JPH0794840A - スルーホールを充填したセラミック基板およびスルーホール充填用導体ペースト - Google Patents

スルーホールを充填したセラミック基板およびスルーホール充填用導体ペースト

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JPH0794840A
JPH0794840A JP16743993A JP16743993A JPH0794840A JP H0794840 A JPH0794840 A JP H0794840A JP 16743993 A JP16743993 A JP 16743993A JP 16743993 A JP16743993 A JP 16743993A JP H0794840 A JPH0794840 A JP H0794840A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】(1) 低収縮性導体ペーストをスルーホールに充
填し、焼成してなることを特徴とするセラミック基板お
よび (2)銀粉末または銅粉末を主成分とする導電粉末
と、該導電粉末に対して0.1重量%以上の酸化ルテニ
ウム粉末を含有する低収縮性のスルーホール充填用導体
ペースト。 【効果】 上記セラミック基板は、熱収縮性と導体抵抗
値が小さく、焼成の前後における形状安定がよい導体ペ
ーストによってスルーホールを充填し焼成してなるので
スルーホールと表面配線との接続の信頼性が高く、多層
配線セラミック基板においてもシート上に亀裂が発生せ
ず、断線などを生じない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスルーホールに充填され
る導体ペーストに関し、特に焼成収縮率を可能な限り低
減したスルーホール充填用導体ペーストに関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来より、両面に配線を備えたセラミッ
ク基板が各種電子機器に使用されており、その基板の両
面に形成された配線間の導通をとる方法として、スルー
ホールが利用されている。上記スルーホールによる配線
の接続は、従来、図7に概略の構成を示すように、セラ
ミック基板2に設けたスルーホール1の孔壁にスクリー
ン印刷方法などにより導体膜4を印刷・焼成することに
よって行なわれているが、孔壁から基板表面の配線路に
至るコーナー部分の膜厚が薄くなり易く、導通不良とな
り信頼性にかける問題がある。また、スルーホールの大
きさは配線密度の関係から、従来、0.4 mm程度の小径の
ものが標準的サイズであり、孔壁に形成する導体量が限
られるためにスルーホール部の導体抵抗が大きくなって
しまう問題がある。
【0003】これらの欠点のため、電流容量の大きな配
線を必要とする分野や、高信頼性を求める分野、高性能
な信号伝達を必要とする分野では、スルーホールを用い
た層間の電気的接続が避けられてきた。一方、近年電子
機器の小形化、高性能化が進み、電子部品の高密度実装
が可能な信頼性の高い多層配線セラミック基板が求めら
れている。
【0004】このような技術的背景から、近年、図8に
示されるようにセラミック基板2上にガラスセラミック
からなるグリーンシート5を積層し、これを焼成してシ
ート間あるいはシート上に高密度に配線3を構築するす
る多層配線基板が開発されてきた。ところがスルーホー
ルによる電気的接続には上記問題があるため、多層配線
基板においてもスルーホールによる層間導通が制限さ
れ、高密度化に支障をきたす。この他に、スルーホール
が空洞であるため、積層したガラスセラミックがスルー
ホール内に窪み周囲に亀裂が生じてシート表面に設けた
配線が断線するなどの不都合を生じる虞れがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、セラミック
基板のスルーホールに関する上記問題を解決したスルー
ホール充填用導体ペーストを提供することを目的とす
る。ところで、スルーホール全体に導体材料を充填すれ
ばスルーホールの導体量が増大して導体抵抗が低下し、
しかも、スルーホール導体とセラミック基板上の配線と
を同一平面上で接続でき、その接続の信頼性を向上させ
得る。またガラスセラミック等のグリーンシートを積層
する場合、スルーホール内部に導体を充填しておけば亀
裂の発生原因となるスルーホールへのシートの沈み込み
がなくなり、断線などの不都合がない信頼性の高い多層
配線基板が得られるが、現在使用されている導体ペース
トは焼成時の熱収縮率が大きいため満足すべき結果が得
られていない。
【0006】本発明者らは焼成時の熱収縮ができるだけ
小さい導電材料について検討したところ、導電材料とし
て一般的に用いられている銀(Ag)および銅(Cu)
の粉末に特定量の酸化ルテニウム(Ru2 O)粉末を混
合してなる導体ペーストは焼成収縮が少なく、導体抵抗
も小さいことを見出した。そして、この導体ペーストを
スルーホールに充填することによって、基板配線との接
続の信頼性が高く、かつ低抵抗で、グリーンシートを積
層しても亀裂が発生しないセラミック基板が得られるこ
とを確認した。本発明はこの導体ペーストに関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、以下の
スルーホール充填用導体ペーストが提供される。 (1)セラミック基板のスルーホールの充填に使用され
る導体ペーストあって、銀または銅から選択される導体
粉末と該粉末に対して0.1 重量%以上の酸化ルテニウム
粉末とを含有することを特徴とするスルーホール充填用
導体ペースト。 (2)銀または銅から選択される導体粉末に対して0.1
〜15重量%の酸化ルテニウム粉末を含有する上記
(1)のスルーホール充填用導体ペースト。
【0008】本発明の導体ペーストはセラミック基板の
スルーホールに充填使用される。本発明において、銀粉
末または銅粉末から選ばれる導体粉末に酸化ルテニウム
粉末を添加することにより、焼成収縮率が小さい導体ペ
ーストが得られる。その理由は定かではないが、後述す
る実施例に示されるとおり、酸化ルテニウム粉末の添加
により焼成収縮率が大幅に低下し、ほぼゼロになること
が確認できる。酸化ルテニウムの添加量が増加しても焼
成収縮率はゼロ付近でほとんど変化しないが、相対的に
導体ペースト中の導体粉の量が少なくなるので、導体抵
抗値は増加する傾向になる。従って、酸化ルテニウム粉
末の添加量は0.1 〜15重量%程度の範囲が好ましい。
【0009】本発明のスルーホール充填用導体ペースト
は、銀粉末または銅粉末と酸化ルテニウム粉末とを上記
量比となるように混合し、既知の結合剤やその溶剤等を
適宜配合し混練することによって得ることができる。上
記銀、銅および酸化ルテニウムの各粉末は、例えば球
状、塊状、針状、鱗片状などの任意の形状のものを用い
ることができる。粒径も特に限定されないが、一例とし
て、銀粉末では平均粒径が5〜10μm 程度のもの、銅
粉末では平均粒径5〜10μm 程度のもの、酸化ルテニ
ウム粉末としては0.5 〜2μm 程度の平均粒径のものが
使用される
【0010】結合剤としては、エチルセルロース、アク
リル樹脂等が用いられる。結合剤の使用量は上記粉末を
均一に分散保持し、ペースト状態を維持し得る程度の量
であればよい。具体的には、銀粉末または銅粉末と、酸
化ルテニウム粉末とからなる混合粉末100重量部に対
して、2〜10重量部程度の割合で使用される。溶剤と
しては、アセテート、テルピネオール等が挙げられる。
溶剤の使用量は結合剤の種類によっても異るが、導体ペ
ーストに適度の粘性が付与される量であればよい。具体
的には、結合剤100重量部に対して、10〜30重量
部程度の割合で使用される。これら結合剤や溶剤以外に
も、例えば導体ペーストに適度の流動性を付与する等の
目的で脂肪酸エステルなどの他の添加剤を既知の導体ペ
ーストにおけると同様に使用することもできる。
【0011】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに説明する。実施例1 本発明の導体ペーストを以下のようにして調製し、その
焼成収縮率および導体抵抗値を評価した。
【0012】(1)導体ペーストの調製 まず、平均粒径10μm の銀粉末と、平均粒径1μm の
酸化ルテニウム粉末とを用い、銀粉末に対する酸化ルテ
ニウムの割合が2.5 重量%、5重量%、10重量%、1
5重量%になるように配合した粉末原料(4種類)を準
備した。次いで、上記粉末原料のそれぞれに、ビヒクル
(田中貴金属インターナショナル社製TRD−1)を加
え、3本ロールで20パスすることによって導体ペース
トを得た。なお、ビヒクルの配合量は粉末原料100重
量部に対して30重量部とした。また、比較対照として
酸化ルテニウム粉末を添加しない銀粉末のみからなる導
体ペーストを上記と同様の手法で作成した。以上の導体
ペースト(5種類)について、その焼成収縮率および導
体抵抗値を以下のようにして評価した。
【0013】(2)導体ペーストの焼成収縮の評価方法 96%アルミナ基板(縦3インチ×横3インチ×厚さ0.
635 mm)上に溶媒で希釈した導体ペーストを厚み75μ
m のメタルマスクを使用し、2mm□に印刷した。その
後、この基板をクリーンオーブン中で、150℃、10
分間の条件で乾燥することによって、上記導体ペースト
からなる2mm□の測定パッドが所定間隔に設けられたア
ルミナ基板を得た。次いで、上記アルミナ基板上の導体
ペーストの厚みを測定した。厚みの測定は、アルミナ基
板上の2mm□の測定パッドから任意に8箇所を選択して
行なった。次いで、厚み測定後のアルミナ基板をベルト
式電気炉で温度850℃で47分間焼成した後、焼成後
のアルミナ基板の導体の厚みを測定した。測定は上記乾
燥後の測定点と同じ箇所を再測定することによって行な
った。
【0014】焼成前後の導体の膜厚から次式にしたがっ
て焼成収縮率を算出した。焼成収縮率(%)=[(焼成
前の膜厚−焼成後の膜厚)/焼成前の膜厚]×100
【0015】(3)導体ペーストの導体抵抗値の評価方
96%アルミナ基板(縦3インチ×横3インチ×厚さ0.
635 mm)を使用し、この基板上に焼成収縮率の場合と同
じ導体ペーストの線状パターンを印刷により形成した
後、同一条件で乾燥および焼成を施して、上記導体ペー
ストからなる線状の導体膜を表面に有するアルミナ基板
を得た。このアルミナ基板表面の導体膜について、サー
ペンタインラインの膜厚(1箇所(4点))、線幅(1
箇所(4点))、および抵抗値(線長:70mm)を測定
し、次式にしたがって導体抵抗値を算出した。
【0016】 導体抵抗(mΩ/□)=0.7 ×(R×W×t) [ただし、R:配線抵抗(Ω)、W:線幅(mm)、t:
膜厚(mm)、L:線長(mm)を表わす。]
【0017】なお、焼成収縮率および導体抵抗値の評価
は5種類の導体ペーストのそれぞれについて、アルミナ
基板を2個使用して行なった。得られた結果を図1(焼
成収縮率)および図2(導体抵抗値)に示す。
【0018】図1から明らかなように、銀粉末のみから
なる比較対象の導体ペーストは焼成後に平均して約15
%程度も収縮するのに対して、酸化ルテニウム粉末を含
有する本発明の導体ペーストの収縮率はほぼゼロであ
り、焼成前後の形状安定が極めてよいことが分かる。ま
た、その導体抵抗値は酸化ルテニウム粉末の添加量の増
加につれて徐々に増加するが(図2)、5重量%含むも
のでも導体抵抗値は23mΩ/□であり、導体材料とし
て使用するに十分な値であった。
【0019】実施例2 銅粉末(平均粒径10μm )を用いたこと以外は実施例
1と同様にして、酸化ルテニウム含量が2.5 重量%、5
重量%、10重量%および15重量%の導体ペーストを
得た。また、実施例1と同じく酸化ルテニウム粉末を添
加しない銅粉末のみからなる導体ペーストを比較対象と
して調製した。これら5種類の導体ペーストについて、
実施例1と同様の手順で、その焼成収縮率および導体抵
抗値の評価を行なった。なお、導体ペーストを印刷した
アルミナ基板の乾燥はクリーンオーブンを使用して温度
120℃、10分間で行なった。また、焼成はベルト式
電気炉を使用し、窒素雰囲気下に、920℃、60分間
の条件で行なった。得られた結果を図3(焼成収縮率)
および図4(導体抵抗値)に示す。図3および図4から
明らかなように、銅粉末の場合も上記銀粉末と同様に酸
化ルテニウム粉末の添加により焼成収縮率が小さく、か
つ導体抵抗値も小さな導体ペーストが得られることが分
かる。
【0020】実施例3 直径0.4 mmのスルーホールが複数箇所設けられた96%
アルミナ基板(縦3インチ×横3インチ×厚さ0.635 m
m)に実施例1で作成した酸化ルテニウム含量が2.5 重
量%の導体ペーストをスクリーン印刷方法を用いてスル
ーホール中に充填した。その後、このアルミナ基板を1
50℃に保持したクリーンオーブン中で10分間乾燥し
た後、850℃で10分間焼成することによって、図5
に示すようにスルーホール中に上記導体が満たされたア
ルミナ基板を得た。このアルミナ基板のスルーホールに
ついて、メタノールによる浸透試験、導体抵抗値の測
定、およびその表面と断面の目視観察を行なった。な
お、浸透試験は基板表面に露出しているスルーホールの
片面にメタノールを塗布し、反対面にメタノールが浸透
するか否かを目視観察することによって行なった。
【0021】その結果、スルーホール部の基板表裏間に
おける導体抵抗は0.9 mΩ/□であであった。本例と同
径の従来のスルーホール壁面のみにメタライズされたタ
イプのスルーホールにおける導体抵抗(通常2.7 〜4.8
mΩ/□程度)と比べて各段に優れていた。また、基板
表面に露出しているスルーホールの表面には凹凸が全く
観察されず、基板上の配線と同一平面上で密着して接続
されていた。さらに、断面の目視観察の結果、スルーホ
ール内部に空隙は全く観察されず、導体ペーストがアル
ミナ基板に密着して均一に充填されていることが分かっ
た。スルーホール内部に空隙などの欠陥がないことは、
基板裏面へのメタノールの浸透が全くないかったことか
らも裏付けられる。
【0022】比較例1 実施例1で作成した銀粉末のみからなる導体ペーストに
ついて実施例1と同様の焼成試験を行なった。この結果
を図1に併せて示す。さらに実施例3と同様にして、こ
の導体ペーストをアルミナ基板のスルーホールに充填し
た。この基板について実施例3と同じ評価試験を行なっ
たところ、スルーホール表面には表から裏にかけての貫
通部分が見られ、メターノールが裏面に浸透した。
【0023】実施例4 導体ペーストを充填した後に、さらにガラスセラミック
からなる厚さ120μm のグリーンシートを45kg/cm
2 の圧力で積層したこと以外は実施例3と同様にして、
図6に示す構造のシート積層アルミナ基板を得た。この
基板について実施例3と同じ評価試験を行なったとこ
ろ、スルーホール上部のグリーンシート上には亀裂は見
られず、窪みも発生していなかった。また、スルーホー
ル内部には導体ペーストが密着して均一に充填されてお
り、空隙等の内部欠陥も全く観察されず、メタノールの
浸透もなかった。
【0024】比較例2 実施例4と同径のスルーホールを有するアルミナ基板を
用い、該基板に実施例1で作成した銀粉末のみからなる
従来の導体ペーストを充填し、さらに実施例4と同じ厚
みのセラミックシートを同じ圧力で積層することによっ
て、図6に示す構造のシート積層アルミナ基板を得た。
この基板について実施例3と同じ評価試験を行なったと
ころ、シート表面はスルーホール部で窪んでおり、その
窪み付近には亀裂が観察された。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
焼成収縮率および導体抵抗値が小さく、焼成の前後にお
ける形状安定がよい導体ペーストが提供される。この導
体ペーストをスルーホールに充填することにより、基板
表面の配線とスルーホール導体とを同一平面上で信頼性
よく接続することができる。また、スルーホール内部を
導体ペースで満たすことにより、グリーンシートを積層
する多層配線セラミックを製造する場合に、シート上に
亀裂などの欠陥が発生せず、断線などの不都合がない信
頼性の高い配線をシート上に構築することができる。さ
らには、導体抵抗の低い導体ペーストがスルーホール内
部を満たすため、従来のメッキタイプのスルーホールに
比べてスルーホールの導体量が増大し、スルーホールの
導体抵抗値が各段に向上する。この導体抵抗値の低下に
より、スルーホールの径を小さくすることができ、配線
密度の向上をはかることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導体ペーストの焼成収縮率を説明する
図である。
【図2】本発明の導体ペーストの導体抵抗値を説明する
図である。
【図3】本発明の導体ペーストの他の例の焼成収縮率を
説明する図である。
【図4】本発明の導体ペーストの他の例の導体抵抗値を
説明する図である。
【図5】本発明の導体ペーストを充填したスルーホール
を有するセラミック基板の断面図である。
【図6】本発明の導体ペーストを充填したスルーホール
を有するセラミック基板の他の例の断面図である。
【図7】スルーホールに導体ペーストが充填されていな
い従来のセラミック基板の断面図である。
【図8】スルーホールに導体ペーストが充填されていな
い従来のセラミック基板の他の例の断面図である。
【符号の説明】
1 スルーホール 2 セラミック基板 3 配線 4 導体膜 5 グリーンシート 6 コーナー部
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】 本発明者らは焼成時の熱収縮ができるだ
け小さい導電材料について検討したところ、導電材料と
して一般的に用いられている銀(Ag)および銅(C
u)の粉末に特定量の酸化ルテニウム(RuO)粉末
を混合してなる導体ペーストは焼成収縮が少なく、導体
抵抗も小さいことを見出した。そして、この導体ペース
トをスルーホールに充填することによって、基板配線と
の接続の信頼性が高く、かつ低抵抗で、グリーンシート
を積層しても亀裂が発生しないセラミック基板が得られ
ることを確認した。本発明はこの導体ペーストに関す
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、以下の
スルーホール充填用導体ペーストが提供される。 (1)セラミック基板のスルーホールの充填に使用され
る導体ペーストであって、銀または銅から選択される導
体粉末と該粉末に対して0.1重量%以上の酸化ルテニ
ウム粉末とを含有することを特徴とするスルーホール充
填用導体ペースト。 (2)銀または銅から選択される導体粉末に対して0.
1〜15重量%の酸化ルテニウム粉末を含有する上記
(1)のスルーホール充填用導体ペースト。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】 (1)導体ペーストの調製 まず、平均粒径10μmの銀粉末と、平均粒径1μmの
酸化ルテニウム粉末とを用い、銀粉末に対する酸化ルテ
ニウムの割合が2.5重量%、5重量%、10重量%、
15重量%になるように配合した粉末原料(4種類)を
準備した。次いで、上記粉末原料のそれぞれに、ビヒク
ル(田中貴金属インターナショナル社製TRD−1)を
加え、3本ロールで混練することによって導体ペースト
を得た。なお、ビヒクルの配合量は粉末原料100重量
部に対して30重量部とした。また、比較対照として酸
化ルテニウム粉末を添加しない銀粉末のみからなる導体
ペーストを上記と同様の手法で作成した。以上の導体ペ
ースト(5種類)について、その焼成収縮率および導体
抵抗値を以下のようにして評価した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】 なお、焼成収縮率および導体抵抗値の評
価は5種類の導体ペーストのそれぞれについて、アルミ
ナ基板を2個使用して行なった。得られた結果を図1
(焼成収縮率)および図2(導体抵抗値)に示す。ま
た、これとは別に酸化ルテニウム含量を、0.5重量
%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%および
2.5重量%とした導体ペーストを上記と同様の手法で
作成し、その焼成収縮率を同様に評価した結果を図9に
示す。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
焼成収縮率および導体抵抗値が小さく、焼成の前後にお
ける形状安定がよい導体ペーストが提供される。この導
体ペーストをスルーホールに充填することにより、基板
表面の配線とスルーホール導体とを同一平面上で信頼性
よく接続することができる。また、スルーホール内部を
導体ペースで満たすことにより、グリーンシートを積層
する多層配線セラミックを製造する場合に、シート上に
亀裂などの欠陥が発生せず、断線などの不都合がない信
頼性の高い配線をシート上に構築することができる。さ
らには、導体抵抗の低い導体ペーストがスルーホール内
部を満たすため、従来のスルーホールが壁面メタライズ
されているタイプのスルーホールに比べてスルーホール
の導体量が増大し、スルーホールの導体抵抗値が各段に
向上する。この導体抵抗値の低下により、スルーホール
の径を小さくすることができ、配線密度の向上をはかる
こともできる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図9
【補正方法】追加
【補正内容】
【図9】 本発明の導体ペーストの焼成収縮率を説明す
る図である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】符号の説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【符号の説明】 1 スルーホール 2 セラミック基板 3 配線 4 導体膜 5 グリーンシート積層からなるガラスセラミックス 6 コーナー部
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】追加
【補正内容】
【図9】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年2月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 スルーホールを充填したセラミック基
板およびスルーホール充填用導体ペースト
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は導体ペーストをスルーホ
ールに充填してなるセラミック基板、および焼成収縮率
を可能な限り低減したスルーホール充填用導体ペースト
に関する。
【0002】
【従来技術】従来より、両面に配線を備えたセラミック
基板が各種電子機器に使用されており、その基板の両面
に形成された配線間の導通をとる方法として、スルーホ
ールが利用されている。上記スルーホールによる配線の
接続は、従来、図7に示すように、セラミック基板2に
設けたスルーホール1の孔壁にスクリーン印刷方法など
により導体膜4を印刷・焼成することによって行なわれ
ているが、孔壁から基板表面の配線路に至るコーナー部
分の膜厚が薄くなり易く、導通不良となり信頼性にかけ
る問題がある。また、スルーホールの大きさは配線密度
の関係から、従来、0.4mm程度の小径のものが標準的
サイズであり、孔壁に形成する導体量が限られるために
スルーホール部の導体抵抗が大きくなる問題がある。こ
れらの欠点のため、電流容量の大きな配線を必要とする
分野や、高信頼性を求める分野、高性能な信号伝達を必
要とする分野では、スルーホールを用いた層間の電気的
接続が避けられてきた。ところが、電子機器の小形化、
高性能化が進むにつれて電子部品の高密度実装が可能な
信頼性の高い多層配線セラミック基板が求められてい
る。
【0003】また多層配線基板の製法として、印刷多層
法やグリーンシート多層法が知られているが、印刷多層
法の場合、スルーホールの孔を避けて配線を印刷する必
要があり、高密度化に支障をきたす。一方、図8に示す
ように、セラミック基板2上にガラスセラミックからな
るグリーンシート5を積層し、これを焼成してシート間
あるいはシート上に高密度配線3を形成するグリーンシ
ート多層法の場合にはスルーホールが空洞であるため、
積層したガラスセラミックがスルーホール内に窪み周囲
に亀裂が生じてシート表面に設けた配線が断線するなど
の不都合を生じる虞れがある。
【0004】
【発明の解決課題】本発明は、セラミック基板のスルー
ホールに関する上記問題を解決したセラミック基板とス
ルーホール充填用導体ペーストを提供することを目的と
する。スルーホール全体に導体材料を充填すればスルー
ホールの導体量が増大して導体抵抗が低下し、しかも、
スルーホール導体とセラミック基板上の配線とを同一平
面上で接続でき、その接続の信頼性を向上させ得る。ま
たグリーンシート多層法においては、スルーホール内部
に導体を充填しておけば亀裂の発生原因となるスルーホ
ールへの沈み込みがなくなり、断線などを生じない信頼
性の高い多層配線基板が得られ、また印刷多層法では孔
の位置に制約されずに配線を印刷できる利点がある。と
ころが、現在使用されている導体ペーストは焼成時の熱
収縮率が大きいため、このようなスルーホールを充填し
たセラミック基板について満足した結果が得られていな
い。
【0005】本発明者等は焼成時の熱収縮の小さい導体
ペーストについて検討し、導電材料として一般に用いら
れている銀粉末ないし銅粉末に特定量の酸化ルテニウム
粉末(RuO2 )を混合したものは焼成収縮が格段に小
さく、導体抵抗の増加も小さいことを見い出し、この導
体ペーストをスルーホールに充填し、焼成してなるセラ
ミック基板は基板配線の接続の信頼性が高く、かつ低抵
抗であることを確認した。本発明はかかる知見に基づ
く。
【0007】
【課題の解決手段】本発明によれば、以下の構成を有す
るセラミック基板およびスルーホール充填用導体ペース
トが提供される。 (1)低収縮性導体ペーストをスルーホールに充填し、
焼成してなることを特徴とするセラミック基板。 (2)銀粉末または銅粉末を主成分とする導電粉末に、
該導電粉末に対して0.1重量%以上の酸化ルテニウム
粉末を添加した低収縮性導体ペーストによってスルーホ
ールを充填し、焼成してなる上記(1) のセラミック基
板。 (3)銀粉末または銅粉末を主成分とする導電粉末に、
該導電粉末に対して0.1重量%以上の酸化ルテニウム
粉末を添加した低収縮性のスルーホール充填用導体ペー
スト。 (4)酸化ルテニウムの含有量が上記導電粉末に対して
0.1〜15重量%である上記(3) のスルーホール充填
用導体ペースト。
【0008】本発明のセラミック基板は、そのスルーホ
ールに低収縮性の導体ペーストを充填して焼成したもの
である。ここで低収縮性の導体ペーストとは、焼成時の
収縮率が小さい導体ペーストを云い、スルーホール全体
にこのような低収縮性導体ペーストを充填して焼成する
ことにより、基板配線の接続信頼性が高いセラミック基
板を得た。低収縮性導体ペーストは銀粉末または銅粉末
を主成分とする導体粉末に酸化ルテニウム粉末を添加す
ることにより得られる。この導体ペーストは後述する実
施例に示すように、酸化ルテニウム粉末の添加により焼
成収縮率が大幅に低下している。
【0009】具体的には、銀粉末に酸化ルテニウム粉末
を添加した導体ペーストの焼成収縮率は、850℃で焼
成した場合、含有量によっても僅かに異なるが、図1に
示すように、0.1重量%で焼成収縮率の低下が認めら
れ、2.5〜15重量%の範囲で焼成収縮率はほぼゼロ
である。また、銅粉末に酸化ルテニウム粉末を添加した
導体ペーストの焼成収縮率は、図3に示すように、0.
1重量%で焼成収縮率の低下が認められ、2.5〜15
重量%の範囲で概ね10%未満である。従って、本発明
において低収縮性導体ペーストとは、銀粉末を主成分と
し、これに酸化ルテニウム粉末を添加したものは、添加
量が2.5〜15重量%の範囲で850℃における焼成
収縮率がゼロに近いものを云い、銅粉末を主成分とし、
これに酸化ルテニウム粉末を添加したものは、添加量が
2.5〜15重量%の範囲で850℃における焼成収縮
率が概ね10%未満のものを云う。導体ペースト中の酸
化ルテニウムの含有量は、図1および図2に示すよう
に、約0.1重量%の添加によって効果が認められ、
2.5〜15重量%の範囲で焼成収縮率が顕著に低下す
るが、添加量が増加すると相対的に導体ペースト中の導
体粉の量が少なくなるので、導体抵抗値は増加する傾向
になる。従って、酸化ルテニウム粉末の添加量は15重
量%以下が好ましい。
【0010】本発明のスルーホール充填用導体ペースト
は、銀粉末または銅粉末と酸化ルテニウム粉末とを上記
量比となるように混合し、既知の結合剤やその溶剤等を
適宜配合し混練することによって得ることができる。
銀、銅および酸化ルテニウムの各粉末は、例えば球状、
塊状、針状、鱗片状などの任意の形状のものを用いるこ
とができる。粒径も特に限定されないが、一例として、
銀粉末では平均粒径が5〜10μm 程度のもの、銅粉末
では平均粒径5〜10μm 程度のもの、酸化ルテニウム
粉末としては0.5〜2μm 程度の平均粒径のものが使
用される
【0011】結合剤としては、エチルセルロース、アク
リル樹脂等が用いられる。結合剤の使用量は上記粉末を
均一に分散保持し、ペースト状態を維持し得る程度の量
であればよい。具体的には、銀粉末または銅粉末と、酸
化ルテニウム粉末とからなる混合粉末100重量部に対
して、2〜10重量部程度の割合で使用される。溶剤と
しては、アセテート、テルピネオール等が挙げられる。
溶剤の使用量は結合剤の種類によっても異るが、導体ペ
ーストに適度の粘性が付与される量であればよい。具体
的には、結合剤100重量部に対して、10〜30重量
部程度の割合で使用される。これら結合剤や溶剤以外に
も、例えば導体ペーストに適度の流動性を付与する等の
目的で脂肪酸エステルなどの他の添加剤を既知の導体ペ
ーストにおけると同様に使用することもできる。また、
熱収縮をさらに防止するためにガラス粒子などの酸化物
粒子を少量添加してもよい。因みに、ルテニウムと同族
元素であるパラジウム粉末や白金粉末を酸化ルテニウム
粉末に代えて用いても導体ペーストの焼成収縮率を抑え
る効果は小さく、従って、従来用いられている銀−Pd
導体ペーストなどは本発明と同等の効果が得られない。
但し、パラジウム粉末や白金粉末を導電粉末として用
い、これを銀粉末または銅粉末に混合したものに酸化ル
テニウム粉末を添加しても良い。
【0012】
【実施例および比較例】以下、実施例および比較例によ
り本発明をさらに説明する。実施例1 本発明の導体ペーストを以下のようにして調製し、その
焼成収縮率および導体抵抗値を評価した。
【0013】(1)導体ペーストの調製 まず、平均粒径10μm の銀粉末と、平均粒径1μm の
酸化ルテニウム粉末とを用い、銀粉末に対する酸化ルテ
ニウムの割合が2.5重量%、5重量%、10重量%、
15重量%になるように配合した粉末原料(4種類)を
準備した。次いで、上記粉末原料のそれぞれに、ビヒク
ル(田中貴金属インタ-ナショナル 社製TRD-1)を加え、3本ロ
ールで混練することによって導体ペーストを得た。な
お、ビヒクルの配合量は粉末原料100重量部に対して
30重量部とした。また、比較対照として酸化ルテニウ
ム粉末を添加しない銀粉末のみからなる導体ペーストを
上記と同様の手法で作成した。これらの導体ペースト
(5種類)について、その焼成収縮率および導体抵抗値
を次の方法で評価した。
【0014】(2)導体ペーストの焼成収縮の評価方法 96%アルミナ基板(縦3インチ ×横3インチ ×厚さ0.635
mm)上に溶媒で希釈した導体ペーストを厚み75μm の
メタルマスクを使用し、2mm□に印刷した。その後、こ
の基板をクリーンオーブン中で、150℃、10分間乾
燥して、上記導体ペーストからなる2mm□の測定パッド
が所定間隔に設けられたアルミナ基板を得た。次いで、
上記アルミナ基板上の導体ペーストの厚みを測定した。
厚みの測定は、アルミナ基板上の2mm□の測定パッドか
ら任意に8箇所を選択して行なった。さらに、厚み測定
後のアルミナ基板をベルト式電気炉に入れ、850℃で
47分間焼成した後、焼成後のアルミナ基板の導体の厚
みを測定した。測定は上記乾燥後の測定点と同じ箇所を
再測定することによって行なった。焼成前後の導体の膜
厚から次式に従って焼成収縮率を算出した。焼成収縮率
(%) =[(焼成前の膜厚−焼成後の膜厚) /焼成前の膜
厚] ×100
【0015】(3)導体ペーストの導体抵抗値の評価方
96%アルミナ基板(縦3インチ ×横3インチ ×厚さ0.635
mm)を使用し、この基板上に焼成収縮率の場合と同じ導
体ペーストの線状パターンを印刷により形成した後、同
一条件で乾燥および焼成を施して、上記導体ペーストか
らなる線状の導体膜を表面に有するアルミナ基板を得
た。このアルミナ基板表面の導体膜について、サーペン
タインラインの膜厚(1箇所−4点)、線幅(1箇所−
4点)、および抵抗値(線長:70mm)を測定し、次式
に従って導体抵抗値を算出した。 導体抵抗(mΩ/□)=0.7×(R×W×t) 式中、Rは配線抵抗(Ω)、Wは線幅(mm)、tは膜厚
(mm)およびLは線長(mm)を表わす。
【0016】なお、焼成収縮率および導体抵抗値の評価
は5種類の導体ペーストのそれぞれについて、アルミナ
基板を2個使用して行なった。得られた結果を図1(焼
成収縮率)および図2(導体抵抗値)に示す。
【0017】図1から明らかなように、酸化ルテニウム
を含まない銀粉末のみからなる比較対照の導体ペースト
は焼成後に平均して約15%程度も収縮するのに対し
て、酸化ルテニウム粉末を含有する本発明の導体ペース
トの収縮率はほぼゼロであり、焼成前後の形状安定が極
めてよいことが分かる。また、図2に示すように、その
導体抵抗値は酸化ルテニウム粉末の添加量の増加につれ
て徐々に増加するが、5重量%含むものでも導体抵抗値
は23mΩ/□であり、導体材料として十分な値であっ
た。
【0018】実施例2 銅粉末(平均粒径10μm )を用いた以外は実施例1と
同様にして、酸化ルテニウム含有量が2.5重量%、5
重量%、10重量%および15重量%の導体ペーストを
調製した。また、実施例1と同じく酸化ルテニウム粉末
を添加しない銅粉末のみからなる導体ペーストを比較対
照として調製した。これらの導体ペーストについて、実
施例1と同様の手順で、その焼成収縮率および導体抵抗
値の評価を行なった。なお、導体ペーストを印刷したア
ルミナ基板はクリーンオーブンを使用し、120℃で1
0分間乾燥した。また、焼成はベルト式電気炉を使用
し、窒素雰囲気下に、920℃、60分間行なった。得
られた結果を図3(焼成収縮率)および図4(導体抵抗
値)に示す。図3および図4から明らかなように、銅粉
末の場合も上記銀粉末と同様に酸化ルテニウム粉末の添
加により焼成収縮率が小さく、かつ導体抵抗値も小さな
導体ペーストが得られることが分かる。
【0019】実施例3 直径0.4 mmのスルーホールが複数箇所設けられた96%
アルミナ基板(縦3インチ ×横3インチ ×厚さ0.635 mm)
に、実施例1で作成した酸化ルテニウム含有量が2.5
重量%の導体ペーストをスクリーン印刷方法を用いてス
ルーホール中に充填した。その後、このアルミナ基板を
150℃に保持したクリーンオーブン中で10分間乾燥
した後、850℃で10分間焼成することによって、図
5に示すようにスルーホール中に上記導体が満たされた
アルミナ基板を得た。このアルミナ基板のスルーホール
について、メタノールによる浸透試験、導体抵抗値の測
定、およびその表面と断面の目視観察を行なった。な
お、浸透試験は基板表面に露出しているスルーホールの
片面にメタノールを塗布し、反対面にメタノールが浸透
するか否かを目視観察することによって行なった。
【0020】その結果、スルーホール部の基板表裏間に
おける導体抵抗は0.9 mΩ/□であり、本例と同径の従
来のスルーホール壁面のみにメタライズされたタイプの
スルーホールにおける導体抵抗(通常2.7 〜4.8 mΩ/
□程度)と比べて格段に抵抗値が小さく、優れた結果を
得た。また、基板表面に露出したスルーホール充填部分
の表面には凹凸が全く観察されず、基板上の配線と同一
平面をなして密着して接続されていた。さらに断面の目
視観察の結果、スルーホール内部に空隙は全く観察され
ず、導体ペーストが孔壁に密着し、孔全体に均一に充填
されていることが確認された。スルーホール内部に空隙
などの欠陥がないことは、基板裏面へのメタノールの浸
透が全くなかったことからも裏付けられた。
【0021】比較例1 実施例1で作成した銀粉末のみからなる導体ペーストに
ついて実施例1と同様の焼成試験を行なった。この結果
を図1に併せて示す。さらに実施例3と同様にして、こ
の導体ペーストをアルミナ基板のスルーホールに充填
し、この基板について実施例3と同じ評価試験を行なっ
たところ、スルーホール表面には表から裏にかけての貫
通部分が見られ、メターノールが裏面に浸透した。
【0022】実施例4 導体ペーストを充填した後に、さらにガラスセラミック
からなる厚さ120μm のグリーンシートを45kg/cm
2 の圧力で積層したこと以外は実施例3と同様にして、
図6に示す構造のシート積層アルミナ基板を得た。この
基板について実施例3と同じ評価試験を行なったとこ
ろ、スルーホール上部のグリーンシート上には亀裂は見
られず、窪みも発生していなかった。また、スルーホー
ル内部には導体ペーストが密着して均一に充填されてお
り、空隙等の内部欠陥も全く観察されず、メタノールの
浸透もなかった。
【0023】比較例2 実施例4と同径のスルーホールを有するアルミナ基板を
用い、該基板に実施例1で作成した銀粉末のみからなる
従来の導体ペーストを充填し、さらに実施例4と同じ厚
みのセラミックシートを同じ圧力で積層することによっ
て、図6に示す構造のシート積層アルミナ基板を得た。
この基板について実施例3と同じ評価試験を行なったと
ころ、シート表面はスルーホール部で窪んでおり、その
窪み付近には亀裂が観察された。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
焼成収縮率が格段に小さく、焼成前後の形状安定に優れ
る導体ペーストが提供され、この導体ペーストをスルー
ホールに充填することにより、基板表面の配線とスルー
ホール導体との接続の信頼性が高いセラミック基板が得
られる。また、スルーホール内部を導体ペースで満たす
のでグリーンシートを積層する多層配線セラミックを製
造する場合に、スルーホールを覆う部分に亀裂などの欠
陥が発生せず、断線などの不都合がない信頼性の高い配
線をシート上に構築することができる。さらには、導体
抵抗の低い導体ペーストがスルーホール内部を満たすた
め、従来の壁面がメタライズされているスルーホールに
比べてスルーホールの導体量が増大し、スルーホールの
導体抵抗値が格段に向上する。この導体抵抗値の低下に
より、スルーホールの径を小さくすることができ、配線
密度の向上を図ることもできる。従って本発明はスルー
ホールに限らずビアホールにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の導体ペーストの焼成収縮率を示すグ
ラフ。
【図2】実施例1の導体ペーストの導体抵抗値を示すグ
ラフ。
【図3】実施例2の導体ペーストの焼成収縮率を示すグ
ラフ。
【図4】実施例2の導体ペーストの導体抵抗値を示すグ
ラフ。
【図5】本発明に係る導体ペーストを充填したスルーホ
ールを有するセラミック基板の断面図。
【図6】本発明に係る導体ペーストを充填したスルーホ
ールを有するセラミック基板の他を示す断面図。
【図7】スルーホールに導体ペーストが充填されていな
い従来のセラミック基板の断面図。
【図8】スルーホールに導体ペーストが充填されていな
い従来のセラミック基板の他の例を示す断面図。
【符号の説明】 1−スルーホール、 2−セラミック基板、 3−
配線、4−導体膜、 5−グリーンシート積層からな
るガラスセラミック、6−コーナー部
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】削除
フロントページの続き (72)発明者 江端 実 石川県松任市相木町383番地 ニッコー株 式会社内 (72)発明者 水島 清 石川県松任市相木町383番地 ニッコー株 式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック基板のスルーホールの充填に
    使用される導体ペーストあって、銀粉末または銅粉末か
    ら選択される導体粉末と該粉末に対して0.1重量%以上
    の酸化ルテニウム粉末とを含有することを特徴とするス
    ルーホール充填用導体ペースト。
  2. 【請求項2】 銀粉末または銅粉末から選択される導体
    粉末に対して0.1 〜15重量%の酸化ルテニウム粉末を
    含有する請求項1に記載のスルーホール充填用導体ペー
    スト。
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