JPH079149A - 亜鉛メッキ鋼板のガスシールドアーク溶接方法とその溶接機ならびにその溶接方法と溶接機により溶接した亜鉛メッキ鋼板製品 - Google Patents

亜鉛メッキ鋼板のガスシールドアーク溶接方法とその溶接機ならびにその溶接方法と溶接機により溶接した亜鉛メッキ鋼板製品

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JPH079149A JP15165993A JP15165993A JPH079149A JP H079149 A JPH079149 A JP H079149A JP 15165993 A JP15165993 A JP 15165993A JP 15165993 A JP15165993 A JP 15165993A JP H079149 A JPH079149 A JP H079149A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 亜鉛メッキ鋼板をガスシールドアーク溶接す
る際に発生する多量のスパッタ、溶接欠陥であるピッ
ト、ブローホール、アンダーカットなどの発生を抑制す
る。 【構成】 パルス電流を重畳したパルスMAG溶接部A
と短絡移行溶接部Bを交互に周期的に行うことにより、
スパッタ、ピット、ブローホール、アンダーカットの発
生を抑制させ、薄板材への溶接の適用範囲を広める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、亜鉛メッキ鋼板の溶接
に適したガスシールドアーク溶接方法と、その溶接機な
らびにその溶接方法と溶接機により溶接した亜鉛メッキ
鋼板製品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、亜鉛または亜鉛合金を表面にメッ
キした鋼板(以下亜鉛メッキ鋼板という)は、耐食性、
耐候性に優れているため自動車用部品、建築用鉄骨部材
等に用いられ、年々その需要量は増加している。
【0003】そして亜鉛メッキ鋼板の溶接には、短絡移
行溶接(炭酸ガス溶接、MAG溶接)やパルスMAG溶
接が一般に広く用いられている。これらのアーク溶接を
行うと、鋼板表面にメッキされている亜鉛が鉄より低い
融点をもっていて、その亜鉛が気化する。この蒸気亜鉛
が、溶融池および溶融金属を通過し外部に拡散しようと
するが、溶融金属の凝固速度が速い場合には外部に十分
に蒸気亜鉛が拡散しきれずに溶接金属内、および溶接金
属表面に気泡として残存する。この蒸気亜鉛がブローホ
ールやピット(以下、気孔という)等の溶接欠陥の発生
原因となっていた。また、蒸気亜鉛の発生は、アークを
乱し、多量のスパッタの発生する原因にもなっていた。
【0004】亜鉛メッキ鋼板を短絡移行溶接する場合の
特徴としては、上記に示すようにスパッタ、気孔の発生
は著しいが、パルスMAG溶接をする場合は、スパッタ
の発生は短絡移行溶接の場合より低減される。また、入
熱量が大きいため、亜鉛蒸気の拡散を促進させて、気孔
の発生を抑制する。しかし、この入熱量が大きいため、
アンダーカット等の溶接欠陥の発生を助長すると共に、
薄板材への対応は困難であった。
【0005】このような気孔、アンダーカット、スパッ
タの発生は、溶接品質を低下させるだけでなく、その気
孔発生が許容されない発生頻度に至れば、溶接部の手直
しが必要となり、手直しができない場合にはその部材は
廃棄されることもあり、作業能率の低下、及び著しい不
経済をもたらすことになっていた。このように短絡移行
溶接にもパルスMAG溶接にも夫々欠点があった。
【0006】そのため現状では、気孔及びスパッタの発
生に対しては、比較的速度の遅い低速溶接や、鋼板の間
隙を開けた溶接等をし、アンダーカットの発生に対して
は、溶接電圧を低下させる等、主として経験に基づいた
施工面での工夫により対応していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来法で
の亜鉛メッキ鋼板のアーク溶接では、低速溶接のために
能率が低く、鋼板の間隙によって溶け落ちやアンダーカ
ット等の欠陥が発生し易い。また、溶接電圧を低下させ
ると、スパッタ量が増加していた。
【0008】本発明は、上記の問題点を解決するもの
で、亜鉛メッキ鋼板のアーク溶接において、従来よりも
高溶接速度で、かつ、気孔、スパッタ、アンダーカット
の発生を抑制することができるガスシールドアーク溶接
方法とその溶接機ならびにその溶接方法と溶接機により
溶接した亜鉛メッキ鋼板製品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記する課題を解決する
ために、請求項1に記載の発明は、パルス電流を重畳し
たパルスMAG溶接と短絡移行溶接を交互に行うことを
特徴とするガスシールドアーク溶接方法である。
【0010】また、請求項2に記載の発明は、この請求
項1に記載の溶接方法において、シールドガス中に2〜
7体積%の酸素ガスを混合させたことを特徴とするガス
シールドアーク溶接方法である。
【0011】また、請求項3に記載の発明は、短絡電流
設定器とパルス電流設定器を有しその各々の出力を切換
器の入力とし、周波数設定器からの出力信号により、短
絡電流設定器と前記のパルス電流設定器の出力信号を交
互に出力することを特徴とする亜鉛メッキ鋼板のガスシ
ールドアーク溶接機としたものである。
【0012】また、請求項4に記載の発明は、請求項1
に記載の溶接方法により溶接した亜鉛メッキ鋼板製品と
したものである。
【0013】また、請求項5に記載の発明は、請求項3
に記載の溶接機により溶接した亜鉛メッキ鋼板製品とし
たものである。
【0014】
【作用】請求項1に記載の発明である亜鉛メッキ鋼板の
ガスシールドアーク溶接方法は、パルスMAG溶接と短
絡移行溶接を交互に行うことにより、パルスMAG溶接
時においてスパッタ、気孔の発生を抑制し、短絡移行溶
接時において母材への入熱を低減させ、アンダーカット
の発生を抑制する。
【0015】請求項2に記載の発明は、シールドガス中
に、酸素ガスを2〜7体積%混合して溶融金属の粘性を
低下し、溶滴移行を容易にし、アークの乱れを抑制す
る。このためスパッタの発生は抑制され、蒸気亜鉛は溶
融部から外部への拡散が促進され、気孔の発生が抑制さ
れる。
【0016】請求項3に記載の発明のガスシールドアー
ク溶接機では、切換器が周波数設定器の出力信号によ
り、短絡電流設定器及びパルス電流設定器の各々の出力
を交互に出力するため、パルス溶接時において、スパッ
タ、気孔の発生を抑制し、短絡移行溶接時において、母
材への入熱を低減させ、アンダーカットの発生を抑制す
る。
【0017】請求項4に記載の発明および請求項5に記
載の発明では、スパッタ、気孔が少なく、アンダーカッ
トの少ない品質の良好な亜鉛メッキ鋼板の溶接した製品
を実現する。
【0018】
【実施例】
(実施例1)本発明の一実施例を図1に示す。図におい
て出力電流波形は、パルスMAG溶接部A、短絡移行溶
接部Bからなる。
【0019】図1のパルスMAG溶接部Aでは、パルス
MAG溶接によりスパッタが抑制される。また、母材へ
の入熱が大きくなるため蒸気亜鉛の外部への拡散が促進
され、気孔の発生が抑制されるが、一方で、アンダーカ
ットの発生を容易にするので、図1の短絡移行溶接部B
で入熱を低減させ、その発生を抑制する。そして、パル
スMAG溶接と短絡移行溶接とは交互に周期的に行わ
れ、両溶接方法の欠点は低減され利点が発揮されるもの
である。なお、シールドガスはアルゴンガスと炭酸ガス
との混合ガスを主成分としたものである。
【0020】(実施例2)実施例1の溶接方法に用いる
シールドガス中に、酸素ガスを2〜7体積%混合する。
【0021】酸素ガスを混合すると溶融金属の粘性が低
下し、溶滴移行を容易にし、アークの乱れを抑制する。
このためスパッタの発生は抑制され、蒸気亜鉛は溶融部
から外部への拡散が促進され、気孔の発生が抑制され
る。酸素ガス量が多すぎると、溶融部の粘性が低下しす
ぎるため、逆に溶融池が乱れてスパッタ及び気孔の発生
を助長する。このため、酸素ガスの混合比を2〜7体積
%とした。
【0022】(実施例3)請求項3に記載の発明の実施
例を図4に示す。短絡電流設定器C、パルス電流設定器
Dの各々の出力が切換器Eに接続されており、周波数設
定器Fからの出力信号により、短絡電流設定器C、パル
ス電流設定器Dの出力信号を交互に周期的に出力する。
また、交互に出力されるパルスMAG溶接部と短絡移行
溶接部の出力比率を可変できるようにすると共に、パル
スMAG溶接部と短絡移行溶接部の和を1サイクルとし
た場合に、2〜120Hzに設定できるようにし、種々
の溶接条件に対応できるようにした。
【0023】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明によると、次の効果がある。
【0024】(1)スパッタ、気孔およびアンダーカッ
トの発生を抑制することができ、従って溶接品質の向
上、ビード外観の低下の抑制、スパッタ除去作業及び溶
接部の手直し等の作業能率の低下を解消し、良好な溶接
作業性を維持する亜鉛メッキ鋼板の溶接方法と溶接機を
実現できる。
【0025】(2)母材への入熱を低減することによ
り、薄板材への溶接の適用範囲を広めることができる。
【0026】(3)気孔ならびにアンダーカットの少な
い溶接亜鉛メッキ鋼板製品を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による溶接電流波形
【図2】本発明によるガスシールドアーク溶接機用電源
装置のブロック図
【符号の説明】
A パルスMAG溶接部 B 短絡移行溶接部 C 短絡電流設定器 D パルス電流設定器 E 切換器 F 周波数設定器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B23K 9/173 C 8315−4E

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルゴンガスや炭酸ガスを含むガスをシ
    ールドガスとして溶接を行う消耗電極式溶接方法におい
    て、パルス電流を重畳したパルスMAG溶接と、短絡移
    行溶接とを交互に行うことを特徴とする亜鉛メッキ鋼板
    のガスシールドアーク溶接方法。
  2. 【請求項2】 シールドガスに2〜7体積%の酸素ガス
    を混合して溶接することを特徴とする請求項1に記載の
    亜鉛メッキ鋼板のガスシールドアーク溶接方法。
  3. 【請求項3】 短絡電流設定器とパルス電流設定器を有
    し、前記の各々の設定器の出力を切換器の入力とし、周
    波数設定器からの出力信号により、前記短絡電流設定器
    と前記パルス電流設定器の出力信号を交互に出力する亜
    鉛メッキ鋼板のガスシールドアーク溶接機。
  4. 【請求項4】 パルス電流を重畳したパルスMAG溶接
    による溶接と、短絡移行溶接とを交互に行って溶接した
    亜鉛メッキ鋼板製品。
  5. 【請求項5】 短絡電流設定器とパルス電流設定器を有
    し、前記の各々の設定器の出力を切換器の入力とし、周
    波数設定器からの出力信号により、前記短絡電流設定器
    と前記パルス電流設定器の出力信号を交互に出力するガ
    スシールドアーク溶接機により溶接した亜鉛メッキ鋼板
    製品。
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