JPH08100126A - アスファルト組成物 - Google Patents

アスファルト組成物

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JPH08100126A
JPH08100126A JP25726894A JP25726894A JPH08100126A JP H08100126 A JPH08100126 A JP H08100126A JP 25726894 A JP25726894 A JP 25726894A JP 25726894 A JP25726894 A JP 25726894A JP H08100126 A JPH08100126 A JP H08100126A
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asphalt
copolymer
aromatic vinyl
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邦彦 滝口
Tomonobu Shimizu
智信 清水
Nobuaki Inoguchi
信明 猪口
Hiromitsu Imachi
弘光 井町
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 低温伸度、タフネス、テナシティが充分高
く、かつそのバランスに優れ、さらには溶解時間も短い
ため、加工・取り扱いに優れた、道路舗装用、防水シー
トなどに好適なアスファルト組成物。 【構成】 (A)アルカリ金属の有機スルホン酸塩の存
在下で、有機リチウム化合物を重合開始剤として共重合
させて得られる、一般式(I);A1 −B−A2 で表さ
れるブロック共重合体および一般式(II) ;(A1 −B
−A2 2 Xで表されるブロック共重合体〔一般式
(I)〜(II) 中、A1 、A2 は重量平均分子量5,0
00〜20,000の芳香族ビニル化合物を主体とする
重合体ブロック、Bは共役ジエンと芳香族ビニル化合物
との共重合体ブロック、Xはカップリング剤残基(B)
ストレートアスファルトとを、(A)成分/(B)成分
(重量比)=2〜15/98〜85の割合で含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ストレートアスファル
トに特定構造の芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブ
ロック共重合体を配合してなる、低温伸度、タフネス、
テナシティのバランスに優れ、かつ溶解時間が短く、加
工・取り扱いに優れたアスファルト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ストレートアスファルトは、
安価で入手が容易であり、道路舗装用、防水シート、防
音シート、制振材などの用途に広く用いられている。し
かしながら、ストレートアスファルトは、タフネス、テ
ナシティ、軟化点、伸度などに劣るため、これらの特性
を改良する目的で種々の共重合体組成物を添加した改良
アスファルトの検討が多く試みられている。これらの種
々の共重合体組成物の具体例としては、従来よりスチレ
ン−ブタジエンランダム共重合体ラテックス(SBRラ
テックス)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体などが使用
されている。しかしながら、これらの共重合体の添加
で、タフネス、テナシティおよび低温伸度はある程度改
良されるものの不充分であり、さらなる改良が求められ
ている。
【0003】さらに、近年、芳香族ビニル化合物と共役
ジエンとのブロック共重合体(SBブロック共重合体)
を添加して、アスファルトを改質することが試みられて
いる。例えば、アスファルトの諸物性を改良する目的と
して、ミクロ構造制御剤として種々のエーテル化合物あ
るいは第3級アミン化合物を用い、有機リチウム化合物
を重合開始剤とした、特定の構造を有するブロック共重
合体を添加したアスファルト組成物が種々提案されてい
る。すなわち、特公昭47−17319号公報、特公昭
59−36949号公報には、A−B−A型線状ブロッ
ク共重合体、(A−B)nX型ラジアルブロック共重合
体の単独使用あるいは併用によるアスファルト改質が開
示されている。しかしながら、これらの開示例では、伸
度とタフネス、テナシティとのバランスが取れていると
は言い難い。
【0004】この状況に対し、近年、特開平1−254
768号公報、特公平5−420号公報に開示されるよ
うに、芳香族ビニル化合物の含量をある一定範囲内に限
定したブロック共重合体が、伸度、タフネス、テナシテ
ィなどの特性バランスに優れたアスファルト組成物が得
られるとの報告がなされている。しかしながら、これら
の開示例においても、いまだ低温下での耐久性、すなわ
ち低温伸度、タフネス、テナシティなどの特性バランス
が充分とはいえず、種々の環境条件下で容易に使用可能
なアスファルト組成物の開発が望まれている。
【0005】現在のところ、一般にはブロック共重合体
の高分子量化やアスファルトへの添加量増加によって、
タフネス、テナシティを高め、低温伸度とのバランスを
確保する方法が用いられている。しかしながら、この方
法では、ブロック共重合体のアスファルトへの溶解時間
が著しく長くなり、さらには得られるアスファルトの溶
融粘度が著しく高くなって加工性が損なわれるという問
題が生じる。従って、上述のようなSBブロック共重合
体を使用してアスファルトを改質しようとする試みも、
いまだに満足できる結果は得られておらず、アスファル
トのタフネス、テナシティ、および低温伸度のバランス
のよい改質用共重合体はこれまで見出されていないのが
現状であり、さらなる改善が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、タフネス、テナシテ
ィ特性と低温伸度とがバランスし、かつアスファルトへ
の溶解性の良い、道路舗装用や防水シートなどに使用可
能なアスファルト組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)(イ)
アルカリ金属の有機スルホン酸塩の存在下で、(ロ)有
機リチウム化合物を重合開始剤として共重合させて得ら
れる、(ハ)一般式(I);A1 −B−A2 で表される
ブロック共重合体および(ニ)一般式(II) ;(A1
B−A2 2 Xで表されるブロック共重合体〔一般式
(I)〜(II) 中、A1 、A2 は重量平均分子量5,0
00〜20,000の芳香族ビニル化合物を主体とする
重合体ブロック、Bは共役ジエンと芳香族ビニル化合物
との共重合体ブロックであって、Bブロック中の共役ジ
エン/芳香族ビニル化合物の重量比が90/10〜70
/30である共重合体ブロック、A1 −B−A2 は重量
平均分子量が100,000〜300,000の共重合
体ブロック、Xはカップリング剤残基を示し、かつ全結
合芳香族ビニル化合物含量が10〜30重量%である〕
を、(ハ)成分/(ニ)成分の重量比が20〜100/
80〜0で含有されてなるブロック共重合体成分と、 (B)ストレートアスファルトとを、(A)成分/
(B)成分(重量比)=2〜15/98〜85の割合で
含むことを特徴とするアスファルト組成物を提供するも
のである。
【0008】本発明に使用される(A)ブロック共重合
体成分は、(イ)アルカリ金属の有機スルホン酸塩の存
在下で、(ロ)有機リチウム化合物を重合開始剤として
共重合させて得られる、芳香族ビニル化合物を主体とす
る重合体ブロックA1 、A2と、共役ジエンおよび芳香
族ビニル化合物との共重合体ブロックBとが、(ハ)A
1 −B−A2 、および必要に応じて(ニ)(A1 −B−
2 2 Xのように配列されたブロック共重合体からな
る。
【0009】ここで、(イ)アルカリ金属の有機スルホ
ン酸塩は、共重合体ブロックBのミクロ構造、すなわち
共役ジエン部分のビニル結合含量の調節、共役ジエ
ンとその他のモノマー成分との共重合性を調節する役割
を有し、これによりタフネス、テナシティおよび低温伸
度をバランスよく発現させる共重合体成分の提供が可能
となる。
【0010】この(イ)成分には、有機スルホン酸中の
炭素数が6〜30までの1価あるいは多価の有機スルホ
ン酸のアルカリ金属塩を用いることができ、好ましくは
炭素数7〜25の範囲内の1価あるいは多価の有機スル
ホン酸のアルカリ金属塩である。有機スルホン酸中の炭
素数が6未満あるいは30を超える場合、得られる共重
合体のモノマー成分への溶解性が低く、上述の重合制御
機能を発現しない。(イ)成分を構成するアルカリ金属
は、Na、Kに代表されるアルカリ金属、およびBe、
Mg、Caに代表されるアルカリ土類金属が挙げられる
が、好ましくはNa、K、Rb、Cs、Mg、Ca、S
r、Ba、さらに好ましくはNa、K、Rb、Mg、C
a、Sr、特に好ましくはKである。
【0011】この(イ)成分の具体例としては、ヘキサ
ンスルホン酸カリウム、オクタンスルホン酸カリウムな
どのアルキルスルホン酸塩、フェニルスルホン酸カリウ
ム、フェニルスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスル
ホン酸カリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、
2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸カリウム、オクチ
ルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスル
ホン酸カリウム、セチルベンゼンスルホン酸カリウムな
どのアルキルベンゼンスルホン酸塩、4−(4′−アミ
ノフェニル)ベンゼンスルホン酸カリウム、N,N−ジ
メチルアミノ−ベンゼンスルホン酸カリウムなどのアミ
ノアルキルスルホン酸塩が挙げられ、好ましくはオクタ
ンスルホン酸カリウムなどのアルキルスルホン酸塩、p
−トルエンスルホン酸カリウム、p−トルエンスルホン
酸ナトリウム、オクチルベンゼンスルホン酸カリウム、
ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、セチルベンゼン
スルホン酸カリウムなどが挙げられる。
【0012】(イ)成分の使用量は、モノマー100重
量部あたり0.005〜0.1重量部、好ましくは0.
01〜0.08重量部の割合で使用される。なお、共重
合体のミクロ構造制御剤として、種々のエーテル化合物
あるいは第3級アミン化合物などの1種あるいは2種以
上を、(イ)成分と併用して使用することができる。こ
のエーテル化合物の具体例としては、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル、エチレン
グリコールジブチルエーテルなどが挙げられ、第3級ア
ミン化合物の具体例としては、テトラメチルエチルジア
ミン、ピリジン、トリブチルアミンなどが挙げられる。
【0013】次に、(ロ)有機リチウム化合物は、
(ハ)〜(ニ)成分のブロック共重合体の重合開始剤で
あり、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合
物、有機ポリリチウム化合物が用いられる。この(ロ)
有機リチウム化合物の具体例としては、エチルリチウ
ム、n−プロピルリチウム、i−プロピルリチウム、n
−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチ
ルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニル
リチウム、イソプレニルリチウムなどが挙げられる。
(ロ)有機リチウム化合物の使用量は、モノマー100
重量部あたり、0.04〜0.12重量部、好ましくは
0.05〜0.11重量部の割合で用いられる。
【0014】次に、(ハ)〜(ニ)成分であるブロック
共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブ
ロックA1 、A2 と共役ジエンおよび芳香族ビニル化合
物との共重合体ブロックBとが、(ハ)A1 −B−
2 、(ニ)(A1 −B−A2 2 Xのように配列され
たブロック共重合体である。
【0015】ここで、(ハ)〜(ニ)成分を得るために
用いられる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、t
−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレ
ン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、
N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニル
ピリジンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メチルス
チレンが好ましい。
【0016】また、(ハ)〜(ニ)成分を得るために用
いられる共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イ
ソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、
1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジ
エン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,
3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエ
ン、クロロプレンなどが挙げられるが、好ましくは1,
3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンで
あり、特に好ましくは1,3−ブタジエンである。
【0017】重合体ブロックA1 、A2 は、芳香族ビニ
ル化合物を主体とする重合体ブロックであり、50重量
%未満の共役ジエンを共重合したものであってもよい。
また、重合体ブロックA1 、A2 は、均等でもあるい不
均等でも構わない。重合体ブロックA1 、A2 の重量平
均分子量は、5,000〜20,000、好ましくは
7,000〜18,000である。重量平均分子量が、
5,000未満ではアスファルトへの溶解時間が短く、
加工・取り扱いが容易であるが、タフネス、テナシテ
ィ、低温伸度が著しく低下し、一方20,000を超え
ると、タフネス、テナシティ、低温伸度は充分大きくな
るが、アスファルトへの溶解時間が著しく長くなり、実
用性に問題が生じる。
【0018】また、共重合体ブロックBは、共役ジエン
と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックであって、
共役ジエン/芳香族ビニル化合物重量比が90/10〜
70/30、好ましくは88/12〜75/25である
共重合体ブロックであり、共重合体ブロックB中に存在
する芳香族ビニル化合物は、(イ)成分によってその分
布が制御される。
【0019】さらに、(ハ)〜(ニ)成分中のブロック
1 −B−A2 の重量平均分子量は、100,000〜
300,000、好ましくは150,000〜250,
000である。重量平均分子量が、100,000未満
では、得られるアスファルト組成物のタフネス、テナシ
ティ、低温伸度のバランスが不充分であり、また流動性
の低下も大きくなる。一方、300,000を超える
と、タフネス、テナシティ、低温伸度は充分大きくなる
が、アスファルトへの溶解時間が著しく長くなり、しか
もアスファルト組成物の溶融粘度も著しく上昇し、加工
・取り扱いが困難となる。
【0020】さらに、(ハ)〜(ニ)成分中の芳香族ビ
ニル化合物の合計結合含量は、10〜30重量%、好ま
しくは12〜28重量%である。この合計結合含量が、
10重量%未満ではタフネス、テナシティ、低温伸度の
バランスが低下し、一方30重量%を超えると、アスフ
ァルト組成物の針入度が小さく硬くなり、低温伸度が著
しく低下する。
【0021】本発明に使用される(ハ)〜(ニ)成分
は、例えば不活性炭化水素溶媒中において、(イ)〜
(ロ)成分の存在下で、重合反応温度20〜120℃、
好ましくは30〜100℃の範囲内において、まず芳香
族ビニル化合物を重合させ(重合体ブロックA1 )、次
いで共役ジエンを重合させ(共重合体ブロックB)、再
度、芳香族ビニル化合物を重合させた(重合体ブロック
2 )のち、2官能性カップリング剤を反応させること
によって製造することができる。
【0022】上記不活性炭化水素溶媒としては、n−ペ
ンタン、n−ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルシ
クロペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、シクロ
ヘキサン、ベンゼン、キシレンなどの炭化水素溶媒の1
種または2種以上の併用が可能であるが、好ましくはn
−ヘキサン、イソペンタン、シクロヘキサンである。
【0023】このようにして得られるブロック共重合体
リビングアニオンに、さらに2官能性カップリング剤を
添加することによって、重合体分子量鎖が延長された
(ニ)ブロック共重合体が得られる。(ハ)〜(ニ)成
分は、(ハ)ブロック共重合体の製造時に、当量未満の
2官能性カップリング剤を添加して、(ハ)〜(ニ)成
分が同時に存在する組成物として得ることもできるし、
(ハ)成分あるいは(ニ)成分を別途作製し、混合して
もよい。
【0024】この際の2官能性カップリング剤として
は、例えばジブロモメタン、ジブロモエタン、ジブロモ
プロパン、メチレンクロライド、ジクロロエタン、ジク
ロロプロパン、ジクロロブタンなどのジハロゲン化アル
カン;ジクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジ
メチルジクロロシラン、モノエチルジクロロシラン、ジ
エチルジクロロシラン、モノブチルジクロロシラン、ジ
ブチルジクロロシラン、モノヘキシルジクロロシラン、
ジヘキシルジクロロシラン、ジブロモシラン、モノメチ
ルジブロモシラン、ジメチルジブロモシランなどのハロ
ゲン化ケイ素化合物;ジクロロスズ、モノメチルジクロ
ロスズ、ジメチルジクロロスズ、モノエチルジクロロス
ズ、ジエチルジクロロスズ、モノブチルジクロロスズ、
ジブチルジブロモスズ、モノヘキシルジクロロスズなど
のハロゲン化スズ化合物;そのほか酢酸エチル、1,4
−クロルメチルベンゼン、トリレンジイソシアネートな
どが挙げられる。 (ニ)ブロック共重合体製造時の2官能性カップリング
剤の使用量は、(ロ)有機リチウム化合物に対して、約
0.1〜0.4モル比で用いられる。
【0025】なお、(ハ)〜(ニ)成分中の芳香族ビニ
ル化合物の結合含量は、各段階における重合時のモノマ
ーの供給量で調節され、必要に応じて調整される共役ジ
エンのビニル結合含量は、上記のミクロ構造制御剤の成
分を変量することにより調節される。また、(ハ)〜
(ニ)成分の重量平均分子量は、(ロ)成分の添加量で
調節される。さらに、本発明においては、共役ジエンと
芳香族ビニル化合物とのブロック共重合体〔(ハ)〜
(ニ)成分〕の共役ジエン部分の二重結合を、水素添加
により飽和してもよい。
【0026】本発明の(A)ブロック共重合体成分中の
(ハ)〜(ニ)成分の重量比(ハ)/(ニ)は、20〜
100/80〜0、好ましくは40〜100/60〜0
である。(ハ)成分の重量比が、20未満ではアスファ
ルトへの溶解時間が長くなり、しかもアスファルト組成
物の溶融粘度が著しく上昇し、加工・取り扱いが困難と
なる。
【0027】次に、本発明に用いられる(B)ストレー
トアスファルトは、アスファルト基原油を常圧蒸留およ
び水蒸気または真空蒸留にかけたのち、残留物として得
られるものである。ストレートアスファルトは、本発明
の(A)ブロック共重合体成分を溶解させ易いため、加
工・取り扱いが容易である。なお、ブローンアスファル
ト(半アスファルト基原油を上記と同様にして得られた
残留物に熱い状態で空気を吹き込み、酸化重合させて得
られるアスファルト)では、本発明のブロック共重合体
(ハ)〜(ニ)を溶解させ難いので好ましくない。 (B)ストレートアスファルトは、針入度40〜200
のものが好ましい。針入度が40未満では、アスファル
トへの(A)ブロック共重合体成分の溶解時間が長くな
り、また伸度も小さくなる傾向にあり、一方200を超
えると、タフネス、テナシティが低下する傾向にある。
【0028】また、本発明のアスファルト組成物の
(A)成分〔(ハ)〜(ニ)成分〕と(B)成分の重量
比、(A)/(B)は、2〜15/98〜85、好まし
くは3〜13/97〜87である。(A)成分の重量比
が、2未満ではアスファルトの改質効果が見られず、タ
フネス、テナシティ、低温伸度が不充分であり、一方1
5を超えるとタフネス、テナシティ、低温伸度は充分で
あるが、アスファルトへの溶解時間が著しく長くなり、
しかもアスファルト組成物の溶融粘度が著しく上昇し、
加工・取り扱いが困難となる。
【0029】本発明の(A)成分は、通常、ベール、再
乳化ラテックス、他の重合体とのブレンドからなるペレ
ット、または粉体などの形状で使用することができる。
また、本発明のアスファルト組成物は、通常、140〜
190℃に溶融された攪拌下の(B)ストレートアスフ
ァルトに、上記(A)成分〔(ハ)〜(ニ)成分〕を投
入し混合することにより製造される。
【0030】なお、本発明のアスファルト組成物には、
必要に応じてシリカ、タルク、炭酸カルシウムなどの充
填剤、顔料、老化防止剤、架橋剤、難燃剤などの添加剤
を配合することができる。また、道路舗装用として使用
する場合には、砂利などを添加することも可能である。
さらに、本発明のアスファルト組成物には、他の熱可塑
性エラストマーや熱可塑性樹脂、例えばスチレン−ブタ
ジエンゴムラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アタクチッ
クポリプロピレン、1,2−ポリブタジエン、あるいは
エチレン−プロピレンゴムなどの他の重合体を併用する
ことが可能である。この場合、あらかじめ本発明の
(A)成分〔(ハ)〜(ニ)成分〕と上記他の重合体や
熱可塑性樹脂とを、任意の割合で混練りしたのち、ペレ
ット化して使用することもできる。
【0031】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定される
ものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断
らない限り重量基準である。また、実施例中に各種評価
は、次のようにして求めたものである。
【0032】ブロック共重合体の特性 重量平均分子量(Mw) GPC装置〔東ソー(株)製、HLC−8020型を使
用し、カラムはデュポン社製のZORBAX 1000
Sを3本と同300Sを1本使用〕で測定し、標準ポリ
スチレンで換算した重量平均分子量である。 結合スチレン含量 赤外分光分析装置(パーキンエルマー1600型)を用
い、690cm-1の吸収強度より求めた。
【0033】アスファルト組成物の特性 溶解時間 溶解時間は、アスファルト組成物の調製の際、混合中に
内容物を少量採取し、ポリエステル(テトロン)シート
上に塗布して観察し、ブロック共重合体の固形粒が認め
られなくなるまでの時間とした。 タフネス、テナシティ 「舗装試験法便覧」(昭和63年11月、社団法人日本
道路協会刊行)3−5−17 タフネス・テナシティ試
験方法の準じた。 針入度、伸度、軟化点 JIS K2207に準拠して測定した。 溶融粘度 B型粘度計により、140℃で測定した。
【0034】実施例1ブロック共重合体;(A)成分の調製 ジャケットと攪拌機の付いた内容積100リットルのス
テンレス製重合容器を充分にチッ素ガスで置換したの
ち、シクロヘキサン50kg、スチレン0.8kgを仕
込み、ジャケットに温水を通して内容物を60℃とし
た。次いで、(イ)成分としてドデシルベンゼンスルホ
ン酸カリウムの25%シクロヘキサン溶液8.0g、お
よび(ロ)成分としてsec−ブチルリチウムの10%
シクロヘキサン溶液100gを添加して重合を開始し
た。スチレンの重合完了後、内容物温度が80℃となる
ようにジャケットに温水を通しながら、1,3−ブタジ
エン2.4kg、スチレン0.4kgをゆっくりと添加
した。1,3−ブタジエンおよびスチレンの重合が完了
したのち、先と同様の方法で1,3−ブタジエン2.4
kg、スチレン0.4kgを2回、合計1,3−ブタジ
エン4.8kg、スチレン0.8kgを重合した。1,
3−ブタジエンおよびスチレンの重合完了後、さらにス
チレン0.8kgを添加して重合を継続し、ほぼ完全に
重合させたのち、カップリング剤としてジメチルジクロ
ロシランの15%シクロヘキサン溶液60gを添加し、
30分間反応させた。
【0035】反応後、メタノール10mlを添加して、
10分間攪拌したのち、内容物を重合容器から取り出
し、酸化防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−4−メ
チルフェノール(BHT)を50g添加した。この重合
溶液を、スチームストリッピングし、得られた含水ポリ
マーをクラッシャーにてクラム状に粉砕してから、80
℃で熱風乾燥して、表1に示すスチレン−ブタジエンブ
ロック共重合体(1)を得た。
【0036】アスファルト組成物;(A)/(B)成分
の調製 (B)成分として針入度70のストレートアスファルト
〔共同石油(株)製、60/80〕を380gと、
(A)成分として上記ブロック共重合体(1)20gと
を、180℃で加熱しながら攪拌機〔特殊機化工業
(株)製、TKホモミキサー、10,000rpm〕で
混合し、アスファルト組成物を調製した。表4に、各特
性の評価結果を示す。
【0037】実施例2〜6、比較例1〜11 (イ)成分、(ロ)成分の種類、およびスチレン、1,
3−ブタジエン、ジメチルジクロロシランの仕込み量を
変更する以外は、ブロック共重合体(1)と同様にし
て、表1〜3に示すブロック共重合体(2)〜(15)
を得た。また、(A)成分の種類、(A)/(B)重量
比を表4〜6に示すように変更し、実施例1と同様にし
てアスファルト組成物を調製し、その性能を評価した。
結果を表4〜6に示す。
【0038】表4〜6から、本発明で規定するアスファ
ルト組成物(実施例1〜6)は、アスファルトへの溶解
時間が短く、しかも良好なタフネス、テナシティ、低温
伸度を示し、かつそのバランスも良好であることが分か
る。これに対し、比較例1〜9は、(A)成分の調製条
件が本発明の範囲下限未満あるいは上限を超える場合で
あり、溶解時間は短いが、タフネス、テナシティ、低温
伸度のバランスが不充分となり、あるいはタフネス、テ
ナシティ、低温伸度のバランスが充分でも溶解時間が長
くなり、加工・取り扱いに困難を生じる。また、比較例
10〜11では、本発明の適性範囲内で調製したブロッ
ク共重合体(1)を用い、(B)成分との混合比の範囲
下限未満あるいは上限を超える条件で調製した場合であ
る。この場合も、上記比較例1〜9の結果と同様に、溶
融粘度、タフネス、テナシティ、低温伸度のバランスが
不充分となる。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
【発明の効果】本発明のアスファルト組成物は、低温伸
度、タフネス、テナシティが充分高く、かつそのバラン
スに優れ、さらには溶解時間も短いため、加工・取り扱
いに優れた特徴を有しているから、道路舗装用、特に寒
冷地道路での使用あるいは防水シートなどに好適な組成
物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猪口 信明 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田34番地 ジ ェイエスアール シェル エラストマー株 式会社内 (72)発明者 井町 弘光 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田34番地 ジ ェイエスアール シェル エラストマー株 式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(イ)アルカリ金属の有機スルホ
    ン酸塩の存在下で、(ロ)有機リチウム化合物を重合開
    始剤として共重合させて得られる、(ハ)一般式
    (I);A1 −B−A2 で表されるブロック共重合体お
    よび(ニ)一般式(II) ;(A1 −B−A2 2 Xで表
    されるブロック共重合体〔一般式(I)〜(II) 中、A
    1 、A2 は重量平均分子量5,000〜20,000の
    芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック、Bは
    共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体ブロック
    であって、Bブロック中の共役ジエン/芳香族ビニル化
    合物の重量比が90/10〜70/30である共重合体
    ブロック、A1 −B−A2 は重量平均分子量が100,
    000〜300,000の共重合体ブロック、Xはカッ
    プリング剤残基を示し、かつ全結合芳香族ビニル化合物
    含量が10〜30重量%である〕を、(ハ)成分/
    (ニ)成分の重量比が20〜100/80〜0で含有さ
    れてなるブロック共重合体成分と、 (B)ストレートアスファルトとを、(A)成分/
    (B)成分(重量比)=2〜15/98〜85の割合で
    含むことを特徴とするアスファルト組成物。
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