JPH0788586B2 - 溶融亜鉛系めっき鋼板の表面処理液 - Google Patents

溶融亜鉛系めっき鋼板の表面処理液

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JPH0788586B2
JPH0788586B2 JP63193639A JP19363988A JPH0788586B2 JP H0788586 B2 JPH0788586 B2 JP H0788586B2 JP 63193639 A JP63193639 A JP 63193639A JP 19363988 A JP19363988 A JP 19363988A JP H0788586 B2 JPH0788586 B2 JP H0788586B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、純亜鉛もしくはZn−Alなどの亜鉛合金を溶融
めっきした溶融亜鉛系めっき鋼板の表面処理液に関し、
より詳しくは、これらのめっき鋼板に優れた耐黒変性と
耐食性を付与することのできる表面処理液に関する。
なお、本明細書においては、純亜鉛めっきおよび亜鉛合
金めっきを総称して亜鉛系合金めっきという。
(従来の技術) 溶融亜鉛めっき鋼板は、古くはトタンと呼ばれ主に屋
根、外壁などの建材やバケツなどの日用雑貨に使用され
てきたが、近年は品質、特に耐食性の向上につれて多方
面に使用されるようになってきた。また、耐食性が一層
改善された溶融Zn−Al合金めっき鋼板などの溶融亜鉛合
金めっき鋼板も開発されている。
これらの溶融亜鉛系めっき鋼板は、Znの犠牲防食作用に
より鉄板の錆発生を遅らせることで耐食性を発揮する
が、溶融ZnまたはZn−Al合金めっき後にクロメート処理
を施すことにより、さらに錆の発生を遅らせ、塗膜密着
性を改善することができる。このようにクロメート処理
された溶融亜鉛系めっき鋼板は、その優れた耐食性によ
り、自動車、建材、家電、その他我々が日常目にする広
範囲の製品に使用されている。
しかし、溶融亜鉛系めっき鋼板にクロメート処理を施し
た場合、その後の保管中、或いは目的の製品に加工後に
湿気の高い場所に長時間置かれると、めっき面が黒くな
る、いわゆる黒変現象を生じ、外観が見劣りし、商品価
値がなくなる。
この黒変は、めっき表面のスパングル中の或る特定の結
晶方位のところが特に灰黒色になる特徴があり、そのた
めスパングルを周知方向でミニマイズド化することもあ
る程度有効である。また、黒変の発生するスパングル内
にはPbの粒子が存在し、このPb粒子の存在も黒変の発生
を助長するものであり、極低Pb材(Pb0.01%以下)では
黒変が発生しにくいことも知られている。しかし、溶融
亜鉛系めっき鋼板ではスパングル品を好むユーザーも多
く、めっき浴中へのPbの添加は避けられない。さらに、
溶融Zn−Al合金めっきでは、めっき層中のAl濃度が高
く、ZnとAlの局部電池作用により黒変が生じると考えら
れる。以上の事情から、溶融亜鉛および亜鉛合金めっき
鋼板の黒変の問題を解決することが待望されており、黒
変の防止に関してこれまでにも各種の方法が提案されて
いる。
特開昭55−131178号公報には、溶融亜鉛系めっき鋼板に
対して形状矯正、外観向上、機械的性質の改善などの目
的で行われるレベラーやスキンパスロールでの軽圧下後
に、めっき鋼板を一旦加熱してからクロメート処理を施
し、黒変を防止することが記載されている。この方法
は、圧下中に変質しためっき表面を加熱により回復させ
て黒変を防止するものであるが、効果が不十分である
上、加熱のための設備およびエネルギーを要し、経済的
に不利である。
特開昭57−114695号公報には、溶融亜鉛系めっき後、ア
ルカリ金属炭酸塩系溶液で処理してめっき表面の酸化物
を溶解除去し、次いで電気亜鉛めっきを施す方法が記載
されている。この方法は、めっき表面を均一化して黒変
を防止するものであり、非常に有効な方法であるが、溶
融めっきラインの他に電気めっきラインを付設しなけれ
ばならず、製造設備および工程が複雑化し、著しくコス
ト高となる。
耐黒変性、耐食性などを改善する目的で、溶融亜鉛系め
っき鋼板を、Ni、Co、Feなどの金属イオンを含有する水
溶液で処理し、次いでクロメート処理を程すことも提案
されている。例えば、特開昭59−177381号公報には、溶
融亜鉛系めっき後、その表面にNiイオンまたはCoイオン
あるいはその両者を含有する溶液で処理してめっき表面
にNiおよび/またはCoを付着させ、続いてクロメート処
理を施す方法が記載されている。
特開昭61−110777号公報に記載の方法では、Niイオン含
有アルカリ性水溶液で溶融亜鉛系めっき鋼板を洗浄し、
めっき表層のAlを溶出させると同時にNiの表面に析出さ
せ、次いでクロメート処理を行う。
特開昭62−20881号公報には、溶融亜鉛系めっき後、直
ちにFeイオンとNiイオンの両方を含有するアルカリ性水
溶液で処理して、表面にFeとNiを析出させた後、クロメ
ート処理する方法が記載されている。
これらの方法による黒変防止のメカニズムは、スキンパ
スなどによってめっき表面に露出した活性なZn面が、N
i、Coなどの置換反応による析出によって被覆され、そ
の結果Znによる局部電池作用による腐食が抑制されて黒
変が防止されると考えられる。また、アルカリ性水溶液
を使用する場合には、めっき表層のAlがアルカリにより
除去されることも黒変防止に寄与していると考えられ
る。
しかし、上記のいずれの方法でも、溶融亜鉛系めっき鋼
板の黒変を充分に防止することはできなかった。特に、
スキンパス等の機械的加工後に処理を行うと、めっき表
面が既に平滑になっているため、結合力の弱い置換反応
により析出したNi、Coなどの金属被覆とめっき面との付
着力が充分でないため、その後のコイリングやプレス加
工時に析出金属およびクロメート皮膜がたやすく除去さ
れ、局部的に黒みがかかり(黒変)が生じることが認め
られた。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、コイリング時のスリップやプレス加工
を受けても黒変を生じ難い、従来より改善された耐黒変
性を付与することができ、耐食性の問題も生じない、溶
融亜鉛系めっき鋼板の表面処理液を提供することであ
る。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記目的を解決すべき鋭意検討を行った
結果、Niおよび/またはCoイオンと特定のアミン化合物
とを少量含有するアルカリ性水溶液による処理と、酢酸
含有クロメート処理により、耐黒変性および耐食性に優
れ、コイリング時のスリップやプレス加工時のしごき部
分においても耐黒変性を保持している溶融亜鉛系めっき
鋼板が得られることを知り、本発明を完成させた。
ここに、本発明の要旨は、 (a)重量%で、NiおよびCoから選ばれた少なくとも1
種の金属イオン0.01〜2.5%と、C2〜C12アルキレンジア
ミン、C2〜C10ポリアルキレンポリアミン、およびC2〜C
10アルカノールアミンから選ばれた少なくとも1種のア
ミン化合物0.05%以上とを含有するpH10〜14の水溶液か
らなる前処理液、および (b)重量%で、酢酸0.1〜5%とクロム酸0.1〜10%と
を含有する酢酸含有クロメート液からなる後処理液、 の2液からなる、溶融亜鉛系めっき鋼板の表面処理液に
ある。
(作用) 以下、本発明をより具体的に説明する。なお、以下の説
明において、%は特に指定のない限り重量%である。
本発明により表面処理液は、通常の溶融亜鉛めっき鋼
板、すなわちAl:0.08〜0.20%とPb:0.2%以下、残部Zn
からなる溶融亜鉛めっき浴から製造された亜鉛めっき鋼
板、およびZn−Al合金めっき鋼板などの溶融亜鉛合金め
っき鋼板のいずれにも適用可能である。溶融Zn−Al合金
めっき鋼板の代表例は、Al:0.3〜6.0%、微量のLa、C
e、Mg、Si等の元素、残りZnからなる溶融めっき浴から
製造された低AlのZn−Al合金めっき鋼板、およびAl:55
%、Pb:17%、残りZnからなる溶融めっき浴から製造さ
れた高AlのZn−Al合金めっき鋼板である。
上述したように、Pbを含有するスパングルあるいはゼロ
もしくはミニマムスパングルの溶融亜鉛めっき鋼板や溶
融Zn−Al合金めっき鋼板、特に高AlのZn−Al合金めっき
鋼板は、黒変化傾向が強いので、本発明の表面処理液を
このようなめっき鋼板に適用すると特に顕著な黒変防止
効果が認められる。また同様に、その他の溶融亜鉛系め
っき鋼板に適用した場合にも本発明の表面処理液の効果
は発揮される。
本発明による表面処理液は、Niおよび/またはCoイオン
と共に特定のポリアミンもしくはアルカノールアミンを
含有するアルカリ性水溶液からなる前処理液と、酢酸含
有クロメート液との組合せからなることを特徴とする。
本発明者らは、Pbを含有するため黒変を生じやすいスパ
ングルおよびゼロスパングル表面の溶融亜鉛めっき鋼
板、低Al合金めっき鋼板として5%Al−Znめっき鋼板、
および高Al合金めっき鋼板として55%Al−Znめっき鋼板
を使用し、従来と同様にアルカリ性前処理液とクロメー
ト系の後処理液との組合せにより黒変を防止する際に有
効な添加剤について検討した。その結果、いずれの溶融
亜鉛系めっき鋼板についても、アルカリ性前処理液がN
i、Coもしくはその両者からなる金属イオンと、アルキ
レンジアミン、ポリアルキレンポリアミンおよびアルカ
ノールアミンから選ばれた少なくとも1種のアミン化合
物とを含有する場合に、黒変を顕著に防止できることが
判明した。
本発明の前処理用の表面処理液に使用するアミン化合物
は、C2〜C12アミキレンジアミン、C2〜C10ポリアルキレ
ンポリアミンおよびC2〜C10アルカノールアミンであ
る。有用なアミン化合物の具体例を挙げると、アルキレ
ンジアミンの例はエチレンジアミン、1,3−ジアミノプ
ロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタ
ン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、
1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−
ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジ
アミノドデカン等であり;ポリアルキレンポリアミンの
例は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサ
ミン等であり;アルカノールアミンの例はモノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン
等である。これらのアミン化合物は1種類のみを使用し
ても、2種以上を併用してもよい。
本発明の前処理用の表面処理液においては、このような
アミン化合物の存在が不可欠であり、従来技術において
NiやCoを含有するアルカリ性表面処理液に錯化剤として
添加することが提案されている他の有機化合物、例え
ば、典型的な錯化剤であるアンモニア、エチレンジアミ
四酢酸、ニトリロ三酢酸、グリコールエーテルジアミン
四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸などをNiおよび/
またはCoと組み合わせて使用した場合には、耐黒変性が
実質的に改善されず、水溶液が不安定となって沈殿を生
ずることもある。そればかりか、これらを本発明で使用
するアミン化合物と併用する場合にも耐黒変性の低下が
認められることがある。従って、本発明のアルカリ性表
面処理液においては、有機添加剤は前記のアミン化合物
のみとすることが好ましい。
前処理用の表面処理液において、このアミン化合物は0.
05%以上、好ましくは0.1%以上の量で含有させる。ア
ミン化合物の含有量が0.05%未満になると、Ni、Coの溶
解性が悪くなり、これらの金属のめっき表面への析出が
不足し、黒変の防止が十分に得られない。アミン化合物
は過剰に存在しても悪影響を及ばさないため、アミン化
合物の含有量の上限は特に限定されない。2種以上のア
ミン化合物を併用する場合には、その合計量が0.05%以
上となるようにする。
アルカリ性の前処理用表面処理液に存在させる金属イオ
ンは、Ni、Coもしくはその両者であり、その他の金属イ
オン、例えば、Cu、Ti、Fe、Sn、Mnなどでは、上記アミ
ン化合物と組合せてアルカリ性処理液に存在させた場合
に耐黒変性の改善が得られない。従って、本発明で前処
理液として使用するアルカリ性水溶液は、NiおよびCo以
外の金属イオンを実質的に含有しないことが好ましい。
NiおよびCoから選ばれた金属イオンは、0.01〜2.5%の
濃度(NiとCoの両者が共存する場合には合計濃度)で本
発明のアルカリ性水溶液に存在させる。001%未満で
は、黒変防止効果が十分に得られない。一方、これらの
金属イオン濃度が2.5%を超えると耐食性が悪くなり、
白錆を生じやすくなる。
Niおよび/またばCoイオンは、各種の塩、あるいは酸化
物もしくは水酸化物としてアルカリ性水溶液中に添加さ
れる。使用しうる塩の例は、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、
リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩などである。
前処理用の表面処理液のpHは10〜14とする。水溶液のpH
が10を下回ると、耐黒変性か劣る。特に好ましいpH範囲
は、10〜13.5である。必要に応じて、表面処理液の性能
に悪影響を及ばさない任意のアルリ性無機物質の添加に
より、水溶液のpHを10〜14の値に調節する。通常は、水
酸化ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属水酸
化物の添加によりpHを調節する。ただし、本発明では塩
基性のアミン化合物を添加剤として使用するため、アミ
ン添加剤の種類と量によっては、このようなpH調節を行
わなくても水溶液のpHが10以上に保持される場合もあ
る。
この前処理用のアルカリ性表面処理液は、スプレー、浸
漬などの適宜の方法で溶融亜鉛系めっき鋼板に適用され
る。処理時間は、1秒〜十数秒程度のごく短時間でよく
それによりめっき表面にNiおよび/またはCoの金属が析
出する。めっき面上のNiおよび/またはCoの析出量は、
金属換算で片面当たり0.1〜30mg/m2の範囲内が好まし
く、より好ましくは0.4〜10mg/m2の範囲内である。Niと
Coを併用する場合には、両者の合計量がこの範囲内とな
るようにする。
本発明の表面処理液による黒変防止のメカニズムは従来
公知のNiおよび/またはCo含有アルカリ性水溶液による
場合と本質的に同様である、すなわち、アルカリによる
表層のAlの溶出および上記金属の析出によると考えられ
るが、本発明の処理液の場合、アミン化合物の添加によ
り、従来の表面処理液に比べて析出金属がめっき面によ
り強固に付着するのではないかと思われる。
この処理の温度条件は特に限定されない。すなわち、処
理を受ける溶融亜鉛系めっき鋼板は常温でも、あるいは
350℃程度までの高温度であっても構わない。したがっ
て、溶融めっき直後のまだ高温度にある間の亜鉛系めっ
き鋼板に表面処理液を適用することもできる。また、ア
ルカリ性表面処理液の温度も常温ないし100℃までの温
度でよい。必要に応じて、表面処理後に加熱乾燥を行
う。
本発明の後処理用の表面処理液は、酢酸とクロム酸を含
有する酢酸含有クロメート液である。酢酸を含有しない
通常のクロメート液を使用した場合には耐黒変性や耐食
性が十分でなく、板擦り合わせ部、プレスしごき部とい
った摩擦を強く受けた部位において黒変や白錆の発生が
起こりやすくなる。耐黒変性および耐食性を十分に改善
するには、0.1%以上のクロム酸濃度と0.1%以上の酢酸
濃度が必要である。一方、クロム酸および酢酸濃度が高
くなり過ぎると、鋼板表面が黄色味を帯びるので、商品
価値が下がる。この現象はクロム酸濃度が10%超、酢酸
濃度が5%超のときに顕著となるので、クロム酸濃度は
0.1〜10%、酢酸濃度は0.1〜5%とする。好ましくは、
クロム酸濃度は0.3〜3.0%、酢酸濃度は0.5〜3.5%であ
る。
このクロメート液中のクロムの一部は、クロメート皮膜
の形成を促進させるために水溶性3価クロム化合物とす
ることもできる。また、このクロメート液にシリカゾル
を含有させて塗布型クロメート液として使用することも
できる。しかし、従来よりエッチング効果を高めるため
にクロメート液に通常添加されてきた各種の無機強酸
(硫酸、リン酸、塩酸、硝酸など)およびフッ素化合物
などの添加は避けることが好ましい。酢酸含有クロメー
ト液を使用すると、ZnまたはZn−Al合金めっき皮膜表面
のAlが酢酸アルミニウムとして反応し、この酢酸アルミ
ニウムが黒変防および白錆発生の防止に有効であると考
えられるが、強酸の添加によりこの作用が阻害される恐
れがあるからである。
後処理液、すなわち酢酸含有クロメート液による処理操
作および条件は、通常のクロメート処理と同様でよい。
すなわち、浸漬、塗布、噴霧などの適宜手段により室温
ないしやや高温下に処理を実施することができる。処理
時間は数秒〜10分程度であり、塗布型の場合には10秒以
下、反応型の場合にはそれより長くなることが普通であ
る。クロメート皮膜の付着量は、Cr金属換算で片面当た
り1〜100mg/m2の範囲内、特に5〜60mg/m2の範囲内が
好ましい。クロメート処理後、必要に応じて加熱乾燥を
行い、クロメート皮膜を乾燥させる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
なお、実施例で使用した溶融亜鉛系めっき鋼板は次に示
す4種類のものである(いずれも両面めっき鋼板)。素
地鋼板は、いずれも厚さ1.0mmの低炭素冷延鋼板であっ
た。
鋼板1:連続溶融Znめっきラインで製造したスパングルNn
めっき鋼板 めっき浴組成 Al:0.05%、pb:0.010%、 Fe:0.02〜0.03%、残りZn めっき浴温度 470℃ ライン速度 100m/min Zn付着量 270g/m2(片面量) スキンパス延率 1.0% 後処理 クロメート処理なし 鋼板2:連続溶融Znめっきラインで製造したゼロスパング
ルZnめっき鋼板 めっき浴組成 Al:015%、Pb:0.10%、 Fe:0.02〜0.03%、残りZn めっき浴温度 470℃ ライン速度 100m/min Zn付着量 270g/m2(片面量) スキンパス延率 1.0% 後処置 クロメート処理なし 鋼板3:連続溶融Znめっきラインで製造した5%Al−Zn合
金めっき鋼板 めっき浴組成 Al:5%、Pb:0.01%以下、 Fe0.02%以下、ミッシュメタル:0.06
%、残りZn めっき浴温度 460℃ ライン速度 70m/min めっき付着量 90g/m2(片面量) スキンパス延率 0.8% 後処理 クロメート処理なし 鋼板4:実験室での溶融めっきにより製造した55%Al−Zn
合金めっき鋼板 めっき浴組成 Al:55%、Si:1.7%以下、 残りZn めっき浴温度 600℃ めっき付着量 175g/m2(片面量) スキンパス延率 0.8% 後処理 クロメート処理なし 実施例1 本実施例は、前処理液に添加する有機添加剤の種類が耐
黒変性および耐食性に及ぼす影響を示すものである。
上記の4種類の溶融亜鉛系めっき鋼板の供試材を使用し
て、次のようにして前処理液による処理とその後のクロ
メート処理を実施した。
前処理用に使用したアルカリ性水溶液は、Ni2+として0.
5%の量のNiCl2と2.5%の各種有機アミンまたはその他
の有機もしくは無機化合物を含有し、水酸化ナトリウム
によりpH13に調節された水溶液である。
クロメート液としては、酢酸1.0%6およびクロム酸5
%を含有する水溶液を使用した。
まず、室温の各供試材を液温20℃の上記アルカリ性水溶
液に20秒間浸漬して、めっき鋼板の前処理を行った。次
いで、水洗および水切りを行った後、常温の上記酢酸含
有クロメート液に1分間浸漬してクロメート処理を行
い、液切り後、60℃で10分間乾燥させてクロメート皮膜
を形成させた。この後、得られた表面処理めっき鋼板を
常温のデシケータ内に7日間保管してから、耐黒変性に
ついて次の要領で試験した。
耐黒変性試験:試験片を水で練った白粘土で包み、ナイ
ロン袋に入れて、80℃の温水中に24時間浸漬した後、取
り出して、黒変の発生状況を目視で判定した。
試験結果は次の基準で評価した。
○:良好(黒変発生 皆無) △:やや良好(黒変発生 面積率40%未満) ×:悪い(黒変発生 面積率40%以上)。
また、調製した各アルカリ性処理液を常温で7日間放置
した後、液を目視観察することによって処理水溶液の安
定性を次の基準で判定した。
○:安定(沈澱物認められず) △:わずかに沈澱物が生成。
×:沈澱物が生成。
試験結果を次の第1表に示す。なお、第1表に使用した
添加剤のうち、*印を付した化合物は本発明において使
用するアミン化合物である。また、第1表には供試鋼板
が鋼板3(5%Al−Zn合金めっき鋼板)である場合の結
果を示すが、その他の溶融亜鉛系めっき鋼板を使用した
場合にも、試験結果は同様の傾向を示すことが確認され
た。
第1表の結果から、前処理用のアルカリ性水溶液に本発
明のアミン化合物を添加した場合のみ、黒変の発生が効
果的に抑制され、処理液も安定に保持されることがわか
る。予想外なことに、アルカリ性水溶液においてNiを溶
液状態に安定に保持するための錯化剤として一般に使用
されているエチレンジアミン四酢酸やニトリロ三酢酸な
どを添加した場合には、液の安定性は良好に保持される
が、黒変発生の抑制効果は認められなかった。
実施例2 実施例1と同様の実験を繰り返した。ただし、供試鋼板
は鋼板3であり、前処理用のアルカリ性水溶液には、Ni
Cl2に代えて各種の金属塩化物を使用し、添加剤として
はトリエチレンテトラミンを使用した。金属塩化物の添
加量は金属換算で0.05%であり、トリエチレンテトラミ
ンの添加量は2.5%、溶液のpHは水酸化ナトリウムによ
り13に調整した。それ以外の条件は実施例1と同様であ
り、得られた表面処理めっき鋼板の耐黒変性を実施例1
と同様に判定した。結果を次の第2表に示す。
第2表の結果から、金属がNiとCoである場合に優れた黒
変防止効果が得られ、その他の金属では黒変が防止され
ないことがわかる。
実施例3 実施例1と同様の実験を繰り返した。ただし、供試板は
鋼板3であり、前処理用のアルカリ性水溶液には、金属
化合物としてNi、Coの塩化物および添加剤としてエチレ
ンジアミンもしくはエチレンジアミン四酢酸を添加し
た。添加量は、NiおよびCoは0.05%であり、エチレンジ
アミンおよびエチレンジアミン四酢酸はそれぞれ2.5%
であり、pHは水酸化ナトリウムにより10もしくは13に調
整した。得られた表面処理めっき鋼板は、耐黒変性と同
時に、次の要領で耐白錆性についても判定した。
耐白錆性試験:試験片に対して35℃での塩水噴霧試験を
120時間実施した後、白錆の発生状況を目視観察した。
結果は、耐黒変性試験と同様の基準で、○、△、×の3
段階で判定した。
第3表から、上記の第1表および第2表と同様の傾向が
わかる。すなわち、前処理用のアルカリ性処理液がNiお
よび/またはCoと本発明のアミン化合物であるエチレン
ジアミンを含有する場合には、耐黒変性が改善されたの
に対し、有機化合物をエチレンジアミン四酢酸に変える
と、この改善が得られなくなる。酢酸含有クロメート処
理のみでは黒変の発生は防止できない。
実施例4 0.01%(Ni2+、およびCo2+として)のNiCl2、CoCl2およ
び各種の量のエチレンジアミンを水に添加し、水酸化ナ
トリウムでpHを13に調整することにより、前処理用のア
ルカリ性水溶液を得た。この溶液の安定性を実施例1と
同様の方法により判定した。結果を、次の第4表に示
す。
アミン化合物を0.05%以上添加した場合に、Ni、Coを安
定に溶液状態に保持することができた。
実施例5 前処理用のアルカリ性水溶液に、添加剤としてエチレン
ジアミンを2.5%の量で添加し、金属化合物としては各
種の量のNiCl2およびCoCl2を添加した以外は、実施例1
と同様に溶融亜鉛系めっき鋼板(供試鋼板2)を表面処
理した。酢酸含有クロメート処理後、実施例1と同様に
めっき鋼板を耐黒変性について試験した。試験結果は、
次の第5表に示す。
黒変を防止するには、少なくとも0.01%以上のNi2+、Co
2+を前処理液に含有させる必要があることがわかる。
実施例6 前処理用のアルカリ性水溶液としてNi、Coもしくはその
両者の化合物の他に、アミン化合物もしくはその他の添
加剤を含有する溶液を使用し、実施例1と同様に溶融亜
鉛系めっき鋼板を表面処理した。
本実施例で使用しためっき鋼板は、上記の鋼板3(5%
Al−Zn合金めっき鋼板)であり、前処理は、常温のめっ
き鋼板に液温60℃のアルカリ性水溶液(NaOHもしくはKO
HによりpH13に調整)を2秒間スプレーすることにより
実施し、その後の処理操作は実施例1と同様であった。
クロメート処理後に得られた表面処理めっき鋼板を、常
温のデシケータ内に7日間放置した後、耐黒変性および
耐食性(耐白錆性)を上記と同様に評価した。結果を添
加剤の種類と共に、次の第6表にまとめて示す。
第6表の結果からわかるように、本発明の表面処理液を
使用した場合(本発明例)には、黒変が有効に防止さ
れ、白錆発生も抑えられた。本発明の範囲内であれば、
NiとCoを併用した場合、あるいは塩化物以外の金属化合
物を使用した場合、さらにはpHをKOHで調整した場合に
も、前出の実施例と同様に優れた効果が得られた。しか
し、添加剤として本発明の範囲外のものを使用するか、
あるいは金属種の添加量が本発明の範囲外になると、黒
変と白錆を同時に抑制することができなかった。すなわ
ち、金属種(Ni、Co)の添加量が0.01未満では耐黒変性
の改善効果が認められず、この量が2.5%を越えると耐
食性(耐白錆性)が悪くなる。
実施例7 前処理用のアリカリ性水溶液として、0.05%のNi2+濃度
でNiCl2を含有し、トリエタノールアミンを2.5%含有す
る各種pHの水溶液を使用した点を除いて実施例6と同様
に鋼板3の供試材を表面処理した。pHは、NaOHにより調
整した。酢酸含有クロメート処理後、実施例6と同様に
耐黒変性および耐食性について試験した。結果を次の第
7表に示す。
第7表の結果から、pHが10より低いと黒変の防止効果が
得られないことがわかる。pHが14に近づくと、耐食性が
多少悪化した。
実施例8 実施例6に記載の表面処理を繰り返した。ただし、アリ
カリ性処理液としては、0.05%のCo2+濃度のCoCl2およ
び2.5%のエチレンジアミンを含有するpH13の水溶液を
使用し、後処理のクロメート液は、10%の酢酸および3
%のクロム酸を含有する酢酸含有クロメート液もしくは
通常のクロメート液を使用して実施した。使用した通常
型クロメート液の組成はクロム酸3%、リン酸0.3%、
フッ酸0.1%であった。試験結果を次の第8表に示す。
第8表に示す通り、後処理液として酢酸含有クロメート
液を使用した場合は、黒変防止効果はより顕著であっ
た。
(発明の効果) 本発明の表面処理液を使用すると、亜鉛系めっき鋼板の
耐食性を損なうことなしに黒変の問題のないめっき鋼板
を製造するととができる。しかも、クロメート処理に先
だって行うアルカリ性水溶液による処理では、金属種お
よびアミン化合物の使用量はごく僅かでよく、経済的に
有利であり、また処理もスプレー、浸漬などの簡便な方
法で実施できるため、装置の改造も容易である。したが
って、本発明の表面処理液は非常に実用性が高く、溶融
亜鉛系めっきの品質向上および用途拡大に大きく貢献す
るものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植田 尚孝 和歌山県和歌山市湊1850番地 住友金属工 業株式会社和歌山製鉄所内 (72)発明者 丸 俊一 大阪府大阪市城東区鴨野西4丁目1番24号 朝日化学工業株式会社研究所内 (72)発明者 木屋 敏夫 大阪府大阪市城東区鴨野西4丁目1番24号 朝日化学工業株式会社研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)重量%で、NiおよびCoから選ばれた
    少なくとも1種の金属イオン0.01〜2.5%と、C2〜C12
    ルキレンジアミン、C2〜C10ポリアルキレンポリアミン
    およびC2〜C10アリカノールアミンから選ばれた少なく
    とも1種のアミン化合物0.05%以上とを含有するpH10〜
    14の水溶液からなる前処理液、および (b)重量%で、酢酸0.1〜5%とクロム酸、0.1〜10%
    とを含有する酢酸含有クロメート液からなる後処理液、 の2液からなる、溶融亜鉛系めっき鋼板の表面処理液。
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