JPH079427B2 - 抗原又は抗体濃度の測定方法 - Google Patents

抗原又は抗体濃度の測定方法

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JPH079427B2
JPH079427B2 JP60233347A JP23334785A JPH079427B2 JP H079427 B2 JPH079427 B2 JP H079427B2 JP 60233347 A JP60233347 A JP 60233347A JP 23334785 A JP23334785 A JP 23334785A JP H079427 B2 JPH079427 B2 JP H079427B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、抗原又は抗体濃度の測定方法に関する。
(従来の技術及び発明が解決しようとする問題点) 従来、不溶性担体粒子に物理吸着あるいは、共有結合の
形成により抗体または抗原を固定化し、該担体粒子に固
定化された抗体又は抗原に抗原又は抗体を反応させ、そ
の反応の進行に伴う反応混合物の吸光度の増加すなわち
透過率の減少からその抗原,抗体反応の速度を測定し、
あるいは反応の終結時点の反応混合物の吸光度又は透過
率と、反応開始前の抗原又は抗体の吸光度又は透過率と
の差を測定し、さらにその速度あるいは反応開始前と反
応終結時点との吸光度又は透過率の差から被検体中の抗
原又は抗体の濃度を定量する方法が知られている。
そして、この方法によれば、抗原又は抗体の濃度を高い
精度で迅速に定量しうる利点を有する。しかし以下のよ
うな欠点が存在する。例えば不溶性担体粒子に抗体を固
定化した場合、抗原分子数が抗体分子数に比較して少な
い領域では抗原抗体反応物が、抗原分子数の増加に比例
して増加し、抗原分子数が抗体分子数より過剰の領域で
は、余剰の抗原が本来ならば凝集に寄与しうる抗体分子
を中和し、抗原分子数の増加に対して、逆に抗原抗体反
応物が減少する。前者は一般に抗原(抗体)過少領域と
呼ばれ後者は一般に抗原(抗体)過剰領域と呼ばれる。
この現象により、一般に一つの抗原抗体反応濃度に対し
て、複数の抗原又は抗体濃度が対応する。ここで抗体と
抗原を入れ替えても同一現象がみられる。
臨床検査に於ては、上記抗原過剰領域に属する被検液は
一般にその出現頻度は小さいが、抗原過剰領域に属する
被検液を誤まって抗原過少領域のものと評価した場合
は、臨床上重大な過失となる。さらには、この様な誤ま
りが発生する測定方法は臨床上の有意性が乏しいものと
なる。従って従来この様な誤まりの発生を防ぐ為に、同
一被検液に対して希釈率を変えた2以上の希釈液につい
て測定を行なう方法又は測定終了後さらに抗原又は抗体
を添加し、抗原抗体反応物濃度を測定し、抗原又は抗体
の添加により抗原抗体反応物濃度が変化しない場合に被
検液が抗原過剰領域又は抗体過剰領域に属すると判断す
る方法等が提案されている。いずれの方法に於ても同一
被検液に対して複数回の測定が必要である。
しかるに、短時間に多数の被検液を測定しうる自動測定
機が近年出現するに及び、単一測定操作内に抗原過剰領
域又は抗体過剰領域に属するか否か判別しうる測定方法
の開発が望まれて来た。
(問題を解決するための手段) 本発明者らは、自動測定機による短時間に多数の被検液
を測定しうるに好適な測定方法を確立する目的で鋭意研
究して来た。
その結果本発明者らは、詳しくは後述するが、第1図に
示す如く、抗体を固定化したポリスチレンラテックス懸
濁液に抗原過少領域に属する抗原濃度を持つ血清及び抗
原過剰領域に属する抗原濃度を持つ血清の2種の被検液
を各々別々に添加し、例えば約2秒攪拌した後それぞれ
5秒後と60秒後との吸光度の差を測定したところ両被検
液の示す吸光度の差が一致した。すなわちこの現象は、
前記した如く、一つの抗原抗体反応物濃度に対し2つの
異なる抗原濃度が対応している事を示す。そこで被検液
添加後経時時間に対する吸光度の変化を詳細に検討した
ところ、被検液添加後5秒と10秒後及び10秒と15秒後の
2ケの特定時間に対する吸光度の差の比を求めると両被
検液の該比の値が大きく異なる事を見出した。
さらに種々の抗原濃度を示す血清につき各々複数回測定
し、該吸光度の差の比の再現性を検討したところ抗原濃
度を示す被検液に於ては、各特定時間に対する吸光度の
差の比の値の再現性は極めて良好であり、かつ単調増加
又は単調減少することから抗原過剰又は過少領域に属す
るか否かの判別に該吸光度の差の比が有効である事を見
い出し下記本発明を完成さすに到った。なお本発明者ら
は抗原と抗体とを逆にしても上記現象は同一の現象であ
ることも確認した。
即ち、本発明は、不溶性担体粒子に抗体又は抗原を固定
化し、該担体粒子に固定化された抗体又は抗原に、既知
の種種濃度の抗原又は抗体を反応させ、それぞれ一定時
間をおいて2点以上の経時的に変化した時点で光を照射
し、上記反応における反応物の光の吸光度を測定し、該
一定時間における吸光度の差と抗原又は抗体濃度との間
の対応曲線(A)を求め、且つ、別に上記反応における
2以上の任意の時点の特定時間に対する光の吸光度の差
の比と抗原又は抗体濃度との間の対応曲線(B)を求
め、次いで、未知濃度の試料について前記同様に一定時
間をおいた2以上の時点における光の吸光度の差と2以
上の時点における特定時間に対する光の吸光度の差の比
とを測定し、該吸光度の差の比の値から対応曲線(B)
によって読みとられる抗原又は抗体濃度の値と、対応曲
線(A)における吸光度の差の極大となる抗原又は抗体
濃度とを比較して低濃度領域に属するか或いは高濃度領
域に属するかを判定し、該当判定領域において、前記未
知濃度試料における光の吸光度の差の値と一致する対応
曲線(A)上の吸光度の差の値に相当する濃度を読みと
ることを特徴とする抗原又は抗体濃度の測定方法であ
る。
本発明においては不溶性担体粒子に抗体又は抗原を固定
化し、該担体粒子に固定化された抗体又は抗原に抗原又
は抗体を反応させ、2点以上の経時的変化した時点で光
を照射し、上記反応における反応物の光の吸光度の変化
を測定し、一定時間に於ける該吸光度又は透過率の差を
求めることを行う。
一般に上記不溶性担体粒子は抗原・抗体反応に使用され
る公知のものが特に限定されず使用される。例えばその
平均粒子径は1.0μm程度以下、好ましくは0.05〜0.4μ
mの不溶性担体粒子が好適に用いられる。これに抗体又
は抗原を固定化し、次いで被検液中の抗原又は抗体を反
応させ、その反応混合物の吸光度を例えば400〜1000nm
好ましくは500〜950nmの範囲の波長の光線で測定し、そ
の反応速度ないしは反応開始前と反応終結時点との吸光
度の差を求める。上記の方法に於いて被検液中の抗原又
は抗体はそのいずれかが含まれるのが一般的であるが抗
原及び抗体の混合物として使用することも出来る。
測定に用いる光線は反応の進行に対する吸光度が比較的
大きく感度に優れかつ、被検液中に通常共存する乳ビ,
ヘモグロビン,ビリルビン等の干渉が比較的少ない上記
波長域が好適である。
不溶性担体粒子の粒子径については、粒子径が大きい場
合凝集に伴う粒子径の変化量は大きいが凝集反応速度が
遅く、粒子径が小さいとブラウン運動性が活発で凝集反
応速度は速いが一次粒子径が小さい為に凝集反応にとも
なう粒子径の変化量は小さい。本発明に於て以上の理由
より上記粒子径と測定波長との組み合せが好適である。
前記不溶性担体粒子としては測定を行なう時に用いられ
る液体媒体に実質的に不溶性で、前記平均粒子径を有す
る物質の粒子が使用される。これらの粒子はすでに抗原
抗体反応に使用されるものが種々知られていて本発明に
あってもこれらの公知の微粒子が特に限定されず使用出
来る。特に好適に使用されるものを例示すると例えばポ
リスチレン,スチレン−ブタジエン共重合体,スチレン
−メタクリル酸共重合体,ポリグリシジルメタクリレー
ト,アクロレイン−エチレングリコールジメタクリレー
ト共重合体の様な乳化重合により得られる有機高分子ラ
テックス等の有機高分子物質の微粒子あるいはシリカ,
シリカ−アルミナ,アルミナの様な無機酸化物又は該無
機酸化物等にシランカップリング処理等の操作で官能基
を導入した無機粒子等である。
本発明に於て抗体又は抗原は、特に限定的でなく、公知
のものが使用できる。好適に使用される代表的なものを
例示すれば、例えば、変性ガンマグロブリン,抗核因
子,ヒトアルブミン,抗ヒトアルブミン抗体,イムノグ
ロブリンG(IgG),抗ヒトIgG抗体,イムノグロブリン
A(IgA),抗ヒトIgA抗体,イムノグロブリンM(Ig
M),抗ヒトIgM抗体,抗ヒトIgE抗体,ストレプトリジ
ンO,ストレプトキナーゼ,ヒアルロニダーゼ,C−反応性
蛋白(CRP),抗ヒトCRP抗体,アルファ−フエトプロテ
イン(AFP),抗AFP抗体,癌胎児性抗原(CEA),抗ヒ
トCEA抗体,ヒト絨毛性ゴナドトロビン(HCG),抗HCG
抗体,抗エストロゲン抗体,抗インシュリン抗体,B型肝
炎表面抗原(HBs),抗HBs抗体,梅毒トレポネマ抗原,
風疹抗原,インフルエンザ抗原,補体C1q,抗C1q抗体,
抗C3抗体,抗C4抗体,抗トランスフエリン抗体,等であ
る。
本発明に於てはこの様な不溶性担体粒子に測定対象の被
検液中の抗原又は抗体と反応しうる抗体又は抗原を固定
化する。
この場合上記固定化方法は物理的吸着、化学的共有結合
の形成のいずれでも良いが、物理的吸着能の高い蛋白例
えば抗体や高分子量蛋白の固定には物理的吸着が好適で
あり、物理的吸着能の低いホルモン類,ハプテン類の固
定化には化学的共有結合の形成が好適に用いられる。固
定化方法についてはすでに多くの方法が提案されてお
り、固定化する抗体又は抗原の特性に合わせ公知の方法
から固定化方法を選択すると良い。一般には分散媒中で
抗体又は抗原を必要に応じて緩衝液又は架橋剤存在下に
不溶性担体粒子を混合すればよい。上記抗体又は抗原を
固定化した不溶性担体粒子の分散媒は特に限定されない
が、不溶性担体粒子の保存中の安定性と、凝集反応時の
反応の再現性の観点からみて、グリシン−水酸化ナトリ
ウム緩衝液,トリス−塩酸緩衝液,塩化アンモニウム−
アンモニア緩衝液,リン酸緩衝液等の緩衝液が好適に使
用される。
上記抗体又は抗原を固定化した不溶性担体粒子濃度は特
に限定されるものではないが一般には該濃度が抗原抗体
反応時点で0.005重量%以上好ましくは0.02〜0.20重量
%となる様に選ぶのが好適である。
該懸濁液を用いて被検液中の抗原又は抗体濃度を測定す
る方法は次の2種の方法が好適に採用される。勿論被検
液中の抗原又は抗体はこれらの混合物の状態で使用して
もよい。
先ず前記2つの方法のうちの一つの方法は、該懸濁液と
被検液とを実質的に一定条件下で反応させ、反応開始後
一定時間を経過した後の一定時間内に於ける吸光度の差
を求める方法である。この方法に於ては該懸濁液と被検
液とを、好ましくは一定条件の攪拌下に混合し、好まし
くは攪拌終了後2〜3秒以後の2以上の時点で測定する
のが望ましい。
他の1つの方法は、被検液を分散媒で希釈し、反応開始
前、すなわち、抗体又は抗原を固定化した不溶性担体粒
子を添加する前に吸光度を測定する。次いで被検液と抗
体又は抗原を固定化した不溶性担体粒子とを実質的に一
定条件下で反応させ、反応終結時点に於ける吸光度を測
定し、反応開始前と反応終結時点との吸光度の差を求め
る方法である。この方法に於ては不溶性担体粒子濃度が
反応時に上記懸濁液中の濃度となるように希釈倍率を考
慮して懸濁液濃度を設定する必要がある。又実質的な反
応終結に要する時間をあらかじめ設定しておく必要があ
る。
この様な抗原又は抗体濃度の測定方法は例えば以下の如
く実施しうる。
まず一定の平均粒子径を有する不溶性担体粒子にある一
定の抗体又は抗原を固定化し、該懸濁液を調製する。次
いで被検液中に含まれる抗原又は抗体と同一又はほぼ同
一の抗原又は抗体を、被検液の媒体と同一又はほぼ同一
の媒体を用いて希釈しあるいは濃縮し、種々の既知濃度
の標準被検液を調製する。次いで一定条件下に於て該懸
濁液と該標準被検液とを混合し、前述の2方法のいずれ
かにより、反応開始後の一定時間内に於ける吸光度の
差、あるいは反応開始前と反応終結時点の吸光度の差を
得る。次にこの吸光度の差を例えば縦軸に、標準被検液
中の抗原又は抗体濃度を例えば横軸としたグラフにプロ
ットすると、例えば第2図に示すような被検液中の抗原
又は抗体濃度と反応混合物の吸光度の差の対応曲線
(A)即ち検量曲線(A)が得られる。
次いで標準被検液中の抗原又は抗体と同一又はほぼ同一
の抗原又は抗体を含む濃度未知の被検液につき、上記対
応曲線(A)を得た条件と同一条件下で吸光度の差を
得、上記対応曲線(A)と対比する事により被検液中に
含まれる抗原又は抗体量を測定しうる。しかしながら前
記した如く一般には一つの抗原抗体反応物濃度に複数の
抗原又は抗体濃度が対応し、抗原又は抗体濃度が一義的
に決定できない。
そのために本発明にあっては次のような操作で対応曲線
(B)を作成する。
すなわち、上記対応曲線(A)を得たと同一の測定操作
内に於て、反応開始後、好ましくは該懸濁液と被検液と
を攪拌し、混合した後さらに2〜3秒以上経過し実質的
に反応系が安定化した後の2以上の特定時間に対する反
応物の吸光度の差を測定し、次いでそれぞれの特定時間
に対して得られた吸光度の差の比を求める。上記特定時
間の設定は特に限定的ではないが一般には、上記反応が
開始後の基準経過時(a秒後)から更に一定時間経過後
(b秒後)のそれぞれの吸光度を測定し、その差(Δ
E1)を算出し、更に上記b秒後の吸光度を基準値とし更
に一定時間経過後(c秒後)の吸光度を測定し該基準時
(b秒後)との差(ΔE2)を算出する。この両者の比即
ちΔE1/ΔE2を算出し、各既知濃度に於ける対応曲線
(B)を作成する。上記ΔE1又はΔE2を算出するための
特定時間の設定の仕方は各既知濃度の資料についての測
定で同一のものを選ぶ限り限定されるものではない。例
えば吸光度の基準値を常にa秒後に設定し、上記b秒と
c秒をそれぞれ2秒後と4秒後に測定することによりa
秒→b秒(ΔE1)とa秒→c秒(ΔE2)を算出すること
も出来る。この場合は前記と同様に少くとも3点の吸光
度の測定で前記任意の2つの特定時間に対する光の吸光
度の比を算出出来る。勿論経時的に異なる時間間隔で4
点の吸光度を測定すればその2点間の特定時間に対応す
る吸光度の差を算出出来、この両者の差の比も算出出来
る。従って本発明に於ける前記吸光度の比は最低3点の
経時変化の吸光度を測定することで求めうる。
標準被検液について得た上記吸光度の比を例えば縦軸
に、標準被検液中の抗原又は抗体濃度を例えば横軸とし
たグラフにプロットすると、被検液中の抗原又は抗体濃
度と反応混合物の吸光度の差の比の対応曲線(B)が得
られる。かくして得られた対応曲線(B)は被検液中の
抗原又は抗体濃度の全変化域に対し単調増加又は単調減
少を示す曲線である。
一方前記対応曲線(A)は免疫血清学でいうところの抗
原抗体量の最適比近傍で極大値を持つ曲線である。本発
明の抗原又は抗体濃度の測定に際してはこの極大値を示
す抗原又は抗体濃度に対応する対応曲線(B)の値を基
準とする。即ち濃度未知の被検液の測定につき、上記対
応曲線(A)及び対応曲線(B)を得た条件と同一条件
下で吸光度の差及び吸光度の比を得、上記対応曲線
(A)及び対応曲線(B)と対比する。次に対応曲線
(B)との対比より該被検液に於ける吸光度の差の比の
値が上記基準に対しいずれの領域に属するかを判別す
る。すなわち該被検液中の抗原又は抗体濃度が対応曲線
(A)に於ける極大値を示す抗原又は抗体濃度に対して
いずれの領域に属するかを判別する事により該被検液中
の抗原又は抗体濃度が一義的に決定できる。
なお特定時間の設定について、特定時間のうち少くとも
一方、反応の初期すなわち被検液を添加し次いで攪拌し
た後2,3秒後からとする場合に該被検液に於ける吸光度
の差の比の値が、該被検液中の抗原又は抗体濃度に対し
鋭敏に対応した。従って特定時間のうち少くとも一方は
測光可能な限り反応の初期に設定する事が好ましい。
なお特定時間の間隔及び他の特定時間の設定については
吸光度の変化量を勘案して測定する抗原又は抗体ごとに
好適な条件を選択すれば良い。
以上の説明で明らかなように、例えば第1図に示す如く
一定時間に於ける光の吸光度の差が同一でかつ抗原濃度
が異なる2種の被検液について特定時間(1)と特定時
間(2)に於ける光の吸光度の差の比を求めると両者は
明らかな差を示す。そしてこの比の値によって被検液が
抗原過少領域に属するか抗原過剰領域に属するかの判定
を出来るのである。
この現象の説明として本発明者らは、この現象が以下の
反応過程に従っているものと推定している。すなわち不
溶性担体が凝集に到るまでにまず遊離の抗原と不溶性担
体に固定化された抗体との間の反応(1)が生じ、次い
で不溶性担体と反応した抗原と他の不溶性担体に固定化
された反応に寄与しうる抗体との間の反応(2)とから
成る。各反応はそれぞれの抗原と抗体との衝突頻度すな
わち抗原濃度と抗体濃度の積に依存しており、抗原過少
領域に於ては抗原過剰領域に於ける場合と比較して反応
(1)に於ける遊離抗原濃度が低く反応(1)の速度が
相対的に低いのに対し、反応(2)に於ける反応に寄与
しうる抗体の濃度が高い為に反応(2)の速度が相対的
に高くなる。一般に、吸光度は系中の凝集粒子の大きさ
によって変化する。即ち、大きな凝集粒子が生成するほ
ど、系の吸光度は増大する。
抗原過少領域では前述の通り反応(1)及び反応(2)
が進行して抗原の量に応じて凝集粒子が生長しその大き
さに応じて吸光度が上昇していく。一方、抗原過剰領域
では抗原が過剰にあるため反応(1)が優先的におこる
結果、更に凝集粒子を生長させる未反応の抗体の残存量
が少なくなる。この結果凝集粒子はある程度まで生長す
るもののそれ以上生長せず、抗原量がある量を越えると
逆に吸光度が減少するという現象を生じる。
上記理由により、二つの抗原濃度で同じ吸光度又は透過
率の差の値を有するようになると考えられる。
上記説明において抗原と抗体とを入れ替えても同じであ
り、特定時間を異なる時間間隔としても何ら差しつかえ
ない。
(発明の効果) 本発明による抗原又は抗体濃度の測定方法は単一測定操
作内に於て抗原過剰又は抗体過剰か否かの判別ができ、
かつ判別及び定量に用いる吸光度の測定回数は、一定時
間が反応開始後にある場合最低3回あるいは一定時間が
反応開始前後にまたがる場合最低で反応前1回反応後3
回である。従って本発明による抗原又は抗体濃度の測定
方法は短時間に多数の被検液を処理する自動測定の場合
に特に有用であり、かつ自動測定機の測定方法ないしは
測光部への試料の搬送方法に対する制約も少なく広く一
般の自動測定機への実施が期待できる。このような簡単
な操作で抗原(抗体)過剰領域か抗原(抗体)過少領域
かの被検液の抗原(抗体)濃度が間違いなく判断され、
測定されうるのである。この効果は本発明の属する分野
では極めて多大な寄与をするものである。
(実施例) 以下、実施例によりさらに本発明を詳細に説明するが本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 (1)C−反応性蛋白質測定試薬の調製 平均直径0.123μmのポリスチレンラテックス粒子を塩
化アンモニウム−アンモニア緩衝液(pH=8.0)で希釈
しラテックス濃度が1重量%の懸濁液を調製する。次い
でC−反応性蛋白質(以下CRPと略す)をヤギに免疫し
て得た抗CRP血清より塩析処理により分画した抗CRPヤギ
IgG分画を塩化アンモニウム−アンモニア緩衝液(pH=
8.0)で希釈し、蛋白濃度2mg/mlの溶液を調製する。上
記ラテックス懸濁液1容に抗CRPヤギIgG分画の溶液1容
を加え37℃で2時間反応させた。次いで遠心分離し、上
清を除去した後沈でんをウシ血清アルブミンを0.05重量
%の濃度で添加した塩化アンモニウム−アンモニア緩衝
液(pH=8.0)で再分散しラテックス濃度を0.05重量%
に調製し、CRP測定試薬を得た。
(2)測定方法 日立製作所製U-3200型自記分光光度計の測光部に、温度
調節器及びマグネット式攪拌装置を取り付けた装置によ
り吸光度を測定した。光路長10mmのガラス製光学セルに
円筒状の攪拌子を入れ、次いで(1)で得たCRP測定用
試薬2450μlを分注し、測光部に挿入し、37℃に保温し
た。
次いで該攪拌装置によりCRP測定用試薬を攪拌しつつ、
被検液50μlを添加した。添加と同時に吸光度の測定を
開始した。吸光度の測定は、580nmの波長の光線を用い
て行なった。なお攪拌は被検液添加後3秒で停止した。
(3)既知試料の測定 CRP濃度22.4mg/dlの血清を、塩化アンモニウム−アンモ
ニア緩衝液(pH=8.0)で希釈し、CRP濃度が0.41,1.24,
3.73,7.46,11.2mg/dlの被検液を得た。一方上記血清を
濃縮し、CRP濃度が44.8,89.6mg/dlの被検液を得た。
(2)の測定条件下で上記7種の被検液及びCRP濃度22.
4mg/dlの血清、さらに塩化アンモニウム−アンモニア緩
衝液につき吸光度を各5回測定した。得られた吸光度の
うち、被検液添加後6秒後と12秒後、18秒後、60秒後の
吸光度より、一定時間に対する吸光度差として、被検液
添加60秒後の吸光度より6秒後の吸光度を減じた値を得
た。一方2特定時間の吸光度の差の光として、被検液添
加12秒後と6秒後の吸光度の差を、被検液添加18秒後と
12秒後の吸光度の差で除した値を得た。この結果を表1
に示した。
次に、第1表に示した一定時間に対する吸光度の差の平
均値を縦軸とし、添加被検液中のCRP濃度を横軸として
第2図に示す対応曲線(A)を得た。ここに於て該差の
値をx,該CRP濃度をymg/dlとすると対応曲線(A)の極
大値よりCRP低濃度側の曲線はy=0.0830+27.43x-73.66x2
+96.05x3(式1)で、CRP高濃度側は y=186.5-608.0x+907.1x2-625.9x3(式2)で良好に近似
できた。
一方2特定時間に対する吸光度の差の比の平均値を縦軸
とし、添加被検液中のCRP濃度を横軸として第3図に示
す対応曲線(B)を得た。第1表に於ける該差の値の極
大値はCRP濃度が11.2mg/dlの時に得られ、このCRP濃度
に於ける該差の比の値1.251を対応曲線(A)の極大値
に相当する該差の比の基準値とした。
第1表に示した該差の値に於て各5回の測定値の変動係
数は被検液として塩化アンモニウム−アンモニア緩衝液
を添加した場合以外は5%以下と良好であった為、測定
可能範囲をCRP濃度0.41mg/dl以上とした。
一般にCRP強陽性患者血清中のCRP濃度は40mg/dl以下で
あり、既知濃度被検液のうちCRP最高濃度である89.6mg/
dlは臨床上測定必要な範囲の上限を越えた値と考えられ
る。
なおCRP濃度未知の被検液を測定するに当たっては、ま
ず該差の値と0.0121とを比較し該差の値が0.0121未満で
あれば測定可能なCRP濃度の下限であると判断する。該
差の値が0.0121以上の場合は、次いで該差の比の値と1.
251とを比較し、該差の比の値が1.251以下の場合は該差
の値をxとして上記(式1)により被検液中のCRP濃度y
mg/dlを求める。該差の比の値が1.251を越す場合は上記
(式2)によりCRP濃度を求めることとした。
(4)未知試料の測定 CRP濃度未知の血清を(2)の測定方法で測定したとこ
ろ該差の値0.5872と該差の比の値1.322を得た。対応曲
線(A)の極大値に対応する該差の比の基準値1.251に
比して、上記該差の比の値が大である為、該差の値を
(式2)に適用してCRP濃度15.5mg/dlを得た。次いで上
記血清を塩化アンモニウム−アンモニア緩衝液(pH=8.
0)で1.5倍及び5倍に希釈し、(2)の測定方法で測定
したところ、1.5倍希釈被検液は該差の値0.5844及び該
差の比の値1.221を示し5倍希釈被検液は、該差の値0.1
738及び該差の比の値0.944を示し、これにより1.5倍希
釈被検液中のCRP濃度は10.1mg/dl及び5倍希釈被検液中
のCRP濃度は3.13mg/dlと求まった。
さらに5倍希釈被検液をヘキスト社製一元免疫拡散法に
よるCRP定量試薬であるLCパンチゲンCRPによりCRP濃度
を測定したところ3.2mg/dlを示し、本発明による方法に
より血清中の濃度が広範囲に分布するCRPの測定に於て
抗原過少領域から抗原過剰領域にわたり良好に測定する
事を示した。
実施例2 (1)リウマチ因子測定試薬の調製 平均直径0.220μmのポリスチレンラテックス粒子をグ
リシン‐NaOH緩衝液(pH=8.3)で希釈しラテックス濃
度が1重量%の懸濁液を調製した。次いで60℃で10分間
加熱処理したヒトイムノグロブリンGをグリシン‐NaOH
緩衝液(pH=8.3)により希釈し蛋白濃度を2mg/mlに調
製した。上記ラテックス懸濁液1容に上記熱変性したヒ
トイムノグロブリンG希釈液1容を加え、よく混合し室
温下2時間放置した。
次いで遠心分離し、上清を除去した後、沈でんにウシ血
清アルブミンを0.1重量%の濃度で添加したグリシン‐N
aOH緩衝液(pH=8.3)を添加し、再分散し、ラテックス
濃度を1重量%に調製した。
以上の操作により、リウマチ因子(抗体)に対し抗原性
を有する熱変性ヒトイムノグロブリンGを固定化した、
リウマチ因子測定試薬を得た。
(2)測定方法 実施例1で用いた装置を用い700nmの波長の光の吸光度
を測定した。
まず光路長10mmのガラス製光学セルに円筒状の攪拌子を
入れ、次いでグリシン‐NaOH緩衝液を2400μl分注し、
測光部に挿入し、37℃に保温した。
次に、被検液50μlを添加し、10秒間攪拌し、被検液添
加後2分経過した時点で試料液の吸光度を測定した。
次いで試料液を攪拌しつつ(1)で得たリウマチ因子測
定試薬50μlを被検液添加後2分30秒経過した時点で添
加し、リウマチ因子測定試薬添加8秒後に攪拌を停止し
た。
特定時間としてリウマチ因子測定試薬添加後12秒後と30
秒後及び30秒後と48秒後の2特定時間を選び、被検液添
加後2分経過した時点と被検液添加後7分30秒経過した
時点すなわち、反応開始後5分経過した時点との間の6
分間を一定時間として吸光度を測定した。ここに於て反
応時のラテックス濃度は0.02重量%である。
(3)既知試料の測定 リウマチ因子濃度500IU/mlの血清を、グリシン‐NaOH緩
衝液(pH=8.3)で希釈し、リウマチ因子濃度が10,20,4
0,60,90,120,180,250,350IU/mlの被検液を得た。これに
グリシン‐NaOH緩衝液及び上記血清を加えた合計11種の
リウマチ因子濃度既知の被検液につき(2)の測定条件
下で吸光度を各5回測定した。
得られた吸光度より、一定時間に対する吸光度の差とし
て、反応開始5分後の吸光度より、反応開始30秒前の吸
光度を減じた値を得た。一方2特定時間の吸光度の差の
比として、反応開始48秒後と30秒後の吸光度の差を、反
応開始30秒後と12秒後の吸光度の差で除した値を得た。
この結果を表2に示した。
なお、反応開始5分後から6分後までの間の吸光度変化
は、いずれも0.002以下の吸光度増加であり、反応開始
後5分経過した時点で該反応は実質的に終結していた。
一定時間に対する吸光度の差の平均値を縦軸とし、添加
被検液中のリウマチ因子濃度を横軸として第4図に示す
対応曲線(A)を得た。ここに於て該差の値をx,該リウ
マチ因子濃度をyIU/mlとすると対応曲線(A)の極大値
よりリウマチ因子低濃度側の曲線は、 と置いて、自然対数の3次多項式 y=-51.96-53.05x′-6.096(x′)2-0.2101(x′)3(式3) により、リウマチ因子高濃度側の曲線は y=exp(18.59-17.62x) (式4) により良好に近似できた。但し被検液としてグリシン‐
NaOH緩衝液を用いた場合の該差の値を(式3)に適応し
たところ4.8IU/mlを示した為、(式3)(式4)の適応
範囲をリウマチ因子濃度10IU/ml以上とした。
一方2特定時間に対する吸光度の差の比の平均値を縦軸
とし、添加被検液中のリウマチ因子濃度を横軸として第
5図に示す対応曲線(B)を得た。第2表に於ける該差
の値の極大値はリウマチ因子濃度が90IU/mlの時に得ら
れ、このリウマチ因子濃度に於ける該差の比の値1.831
を対応曲線(A)の極大値に相当する該差の比の基準値
とした。
慢性リウマチ関節炎患者の中には稀に極めて強陽性を示
す者が存在する。この為に、(2)で示した測定条件に
より、リウマチ因子濃度が極めて高く、RAHA法により×
40960以上示す患者血清10例につき測定し、該差の値を
求めたところ、いずれも0.6815〜0.6927の範囲であり、
該差の比の値は1.578〜1.601の範囲の値を示し、リウマ
チ因子高濃度血清に対し誤まって低濃度と判別しない事
を確認した。
次にリウマチ因子濃度10IU/mlの被検液の5回の測定に
於ける該差の比の値は、1.754,1.816,2.014,2.231,2.33
5であり5回中2回は該差の比の基準値より低い該差の
比の値を示し、対応曲線(A)の極大値より高濃度側の
値と誤まる場合がある事がわかった。
従って未知濃度試料を測定するに当たっては、まず該差
の値と0.6410を比較し、誤差の値が0.6410より小ならば
検量線適応下限濃度である10IU/ml以下と判断する。
次いで該差の値が0.6410以上で0.6815未満の場合は被検
液中のリウマチ因子濃度が、対応曲線の極大値に比して
低濃度側にあると判断し、該差の値を(式3)に適用し
て被検液中のリウマチ因子濃度を求める。
さらに該差の値が0.6815以上の被検液については本発明
による方法により該差の比の基準値と該差の比の値とを
比較し、被検血清中のリウマチ因子濃度が対応曲線
(A)の極大値を示すリウマチ因子濃度に比較して高低
いずれの濃度域にあるかを判別し、低濃度領域にある場
合には該差の値を(式3)に適応し、高濃度領域にある
場合には該差の値を(式4)に適応して、被検液中のリ
ウマチ因子濃度を求める。
(4)未知試料の測定 リウマチ因子濃度未知の血清を(2)の測定方法で測定
したところ該差の値として0.7322、該差の比の値として
1.634を示した。
該差の値は0.6815以上であるので、該差の比の値1.634
と該差の比の基準値1.831とを比較し、該被検液中のリ
ウマチ因子濃度は対応曲線(A)の極大値を示す血清の
リウマチ因子濃度より高濃度領域にある事を示した。
上記該差の値を式4に適応しリウマチ因子濃度を求める
と295IU/mlとなった。
次いで上記血清をグリシン‐NaOH緩衝液で5倍及び25倍
に希釈し、(2)の測定方法で測定したところ、5倍希
釈被検液は該差の値0.7655及び該差の比の値1.630よ
り、5倍希釈被検液中のリウマチ因子濃度は対応曲線
(A)の極大値を示す血清のリウマチ因子濃度よりも低
濃度領域に存在する事を示し、該差の値を(式3)に適
用してリウマチ因子濃度59.4IU/mlを得た。さらに25倍
希釈被検液は該差の値0.6433及び該差の比の値1.822を
示し、該差の値が0.6410以上0.6815未満である事よりリ
ウマチ因子濃度10.7IU/mlを得た。
実施例3 (1)ヒトIgG測定試薬の調製 平均直径0.123μmのポリスチレンラテックス粒子を、
トリス−塩酸緩衝液(pH=7.5)で希釈し、ラテックス
濃度が1重量%の懸濁液を調製する。次いでヒト血清よ
り得たヒトイムノグロブリンG(以下ヒトIgGと略す)
をトリス−塩酸緩衝液(pH=7.5)で希釈し、蛋白濃度2
mg/mlの溶液を調製する。上記懸濁液1容と溶液1容と
を混合し、37℃で2時間反応させた。次いで遠心分離
し、上清を除去した後、沈でんをウシ血清アルブミンを
0.05重量%の濃度で添加したトリス−塩酸緩衝液(pH=
7.5)で再分散し、ラテックス濃度を0.05重量%に調製
し、ヒトIgG測定試薬を得た。
(2)測定方法 実施例1で用いた装置を用い、580nmの波長の光の吸光
度を測定した。
まず光路長10mmのガラス製光学セルに円筒状の攪拌子を
入れ、次いでトリス−塩酸緩衝液を2000μl分注し、測
光部に挿入し、37℃に加温した。
次にヒトIgGをウサギに免疫して得た抗ヒトIgGウサギ血
清200μlを該セル中に注入し、次いで被検液50μlを
加え攪拌し、ヒトIgG測定に供する試料液を得た。
次に試料液を攪拌しつつ(1)で得たヒトIgG測定試薬2
50μlを添加した。添加と同時に吸光度の測定を開始し
た。なお反応時のラテックス濃度は0.10重量%であり攪
拌は被検液添加後3秒で停止した。
(3)既知試料の測定 ヒト血清より得たヒトIgG溶液(ヒトIgG=10,000mg/d
l)をトリス−塩酸緩衝液(pH=7.5)で希釈し、ヒトIg
G濃度が4000,2000,1250,1000,800,667,333,100,33,10mg
/dlの被検液を得た。これに上記ヒトIgG溶液及びトリス
−塩酸緩衝液を加えた合計12種のヒトIgG濃度既知被検
液に対して、(2)の測定条件下で吸光度を各5回測定
した。得られた吸光度のうち、被検液添加後6秒後と、
12秒後、18秒後、60秒後の吸光度より、一定時間に対す
る吸光度差として、被検液添加60秒後の吸光度より6秒
後の吸光度を減じた値を得た。
一方2特定時間の吸光度の差の比として被検液添加12秒
後と6秒後の吸光度の差を、被検液添加18秒後と12秒後
の吸光度の差で除した値を得た。この結果を表3に示し
た。
実施例1と同様にして対応曲線(A)及び対応曲線
(B)を得た。結果を第6図及び第7図に示した。
第6図に示した対応曲線(A)の極大値よりヒトIgG高
濃度側すなわち、抗体過少側の曲線は、該差の値をx、
該ヒトIgG濃度をymg/dlとすると、yの逆数に対するx
の3次多項式 1/y=-8.358×10-5+1.865×10-2x-8.929×10-2x2+1.475
×10-1x3 (式5) により、ヒトIgG低濃度側すなわち抗体過剰側の曲線は により良好に近似できた。
第3表に於ける該差の値の極大値はヒトIgG濃度が667mg
/dlの時に得られ、このヒトIgG濃度に於ける該差の比の
値2.055を対応曲線(A)の極大値に相当する該差の比
の基準値とした。
なお一般にヒト血清中のヒトIgG濃度は800〜1800mg/dl
の範囲で異常値の場合でも100〜10000mg/dlの程度の範
囲内にあると言われている。
従ってヒトIgG濃度が未知の被検液を測定するに当たっ
てはヒトIgG濃度10,000mg/dlの時の該差の値0.0105から
その時の標準偏差0.0005の2倍を減じた0.0095を基準と
し、該差の値が0.0095に満たない場合は測定範囲外でヒ
トIgG濃度が極めて高い領域にある旨を示す事とした。
該差の値が0.0095以上の場合は、次いで該差の比の値
と、該差の比の基準値である2.055とを比較し、該差の
比の値が2.055未満の場合(式5)に2.055以上の場合
(式6)に該差の値を適応し被検液中のヒトIgG濃度を
得る事とした。
(4)未知試料の測定 (2)の測定方法で正常人の血清を5例測定したところ
該差の値はいずれも該差の比の基準値2.055より小であ
り、ヒトIgG濃度が667mg/dlを越す事を示した。一方該
差の値は0.0971,0.0783,0.0651,0.0587,0.0543を示し、
この値を(式5)に代入しヒトIgG濃度計算するとそれ
ぞれ980,1111,1262,1364,1451mg/dlとなりいずれもヒト
IgG濃度が臨床上の正常域にある事を示した。
次に上記測定でヒトIgG濃度980mg/dlを示した血清をト
リス−塩酸緩衝液(pH=7.5)で3倍に希釈し、(2)
の測定方法で測定したところ該差の比の値は3.913を示
し、ヒトIgG濃度が667mg/dl以下である事を示した。次
いで該差の値0.1893を(式6)に代入しヒトIgG濃度を
計算すると、325mg/dlとなった。
【図面の簡単な説明】
第1図は抗体を固定化した不溶性粒子担体の懸濁液に、
対応する抗原を添加し、添加後の時間に対する吸光度の
変化基を示すグラフである。 図中実線は抗原過少領域に属する被検液の場合で点線は
抗原過剰領域に属する被検液の場合の結果を示す。 第2図,第4図,第6図はそれぞれ、横軸を被検液中の
抗原又は抗体濃度とし、縦軸を一定時間に対する吸光度
の差としてプロットした対応曲線(A)を示す。 第3図,第5図,第7図は横軸を被検液中の抗原又は抗
体濃度とし、縦軸を2特定時間に対する吸光度の差の比
としてプロットした対応曲線(B)を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不溶性担体粒子に、抗体又は抗原を固定化
    し、該担体粒子に固定化された抗体又は抗原に、既知の
    種種濃度の抗原又は抗体を反応させ、それぞれ一定時間
    をおいて2点以上の経時的に変化した時点で光を照射
    し、上記反応における反応物の光の吸光度を測定し、該
    一定時間における吸光度の差と抗原又は抗体濃度との間
    の対応曲線(A)を求め、且つ、別に上記反応における
    2以上の任意の時点の特定時間に対する光の吸光度の差
    の比との抗原又は抗体濃度との間の対応曲線(B)を求
    め、次いで、未知濃度の試料について前記同様に一定時
    間をおいた2以上の時点における光の吸光度の差と2以
    上の時点における特定時間に対する光の吸光度の差の比
    とを測定し、該吸光度の差の比の値から対応曲線(B)
    によって読みとれる抗原又は抗体濃度の値と、対応曲線
    (A)における吸光度の差の極大となる抗原又は抗体濃
    度とを比較して低濃度領域に属するか或いは高濃度領域
    に属するかを判定し、該当判定領域において、前記未知
    濃度試料における光の吸光度の差の値と一致する対応曲
    線(A)上の吸光度の差の値に相当する濃度を読みとる
    ことを特徴とする抗原又は抗体濃度の測定方法。
  2. 【請求項2】前記対応曲線(A)を求めるに当たり、反
    応開始後の2点以上の経時的変化した時点間を、一定時
    間とする特許請求の範囲第1項記載の抗原又は抗体濃度
    の測定方法。
  3. 【請求項3】前記対応曲線(A)を求めるに当たり反応
    開始前の1点以上の時点と反応開始後の1点以上との時
    点間を、一定時間とする特許請求の範囲第1項記載の抗
    原又は抗体濃度の測定方法。
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