JP2000063430A - エチレン系重合体 - Google Patents

エチレン系重合体

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JP2000063430A
JP2000063430A JP22830099A JP22830099A JP2000063430A JP 2000063430 A JP2000063430 A JP 2000063430A JP 22830099 A JP22830099 A JP 22830099A JP 22830099 A JP22830099 A JP 22830099A JP 2000063430 A JP2000063430 A JP 2000063430A
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ethylene
compound
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polymer
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JP22830099A
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Yumito Uehara
弓人 上原
Nobuo Enokido
信夫 榎戸
Kiyotoshi Fujioka
清利 藤岡
Nobuyuki Shimizu
信之 清水
Motonori Ueda
基範 上田
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一延伸性にすぐれ、高剛性でかつESCR
等の機械的特性に優れたエチレン系重合体の提供。 【解決手段】 エチレン単独重合体、または、エチレン
と炭素数3〜20のα−オレフィンとからなりα−オレ
フィン含有量が5重量%以下であるエチレン共重合体で
あって、 (1)極限粘度〔η〕が2〜6(dl/g)、 (2)密度が0.96〜0.97(g/cm3 )、 (3)R=σ2 /σ1 (σ1 、σ2 は、伸長歪み速度ε
=0.5sec-1の流動下、それぞれ2sec、4se
cでの歪量における伸長応力を示す。)で定義されるR
値が2.5〜4 であることを特徴とする、エチレン系重合体。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は新規なエチレン系重
合体に関する。さらに詳しくは、中空成形、特に大型中
空成形において、均一延伸性などの成形加工性に優れ、
且つ剛性が高く機械的特性に優れたエチレン系重合体に
関する。また、従来品より薄い平均肉厚でも優れた製品
特性を保持した燃料タンク用のエチレン系重合体に関す
る。 【0002】 【従来の技術】近年、自動車工業分野では、軽量化、省
エネルギー化と言った目的で、各種自動車部品のプラス
チック化が活発に押し進められている。プラスチック材
料としては、安価、高強度、良耐候性、良耐薬品性およ
び環境問題といった観点からポリオレフィン樹脂が一般
に用いられている。 【0003】ポリオレフィン樹脂の中でも、特にポリエ
チレンは中空成形用樹脂として好適な樹脂であり、一般
に、比較的分子良分布が広く、溶融張力が大きく、均一
延伸性が良好であるポリエチレンが使用される。なかで
も、大型中空成形分野では、プラスチック燃料タンク
や、ドラム缶と言った大型容器が最近注目されている。
特に、高分子量高密度ポリエチレン製のプラスチック燃
料タンクは、従来の鋼板製燃料タンクに比較して、形状
自由度が高いという特性を活かし一部の車種、例えば4
WD(四輪駆動)や4WS(四輪操舵)などを装着した
車種等に搭載されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】この様な用途に好適な
材料として、例えば成形加工性や耐環境応力亀裂性(以
下ESCRという)に優れたエチレン共重合体(特開平
2−53811号公報)などが提案されている。しかし
ながら、これらの高密度ポリエチレンでは、複雑な形状
の燃料タンクを製造しようとした場合、得られる燃料タ
ンクの曲部の肉厚が薄くなり、その部分の強度が低下す
る。従って曲部の強度を補強する意味で肉厚を厚くする
ために燃料タンク全体を厚くしなければならず、その結
果、経済性や軽量性といった面で不十分な状況にある。 【0005】また、製品の耐衝撃性やESCRといった
機械的強度の向上をねらってα−オレフィンとの共重合
を行う場合、比較的密度の低い共重合体とするために剛
性が低下するという欠点が生じる。特に製品の軽量化、
薄肉化をはかろうとする場合、剛性の低下は燃料タンク
の使用に際し撓んだり、製品を積み重ねた際に変形をお
こすといった問題を招くものであった。 【0006】本発明の目的は、かかる用途において、優
れた均一延伸性に代表される加工特性と、高剛性で、且
つ優れた機械的特性を兼ね備えたエチレン系重合体を提
案すると共に、肉厚分布が少なく薄肉で軽量性、経済性
に優れ、且つ高剛性で、機械的特性の優れた燃料タンク
用のエチレン系重合体を提案することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために鋭意検討を重ねた結果、エチレン単独
重合体、またはエチレンと他のα−オレフィンとの共重
合体からなり、極限粘度、R値および密度が特定の範囲
にあるエチレン系重合体が、中空成形、特に大型中空成
形において、均一延伸性などの成形加工性に優れ、か
つ、剛性が高く、機械的特性に優れたエチレン重合体組
成物を与える事を見出した。更に、上記エチレン重合体
組成物によって製造されたプラスチック燃料タンクは、
従来品より薄い肉厚でも優れた製品特性を有する事を見
出した。 【0008】すなわち、本発明は、エチレン単独重合
体、または、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィ
ンとからなりα−オレフィン含有量が5重量%以下であ
るエチレン共重合体であって、 (1)極限粘度〔η〕が2〜6(dl/g)、 (2)密度が0.96〜0.97(g/cm3 )、 (3)R=σ2 /σ1 (σ1 、σ2 は、伸長歪み速度ε
=0.5sec-1の流 動下、それぞれ2sec、4secでの歪量における伸
長応力を示す。)で定義されるR値が2.5〜4 であることを特徴とする、エチレン系重合体に存する。 【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明のエ
チレン系共重合体は、エチレン単独重合体、または炭素
数3〜20のα−オレフィンとの共重合体からなり、α
−オレフィン含有量が5重量%以下、好ましくは3重量
%以下のものが使用される。炭素数3〜20のα−オレ
フィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペ
ンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−
1、オクタデセン−1、また、4−メチルペンテン−
1、3−メチルブテン−1、3−メチルペンテン−1、
さらに、ビニルシクロヘキサン、スチレン等が挙げられ
る。また、α−オレフィン含有量が5重量%より多くな
ると、エチレン系重合体の剛性が低下し好ましくない。 【0010】また、本発明のエチレン系重合体は、極限
粘度〔η〕が2〜6dl/g、好ましくは2.3〜5.
5dl/g、さらに好ましくは3〜5dl/gの範囲と
することが必要である。極限粘度が2dl/g未満の場
合は機械的強度が低下すると共に、耐ドローダウン性も
劣り好ましくない。また、6dl/gを超えると成形性
が低下し好ましくない。また、本発明のエチレン系重合
体は、密度が0.96を超え、0.97g/cm3 以下
であり、好ましくはエチレン単独重合体である。密度が
0.96g/cm3 以下の場合は、剛性が低下し、好ま
しくない。 【0011】さらに、本発明のエチレン系重合体は、式
R=σ2 /σ1 (ここで、R値とは、伸長流動下におけ
る、伸長応力の経時的な増大率を表す指標であり、
σ1 、σ 2 は伸長歪み速度ε=0.5sec-1の流動下
でのそれぞれ2sec、4secでの歪量における伸長
応力である。)で定義されるR値が2.5〜4、好まし
くは2.6〜3.8、さらに好ましくは2.7〜3.5
の範囲にあることが必要である。 【0012】一般に、R値の大きな樹脂はブロー成形の
際に金型コーナー部などの歪量の大きな部位において、
材料の変形に伴う硬化現象(strain harde
ning)を生じ易く、その部位の過大な伸びを抑制す
る性質(均一延伸性)が良好な樹脂であると考えられ、
R値が2.5未満の場合は均一延伸性が劣り、特に複雑
形状の容器を成形する場合曲部の肉厚が薄くなり、その
部分の強度が低下する。従って曲部の強度を補強する意
味で肉厚を厚くするために容器全体を厚くしなければな
らず、その結果、経済性や軽量性といった面で不利とな
る。また、R値が4を超える場合は延伸切れ等による成
形性の悪化をきたして好ましくない。 【0013】前記R値は、例えば特定の触媒を使用し、
特定の条件で重合したり、多段重合において重合条件を
特定することにより制御することができる。次に、本発
明のエチレン系重合体の製造方法の例を示すが、本発明
は以下に示す製造方法に限定されるものではない。本発
明のエチレン重合体組成物は、特定の触媒を使用し、特
定の条件で重合したり、多段重合において重合条件を特
定することにより製造することができる。特定の触媒と
しては、例えば、Mg化合物、Ti化合物、ハロゲンを
必須成分とする固体触媒成分(A)、と有機アルミニウ
ム化合物(B)を主成分とする触媒を挙げることができ
る。具体的には、例えば、(A)一般式Mg(OR1)m
1 2 -m(式中R1 はアルキル、アリール、またはシクロ
アルキル基を示し、X1 はハロゲン原子を示し、mは1
または2である。)で表されるMg化合物(a)と、一
般式Ti(OR2)n 2 4-n(式中R2 はアルキル、アリ
ール、またはシクロアルキル基を示し、X2 はハロゲン
原子を示し、nは4≧n≧1を示す。)で表されるTi
化合物(b)および下記一般式(I) 【0014】 【化1】 【0015】(式中R3 はアルキル、アリールまたはシ
クロアルキル基を示し、同一でも異なっていてもよい。
pは20≧p≧2を示す。)で表されるポリアルキルチ
タネート(c)並びに必要に応じて一般式R4 OH(式
中R4 はアルキル、アリールまたはシクロアルキル基を
示す。)で表されるアルコール化合物を含む均一な炭化
水素溶液をハロゲン化剤を用いて処理して得られる炭化
水素不溶性固体触媒成分と(B)有機アルミニウム化合
物とを組み合わせてなる触媒系を用いてエチレンの単独
重合またはエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィン
との共重合によって製造することができる。より具体的
には、固体触媒成分の製造に使用されるMg化合物
(a)の一般式Mg(OR1)m 1 2-m(式中R1 はアル
キル、アリール、またはシクロアルキル基を示し、X1
はハロゲン原子を示し、mは1または2である。)で表
される化合物としては、具体的にはR1 がメチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチ
ル、トリル、キシリル、シクロヘキシル等の炭素数15
程度までのアルキル、アリール、シクロアルキル基であ
り、X1 が塩素、臭素、またはヨウ素であるような化合
物、例えばジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネ
シウム、エトキシマグネシウムクロライド、ジフェノキ
シマグネシウム等が挙げられる。このうち一般式のmが
2であるような化合物が好ましい。Ti化合物(b)の
一般式Ti(OR2)n 2 4-n(式中R2 はアルキル、ア
リール、またはシクロアルキル基を示し、X2 はハロゲ
ン原子を示し、nは4≧n≧1を示す。)で表されるT
i化合物としては、R2 、X2 として上記R1 、X1
例示したものが同様に挙げられる。具体的にはnが4の
化合物としてテトラエトキシチタン、テトラプロポキシ
チタン、テトラn−ブトキシチタン等、nが3の化合物
としてトリエトキシモノクロルチタン、トリプロポキシ
モノクロルチタン、トリn−ブトキシモノクロルチタン
等、nが2の化合物としてはジエトキシジクロルチタ
ン、ジプロポキシジクロルチタン、ジn−ブトキシジク
ロルチタン等、nが1の化合物としてはエトキシトリク
ロルチタン、プロポキシトリクロルチタン、n−ブトキ
シトリクロルチタン等が挙げられる。特にnが4および
3のものが好ましい。中でもnが4の化合物であるテト
ラn−ブトキシチタン、nが3の化合物であるトリn−
ブトキシモノクロルチタン等が好ましい。ポリアルキル
チタネート(c)の上記一般式(I)で表される化合物
(式中R 3 はアルキル、アリールまたはシクロアルキル
基を示し、同一でも異なっていてもよい。pは20≧p
≧2を示す。)としては、前記一般式中、R3 は前記R
1で例示したものが同様に挙げられる。 【0016】具体的な化合物としてテトラエトキシチタ
ンの2〜20量体、テトラプロポキシチタンの2〜20
量体、テトラブトキシチタンの2〜20量体、テトラキ
ス(2エチルヘキシルオキシ)チタンの2〜20量体、
テトラステアリルオキシチタンの2〜20量体等が挙げ
られる。中でも、テトラブトキシチタンの2〜4量体及
びテトラプロポキシチタンの2〜10量体が好ましい。
さらに、テトラアルコキシチタン等に少量のH2 Oを反
応して得られたテトラアルコキシチタンの縮合物を使用
することもできる。また、必要に応じて用いられるアル
コール化合物(d)の一般式R4 OH(式中R4 はアル
キル、アリールまたはシクロアルキル基を示す。)とし
ては、R4 は前記R1 で例示したものが同様に挙げられ
る。具体的にはエチルアルコール、n−プロピルアルコ
ール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコー
ル、n−オクチルアルコール等が挙げられる。 【0017】固体触媒成分(A)は前記Mg化合物
(a)、Ti化合物(b)、ポリアルキルチタネート
(c)そして必要に応じてアルコール(d)を含む均一
な炭化水素溶液を調製する。溶媒として使用される炭化
水素としてはヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、
シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素が使用される。炭化水
素溶液を調製するには、Mg化合物、Ti化合物、ポリ
アルキルチタネートを予め接触させて均一な液状物を調
製しても良く、またMg化合物、Ti化合物を予め接触
させて均一な液状物を調製した後に、ポリアルキルチタ
ネートを接触させても良い。 【0018】均一な液状物は使用する化合物の種類によ
って上記3成分あるいは2成分を混合し加温することに
よって達成しうるが、均一な液状物が生成しがたい場合
にはアルコールを存在させることが好ましい。添加順序
には特に制限はない。混合後、好ましくは100℃〜1
70℃に加温することにより均一な液状物もしくは、均
一なアルコール溶液が得られる。ついで炭化水素溶媒を
加えて炭化水素溶液とするが、アルコールを使用した場
合にはアルコールを溜去させた後に炭化水素溶媒を加え
てもよい。また、Mg化合物、Ti化合物の2成分より
なる液状物を調製し、次いで炭化水素溶媒を加えて均一
な炭化水素溶液とした後に、ポリアルキルチタネートを
加えてもよい。 【0019】ついで、上記のようにして得られた均一な
炭化水素溶液をハロゲン化剤で処理することによって固
体触媒成分(A)を得る。ハロゲン化剤としてはハロゲ
ン化の作用のあるものならば特に制限は無く、通常ハロ
ゲンが共有結合している化合物を用いる。具体的には三
塩化硼素、四塩化チタン、四塩化硅素、四塩化錫、四塩
化バナジウム、塩化アルミニウム等の塩化物、塩化水
素、チオニルクロライド、クロルスルホン酸等の塩素含
有化合物、あるいは塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ
る。なかでも四塩化チタン、四塩化硅素等が好ましい。 【0020】これらハロゲン含有化合物で処理する方法
としては特に制限はないが、通常、常温〜200℃の温
度で処理を行うことが好ましい。ハロゲン化処理は1回
でも良く、2回以上繰り返し行ってもよい。またハロゲ
ン化の度合いは上記のMg化合物、Ti化合物、ポリア
ルキルチタネート、アルコール化合物に対し、以下に示
す範囲 【0021】 【数1】 が好ましい。より好ましくは 【0022】 【数2】 の範囲である。(ここで、Xはハロゲン化剤中のハロゲ
ン原子のモル数を示し、X1 、X2 、R 1 、OR2 、O
3 、OR4 は前記化合物の一般式中の各基モル数を示
す。) 【0023】以上のようにして固体触媒成分が得られた
後、固体を分離し、炭化水素溶媒で洗浄する。しかし
て、Mg化合物(a)、Ti化合物(b)、ポリアルキ
ルチタネート(c)の各成分の使用量は各成分のモル比
で 【0024】 【数3】0.1≦(b)/(a)≦5 0.3≦(c)/(a)≦8 好ましくは 【0025】 【数4】0.2≦(b)/(a)≦2 0.5≦(c)/(a)≦4 の範囲で使用される。 【0026】上記範囲外では、均一延伸性といった成形
加工性や、機械的強度に劣る傾向があり好ましくない。
また、アルコール化合物(d)の使用量は前記の均一な
液状物を得るに必要な量が使用される。次に、共触媒と
して用いられる有機アルミニウム化合物としては、一般
式AlR5 q (OR6 r 5 3-(q+r)(式中、R5 、R
6 はアルキル、アリール、シクロアルキル基を示し、X
5 はハロゲン原子を示し、qは2〜3を、rは0〜1の
数を示す。)で表される化合物が挙げられる。具体的に
はトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウ
ム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチル
アルミニウムモノクロリド、ジエチルアルミニウムモノ
エトキサイド等が挙げられる。また、トリアルキルアル
ミニウムと水との反応生成物を使用することもできる。
これら有機アルミニウム化合物は単一の化合物を用いて
もよく、また2種以上の化合物を使用してもよい。 【0027】有機アルミニウム化合物(B)の使用割合
は、有機アルミニウム化合物の濃度および有機アルミニ
ウム化合物と固体触媒成分との比、即ちAl/Ti原子
比の積〔Al〕(mmol/l)×(Al/Ti)が
1.2〜0.02、好ましくは1.0〜0.03、より
好ましくは0.5〜0.05の範囲で使用される。上記
範囲外では重合活性が低下したり、また、均一延伸性な
どの成形加工特性が劣るとともに機械的強度も低下し好
ましくない。 【0028】以上のような触媒系を使用してエチレンの
重合または前記例示のα−オレフィンとの共重合を行う
が、重合反応は不活性溶媒中で行うスラリー重合、溶液
重合、あるいは気相重合により行われる。不活性溶媒と
してはブタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水
素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、ト
ルエン等の芳香族炭化水素が使用される。重合反応は通
常、常温〜200℃の温度、常圧〜100気圧の範囲か
ら選ばれる。また重合反応において水素を導入すること
により容易に所望の分子量の重合体を得ることができ
る。さらに、本発明のエチレン系重合体の製造に際して
は1段重合法のみならず多段重合法もとりうる。 【0029】多段重合法の例としては、(イ)重合反応
を2段階、すなわち第1の反応帯域で重合して得られた
反応生成物の存在下に第2の反応帯域においてさらに重
合する方法で行い、(ロ)第1および第2の反応帯域の
いずれか一方の帯域においてエチレンの単独重合を行
い、粘度平均分子量6〜15万の重合体Aを全重合体生
成量の60重量%〜90重量%の量生成させ、(ハ)他
方の反応帯域においてエチレンの単独重合または前記記
載のα−オレフィンとの共重合を行い、α−オレフィン
含有量10重量%以下で、粘度平均分子量50万〜40
0万の重合体Bを40重量%〜10重量%の量生成さ
せ、(ニ)重合体Bと重合体Aの分子量比が3〜50の
範囲になるよう重合する方法が挙げられる。 【0030】さらに、本発明のエチレン系共重合体の製
造に使用される他の触媒としては、例えば、(A)一般
式Mg(OR1)m 1 2-m(式中R1 はアルキル、アリー
ル、またはシクロアルキル基を示し、X1 はハロゲン原
子を示し、mは1または2である)で表されるMg化合
物(a)と、一般式Ti(OR2)n 2 4-n(式中R2
アルキル、アリールまたはシクロアルキル基を示し、X
2 はハロゲン原子を示し、nは4≧n≧1を示す。)で
表されるTi化合物(b)、および必要に応じ一般式R
4 OH(式中R4 はアルキル、アリールまたはシクロア
ルキル基を示す。)で表されるアルコール(c)を含む
均一な炭化水素溶液に、チタニルクロライド(TiOC
2 )(d)と還元能を有しないハロゲン含有化合物
(e)からなる溶液を用いて処理して得られる炭化水素
不溶性固体触媒成分と(B)有機アルミニウム化合物と
を組み合わせてなる触媒系が挙げられる。より具体的に
は、固体触媒成分の製造に使用されるMg化合物
(a)、Ti化合物(b)、および必要に応じ使用され
るアルコール(c)は前記例示の触媒と同様の化合物が
使用される。固体触媒(A)は、前記Mg化合物、Ti
化合物、および必要に応じ使用されるアルコールを含む
均一な溶液を調製する。溶媒として使用される炭化水素
としては前記例示のものが使用される。炭化水素溶液を
調製するには、Mg化合物、Ti化合物をあらかじめ接
触させ均一な液状物を調製する。均一な液状物が生成し
がたい場合にはアルコールを存在させることが好まし
い。添加順序に特に制限はない。 【0031】混合後、好ましくは100℃〜170℃に
加温することにより均一な液状物もしくは、均一なアル
コール溶液が得られる。ついで炭化水素溶媒を加えて炭
化水素溶液とするが、アルコールを使用した場合にはア
ルコールを溜去させた後に炭化水素溶媒を加えてもよ
い。次いで、上記のようにして得られた均一な炭化水素
溶液をTiOCl2 と還元能を有しないハロゲン含有化
合物からなる溶液で処理することによって固体触媒成分
(A)を得る。 【0032】TiOCl2 と還元能を有しないハロゲン
含有化合物からなる溶液はTiOCl2 と還元能を有し
ないハロゲン含有化合物とを混合し加温することによっ
て得られる。還元能を有しないハロゲン含有化合物とし
ては特に制限はないが、TiOCl 2 の溶解度が高い化
合物が好ましい。中でも四塩化チタン、四塩化硅素が好
ましい。特に四塩化チタンが好ましい。 【0033】これらTiOCl2 と還元能を有しないハ
ロゲン含有化合物からなる溶液で処理する方法としては
特に制限はないが、上記溶液が均一な溶液であることが
好ましい。処理温度は、常温〜200℃の温度で行うこ
とが好ましい。以上のようにして固体触媒成分が得られ
た後、固体を分離し、炭化水素溶媒で洗浄する。しかし
て、Mg化合物(a)、Ti化合物(b)、TiOCl
2 (d)の各成分の使用量は各成分のモル比で 【0034】 【数5】0.01≦(b)/(a)≦10 0.1≦(d)/(a)≦50 の範囲である。 【0035】また、還元能を有しないハロゲン含有化合
物(e)の使用量は、上記Mg化合物(a)、Ti化合
物(b)、アルコール(c)に対し、以下に示す範囲が
好ましい。 【0036】 【数6】 【0037】(ここで、Xは還元能を有しないハロゲン
含有化合物中のハロゲン原子のモル数を示し、X1 、X
2 、OR1 、OR2 、OR4 は上記化合物の一般式中の
各基のモル数を示す。) 上記範囲外では、均一延伸性といった成形加工特性や機
械的強度が劣り、また重合活性が劣り好ましくない。 【0038】また、アルコール(e)の使用量は前記の
均一な液状物を得るに必要な量が使用される。次に、共
触媒として用いられる有機アルミニウム化合物(B)と
しては、前記例示触媒と同様の化合物が使用される。有
機アルミニウム化合物(B)の使用割合は、有機アルミ
ニウム化合物の濃度および有機アルミニウム化合物
(B)と固体触媒成分との比、即ちAl/Ti原子比の
積〔Al〕(mmol/l)×(Al/Ti)が2.0
〜0.01、好ましくは1.0〜0.02の範囲で使用
される。 【0039】上記範囲外では重合活性が低下したり、ま
た、均一延伸性などの成形加工特性が劣るとともに機械
的強度も低下し好ましくない。以上のような触媒系を使
用してエチレンの重合または前記例示のα−オレフィン
との共重合を行うが、重合反応は前記重合例と同様に行
うことができる。その場合においても1段重合法のみな
らず、前記記載の多段重合法も同様に行うことができ
る。 【0040】本発明のエチレン系重合体は、均一延伸性
などの成形加工性に優れ、且つ、剛性が高く機械的特性
に優れた特徴を有する。本発明のエチレン系重合体を成
形するに際しては、充填剤、顔料、光安定剤、熱安定
剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核
剤などの公知の添加剤を配合してもよい。 【0041】本発明のエチレン系重合体を用いた燃料タ
ンクは、公知のブロー成形法等によって製造することが
できる。例えば、本発明のエチレン系重合体を押出機か
らダイを通して、そのパリソンを形成する。このパリソ
ンを成形用金型内において、内側より空気圧により膨ら
ませ、金型に密着させると同時に冷却することにより製
造する。本発明のエチレン系重合体は、材料の硬化現象
(strain hardening)を生じやすく、
その部位の過剰な伸びを抑制する性質があるので、金型
の曲部において、パリソンの変形が均一化された状態で
ブローアップされるため、得られる成形品の曲部の肉厚
が従来のものに比べてより厚いものを形成することがで
きる。 【0042】また、多層の燃料タンクを製造する場合
は、例えば、複数の押出機から各層の樹脂組成物を個別
に可塑化して同じ円状の流路を有する同一のダイに押出
し、ダイ内で各層の肉厚の均一化を行うと共に各層を重
ね合わせ、見かけ上、一層のパリソンを形成し、ついで
上記と同様にして成形用金型において成形する。多層の
燃料タンクとしては、特に、バリヤ層の両面に接着層を
介して本発明のエチレン系重合体組成物による高密度ポ
リエチレン層を積層した3種5層構造のものが好まし
い。その際、バリヤ層の厚さは、0.01〜0.5m
m、好ましくは0.1〜0.3mm、接着層の厚さは、
0.01〜0.5mm、好ましくは0.3mm、高密度
ポリエチレン層の厚さは、1〜10mm、好ましくは
1.5〜5mmの範囲から選ばれる。 【0043】多層の場合は、バリヤ層の少なくとも片側
に接着層を介して、エチレン系重合体組成物から形成さ
れるポリエチレン層を積層した積層型の燃料タンクとし
て好適に使用することができる。バリヤ層は、ポリアミ
ド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹脂、鹸化度
が93%以上、好ましくは96%以上でエチレン含量が
25〜50モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体など
のエチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物などから形成す
ることができる。 【0044】特に、ポリアミド樹脂が形成安定性、ガス
バリヤ性の点から好ましく、ジアミンとジカルボン酸と
の重縮合によって得られるポリアミド、アミノカルボン
酸の縮合によって得られるポリアミド、ラクタムから得
られるポリアミドまたはこれらの共重合ポリアミドなど
の、通常、相対粘度が1〜6程度で、融点が170〜2
80℃、好ましくは200〜240℃のものが使用され
る。具体的には、例えば、ナイロン−6、ナイロン−6
6、ナイロン−610、ナイロン−9、ナイロン−1
1、ナイロン−12、ナイロン−6/66、ナイロン−
66/610、ナイロン6/11などが挙げられる。特
にナイロン−6が好適である。 【0045】本発明においてはポリアミド層は、上記ポ
リアミド樹脂と無水マレイン酸変性エチレン〜α−オレ
フィン共重合体とからなる変性ポリアミド樹脂組成物か
ら形成されたものが好ましく、無水マレイン酸変性エチ
レン〜α−オレフィン共重合体としては、結晶化度が1
〜35%、好ましくは1〜30%で、メルトインデック
スが0.01〜50g/10分、好ましくは0.1〜2
0g/10分のエチレン〜α−オレフィン共重合体に、
無水マレイン酸を0.05〜1重量%、好ましくは0.
2〜0.6重量%グラフトしたものが使用される。エチ
レン〜α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとして
はプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1などが挙げら
れ、これらのα−オレフィンは、30重量%以下、好ま
しくは5〜20重量%の割合でエチレンと共重合され
る。 【0046】無水マレイン酸変性エチレン〜α−オレフ
ィン共重合体の使用割合は、ポリアミド樹脂100重量
部に対して10〜50重量部、好ましくは10〜30重
量部の範囲から選ばれ、例えば200〜280℃の温度
で押出機などにより混練して使用される。接着層として
は、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィンの単独
重合体や共重合体を不飽和カルボン酸またはその誘導体
で0.01〜1重量%、好ましくは0.02〜0.6重
量%グラフトした変性ポリオレフィンが使用できる。特
に、密度が0.94〜0.97g/cm3 のエチレン単
独重合体またはエチレンと3重量%以下、好ましくは
0.05〜0.5重量%のプロピレン、ブテン−1、ヘ
キセン−1などのα−オレフィンとの共重合体の変性物
が好適である。 【0047】不飽和カルボン酸またはその誘導体として
は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、シトラコン酸またはそれらの無水物な
どが挙げられる。特に無水マレイン酸が好ましい。 【0048】 【実施例】次に、本発明を実施例によって更に詳しく説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施
例に限定されるものではない。なお、以下の諸例におい
て、各種物性試験は以下の方法に従って行った。 (1)極限粘度〔η〕 テトラリン中、130℃で測定した。 【0049】(2)密度 JIS K6760に準拠して測定した。 (3)均一延伸性指標(R値) R値は、伸長流動下における、伸長応力の経時的な増大
率を表す指標であり、R=σ2 /σ1 と定義される。こ
こで、σ1 、σ2 はそれぞれ伸長歪速度ε=0.5se
-1の流動下で、伸長歪量ε=1及びε=2の時の伸長
応力を意味する。σ1 、σ2 については、σ=ηE ×ε
(ηE ;伸長粘度、ε;伸長歪速度)であるから、 【0050】 【数7】 σ1 =ηE (t=2.0;ε=0.5)×0.5 σ2 =ηE (t=4.0;ε=0.5)×0.5 (t;時間)として求めることができる。 【0051】伸長流動特性は下記方法で推算することが
できる。伸長粘度はGiesekusの構成方程式を
一定歪速度の一軸伸長応力について解くことにより、
式のように解析的に求めることができる。 【0052】 【数8】 【0053】 【数9】 式においてTiは 【0054】 【数10】 【0055】である。ここで、緩和スペクトルHi (τ
i )、及び非線形パラメータαは次のようにして求め
た。 (1)測定 緩和スペクトルを求める際に必要となる動的粘弾性の測
定には、レオメトリクス社製メカニカルスペクトロメー
ターRMS−800を用いた。測定治具は円錐−平板型
であり、直径が25mm、円錐と平板のなす角度(以
下、円錐角と称す)が0.1radのものを使用した。
測定周波数範囲は0.01〜100rad/secであ
る。 【0056】広範囲な定常剪断粘度の測定には、レオメ
トリクス社製RSR−M、RMS−800、およびイン
テスコ社製INTESCO2020型キャピラリー式粘
度計を用いた。RSR−Mの測定治具は、直径が25m
m、円錐角が0.1radのものを用いた。RSR−8
00の測定治具は直径が7.9mmで、円錐角が0.1
radのものを用いた。INTESCO2020型キャ
ピラリー式粘度計には、直径が1.0mm、管長50.
0mmで、流入角が90°のものを用いた。剪断速度の
補正としてRabinowitch補正を行った。 【0057】RSR−Mは主として剪断速度γ=10-5
〜10-3sec-1での測定に用い、RMS−800はγ
=10-3〜100 sec-1、INTESCO2020型
キャピラリー式粘度計はγ=100 〜103 sec-1
の測定に用いた。上記の測定はすべて190℃で行っ
た。RSR−M、RMS−800を用いた測定には、プ
レス成形した厚さ1.0mmの試料片を用いた。INT
ESCO2020型キャピラリー式粘度計にはペレット
状試料を供した。 【0058】(2)緩和スペクトルH(τ)の算出 動的粘弾性の測定データーのうち、貯蔵弾性率G′
(ω)を任意の次数(通常は2次回帰)の回帰曲線で最
小自乗近似し、次式(Tschoeglの2次近似)に
より、緩和スペクトルを計算した。 【0059】 【数11】 【0060】式によって求められた緩和スペクトルは
連続関数として与えられるが、実際に多モード型の構成
方程式にあてはめて種々の計算を行う場合、不連続な線
スペクトルとする必要がある。そこで、緩和スペクトル
曲線の短時間側を10-3secから、長時間側を103
〜105 secの範囲で自然対数軸上の等間融点として
ヒストグラム化した。 【0061】ここで、線スペクトル化を行う際に選択し
た緩和時間τの範囲が、適性なものであることを確認す
るために次式によって、得られた線スペクトルが実測の
G′(ω)を再現することを確認した。 【0062】 【数12】 【0063】また、長時間側の境界値の決定に際して
は、次式によってゼロ剪断粘度η0 が得られた線スペク
トルの組み合わせによって再現されることを判断の基準
とした。 【0064】 【数13】 【0065】実測の動的粘弾性測定から直接得られる緩
和スペクトルの範囲はτ=√2×10-2〜√2×102
secであるが、この範囲を逸脱するものに関しては測
定範囲内の緩和スペクトルの回帰曲線から外挿して求め
た。ここでの回帰曲線の次数は貯蔵弾性率より緩和スペ
クトルを求めた際に用いたものと同一のものとした。 (3)非線形パラメーターαの決定 式を定常剪断流動に対して解くと、解析解として定常
剪断粘度ηは次式のように表される。 【0066】 【数14】 【0067】(2)で決定された緩和スペクトルを、
式に代入し、実測の定常剪断粘度曲線を再現するように
αの値を決定した。 (4)曲げ剛さ(stiffness) ASTM D747に準拠して測定した。 (5)耐環境応力亀裂性(ESCR) ASTM D 1693−70に準拠して測定した。 【0068】(実施例1) (1)固体触媒成分の調製 コンデサーを備えた3リットルのフラスコを充分に乾
燥、窒素置換した後、Mg(OEt)2 を66.5g
(0.58mol)、Ti(OBu)4 を98.7g
(0.29mol)を仕込み、撹拌下に130℃まで昇
温し、熱処理を行った。4時間後、均一な粘調液体が得
られた。約80℃まで冷却後トルエン1.0リットルを
加え、均一な溶液とした。 【0069】充分に乾燥、窒素置換した24リットルの
オートクレーブに、上記の溶液を全量移送した。このト
ルエン溶液にテトラブトキシチタニウムテトラマー11
26g(1.16mol)を加え、更に、トルエン4.
1リットルを追加した。撹拌下、40℃で3.83リッ
トル(34.8mol)のTiCl4 をトルエンで4.
55mol/lの濃度まで希釈し、3時間かけて添加し
た。ひき続き30分間かけて105℃まで昇温し、1時
間保持した。次いで、冷却後、ノルマルヘキサンで洗浄
し、固体触媒成分を得た。固体触媒成分中のTi含有量
は34.7重量%であった。 【0070】(2)エチレンの予備重合 容量300リットルの予備重合用反応器に、ノルマルヘ
キサン220リットルを仕込み。次いで実施例1で得た
固体触媒成分360gを導入した。水素を2kg/cm
2 導入し、80℃に昇温後、トリエチルアルミニウム
0.36molをエチレンと共にフィードし予備重合を
開始した。エチレンを連続的に導入し、0.5時間予備
重合を行い固体触媒成分1g当り11gのポリエチレン
を得た。予備重合終了後冷却し、ノルマルヘキサンで洗
浄した。 【0071】(3)エチレンの重合 容量500リットルの反応器を備えた連続重合装置を用
いて、エチレン27kg/hr、ノルマルヘキサン63
kg/hr、および水素を表−1の示す極限粘度を有す
るポリエチレンが得られるように連続的に供給すると共
に、実施例1で製造した予備重合触媒を2.5g/h
r、およびトリエチルアルミニウムを1.5g/hrの
速度で導入し、80℃、全圧25kg/cm2 、平均滞
留時間3時間の条件下でエチレンの単独重合を行った。
反応器内のポリエチレンを25kg/hrの速度で脱ガ
ス槽に導入し、粗分離、乾燥工程を経て、重合体粉末を
得た。得られたポリエチレン100重量部にヒンダード
フェノール系安定剤であるイルガノックス1010(商
品名、チバガイギー社製)を0.1重量部、フォスファ
イト系安定剤であるイルガフォス168(商品名、チバ
ガイギー社製)を0.05重量部、ステアリン酸カルシ
ウムを0.1重量部添加してペレット化し、各種物性試
験および成形試験に供した。結果を表1に示す。 【0072】(実施例2) (1)固体触媒成分の調製 コンデンサーを備えた3リットルのフラスコを充分に乾
燥、窒素置換した後、Mg(OEt)2 を133g
(1.16mol)、Ti(OBu)4 を197g
(0.58mol)を仕込み、撹拌下に130℃まで昇
温し、熱処理を行った。 【0073】4時間後、均一な粘調液体が得られた。約
80℃まで冷却後トルエン1.0リットルを加え、均一
な溶液とした。充分に乾燥、窒素置換した24リットル
のオートクレーブに、上記の溶液を全量移送した。この
トルエン溶液にテトラブトキシチタニウムテトラマー1
013g(1.044mol)を加え、更に、トルエン
を6.00リットルを追加した。 【0074】撹拌下、40℃で2.07リットル(1
8.85mol)のTiCl4 をトルエンで4.55m
ol/lの濃度まで希釈し、3時間かけて添加した。ひ
き続き30分間かけて105℃まで昇温し、1時間保持
した。次いで、冷却後、デカンテーションにより上澄液
12.5リットルを抜き出し、更に、10リットルのト
ルエンで洗浄した。その後、4.0リットルのトルエン
を加え、更に4.55mol/lの濃度のTiCl4
トルエン溶液をTiCl4 量で18.85molとなる
ように再度添加した。ひきつづき105℃で1時間熱処
理を行い、冷却後、ノルマルヘキサンで洗浄し、固体触
媒成分を得た。固体触媒成分中のTi含有量は34.3
重量%であった。 【0075】(2)エチレンの予備重合 上記固体触媒成分730gを使用し、トリエチルアルミ
ニウム0.52molを使用した以外は実施例1の予備
重合条件と同様に行った。 (3)エチレンの重合 上記の予備重合触媒を2.5g/hr、およびトリエチ
ルアルミニウムを1.8g/hrの速度で導入した以外
は実施例1と同様に重合した。結果を表−1に示す。 【0076】(実施例3) (1)固体触媒成分の調製 コンデンサーを備えた3リットルのフラスコを充分に乾
燥、窒素置換した後、Mg(OEt)2 を133g
(1.16mol)、Ti(OBu)4 を197g
(0.58mol)を仕込み、撹拌下に130℃まで昇
温し、熱処理を行った。 【0077】4時間後、均一な粘調液体が得られた。約
80℃まで冷却後トルエン1.0リットルを加え、均一
な溶液とした。充分に乾燥、窒素置換した24リットル
のオートクレーブに、上記の溶液を全量移送した。この
溶液にトルエンを5.89リットル追加した。ついで、
あらかじめ用意しておいた、TiOCl2 (1.16m
ol)とTiCl4 (11.6mol)からなる加温さ
れた溶液を3時間かけて添加した。ひき続き30分間か
けて105℃まで昇温し、1時間保持した。その後冷却
し、ノルマルヘキサンで洗浄し、固体触媒成分を得た。
固体触媒成分中のTi含有量は35.9重量%であっ
た。 【0078】(2)エチレンの予備重合 上記固体触媒成分730gを使用し、トリエチルアルミ
ニウム0.52molを使用した以外は実施例1の予備
重合条件と同様に行った。 (3)エチレンの重合 上記予備重合触媒を2.5g/hr、およびトリエチル
アルミニウムを2.3g/hrの速度で導入した以外は
実施例1と同様に重合した。結果を表−1に示す。 【0079】(実施例4) エチレンの重合 実施例1で製造した予備重合触媒を2.5g/hr、お
よびトリエチルアルミニウムを2.3g/hrの速度で
導入し、水素とブテン−1を表−1に示す極限粘度、お
よび密度を有するポリエチレンが得られるように連続的
に供給した以外は実施例1と同様に重合した。結果を表
−1に示す。 【0080】(比較例1) エチレンの重合 実施例1で製造した予備重合触媒を1.3g/hr、お
よびトリエチルアルミニウムを5.3g/hrの速度で
導入した以外は実施例1と同様に重合した。結果を表−
1に示す。 【0081】(比較例2) エチレンの重合 実施例1で製造した予備重合触媒を1.7g/hr、お
よびトリエチルアルミニウムを4.4g/hrの速度で
導入した以外は実施例1と同様に重合した。結果を表−
1に示す。 【0082】(比較例3) (1)固体触媒成分の調製 24リットルオートクレーブを充分に乾燥、窒素置換し
た後、Mg(OEt) 2 を133g(1.16mo
l)、Ti(OBu)3 Clを160g(0.53mo
l)、Zr(OBu)3 Clを138g(0.4mo
l)を仕込み、撹拌下に130℃まで昇温し、熱処理を
行った。 【0083】4時間後、均一な粘調液体が得られた。約
80℃まで冷却後トルエン3.5リットルを加え、均一
な溶液とした。ついで、40℃でEtAlCl2 210
gを1.5時間かけて添加し、残りのEtAlCl2
90gを1.5時間かけて添加した。80℃で2時間撹
拌したのち、冷却しノルマルヘキサンで洗浄し、固体触
媒成分を得た。固体触媒成分中のTi含有量は10.1
重量%であった。 【0084】(2)エチレンの重合 容量500リットルの反応器を備えた連続重合装置を用
いて、エチレン27kg/hr、ノルマルヘキサン63
kg/hr、および水素を下記に示す極限粘度を有する
ポリエチレンが得られるように連続的に供給すると共
に、上記固体触媒成分を1.7g/hr、およびトリエ
チルアルミニウムを4.4g/hrの速度で導入し、9
0℃、全圧25kg/cm2 の条件下で重合させ、粘度
平均分子量が13万のエチレン単独重合体を全重合体の
90重量%重合した。 【0085】反応器内のポリエチレンを所定の速度で脱
ガス槽に導き、水素を分離後、容量500リットルの2
段目反応器に導いた。2段目反応器には、エチレン3k
g/hr、ノルマルヘキサン7kg/hrを連続的に供
給し、50℃で粘度平均分子量が180万の2段目エチ
レン単独重合体を全重合体の10重量%重合した。反応
終了後、重合体の粘度平均分子量を測定したところ27
万であった。以下の操作は実施例1と同様に行った。結
果を表−1に示す。 【0086】 【表1】 【0087】(比較例4)市販のエチレン系重合体(昭
和電工(株)製『ショーレックス4551H』)を使用
した。 【0088】(実施例5および比較例5)表−1に示す
実施例および比較例において製造した各HDPEを押出
機(シリンダーの設定温度;185〜215℃)にて溶
融し、ダイ(ダイ温度;235℃)を通して直径530
mmのパリソンを形成した。パリソンコントローラーに
よりドローダウンを調整し、成形直前のパリソン肉厚が
射出方向において一定になるようにして、金型(60L
鞍型で40Rコーナー部を有する。温度;20℃)で挟
み、空気を圧入(圧力;6kg/cm2 )した後、製品
取り出し温度80℃で60リットル容量の燃料タンク
(製品重量;7kgおよび10kg)を得た。得られた
各燃料タンクについて、落下試験と40Rコーナー部の
肉厚を測定した。その結果を表−2に示す。 【0089】 【表2】【0090】尚、落下衝撃強度は、燃料タンクに不凍液
を満液とし、−40℃で16mの高さから落下させて亀
裂の有無を確認することにより強度を評価した。また、
実施例5−1において、40Rコーナー部肉厚を2.2
mmとなるように成形したところ、製品重量が6.1k
gと製品当り0.9kg軽量化された燃料タンクを得る
ことができた。この燃料タンクの落下衝撃強度を測定し
たが、破損は観察されなかった。さらに、製品取り出し
温度が、同一冷却時間で、11℃低下することができ、
製品1個当り、約22秒の冷却時間の短縮ができた。 【0091】(実施例6)表−3に示す実施例で製造し
たHDPEと以下に示す接着剤樹脂(イ)およびバリヤ
ー樹脂(ロ)の各層の原料樹脂を別々の押出機を用いて
個々に溶融し、同心円状の流路を有する同一ダイに押し
出し、ダイ内(ダイ内温度;230℃)で各層を重ね合
わせて共押出をして直径530mmのパリソンを形成し
た。以下実施例5と同様にして60リットル容量の多層
(3種5層)の燃料タンク(7kg)を得た。該容器の
落下衝撃強度試験で容器に破損は観察されなかった。ま
た、40Rコーナー部の肉厚を測定したところ2.8m
mであった。 【0092】 【表3】 表−3 ──────────────────────────── 層構成 使用樹脂 厚さ(μm) ──────────────────────────── 外層 実施例1 2600 接着層 (イ)APO 100 バリヤー層 (ロ)MPA 100 接着層 (イ)APO 100 内層 実施例1 2600 ──────────────────────────── (イ)変性ポリエチレン(APO) 密度=0.960g/cm3 の高密度ポリエチレンに無
水マレイン酸(0.4重量%)をグラフトした変性ポリ
エチレン。メルトインデックス(MI);0.1g/1
0分。 (ロ)変性ポリアミド樹脂組成物(MPA) 80重量部の相対粘度4.0のナイロン−6と20重量
%の無水マレイン酸(0.3重量%)変性エチレン〜ブ
テン−1共重合体(エチレン〜ブテン−1(13mol
%)共重合体の結晶化度20%で、MIが3.5g/1
0分)よりの混合物。 【0093】 【発明の効果】本発明によれば、均一延伸性にすぐれ、
高剛性でかつESCR等の機械的特性に優れたエチレン
系重合体が得られると共に、従来より薄い肉厚でも優れ
た耐衝撃強度を有する、軽い燃料タンクが得られる。ま
た、冷却時間や射出時間を短縮し、製造サイクルが短縮
された燃料タンクの製造が可能となる。
フロントページの続き (72)発明者 藤岡 清利 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三 菱化成株式会社総合研究所内 (72)発明者 清水 信之 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化成 株式会社水島工場内 (72)発明者 上田 基範 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化成 株式会社水島工場内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 エチレン単独重合体、または、エチレン
    と炭素数3〜20のα−オレフィンとからなりα−オレ
    フィン含有量が5重量%以下であるエチレン共重合体で
    あって、 (1)極限粘度〔η〕が2〜6(dl/g)、 (2)密度が0.96〜0.97(g/cm3 )、 (3)R=σ2 /σ1 (σ1 、σ2 は、伸長歪み速度ε
    =0.5sec-1の流動下、それぞれ2sec、4se
    cでの歪量における伸長応力を示す。)で定義されるR
    値が2.5〜4 であることを特徴とする、エチレン系重合体。
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