JPH08100033A - コア/シェル粒子構造を有するテトラフルオロエチレン−エチレン系コポリマー - Google Patents

コア/シェル粒子構造を有するテトラフルオロエチレン−エチレン系コポリマー

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JPH08100033A
JPH08100033A JP7175198A JP17519895A JPH08100033A JP H08100033 A JPH08100033 A JP H08100033A JP 7175198 A JP7175198 A JP 7175198A JP 17519895 A JP17519895 A JP 17519895A JP H08100033 A JPH08100033 A JP H08100033A
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copolymer
particle
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JP7175198A
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Hans P Muehlbauer
ハンス−ペーター・ミユールバウエル
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Hoechst AG
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コア/シェル粒子構造を有するテトラフルオ
ロエチレン−エチレン系コポリマーの提供 【解決手段】 粒子コア部と少なくとも1つの粒子シェ
ル部とより成るコロイド状粒子水性分散物は、テトラフ
ルオロエチレン、エチレンおよび場合によっては他のフ
ルオロオレフィン−コモノマーを共重合することで種子
分散物を製造し、次いで粒子シェル部のためのモノマー
を供給することによって重合を継続することで製造さ
れ、その際に粒子シェル部は粒子コア部のポリマーより
も少なくとも20℃低い融点のポリマーでありそして粒
子シェル部の体積が全体積の1〜26容量% である。こ
の分散物は凝集または噴霧乾燥によって、多孔質構造物
を製造するのに適している粉末となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テトラフルオロエ
チレン(TFE)、エチレン(E)および場合によって
はさらに他のフルオロオレフィン−コモノマーより成る
溶融加工可能なコポリマーおよびまた他の溶融加工性ポ
リマーを含有するコロイド状粒子を含むフルオロポリマ
ー水性分散物、それから得られるコポリマー粉末、該分
散物の製造方法およびそのコポリマーの用途に関する。
【0002】
【従来の技術】TFEのホモポリマーおよびコポリマー
は高い耐薬品性、耐熱性および良好な誘電特性を示す。
かゝるTFE−ホモポリマーおよびコポリマーは非常に
色々な方法で多孔質成形体、特に多孔質膜に既に加工さ
れてきた。
【0003】例えばポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)──即ちTFEのホモポリマー──に一時的な細
孔形成剤を混入し、該剤を成形後に再び溶け出させるか
またはPTFE成形体の続く焼結加工の間に分解してガ
ス状生成物とし、この様にして多孔質構造を形成させる
ことは公知である。英国特許第2,168,981号明
細書にはTFEとEのコポリマーを微細な粉末状無機物
質、例えば珪酸カルシウムまたは炭酸カルシウム、クロ
ロトリフルオロエチレン−オリゴマーおよび場合によっ
ては他の耐熱性有機物質、例えばシリコーン油と混合す
ることが開示されている。溶融物からの成形後に、クロ
ロトリフルオロエチレン−オリゴマーが最初の抽出段階
で初めに除去され、次いで粉末状無機物質が第二抽出段
階で除かれる。
【0004】細孔形成剤の導入および除去の煩雑なプロ
セスは別として、この方法には細孔形成剤を残留物させ
ずに除くことが非常に困難であるという欠点がある。そ
れ故に多孔質成形体の汚染は避けられない。気体状生成
物に分解することのできる細孔形成剤の場合には、分解
残留物が残り得る。更に、PTFEより低い融点のTF
Eの溶融加工性コポリマーの場合には、非常に低い分解
温度の細孔形成剤を選択する必要がある。何故ならばそ
うしないと共重合体溶融物を強く加熱し過ぎた時に多孔
質構造を失う可能性があるからである。勿論、かゝる細
孔形成剤の選択が非常に制限されている。
【0005】コロイド状PTFE分散物から製造される
微細なPTFE粉末は、それを最初に滑剤の存在下に押
出成形し、滑剤の除去後に得られる押出物を大きい延伸
比および/または早い速度で延伸しそして得られる多孔
質製品を焼結してその構造を固定した場合に、多孔質の
フィブリル結節構造に転化できることが公知である。こ
の方法は極めて高い溶融粘度であることから溶融物から
の加工ができないTFEポリマー、即ちPTFE自体お
よび非常に僅かな量のコモノマー(<2重量%)しか含
有していないTFEコポリマーに限定される。溶融物か
ら加工できるコモノマー含有量の多いTFEコポリマー
は、その多孔質構造が固定処理の間の溶融によって多孔
質構造の少なくとも一部分が再び失われてしまうので、
かゝる方法では加工できない。
【0006】特開昭54−158465号公報には、原
子炉からの帯電粒子を最初にTFE/E−コポリマーの
フィルムに衝撃させ、それによって多孔質構造を得る方
法が開示されている。しかしながらこの構造は三次元的
網状構造に相当する線状の曲がった且つ捲回状の溝を形
成できず、専ら直線的な貫通孔しか形成できない。それ
故にバッテリー隔壁として使用する場合には十分な耐電
池短絡性(resistance to a cell
ahort−circuit)を示さない。
【0007】米国特許第2,400,091号明細書に
は、PTFEを焼結温度に加熱し、それを冷却後に微粉
砕し、得られる粉末を加圧下にプレス成形によって成形
して多孔質製品としてそしてこの製品を再び焼結するこ
とによって強化することによって多孔質製品を製造する
方法が開示されている。孔の大きさおよび構造を簡単に
制御することができるこの方法は、TFE/Eおよび場
合によっては1種類以上の追加的コモノマーより成るコ
ポリマーの多孔質構造を形成するのに非常に望ましいも
のである。何故ならばこれらのコポリマーはPTFEと
比較してある種の電解質に対する耐久性が増しており、
それ故に特にバッテリーのセパレーターとして非常に適
している。しかしながらこのものは、TFE/Eのタイ
プの市販のコポリマーの場合には、生じる多孔質構造を
熱の作用下での固定処理の間に再現性を持って維持でき
ないという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の課題
は、場合によっては加圧下に直接的に成形して多孔質成
形体を得ることができそしてその多孔質構造が続く熱的
固定処理の際に確実に保持されるTFE/Eタイプのコ
ポリマーを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この課題は、冒頭に記載
した種類の水性分散物の状態のフルオロポリマーを本発
明に従って提供することによって解決される。従って本
発明は、 a)32〜60モル% のテトラフルオロエチレンの単
位、40〜60モル% のエチレンの単位および0〜8モ
ル% の少なくとも1種類の共重合性フルオロオレフィン
−モノマーの単位を有する粒子コア部および b)粒子コア部のコポリマーよりも少なくとも20℃低
い融点を有する溶融加工性ポリマーの少なくとも1つの
粒子シェル部 より成り、かつ該粒子シェル部の体積が粒子の総体積の
1〜26容量% である、溶融加工性コポリマーのコロイ
ド状粒子水性分散物に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】粒子コア部a)を形成する様なT
FE/Eタイプのコポリマーは例えば、米国特許第2,
468,664号明細書、同第3,624,250号明
細書、同第3,859,262号明細書、同第3,96
0,825号明細書、同第4,020,253号明細
書、同第4,123,602号明細書および同第4,3
81,387号明細書から公知である。有利なコポリマ
ーは2つの主な成分のTFEとEとを40:60〜6
0:40モル% の割合で含有している。更に、コポリマ
ーのある種の性質を改善し得る少なくとも1種類の他の
フルオロオレフィン−コモノマーが少量の割合で存在し
ていてもよい。かゝるコモノマーは例えば炭素原子数3
〜8のパーフルオロオレフィン、好ましくは式 Rfl−〔O−CF(CF3 )−CF2 n −CF2
O−CF=CF2 〔式中、Rflは炭素原子数1〜5のパーフルオロアル
キル残基であり、nは0〜3である。〕で表されるパフ
ルオロ(アルキルビニルエーテル)または式 CH2 =CH−Rf2 またはCH2 =C(Rf3)R
f4 〔式中、Rf2およびRf3は炭素原子数1〜8のパー
フルオロアルキル残基であり、Rf4はFまたはCF3
である。〕で表されるフルオロオレフィンである。
【0011】これらの群のうちの特別に挙げられる代表
例にはヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフル
オロ(プロピルビニルエーテル)、ヘキサフルオロイソ
ブチレンおよびパーフルオロブチルエチレンがある。挙
げられる他の化合物にはトリフルオロエチレン、ビニリ
デンフルオライド、ビニルフルオライドおよびクロロト
リフルオロエチレンがある。コポリマーは三種以上のこ
れらのモノマーを含有していてもよい。これらのモノマ
ーの種類および割合は、粒子コア部を形成するコポリマ
ーの融点が≧250℃となる様に選択するのが有利であ
る。これらの別のコモノマーの割合は8モル% まで、好
ましくは6モル% までである。それ故にTFE含有量は
少なくとも32モル% である。
【0012】好ましくは粒子コア部と比較して比較的に
薄い粒子シェル部が粒子コア部の周りに直接的に隣接し
且つ取り囲んで配置されている。粒子シェル部は、特に
粒子コア部を形成するTFE/Eタイプのコポリマーの
融点よりも少なくとも20℃低い融点を持つという条件
を満足する溶融加工可能な特に弗素含有のホモ−または
共重合体より成る。
【0013】粒子シェル部の体積はコア部およびシェル
部を含む粒子全体の体積の1〜26容量% 、好ましくは
3〜15容量% である。粒子シェル部を形成する溶融加
工性ポリマーはホモポリマー、例えばポリクロロトリフ
ルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドまたはポ
リビニルフルオライドでもよい。しかしながら溶融加工
性コポリマー、例えばTFEとクロロトリフルオロエチ
レンまたはビニリデンフルオライドとのコポリマー、T
FEとHFPおよびビニリデンフルオライドとのコポリ
マー(このものが微結晶融点を有する限り)、クロロト
リフルオロエチレンとビニリデンフルオライドとのコポ
リマーおよびビニルフルオライドのコポリマーも可能で
ある。本発明の有利な実施形態においては、外側シェル
部はクロロトリフルオロエチレン/Eのコポリマーまた
は特に、少なくとも1種類の追加的コモノマーが、粒子
コア部のポリマーの融点より少なくとも20℃低い必要
とされる範囲の融点に下げるのに十分な割合で存在して
いるTFE/E−タイプのコポリマーで形成される。か
ゝる有利な組成は、20〜30モル% のTFE、40〜
60モル% のEおよび10〜30モル% のHFPおよび
10〜30モル% の、HFPと他のモノマー、例えばパ
ーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、クロロトリフ
ルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレンまたはパ
ーフルオロブチルエチレンとの混合物より成るコポリマ
ーのそれである。
【0014】粒子コア部とシェル部との融点差が20℃
で十分であったとしても、融点が著しく下げられている
粒子シェル部、例えば粒子コア部の融点よりも≧50℃
程低くにある粒子シェル部を得るのが有利である。何故
ならば、大部分を構成している粒子コア部を変化させる
ことなしに、全く問題のない粒子溶融がシェル部で可能
となるからである。これは、特定の──いわば、点結合
した──多孔質構造をもたらす。このことで、多孔質度
が全粒子に対する易溶融性粒子シェル部の量の程度によ
って簡単に制御することができることが判る。
【0015】シェル/コア−構造を持つコロイド状粒子
の新規フルオロポリマー分散物は、水性コロイド状分散
物をもたらすフルオロポリマーにとって慣用且つ公知の
方法で製造される。ただしこの方法は二段階で行われ
る。両方の段階において、慣用の圧力−および温度条件
が使用されそしてコロイド状水性分散物をもたらすフル
オロオレフィンの重合にとって通例の助剤が添加され
る。
【0016】重合は有利には水性層で5〜50bar、
好ましくは10〜25barの慣用の圧力および−50
〜+150℃、好ましくは+20〜+100℃の温度に
てフルオロオレフィンの分散重合にとって通例の水溶性
の遊離基形成開始剤の存在下に実施するのが有利であ
る。これら開始剤には、水溶性の過酸化物、例えば無機
系−または有機系過酸化物、ジアシルペルオキシドまた
は過酸、それの水溶性塩、例えば過硼酸塩、過炭酸塩お
よび特に過硫酸塩(有利にはアルカリ金属−またはアン
モニウム塩)がある。
【0017】更に水溶性のレドックス開始剤系、即ち1
種類の特別な過酸化合物と還元成分、例えば水溶性二亜
硫酸塩、チオ硫酸塩、ジチオン酸塩、亜硫酸水素塩、ス
ルフィン酸塩またはその他にジイミン供給化合物、例え
ばアゾジカルボン酸およびそれの塩またはアゾジカルボ
キシアミドがある。特に有利な開始剤は米国特許第3,
859,262号明細書に記載されている如きマンガン
の酸および塩である。これらには特にマンガン(VII)酸
の塩、例えば過マンガン酸カリウム、過マンガン酸アン
モニウム、過マンガン酸バリウム、過マンガン酸マグネ
シウム; 更にマンガン(VI)酸の塩、マンガン酸塩、例え
ばマンガン酸カリウム、マンガン酸アンモニウム、マン
ガン酸ナトリウムおよびマンガン酸カルシウムがあり、
他の適する塩にはマンガン(V) 酸の塩、例えば次マンガ
ン酸ナトリウム(Na3 MnO4 ・10H2 O)および
マンガン(IV)酸の塩、亜マンガン酸塩がある。遊離酸自
体も、酸性水性媒体中で安定している限り、例えば過マ
ンガン酸の結晶質二水和物(HMnO4 ・2H2 O)を
開始剤として使用することができる。同様な活性触媒に
は、重合条件のもとで初めて上記の化合物に変換される
物質、例えば酸無水物、例えばマグネシウム七酸化物
(Mn2 7 )、水酸化物、酸ハロゲン化物および他の
易加水分解性の比較的に高い原子価のマグネシウム化合
物がある。アルカリ金属過マンガン酸塩およびアルカリ
金属マンガン酸塩または相応するアンモニウム塩、特に
過マンガン酸カリウムおよびマンガン酸カリウムを使用
するのが最も有利である。
【0018】開始剤の量はフルオロオレフィンの分散重
合にとって慣用の範囲内である。これは水性重合媒体を
基準として0.00005〜0.1重量% 、好ましくは
0.0005〜0.03重量% である(レドックス系の
場合にはこれは酸化成分を意味する)。レドックス系の
場合には、助触媒、例えば銅、鉄または銀の水溶性塩が
少量の公知の添加量で使用される。
【0019】重合は、フルオロオレフィンの分散重合で
常用され且つ使用開始剤の種類に依存しているpH域、
3〜9の域において慣用のやり方で実施される。公知の
緩衝物質が存在していてもよい。更にコロイド分散物を
得る本発明の方法の分散重合のためには、フルオロオレ
フィンの分散重合にとって通例で且つ慣用である、例え
ば米国特許第2,559,752号明細書に記載されて
いる様な乳化剤を使用する。挙げることのできる例には
比較的長鎖のパーフルオロカルボン酸、ω−ヒドロキシ
パーフルオロカルボン酸、クロロフルオロカルボン酸、
パーフルオロカルボン酸およびまたパーフルオロスルホ
ン酸およびパーフルオロホスホン酸の各アルカリ金属塩
およびアンモニウム塩がある。かゝる乳化剤は6〜12
の炭素原子数の炭素鎖を有しているのが有利である。本
発明の方法の目的には、ω−ヒドロキシパーフルオロカ
ルボン酸のアンモニウム塩および特にパーフルオロオク
タン酸のアンモニウム塩が有利な乳化剤である。パーフ
ルオロプロポキシプロピオン酸の塩も有効な乳化剤の群
の別の例として挙げることができる。規定した乳化剤は
場合によっては遊離酸の状態で使用することができる
し、アンモニアで中和してもよい。使用される乳化剤は
出来るだけテロゲン的に不活性であるべきである。
【0020】乳化剤の量はフルオロオレフィンの分散重
合にとって通例の範囲内である。これは重合用水性媒体
を基準として約0.02〜0.5重量% 、好ましくは約
0.05〜0.4重量% である。場合によっては慣用の
連鎖停止剤、例えばアセトン、メチレンクロライドまた
はクロロホルムを共重合の間に添加して、製造されるコ
ポリマーを加工し易い溶融粘度としてもよい。
【0021】本発明の方法の一つの有利な実施形態にお
いては、共重合を開始剤としての上記のマンガン化合物
および式 X−CH2 −COOR 〔式中、XはCl、Br、COOH、COOR’、CO
CH3 、CH3 、C2 5 またはC3 7 であり、そし
てRおよびR’は互いに同じか異なり、炭素原子数1〜
4のアルキル残基である。〕で表される連鎖移動剤の存
在下に米国特許第4,338,237号明細書に記載さ
れている様に実施する。
【0022】上記の式の有利な連鎖移動剤はマロン酸の
ジメチルエステル、メチルエチルエステルおよび特にジ
エチルエステルである。本発明の目的にとって上記の連
鎖移動剤の混合物を添加することも可能である。更に、
本発明の方法による共重合にとって、式
【0023】
【化1】 〔式中、YはCOONH4 、COOH、CH3 、CH2
OH、CH2 COOHまたはCH2 COONH4 であ
る。〕で表される分散物安定化用の非界面活性化合物ま
たはこれら化合物の混合物の存在下に実施するのが有利
である。有利な分散物安定化化合物にはモノアンモニウ
ム−および特にジアンモニウム−オキサレートがある。
上記の安定化化合物は水和物として存在していてもよい
し、上記の群から選択された化合物の混合物を使用する
ことも可能である。これらも米国特許第4,338,2
37号明細書に詳述されている。
【0024】シェル/コア−構造を持つコロイド状粒子
を有する上述の本発明のフルオロポリマー水性分散物の
製造方法は、 A)テトラフルオロエチレン、エチレンおよび場合によ
ってはさらに他のフルオロオレフィン−コモノマーを共
重合体することによってシード分散物を製造し、次い
で B)段階A)のコポリマーよりも少なくとも20℃低い
融点を有するポリマーを形成する粒子シェル部用モノマ
ーを供給することにってシード分散物A)の存在下に重
合を継続することを特徴としている。
【0025】段階A)におけるコロイドシード分散物を
得る共重合は、6〜20重量% 、好ましくは8〜15重
量% の固形分含有量の水性のシード分散物が生じるまで
継続する。このシード分散物のポリマー粒子の融点は好
ましくは≧250℃であるべきである。製造されるシー
ド分散物はコロイド状粒子の大きさ(0.01〜1μm
、好ましくは0.05〜0.5μm の平均径)の球状
の均一な大きさのポリマー粒子を専ら含有している。
【0026】方法段階B)では、重合を段階A)に従っ
て製造されたこのコロイドシード分散物を用いて続いて
行う。これは、別の操作段階で製造されたシード分散物
A)を反応容器に最初に導入して行うことができる。こ
の場合、段階B)で必要とされる量の乳化剤および場合
によっては別の重合助剤を、分散重合を後続する前に好
ましくは水溶液の状態で添加する。使用されるモノマー
を配量供給した後に、開始剤の添加によって重合を再開
する。重合成分の添加は段階A)と正に同様に、一部分
を最初に導入し、後から残りの必要量を不連続的にまた
は連続的に適当な供給導管を通して容器に供給して実施
する。全重合工程の間の連続的添加も同様に可能であ
る。
【0027】しかしながら段階Aの分散重合に引き続い
て、それの終了後に、 a)気相を十分に除きながら中間排気を行いそして段階
B)のために必要とされるモノマーを配量供給するかま
たは b)気相の一部だけを除く排気を行いそして段階B)の
ために必要とされるモノマーを補充するかまたは c)段階B)で必要とされるモノマーを必要な割合で配
量供給して実施する。
【0028】次いで分散重合を場合によっては再開す
る。乳化剤の全量および場合によって段階B)のための
他の助剤を段階A)の初めに添加するのが有利である。
しかしながら上述の通り、これらの物質は少量ずつまた
は連続的に供給してもよい。方法段階B)の共重合は、
生じるポリマー粒子のシェル部が所望の容量割合に、ポ
リマー粒子の全体積の最高26容量% に達するまで継続
する。達成される最終容積の最高26容量% までのポリ
マー粒子の体積増加はポリマー粒子を粒子直径で最高1
0.6% 大きくする。
【0029】こうして製造される分散物はコロイド状粒
子の粒度範囲にある専ら球状の均一なポリマー粒子を含
んでいる。一般に25重量% の固形分含有量を有してい
る。本発明の方法では凝固(coagulated)物
質の生成は非常に僅かである。生じるコロイド分散ポリ
マーの固形分含有量を基準として1重量% より少ない凝
固物質しか測定されない。
【0030】コア/シェル−構造を持つ本発明のフルオ
ロポリマー分散物は、イオン交換体によって異種イオン
を除きそして公知の方法、例えば減圧下での蒸発によっ
てまたは限外濾過によって濃縮して、60重量% までの
高い固形分含有量の分散物を得ることができる。本発明
のフルオロポリマー分散物は公知の方法、例えば機械的
剪断力の作用によってまたは電解質の添加によって分散
液から粉末として分離または凝集させてもよい。これか
ら得られる粉末は上記の一次分散物粒子の凝集物として
生じる。これら凝集物(二次粒子)は5μm 〜2μm の
平均粒度を有している。
【0031】分散液の一次粒子が集まって、この様にし
て製造される多孔質の二次粒子は、二次粒子の表面にあ
る一次粒子のシェル部によって互いに結合して多孔質構
造をもたらしている。この場合、多孔質度は二次粒子の
内部の小さな孔および二次粒子間の大きな孔でもたらさ
れる。しかしながら凝集の場合には、狭い粒度分布の二
次粒子を得ることが多少困難である。この理由で、水性
分散物から粉末を分離する有利な方法は、専ら平均的粒
度および狭い粒度分布の二次粒子を意図的に製造するこ
とができる噴霧乾燥法である。この場合には、平均粒度
を広い粒度範囲内で調整できる。1〜100μm 、好ま
しくは5〜50μm 、特に好ましくは10〜20μm の
平均粒度が有利である。
【0032】凝集され、乾燥された粉末または噴霧乾燥
された粉末から次の多孔質の偏平な製品への加工は、例
えばこの粉末をゆるい堆積状態でまたは噴霧によって担
体、例えば高光沢の金属表面またはアラミドフィルムの
上に適用することによって実施することができる。この
担体は成形された多孔質シートを容易に引き離すことを
可能とし、接着防止効果を示す物質で被覆することがで
きそして焼結温度で分解しない。
【0033】粉末層を接着防止性シートで更に被覆して
もよく、場合によっては上から僅かな圧力を負荷しても
よい。次いで焼結を、粒子シェル部の材料の融点より上
であるが、粒子コア部の融点より下の温度で炉中で実施
する。これには層の厚さ次第で1時間までの時間を要す
る。この場合、粒子シェル部の溶融によって粒子相互が
結合して三次元網状構造が得られる。連続法では、この
方法を慣用の連続焼結ラインで実施することができる。
最後に、こうして得られる多孔質層を基体から剥離す
る。
【0034】こうして製造される多孔質シートは、バッ
テリーセパレーターとしての既に上述した用途の他に、
化学的方法における過材として、透析の膜として、限外
濾過、浸透−および飲料水処理のための膜として使用で
きる。しかしながらコンパクトな成形体、例えば濾過の
目的のための多孔質管を製造することもできる。こうし
て製造される多孔質製品は、角ばり且つ曲がった孔通路
を有する制御可能な規定の孔の大きさを持つ三次元的な
ネットワーク構造を有している。それの製造の際に細孔
形成剤の添加が必要ないので、該剤の分解および除去の
際に汚れの心配がない。製品は高い耐薬品性を示し、特
にバッテリー電解質中で使用される薬品に対して高い耐
薬品性を示す。
【0035】
【実施例】実施例1〜3 実施例1〜3において以下の反応条件を使用する:邪魔
板および羽根型攪拌機を備えたエナメル塗装された総容
量16Lの重合用反応器に、40g の蓚酸ジアンモニウ
ム一水和物、5g の蓚酸、35g のパーフルオロオクタ
ン酸および表1に記載した量のマロン酸ジエチルが溶解
されている10Lの脱イオン水を導入する。重合用反応
器を最初に窒素で洗浄し、次いでTFEで洗浄する。攪
拌速度を320回転/分にセットする。次いでTFEを
12.5barの圧まで圧入し、次いでEを17bar
のモノマー全圧まで圧入する。次いで、1Lの水当たり
0.5g のKMnO4 の濃度の過マンガン酸カリウム溶
液をポンプ供給することによって重合を開始する。重合
開始後に過マンガン酸カリウム溶液の配量供給を、20
〜100g /L・時の重合速度が達成されるように調整
する。重合温度は40℃であり、重合用反応器の加熱/
冷却ジャケットに加熱/冷却媒体を通して重合温度を一
定に維持する。この場合、発生する重合熱は相殺され
る。17barのモノマー全圧を1:1のモル比のTF
E/E−混合物を連続的に供給することによって自動的
に維持する。反応は表1に示す供給モノマー量の時に、
過マンガン酸カリウム溶液の供給の終了によっておよび
モノマー混合物の排出によって初めて中断する。平均粒
度を測定するために、分散物サンプルを採取する(値を
表1に示す)。
【0036】ガス空間を完全に脱気処理した後に、反応
器に再びTFEおよびEおよび表1に示した量の追加的
なHFPを17barのモノマー全体圧まで圧入する。
次いで過マンガン酸カリウム溶液のポンプ供給によって
重合を再び開始しそして継続する。モノマーのそれぞれ
の供給比を表1に示す。反応を表1に示す供給モノマー
量の時に、過マンガン酸カリウム溶液の供給の終了によ
って、攪拌の停止によって、モノマー混合物の排出によ
っておよび室温に冷却することによって中断する。重合
の間に生じる凝固物質を濾過によって分離し、これを乾
燥しそして秤量する。濾過した分散物の正確な固体含有
量を比重測定によって測定する。使用した過マンガン酸
カリウムの量、重合時間、水性分散物の量、ポリマー固
形分含有量、平均粒度および凝固物質の量を表1に示
す。
【0037】得られるポリマーを特徴付けるために、分
散物を高速攪拌機によって凝集させる。沈澱する固体ポ
リマーを混合物から分離し、水で数回洗浄し、次いで減
圧下に120℃で乾燥する。こうして得られるコポリマ
ーの組成およびシェル部およびコア部に相当する第一
(下部)の融点および第二(上部)融点を表2に示す。 実施例4 実施例1〜3に記載さた如き分散物を50,000回/
分のディスク回転速度および157m/秒の周速および
110m3 /時のガス容積流で回転式ディスク−アトマ
イザーを用いて噴霧乾燥する。別のパラメータおよび結
果を表3に示す。
【0038】残留湿分は乾燥炉で7時間乾燥し(200
℃、10mbar)て測定しそして粒度はCILAS粒
度計を用いて測定する(超音波を用いて界面活性剤水溶
液に分散させる)。 各実施例で示したパラメータは次の測定法によって測定
する: 1.一次粒子の平均粒度:水で著しく希釈した分散物を
銅製網の上に置き乾燥する。電子顕微鏡写真を17,0
00倍に倍率で撮る(Siemens社のELMISK
OP II ) 。この顕微鏡写真を再び4.25倍に拡大
する。次に、得られた写真をZeiss社の粒度計数装
置(TGZ 3型)を用いて計測する。平均粒子径は得
られる分布曲線から計算する。 2.コポリマー組成:コポリマーの組成を測定するため
に、分散物から得られるコポリマー粉末をWickbo
ld装置で燃焼させることによって最初に弗素含有量を
測定し、次いで硝酸トリウムを用いて熱量的に弗化物滴
定する。更にテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロ
プロピレンとのモル比はアジピン酸ジエチルと混合した
ポリマーの19F−NMRを測定しそして200〜250
℃に加熱し、Bruker社の核共鳴スペクロトメータ
ーMSL300で測定する。
【0039】粒子全体の組成は弗素含有量とTFE/H
FP比とを組合せて算出することができる。外側シェル
部のコポリマー組成を測定するために、同様に重合した
粒子コア部の分析結果をコア/シェル型粒子のそれと比
較する。 3.融点:コア部およびシェル部の融点はPerkin
Elmer社の示差走査熱量測定器DSC−4を用い
て測定する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 27/12 27/18 LGB

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a)32〜60モル% のテトラフルオロエ
    チレンの単位、40〜60モル% のエチレンの単位およ
    び0〜8モル% の少なくとも1種類の共重合性フルオロ
    オレフィン−モノマーの単位を有する粒子コア部および b)粒子コア部のコポリマーよりも少なくとも20℃低
    い融点を有する溶融加工性ポリマーの少なくとも1種類
    の粒子シェル部 より成り、かつ該粒子シェル部の体積が粒子の総体積の
    1〜26容量% である、溶融加工性コポリマーのコロイ
    ド状粒子水性分散物。
  2. 【請求項2】 粒子コア部を構成するコポリマーが≧2
    50℃の融点を有している請求項1に記載の分散物。
  3. 【請求項3】 粒子コア部を形成するコポリマーが60
    〜40モル% の共重合したテトラフルオロエチレン単位
    および40〜60モル% の共重合したエチレン単位より
    成る請求項1または2に記載の分散物。
  4. 【請求項4】 共重合性フルオロオレフィン−モノマー
    が炭素原子数3〜8のパーフルオロオレフィン、式 Rfl−〔O−CF(CF3 )−CF2 n −CF2
    O−CF=CF2 〔式中、Rflは炭素原子数1〜5のパーフルオロアル
    キル残基であり、nは0〜3である。〕で表されるパー
    フルオロ(アルキルビニルエーテル)または式 CH2 =CH−Rf2 またはCH2 =C(Rf3)R
    f4 〔式中、Rf2およびRf3は炭素原子数1〜8のパー
    フルオロアルキル残基であり、Rf4はFまたはCF3
    である。〕で表されるフルオロオレフィンである、請求
    項1または2に記載の分散物。
  5. 【請求項5】 粒子シェル部を形成するポリマーが共重
    合したテトラフルオロエチレン単位、エチレン単位およ
    び少なくとも1種類の更に他の弗素含有コモノマー単位
    より成るコポリマーである請求項1〜4のいずれか一つ
    に記載の分散物。
  6. 【請求項6】 コポリマーが20〜30モル% の共重合
    したテトラフルオロエチレン単位、40〜60モル% の
    エチレン単位および10〜30モル% のヘキサフルオロ
    プロピレン単位より成る請求項5に記載の分散物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一つに記載のフ
    ルオロポリマーの凝集粉末において、凝集した二次粒子
    が5μm 〜2mmの平均粒度を有している上記粉末。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか一つに記載のフ
    ルオロポリマーの噴霧乾燥粉末において、噴霧乾燥によ
    って得られる二次粒子が1〜100μm の平均粒度を有
    している上記粉末。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれか一つに記載の分
    散物を製造する方法において、最初に A)テトラフルオロエチレン、エチレンおよび場合によ
    っては他のフルオロオレフィン−コモノマーを共重合体
    することによってシード分散物を製造し、次いで B)粒子シェル部用モノマーを供給することによってシ
    ード分散物A)の存在下に重合を継続し、その際に粒子
    シェル部が段階A)のコポリマーよりも少なくとも20
    ℃低い融点を有するポリマーでありそして粒子シェル部
    の体積がコロイド状粒子の全体積の1〜26容量% であ
    る、上記方法。
  10. 【請求項10】 請求項7または8の粉末を多孔質構造
    物の製造に用いる方法。
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