JPH08107713A - 脱穀機における処理胴構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 扱室の後部に開口する送塵口に連通して処理
胴を軸架した処理胴室を設け、回転する処理胴で処理し
た処理物を、処理胴室の後部に設けた排塵口から扱室後
方の風選室に排出するようにした脱穀機において、送塵
口から処理胴室に送り込まれた処理物を十分に処理し、
しかも穀粒と藁屑等を効率よく分離させて処理能力の向
上を図ることができる脱穀機における処理胴構造を提供
する。 【構成】 処理胴１０の外周面に複数の処理歯９を、処
理胴１０の長手方向と回転方向とに所定間隔を存して配
設し、処理胴室の内面に、上記処理歯９の回転軌跡の対
向間に突出する受歯３１を設けると共に、上記処理歯９
の回転方向対向間には、処理物を分散させる分散板３２
を回転方向と直交状に設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、扱室の後部に設けた送
塵口から処理胴室に送り出された処理物を回転する処理
胴で効率よく処理できるようにした脱穀機における処理
胴構造に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に刈取穀稈を脱穀処理する脱穀機に
は、扱室の後部に開口した送塵口に連通して処理胴室を
設け、処理胴室には多数の処理歯を植設した処理胴を軸
架し、扱室から送り込まれた処理物を、回転する処理胴
でさらに処理して穀粒は処理胴室の受網から漏下させて
回収し、後方に移送された藁屑等は、処理胴室の後部に
設けた排塵口から扱室後方の風選室に排出するようにし
たものが知られている。

【０００３】このような脱穀機に設けた処理胴には、複
数の処理歯を処理胴の長手方向に対して傾斜させたも、
あるいは直交状にしたものがある。ところが、処理歯を
傾斜させたものでは、処理物の後方への移送を促進でき
ても、傾斜した処理歯の回転軌跡の対向間には受歯を取
り付けることができないので、処理胴による処理能力が
不十分となり、一方、処理歯を処理胴の長手方向に対し
て直交状に設けたものでは、受歯を設けて処理能力を上
げることはできても、処理された処理物が処理歯の回転
軌跡対向間で受網上に溜って穀粒の漏下が不十分となる
惧れがあり、殊に処理物が湿っている場合には、一層溜
り易いという問題がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
問題点を解消すべく創作されたものであって、回転する
処理胴の処理能力の向上を図るとともに、処理物をかき
上げるように分散させて穀粒と藁屑等の分離を促進させ
ることができる脱穀機における処理胴構造を提供しよう
とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明が講じた技術的手段は、扱室の後部に開口す
る送塵口に連通して処理胴を軸架した処理胴室を設け、
回転する処理胴で処理した処理物を、処理胴室の後部に
設けた排塵口から扱室後方の風選室に排出するようにし
た脱穀機において、上記処理胴の外周面に複数の処理歯
を、処理胴の長手方向と回転方向とに所定間隔を存して
配設し、処理胴室の内面に、上記処理歯の回転軌跡の対
向間に突出する受歯を設けると共に、上記処理歯の回転
方向対向間には、処理物を分散させる分散板を回転方向
と直交状に設けたことを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】したがって本発明によれば、送塵口から処理胴
室に送り込まれた処理物は、回転する処理胴の外周面に
設けた複数の処理歯と、この処理歯の回転軌跡の対向間
に突出する受歯によって処理される。そして処理歯の回
転方向の対向間に設けた分散板が、処理物をかき上げる
ように分散するので、穀粒と藁屑等との分離が促進され
て処理能力が向上する。

【０００７】

【実施例】次に本発明の一実施例を添付した図面に基い
て詳細に説明する。まず図１において、１は脱穀機であ
って、その前部に設けた扱室２には多数の扱歯３を植設
した扱胴４が回転自在に軸架されている。５は扱室２の
穀稈供給口、６は穀稈フィードチエン、７は扱室２の後
部一側に開口する送塵口であって、この送塵口７に連通
して処理胴室８が後方に向けて設けられている。上記処
理胴室８の内部には後述する処理歯９を植設した処理胴
１０が扱胴４と平行状に軸架されていて、送塵口７から
送り込まれた処理物を回転する処理胴１０でさらに処理
して穀粒を分離し、藁屑等は処理胴室８の後部に設けた
排塵口１１から排出するようになっている。１２は扱胴
４の外周に沿って周設した受網、１３は処理胴１０の外
周に沿って扱胴４側に周設した受網であって、扱室２お
よび処理胴室８から穀粒がこの受網１２，１３から漏下
する。１４は送塵口７に設けた扱室２からの処理物を一
旦受け止める仕切板である。

【０００８】扱室２の後方は風選室１５となっており、
風選室１５の後部に軸流式の吸引ファン１６が設けら
れ、その前後に吸入ガイド板１７および排塵フード１８
が設けられている。１９は脱穀後の排藁を送出する排藁
チエン、２０は排藁を細断する排藁カッターである。

【０００９】上記扱室２および処理胴室８の下方には、
搖動板２１、チャフシーブ２２等からなる上段の選別体
と、グレンシーブ２３、ストローラック２４等からなる
下段の選別体とが前後揺動自在に架設されており、その
下方には、機体前方から後方にかけて唐箕２５、一番横
送りラセン２６、二番横送りラセン２７が配設されてい
て、一番横送りラセン２６で集められた穀粒は図２に示
す揚穀ラセン２８によってホッパー２９に回収される。

【００１０】そして前記処理胴１０はつぎのように構成
されている。すなわち、図５の展開図、図６の側面図お
よび図７の正面図で示されるように、処理胴１０の外周
面には、その回転方向に所定間隔を隔てた放射状の位置
に、それぞれ処理胴１０の長手方向に沿って複数の処理
歯９が所定間隔を存して植設されていて、各処理歯９は
回転方向に隣接した他の処理歯９の回転軌跡の中間に位
置するように千鳥状に配置されている。

【００１１】また前記送塵口７に臨む処理胴１０の始端
部は、処理歯９ａが処理物の送り方向に傾斜状となって
おり、処理胴室８のほぼ同位置には送り方向に傾斜した
ガイド板３０がボルト固定されている。また処理胴１０
の中間部には、その長手方向と直交状に配置された処理
歯９の回転軌跡の対向間に向けて、受歯３１が処理胴室
８の内面に突設されている。そして上記処理歯９の回転
方向の対向間には、処理胴室８の内面から分散板３２が
処理胴１０の回転方向と直交状に立設されていて、受網
１３上の処理物をかき上げるように分散させるようにな
っている。また処理胴１０の終端部には後方に移送され
た藁屑等を排塵口１１から投げ出す放出板３３が分散板
３２と同様、処理胴１０の回転方向と直交状に立設され
ている。

【００１２】上記構成において、穀稈供給口５から供給
された穀稈は、穀稈フィードチエン６により扱室２の扱
口に沿って移送されながら回転する扱胴４で脱穀処理さ
れ、受網１２を漏下した穀粒や藁屑等は搖動板１２上に
落下し、その前後搖動運動によって比重選別作用を受け
ながらチャフシーブ２２上に移送され、チャフシーブ２
２から下方のグレンシーブ２３上に落下した落下物は、
グレンシーブ２３の前後搖動運動によってストローラッ
ク２４に移送されて唐箕２５の圧風と吸引ファン１６の
吸入風を受けて風選される。ここでグレンシーグ２３を
漏下した穀粒は一番横送りラセン２６に集められ、二番
物は二番横送りラセン２７から図示しない二番還元ラセ
ンを介して前記搖動板２１に還元され、藁屑等は吸引フ
ァン１６によって機外に排出される。

【００１３】一方、扱室２で受網１２を漏下し得なかっ
た穂切れ穀稈や小枝梗等が混合した処理物は、扱室２の
後部に移送され、扱室２の後部に開口した送塵口７から
処理胴室８に送り込まれて、回動する処理胴１０の始端
部に設けた傾斜状の処理歯９ａ送り作用と、処理胴室８
に設けた傾斜するガイド板３０の案内作用とによって処
理胴１０の後方に移送される。そして処理胴１０の中間
部では、処理胴１０の長手方向と直交状に設けた処理歯
９と、この処理歯９の回転軌跡の対向間に突出する受歯
３１との協働作用により、処理物を効率よく処理する。
そして受網１３上に落下する処理物を、処理胴１０の回
転方向と直交状に立設した分散板３２がかき上げるよう
に分散させるので、処理物が受網１３上に堆積すること
はなく、受網１３からの穀粒漏下を促進して処理胴１０
の処理能力を向上させる。また処理胴１０の終端部で
は、処理胴１０に立設した回転方向と直交状の放出板３
３が、移送されてきた藁屑等を、排出口１１から投げ出
すようにして迅速に排出することができる。

【００１４】

【発明の効果】これを要するに本発明は、扱室の後部に
開口する送塵口に連通して処理胴を軸架した処理胴室を
設け、回転する処理胴で処理した処理物を、処理胴室の
後部に設けた排塵口から扱室後方の風選室に排出するよ
うにした脱穀機において、上記処理胴の外周面に複数の
処理歯を、処理胴の長手方向と回転方向とに所定間隔を
存して配設し、処理胴室の内面に、上記処理歯の回転軌
跡の対向間に突出する受歯を設けると共に、上記処理歯
の回転方向対向間には、処理物を分散させる分散板を回
転方向と直交状に設けたことから、扱室の後部に開口す
る送塵口から処理胴室に送り出された処理物を、回転す
る処理胴の外周面に配設した複数の処理歯と、この処理
歯の回転軌跡の対向間に突出する受歯との協働作用によ
って十分に処理することができ、しかも処理歯の回転方
向と直交状に設けた分散板が処理物をかき上げるように
分散させるので、処理物を穀粒と藁屑等とに効率よく分
離させることができて、処理胴の処理能力を向上させる
ことができるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】脱穀機の側面視断面図である。

【図２】同上背面視断面図である。

【図３】同上一部の拡大断面図である。

【図４】処理胴始端部の拡大断面図である。

【図５】処理胴の展開図である。

【図６】処理胴の側面図である。

【図７】同上正面である。

【符号の説明】

２ 扱室 ７ 送塵口 ８ 処理胴室 ９ 処理歯 １０ 処理胴 １１ 排塵口 １５ 風選室 ３１ 受歯 ３２ 分散板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 扱室の後部に開口する送塵口に連通して
   処理胴を軸架した処理胴室を設け、回転する処理胴で処
   理した処理物を、処理胴室の後部に設けた排塵口から扱
   室後方の風選室に排出するようにした脱穀機において、
   上記処理胴の外周面に複数の処理歯を、処理胴の長手方
   向と回転方向とに所定間隔を存して配設し、処理胴室の
   内面に、上記処理歯の回転軌跡の対向間に突出する受歯
   を設けると共に、上記処理歯の回転方向対向間には、処
   理物を分散させる分散板を回転方向と直交状に設けたこ
   とを特徴とする脱穀機における処理胴構造。