JPH0798076B2

JPH0798076B2 - ゴルフクラブヘッド

Info

Publication number: JPH0798076B2
Application number: JP2258234A
Authority: JP
Inventors: 星　　俊治; 高志飯島; 厚志土田
Original assignee: Yamaha Corp
Current assignee: Yamaha Corp
Priority date: 1990-09-27
Filing date: 1990-09-27
Publication date: 1995-10-25
Anticipated expiration: 2010-10-25
Also published as: US5205560A; JPH04135576A

Description

【発明の詳細な説明】「産業上の利用分野」この発明は、ゴルフクラブヘッドに関し、飛距離の増大
が可能であって、スィートスポットが広く、打球の方向
安定性に優れるようにしたものである。

「従来の技術」近時、ドライバーやスプーンなどのウッドクラブにおい
ては、クラブヘッドを従来のパーシモン製から金属製に
変えた、いわゆる、メタルウッドがもてはやされてい
る。

このメタルウッドクラブのクラブヘッドとしては、ステ
ンレス鋼やアルミニウム合金を素材とし、ロストワック
ス法などの精密鋳造法により製造されたものが主流を占
めている。

「発明が解決しようとする課題」こうした従来のゴルフグラブヘッドにおいては、フェー
ス面がクラブの番手の応じて固有のロフト角に設定さ
れ、インパクト時にもロフト角が一定であることで、打
球にはバックスピン量が多くかかる。バックスピン量が
多いと、空気から受ける揚力が大きくなり、ボールがホ
ップするように浮き上がり、インパクトから着地までの
飛距離（キャリー）が伸びないばかりか、着地後のボー
ルの転がり（ラン）も少ない。

さらに、従来のゴルフクラブヘッドは鋳造法で製作して
いた為に、金属組織の結晶粒径を制御できず、結晶粒径
が比較的大きく、靱性が低く、欠陥が多く、薄肉化する
と耐久性に問題が生じるものであった。

即ち、従来のゴルフクラブヘッドでは薄肉化することが
できなかったので、ゴルフクラブヘッドの重量を増加さ
せることなしにゴルフクラブヘッドを大きくすることが
できず、スィートスポットが狭く、打球時のボールの方
向安定性が悪い等の問題があった。

この発明は前記課題を解決するためになされたもので、
ゴルフクラブヘッド、特にクラウン部の金属の結晶粒径
を制御することで、ゴルフクラブヘッドの肉厚を調整
し、クラウン部の剛性を少なくともソール部の剛性より
も低くすることで、インパクト時にギヤ効果を生じさせ
て、飛距離を伸ばすとともに、同一重量でゴルフクラブ
ヘッドを大きくしてスィートスポットの面積を大きく
し、ボールの方向安定性の向上したゴルフクラブヘッド
を提供することを目的とする。

「課題を解決するための手段」この発明は前記課題を解決するためになされたもので、
請求項１記載の発明は、クラウン部とフェース部とソー
ル部を具備する金属製のゴルフクラブヘッドにおいて、
少なくともクラウン部を構成する金属の結晶粒径が50μ
ｍ以下であることを特徴とするゴルフクラブヘッドであ
る。

請求項２記載の発明は、クラウン部とフェース部とソー
ル部を具備する金属製のゴルフクラブヘッドにおいて、
クラウン部の剛性が少なくともソール部の剛性よりも低
く、打球時にロフト角が0.5〜2.5度増加することを特徴
とするゴルフクラブヘッドである。

「作用」この発明は、クラウン部の金属の結晶粒径を50μｍ以下
に制御したものであるので、耐久性に問題をきたすこと
なく、クラウン部を薄肉化して、クラウン部の剛性を落
とすことのできるものである。

クラウン部の剛性を少なくともソール部の剛性よりも低
くすると、インパクト時にクラウン部が撓んで、ロフト
角が増加して、ギヤ効果が生じる。そのギヤ効果によ
り、ボールのバックスピン量が低減し、従来品と同一の
打ち出し角度でも飛距離が増加する。

また、ゴルフクラブヘッドのフェース部やソール部等の
金属の結晶粒径も制御すると、ヘッド全体を薄肉化する
ことができ、同一重量でヘッドを大きくすることができ
る。従って、スィートスポットの面積を大きくすること
ができ、ボールの方向安定性に優れたゴルフクラブヘッ
ドとすることができる。

以下にこの発明をさらに詳しく説明する。

この発明は金属からなるゴルフクラブヘッドのクラウン
部の金属の結晶粒径を50μｍ以下、好ましくは、10μｍ
以下にしたものである。

クラウン部の結晶粒径を制御することで、クラウン部を
薄肉化し、クラウン部の剛性をソール部の剛性よりも低
下させてインパクト時のロフト角を増加させ、飛距離を
増加する。その作用を第１図ないし第３図を用いて説明
する。

第１図はインパクト時にボールがヘッドに当たる時の
図、第２図はボールがヘッドから離れる時の図である。

ボール12aがフェース部18aに当たるインパクト初期に
は、クラウン部は14aの形状であり、この時のロフト角
はθ_０である。

そして、ボールと衝突することにより、クラウン部は14
bのように撓み、フェース部は18bのように傾き、ロフト
角はθだけ増加する。

このロフト角増加分θは好ましくは0.5〜3.0度が良く、
特に、1.0〜2.5度が良好である。

そして、この打球時のロフト角の増加によって、フェー
ス面に接しているボールは、フェース面との摩擦力によ
り、フェース面の下方に向って転がる方向（以後、正回
転方向とする）の回転力を受ける。（ギヤ効果）これに
よって、ボールのバックスピン量が減少する。

従来のゴルフクラブヘッドにおいては、ロフト角が固定
されているので、インパクト時にボールはフェース部18
aを転がり登る方向の回転力を受け、逆回転（バックス
ピン）を起こす。このバックスピン量が多いと空気から
受ける揚力が大きくなりすぎて、第３図で示すように飛
距離（キャリー）とボールの転がる距離（ラン）が伸び
ない。

しかしながら、この発明のゴルフクラブヘッドにおいて
は、正回転方向の回転力をボールに与えることで、バッ
クスピン量を低減することができ、第３図で示すよう
に、飛距離は勿論ボールの転がる量もともに伸びる。

尚、剛性の制御は各部の肉厚を調整することでできる
が、具体的な各部（クラウン部、フェース部、ソール部
等）の肉厚の関係は、使用する材料のヤング率およびク
ラウン部の曲率半径によって変わるので、一定ではな
い。

また、材料は、ステンレス鋼、Fe合金、Al合金、Mg合
金、Ti及びTi合金、Ti−Al合金、Zn−Al合金等が使用で
き、これらに圧延または鍛造で製作することで、結晶粒
径を制御することができる。

加工方法は主として、プレス加工＋溶接超塑性加工＋溶接超塑性加工＋拡散接合が適用できるが、特に、、の方法が好ましい。

「実施例」（実施例１）第４図は、この発明の一実施例を示すもので、14がクラ
ウン部、18がフェース部、24がソール部である。ロフト
角θ_０は10度であり、重量は210g、体積は約200ccであ
る。

このゴルフクラブヘッドを製造するには、3mm厚のTi−6
Al−4V合金板から、ソール部、フェース部等を切り出
し、クラウン部はこの板金に熱間プレス加工を施し、こ
れら部材を溶接して接合した。フォーゼル部は、同一素
材からなるパイプを溶接した。

このゴルフクラブヘッドの平均結晶粒径は約10μｍであ
った。

さらに、耐力は110kg/mm²、引張強さは125kg/mm²、破断
伸びは８％であった。

本実施例におけるゴルフクラブヘッドのクラウン部の肉
厚を変化させ、試打テストを行い、ヘッド性能の比較を
第１表に示した。尚、試打テストのヘッドスピードは50
m/sとし、また、クラウン部の肉厚によって変化する部
分はソール部に重りをつけて調整した。

第１表から、クラウン部の肉厚が薄くなるにつれて、ク
ラウン歪量が増加し、ロフト角が増加し、その結果、キ
ャリー及びランがともに大きくなることが明らかであ
る。

（試験例１）実施例１のゴルフクラブヘッドのうち、クラウン部の肉
厚が1.2mmのヘッドにおいて、平均結晶粒径を1.0〜1000
μｍに渡らせて耐久性を試験した。試験は試打テストを
行い、破損するまでの打球回数を調べた。結果を第５図
に示した。

第５図において、平均結晶粒径が小さくなるに従って、
耐久性能の向上することが明らかにわかる。

（試験例２）実施例１の製法において製造したゴルフクラブヘッド
と、比較例として精密鋳造法で製造したゴルフクラブヘ
ッドの方向安定性を比較した。

尚、材料は実施例１と同じTi−6Al−4Vである。

比較結果を第６図に示した。

尚、この発明によるゴルフクラブヘッドのクラウン部の
肉厚は1.0mm、ヘッド体積は250ccである。精密鋳造法で
製造したゴルフクラブヘッドのクラウン部の肉厚は1.6m
m、ヘッド体積は200ccである。

第６図はスィートスポットからトゥ側およびヒール側に
打点をずらして打った時の飛距離を表している。

第６図から、この発明のゴルフクラブヘッドは、スィー
トスポットが広く、方向安定性が良好であることがわか
る。

（試験例３）試験例２と同様に、実施例１の製法で製造したゴルフク
ラブヘッドと、比較例として精密鋳造法で製造したゴル
フクラブヘッドの耐久性をその平均結晶粒径とともに比
較した。

尚、この発明でのゴルフクラブヘッドのクラウン部の肉
厚は1.2mm、ヘッド体積は250cc、比較例のゴルフクラブ
ヘッドのクラウン部の肉厚は1.6mm、ヘッド体積は200cc
である。

結果を第２表に示す。

第２表から明らかな通り、プレス加工で製造したゴルフ
クラブヘッドでは、平均結晶粒径を格段に小さく制御す
ることができ、これにより、耐久性を大きく向上させる
ことができた。

（実施例２）実施例２においては、超塑性加工によりゴルフクラブヘ
ッドを製造した。

まず、第７図に示すようなゴルフクラブヘッド型の成形
空所を有する分離可能な型21,22を用意し、分割された
型21と型22の間に厚さ4mmの超塑性合金であるTi−6Al−
4V合金からなる板体25,25を２枚重ねて挾んだ。この
時、流体導入口26を予め板体25に加工しておく。これを
第８図に示すように、超塑性加工温度である900℃に熱
した状態で流体導入口26から合金の間にArガスを圧入し
て、板体25,25を型の成形空所に沿って超塑性変形させ
た。

尚、歪速度は10^-4/secであった。

この時、この超塑性変形に伴い、２枚の板体25,25は拡
散接合し、一体成形ができた。

その後、成形品を型から取り外し（第９図）、型で挾ん
でいた部分を切断除去してゴルフクラブヘッドを得た。
（第10図）このゴルフクラブヘッドの平均結晶粒径は0.003mmであ
った。

本実施例のように超塑性加工で製造する方法において
は、拡散接合を利用しているので、一体成形が可能であ
り、また、深い形状でも加工することが可能で、分割を
少なくすることができ、極めて効率的な製法である。

（試験例４）実施例１のプレス加工と溶接による方法で製造したゴル
フクラブヘッドと、実施例２の超塑性加工法で製造した
ゴルフクラブヘッドの試打テストを行い、性能を比較し
た。

尚、平均結晶粒径は約10μｍで、その他の条件も実施例
１と同様である。

結果を第３表に示す。

第３表の結果から、少しだけ超塑性加工と拡散接合によ
り得た成型品の方が性能が良いが、これは拡散接合によ
る一体成形により、溶接時に生じる強度低下を伴わず、
剛性が大きいことによるものである。

（実施例３）実施例２に記載の超塑性加工による製法において、超塑
性合金に２相ステンレス合金を用いて製造した。その２
相ステンレス合金は、 25Cr−6.5Ni−3.2Mo−1N−Feで表されるものを使用し
た。

この実施例のゴルフクラブヘッドのロフト角は8.5度、
平均結晶粒径は0.003mm、クラウン部の肉厚は0.8mm、体
積は180ccであった。

（試験例５）実施例３のゴルフクラブヘッドと、比較例として精密鋳
造法で製造したゴルフクラブヘッドの試打テストを行っ
た。

比較例のゴルフクラブヘッドはステンレス（SUS630）を
使用し、精密鋳造法で製造したものである。この比較例
のゴルフクラブヘッドのロフト角は8.5度、平均結晶粒
径は0.5mm、クラウン部の肉厚は1.0mm、体積は150ccで
ある。

ヘッドスピード40m/secで試打テストを行い、その時の
ロフト角の増加量と飛距離を計測した。

結果を第４表に示す。

第４表から、ステンレスを材料とした場合にも、超塑性
加工で結晶粒径を小さく制御したゴルフクラブヘッド
は、精密鋳造法で結晶粒径の大きいゴルフクラブヘッド
と比較してギヤ効果が生じ、飛距離が大きく、優秀なゴ
ルフクラブヘッドであることがわかる。

さらに、これら２種類のゴルフクラブヘッドにおいて、
打点をスポットからずらして試打した。

結果を第11図に示す。

第11図から、発明品のゴルフクラブヘッドは、スィート
スポットが大きく、方向安定性の良好なゴルフクラブヘ
ッドであることが明らかである。

「発明の効果」以上説明したようにこの発明は、クラウン部の結晶粒径
を制御したものであるので、耐久性を向上させるととも
に肉厚を薄くすることのできるものである。クラウン部
の肉厚を薄くすることによって、クラウン部の剛性を少
なくともソール部の剛性よりも低くすることで、インパ
クト時にクラウン部が撓み、ギヤ効果が生じるので、打
球のバックスピン量が低減し、飛距離が格段に増加する
ものである。

さらにヘッド全体の結晶粒径を小さく制御したものは、
全体の肉厚を薄くできるので、重量を増加させることな
く、体積を増加させることができ、スィートスポットを
大きくすることができ、方向安定性の良好な高性能なゴ
ルフクラブヘッドである。

【図面の簡単な説明】

第１図と第２図はギヤ効果を発生する作用を示す図、第３図はこの発明品と従来品の弾道を示す図、第４図は実施例１のゴルフクラブヘッドを示す図、第５図は試験例１の平均結晶粒径と破損までの打球回数
の関係を示すグラフ、第６図は試験例２の試打テストを示す線図、第７図ないし第10図は実施例２の超塑性加工による製造
工程を示す図で、第７図は板体を型に挾んだ図、第８図はArガスを圧入した図、第９図は拡散接合した板体を型から取り外した図、第10図は不要部分を切断分離して得られたゴルフクラブ
ヘッドの図、第11図は試験例５のスィートスポットの広さを比較する
試打テストの結果を示す線図である。 14,14a,14b……クラウン部、18,18a,18b……フェース
部、24……ソール部。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】クラウン部とフェース部とソール部を具備
する金属製のゴルフクラブヘッドにおいて、少なくとも
クラウン部を構成する金属の結晶粒径が50μｍ以下であ
ることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項２】クラウン部とフェース部とソール部を具備
する金属製のゴルフクラブヘッドにおいて、クラウン部
の剛性が少なくともソール部の剛性よりも低く、打球時
にロフト角が0.5〜2.5度増加することを特徴とするゴル
フクラブヘッド。