JPH0790021A - エチレン系重合体及びそれを用いた燃料タンク - Google Patents

エチレン系重合体及びそれを用いた燃料タンク

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JPH0790021A
JPH0790021A JP23998693A JP23998693A JPH0790021A JP H0790021 A JPH0790021 A JP H0790021A JP 23998693 A JP23998693 A JP 23998693A JP 23998693 A JP23998693 A JP 23998693A JP H0790021 A JPH0790021 A JP H0790021A
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弓人 上原
Nobuo Enokido
信夫 榎戸
Nobuyuki Shimizu
信之 清水
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エチレン単独重合体、または、エチレンと炭
素数3〜20のα−オレフィンとからなりα−オレフィ
ン含有量が10重量%以下であるエチレン共重合体であ
って、 (1)極限粘度〔η〕が2〜6(dl/g) (2)密度が0.945〜0.970(g/cm3 ) (3)溶融張力(MT)と21.6kg荷重のメルトイ
ンデックス(HLMI)の関係が、 MT≧−12.4logHLMI+20.5 (4)−30℃で測定した高速衝撃強度(HRI−IZ
OD)とHLMIの関係が、 HRI−IZOD≧−logHLMI+1.15 であることを特徴とするエチレン系重合体。 【効果】 本発明によれば、均一延伸性にすぐれ、高剛
性でかつ耐衝撃性等の機械的特性に優れたエチレン系重
合体が得られると共に、従来より薄い肉厚でも優れた耐
衝撃強度を有し、耐火性に優れ、軽い燃料タンクが得ら
れる。また、冷却時間や射出時間を短縮し、製造サイク
ルが短縮された燃料タンクの製造が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なエチレン系重合
体、およびこれを用いた燃料タンクに関する。さらに詳
しくは、中空成形、特に大型中空成形において、高い溶
融張力を有し、均一延伸性などの成形加工性に優れ、且
つ剛性が高く、耐衝撃性等の機械的特性に優れると共
に、耐火性に優れたエチレン系重合体に関する。また、
従来品より薄い平均肉厚でも優れた耐衝撃性と、耐火性
を有する燃料タンクに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車工業分野では、軽量化、省
エネルギー化と言った目的で、各種自動車部品のプラス
チック化が活発に押し進められている。プラスチック材
料としては、安価、高強度、良耐候性、良耐薬品性およ
び環境問題といった観点からポリオレフィン樹脂が一般
に用いられている。
【0003】ポリオレフィン樹脂の中でも、特にポリエ
チレンは中空成形用樹脂として好適な樹脂であり、一般
に、比較的分子量分布が広く、溶融張力が大きく、均一
延伸性が良好であるポリエチレンが使用される。なかで
も、大型中空成形分野では、プラスチック燃料タンク
や、ドラム缶と言った大型容器が最近注目されている。
特に、高分子量高密度ポリエチレン製のプラスチック燃
料タンクは、従来の鋼板製燃料タンクに比較して、形状
自由度が高いという特性を活かし一部の車種、例えば4
WD(四輪駆動)や4WS(四輪操舵)などを装着した
車種等に搭載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この様な用途に好適な
材料として、例えば成形加工性や耐環境応力亀裂性(以
下ESCRという)に優れたエチレン共重合体(特開平
2−53811号公報)などが提案されている。しかし
ながら、これらの高密度ポリエチレンでは、複雑な形状
の燃料タンクを製造しようとした場合、得られる燃料タ
ンクの曲部の肉厚が薄くなり、その部分の強度が低下す
る。従って曲部の強度を補強する意味で肉厚を厚くする
ために燃料タンク全体を厚くしなければならず、その結
果、経済性や軽量性といった面で不十分な状況にある。
【0005】また、製品の耐衝撃性やESCRといった
機械的強度の向上をねらってα−オレフィンとの共重合
を行う場合、比較的密度の低い共重合体とするために剛
性が低下するという欠点が生じる。特に製品の軽量化、
薄肉化をはかろうとする場合、剛性の低下は燃料タンク
の使用に際し撓んだり、製品を積み重ねた際に変形をお
こすといった問題を招くものであった。
【0006】本発明の目的は、かかる用途において、高
い溶融張力を有し、均一延伸性などの成形加工特性に優
れ、かつ、高剛性で、耐衝撃性等の機械的特性および耐
火性に優れたエチレン系重合体を提案すると共に、肉厚
分布が少なく薄肉で軽量性、経済性に優れ、且つ高剛性
で、耐衝撃性の優れ、耐火性に優れた燃料タンクを提案
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、エチレン単独
重合体、またはエチレンと他のα−オレフィンとの共重
合体からなり、極限粘度が特定範囲を有し、成形加工特
性及び耐火性に関するパラメーターである溶融張力と耐
衝撃性のパラメーターであるHRI−IZODがHLM
Iに対して特定の範囲にあり、更にα−オレフィン含有
量および密度が特定の範囲にあるエチレン系重合体が、
中空成形、特に大型中空成形において、均一延伸性など
の成形加工性に優れ、かつ、剛性が高く、耐衝撃性等の
機械的特性に優れ、高い溶融張力を有し、優れた耐火性
を有するエチレン重合体組成物を与える事を見出した。
更に、上記エチレン重合体組成物によって製造された燃
料タンクは、従来品より薄い肉厚でも優れた耐衝撃性、
耐火性を有する事を見出した。
【0008】すなわち、本発明は、エチレン単独重合
体、または、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィ
ンとからなりα−オレフィン含有量が10重量%以下で
あるエチレン共重合体であって、 (1)極限粘度〔η〕が2〜6(dl/g) (2)密度が0.945〜0.970(g/cm3 ) (3)溶融張力(MT)と21.6kg荷重のメルトイ
ンデックス(HLMI)の関係が、 MT≧−12.4logHLMI+20.5 (4)−30℃で測定した高速衝撃強度(HRI−IZ
OD)とHLMIの関係が、 HRI−IZOD≧−logHLMI+1.15 であることを特徴とするエチレン系重合体、およびこれ
からなる燃料タンクに存する。
【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明のエ
チレン系重合体は、エチレン単独重合体、または炭素数
3〜20のα−オレフィンとの共重合体からなり、α−
オレフィン含有量が10重量%以下、好ましくは5重量
%以下のものが使用される。炭素数3〜20のα−オレ
フィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペ
ンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−
1、オクタデセン−1、また、4−メチルペンテン−
1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、
さらに、ビニルシクロヘキサン、スチレン等が挙げられ
る。また、α−オレフィン含有量が10重量%より多く
なると、エチレン系重合体の剛性が低下し好ましくな
い。
【0010】また、本発明のエチレン系重合体は、極限
粘度〔η〕が2〜6dl/g、好ましくは2.3〜5.
5dl/g、さらに好ましくは3〜5dl/gの範囲と
することが必要である。極限粘度が2dl/g未満の場
合は機械的強度が低下すると共に、耐ドローダウン性も
劣り好ましくない。また、6dl/gを越えると成形性
が低下し好ましくない。また、本発明のエチレン系重合
体は、密度が0.970〜0.945g/cm3 であ
り、好ましくは0.970〜0.955g/cm3 、よ
り好ましくは0.960g/cm3 を越え0.970g
/cm3 以下、更にはエチレン単独重合体が好ましい。
密度が0.945g/cm3 未満の場合は、剛性が低下
し、好ましくない。
【0011】また、本発明のエチレン系重合体はMTと
HLMIの関係が MT≧12.4logHLMI+20.5 好ましくは MT≧12.4logHLMI+23.5 の関係を満たすことが必要である。MTが上記関係より
低い場合は、溶融張力が劣るために薄肉化した燃料タン
クの耐火性が劣り好ましくない。
【0012】また、本発明のエチレン系重合体は−30
℃で測定したHRI−IZODとHLMIの関係が HRI−IZOD≧−logHLMI+1.15 好ましくは HRI−IZOD≧−logHLMI+1.4 の関係を満たすことが必要である。HRI−IZODが
上記関係より低い場合は、耐衝撃性に劣り、特に、薄肉
化した燃料タンクの耐衝撃性が劣り好ましくない。前記
MT、およびHRI−IZODは、例えば特定の触媒を
使用し、特定の条件で重合したり、多段重合において重
合条件を特定することにより制御することができる。次
に、本発明のエチレン系重合体の製造方法の例を示す
が、本発明は以下に示す製造方法に限定されるものでは
ない。
【0013】本発明のエチレン重合体は、特定の触媒を
使用し、特定の条件で重合したり、多段重合において重
合条件を特定することにより製造することができる。特
定の触媒としては、例えば、Mg化合物、Ti化合物、
ハロゲンを必須成分とする固体触媒成分(A)、と有機
アルミニウム化合物(B)を主成分とする触媒を挙げる
ことができる。具体的には、例えば、(A)一般式Mg
(OR1m 1 2-m(式中R1 はアルキル、アリー
ル、またはシクロアルキル基を示し、X1 はハロゲン原
子を示し、mは1または2である。)で表されるMg化
合物(a)と、一般式Ti(OR2n 2 4-n (式中
2 はアルキル、アリール、またはシクロアルキル基を
示し、X2 はハロゲン原子を示し、nは4≧n≧1を示
す。)で表されるTi化合物(b)および下記一般式
(I)
【0014】
【化1】
【0015】(式中R3 はアルキル、アリールまたはシ
クロアルキル基を示し、同一でも異なっていてもよい。
pは20≧p≧2を示す。)で表されるポリアルキルチ
タネート(c)並びに必要に応じて一般式R4 OH(式
中R4 はアルキル、アリールまたはシクロアルキル基を
示す。)で表されるアルコール化合物を含む均一な炭化
水素溶液をハロゲン化剤を用いて処理して得られる炭化
水素不溶性固体触媒成分と(B)有機アルミニウム化合
物とを組み合わせてなる触媒系を用いてエチレンの単独
重合またはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィン
との共重合によって製造することができる。より具体的
には、固体触媒成分の製造に使用されるMg化合物
(a)の一般式Mg(OR1m 1 2-m (式中R1
アルキル、アリール、またはシクロアルキル基を示し、
1 はハロゲン原子を示し、mは1または2である。)
で表される化合物としては、具体的にはR1 がメチル、
エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オク
チル、トリル、キシリル、シクロヘキシル等の炭素数1
5程度までのアルキル、アリール、シクロアルキル基で
あり、X1 が塩素、臭素、またはヨウ素であるような化
合物、例えばジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグ
ネシウム、エトキシマグネシウムクロライド、ジフェノ
キシマグネシウム等が挙げられる。このうち一般式のm
が2であるような化合物が好ましい。Ti化合物(b)
の一般式Ti(OR2n 2 4-n (式中R 2 はアルキ
ル、アリール、またはシクロアルキル基を示し、X2
ハロゲン原子を示し、nは4≧n≧1を示す。)で表さ
れるTi化合物としては、R2 、X2として上記R1
1 で例示したものが同様に挙げられる。具体的にはn
が4の化合物としてテトラエトキシチタン、テトラプロ
ポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン等、nが3の
化合物としてトリエトキシモノクロルチタン、トリプロ
ポキシモノクロルチタン、トリn−ブトキシモノクロル
チタン等、nが2の化合物としてはジエトキシジクロル
チタン、ジプロポキシジクロルチタン、ジn−ブトキシ
ジクロルチタン等、nが1の化合物としてはエトキシト
リクロルチタン、プロポキシトリクロルチタン、n−ブ
トキシトリクロルチタン等が挙げられる。特にnが4お
よび3のものが好ましい。中でもnが4の化合物である
テトラn−ブトキシチタン、nが3の化合物であるトリ
n−ブトキシモノクロルチタン等が好ましい。
【0016】ポリアルキルチタネート(c)の上記一般
式(I)で表される化合物(式中R 3 はアルキル、アリ
ールまたはシクロアルキル基を示し、同一でも異なって
いてもよい。pは20≧p≧2を示す。)としては、前
記一般式中、R3 は前記R1で例示したものが同様に挙
げられる。具体的な化合物としてテトラエトキシチタン
の2〜20量体、テトラプロポキシチタンの2〜20量
体、テトラブトキシチタンの2〜20量体、テトラキス
(2エチルヘキシルオキシ)チタンの2〜20量体、テ
トラステアリルオキシチタンの2〜20量体等が挙げら
れる。中でも、テトラブトキシチタンの2〜4量体及び
テトラプロポキシチタンの2〜10量体が好ましい。さ
らに、テトラアルコキシチタン等に少量のH2 Oを反応
して得られたテトラアルコキシチタンの縮合物を使用す
ることもできる。また、必要に応じて用いられるアルコ
ール化合物(d)の一般式R4 OH(式中R4 はアルキ
ル、アリールまたはシクロアルキル基を示す。)として
は、R4 は前記R1 で例示したものが同様に挙げられ
る。具体的にはエチルアルコール、n−プロピルアルコ
ール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコー
ル、n−オクチルアルコール等が挙げられる。
【0017】固体触媒成分(A)は前記Mg化合物
(a)、Ti化合物(b)、ポリアルキルチタネート
(c)そして必要に応じてアルコール(d)を含む均一
な炭化水素溶液を調製する。溶媒として使用される炭化
水素としてはヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、
シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素が使用される。炭化水
素溶液を調製するには、Mg化合物、Ti化合物、ポリ
アルキルチタネートを予め接触させて均一な液状物を調
製しても良く、またMg化合物、Ti化合物を予め接触
させて均一な液状物を調製した後に、ポリアルキルチタ
ネートを接触させても良い。
【0018】均一な液状物は使用する化合物の種類によ
って上記3成分あるいは2成分を混合し加温することに
よって達成しうるが、均一な液状物が生成しがたい場合
にはアルコールを存在させることが好ましい。添加順序
には特に制限はない。混合後、好ましくは100℃〜1
70℃に加温することにより均一な液状物もしくは、均
一なアルコール溶液が得られる。ついで炭化水素溶媒を
加えて炭化水素溶液とするが、アルコールを使用した場
合にはアルコールを溜去させた後に炭化水素溶媒を加え
てもよい。また、Mg化合物、Ti化合物の2成分より
なる液状物を調製し、次いで炭化水素溶媒を加えて均一
な炭化水素溶液とした後に、ポリアルキルチタネートを
加えてもよい。
【0019】ついで、上記のようにして得られた均一な
炭化水素溶液をハロゲン化剤で処理することによって固
体触媒成分(A)を得る。ハロゲン化剤としてはハロゲ
ン化の作用のあるものならば特に制限は無く、通常ハロ
ゲンが共有結合している化合物を用いる。具体的には三
塩化硼素、四塩化チタン、四塩化硅素、四塩化錫、四塩
化バナジウム、塩化アルミニウム等の塩化物、塩化水
素、チオニルクロライド、クロルスルホン酸等の塩素含
有化合物、あるいは塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ
る。なかでも四塩化チタン、四塩化硅素等が好ましい。
【0020】これらハロゲン含有化合物で処理する方法
としては特に制限はないが、通常、常温〜200℃の温
度で処理を行うことが好ましい。ハロゲン化処理は1回
でも良く、2回以上繰り返し行ってもよい。またハロゲ
ン化の度合いは上記のMg化合物、Ti化合物、ポリア
ルキルチタネート、アルコール化合物に対し、以下に示
す範囲
【0021】
【数1】 が好ましい。より好ましくは
【0022】
【数2】
【0023】の範囲である。(ここで、Xはハロゲン化
剤中のハロゲン原子のモル数を示し、X1 、X2 、R
1 、OR2 、OR3 、OR4 は前記化合物の一般式中の
各基モル数を示す。) 以上のようにして固体触媒成分が得られた後、固体を分
離し、炭化水素溶媒で洗浄する。しかして、Mg化合物
(a)、Ti化合物(b)、ポリアルキルチタネート
(c)の各成分の使用量は各成分のモル比で
【数3】 0.1≦(b)/(a)≦5 0.3≦(c)/(a)≦8 好ましくは
【数4】 0.2≦(b)/(a)≦2 0.5≦(c)/(a)≦4 の範囲で使用される。
【0024】上記範囲外では、溶融張力が低下するため
に耐ドローダウン性や均一延伸性といった成形加工性が
劣ると共に、耐火性が低下する。また、耐衝撃性も劣る
傾向があり好ましくない。また、アルコール化合物
(d)の使用量は前記の均一な液状物を得るに必要な量
が使用される。
【0025】次に、共触媒として用いられる有機アルミ
ニウム化合物としては、一般式AlR5 q (OR6r
5 3-(q+r) (式中、R5 、R6 はアルキル、アリー
ル、シクロアルキル基を示し、X5 はハロゲン原子を示
し、qは2〜3を、rは0〜1の数を示す。)で表され
る化合物が挙げられる。具体的にはトリエチルアルミニ
ウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニ
ウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロ
リド、ジエチルアルミニウムモノエトキサイド等が挙げ
られる。また、トリアルキルアルミニウムと水との反応
生成物を使用することもできる。これら有機アルミニウ
ム化合物は単一の化合物を用いてもよく、また2種以上
の化合物を使用してもよい。
【0026】有機アルミニウム化合物(B)の使用割合
は、有機アルミニウム化合物の濃度および有機アルミニ
ウム化合物と固体触媒成分との比、即ちAl/Ti原子
比の積〔Al〕(mmol/l)×(Al/Ti)が
1.2〜0.02、好ましくは1.0〜0.03、より
好ましくは0.5〜0.05の範囲で使用される。上記
範囲以下では重合活性が低下したり、また、上記範囲以
上では均一延伸性などの成形加工特性が劣るとともに溶
融張力が低下し製品の耐火性が低下する。また、耐衝撃
性が低下し好ましくない。
【0027】以上のような触媒系を使用してエチレンの
重合または前記例示のα−オレフィンとの共重合を行う
が、重合反応は不活性溶媒中で行うスラリー重合、溶液
重合、あるいは気相重合により行われる。不活性溶媒と
してはブタン、ヘキサン、ヘプタン、等の脂肪族炭化水
素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、ト
ルエン等の芳香族炭化水素が使用される。重合反応は通
常、常温〜200℃の温度、常圧〜100気圧の範囲か
ら選ばれる。また重合反応において水素を導入すること
により容易に所望の分子量の重合体を得ることができ
る。
【0028】さらに、本発明のエチレン系重合体の製造
に際しては1段重合法のみならず多段重合法もとりう
る。多段重合法の例としては、(イ)重合反応を2段
階、すなわち第1の反応帯域で重合して得られた反応生
成物の存在下に第2の反応帯域においてさらに重合する
方法で行い、(ロ)第1および第2の反応帯域のいずれ
か一方の帯域においてエチレンの単独重合を行い、粘度
平均分子量6〜15万の重合体Aを全重合体生成量の6
0重量%〜90重量%の量生成させ、(ハ)他方の反応
帯域においてエチレンの単独重合または前記記載のα−
オレフィンとの共重合を行い、α−オレフィン含有量1
0重量%以下で、粘度平均分子量50万〜400万の重
合体Bを40重量%〜10重量%の量生成させ、(ニ)
重合体Bと重合体Aの分子量比が3〜50の範囲になる
よう重合する方法が挙げられる。
【0029】さらに、本発明のエチレン系共重合体の製
造に使用される他の触媒としては、例えば、(A)一般
式Mg(OR1m 1 2-m (式中R1 はアルキル、ア
リール、またはシクロアルキル基を示し、X1 はハロゲ
ン原子を示し、mは1または2である)で表されるMg
化合物(a)と、一般式Ti(OR2n 2 4-n (式
中R2 はアルキル、アリールまたはシクロアルキル基を
示し、X2 はハロゲン原子を示し、nは4≧n≧1を示
す。)で表されるTi化合物(b)、および必要に応じ
一般式R4 OH(式中R4 はアルキル、アリールまたは
シクロアルキル基を示す。)で表されるアルコール
(c)を含む均一な炭化水素溶液に、チタニルクロライ
ド(TiOCl2 )(d)と還元能を有しないハロゲン
含有化合物(e)からなる溶液を用いて処理して得られ
る炭化水素不溶性固体触媒成分と(B)有機アルミニウ
ム化合物とを組み合わせてなる触媒系が挙げられる。よ
り具体的には、固体触媒成分の製造に使用されるMg化
合物(a)、Ti化合物(b)、および必要に応じ使用
されるアルコール(c)は前記例示の触媒と同様の化合
物が使用される。固体触媒(A)は、前記Mg化合物、
Ti化合物、および必要に応じ使用されるアルコールを
含む均一な溶液を調製する。溶媒として使用される炭化
水素としては前記例示のものが使用される。炭化水素溶
液を調製するには、Mg化合物、Ti化合物をあらかじ
め接触させ均一な液状物を調製する。均一な液状物が生
成しがたい場合にはアルコールを存在させることが好ま
しい。添加順序に特に制限はない。
【0030】混合後、好ましくは100℃〜170℃に
加温することにより均一な液状物もしくは、均一なアル
コール溶液が得られる。ついで炭化水素溶媒を加えて炭
化水素溶液とするが、アルコールを使用した場合にはア
ルコールを溜去させた後に炭化水素溶媒を加えてもよ
い。次いで、上記のようにして得られた均一な炭化水素
溶液をTiOCl2 と還元能を有しないハロゲン含有化
合物からなる溶液で処理することによって固体触媒成分
(A)を得る。
【0031】TiOCl2 と還元能を有しないハロゲン
含有化合物からなる溶液はTiOCl2 と還元能を有し
ないハロゲン含有化合物とを混合し加温することによっ
て得られる。還元能を有しないハロゲン含有化合物とし
ては特に制限はないが、TiOCl 2 の溶解度が高い化
合物が好ましい。中でも四塩化チタン、四塩化硅素が好
ましい。特に四塩化チタンが好ましい。
【0032】これらTiOCl2 と還元能を有しないハ
ロゲン含有化合物からなる溶液で処理する方法としては
特に制限はないが、上記溶液が均一な溶液であることが
好ましい。処理温度は、常温〜200℃の温度で行うこ
とが好ましい。以上のようにして固体触媒成分が得られ
た後、固体を分離し、炭化水素溶媒で洗浄する。しかし
て、Mg化合物(a)、Ti化合物(b)、TiOCl
2 (d)の各成分の使用量は各成分のモル比で
【数5】 0.01≦(b)/(a)≦10 0.1≦(d)/(a)≦50 の範囲である。また、還元能を有しないハロゲン含有化
合物(c)の使用量は、上記Mg化合物(a)、Ti化
合物(b)、アルコール(c)に対し、以下に示す範囲
が好ましい。
【0033】
【数6】
【0034】(ここで、Xは還元能を有しないハロゲン
含有化合物中のハロゲン原子のモル数を示し、X1 、X
2 、OR1 、OR2 、OR4 は上記化合物の一般式中の
各基のモル数を示す。) 上記範囲外では、均一延伸性といった成形加工特性が劣
ると共に、溶融張力が低下するために耐火性が低下す
る。また、耐衝撃性も劣り好ましくない。
【0035】また、アルコール(e)の使用量は前記の
均一な液状物を得るに必要な量が使用される。次に、共
触媒として用いられる有機アルミニウム化合物(B)と
しては、前記例示触媒と同様の化合物が使用される。有
機アルミニウム化合物(B)の使用割合は、有機アルミ
ニウム化合物の濃度および有機アルミニウム化合物
(B)と固体触媒成分との比、即ちAl/Ti原子比の
積〔Al〕(mmol/l)×(Al/Ti)が2.0
〜0.01、好ましくは1.0〜0.02の範囲で使用
される。
【0036】上記範囲以下では重合活性が低下したり、
また、上記範囲以上では均一延伸性などの成形加工特性
が劣るとともに溶融張力が低下し製品の耐火性が低下す
る。また耐衝撃強度も低下し好ましくない。以上のよう
な触媒系を使用してエチレンの重合または前記例示のα
−オレフィンとの共重合を行うが、重合反応は前記重合
例と同様に行うことができる。さらに、本発明において
は、1段重合法のみならず、前記記載の多段重合法も同
様に行うことができる。
【0037】本発明のエチレン系重合体は、均一延伸性
などの成形加工性に優れ、且つ、剛性が高く、溶融張力
に優れるために耐火性に優れ、また、耐衝撃性に優れた
特徴を有する。本発明のエチレン系重合体を成形するに
際しては、充填剤、顔料、光安定剤、熱安定剤、難燃
剤、可塑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核剤などの
公知の添加剤を配合してもよい。
【0038】本発明の燃料タンクは、公知のブロー成形
法等によって製造することができる。例えば、本発明の
エチレン系重合体を押出機からダイを通して、そのパリ
ソンを形成する。このパリソンを成形用金型内におい
て、内側より空気圧により膨らませ、金型に密着させる
と同時に冷却することにより製造する。本発明のエチレ
ン系重合体は、材料の硬化現象(strain har
dening)を生じやすく、その部位の過剰な伸びを
抑制する性質があるので、金型の曲部において、パリソ
ンの変形が均一化された状態でブローアップされるた
め、得られる成形品の曲部の肉厚が従来のものに比べて
より厚いものを成形することができる。
【0039】また、多層の燃料タンクを製造する場合
は、例えば、複数の押出機から各層の樹脂組成物を個別
に可塑化して同じ円状の流路を有する同一のダイに押出
し、ダイ内で各層の肉厚の均一化を行うと共に各層を重
ね合わせ、見かけ上、一層のパリソンを形成し、ついで
上記と同様にして成形用金型において成形する。多層の
燃料タンクとしては、特に、バリヤ層の両面に接着層を
介して本発明のエチレン系重合体組成物による高密度ポ
リエチレン層を積層した3種5層構造のものが好まし
い。その際、バリヤ層の厚さは0.01〜0.5mm、
好ましくは0.1〜0.3mm、接着層の厚さは、0.
01〜0.5mm、好ましくは0.3mm、高密度ポリ
エチレン層の厚さは、1〜10mm、好ましくは1.5
〜5mmの範囲から選ばれる。
【0040】多層の場合は、バリヤ層の少なくとも片側
に接着層を介して、エチレン系重合体組成物から形成さ
れるポリエチレン層を積層した積層型の燃料タンクとし
て好適に使用することができる。バリヤ層は、ポリアミ
ド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹脂、鹸化度
が93%以上、好ましくは96%以上でエチレン含量が
25〜50モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体など
のエチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物などから形成す
ることができる。
【0041】特に、ポリアミド樹脂が形成安定性、ガス
バリヤ性の点から好ましく、ジアミンとジカルボン酸と
の重縮合によって得られるポリアミド、アミノカルボン
酸の縮合によって得られるポリアミド、ラクタムから得
られるポリアミドまたはこれらの共重合ポリアミドなど
の、通常、相対粘度が1〜6程度で、融点が170〜2
80℃、好ましくは200〜240℃のものが使用され
る。具体的には、例えば、ナイロン−6、ナイロン−6
6、ナイロン−610、ナイロン−9、ナイロン−1
1、ナイロン−12、ナイロン−6/66、ナイロン−
66/610、ナイロン−6/11などが挙げられる。
特にナイロン−6が好適である。
【0042】本発明においてはポリアミド層は、上記ポ
リアミド樹脂と無水マレイン酸変性エチレン〜α−オレ
フィン共重合体とからなる変性ポリアミド樹脂組成物か
ら形成されたものが好ましく、無水マレイン酸変性エチ
レン〜α−オレフィン共重合体としては、結晶化度が1
〜35%、好ましくは1〜30%で、メルトインデック
スが0.01〜50g/10分、好ましくは0.1〜2
0g/10分のエチレン〜α−オレフィン共重合体に、
無水マレイン酸を0.05〜1重量%、好ましくは0.
2〜0.6重量%グラフトしたものが使用される。エチ
レン〜α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとして
はプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1などが挙げら
れ、これらのα−オレフィンは、30重量%以下、好ま
しくは5〜20重量%の割合でエチレンと共重合され
る。
【0043】無水マレイン酸変性エチレン〜α−オレフ
ィン共重合体の使用割合は、ポリアミド樹脂100重量
部に対して10〜50重量部、好ましくは10〜30重
量部の範囲から選ばれ、例えば200〜280℃の温度
で押出機などにより混練して使用される。
【0044】接着層としては、エチレン、プロピレンな
どのα−オレフィンの単独重合体や共重合体を不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体で0.01〜1重量%、好ま
しくは0.02〜0.6重量%グラフトした変性ポリオ
レフィンが使用できる。特に、密度が0.940〜0.
970g/cm3 のエチレン単独重合体またはエチレン
と3重量%以下、好ましくは0.05〜0.5重量%の
プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1などのα−オレ
フィンとの共重合体の変性物が好適である。不飽和カル
ボン酸またはその誘導体としては、アクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸またはそれらの無水物などが挙げられる。特に無水
マレイン酸が好ましい。
【0045】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に詳しく説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施
例に限定されるものではない。なお、以下の諸例におい
て、各種物性試験は以下の方法に従って行った。 (1)極限粘度〔η〕 テトラリン中、130℃で測定した。 (2)密度 JIS K6760に準拠して測定した。
【0046】(4)メルトテンション(MT) 東洋精機製の『メルトテンションテスター』を使用し、
190℃で溶融した試料を直径1mm、長さ5mm、流
入角60°のオリフィスから一定速度:0.44g/m
inで押し出し、0.94m/minで引き取った時の
張力を求めた。ドラフト率(引取り速度/ノズル線速
度)は1.25となった。 (5)メルトインデックス(HLMI) ASTM−D−1238−57Tに基づき、190℃、
21.6kg荷重で測定した。
【0047】(6)高速衝撃強度(HRI−IZOD) <試料の作成>JISK7110に準拠し、巾:6.0
mm、厚さ:9.55mm、のプレス片を長さ63.5
mmに切断しノッチ部分を切削加工した。 <測定>ダイナタップ社製、モデルGRC8250を使
用し、−30℃、7.7m/secの条件で測定した。 (7)曲げ剛さ(stiffness) ASTM D747に準拠して測定した。
【0048】(実施例1) (1)固体触媒成分の調製 コンデンサーを備えた3リットルのフラスコを充分に乾
燥、窒素置換した後、Mg(OEt)2 を66.5g
(0.58mol)、Ti(OBu)4 を98.7g
(0.29mol)を仕込み、撹拌下に130℃まで昇
温し、熱処理を行った。4時間後、均一な粘調液体が得
られた。約80℃まで冷却後トルエン1.0リットルを
加え、均一な溶液とした。充分に乾燥、窒素置換した2
4リットルのオートクレーブに、上記の溶液を全量移送
した。このトルエン溶液にテトラブトキシチタニウムテ
トラマー1272g(1.31mol)を加え、更に、
トルエンを4.5リットルを追加した。撹拌下、40℃
で4.24リットル(38.6mol)のTiCl4
トルエンで4.55mol/lの濃度まで希釈し、3時
間かけて添加した。ひき続き30分間かけて105℃ま
で昇温し、1時間保持した。次いで、冷却後、ノルマル
ヘキサンで洗浄し、固体触媒成分を得た。固体触媒成分
中のTi含有量は34.9重量%であった。
【0049】(2)エチレンの予備重合 容量300リットルの予備重合用反応器に、ノルマルヘ
キサン220リットルを仕込み、次ぎに実施例1で得た
固体触媒成分360gを導入した。水素を2kg/cm
2 導入し、80℃に昇温後、トリエチルアルミニウム
0.36molをエチレンと共にフィードし予備重合を
開始した。エチレンを連続的に導入し、0.5時間予備
重合を行い固体触媒成分1g当り10gのポリエチレン
を得た。予備重合終了後冷却し、ノルマルヘキサンで洗
浄した。
【0050】(3)エチレンの重合 容量500リットルの反応器を備えた連続重合装置を用
いて、エチレン27kg/hr、ノルマルヘキサン63
kg/hr、および水素を表−1の示す極限粘度を有す
るポリエチレンが得られるように連続的に供給すると共
に、実施例1で製造した予備重合触媒を2.5g/h
r、およびトリエチルアルミニウムを1.5g/hrの
速度で導入し、80℃、全圧25kg/cm2 、平均滞
留時間3時間の条件下でエチレンの単独重合を行った。
反応器内のポリエチレンを25kg/hrの速度で脱ガ
ス槽に導入し、粗分離、乾燥工程を経て、重合体粉末を
得た。得られたポリエチレン100重量部にヒンダード
フェノール系安定剤であるイルガノックス1010(商
品名、チバガイギー社製)を0.1重量部、フォスファ
イト系安定剤であるイルガフォス168(商品名、チバ
ガイギー社製)を0.05重量部、ステアリン酸カルシ
ウムを0.1重量部添加してペレット化し、各種物性試
験および成形試験に供した。結果を表−1に示す。
【0051】(実施例2) (1)固定触媒成分の調製 コンデンサーを備えた3リットルのフラスコを充分に乾
燥、窒素置換した後、Mg(OEt)2 を133g
(1.16mol)、Ti(OBu)4 を197g
(0.58mol)を仕込み、撹拌下に130℃まで昇
温し、熱処理を行った。4時間後、均一な粘調液体が得
られた。約80℃まで冷却後トルエン1.0リットルを
加え、均一な溶液とした。充分に乾燥、窒素置換した2
4リットルのオートクレーブに、上記の溶液を全量移送
した。このトルエン溶液にテトラブトキシチタニウムテ
トラマー957g(0.986mol)を加え、更に、
トルエンを5.8リットルを追加した。撹拌下、40℃
で1.99リットル(18.13mol)のTiCl4
をトルエンで4.55mol/lの濃度まで希釈し、3
時間かけて添加した。ひき続き30分間かけて105℃
まで昇温し、1時間保持した。次いで、冷却後、デカン
テーションにより上澄液12.5リットルを抜き出し、
更に、10リットルのトルエンで洗浄した。その後、
4.0リットルのトルエンを加え、更に4.55mol
/lの濃度のTiCl4 /トルエン溶液をTiCl4
で18.13molとなるように再度添加した。ひきつ
づき105℃で1時間熱処理を行い、冷却後、ノルマル
ヘキサンで洗浄し、固定触媒成分を得た。固体触媒成分
中のTi含有量は33.8重量%であった。
【0052】(2)エチレンの予備重合 上記固体触媒成分730gを使用し、トリエチルアルミ
ニウム0.52molを使用した以外は実施例1の予備
重合条件と同様に行った。 (3)エチレンの重合 上記の予備重合触媒を2.5g/hr、およびトリエチ
ルアルミニウムを1.5g/hrの速度で導入した以外
は実施例1と同様に重合した。結果を表−1に示す。
【0053】(実施例3) (1)固体触媒成分の調製 コンデンサーを備えた3リットルのフラスコを充分に乾
燥、窒素置換した後、Mg(OEt)2 を133g
(1.16mol)、Ti(OBu)4 を197g
(0.58mol)を仕込み、撹拌下に130℃まで昇
温し、熱処理を行った。4時間後、均一な粘調液体が得
られた。約80℃まで冷却後トルエン1.0リットルを
加え、均一な溶液とした。充分に乾燥、窒素置換した2
4リットルのオートクレーブに、上記の容液を全量移送
した。この溶液にトルエンを5.89リットル追加し
た。ついで、あらかじめ用意しておいた、TiOCl2
(0.99mol)とTiCl4 (11.6mol)か
らなる加温された溶液を3時間かけて添加した。ひき続
き30分かけて105℃まで昇温し、1時間保持した。
その後冷却し、ノルマルヘキサンで洗浄し、固体触媒成
分を得た。固体触媒成分中のTi含有量は33.5重量
%であった。
【0054】(2)エチレンの予備重合 上記固体触媒成分730gを使用し、トリエチルアルミ
ニウム0.52molを使用した以外は実施例1の予備
重合条件と同様に行った。 (3)エチレンの重合 上記予備重合触媒を2.5g/hr、およびトリエチル
アルミニウムを1.75g/hrの速度で導入し、水素
とブテン−1を表−1の示す極限粘度、および密度を有
するポリエチレンが得られるように連続的に供給した以
外は実施例1と同様に重合した。結果を表−1に示す。
【0055】(実施例4) (1)固体触媒成分の調製 テトラブトキシチタニウムテトラマーの使用量を844
g(0.87mol)に変更した以外は、実施例1と同
様に固体触媒成分を調製した。固体触媒成分中のTi含
有量は31.2重量%であった。 (2)エチレンの予備重合 実施例1と同様に行った。
【0056】(3)エチレンの重合 実施例1と同様の連続重合装置を用いて、エチレン27
kg/hr、ノルマルヘキサン63kg/hr、および
水素を下記に示す極限粘度を有するポリエチレンが得ら
れるように連続的に供給すると共に、上記予備重合触媒
成分を1.7g/hr、およびトリエチルアルミニウム
を1.75g/hrの速度で導入し、90℃、全圧25
kg/cm2 の条件下で重合させ、粘度平均分子量が1
2万のエチレン単独重合体を全重合体の75重量%重合
した。反応器内のポリエチレンを所定の速度で脱ガス槽
に導き、水素を分離後、容量500リットルの2段目反
応器に導いた。2段目反応器には、エチレン9kg/h
r、ノルマルヘキサン21kg/hrを連続的に供給
し、50℃、平均滞留時間1.5時間重合させ、粘度平
均分子量が130万の2段目エチレン単独重合体を全重
合体の25重量%重合した。反応終了後、重合体の粘度
平均分子量を測定したところ34万であった。以下の操
作は実施例1と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0057】(比較例1) エチレンの重合 実施例1で製造した予備重合触媒を1.3g/hr、お
よびトリエチルアルミニウムを5.3g/hrの速度で
導入した以外は実施例1と同様に重合した。結果を表−
1に示す。
【0058】(比較例2) (1)固体触媒成分の調製 コンデンサーを備えた24リットルオートクレーブを充
分に乾燥、窒素置換した後、Mg(OEt)2 を133
g(1.16mol)、Ti(OBu)3 Clを160
g(0.53mol)、Zr(OBu)3 Clを138
g(0.40mol)を仕込み、撹拌下に130℃まで
昇温し、熱処理を行った。4時間後、均一な粘調液体が
得られた。約80℃まで冷却後トルエン3.5リットル
を加え、均一な溶液とした。ついで、40℃でEtAl
Cl2 を210gを1.5時間かけて添加し、残りのE
tAlCl2 を490gを1.5時間かけて添加した。
80℃で2時間撹拌したのち、冷却しノルマルヘキサン
で洗浄し、固体触媒成分を得た。固体触媒成分中のTi
含有量は10.1重量%であった。
【0059】(2)エチレンの重合 容量500リットルの反応器を備えた連続重合装置を用
いて、エチレン13kg/hr、ノルマルヘキサン32
kg/hr、および水素を下記に示す極限粘度を有する
ポリエチレンが得られるように連続的に供給すると共
に、上記固体触媒成分を1.7g/hr、およびトリエ
チルアルミニウムを4.4g/hrの速度で導入し、9
0℃、全圧25kg/cm2 の条件下で重合させ、粘度
平均分子量が6万のエチレン単独重合体を全重合体の6
0重量%重合した。反応器内のポリエチレンを所定の速
度で脱ガス槽に導き、水素を分離後、容量500リット
ルの2段目反応器に導いた。2段目反応器には、エチレ
ン11kg/hr、ノルマルヘキサン21kg/hrを
連続的に供給し、50℃で重合させ、粘度平均分子量が
64万の2段目エンレン単独重合体を全重量体の40重
量%重合した。反応終了後、重合体の粘度平均分子量を
測定したところ27万であった。以下の操作は実施例1
と同様に行った。結果を表−1に示す。
【0060】(比較例3)エチレンの重合に際し、トリ
エチルアルミニウムを1.65g/hrの速度で導入
し、表−1に示す極限粘度を得るように水素量を変更し
た以外は実施例1と同様に重合した。結果を表−1に示
す。
【0061】(比較例4)市販のエチレン系重合体(昭
和電工(株)製『ショーレックス4551H』)を使用
した。
【0062】
【表1】
【0063】(実施例5および比較例5)表−1に示す
実施例および比較例において製造した各HDPEを押出
機(シリンダーの設定温度;185〜215℃)にて溶
融し、ダイ(ダイ温度;235℃)を通して直径530
mmのパリソンを形成した。パリソンコントローラーに
よりドローダウンを調整し、成形直前のパリソン肉厚が
射出方向において一定になるようにして、金型(60L
鞍型で40Rコーナー部を有する。温度;20℃)で挟
み、空気を圧入(圧力;6kg/cm2 )した後、製品
取り出し温度80℃で60リットル容量の燃料タンク
(製品重量;7kgおよび10kg)を得た。
【0064】得られた各燃料タンクについて、落下試験
と40Rコーナー部の肉厚を測定した。その結果を表−
2に示す。尚、落下衝撃強度は、燃料タンクに不凍液を
満液とし、−40℃で16mの高さから落下させて亀裂
の有無を確認することにより強度を評価した。また、実
施例5−1において、40Rコーナー部肉厚を2.2m
mとなるように成形したところ、製品重量が5.9kg
と製品当り1.1kg軽量化された燃料タンクを得るこ
とができた。この燃料タンクの落下衝撃強度を測定した
が、破損は観察されなかった。さらに、製品取り出し温
度が、同一冷却時間で、12℃低下することができ、製
品1個当り、約24秒の冷却時間の短縮ができた。
【0065】
【表2】
【0066】(実施例6)表−3に示す実施例で製造し
たHDPEと以下に示す接着剤樹脂(イ)およびバリヤ
ー樹脂(ロ)の各層の原料樹脂を別々の押出機を用いて
個々に溶融し、同心円状の流路を有する同一ダイに押し
出し、ダイ内(ダイ内温度;230℃)で各層を重ね合
わせて共押出をして直径530mmのパリソンを形成し
た。以下実施例5と同様にして60リットル容量の多層
(3種5層)の燃料タンク(7kg)を得た。該容器の
落下衝撃強度試験で容器に破損は観察されなかった。ま
た、40Rコーナー部の肉厚を測定したところ2.9m
mであった。
【0067】
【表3】 表−3 ───────────────────────── 層構成 使用樹脂 厚さ(μm) ───────────────────────── 外 層 実施例1 2600 接着層 (イ)APO 100 バリヤー層 (ロ)MPA 100 接着層 (イ)APO 100 内 層 実施例1 2600 ─────────────────────────
【0068】(イ)変性ポリエチレン(APO) 密度=0.960g/cm3 の高密度ポリエチレンに無
水マレイン酸(0.4重量%)をグラフトした変性ポリ
エチレン。メルトインデックス(MI);0.1g/1
0分。 (ロ)変性ポリアミド樹脂組成物(MPA) 80重量部の相対粘度4.0のナイロン−6と20重量
%の無水マレイン酸(0.3重量%)変性エチレン〜ブ
テン−1共重合体(エチレン〜ブテン−1(13mol
%)共重合体の結晶化度20%で、MIが3.5g/1
0分)との混合物。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、均一延伸性にすぐれ、
高剛性でかつ耐衝撃性等の機械的特性に優れたエチレン
系重合体が得られると共に、従来より薄い肉厚でも優れ
た耐衝撃強度を有する、軽い燃料タンクが得られる。ま
た、冷却時間や射出時間を短縮し、製造サイクルが短縮
された燃料タンクの製造が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 77/00 LQS

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン単独重合体、または、エチレン
    と炭素数3〜20のα−オレフィンとからなりα−オレ
    フィン含有量が10重量%以下であるエチレン共重合体
    であって、 (1)極限粘度〔η〕が2〜6(dl/g) (2)密度が0.945〜0.970(g/cm3 ) (3)溶融張力(MT)と21.6kg荷重のメルトイ
    ンデックス(HLMI)の関係が、 MT≧−12.4logHLMI+20.5 (4)−30℃で測定した高速衝撃強度(HRI−IZ
    OD)とHLMIの関係が、 HRI−IZOD≧−logHLMI+1.15 であることを特徴とするエチレン系重合体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のエチレン系重合体から
    なる中空成形品。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のエチレン系重合体から
    なる中空成形品から構成される燃料タンク。
  4. 【請求項4】 中空成形品が、バリヤ層と請求項1に記
    載のエチレン系重合体からなるポリエチレン層とを有す
    る積層体からなることを特徴とする、請求項3に記載の
    燃料タンク。
  5. 【請求項5】 積層体が、バリヤ層と、その少なくとも
    片側に接着層を介して存在する請求項1に記載のエチレ
    ン系重合体からなるポリエチレン層とから構成されてい
    ることを特徴とする、請求項4に記載の燃料タンク。
  6. 【請求項6】 バリヤ層がポリアミド樹脂からなること
    を特徴とする、請求項4に記載の燃料タンク。
  7. 【請求項7】 ポリアミド樹脂が結晶化度が1〜35
    %、メルトインデックスが0.01〜50のエチレン〜
    α−オレフィン共重合体に無水マレイン酸を0.05〜
    1重量%グラフトした無水マレイン酸変性エチレン〜α
    −オレフィン共重合体とポリアミド樹脂との組成物から
    形成されたものであることを特徴とする請求項6に記載
    の燃料タンク。
  8. 【請求項8】 接着層が、高密度ポリエチレンを不飽和
    カルボン酸またはその誘導体0.01〜1重量%でグラ
    フト変性したものである請求項5に記載の燃料タンク。
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