JPH0788251B2 - ジルコニア焼結体 - Google Patents
ジルコニア焼結体Info
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- JPH0788251B2 JPH0788251B2 JP60247086A JP24708685A JPH0788251B2 JP H0788251 B2 JPH0788251 B2 JP H0788251B2 JP 60247086 A JP60247086 A JP 60247086A JP 24708685 A JP24708685 A JP 24708685A JP H0788251 B2 JPH0788251 B2 JP H0788251B2
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- zirconia
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Description
【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、自動車用排ガス中酸素センサー用に適したジ
ルコニア焼結体に関する。
ルコニア焼結体に関する。
酸素センサーとして使われるジルコニア焼結体は、セン
サー組立工程において割れない強度が必要であり、かつ
高温の排ガス中等で急激な温度変化を受け易い雰囲気下
で使われるために、優れた耐熱衝撃性が要求される。す
なわち信頼性のあるセンサーを得るには、強度・耐熱衝
撃性の2つの要因を満足する様なジルコニア焼結体を用
いる必要がある。この種のジルコニア焼結体を得る方法
として、従来は、特開昭59−41952号記載のようにキユ
ービツク相とモノクリニツク相を混在させることで熱膨
張係数を下げ、耐熱衝撃性を向上させる。また特開昭56
−111456号記載のようにキユービツク相の粒径を小さく
して、強度を増し耐熱衝撃性を向上させるということで
あつた。しかしながら、キユービツク相とモノクリニツ
ク相との混相からなるジルコニア焼結体の場合、熱膨張
係数を下げ、耐熱衝撃性を向上させることでは効果があ
るが、焼結性を高めるために高温で焼成することが必要
であり、そのために粒成長が起こり強度が向上しないと
いう問題点があつた。一方、粒径の小さなキユービツク
相のみからなるジルコニア焼結体では、熱膨張係数が11
0×10−7℃−1比較的大きく、緩やかな温度変化が起
きる様な雰囲気下では、熱衝撃による破損は起こりにく
いが急激な熱変化を生ずる条件下では焼結体内部に多大
な熱応力を発生し、破損に至ることがある。すなわちキ
ユービツク相のみから成るジルコニア焼結体では、熱衝
撃の点で大きな改善は望めない。つまり上記二種の従来
技術では、耐熱衝撃性,強度の向上という個々の点で
は、夫々効果はあるが、2種の要求を同時に満たすとい
う点で配慮がされていなかつた。
サー組立工程において割れない強度が必要であり、かつ
高温の排ガス中等で急激な温度変化を受け易い雰囲気下
で使われるために、優れた耐熱衝撃性が要求される。す
なわち信頼性のあるセンサーを得るには、強度・耐熱衝
撃性の2つの要因を満足する様なジルコニア焼結体を用
いる必要がある。この種のジルコニア焼結体を得る方法
として、従来は、特開昭59−41952号記載のようにキユ
ービツク相とモノクリニツク相を混在させることで熱膨
張係数を下げ、耐熱衝撃性を向上させる。また特開昭56
−111456号記載のようにキユービツク相の粒径を小さく
して、強度を増し耐熱衝撃性を向上させるということで
あつた。しかしながら、キユービツク相とモノクリニツ
ク相との混相からなるジルコニア焼結体の場合、熱膨張
係数を下げ、耐熱衝撃性を向上させることでは効果があ
るが、焼結性を高めるために高温で焼成することが必要
であり、そのために粒成長が起こり強度が向上しないと
いう問題点があつた。一方、粒径の小さなキユービツク
相のみからなるジルコニア焼結体では、熱膨張係数が11
0×10−7℃−1比較的大きく、緩やかな温度変化が起
きる様な雰囲気下では、熱衝撃による破損は起こりにく
いが急激な熱変化を生ずる条件下では焼結体内部に多大
な熱応力を発生し、破損に至ることがある。すなわちキ
ユービツク相のみから成るジルコニア焼結体では、熱衝
撃の点で大きな改善は望めない。つまり上記二種の従来
技術では、耐熱衝撃性,強度の向上という個々の点で
は、夫々効果はあるが、2種の要求を同時に満たすとい
う点で配慮がされていなかつた。
本発明の目的は、センサー組立工程時にかかる機械的強
度に耐える強度を有し、かつ温度変化の激しい雰囲気下
で使用しても破損に至らない耐熱衝撃性を有する酸素セ
ンサー用に好適なジルコニア焼結体を提供することにあ
る。
度に耐える強度を有し、かつ温度変化の激しい雰囲気下
で使用しても破損に至らない耐熱衝撃性を有する酸素セ
ンサー用に好適なジルコニア焼結体を提供することにあ
る。
酸化ジルコニウム(ジルコニア)は、3種の結晶形態が
あり、室温で安定なモノクリニツク相、1100℃〜2300℃
で安定なテトラゴナル相、2300℃以上で安定なキユービ
ツク相に区別される。このジルコニアに2価の金属酸化
物である酸化カルシウム(カルシア)、酸化マグネシウ
ム(マグネシア)や、3価の金属酸化物である酸化イツ
トリウム(イツトリア)などを固溶すると、最高温相で
あるキユービツク相が、室温においても安定に存在し、
そのキユービツク相が良好な酸素イオン導電性を示し、
酸素センサーとして有効であることが知られている。し
かし酸素センサーの如く温度変化の激しい雰囲気下で使
用する場合、キユービツク相のみからなる焼結体では強
度・耐熱衝撃性ともに充分でなく、耐熱衝撃性を改善す
べく為されたキユービツク相にモノクリニツク相を分散
させた焼結体でも、強度の点で充分な信頼性を得るに至
つていないことは既に述べた。本発明者等は、強度・耐
熱衝撃性の両方を満足するようなジルコニア焼結体を得
るべく鋭意研究を進めた結果、ジルコニア原料粉の粒径
を微細化すると高温相であるテトラゴナル相が室温まで
安定に存在するという事実、さらに上記テトラゴナル相
を含んでいる焼結体は、本質的に高強度を有するという
事実を知つた。一方、キユービツク相、モノクリニツク
相の混相である焼結体が耐熱衝撃性に優れているといわ
れる理由は、焼結体の熱膨張係数が小さいということだ
けでなく、クラツクが進展しずらい組織構造になつてい
る為ということが分かつた。すなわち焼結体中に生じた
クラツクの破壊エネルギーを、焼結体中に分散している
小さなモノクリニツク粒子が、吸収するためと考えられ
る。そこで上記の事実に鑑みて、キユービツク相にモク
リニツク相ならびにテトラゴナル相を分散させたとこ
ろ、上記の3種の相がある割合の範囲内で存在すると高
強度を有し、耐熱衝撃性にも優れた焼結体を得ることが
できた。前記存在割合の範囲外では、例えばモノクリニ
ツク相が多く、テトラゴナル相が少ない場合、焼結性が
悪くなり、またモノクリニツク相は抵抗率が大きいた
め、酸素イオン導電性を減少する。逆にモノクリニツク
相が少なく、テトラゴナル相が多いと熱衝撃を受けた時
のテトラゴナル相→モノクリニツク相の変態で生ずるク
ラツクが大きく進展し、容易に破損に至る。
あり、室温で安定なモノクリニツク相、1100℃〜2300℃
で安定なテトラゴナル相、2300℃以上で安定なキユービ
ツク相に区別される。このジルコニアに2価の金属酸化
物である酸化カルシウム(カルシア)、酸化マグネシウ
ム(マグネシア)や、3価の金属酸化物である酸化イツ
トリウム(イツトリア)などを固溶すると、最高温相で
あるキユービツク相が、室温においても安定に存在し、
そのキユービツク相が良好な酸素イオン導電性を示し、
酸素センサーとして有効であることが知られている。し
かし酸素センサーの如く温度変化の激しい雰囲気下で使
用する場合、キユービツク相のみからなる焼結体では強
度・耐熱衝撃性ともに充分でなく、耐熱衝撃性を改善す
べく為されたキユービツク相にモノクリニツク相を分散
させた焼結体でも、強度の点で充分な信頼性を得るに至
つていないことは既に述べた。本発明者等は、強度・耐
熱衝撃性の両方を満足するようなジルコニア焼結体を得
るべく鋭意研究を進めた結果、ジルコニア原料粉の粒径
を微細化すると高温相であるテトラゴナル相が室温まで
安定に存在するという事実、さらに上記テトラゴナル相
を含んでいる焼結体は、本質的に高強度を有するという
事実を知つた。一方、キユービツク相、モノクリニツク
相の混相である焼結体が耐熱衝撃性に優れているといわ
れる理由は、焼結体の熱膨張係数が小さいということだ
けでなく、クラツクが進展しずらい組織構造になつてい
る為ということが分かつた。すなわち焼結体中に生じた
クラツクの破壊エネルギーを、焼結体中に分散している
小さなモノクリニツク粒子が、吸収するためと考えられ
る。そこで上記の事実に鑑みて、キユービツク相にモク
リニツク相ならびにテトラゴナル相を分散させたとこ
ろ、上記の3種の相がある割合の範囲内で存在すると高
強度を有し、耐熱衝撃性にも優れた焼結体を得ることが
できた。前記存在割合の範囲外では、例えばモノクリニ
ツク相が多く、テトラゴナル相が少ない場合、焼結性が
悪くなり、またモノクリニツク相は抵抗率が大きいた
め、酸素イオン導電性を減少する。逆にモノクリニツク
相が少なく、テトラゴナル相が多いと熱衝撃を受けた時
のテトラゴナル相→モノクリニツク相の変態で生ずるク
ラツクが大きく進展し、容易に破損に至る。
さて、本発明の様に、テトラゴナル相を室温で安定に存
在させるためには、焼結体の粒子径を小さくすることが
重要である。構成粒子が大きくなると、強度が小さくな
り、また焼成冷却過程でテトラゴナル相は、ほとんどモ
ノクリニツク相に変態してしまい組織の破壊につなが
り、本発明の如きジルコニア焼結体は得られない。本発
明においてキユービツク相、テトラゴナル相、モノクリ
ニツク相の存在割合範囲はそれぞれ45〜75重量%、10〜
30重量%、10〜25重量%に規定したが、48〜70重量%、
15〜28重量%、15〜23重量%良く、最も好ましてのは50
〜65重量%、18〜25重量%、18〜22重量%である。ジル
コニアの結晶相は、安定化剤の添加量と、出発原料粉の
粒径および焼結温度で調節できる。すなわち、キュービ
ック相を多くするには安定化剤を増やし、モノクリニッ
ク相を多くするには安定化剤を少なくすることにより焼
結体の組成比を調製ないし変更できる。さらに、テトラ
ゴナル相はこの中間にでてくるもので、粉末粒径を細か
くすると熱処理過程において非平衡反応で焼結体中に出
現してくる。本発明の如きジルコニア焼結体を得るに
は、イツトリア等の安定化剤を例えばジルコニアに対し
4〜6mol%に選定し、混合・粉砕後の粒径を例えば0.7
〜1.5μmにし、かつこの材料の焼成温度を適当に選べ
ばよい。
在させるためには、焼結体の粒子径を小さくすることが
重要である。構成粒子が大きくなると、強度が小さくな
り、また焼成冷却過程でテトラゴナル相は、ほとんどモ
ノクリニツク相に変態してしまい組織の破壊につなが
り、本発明の如きジルコニア焼結体は得られない。本発
明においてキユービツク相、テトラゴナル相、モノクリ
ニツク相の存在割合範囲はそれぞれ45〜75重量%、10〜
30重量%、10〜25重量%に規定したが、48〜70重量%、
15〜28重量%、15〜23重量%良く、最も好ましてのは50
〜65重量%、18〜25重量%、18〜22重量%である。ジル
コニアの結晶相は、安定化剤の添加量と、出発原料粉の
粒径および焼結温度で調節できる。すなわち、キュービ
ック相を多くするには安定化剤を増やし、モノクリニッ
ク相を多くするには安定化剤を少なくすることにより焼
結体の組成比を調製ないし変更できる。さらに、テトラ
ゴナル相はこの中間にでてくるもので、粉末粒径を細か
くすると熱処理過程において非平衡反応で焼結体中に出
現してくる。本発明の如きジルコニア焼結体を得るに
は、イツトリア等の安定化剤を例えばジルコニアに対し
4〜6mol%に選定し、混合・粉砕後の粒径を例えば0.7
〜1.5μmにし、かつこの材料の焼成温度を適当に選べ
ばよい。
この焼結体を得るための工業用ジルコニア原料粉には、
若干量の酸化ハフニウム、酸化チタニウムなどが含まれ
ており、本発明のジルコニア焼結体中に上記不純物成分
が含まれることは許容されるものとする。さらに焼結助
剤として酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化鉄など
を使用するのは普通であり、これらの助剤を使用しても
本発明の効果に変わりはない。尚、上記焼結助剤の添加
量は、ジルコニア原料粉(安定化剤含む)に対して、3
重量%以下が良い。
若干量の酸化ハフニウム、酸化チタニウムなどが含まれ
ており、本発明のジルコニア焼結体中に上記不純物成分
が含まれることは許容されるものとする。さらに焼結助
剤として酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化鉄など
を使用するのは普通であり、これらの助剤を使用しても
本発明の効果に変わりはない。尚、上記焼結助剤の添加
量は、ジルコニア原料粉(安定化剤含む)に対して、3
重量%以下が良い。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
融解法によつて調整されたジルコニア粉末(第一稀元素
化学社製、PSZ grade)に表1に記載した様な割合でイ
ツトリア粉末(信越化学社製、平均粒径3μm)を湿式
ボールミルで7〜20時間混合後1200〜1350℃で3〜5時
間、電気炉中で仮焼し、それを再び湿式ボールミルで3
〜10時間粉砕し、粉砕後の平均粒径が0.5〜1.3μmにな
る様なイツトリア含有ジルコニア粉末を用意した(表1,
No.1〜34)。さらに中和共沈法によつて合成されたイツ
トリア安定化ジルコニア粉末、及びイツトリア部分安定
化ジルコニア粉末(東洋曹達工業社製)も用意した(表
1,No.35〜42)。
化学社製、PSZ grade)に表1に記載した様な割合でイ
ツトリア粉末(信越化学社製、平均粒径3μm)を湿式
ボールミルで7〜20時間混合後1200〜1350℃で3〜5時
間、電気炉中で仮焼し、それを再び湿式ボールミルで3
〜10時間粉砕し、粉砕後の平均粒径が0.5〜1.3μmにな
る様なイツトリア含有ジルコニア粉末を用意した(表1,
No.1〜34)。さらに中和共沈法によつて合成されたイツ
トリア安定化ジルコニア粉末、及びイツトリア部分安定
化ジルコニア粉末(東洋曹達工業社製)も用意した(表
1,No.35〜42)。
こうして得たジルコニア原料粉末に結合剤としてポリビ
ニルアルコール(P.V.A.重合度1500)を粉末に対して3
〜8重量%相当量混合し、ふるいにかけて整粒し、400
〜1000kg/cm2で金形成形した。尚、成形圧力は、成形体
の密度が理論密度の40〜50%になる様に選んだ。続い
て、各成形体を空気中において1400〜1600℃で各1時間
焼成した。その時の昇降温度は300℃/h、冷却時は900℃
から炉冷した。こうして得られたジルコニア焼結体を、
以下の項目によつて評価した。
ニルアルコール(P.V.A.重合度1500)を粉末に対して3
〜8重量%相当量混合し、ふるいにかけて整粒し、400
〜1000kg/cm2で金形成形した。尚、成形圧力は、成形体
の密度が理論密度の40〜50%になる様に選んだ。続い
て、各成形体を空気中において1400〜1600℃で各1時間
焼成した。その時の昇降温度は300℃/h、冷却時は900℃
から炉冷した。こうして得られたジルコニア焼結体を、
以下の項目によつて評価した。
(1)かさ比重測定及び焼結状態の確認 アルキメデス法によつて試料のかさ比重を、さらにスカ
ーレツト浸透液の含浸の有無によつて焼結状態を判断し
た。
ーレツト浸透液の含浸の有無によつて焼結状態を判断し
た。
(2)曲げ強度試験 試料を3×4×35mmの寸法に切断し、鏡面仕上げ後、室
温で4点曲げ試験を行なつた。
温で4点曲げ試験を行なつた。
(3)耐熱衝撃性試験 電気炉中で所定の温度に10〜15分間保持した試料(鏡面
仕上げ、寸法3×4×35mm)を水中に落下させ、その後
4点曲げ強度試験を行つた。曲げ強度が室温と変わらな
い温度下をもつて熱衝撃の目安とした。
仕上げ、寸法3×4×35mm)を水中に落下させ、その後
4点曲げ強度試験を行つた。曲げ強度が室温と変わらな
い温度下をもつて熱衝撃の目安とした。
(4)X線回折 試料の表面を軽く研摩した後、X線回折によつて構成成
分の同定を行い、以下に示す時に基づいてジルコニアの
各結晶相の存在割合(重量%)をもとめた。〔R.A.ミユ
ラー,アドバンセス・イン・セラミツクス3巻1981年
(R.A.Miller et al,Advances in Ceramics Vo13(198
1)p241)〕 C=1−(M+T) ここでM,T,Cは、それぞれモノリクリニツク相テトラゴ
ナル相、キユービツク相の存在割合、Im(111),Im(11
)は、それぞれモノクリニツク相の(111)面,(11
)面からのX線回折ピーク強度、ItC(111)はテトラ
ゴナル相とキユービツク相の(111)面からのピーク強
度、It(400),It(004)は、それぞれテトラゴナル相
の(400)面,(004)面からのピーク強度、IC(400)
はキユービツク相の(400)面からのピーク強度であ
る。
分の同定を行い、以下に示す時に基づいてジルコニアの
各結晶相の存在割合(重量%)をもとめた。〔R.A.ミユ
ラー,アドバンセス・イン・セラミツクス3巻1981年
(R.A.Miller et al,Advances in Ceramics Vo13(198
1)p241)〕 C=1−(M+T) ここでM,T,Cは、それぞれモノリクリニツク相テトラゴ
ナル相、キユービツク相の存在割合、Im(111),Im(11
)は、それぞれモノクリニツク相の(111)面,(11
)面からのX線回折ピーク強度、ItC(111)はテトラ
ゴナル相とキユービツク相の(111)面からのピーク強
度、It(400),It(004)は、それぞれテトラゴナル相
の(400)面,(004)面からのピーク強度、IC(400)
はキユービツク相の(400)面からのピーク強度であ
る。
(5)焼結体組織の観察 走査型電子顕微鏡(S・E・M)及び透過型電子顕微鏡
(T.E.M)を用いて、試料の表面及び破面を観察し、粒
子径を測定した。
(T.E.M)を用いて、試料の表面及び破面を観察し、粒
子径を測定した。
なお、表1において評価は、耐熱衝撃性と曲げ強度の両
者を加味し、○:優れている、△:やや劣る、×:劣
る、の3段階で示した。
者を加味し、○:優れている、△:やや劣る、×:劣
る、の3段階で示した。
表1から、No.1〜10,12,19,20,26,31〜34に見られるよ
うに、構成結晶相の存在割合が、本発明の範囲外にある
様な試料は、強度・耐熱衝撃温度ともに低い。一方No.1
1,13〜18,21〜25,27〜30,36〜39の様に焼結体中のテト
ラゴナル相の存在割合が高いと曲げ強度は、大きくなつ
ている。ところが、テトラゴナル相は200〜300℃、特に
250℃付近で急速に不安定化し、モノクリニツク相に変
態を起こし始める。その際に生ずる体積膨張の為に、焼
結体中にマイクロクラツクを大きく促進させて第1図に
示す如く、曲げ強度を急激に落とす。強度が急落した試
料の破面を観察したところ、粒内破壊を起こしていた。
この様に、テトラゴナル相は強度を向上させるのには大
いに有効であるが、その量が多くなりすぎると、耐熱衝
撃性には逆に負の要因となる。
うに、構成結晶相の存在割合が、本発明の範囲外にある
様な試料は、強度・耐熱衝撃温度ともに低い。一方No.1
1,13〜18,21〜25,27〜30,36〜39の様に焼結体中のテト
ラゴナル相の存在割合が高いと曲げ強度は、大きくなつ
ている。ところが、テトラゴナル相は200〜300℃、特に
250℃付近で急速に不安定化し、モノクリニツク相に変
態を起こし始める。その際に生ずる体積膨張の為に、焼
結体中にマイクロクラツクを大きく促進させて第1図に
示す如く、曲げ強度を急激に落とす。強度が急落した試
料の破面を観察したところ、粒内破壊を起こしていた。
この様に、テトラゴナル相は強度を向上させるのには大
いに有効であるが、その量が多くなりすぎると、耐熱衝
撃性には逆に負の要因となる。
ところで、表1よりテトラゴナル相を室温においても安
定に存在させるには、焼結体組織の粒子径を小さくしな
ければならないことがわかる。粒子径が大きいと、焼結
体そのものの強度が出ず、またテトラゴナル相がモノク
リニツク相に変態しやすくなり、組織の破壊を招く(N
o.6−No.12,No.30−No.32)。
定に存在させるには、焼結体組織の粒子径を小さくしな
ければならないことがわかる。粒子径が大きいと、焼結
体そのものの強度が出ず、またテトラゴナル相がモノク
リニツク相に変態しやすくなり、組織の破壊を招く(N
o.6−No.12,No.30−No.32)。
次に焼結状態の良好な試料内、キユービツク相とモノク
リニツク相との混在した焼結体では、No.5に見られる様
に強度が低い割には、比較的、耐熱衝撃温度は高い。キ
ユービツク相のみからなる試料では、No.33,34の如く耐
熱衝撃温度が低いことから、熱衝撃に対して、モノクリ
ニック相が、いかに有効であるかがわかる。この理由
は、焼結体中にクラツクが入つた時、モノクリニツク相
の微粒子によつてクラツクの破壊エネルギーが緩和吸収
されるためた思われる。
リニツク相との混在した焼結体では、No.5に見られる様
に強度が低い割には、比較的、耐熱衝撃温度は高い。キ
ユービツク相のみからなる試料では、No.33,34の如く耐
熱衝撃温度が低いことから、熱衝撃に対して、モノクリ
ニック相が、いかに有効であるかがわかる。この理由
は、焼結体中にクラツクが入つた時、モノクリニツク相
の微粒子によつてクラツクの破壊エネルギーが緩和吸収
されるためた思われる。
以上の結果に基づいて、充分は機械的強度をっち、かつ
耐熱衝撃温度の高いジルコニア焼結体を検討したとこ
ろ、キユービツク相、テトラゴナル相、モノクリニツク
相の三相からなり、その存在範囲が、夫々45〜75重量
%,10〜30重量%,10〜25重量%であり、かつキユービツ
ク相の粒径は5μm以下、テトラゴナル相、モノクリニ
ツク相の粒径が0.8μm以下になつている焼結体が良い
ということがわかつた。
耐熱衝撃温度の高いジルコニア焼結体を検討したとこ
ろ、キユービツク相、テトラゴナル相、モノクリニツク
相の三相からなり、その存在範囲が、夫々45〜75重量
%,10〜30重量%,10〜25重量%であり、かつキユービツ
ク相の粒径は5μm以下、テトラゴナル相、モノクリニ
ツク相の粒径が0.8μm以下になつている焼結体が良い
ということがわかつた。
本発明の前述の実施例では、安定化剤としてイツトリア
を用いているが、酸化カルシウム,酸化マグネシウムな
どを用いても良い。
を用いているが、酸化カルシウム,酸化マグネシウムな
どを用いても良い。
なお、表1のC.T.M量と評価の関係を第2図に示す。図
中太線枠内は本発明の範囲を示すものである。
中太線枠内は本発明の範囲を示すものである。
本発明によれば、機械的強度と、耐熱衝撃に優れたジル
コニア焼結体を得ることができるので、酸素センサー用
として用いた場合の製造時の歩留り向上と信頼性の高い
センサーを提供できる。また、本発明によるジルコニア
焼結体は耐熱衝撃が優れているので、例えば、内燃機関
のシリンダーヘツドなどにも適用することができる。
コニア焼結体を得ることができるので、酸素センサー用
として用いた場合の製造時の歩留り向上と信頼性の高い
センサーを提供できる。また、本発明によるジルコニア
焼結体は耐熱衝撃が優れているので、例えば、内燃機関
のシリンダーヘツドなどにも適用することができる。
第1図は、本発明の焼結体試料の耐熱衝撃温度と曲げ強
さの関係を示す曲線図である。第2図は本発明の焼結体
の結晶組成キユービツク相(C),テトラゴナル相
(T),モノクリニツク相(M)の量と、評価との関係
を示す図である。
さの関係を示す曲線図である。第2図は本発明の焼結体
の結晶組成キユービツク相(C),テトラゴナル相
(T),モノクリニツク相(M)の量と、評価との関係
を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】キュービック相とテトラゴナル相とモノク
リニック相とが混在した部分安定化ジルコニア焼結体に
おいて、前記キュービック相が45〜75重量%、前記テト
ラゴナル相が10〜30重量%、前記モノクリニック相が10
〜25重量%であり、前記キュービック相結晶粒径が5μ
m以下前記テトラゴナル相および前記モノクリニック相
の結晶粒径が0.8μm以下であることを特徴とするジル
コニア焼結体。 - 【請求項2】前記キュービック相が50〜65重量%、前記
テトラゴナル相が18〜25重量%、前記モノクリニック相
が18〜22重量%である特許請求の範囲第1項記載のジル
コニア焼結体。 - 【請求項3】安定化剤としてイットリアが4〜6モル%
含む特許請求の範囲第1項または第2項記載のジルコニ
ア焼結体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60247086A JPH0788251B2 (ja) | 1985-11-06 | 1985-11-06 | ジルコニア焼結体 |
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Citations (1)
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JPS5642909A (en) * | 1979-09-18 | 1981-04-21 | Ngk Insulators Ltd | Solid electrolyte |
-
1985
- 1985-11-06 JP JP60247086A patent/JPH0788251B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
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