JP4040191B2 - インクジェット用記録剤 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、新規なインクジェット用記録剤に関し、更に詳しくはインクジェットプリンターや熱転写プリンター、オフセット印刷機によって高密度記録や印刷を可能にし、各種支持体にインクジェット印字性のみならず、オフセット印刷適性や熱転写プリンター印字性にも優れるインクジェット用記録剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、特にフルカラー対応のインクジェットプリンターの需要が増加しているが、紙や繊維シートのような多孔質支持体やフィルムのような無多孔質支持体への印字は高精細印字性やインクのにじみ等を付与する目的で特殊な薬剤で処理して使用されている。
【0003】
例えば各種親水性樹脂とシリカの配合液を塗布する方法で製造されるインクジェット紙(特開昭59−148583号公報、55−51583号公報、58−72495号公報等)尿素−ホルマリン樹脂を用いたインクジェット紙(特開昭58−72495号公報等)などが知られている。これらはインク吸収性が比較的良好で、かつ、インクの広がりが少なくなるよう意図されたものである。しかしながら耐水性まで十分考慮されたものではない。
【0004】
次にインクジェットによる記録情報が水や各種薬品によって消えることを防ぐため塩基性ラテックスを用いる方法(特開昭57−36692号公報)が提案されているが、十分満足できるものではない。
【0005】
ところで従来より、ポリウレタンはその優れた機械的性質、耐磨耗性、耐薬品性、接着性などの特性を生かして、ゴムとプラスチックスの境界分野を埋める樹脂として、塗料、接着剤、人工皮革などの幅広い用途分野に浸透している。その中で、環境保全、省資源、安全性といった社会ニーズに対応すべく、水性ポリウレタンが急激に発展してきている。ウレタン樹脂の水中への乳化分散技術、アイオノマー化による自己乳化分散技術、さらには水中での高分子量化技術等の進歩により高性能の水性ポリウレタンが出現し、その性能は今日では溶剤系ポリウレタン樹脂に匹敵するレベルになり、インクジェット記録材の用途でも実用化が検討されている(特開平9−150574等)。
【0006】
しかしながら、水性化する場合に必要な乳化剤やイオン基により、ポリウレタン樹脂本来の特性、例えば、耐溶剤性や耐熱性を阻害することがしばしばあり、さらには、水性ポリウレタンと各種の水性エマルジョンをブレンドして使用するケースでは混和性に問題がある場合がしばしばある。これらの改良については、乳化剤の選定や導入するイオン基の種類等によりかなり改善はされているものの、まだ満足するレベルには至っていないのが実状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、インクジェット用記録材を容易に製造でき、かつ、優れた耐水性、耐溶剤性を有するインクジェット用記録剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、水媒体中において、分子中にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを乳化させる際に、あるいは乳化させた後に、(a)分子中にアミノ基、一級水酸基およびアセトアセチル基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するビニルアルコール系重合体、および(b)分子中にアミノ基または水酸基を有する低分子化合物を、同時にまたは別途に添加し、反応させて得たポリウレタン系エマルジョン(A)およびアジリジン基、エポキシ基、オキサゾリン基、オキサジン基、イソシアネート基およびカルボジイミド基から選ばれる官能基を分子内に二個以上有する化合物(B)を、特定の配合割合で配合したインクジェット用記録剤が上記目的を満足するものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリウレタン系エマルジョン(A)は、代表的には分子中にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを水中に乳化させる際に、あるいは乳化させた後に、(a)分子中にアミノ基、一級水酸基およびアセトアセチル基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するビニルアルコール系重合体、および(b)分子中にアミノ基または水酸基を有する低分子化合物を、同時にまたは別途に添加し、反応させて得られるポリウレタン系エマルジョンである。
【0010】
本発明に用いられるポリウレタンプレポリマーは、実質的に、高分子ポリオール、有機ジイソシアネートおよび必要に応じて鎖伸長剤を、溶媒の存在下または不存在下で反応させて得られた、分子中にイソシアネート基を1個以上有するポリウレタンである。
【0011】
ポリウレタンプレポリマーの製造に用いうる高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールなどを挙げることができ、ポリウレタンプレポリマーはこれらの高分子ポリオールの1種または2種以上を用いて形成されていることができる。
【0012】
ポリウレタンプレポリマーの製造に用いるポリエステルポリオールは、例えば、常法に従って、ポリカルボン酸、そのエステル、無水物などのエステル形成性誘導体などのポリカルボン酸成分とポリオール成分を直接エステル反応させるかまたはエステル交換反応させることによって得られる。
【0013】
ポリウレタンプレポリマーの製造に用いられるポリエステルポリオールの製造原料であるポリカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸;イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、トリメシン酸などのトリカルボン酸;それらのエステル形成性誘導体などを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、ポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸成分として、脂肪族カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体から主としてなり、場合により少量の3官能以上のポリカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を含むものを用いて製造されたものであることが好ましい。
【0014】
ポリウレタンプレポリマーの製造に用いられるポリエステルポリオールの製造原料であるポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、ヘキサントリオール、トリメチロールブタン、トリメチロールペンタンなどのトリオール、ペンタエリスリトールなどのテトラオールなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。そのうちでも、ポリエステルポリオールは、ポリオール成分として、脂肪族ポリオールからなり、場合により少量の3官能以上のポリオールを含むポリオール成分を用いて製造されたものであることが好ましい。
【0015】
ポリウレタンプレポリマーの製造に用いうるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリオールとジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネートなどのカーボネート化合物との反応により得られる。ポリカーボネートポリオールを構成するポリオールとしては、ポリエステルポリオールの構成成分として先に例示したポリオールを用いることができる。また、ジアルキルカーボネートとしてはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネートなどを、ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネートなどを挙げることができる。
【0016】
ポリウレタンプレポリマーの製造に用いうるポリエステルポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリオール、ポリカルボン酸およびカーボネート化合物を同時に反応させて得られたもの、予め製造しておいたポリエステルポリオールとカーボネート化合物を反応させて得られたもの、予め製造しておいたポリカーボネートポリオールとポリオールおよびポリカルボン酸を反応させて得られたもの、予め製造しておいたポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオールを反応させて得られたものなどを挙げることができる。
【0017】
また、ポリウレタンプレポリマーの製造に用いうるポリエーテルポリオールの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0018】
高分子ポリオール成分の数平均分子量は500〜10000であることが必要であり、700〜5000であるのが好ましく、750〜4000であるのがさらに好ましい。数平均分子量が500〜10000の範囲から外れる高分子ポリオールを用いて製造されたポリウレタンプレポリマーを使用する場合は、得られるインクジェット用記録材の耐溶剤性、耐水性などが低下したものとなりやすい。
【0019】
さらに、高分子ポリオールは、1分子当たりの水酸基の数fが2.0≦f≦4.0の範囲であることが好ましい。より好ましくは2.0≦f≦3.0の範囲である。1分子当たりの水酸基数fが前記した2.0≦f≦4.0の範囲にある高分子ポリオールを用いて得られたポリウレタンプレポリマーを本発明のポリウレタン系エマルジョンで使用すると、得られるインクジェット用記録材の耐溶剤性、耐水性等が良好になる。
【0020】
有機ジイソシアネート成分としては、通常のポリウレタン系エマルジョンの製造に従来から用いられている有機ジイソシアネートのいずれもが使用できるが、分子量500以下の脂環式ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートのうち1種または2種以上が好ましく使用される。有機ジイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネートなどを挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0021】
本発明のポリウレタンプレポリマーの製造には、必要に応じて鎖伸長剤成分を用いることができる。用いうる鎖伸長剤成分としては、通常のポリウレタン系エマルジョンの製造に従来から用いられている鎖伸長剤のいずれもが使用できるが、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物を用いるのが好ましい。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジオール類;トリメチロールプロパン等のトリオール類;ペンタエリスリトール等のペンタオール類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0022】
ポリウレタンプレポリマーの製造は、従来から公知の方法で行うことができ、30〜150℃の温度条件下で、有機溶媒の存在下または不存在下で行うことができる。この際用いることができる有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられ、エマルジョン製造後の溶媒除去の容易性を考慮すると、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の沸点が100℃未満の溶媒がより好ましい。また、プレポリマー製造後に、粘度低下等を目的として、上記の有機溶媒を添加、あるいは追加しても良い。
【0023】
ポリウレタンプレポリマーの製造の際には、必要に応じて反応触媒を添加することができ、このような触媒としては、例えば、オクチル酸スズ、モノブチルスズトリアセテート、モノブチルスズモノオクチレート、モノブチルスズモノアセテート、モノブチルスズマレイン酸塩、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレイン酸塩などの有機スズ化合物;テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートなどの有機チタン化合物;トリエチルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチレンジアミンなどの3級アミンなどを挙げることができる。
【0024】
ポリウレタンプレポリマーの製造にあたっては、高分子ポリオールおよび鎖伸長剤が有している活性水素原子の全量に基づいて、活性水素原子1当量当たりのイソシアネート基当量の比(R)が、1.05≦R≦3.0の範囲で使用するのが好ましく、1.1≦R≦2.5の範囲で使用するのがより好ましい。Rが1.05未満である場合には、後述するビニルアルコール系重合体との反応性が低下し、耐熱性、耐溶剤性等が十分に改善されず、またプレポリマーの粘度が高いために水中への乳化が困難である。Rが3.0を越える場合には、後述するビニルアルコール系重合体やアミノ基または水酸基を有する低分子化合物との反応の際にエマルジョンが不安定化してゲル化しやすくなる。
【0025】
次にポリウレタンプレポリマーを水性媒体中に乳化させるが、この方法として(1)ポリウレタンプレポリマー分子中に親水性基を導入して、プレポリマー自身に自己乳化性を付与する方法、(2)界面活性剤を用いて、ポリウレタンプレポリマーを強制乳化させる方法が挙げられる。
【0026】
ポリウレタンプレポリマー分子中への親水性基の導入は、上記プレポリマー反応において、親水性基を有する活性水素原子含有化合物を併用することにより達成される。親水性基を有する活性水素原子含有化合物としては、分子内に水酸基またはアミノ基等の活性水素原子を1個以上含有し、且つカルボン酸基、スルホン酸基、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアニオン性基;ポリオキシエチレン基等のノニオン性基;三級アミノ基、四級アンモニウム塩等のカチオン性基から選ばれる1種以上の親水性基を有する化合物が挙げられる。例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等のカルボン酸基含有化合物およびこれらの誘導体;1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸等のスルホン酸基含有化合物およびこれらの誘導体;分子量200〜10,000のポリオキシエチレングリコールおよびそのモノアルキルエーテル等のノニオン性基含有化合物;3−ジメチルアミノプロパノール等の三級アミノ基含有化合物およびこれらの誘導体等が挙げられる。さらに、上記の親水性基を有する活性水素原子含有化合物を共重合して得られるポリエステルポリオールまたはポリエステルポリカーボネートポリオールを用いることもできる。この中でも、2,2−ジメチロールプロピオン酸を用いてポリウレタンプレポリマーを製造し、プレポリマー反応終了後にトリエチルアミン、トリメチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性物質を添加してカルボン酸塩に変換する方法が好ましい。
【0027】
また、界面活性剤を用いてポリウレタンプレポリマーを強制乳化させる場合には、ポリウレタンプレポリマーは上記の親水性基を有していなくても良い。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体等のノニオン性界面活性剤;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム、ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤等を用いることができる。この中でも、HLB値が6〜20のノニオン性界面活性剤を用いるのが好ましい。
【0028】
ポリウレタンプレポリマーの乳化は、上記の2方法のいずれかまたは両者を用いて、ホモミキサー、ホモジナイザー等の乳化分散装置を用い行われる。この際、ポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基と水との反応を抑制するため、乳化温度は40℃以下であることが好ましく、30℃以下であることがより好ましい。
【0029】
乳化して得られるエマルジョンの粒子径に特に制限はないが、通常0.1μm〜100μmの粒径に分散させて用いられる。粒径がこの範囲をはずれると、エマルジョンの安定性に問題が生じる懸念がある。
【0030】
本発明で用いるポリウレタン系エマルジョン(A)は、ポリウレタンプレポリマーの乳化と同時に、または乳化後、アミノ基、一級水酸基あるいはアセトアセチル基を有するビニルアルコール系重合体、および分子中にアミノ基および水酸基から選ばれる活性水素原子を有する低分子化合物を添加、反応させて得られる。ビニルアルコール系重合体および活性水素原子含有低分子化合物の添加は、同時に行っても良く、また別途に行っても良い。
【0031】
本発明に用いられる、分子中にアミノ基、一級水酸基あるいはアセトアセチル基を有するビニルアルコール系重合体としては、分子内にアミノ基、一級水酸基あるいはアセトアセチル基を含有するビニルアルコール系重合体であれば特に制限はない。アミノ基としては一級または二級アミノ基が好適である。アミノ基、一級水酸基あるいはアセトアセチル基を有するビニルアルコール系重合体の製造方法としては、例えば、
(1)ビニルホルムアミド、メチルビニルアセトアミド、ヒドロキシメチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート等の、一級アミノ基または二級アミノ基あるいは一級水酸基を有するエチレン性不飽和単量体、または加水分解等によりアミノ基あるいは一級水酸基を生成しうる官能基を有するエチレン性不飽和単量体と、酢酸ビニルとを共重合させた後、けん化する方法;
(2)アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を有する単量体と酢酸ビニルとを共重合させて得られたポリマーの側鎖のエポキシ基に、一級アミノ基または二級アミノ基あるいは一級水酸基を有するメルカプタンを水酸化ナトリウム等を触媒として付加反応させた後、けん化する方法;
(3)ポリビニルアルコールの水酸基と反応しうる官能基を分子内に有し、且つ一級または二級アミノ基あるいは一級水酸基を有する化合物をビニルアルコール系重合体に反応させる方法;
(4)メルカプト基を有するビニルアルコール系重合体の存在下で、一級アミノ基または二級アミノ基あるいは一級水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を重合させる方法;
(5)ポリビニルアルコールの水酸基に固気反応によりジケテンを反応させる方法;
等が挙げられる。
【0032】
ビニルアルコール系重合体は、分子内にアミノ基、一級水酸基あるいはアセトアセチル基以外の官能基を有していても本発明の効果を損なわない限り差し支えない。そのような官能基を与える単量体単位としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホプロピル、メタクリル酸スルホプロピル、およびそれらのアルカリ塩、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等が挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物存在下で、酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体を重合することによって得られる末端に官能基を有するポリマーでも良い。
【0033】
本発明に用いるポリウレタン系エマルジョン(A)を構成する、分子中にアミノ基、一級水酸基およびアセトアセチル基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するポリビニルアルコール系重合体の官能基の含有量は、特に制限はなく、重合度等により好適な範囲が変化するが、一般に、0.1〜15モル%が好ましく、0.2〜10モル%がより好ましい。0.1モル%よりも少ない場合には、ポリウレタンプレポリマーとの反応性が低下し、耐熱性、耐溶剤性等が十分に改善されない。また、15モル%を越える場合には、ポリウレタンプレポリマーとの反応の際にエマルジョンが不安定化し、系がゲル化しやすくなる。
【0034】
ビニルアルコール系重合体のケン化度は、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましい。ケン化度が50モル%未満の場合には、得られる塗料組成物の耐熱性、耐溶剤性等が不十分である。また、ビニルアルコール系重合体の分子量は、JIS法による粘度平均分子量が、2,000〜200,000であるのが好ましく、4,000〜100,000であるのがより好ましい。分子量が2,000未満の場合には、得られるインクジェット記録材の耐水性、耐溶剤性等が不十分であり、分子量が200,000を越える場合には、ポリウレタンプレポリマーとの反応の際にエマルジョンが不安定化し、系がゲル化しやすくなる。
【0035】
ビニルアルコール系重合体の添加量は、ポリウレタンプレポリマー100重量部に対し、0.2〜20重量部、好ましくは0.5〜15重量部である。添加量が0.2重量部未満の場合には、得られるインクジェット記録材の耐水性、耐溶剤性等が不十分であり、添加量が20重量部を越える場合には、ポリウレタンプレポリマーとの反応の際にエマルジョンが不安定化し、系がゲル化しやすくなる。また、ポリビニルアルコール系重合体の添加は、通常水溶液にして行うが、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等の有機溶媒と水の混合溶媒に溶解させて添加しても良い。
【0036】
本発明で用いられる、分子中にアミノ基または一級水酸基を有する低分子化合物としては、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子をもつアミノ基または水酸基を分子中に有する分子量300以下の低分子化合物を用いるのが好ましい。また、アミノ基としては一級または二級アミノ基が、水酸基としては一級水酸基が好適である。例えば、ジエチレントリアミン等のトリアミン類;ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジアミン類;エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、モルホリン等のモノアミン類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコールなどのジオール類などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0037】
分子中にアミノ基または一級水酸基を有する低分子化合物の添加量としては、低分子化合物のアミノ基または水酸基中の活性水素原子の量が、ポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基1当量あたり、0.70〜1.20当量であるのが好ましく、0.75〜1.15当量であるのがより好ましく、0.80〜1.10当量であるのがより好ましい。活性水素原子の量が、0.70当量未満または1.20当量を越える場合には、ポリウレタン組成物の重合度が十分に上がらず、耐水性や耐溶剤性が不十分となる。
【0038】
本発明で用いられるポリウレタン系エマルジョンは、通常、固形分濃度が約20〜65重量%に調整されるが、これに限定されるものではない。また、プレポリマー製造において有機溶媒を用いた場合には、必要に応じて、蒸留分離あるいはストリッピングをすることにより有機溶媒を除去することができる。
【0039】
本発明で用いられるポリウレタン系エマルジョン(A)は、一般的に、ポリウレタン単位とポリビニルアルコール単位が下記の一般式化1で表される構造単位で結合されたポリマーを含有していると考えられ、それが本発明のインクジェット用記録剤の性能発現に寄与していると想定される。
【0040】
【化1】
【0041】
【化2】
【0042】
【化3】
【0043】
本発明のインクジェット記録剤は、上記(A)にアジリジン基、エポキシ基、オキサゾリン基、オキサジン基、イソシアネート基およびカルボジイミド基から選ばれる官能基を分子内に二個以上有する化合物(B)を配合することにより、より高度なインクジェット用記録剤が得られる。(B)としては水溶性のものや水分散性のものが好ましく用いられる。
【0044】
一例として、エポキシ基を分子内に二個以上有する化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジβメチルグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、テトラヒドロキシフェニルメタンテトラグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、クロル化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、エポキシウレタン樹脂等のグリシジルエーテル型;P−オキシ安息香酸グリシジルエーテル・エステル等のグリシジルエーテル・エステル型;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、アクリル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル型;グリシジルアニリン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルアミノフェノール等のグリシジルアミン型;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の線状脂肪族エポキシ樹脂;3,4エポキシ−6メチルシクロヘキシルメチル−3,4エポキシ−6メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシシクロヘキサン)カルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエンオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、リモネンジオキサイド等の脂環族エポキシ樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリンなどがあげられる。
【0045】
アジリジン基を分子内に有する化合物としては、2,4,6−トリス(1’−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、ω−アジリジニルプロピオン酸−2,2’−ジヒドロキシメチル−ブタノール−トリエステル、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等があげられる。
【0046】
オキサゾリン基あるいはオキサジン基を分子内に有する化合物としては、2、2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2、2’−エチレンビス(2−オキサジン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサジン)や、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニルー2ーオキサゾリン等の不飽和オキサゾリンあるいはオキサジン化合物と他の不飽和化合物の重合により得られる重合体等があげられる。
【0047】
イソシアネート基を分子内に有する化合物としては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート−(1,4)、1ーメチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネート、2,6−トルイレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等があげられる。 また、カルボジイミド基を有する化合物としては、通常のカルボジイミド化合物、たとえば、日清紡製の「カルボジライトV−01,02,03,04,06」、「カルボジライトHMV−8CA」、「カルボジライト10M−SP」、「カルボジライトIM−25P」、「カルボジライト9010」、「カルボジライト9010 ST」等があげられる。
【0048】
本発明のインクジェット用記録剤は、分子中にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを水中に乳化させる際に、あるいは乳化させた後に、(a)分子中にアミノ基、一級水酸基あるいはアセトアセチル基を有するビニルアルコール系重合体、および(b)分子中にアミノ基、水酸基から選ばれる活性水素原子を有する低分子化合物を、同時にまたは別途に添加し、反応させて得られるポリウレタン系エマルジョン(A)とアジリジン基、エポキシ基、オキサゾリン基、オキサジン基、イソシアネート基およびカルボジイミド基から選ばれる官能基を分子内に二個以上有する化合物(B)からなる。(A)と(B)の配合量は、固形分換算で(A)100重量部に対して(B)0.1〜70重量部であり、(B)0.2〜50重量部が好ましい。この範囲を逸脱すると、硬化が不十分であったり、皮膜が脆化するなどの問題がある。
【0049】
本発明のインクジェット用記録剤は、前記ポリウレタン系エマルジョン以外にも、必要に応じて水性エマルジョンを配合することができる。水性エマルジョンとしては特に制限はないが、従来公知のウレタンディスパージョン、酢酸ビニル重合体エマルジョン、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、エチレン−塩化ビニル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−第3級カルボン酸ビニルエステル共重合体エマルション、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体エマルジョン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョン、スチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン、スチレンー(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体エマルジョン等の酢酸ビニル系樹脂エマルジョン、(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョン、ジエン系樹脂エマルジョンがあげられる。
【0050】
また、必要に応じて、その乾燥性、セット性、粘度、造膜性などを調整するために、トルエン、パークレン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどの各種有機溶剤、でんぷん、変性でんぷん、酸化でんぷん、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、無水マレイン酸/イソブテン共重合体、無水マレイン酸/スチレン共重合体、無水マレイン酸/メチルビニルエーテル共重合体などの水溶性高分子や尿素/ホルマリン樹脂、尿素/メラミン/ホリマリン樹脂、フェノール/ホリマリン樹脂などの熱硬化性樹脂、さらに、クレー、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、木粉などの充填剤、小麦粉などの増量剤、ホウ酸、硫酸アルミニウムなどの反応促進剤、酸化チタンなどの顔料あるいはその他、消泡剤、分散剤、凍結防止剤、防腐剤、防錆剤などの各種添加剤をも適宜添加することができる。
【0051】
本発明のインクジェット用記録剤は、各種基材へ塗工される。基材としては、紙、板紙、ポリエステル(PET)、塩化ビニル系樹脂、ナイロン、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS)、延伸ポリプロピレン(OPP)、キァストポリプロピレン(CPP)など各種フィルムが主であるが、その他不織布、スパンボンド等各種繊維基材等が挙げられる。
【0052】
本発明のインクジェット用記録剤を基材に塗布する方法としては、エアナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布、グラビア塗布、含浸、サイズプレス塗工、ゲートロール塗工などが挙げられる。
【0053】
【実施例】
次に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお以下の実施例及び比較例において「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準を意味する。
【0054】
実施例および比較例中、略号は下記を表わす。
PMPA2150:数平均分子量2150のポリエステルジオール( 3−メチルー1,5ペンタンジオールとアジピン酸を反応させて製造)
PMPA3600:数平均分子量3600のポリエステルジオール( 3−メチルー1,5ペンタンジオールとアジピン酸を反応させて製造)
PTMG2000:数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール
PCL2000:数平均分子量2000のポリカプロラクトングリコール
IPDI:イソフォロンジイソシアネート
HMDI:メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)
TDI:2,4−トリレンジイソシアネート
DMPA:2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸
TEA:トリエチルアミン
DETA:ジエチレントリアミン
IPDA:イソフォロンジアミン
EDA:エチレンジアミン
MEK:2−ブタノン
【0055】
製造例1
3リットル三ツ口フラスコに、PMPA2150 537.5g、IPDI 111.1g、DMPA 6.71gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下、90℃で2hr撹拌して系中の水酸基を定量的に反応させ、イソシアネート末端のプレポリマーを得た。これにMEK 202.9gを加えて均一に撹拌した後、40℃にフラスコ内温度を下げ、TEA 5.06gを加えて10分間撹拌を行った。次いで、乳化剤としてエマルゲン985(花王製,ノニオン系界面活性剤)14.5gを蒸留水 420gに溶解した水溶液を前記プレポリマーに加えホモミキサーで1分間撹拌して乳化した後、直ちにアミノ基含有ポリビニルアルコール(ビニルホルムアミドと酢酸ビニルを共重合した後けん化して得たポリビニルアルコール:重合度350、けん化度98.5mol%、一級アミノ基含有量1.5mol%) 34.0g、DETA 7.58gおよびIPDA 12.52gを蒸留水 652gに溶解した水溶液を加えてホモミキサーで1分間撹拌して反応を行った。その後、MEKをロータリーエバポレーターにより除去して固形分重量40wt%のポリウレタン系エマルジョンを得た。
【0056】
製造例2
3リットル三ツ口フラスコに、PMPA3600 540.0g、IPDI 80.0g、DMPA 6.04gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下、90℃で2hr撹拌して系中の水酸基を定量的に反応させ、イソシアネート末端のプレポリマーを得た。これにMEK 191.4gを加えて均一に撹拌した後、40℃にフラスコ内温度を下げ、TEA 4.55gを加えて10分間撹拌を行った。次いで、乳化剤としてエマルゲン985(花王製,ノニオン系界面活性剤)19.1gを蒸留水 397gに溶解した水溶液を前記プレポリマーに加えホモミキサーで1分間撹拌して乳化した後、直ちにアミノ基含有ポリビニルアルコール(アリルグリシジルエーテルと酢酸ビニルを共重合した後、2−アミノチオフェノールをNaOHを触媒として付加し、さらにけん化することにより得たポリビニルアルコール:重合度500、けん化度97.5mol%、一級アミノ基変性量1.0mol%)64.1gを蒸留水 420gに溶解した水溶液を加えてホモミキサーで30秒間撹拌し、次いでDETA 10.21gを蒸留水240gに溶解した水溶液を加えてホモミキサーで1分間撹拌して反応を行った。その後、MEKをロータリーエバポレーターにより除去して固形分重量40wt%のポリウレタン系エマルジョンを得た。
【0057】
製造例3
3リットル三ツ口フラスコに、PTMG2000 250.0g、PCL2000250.0g、HMDI 118.1g、DMPA 6.71gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下、80℃で2hr撹拌して系中の水酸基を定量的に反応させ、イソシアネート末端のプレポリマーを得た。これにMEK 188.7gを加えて均一に撹拌した後、40℃にフラスコ内温度を下げ、TEA 5.06gを加えて10分間撹拌を行った。次いで、乳化剤としてエマルゲン985(花王製,ノニオン系界面活性剤)6.7gおよびエマルゲン930(花王製,ノニオン系界面活性剤)6.7gを蒸留水 392gに溶解した水溶液を前記プレポリマーに加えホモミキサーで1分間撹拌して乳化した後、直ちにアミノ基含有PVA(メチルビニルアセトアミドと酢酸ビニルを共重合した後、けん化することにより得たポリビニルアルコール:重合度750、けん化度87.5mol%、二級アミノ基変性量2.5mol%)32.2g、DETA 6.81gおよびIPDA5.62gを蒸留水 620gに溶解した水溶液を加えてホモミキサーで1分間撹拌して反応を行った。その後、MEKをロータリーエバポレーターにより除去して固形分重量40wt%のポリウレタン系エマルジョンを得た。
【0058】
製造例4
3リットル三ツ口フラスコに、PMPA2150 537.5g、TDI 87.1g、DMPA 6.71gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下、70℃で2hr撹拌して系中の水酸基を定量的に反応させ、イソシアネート末端のプレポリマーを得た。これにMEK 194.6gを加えて均一に撹拌した後、40℃にフラスコ内温度を下げ、TEA 5.06gを加えて10分間撹拌を行った。次いで、乳化剤としてエマルゲン985(花王製,ノニオン系界面活性剤)16.5gおよびアセトアセチル基含有ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコールに固気反応によりジケテンを反応させて得たポリビニルアルコール:重合度1000、けん化度97.5mol%、アセトアセチル基含有量5mol%)32.4gを蒸留水 520gに溶解した水溶液を前記プレポリマーに加えホモミキサーで1分間撹拌して乳化した後、直ちに、DETA 7.59gおよびEDA 4.42gを蒸留水 494gに溶解した水溶液を加えてホモミキサーで1分間撹拌して反応を行った。その後、MEKをロータリーエバポレーターにより除去して固形分重量40wt%のポリウレタン系エマルジョンを得た。
【0059】
製造例5
3リットル三ツ口フラスコに、PMPA2150 537.5g、IPDI 194.5g、DMPA 33.53g、MEK 249.1gを秤取し、乾燥窒素雰囲気下、60℃で8hr撹拌して系中の水酸基を定量的に反応させ、イソシアネート末端のプレポリマーを得た。その後、40℃にフラスコ内温度を下げ、TEA 25.30gを加えて30分間撹拌を行った。次いで、蒸留水 720.0gを加えて撹拌を行いポリウレタンプレポリマーを水中に乳化させた後、直ちに、一級水酸基含有ポリビニルアルコール(アリルグリシジルエーテルと酢酸ビニルを共重合した後、2−メルカプトエタノールをNaOHを触媒として付加し、さらにけん化することにより得たポリビニルアルコール:重合度500、けん化度97.5mol%、一級水酸基変性量1.0mol%)41.8g、DETA 17.02gおよびIPDA 14.05gを蒸留水 576gに溶解した水溶液を加えてホモミキサーで1分間撹拌して反応を行った。その後、MEKをロータリーエバポレーターにより除去して固形分重量40wt%のポリウレタン系エマルジョンを得た。
【0060】
比較製造例1
製造例1において、アミノ基含有ポリビニルアルコールを用いないこと以外は、製造例1と同様にしてポリウレタン系エマルジョンを得た。
【0061】
実施例1〜9、比較例1〜3
表1に示す配合組成においてインクジェット用記録剤を調製し、厚さ50μm、透明度95%のポリエステルフィルム上に乾燥後の塗布量が15g/m2となるよう塗布し、乾燥してインクジェット用被記録材を得た。このインクジェット用被記録材の性能を下記評価方法により評価した。結果を表2に示す。
(1)インクジェット記録方法
吐出オリフイス径60μmのオンデイマンド型インクジェット記録ヘッドを有する記録装置を用い、下記4色のインクを用いてカラーインクジェット記録を行い、記録特性の評価を行った。
イエローインク(組成)
C.I.アシッドイエロー2.3 2部
ジエチレングリコール 30部
水 70部
マゼンタインク(組成)
C.I.アシッドレッド32 2部
ジエチレングリコール 30部
水 70部
シアンインク(組成)
C.I.ダイレクトブルー86 2部
ジエチレングリコール 30部
水 70部
ブラックインク(組成)
C.I.ダイレクトブラック19 2部
ジエチレングリコール 30部
水 70部
(2)インク吸収速度
インクジェット記録後、一定時間ごとに被記録材上の印字を指でこすり、印字部分が変化しなくなるまでの時間を測定した。時間が短いほどインク吸収速度が大である。
(3)耐水性インクジェット記録後のシートの印字部に水を付け指でこすったとき、印字部が溶解したりにじんだりするかどうかを5段階で判定した。
(4)耐溶剤性アセトンを試験片の塗膜表面にたらし、試験片の表面を指でこすり、塗膜外観の変化をみた。評価結果は◎非常に良好、○良好、△やや悪い、×塗膜に剥がれ有り、のように表記した。
【0062】
実施例10〜18、比較例4〜6
実施例1〜9、比較例1〜3で用いたポリエステルフィルムに代えて、坪量65g/m2の未塗工原紙を用いる他は実施例1〜9、比較例1〜3と同様にしてインクジェット用被記録材を得た。このインクジェット用被記録材の性能を前述の評価方法により評価した。結果を表3に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【発明の効果】
本発明のインクジェット用記録剤は、耐水性、耐溶剤性等に優れた皮膜を与えるため、広範な用途に利用でき、各種プラスチックのフィルムや紙のコート剤として、有用に用いられる。
Claims (1)
- 水性媒体中において、分子中にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを乳化させる際に、あるいは乳化させた後に、(a)分子中にアミノ基、一級水酸基およびアセトアセチル基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するビニルアルコール系重合体、および(b)分子中にアミノ基または水酸基を有する低分子化合物を、同時にまたは別途に添加し、反応させて得たポリウレタン系エマルジョン(A)およびアジリジン基、エポキシ基、オキサゾリン基、オキサジン基、イソシアネート基およびカルボジイミド基から選ばれる官能基を分子内に二個以上有する化合物(B)を、固形分換算で(A)100重量部に対して(B)0.1〜70重量部配合したインクジェット用記録剤。
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