JP2778628B2 - バイオセラミックを用いた溶接方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、シールドガスに
よりる不活性雰囲気中でタングステン電極と被溶接物と
の間にアークを発生させてその熱で溶接を行なう溶接方
法に関するもので、特にシールドガスをバイオセラミッ
クに接触通過させる溶接方法である。

【０００２】

【従来の技術】イナートガスアーク溶接の一つであるテ
ィグ溶接（ＴＩＧ溶接）は、被覆アーク溶接あるいはガ
ス溶接によって溶接が困難であった各種の金属の溶接に
広く利用される重要な方法であり、従来のこの種溶接方
法に用いる装置は図２に示すように、ガスは、ガスボン
ベ１からガス調整器２を経てホース口３に噴出するもの
である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、ティグ溶接
方法は、種々の利点がある反面、シールドガスとしてア
ルゴンやヘリウムなど高温でも金属と反応しないものを
使用するため、シールドガスの消費コストが高くつくと
共に、アーク熱の上昇に制限があるため、溶接スピード
を速くすることができないという問題がある。

【０００４】そこでこの発明の課題は、シールドガスの
消費量を少なくしてコスト低減が可能になると共に、溶
接スピードを速くして溶接の歪み発生を少なくすること
ができる溶接方法を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記のような課題を解決
するため、請求項１の発明は、バイオセラミックを用い
た溶接を行なうに当り、シールドガスをバイオセラミッ
クに接触させてノズルに供給する構成を採用したもので
ある。

【０００６】又、請求項２の発明は、ガス調整器とホー
ス口の途中にバイオセラミックを封入した容器を着脱自
在に取付け、その容器内をシールドガスを通過接触させ
る構成を採用したものである。

【０００７】ここで、バイオセラミックは、シールドガ
スのボンベからガス調整器を経てトーチのノズルに至る
シールドガス通路の途中に配置され、通過するシールド
ガスがバイオセラミックと接触することになり、バイオ
セラミックと接触したシールドガスは、アークによって
発生する熱を上昇させると共に、シールドガスの流量を
少なくしても尚且溶接の向上がはかられる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態を図１
に示す例に基づいて説明する。

【０００９】図１はティグ溶接に用いる装置を示すもの
で図２に示す従来の装置にくらべ、ガス調節器２とホー
ス口３の途中にパレット状のバイオセラミック４を封入
した容器５を着脱自在に取付けたものである。

【００１０】バイオセラミック４と接触したアルゴンや
ヘリウムの不活性ガスを用いたシールドガスはノズルか
ら被溶接物に噴射し、シールドガスによる不活性雰囲気
中で電極と被溶接物との間にアークを発生させ、その熱
で溶接を行なう。

【００１１】上記の溶接において、バイオセラミックに
接触させたシールドガスによって不活性雰囲気を形成し
て溶接を行なうと、アークによって発生する熱が上昇
し、溶接スピードを速くすることができ、溶接の歪みが
少なくなると共に、溶接電流を３割程度ダウンしても溶
接効果は変らない。

【００１２】また、シールドガスの流量を約３割少なく
しても溶接効果は変らないと共に、タングステン電極
（セリウム２％入り）３の消耗が極端に少なくなる。

【００１３】

【実施例】

（I）アルミＴＩＧ溶接（交流ＴＩＧ）において、ダイ
ヘン インバータエレコン５００Ｐにより、次の溶接条
件によって溶接を行なった。 溶接条件 （ａ）板厚３．０ｍ／ｍ （ｂ）溶接電流１２５Ａ （ｃ）タングステン電極３．２φ（トリウム２％入り） （ｄ）アルミ溶加棒Ａ−５３５６ＢＹ３．２φ （ｅ）アルゴンガス流量８ｌ＋バイオセラミック 上記の条件により突き合わせ溶接を行った結果、従来の
溶接に比べ、 （１）ビード外観につやが有り、また、均一したビード
が得られる。 （２）アルミ材の場合、熱伝導率が大きいために溶接速
度を除々に速くする必要があるが、バイオセラミック添
加による溶接の場合、溶接速度が一定でも 美しい
ビードが得られる。従って、ロボットによる溶接が容易
となる。 （３）裏波が細く、容易に美しいビードが得られる。従
って、裏波加工が容易である。 （４）アークがソフトで、作業が楽である。 （５）いわゆる溶接焼けといわれる２番の熱影響が、非
常に少ない。 （６）溶接による歪みが全くない。

【００１４】（II）直流ＭＡＧ溶接において Ｎａｔｉｏｎａｌ Ｐａｎａｓｏｎｉｃ ファジーＡＡ
３５０により、次の条件で溶接を行った。 溶接条件 （ａ）板厚９．０ｍ／ｍ（ＳＳ−４００） （ｂ）溶接電流２１０Ａ電圧２０Ｖ （ｃ）ソリッドワイヤーＤＳ−１Ａ１．２（大同製鋼） （ｄ）シールドガスＡＲ＋ＣＯ₂２０％ＭＡＧガス＋バ
イオセラミック 上記の条件により水平すみ肉溶接を行った結果、従来の
溶接に比べ、 （１）溶接アークがソフトで作業が楽である。 （２）ビード外観が美しく、均一したビードが得られ
た。 （３）アンダーカット並びにすみ肉溶接独特のビードの
膨らみがなく、平らなビードが得られた。 （４）ビードの波形形状がはっきりしている。 （５）スパッターが少なく、溶接の後処理が楽である。

【００１５】（III）Ｎａｔｉｏｎａｌ ハイデポ６０
０により、次の条件で溶接を行った。 溶接条件 （ａ）板厚２０ｍ／ｍ （ｂ）溶接電流２３０Ａ電圧３０Ｖ （ｃ）ワイヤー神綱ＤＷ−Ｚ１１０ １．２ｍ／ｍ （ｄ）シールドガスＣＯ ₂＋バイオセラミック 上記の条件により水平すみ肉溶接を行った結果、従来の
溶接に比べ、 （１）アークが安定している。 （２）溶接スピードが速い。 （３）溶接中のノロがうまくついてくる。 （４）スパッターが少ない。 （５）スラグの剥離がよい。 （６）ビードが外観がきれいで、つやがある。 （７）アンダーカットが起らない。

【００１６】

【発明の効果】以上のように、この発明によると溶接に
おいて、シールドガスをバイオセラミックに接触させる
ようにしたので、入熱を上げることにより、溶接スピー
ドを速くすることができると共に溶接の歪みを少なくす
ることができ、溶接電流をダウンしても溶接結果は変ら
ず、シールドガスの節約によりコストダウンが図れ、更
にタングステン電極の消耗も極端に少なくすることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の溶接方法に用いる装置の要部側面断
面図。

【図２】従来の溶接方法に用いる装置の側面図。

【符号の説明】

１ ガスボンベ ２ ガス調整器 ３ ホース口 ４ バイオセラミック ５ 容器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B23K 9/16 B23K 9/167

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶接を行なうに当り、シールドガスをバ
   イオセラミックに接触させてノズルに供給することを特
   徴とするバイオセラミックを用いた溶接方法。
2. 【請求項２】 シールドガスをバイオセラミックに接触
   させるためにガス調整器とホース口の途中にバイオセラ
   ミックを封入した容器を着脱自在に取付け、当該容器内
   をシールドガスを通過接触させることを特徴とする請求
   項１記載のバイオセラミックを用いた溶接方法。