JPH08104594A - 単結晶の育成方法 - Google Patents

単結晶の育成方法

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JPH08104594A
JPH08104594A JP23692094A JP23692094A JPH08104594A JP H08104594 A JPH08104594 A JP H08104594A JP 23692094 A JP23692094 A JP 23692094A JP 23692094 A JP23692094 A JP 23692094A JP H08104594 A JPH08104594 A JP H08104594A
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Yasushi Kurata
靖 倉田
Kazuhisa Kurashige
和央 倉重
Hiroyuki Ishibashi
浩之 石橋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】割れ発生の少ない単結晶の育成方法を提供す
る。 【構成】高周波誘導加熱によりるつぼを加熱し原料を融
液とし、セリウム付活珪酸ガドリニウム単結晶の種結晶
の下端を接触させ、引き上げながら成長させた。種結晶
は、種付け前から回転させ、融液の温度を調整すること
により、引き上げる間に結晶径を広げ肩部を形成した。
その間固液界面の反転が起こり、形状が融液側に凸の状
態からフラットに変化した。その後結晶径を広げる間に
回転速度を下げた。その後、自動直径制御に入り、単結
晶を引き上げた後結晶を切り離し冷却を行った。 【効果】熱膨張に異方性がある、へき開性がある等の特
徴を有する脆弱な結晶について、残留歪等による冷却中
及び冷却終了後の肩部付近での割れ発生を防止すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子機器等に用いられ
る単結晶の育成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原料融液に種結晶を接触させ、種結晶を
徐々に引き上げながら単結晶を育成する方法では、従来
転位を結晶表面に抜くために固液界面形状を融液側に凸
の状態にすることが有効であるため、肩部育成時の回転
速度は、直胴部の直前まで固液界面形状の反転が起こら
ない回転速度条件で育成を行っている(B.Cockayne and
J.M.Roslington:J.Mater.Sci.8(1973)601、実験物理学
講座13、試料の作成と加工:共立出版(1981)381)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法で
は、固液界面形状が反転せずに、融液側に凸の状態で結
晶が育成される。融液側に凸の状態で育成された結晶で
は、室温まで冷却することによって、残留歪によって結
晶表面に引っ張りの応力が発生する。また、直胴部にな
ってから固液界面が反転すると、反転時に起こるメルト
バックする領域が増大し、そこに発生する格子欠陥等に
より歪が導入される。これらが残留歪となり、熱膨張に
異方性がある、へき開性がある等の特徴を有する脆弱な
結晶では、育成の冷却中や冷却終了後に、結晶肩部付近
に割れが発生する問題がある。本発明は、割れ発生の少
ない単結晶の育成方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、るつぼ内
の原料を加熱して融液とし、その融液に種結晶の下端を
接触させ、種結晶を引き上げながら単結晶を育成する単
結晶の育成において、種結晶から目標径まで結晶径を広
げていく過程である肩部形成の育成条件について検討し
た。その結果、肩部形成時の回転速度を、肩部育成中に
固液界面形状が融液側に凸の状態から、フラットあるい
は結晶側に凸の状態に反転する条件に設定して結晶育成
を行うことによって、上記目的を達成できることを見い
だすことによって、本発明はなされたものである。本発
明は、特にセリウム付活珪酸ガドリニウム単結晶等の酸
化物単結晶の育成に有効である。
【0005】
【作用】るつぼ内の原料を加熱して融液とし、その融液
に種結晶の下端を接触させ、種結晶を引き上げながら単
結晶を育成する単結晶の育成において、肩部形成中に固
液界面形状を反転させることによって、割れが防止でき
る原因は次のように考えられる。
【0006】単結晶引き上げ時の固液界面形状が融液側
に凸になる結晶においては、回転速度と結晶径、すなわ
ち、周速度によってその固液界面形状が変化する。るつ
ぼ内の融液表面には、るつぼを加熱していることによ
り、外側(るつぼ壁)から中心付近へ流れる自然対流が
あるが、結晶の回転によって固液界面から外側方向へ流
れる強制対流が大きくなる。結晶径が大きくなるにつれ
てこの強制対流が大きくなり、ある位置で強制対流の方
が自然対流よりも優勢になり、固液界面形状が急激にフ
ラットになる反転が起こる。この際、固液界面の融液側
に凸に結晶化した部分が、再び融けるメルトバックとい
う現象が起きる。この固液界面の反転は、結晶の回転速
度が大きいほど、また融液の径方向の温度勾配が小さい
ほど、より小さい径で発生する。
【0007】従来方法の育成条件では、肩部で固液界面
形状が反転せずに、融液側に凸の状態で結晶が育成され
る。融液側に凸の状態で育成された結晶では、室温まで
冷却することによって、残留歪によって結晶表面に引っ
張りの応力が発生する。また、直胴部になってから固液
界面が反転すると、反転前に育成された結晶部分で残留
歪が発生するだけでなく、反転時に起こるメルトバック
する領域が増大し、そこに発生する格子欠陥等により歪
が導入される。これが残留歪となり、熱膨張に異方性が
ある、へき開性がある等の特徴を有する脆弱な結晶で
は、育成の冷却中や冷却終了後に、結晶肩部付近に割れ
が発生する問題がある。
【0008】そこで、本発明の方法により、肩部形成時
の回転速度を大きくし、融液の温度勾配も小さくするこ
とによって、できるだけ小さい結晶径で固液界面を反転
させることにができる。それによって、固液界面が融液
側に凸の状態で育成された領域が小さくなり、かつ反転
時にメルトバックする領域も小さくなることによって、
残留歪が低減され、割れを防止することができる。固液
界面の反転後は、直胴部に入るまで、結晶径を大きくし
ていくのに伴って回転速度を下げていき、固液界面形状
の変化(徐々に結晶側に凸になっていく変化)を防止す
る。
【0009】本発明は、特にセリウム付活珪酸ガドリニ
ウム単結晶等の酸化物単結晶の育成に有効である。
【0010】
【実施例】
実施例1 セリウム付活珪酸ガドリニウム単結晶を育成した例を説
明する。高周波誘導加熱によりるつぼを加熱し原料を融
液とし、種結晶の下端を接触させ、1〜5mm/時間で
引き上げながら成長させた。種結晶は、種付け前から4
0rpmで回転させ、融液の温度を調整することによ
り、30〜50mm引き上げる間に結晶径をφ50mm
まで広げて、肩部を形成した。その間、結晶径が約φ4
0mmの時に固液界面の反転が起こり、形状が融液側に
凸の状態からフラットに変化した。その後、φ50mm
まで結晶径を広げる間に、回転速度を30rpmまで下
げた。その後、自動直径制御に入り、直胴部を約180
mm引き上げた後、結晶を切り離し、約50時間かけて
冷却を行った。
【0011】実施例2 セリウム付活珪酸ガドリニウム単結晶を育成した例を説
明する。高周波誘導加熱によりるつぼを加熱し原料を融
液とし、種結晶の下端を接触させ、1〜5mm/時間で
引き上げながら成長させた。種結晶は、種付け前から5
0rpmで回転させ、融液の温度を調整することによ
り、30〜50mm引き上げる間に結晶径をφ50mm
まで広げて、肩部を形成した。その間、結晶径が約φ2
5mmの時に固液界面の反転が起こり、形状が融液側に
凸の状態からフラットに変化した。その後、φ50mm
まで結晶径を広げる間に、回転速度を30rpmまで下
げた。その後、自動直径制御に入り、直胴部を約180
mm引き上げた後、結晶を切り離し、約50時間かけて
冷却を行った。
【0012】比較例1 セリウム付活珪酸ガドリニウム単結晶(Ce:Gd2S
iO5)を育成した例を説明する。原料として、Gd2O
3 約3260g、SiO2 約540g、CeO2約10
gをφ100mmのIrるつぼ中に採り、φ50×18
0mmの結晶をチョクラルスキ−法で育成した。高周波
誘導加熱によりるつぼを加熱し原料を融液とし、種結晶
の下端を接触させ、1〜5mm/時間で引き上げながら
成長させた。種結晶は、種付け前から20rpmで回転
させた。融液の温度を調整することにより、30〜50
mm引き上げる間に結晶径をφ50mmまで広げて、肩
部を形成した。その間、固液界面形状の反転は起こらな
かった。そして、回転速度は20rpmのままで自動直
径制御に入り、約180mm平行部を引き上げた後、結
晶を切り離し、約50時間かけて冷却を行った。直胴部
の育成中にも固液界面の反転は起こらず、育成結晶のテ
−ル形状は融液側(下)に凸の状態であった。
【0013】比較例2 セリウム付活珪酸ガドリニウム単結晶を育成した例を説
明する。高周波誘導加熱によりるつぼを加熱し原料を融
液とし、種結晶の下端を接触させ、1〜5mm/時間で
引き上げながら成長させた。種結晶は、種付け前から3
0rpmで回転させた。融液の温度を調整することによ
り、30〜50mm引き上げる間に結晶径をφ50mm
まで広げて、肩部を形成した。その間、固液界面形状の
反転は起こらなかった。そして、回転速度は30rpm
のままで自動直径制御に入り、約180mm平行部を引
き上げた後、結晶を切り離し、約50時間かけて冷却を
行った。自動直径制御に入った直後に(直胴部の最上部
で)固液界面の反転が起こったために、育成結晶のテ−
ル形状はフラットであり、反転が起こったと思われる位
置には、多数のボイドが見られた。
【0014】実施例1、2、比較例1、2での割れの発
生の割合を次ぎに示す。 GSOの割れの発生率 比較例1 比較例2 実施例1 実施例2 ──────────────────────────────────── 肩部回転速度(rpm) 20 30 40→30 50→30 直胴部回転速度(rpm) 20 30 30 30 固液界面の反転位置(直径mm) なし 50 40 25 割れ発生率(本/本中) 3/3 5/6 1/4 0/5
【0015】以上のように、従来法において肩部で固液
界面形状が反転しなかった結晶では、ほぼ100%割れ
が発生した。しかし、本方法において、肩部の回転速度
を大きくして肩部育成中に固液界面形状を反転させた結
晶では、割れがほとんど発生しなくなった。そして、固
液界面の反転位置をより小さい結晶径にすることによっ
て、完全に割れを防止できる傾向が得られた。
【0016】
【発明の効果】本発明の育成方法により、特に、熱膨張
に異方性がある、へき開性がある等の特徴を有する脆弱
な結晶について、残留歪等による冷却中及び冷却終了後
の肩部付近での割れ発生を防止することができる。ま
た、割れが発生しにくい結晶においても、本発明により
内部残留歪が低減できることは、結晶の品質向上に有効
である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】るつぼ内の原料を加熱して融液とし、その
    融液に種結晶の下端を接触させ、種結晶を引き上げなが
    ら単結晶を育成する単結晶の育成方法において、種結晶
    から目標径まで結晶径を広げていく過程である肩部育成
    中に、結晶の固液界面形状を融液側に凸の状態から、フ
    ラットな状態または結晶側に凸の状態に反転させること
    を特徴とする単結晶の育成方法。
  2. 【請求項2】種結晶から目標径まで結晶径を広げていく
    過程である肩部育成時において、固液界面の反転後に種
    結晶の回転速度を小さくしていく請求項1記載の単結晶
    の育成方法。
JP23692094A 1994-03-30 1994-09-30 単結晶の育成方法 Expired - Lifetime JP4201215B2 (ja)

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23692094A JP4201215B2 (ja) 1994-09-30 1994-09-30 単結晶の育成方法
US08/413,288 US5690731A (en) 1994-03-30 1995-03-30 Method of growing single crystal

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008207993A (ja) * 2007-02-26 2008-09-11 Hitachi Chem Co Ltd サファイア単結晶の製造方法
JP2008207992A (ja) * 2007-02-26 2008-09-11 Hitachi Chem Co Ltd サファイア単結晶の製造方法
JP2012224516A (ja) * 2011-04-20 2012-11-15 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 酸化物単結晶の製造方法

Cited By (3)

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JP2008207993A (ja) * 2007-02-26 2008-09-11 Hitachi Chem Co Ltd サファイア単結晶の製造方法
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