JP2801161B2 - パルスmag溶接用ソリッドワイヤ - Google Patents

パルスmag溶接用ソリッドワイヤ

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JP2801161B2
JP2801161B2 JP25622995A JP25622995A JP2801161B2 JP 2801161 B2 JP2801161 B2 JP 2801161B2 JP 25622995 A JP25622995 A JP 25622995A JP 25622995 A JP25622995 A JP 25622995A JP 2801161 B2 JP2801161 B2 JP 2801161B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はパルス電源を使用した混
合ガスシールドアーク溶接(以下、パルスMAG溶接)
に適したパルスMAG溶接用ソリッドワイヤに関し、特
にスパッタ発生量が少なく、また優れた疲労特性を有す
るビードを得ることができるパルスMAG溶接用ソリッ
ドワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】溶接ワイヤをCO2及びAr等のガスで
シールドさせるガスシールドアーク溶接方法は、その高
能率性と自動化のしやすさから、今日、最も使用量が多
い溶接方法である。シールドガスとしては、経済性と耐
気孔欠陥性からCO2ガスを使用する場合が多い。しか
し、CO2ガスを使用すると、多量のスパッタが発生す
ることは回避できない。このため、スパッタの発生を抑
制するために、シールドガスとして、Arガスに5乃至
20体積%のCO2ガスを混合した混合ガスを使用する
ことが多い。この混合ガスをシールドガスとして使用す
るMAG溶接の場合は、高電流域では溶滴の移行形態が
スプレー状となり、極めて安定するため、スパッタの発
生量は極めて少ない。しかし、低電流域ではCO2ガス
を使用した溶接の場合と同様に短絡が生じるため、スパ
ッタ発生量は減少しにくい。
【0003】そこで、このMAG溶接の低電流域でのス
パッタ発生量の低減を目的として、近時、パルス電源を
使用したMAG溶接が普及している。パルスMAG溶接
法は、高電流(ピーク電流)と低電流(ベース電流)を
周期的に発生させることにより、ピーク期間中に溶接ワ
イヤ先端に溶滴を形成させ、ベース期間中に溶滴を溶接
ワイヤ先端から離脱させて母材の溶融池に移行させるこ
とを目的とする溶接方法である。溶滴の移行と電流の制
御を1パルス当たり1溶滴に同期させたとき、低電流域
でも短絡は発生せず、スパッタ発生量を極めて少なくす
ることができる。
【0004】また、実際の溶接施工において、生産性の
向上を考慮したとき、溶接速度はより大きい方が溶接能
率を向上させることになる。高速溶接を行う上での主な
問題点は、溶接速度が大きくなるほどアンダーカットが
生じ易くなり、これを防止するため、アーク長を短くす
ることによって短絡が生じて多量のスパッタが発生して
しまうという点である。
【0005】アンダーカットを防止し、スパッタの発生
を抑制するためには、短絡が生じない程度にアーク長を
可及的に短くする必要がある。このときのアーク長が限
界アーク長である。つまり、限界アーク長が短いほど、
より高速溶接が可能であり、更にスパッタを極めて少な
く維持することができる。
【0006】而して、非短絡でのアーク長は移行する溶
滴粒の径に依存するため、溶滴移行回数を増加し、1溶
滴当たりのワイヤ溶融量を可及的に少なくする方が限界
アーク長を短くすることができる。
【0007】パルスMAG溶接で高速溶接を行う場合、
溶滴移行回数を増加させるためには、パルスの周波数を
高くすればよい。しかしながら、通常の溶接ワイヤを使
用した場合は、高周波数のパルスでは溶滴移行が同期せ
ず、ピーク期間中に溶滴が離脱したり、ピークの立ち上
がりで短絡が発生したりすることにより、結果としてス
パッタが増加することになる。
【0008】このような技術的背景の下に、高周波数の
パルスに溶滴移行を同期させることができるパルスMA
G用ワイヤが提案されている(例えば、特公平4−51
276号公報、特公平6−92032号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の公知文献に記載された溶接ワイヤでは、スパッタの低
減のみが課題となっており、ビード形状(断面形状)に
ついては全く考慮されていない。このため、これらの公
知文献に開示された技術に従って、これらのワイヤを使
用して実際に溶接施工すると、確かに、スパッタは低減
され、高速溶接が可能であるが、ビードは母材とのなじ
みが悪く、凸形態となるため、溶接継手の疲労強度が低
いという問題点があった。従って、従来、溶接の高速化
を目的として高周波のパルス溶接を行う場合に、スパッ
タの発生量を極めて少なくすると共に、疲労強度が優れ
たビードを得るという双方の効果を同時に満足すること
はできなかった。
【0010】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、高速溶接のために高周波のパルス溶接を行
う場合に、スパッタ発生量が極めて少ないと共に、ビー
ドと母材とのなじみが良好であり、ビード形状が平坦で
あって、継手の疲労特性が優れたビードを得ることがで
きるパルスMAG溶接用ソリッドワイヤを提供すること
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係るパルスMA
G溶接用ソリッドワイヤは、C:0.04乃至0.15
重量%、Si:0.20乃至0.50重量%、Mn:
0.90乃至1.70重量%、P:0.03重量%以
下、S:0.005乃至0.030重量%、Ti:0.
050重量%を超え0.100重量%以下、Al:0.
02重量%以下、N:0.015重量%以下、O:0.
015重量%以下を、下記数式1で表されるXの値が
0.17乃至0.45を満足するように含有し、残部が
鉄及び不可避的不純物である組成を有し、表面に0.1
0重量%以上のCuメッキが施されていることを特徴と
する。
【0012】
【数1】X=0.01×[Mn]/[Si]+5×[Ti]−
[C]−0.5×[S]−2×[O] 但し、[Mn]、[Si]、[Ti]、[C]、[S]、[O]は、
夫々Mn,Si,Ti,C,S,Oの含有量(重量%)
である。
【0013】
【作用】本願発明者等は、高周波パルス溶接においても
溶滴移行が同期して規則的な1パルス当たり1溶滴が確
保され、これによりスパッタの発生が極めて少なくなる
と共に、ビード外観及び形状が良好で、且つビード止端
の形状が平坦で継手の疲労特性が優れたワイヤを開発す
べく、種々実験研究した結果、高周波でのパルスに対し
て同期を実現するためには、より小さい溶融エネルギ
(ピーク電流×ピーク電圧×ピーク時間)で、溶滴がワ
イヤから切り離され、ベース期間中に溶融池に落下する
必要があることを知見した。これには溶滴の物性(表面
張力及び粘性等)が主として影響し、その溶滴の物性は
C,Si,Mn,S,Ti,O等のワイヤ成分に依存し
ている。また、ビード形状も、ワイヤ成分と関連する物
性によって大きく変化する。
【0014】本発明はかかる知見に基づき完成されたも
のであり、特に、前記数式1にて表されるXの値を特定
の範囲に規定し、Cuメッキ量を規定すると共に、その
他の成分の含有量も所定範囲に規定することにより、本
願発明の目的を達成したものである。以下、本発明につ
いて更に詳細に説明する。
【0015】
【実施例】図1は横軸に前記数式1にて表されるXの値
をとり、縦軸にスパッタ発生量及びビード形状をとっ
て、Xとスパッタ発生量及びビード形状との関係を示す
グラフ図である。また、図2は横軸にビード形状をと
り、縦軸に疲労限度をとって両者の関係を示すグラフ図
である。なお、図1におけるスパッタ発生量及びビード
形状の試験条件並びに図2における疲労試験条件は以下
のとおりである。
【0016】(1)スパッタ発生量試験条件 母材:SPCC板厚3.2mm シールドガス:Ar80体積%+CO220体積%、流
量25リットル/分 ワイヤ突出し長さ:15mm 溶接姿勢:下向きビードオンプレート ワイヤ径:1.2mm 溶接電流:210A 電圧:22V 速度:150cm/分 溶接長:150cm パルス条件:ピーク電流460A、ピーク期間1.1m
sec、ベース電流60A。
【0017】また、スパッタ発生量は図3に示す装置に
より測定した。図3に示すように、一方の側面が開放し
たスパッタ捕集箱1a,1bをその開放側面を対面させ
て配置し、両者間にトーチ2を下向きに配置し、台3上
に載置した母材4と、トーチ2から突出する溶接ワイヤ
5との間に、前記(1)の条件で溶接した。このとき、
溶接部から発生するスパッタ6を捕集箱1a,1b内に
集め、所定時間経過後のスパッタ捕集量を測定した。そ
の結果、単位時間当たりのスパッタ発生量は図1に示す
とおりであった。
【0018】(2)ビード形状試験(重ねすみ肉溶接試
験)条件 母材:SPCC板厚2.3mm シールドガス:Ar80体積%+CO220体積%、流
量25リットル/分 電源:インバータパルス電源 ワイヤ突出し長さ:15mm 溶接姿勢:水平重ねすみ肉 トーチ前進後退角:0° ワイヤ径:1.2mm 溶接電流:220A 電圧:23V 速度:100cm/分 パルス条件:ピーク電流460A、ピーク期間1.1m
sec、ベース電流60A。
【0019】この重ねすみ肉溶接試験は図4に示すよう
にして行った。即ち、母材10の上に、母材11をその
端部が母材10の表面上に位置するように配置し、この
母材11の端部と母材10の表面との間を、前記(2)
の条件で水平姿勢で溶接した。その結果、ビード12が
形成され、このビード12の幅をW、ビード12の端縁
から盛り上がった部分の高さをtとして、ビード12の
平坦率をt/Wにより求めた。その結果を図1にXとの
関係で示した。
【0020】(3)疲労試験条件 試験板:SAPH440、板厚2.6mm 溶接ワイヤ:JIS Z3312 YGW16一般材 シールドガス:Ar80体積%+CO220体積% 溶接姿勢:水平重ねすみ肉 疲労試験片:余盛付き平板溶接継手 試験方法:平面曲げ疲労試験 応力負荷:両振り制限波応力。
【0021】図5はこの試験方法を示す図である。試験
板13と試験板14とを一部重複して重ね、両者を水平
重ねすみ肉溶接した。溶接部にはビード15が形成され
た。そして、試験片13、14の端部を握持して平面曲
げ試験した。得られた疲労限度をビード形状との関係で
図2に示す。
【0022】図1に示すように、ワイヤ成分Mn、S
i、Ti、C、S、Oにより数式1に基づいて決まるX
の値は、スパッタ発生量及びビード形状に密接な関係を
有し、Xが増加すると、ビード形状t/Wが小さくな
り、スパッタ発生量は逆に増加する。このため、ビード
形状が平坦であると共に、スパッタ発生量が少ないよう
なXの値の範囲がある。
【0023】そして、図1に示すように、数式1により
表されるXの値が0.17乃至0.45の場合に、ビー
ド形状t/Wが0.3以下と平坦になり、スパッタ発生
量が0.5g/分以下となる。この場合に、図2からわ
かるように、ビード形状t/Wが0.3以下であれば、
疲労限度σは約140N/mm2以上となる。
【0024】本発明においては、このような知見に基づ
き、スパッタ発生量の許容上限値を0.5g/分、継手
疲労強度が良好となるビード形状t/Wを0.3以下と
設定し、このような要件を満足するXの範囲として、
0.17≦X≦0.45を規定した。Xが0.17乃至
0.45の範囲に入る場合には、溶滴はパルスに同期し
て1パルス1溶滴となることからスパッタ発生量は0.
5g/分以下と少なく、且つビードもt/Wが0.3以
下と平坦であり、疲労特性が優れている。Xが0.17
未満ではスパッタは少ないものの、ビード形状が凸状に
なり、疲労特性が低下する。逆に、Xが0.45を超え
ると、ビード形状は良好であるが、溶滴移行が高周波パ
ルスに同期しなくなり、スパッタが著しく増加する。以
上のことから、低スパッタ発生量と良好なビード形状と
の双方を満足する範囲として、Xを0.17乃至0.4
5と規定した。
【0025】次に、ソリッドワイヤを構成する鋼線の成
分限定理由及び組成限定理由について説明する。
【0026】C(炭素):0.04乃至0.15重量% Cは溶滴の離脱に関し強い影響があり、その含有量が少
ないと、溶滴離脱に過大なエネルギーを必要とする。よ
って、Cを0.04重量%以上添加することによって溶
滴を細粒化し、高周波パルスでもスパッタを低減させ
る。しかし、C添加量が0.15重量%を超えると高速
溶接において高温割れを誘発しやすくなり、また焼き入
れ性も増すことから、溶接金属の硬度が高くなりすぎる
ため、C量の上限値は0.15重量%とする。また、C
含有量が0.04重量%未満では、スパッタ減少に効果
がないばかりでなく、ビード形状も悪化するため、C量
の下限値は0.04重量%とする。更に好ましくは、C
量の下限値は0.05重量%とする。
【0027】Si(シリコン):0.20乃至0.50
重量% Siは0.50重量%を超えてその含有量を多くする
と、溶滴の形成に時間を必要とするため、高周波パルス
時に溶滴移行が同期できず、スパッタが多く発生する。
よって、Siの上限値は0.50重量%とする。また、
Siは重要な脱酸元素であるが、0.20重量%未満で
はその脱酸効果がほとんどなくなり、ブローホール等の
気孔欠陥を発生させ、またビード外観も悪化する。この
ため、Siの下限値を0.20重量%とした。
【0028】Mn(マンガン):0.90乃至1.70
重量% Mnは1.70重量%を超えて添加すると、Siと同様
に溶滴の形成に時間を必要とし、結果として高周波パル
スではスパッタを増加させてしまうことになる。よっ
て、Mnの上限値を1.70重量%とする。また、Mn
も重要な脱酸元素であるが、0.90重量%未満では脱
酸効果がほとんどなくなり、気孔欠陥が生じる。よっ
て、0.90重量%をMn量の下限値とする。好ましく
は、Mn量は1.00乃至1.60重量%である。
【0029】P(リン):0.03重量%以下 Pは高温割れを引き起こす元素であり、可及的に少ない
ほうがよいが、P含有量が0.03重量%を超えると、
高温割れが著しくなるので0.03重量%を上限値とす
る。
【0030】S(硫黄):0.005乃至0.030重
量% Sは溶滴の粘性及び表面張力を低下させ、ワイヤからの
溶滴の離脱を容易にすることにより、高周波パルスでも
溶滴が細粒化して、スパッタが減少する。また、Sはビ
ード及び止端の形状を平坦化させる効果を有しており、
S含有量が多い方がスパッタ発生量の低減及びビード形
状の平坦化に対する効果が高い。このような効果を得る
ためには、Sを0.005重量%以上添加する必要があ
る。しかし、Sは、Pと同様に高温割れの誘起元素であ
るため、S量の上限値は0.030重量%とした。
【0031】Ti(チタン):0.050重量%超、
0.100重量%以下 Tiはビード形状の改善とアーク安定化の効果を有す
る。この効果を発揮するためには、Ti含有量は0.0
50重量%を超える必要である。好ましくは、Ti含有
量は0.060重量%以上とする。しかしながら 0.
100重量%を超えてTiを添加すると、溶滴の粒径が
大きくなると共にワイヤからの溶滴の離脱に時間がかか
り、高周波パルスではスパッタが増加する。よって、T
i量は0.100重量%を上限とする。
【0032】Al(アルミニウム):0.02重量%以
Alを添加すると、溶滴が離脱し難くなり、短絡が非常
に多くなる。よって、スパッタが多く発生するため、そ
の量はできるだけ少ない方が好ましく、上限を0.02
重量%とする。
【0033】O(酸素):0.015重量%以下、N
(窒素):0.015重量%以下 O、Nは、その添加により溶滴の粒径を小さくする効果
があるものの、いずれも0.015重量%を超える添加
では、ブローホール等の気孔欠陥の発生原因になり、ま
た溶接金属の靱性が低下することから、上限値をいずれ
も0.015重量%とする。更に、O及びNの含有量は
0.010重量%未満とすることが好ましい。
【0034】Cuメッキ:0.10重量%以上 Cuメッキは溶接時に通電チップからワイヤ内に流れる
電流の通電性に大きな影響を与える。Cuメッキ量が不
足すると、ワイヤ表面にメッキが付着していない箇所が
生じ、通電点がメッキ部から非メッキ部に移動する際
に、電気抵抗の差からパルスの制御が崩れてアークが不
安定となり、スパッタが増加する。このことから、スパ
ッタが増加する原因を排除するため、Cuメッキは安定
してワイヤ全体に付着することが望ましい。
【0035】Cuメッキがパルス制御に影響を与えない
程度の付着量を調べた結果、0.10重量%以上であれ
ばCuの付着が良好であることが判明した。このため、
Cuメッキ量は0.10重量%以上とする。
【0036】この他、本発明の特許請求の範囲にて含有
量を限定していないNi,Cr,Nb,Zr,Mo,
B,V,Bi等の不純物は、通常の不可避的不純物量
(例えば、夫々0.1重量%以下)であれば、スパッタ
発生量及びビード形状に影響を与えないため、許容され
る。また、ワイヤ表面に付着する無機物、有機物、又は
それらの化合物もまた同様の理由により許容される。
【0037】次に、下記表1、2に示す成分のワイヤを
用い、前述の(1)及び(2)の溶接条件でスパッタ発
生量測定試験及び重ねすみ肉溶接試験を行った結果につ
いて説明する。下記表3は、その試験の結果測定された
「スパッ夕発生量」と、「ビード形状t/W」と、「そ
の他溶接作業性」を示す。「その他溶接作業性」におい
ては、アーク安定性に問題はないもの、並びにビード外
観及び溶接金属品質に問題がないものを良好とした。
【0038】ワイヤNo.1〜10は本発明の実施例ワ
イヤ、No.11〜26は本発明の範囲から外れる比較
例ワイヤを示す。本発明例であるワイヤNo.1〜10
は各ワイヤ含有成分及びCuメッキ量、パラメータXが
本発明の規定範囲内にあるため、スパッタ発生量は少な
く、ビード形状も平坦で疲労強度が優れている。また、
これらのワイヤはアーク安定性及び溶接金属の品質も良
好であった。
【0039】No.11,12のワイヤはXが本発明に
て規定した上限値より高く、そのためスパッタ発生量が
多い。No.13のワイヤはXが下限値よりも低く、そ
のためスパッタ量は少ないものの、ビード形状が凸とな
り、疲労特性が劣るものであった。No.14のワイヤ
はXは本発明の範囲内であるが、Tiが上限値より高い
ため、溶滴が切れ難くなり、パルスに同期せず、スパッ
タが多くなった。No.15のワイヤはXは範囲内であ
るが、Tiが下限値よりも低いため、ビード形状が凸に
なった。No.16のワイヤもTiが下限値より低く、
更にXも下限値より低いため、ビードが凸になると共
に、アークの安定性が低下した。また、ビード止端部の
なじみが劣化しており、疲労強度が著しく低下する。
【0040】No.17のワイヤはCが下限値よりも低
いため、溶滴が離脱しづらくなり、スパッタが増加し
た。また、ビード形状も若干悪くなった。No.18の
ワイヤはCが上限値よりも高く、Xが下限値よりも低い
ために、ビード形状が凸になると共に、耐高温割れ性が
低下し、溶接中にビード中央部に割れが発生した。N
o.19のワイヤはP,S共に上限値より高く、ビード
形状及びスパッタ量は良好であるが、耐高温割れ性が低
下して溶接中に割れが発生した。No.20のワイヤは
Sが下限値より低いため、溶滴が離脱し難くなって、ス
パッタ発生量が増加すると共に、ビード形状も悪化し
た。No.21のワイヤはSiが下限値よりも低いた
め、ビード形状がやや凸になり、更に脱酸不足によりブ
ローホールが発生した。No.22のワイヤはSiが上
限値よりも高いため、溶滴が離脱しづらくなり、スパッ
タが増加した。No.23のワイヤはMnが下限値より
低いため、ビード形状が悪くなり、また脱酸能力不足の
ため、ブローホールが発生した。No.24のワイヤは
N,Oがいずれも上限値より高いため、スパッタは少な
いもののブローホールが発生し、ビード形状も悪化し
た。No.25のワイヤはAlが上限値より高いため、
スパッタが極めて多く発生した。No.26のワイヤは
ワイヤ成分及びXは本発明の範囲内であったが、ワイヤ
表面にメッキしているCuの量が下限値より低いため、
メッキされていない部分が多数生じ、接触電圧の抵抗差
によりパルス状の電流波形制御が不安定になり、アーク
不安定が生じた。また、その結果スパッタ量が増加し
た。このように、本発明の範囲外にあるワイヤは、スパ
ッタ発生量、ビード平坦性、アーク安定性及び溶接金属
の健全性を同時に満たすことはできないものである。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、ワ
イヤ成分及びCuメッキ量を適切にすれば、高周波のパ
ルスMAG溶接において、安定してパルスに同期した溶
滴移行を行わせることができ、スパッタ発生量が極めて
少なくなる。また、同時に、ビード止端のなじみが良好
で且つ平坦な断面形状を有するビードを得ることができ
るため、高い継手疲労強度を得ることができる。これに
より、本発明はこの種のパルスMAG溶接技術の進歩に
多大の貢献をなす。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワイヤ成分の数式(1)のX値と、スパッタ発
生量及びビード形状t/Wとの関係を示すグラフ図であ
る。
【図2】溶接継手のビード形状t/Wと、疲労限度σと
の関係を示すグラフ図である。
【図3】スパッタ発生量の試験装置を示す模式図であ
る。
【図4】重ねすみ肉溶接から得られるビードの平坦率t
/Wの定義を示す図である。
【図5】疲労試験に供した余盛付き平板溶接継手試験片
を示す図である。
【符号の説明】
1a、1b:捕集箱 2:トーチ 3:台 4:母材 5:溶接ワイヤ 10、11:母材 13、14:試験片 12、15:ビード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−243749(JP,A) 特開 平8−99175(JP,A) 特開 平7−47473(JP,A) 特開 平5−329682(JP,A) 特開 平4−270072(JP,A) 特開 平4−147789(JP,A) 特開 平3−297569(JP,A) 特開 昭61−159296(JP,A) 特開 昭59−50992(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 35/30 B23K 35/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.04乃至0.15重量%、S
    i:0.20乃至0.50重量%、Mn:0.90乃至
    1.70重量%、P:0.03重量%以下、S:0.0
    05乃至0.030重量%、Ti:0.050重量%を
    超え0.100重量%以下、Al:0.02重量%以
    下、N:0.015重量%以下、O:0.015重量%
    以下を、下記数式で表されるXの値が0.17乃至0.
    45を満足するように含有し、残部が鉄及び不可避的不
    純物である組成を有し、表面に0.10重量%以上のC
    uメッキが施されていることを特徴とするパルスMAG
    溶接用ソリッドワイヤ。 X=0.01×[Mn]/[Si]+5×[Ti]−[C]−
    0.5×[S]−2×[O] 但し、[Mn]、[Si]、[Ti]、[C]、[S]、[O]は、
    夫々Mn,Si,Ti,C,S,Oの含有量(重量%)
JP25622995A 1995-10-03 1995-10-03 パルスmag溶接用ソリッドワイヤ Expired - Lifetime JP2801161B2 (ja)

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