌翼を備えた1リ
ットルの4つ口セパラブルフラスコにアジピン酸1.7
5gとトリエチレンジアミン0.023g、トルエン10m
lを仕込み水冷しながらこれに塩化チオニル3.0gを滴
下した。この後60℃まで昇温し、ガスの発生がなくな
るまで反応を進行させた。窒素により酸性ガスを脱気し
た後、製造例1と同様に重量平均分子量20000のポ
リエチレンオキシド100g、トルエン550mlからト
ルエン200mlを留出させ脱水した溶液にグリセリン
0.045gを溶解したものを急速に添加した。60℃で
3時間反応させた後ヘキサン150mlを添加し、室温ま
で冷却してポリマーを析出させた。このスラリーを濾過
し、減圧乾燥して架橋ポリエチレンオキシド100gを
得た。
【0048】製造例4 冷却器、窒素導入管、温度計および撹拌翼を備えた1リ
ットルの4つ口セパラブルフラスコに重量平均分子量2
0000のポリエチレンオキシド100g、トルエン5
50mlを仕込んだ後、水分除去のため蒸留により200
mlのトルエンを留出させた。これにジメチルジメトキシ
シラン0.54gおよびメチルトリメトキシシラン0.0
68gをトルエン10mlに溶解したものを添加した。さ
らに塩化水素を飽和したトルエン1mlを加え60℃で3
時間反応させた後ヘキサン150mlを添加し、室温まで
冷却してポリマーを析出させた。このスラリーを濾過
し、減圧乾燥して架橋ポリエチレンオキシド100gを
得た。
【0049】実施例1 製造例1で得た架橋ポリエチレンオキシド60重量部、
エチレン−酢酸ビニル共重合物(エバテート 住友化学
製)40重量部、超微粉シリカ(アエロジル 日本アエロ
ジル製)5重量部、安定剤(イルガノックス1010 チ
バガイギー製)1重量部をニーダーにて均一になるまで
十分混練した。これをインフレーションフィルムとし、
水性インク受容性樹脂フィルムを得た。
【0050】この水性インク受容性樹脂フィルムの厚さ
は100μmで、表面の荒れもなく透明なものであっ
た。上記で得たフィルムについて以下のインクを用いて
印刷テストを実施した。 a.水性インクを使用するインクジェットプリンター(イ
ンク1:キャノン製) b.市販の水性ボールペン(インク2:三菱鉛筆製) c.市販の水性インク(インク3:パイロットインキ製) d.市販の使い捨て万年筆(インク4:パイロットインキ
製) 印刷状態の評価を下記の項目について実施した。 乾燥時間:記録後、濾紙を記録部分(1cm×1cmのベタ
部)に圧着し、インクが濾紙へ逆戻りしなくなる時間
(秒)を乾燥時間とした。 記録状態:記録物の画像部と非画像部のコントラスト
および境界線を肉眼で観察し以下の基準により判定し
た。 ◎:境界線にインクの流れによる波打ち、滲みが全く見
られず画像は良好で鮮明。 ○:境界線に波打ち、滲みが見られるが画像は良好。 △:境界線の波打ち、滲みが激しいが画像は判別でき
る。 ×:境界線の波打ち、滲みが激しく画像が不鮮明。 耐水性1:乾燥した記録面を石鹸水(市販の中性洗剤/
水=5/1000)とスポンジで30秒擦り洗いし、さ
らに20秒流水にさらして石鹸水を洗い流し、乾燥後画
像の状態を肉眼で観察し、以下の基準により判定した。 ◎:色落ちが殆ど見られず画像も変化がない。 ○:色落ちがわずかに見られるが画像に変化はない。 △:色落ちがあり画像が薄くなる。 ×:色落ちがあり画像が消失するかインク吸収層が脱離
する。 耐水性2:乾燥した記録面を水で湿したウエスで30
秒強く摩擦し、画像の状態を肉眼で観察し、耐水性1と
同じ基準により判定した。 耐摩擦性:乾燥した記録面を乾燥したウエスで30秒
強く摩擦し、画像の状態を肉眼で観察し、耐水性1と同
じ基準により判定した。 結果を表1に示す。
【0051】実施例2 架橋ポリエチレンオキシドを20重量部、エチレン−酢
酸ビニル共重合物を80重量部用いた以外は実施例1と
同様にして水性インク受容性樹脂フィルムを得た。この
水性インク受容性樹脂フィルムの厚さは100μmで、
表面の荒れもなく透明なものであった。上記で得た水性
インク受容性樹脂フィルムの印刷特性を実施例1と同様
の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0052】実施例3 架橋ポリエチレンオキシドを80重量部、エチレン−酢
酸ビニル共重合物を20重量部用いた以外は実施例1と
同様にして水性インク受容性樹脂フィルムを得た。この
水性インク受容性樹脂フィルムの厚さは100μmで、
表面の荒れもなく透明なものであった。上記で得た水性
インク受容性樹脂フィルムの印刷特性を実施例1と同様
の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0053】実施例4 エチレン−酢酸ビニル共重合物の代わりにエチレン−酢
酸ビニル共重合体のケン化物(エバール クラレ製)を用
いた以外は実施例1と同様にして水性インク受容性樹脂
フィルムを得た。上記で得た水性インク受容性樹脂フィ
ルムの印刷特性を実施例1と同様の方法に従って評価し
た。結果を表1に示す。
【0054】実施例5 製造例2で得た架橋ポリエチレンオキシド−ポリプロピ
レンオキシド共重合物を用いた以外は実施例1と同様に
して水性インク受容性樹脂フィルムを得た。上記で得た
水性インク受容性樹脂フィルムの印刷特性を実施例1と
同様の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0055】実施例6 製造例3で得た架橋ポリエチレンオキシドを用いた以外
は実施例1と同様にして水性インク受容性樹脂フィルム
を得た。上記で得た水性インク受容性樹脂フィルムの印
刷特性を実施例1と同様の方法に従って評価した。結果
を表1に示す。
【0056】実施例7 製造例4で得た架橋ポリエチレンオキシドを用いた以外
は実施例1と同様にして水性インク受容性樹脂フィルム
を得た。上記で得た水性インク受容性樹脂フィルムの印
刷特性を実施例1と同様の方法に従って評価した。結果
を表1に示す。
【0057】実施例8 製造例1で得た架橋ポリエチレンオキシド60重量部、
6−ナイロン(三菱化成製)40重量部、超微粉シリカ
(アエロジル 日本アエロジル製)5重量部、安定剤(イ
ルガノックス1010 チバガイギー製)1重量部を熱
ロールにて均一になるまで十分混練することにより水性
インク受容性樹脂を得た。これをホットプレスにかけ水
性インク受容性樹脂シートを得た。この水性インク受容
性樹脂シートの厚さは約100μmであった。表面の荒
れは少なく乳濁したものであった。上記で得た水性イン
ク受容性樹脂シートの印刷特性を実施例1と同様の方法
に従って評価した。結果を表1に示す。
【0058】実施例9 製造例1で得た架橋ポリエチレンオキシド60重量部、
軟質塩化ビニル(塩化ビニルパウダー100重量部、エ
ポキシ化大豆油3重量部、ステアリン酸亜鉛3重量部、
可塑剤(フタル酸ジオクチル)40重量部を熱ロールで十
分混練したもの)40重量部、超微粉シリカ(アエロジル
日本アエロジル製)5重量部、安定剤(イルガノック
ス1010 チバガイギー製)1重量部を熱ロールにて
均一になるまで十分混練することにより水性インク受容
性樹脂を得た。これをホットプレスにかけ水性インク受
容性樹脂シートを得た。この水性インク受容性樹脂シー
トの厚さは約100μmであった。表面の荒れは少なく
乳濁したものであった。上記で得た水性インク受容性樹
脂シートの印刷特性を実施例1と同様の方法に従って評
価した。結果を表1に示す。
【0059】比較例1 比較のため市販のインクジェットプリンター対応のOH
Pシートを用いて印刷特性を実施例1と同様の方法に従
って評価した。結果を表1に示す。上記の結果より実施
例で得られた水性インク受容性樹脂フィルムは各種の水
性インクに対して良好な印刷特性を与えることが判明し
た。
【0060】実施例10 製造例1で得た架橋ポリエチレンオキシド40g、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体のケン化物60g、平均粒径
1.3μmのタルク100gを2軸混練機で十分混合した
後、プレスシートにて10cm角、厚み2mmのシート2枚
を得た。そのうちの1枚の表面をサンドブラストにより
十点表面粗さ10μmになるまで処理した。このサンプ
ルについて市販の油性インク(マジックインキ製)、水性
インク(パイロットインキ製)、鉛筆(HB)を用いて筆記
テストを実施したところいずれもきれいに筆記できた。
比較のため、残りの1枚の表面を、十点表面粗さ2.5
μmに処理し、上記の筆記具で筆記テストを実施した
が、油性インク、水性インクでは筆記できたものの、鉛
筆では筆記できなかった。結果を表2に示す。
【0061】実施例11 製造例2で得た架橋ポリエチレンオキシド−ポリプロピ
レンオキシド共重合物100g、平均粒径3μmの炭酸カ
ルシウム70gを2軸混練機で十分混合した後、プレス
シートにて10cm角、厚み2mmのシート2枚を得た。そ
のうちの1枚の表面をサンドブラストにより十点表面粗
さ7μmになるまで処理した。このサンプルについて実
施例10と同様に筆記テストを実施した。比較のため、
残りの1枚の表面を、十点表面粗さ3.1μmに処理し、
同様に筆記テストを実施した。結果を表2に示す。
【0062】実施例12 製造例3で得た架橋ポリエチレンオキシド80g、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体20g、平均粒径12μmのク
レー35gを2軸混練機で十分混合した後、プレスシー
トにて10cm角、厚み2mmのシート2枚を得た。そのう
ちの1枚の表面をサンドブラストにより十点表面粗さ2
0μmになるまで処理した。このサンプルについて実施
例10と同様に筆記テストを実施した。比較のため、残
りの1枚の表面を、十点表面粗さ2.5μmに処理し、同
様に筆記テストを実施した。結果を表2に示す。
【0063】実施例13 製造例4で得た架橋ポリエチレンオキシド90g、ポリ
スチレン10g、平均粒径1.3μmのタルク80gを2軸
混練機で十分混合した後、プレスシートにて10cm角、
厚み2mmのシート2枚を得た。そのうちの1枚の表面を
サンドブラストにより十点表面粗さ9μmになるまで処
理した。このサンプルについて実施例10と同様に筆記
テストを実施した。比較のため、残りの1枚の表面を、
十点表面粗さ2.1μmに処理し、同様に筆記テストを実
施した。結果を表2に示す。
【0064】実施例14 製造例1で得た架橋ポリエチレンオキシド20gをメタ
ノール200gに溶解したものに、平均粒径1.3μmの
タルク10gを加え、ペイントシェーカーで十分混合し
た。一方、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物1
0gを50%のイソプロピルアルコール水100gに溶解
したものを別途用意し、2者を混合した。この混合液を
ポリエステルフィルムに塗布し、約180℃で乾燥し、
ポリエステルフィルム上に厚さ10μmの被膜を形成さ
せた。このフィルムを2枚用意し、1枚の表面をサンド
ブラストにより十点表面粗さ6μmになるまで処理し
た。このサンプルについて実施例10と同様に筆記テス
トを実施した。比較のため、残りの1枚の表面を、十点
表面粗さ3μmに処理し、同様に筆記テストを実施し
た。結果を表2に示す。
【0065】比較例2 ポリプロピレン100g、平均粒径1.3μmのタルク1
00gを実施例10と同じ様に処理し、プレスシート2
枚を得た。そのうち1枚の表面をサンドブラストにより
十点表面粗さ10μmになるまで処理した。このサンプ
ルについて実施例10と同様に筆記テストを実施したと
ころ油性インク、鉛筆では筆記できたが、水性インクで
の筆記はできなかった。残りの1枚の表面を、十点表面
粗さ2.5μmに処理し、同様の試験を実施したが、油性
インクのみ筆記可能であり、水性インク、鉛筆では筆記
できなかった。結果を表2に示す。表2から明らかなよ
うに、本発明の樹脂成形品は、油性インク、水性イン
ク、鉛筆のいずれの筆記具に対しても十分な筆記性を有
している。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【発明の効果】本発明の水性インク受容性樹脂組成物
は、樹脂の表面をコロナ処理、火炎処理、多孔質化等の
処理を行うことなく、水性インクを使用する万年筆、水
性ボールペン、サインペン、毛筆等多くの筆記用具で当
該樹脂面へ直接印字や筆記が可能である。
【0069】特に、水性インクでは一般的に耐水性のあ
る画像を得ることは困難であるが、本発明の樹脂組成物
は水性インクを樹脂中に吸収するため、耐水性、耐摩擦
性が非常に優れた画像を得ることができる。また、最近
広く普及するようになった水性インクを利用したインク
ジェットプリンターで樹脂表面へ直接印字することも可
能となった。
【0070】さらに、本発明の水性インク受容性樹脂組
成物は吸収する成分の選択性が低く、インクに含まれる
水や溶剤等の液体成分だけではなく染顔料やビヒクル等
のインクに溶解した固体成分まで吸収するため、インク
全体が樹脂中に取り込まれ、染顔料の微妙な色調を再現
することも可能となり、画像の表現力も非常に優れたも
のとなる。
【0071】さらに、無機質粒子を混合するとともに、
表面に5μm以上の凹凸面を設けることにより油性イン
ク、水性インクのみならず鉛筆を用いた場合にも良好な
筆記性を有する成形品が得られる。
【0072】従って、本発明の水性インク受容性樹脂組
成物は、特別の処理を加えることなく紙と同等の筆記、
印刷特性を持つのみならず、樹脂本来の高い機械強度を
持ち、フィルム化等の加工も容易である。また、全体が
均一なので紙のように繊維に沿ってインクが過度の滲み
を起こすこともなく、水性インクを使用しながら水に対
し高い耐久性を持つ画像を得ることが可能となる等、印
刷材料として優れた性質を有するものである。
【0073】また一般の印刷分野においても、従来紙へ
の印刷に使用されていた水性インキでフィルム面への印
刷が可能となるため、耐水性を要求される場合でも溶剤
系のインクを使用する必要がなくなり、印刷装置におい
て揮発性溶剤の回収装置の設置を省略することができる
など、コスト面だけでなく環境問題への寄与も非常に大
きなものを期待することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今井 貴宏 兵庫県姫路市飾磨区入船町1番地 住友精 化株式会社第2研究所内 (72)発明者 上山 弘之 兵庫県姫路市飾磨区入船町1番地 住友精 化株式会社第2研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋ポリアルキレンオキシド樹脂を10
    〜90重量%含有することを特徴とする水性インク受容
    性熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 架橋ポリアルキレンオキシド樹脂がポリ
    アルキレンオキシド樹脂のウレタン架橋体、エステル架
    橋体、およびシランカップリング剤による架橋体からな
    る群より選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の
    水性インク受容性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 架橋ポリアルキレンオキシド樹脂がポリ
    アルキレンオキシド樹脂とポリオールとの混合物のウレ
    タン架橋体、エステル架橋体、およびシランカップリン
    グ剤による架橋体からなる群より選ばれた少なくとも1
    種である請求項1記載の水性インク受容性熱可塑性樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 ポリアルキレンオキシド樹脂がポリエチ
    レンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレン
    オキシド、これらの共重合体およびこれらの混合物から
    なる群より選ばれた少なくとも1種である請求項2また
    は3記載の水性インク受容性熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリオールがエチレングリコール、プロ
    ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘ
    キサンジオール、およびグリセリンからなる群より選ば
    れた少なくとも1種である請求項3記載の水性インク受
    容性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 架橋ポリアルキレンオキシド樹脂を10
    重量%以上含有する熱可塑性樹脂100重量部と、無機
    質粒子30〜200重量部との混練成形体の表面に十点
    表面粗さ5μm以上の凹凸面を設けたことを特徴とする
    印刷性、筆記性の良好な樹脂成形品。
  7. 【請求項7】 架橋ポリアルキレンオキシド樹脂がポリ
    アルキレンオキシド樹脂のウレタン架橋体、エステル架
    橋体、およびシランカップリング剤による架橋体からな
    る群より選ばれた少なくとも1種である請求項6記載の
    印刷性、筆記性の良好な樹脂成形品。
  8. 【請求項8】 架橋ポリアルキレンオキシド樹脂がポリ
    アルキレンオキシド樹脂とポリオールとの混合物のウレ
    タン架橋体、エステル架橋体、およびシランカップリン
    グ剤による架橋体からなる群より選ばれた少なくとも1
    種である請求項6記載の印刷性、筆記性の良好な樹脂成
    形品。
  9. 【請求項9】 ポリアルキレンオキシド樹脂がポリエチ
    レンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレン
    オキシド、これらの共重合体およびこれらの混合物から
    なる群より選ばれた少なくとも1種である請求項7また
    は8記載の印刷性、筆記性の良好な樹脂成形品。
  10. 【請求項10】 ポリオールがエチレングリコール、プ
    ロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−
    ヘキサンジオール、およびグリセリンからなる群より選
    ばれた少なくとも1種である請求項8記載の印刷性、筆
    記性の良好な樹脂成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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