JP2945935B2 - ジルコニア系複合セラミック焼結体、及びその製法 - Google Patents

ジルコニア系複合セラミック焼結体、及びその製法

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JP2945935B2 JP8281464A JP28146496A JP2945935B2 JP 2945935 B2 JP2945935 B2 JP 2945935B2 JP 8281464 A JP8281464 A JP 8281464A JP 28146496 A JP28146496 A JP 28146496A JP 2945935 B2 JP2945935 B2 JP 2945935B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば構造用材
料等に好適なジルコニア系複合セラミック焼結体及びそ
の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックは、その優れた耐熱性、耐摩
耗及び耐食性を有する点で、自動車エンジン用ターボチ
ャージャーロータ、軸受け、メカニカルシール、切削バ
イト、ドリル工具等の機械部品、粉砕メディア、光コネ
クターフェルール、ダイス、種々の刃物類、鋸、スポー
ツレジャー用品等々に到るまで幅広い用途で使用されつ
つある。しかし、セラミックは、本来共有結合性やイオ
ン結合性が強く、金属材料のように転位または塑性変形
等を示さないため、クラックの先端の応力集中を緩和で
きず、材料中の微細な欠陥や表面傷を起点として容易に
即時破断してしまう。このようにセラミックスは靱性が
低く非常に脆いため、大型の部品や複雑な形状を有する
部品の構成材料としては適切でなく、自ずと成形品の形
状や寸法などに制限が加わるのが実状である。
【0003】そこで、このセラミックの脆さを改善する
ために、セラミック焼結体のマトリックスに第2相とし
て粒子、ウィスカ−、あるいは長繊維等を分散させて複
合化し、クラックの進展を阻止するよう制御することに
より、靱性の向上をはかる試みがなされている。これら
の試みは、マトリックスに第2相として各種の形状の分
散相をミクロンレベルで分散させたミクロ複合材料の範
疇に属するものであり、例えば、粒子、ウィスカ−等で
複合化した系では、6〜8MPam1/2 程度の靱性値
を、また、SiC等の長繊維で複合した系では、20〜
30MPam1/2にも及ぶ高い靱性値を達成している。
しかし、強度面については、ミクロンレベルの第2相の
添加が、マトリックスの破壊源の増大をもたらす場合が
多く、セラミックマトリックス単体の5〜6割程度の向
上に留まっており、さらなる強度の向上が望まれてい
る。
【0004】セラミックの粒界を複合化した上記のミク
ロ複合材料に対し、セラミック結晶粒子内に、第2相と
してナノメータサイズの微粒子を分散させたナノ複合材
料が作製され、強度、高温強度、並びにクリープ特性な
どの機械的特性が、通常のミクロ複合材料に比べ、大幅
に改善されることが報告されている。しかし、この場合
の靱性の改善は、ミクロ複合材料に比較して小さく、セ
ラミックマトリックス単体の3〜4割程度の向上に留ま
っており、さらなる靱性の向上が望まれている。
【0005】このように、一般的なセラミック系複合材
料においては、ミクロ複合材料、およびナノ複合材料の
いずれの系においても、強度及び靱性を同時に改善した
ものは得られておらず、将来的に、強度−靱性のトレー
ドオフの関係を打破した強靱なセラミック焼結体の開発
が強く望まれている。
【0006】一方、安定化剤としてY2 3 、あるいは
CeO2 を固溶した正方晶ジルコニア焼結体は、クラッ
ク近傍の応力場において、約4%程度の体積膨張を伴い
ながら、正方晶から単斜晶へと応力誘起相変態するた
め、クラック先端の応力遮蔽等の効果により、通常のア
ルミナ、窒化珪素、炭化珪素などに比べ、それぞれ高強
度あるいは高靱性を示すセラミック材料として知られて
いる。しかし、これら正方晶ジルコニアにおいても、高
強度及び高靱性が同時に改善された材料は得られておら
ず、さらなる特性改善が望まれている。例えば、Y2
3 系正方晶ジルコニアにおいては、単相で1000MP
aを越える高い強度を持ち、さらにAl23 を含有し
た複合材料においては、2400〜3000MPaと著
しい強度改善がはかられているが、靱性面においてはい
ずれも5〜6MPam1/2 に留まっている。また、Ce
2 系正方晶ジルコニアは、単相で10〜20MPam
1/2にも及ぶ高い靱性を示すものの、強度面においては
600〜800MPaと、Y2 3 系正方晶ジルコニア
に比べ、総じて低いのが実状である。しかし、CeO2
系正方晶ジルコニアは、Y2 3 系に比べ幅広い高温正
方晶領域を有しているため、200〜400℃付近での
熱安定性に優れ、水熱下の雰囲気でも強度劣化しない特
徴を有する。従って、CeO2 系正方晶ジルコニアに
高強度が付与されれば、現在広く使用されているY2
3 系正方晶ジルコニアの低温域での強度劣化を克服する
材料として、実用面において広範な用途展開が期待され
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これに対して本発明者
らは、特開平5−246760号公報で開示したよう
に、CeO2 系正方晶ジルコニア粒内、および粒界に第
2相として微細なAl2 3 粒子を分散させることによ
り、強度及び靱性が改善されたジルコニア系複合セラミ
ック焼結体、及びその製法を提案している、ここで、微
細なAl2 3 粒子は、焼結過程でジルコニアの粒成長
を抑制する作用を有し、その結果、ジルコニアは微細な
組織で構成され、破壊源寸法の減少、および焼結体のジ
ルコニアの正方晶の安定化をもたらし、強度および硬度
が大幅に上昇することを示した。しかし、Al2 3
子の添加によるジルコニアの粒成長の抑制は、焼結過程
でAl2 3 粒子をジルコニア粒内に取り込み難くな
り、強度を改善するには、必ずしも望ましい方向とは言
えない問題があった。さらに本発明者らは、特願平7−
269334号において、ジルコニアの安定化剤として
CeO2 とTiO2 を併用することにより、ジルコニ
アの粒成長を促進させ、ジルコニア結晶粒子内により有
効にAl2 3 粒子を分散させることが可能であるこ
と、および正方晶から単斜晶への応力誘起相転移の臨
界応力を上昇させること、等の相互作用により、更なる
高強度化が達成されることを示した。しかし、TiO2
の添加は、ジルコニアの正方晶から単斜晶への応力誘起
変態を抑制し、靱性値の低下をもたらすという問題があ
った。
【0008】本発明は、前記の事情に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、より高いレベルで強度
及び靱性が両立するジルコニア系複合セラミック焼結
体、及びその製法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
ジルコニア系複合セラミック焼結体は、第1相としてC
eO2 を8〜12モル%、MgO或いはCaOのどちら
か一方を0.01〜0.1モル%含有する平均粒径5μ
m以下のジルコニア粒子相、第2相として平均粒径2μ
m以下のAl2 3 粒子相、第3相としてCe、Al、
O、及び、Mg或いはCaのどちらか一方を組成元素と
する複合酸化物の針状結晶相、が分散したジルコニア系
複合セラミック焼結体であって、ジルコニア系複合セラ
ミック焼結体全体における前記Al2 3 粒子相の含有
比率が0.5〜50容量%であり、且つ、ジルコニア粒
子内に存在する平均粒径1μm以下のAl2 3 粒子の
含有量が、前記Al2 3 粒子全数量に対して2数量%
以上であることを特徴とするものである。
【0010】請求項2に係るジルコニア系複合セラミッ
ク焼結体は、請求項1に係るジルコニア系複合セラミッ
ク焼結体において、前記第1相としてのジルコニア粒子
相が、さらにTiO2 を0.05〜4モル%含有するこ
とを特徴とするものである。
【0011】請求項3に係るジルコニア系複合セラミッ
ク焼結体は、請求項1又は請求項2に係るジルコニア系
複合セラミック焼結体において、前記ジルコニア粒子の
うち、平均粒径1μm以下のジルコニア粒子が、Al2
3 粒子内に存在することを特徴とするものである。
【0012】請求項4に係るジルコニア系複合セラミッ
ク焼結体は、請求項1乃至請求項3いずれかに係るジル
コニア系複合セラミック焼結体において、前記ジルコニ
ア粒子のうち、平均粒径1μm以下のジルコニア粒子
が、前記針状結晶粒子内に存在することを特徴とするも
のである。
【0013】請求項5に係るジルコニア系複合セラミッ
ク焼結体は、請求項1乃至請求項3いずれかに係るジル
コニア系複合セラミック焼結体において、ジルコニアの
正方晶の含有量が、ジルコニアの結晶相全量に対して、
90容量%以上であることを特徴とするものである。
【0014】請求項6に係るジルコニア系複合セラミッ
ク焼結体の製法は、請求項1乃至請求項5いずれかに係
るジルコニア系複合セラミック焼結体を製造するジルコ
ニア系複合セラミック焼結体の製法であって、CeO2
を8〜12モル%、MgO或いはCaOのどちらか一方
を0.01〜0.1モル%含有するジルコニア粒子相を
生成する第1成分と平均粒径2μm以下のAl2 3
子相を生成する第2成分とを混合して、ジルコニア系複
合セラミック焼結体の0.5〜50容量%がAl2 3
粒子からなるように混合物Aを作製し、この混合物Aを
所望の形状に成形した予備成形体を、大気中で常圧焼結
することにより焼結過程でCe、Al、O、及び、Mg
或いはCaのどちらか一方を組成元素とする複合酸化物
の針状結晶を生成させることを特徴とするものである。
【0015】請求項7に係るジルコニア系複合セラミッ
ク焼結体の製法は、請求項6に係るジルコニア系複合セ
ラミック焼結体の製法において、前記第1成分が、Ce
2を8〜12モル%、MgO或いはCaOのどちらか
一方を0.01〜0.1モル%含有し、さらにTiO2
を0.05〜4モル%含有するジルコニア粒子相を生成
するものであることを特徴とするものである。
【0016】請求項8に係るジルコニア系複合セラミッ
ク焼結体の製法は、請求項6に係るジルコニア系複合セ
ラミック焼結体の製法において、ジルコニア粒子相全量
に対する比率が8〜12モル%となるようにCeO2
含有するジルコニア粉末に、MgCO3 、CaCO3
MgO、CaO、Mg(OH)2 、Ca(OH)2 のい
ずれか1つの粉末をジルコニア粒子相全量に対する比率
が0.01〜0.1モル%となるように混合した後に、
仮焼、粉砕して得た混合物を、前記混合物A中の第1成
分として用いることを特徴とするものである。
【0017】請求項9に係るジルコニア系複合セラミッ
ク焼結体の製法は、請求項6に係るジルコニア系複合セ
ラミック焼結体の製法において、Ce塩を8〜12モル
%、Mg塩或いはCa塩のどちらか一方を0.01〜
0.1モル%、残りをジルコニウム塩とした比率で溶解
し含有する混合溶液Bを調製し、この混合溶液Bを塩基
性にして混合沈殿物を生成させた後に、この混合沈殿物
を乾燥、仮焼、粉砕して得た混合物を、前記混合物A中
の第1成分として用いることを特徴とするものである。
【0018】請求項10に係るジルコニア系複合セラミ
ック焼結体の製法は、請求項7に係るジルコニア系複合
セラミック焼結体の製法において、ジルコニア粒子相全
量に対する比率が8〜12モル%となるようにCeO2
を含有し、且つジルコニア粒子相全量に対する比率が
0.05〜4モル%となるようにTiO2 を含有するジ
ルコニア粉末に、MgCO3 、CaCO3 、MgO、C
aO、Mg(OH)2 、Ca(OH)2 のいずれか1つ
の粉末をジルコニア粒子相全量に対して0.01〜0.
1モル%混合した後に、仮焼、粉砕して得た混合物を、
前記混合物A中の第1成分として用いることを特徴とす
るものである。
【0019】請求項11に係るジルコニア系複合セラミ
ック焼結体の製法は、請求項7に係るジルコニア系複合
セラミック焼結体の製法において、Ce塩を8〜12モ
ル%、Ti塩を0.05〜4モル%、Mg塩或いはCa
塩のどちらか一方を0.01〜0.1モル%、残りをジ
ルコニウム塩とした比率で溶解し含有する混合溶液Cを
調製し、この混合溶液Cを塩基性にして混合沈殿物を生
成させた後に、この混合沈殿物を乾燥、仮焼、粉砕して
得たジルコニア粉末を、前記混合物A中のジルコニアを
生成する第1成分として用いることを特徴とするもので
ある。
【0020】請求項12に係るジルコニア系複合セラミ
ック焼結体の製法は、請求項7に係るジルコニア系複合
セラミック焼結体の製法において、Ce塩を8〜12モ
ル%、Mg塩或いはCa塩のどちらか一方を0.01〜
0.1モル%、Tiのアルコキシドを0.05〜4モル
%、残りをジルコニウム塩とした比率で溶解し含有する
混合溶液Dを調製し、この混合溶液Dを塩基性にして混
合沈殿物を生成させた後に、この混合沈殿物を乾燥、仮
焼、粉砕して得たジルコニア粉末を、前記混合物A中の
ジルコニアを生成する第1成分として用いることを特徴
とするものである。
【0021】請求項13に係るジルコニア系複合セラミ
ック焼結体の製法は、請求項6乃至請求項12いずれか
に係るジルコニア系複合セラミック焼結体の製法におい
て、アルミニウム塩の水溶液に前記第1成分を添加して
混合溶液Eを得、この混合溶液Eを塩基性にして水酸化
アルミニウムを析出させて混合沈殿物Fを生成させた後
に、この混合沈殿物Fを乾燥、仮焼、粉砕して得た混合
粉末を、前記混合物Aとして用いることを特徴とするも
のである。
【0022】請求項14に係るジルコニア系複合セラミ
ック焼結体の製法は、請求項6乃至請求項12いずれか
に係るジルコニア系複合セラミック焼結体の製法におい
て、アルミニウムのアルコキシドの有機溶液に前記第1
成分を添加して混合溶液Gを得、この混合溶液G中のア
ルミニウムのアルコキシドを加水分解して混合沈殿物H
を得た後に、この混合沈殿物Hを乾燥、仮焼、粉砕して
得た混合粉末を、前記混合物Aとして用いることを特徴
とするものである。
【0023】請求項15に係るジルコニア系複合セラミ
ック焼結体の製法は、請求項6乃至請求項12いずれか
に係るジルコニア系複合セラミック焼結体の製法におい
て、平均粒径0.5μm以下のα−Al2 3 粒末を、
前記混合物A中のAl2 3を生成する第2成分として
用いることを特徴とするものである。
【0024】請求項16に係るジルコニア系複合セラミ
ック焼結体の製法は、請求項6乃至請求項12いずれか
に係るジルコニア系複合セラミック焼結体の製法におい
て、比表面積100m2 /g以上のγ−Al2 3 粒末
を、前記混合物A中のAl23 を生成する第2成分と
して用いることを特徴とするものである。
【0025】請求項17に係るジルコニア系複合セラミ
ック焼結体の製法は、請求項16に係るジルコニア系複
合セラミック焼結体の製法において、前記第1、第2成
分とを含む混合物Jを、1000℃以上で、かつ、焼結
温度以下の温度で仮焼した後に、粉砕して得られた混合
粉末を前記混合物Aとして用いることを特徴とするもの
である。
【0026】請求項18に係るジルコニア系複合セラミ
ック焼結体の製法は、請求項6乃至請求項17いずれか
に記載のジルコニア系複合セラミック焼結体の製法にお
いて、前記混合物Aの予備成形体を大気中で常圧焼結し
て相対密度95%以上にした後に、酸素雰囲気下で熱間
静水圧加圧焼結(HIP)することにより焼結過程で針
状結晶を生成させることを特徴とするものである。
【0027】
【発明実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0028】本発明に係るジルコニア系複合セラミック
焼結体は、第1相としてCeO2 を8〜12モル%、M
gO或いはCaOのどちらか一方を0.01〜0.1モ
ル%含有する平均粒径5μm以下のジルコニア粒子相、
第2相として平均粒径2μm以下のAl2 3 粒子相、
第3相としてCe、Al、O、及び、Mg或いはCaの
どちらか一方を組成元素とする複合酸化物の針状結晶
相、が分散した構成を有している。そして、前記第2相
としてのAl2 3 粒子相は該ジルコニア系複合セラミ
ック焼結体全体における含有比率が0.5〜50容量%
であり、且つ、ジルコニア粒子内に存在する平均粒径1
μm以下のAl2 3 粒子の含有量が、前記Al2 3
粒子全数量に対して2数量%以上であることが必須であ
る。なお、前記第1相、第2相、第3相の他に微量の不
純物が含まれていても差し支えないものである。
【0029】まず、前記第1相であるジルコニア粒子相
について説明する。該ジルコニア粒子相は、上述したよ
うに、その平均粒径が5μm以下であり、且つCeO2
を8〜12モル%、MgO或いはCaOのどちらか一方
を0.01〜0.1モル%含有するものである。CeO
2 、及びMgO或いはCaOのどちらか一方の含有量が
前記範囲であれば、該ジルコニア粒子相における結晶相
は主として90容量%以上の正方晶からなり、且つ単斜
晶相が生成したとしても10容量%以下に抑制され、さ
らに立方晶は生成しないものとなるので、応力誘起相変
態に基づく高強度、高靱性を得る上で好ましい。
【0030】該ジルコニア粒子相においてCeO2 は、
高温安定相である正方晶を室温まで準安定相に保持する
安定化剤としての役割を果たすものであり、その含有量
は8〜12モル%の範囲に止めることが重要である。す
なわち、CeO2 の含有量が8モル%未満の場合には、
準安定相である正方晶化が不十分となり単斜晶が支配的
に多くなるため、焼結後に割れたり、あるいはマクロク
ラックが内在した焼結体となり易く、著しい強度劣化を
示すため好ましくなく、CeO2 の含有量が12モル%
をこえる場合には、高温安定相である立方晶があらわ
れ、十分な強度、靱性が得られなくなるため好ましくな
い。
【0031】また、ジルコニア粒子相においてMgO或
いはCaOのどちらか一方は、CeO2 と同様に正方晶
の安定化剤としての作用を有することも期待されるが、
本発明においてはむしろ後述するように、第3相である
針状結晶相を生成させることに寄与する一材料として含
有されているものである。ここで、MgOとCaOと
は、従来から部分安定化ジルコニア(PSZ)材料の安
定化剤として知られていて、例えばMgOにあっては8
〜12モル%の範囲で、CaOにあっては3〜4.5モ
ル%の範囲でジルコニア相に含有させて用いられるのが
一般的であり、これらを含有させた焼結体は、立方晶の
中に、焼結後の熱処理により、正方晶を析出させた組織
からなっている。これに対し、本発明においては、Mg
O或いはCaOの含有量を0.01〜0.1モル%の範
囲としており、これらの範囲においては、ZrO2 −M
gO系状態図、ZrO2 −CaO系状態図から、正方晶
ジルコニアの安定領域であることから、前記ジルコニア
粒子相における正方晶ジルコニアには何等の影響を与え
ないものとなる。また、MgO或いはCaOの少量の添
加は、正方晶をより安定化し、正方晶から単斜晶への応
力誘起相転移の臨界応力を上昇させ、さらなる高強度化
にも寄与している。
【0032】本発明において該ジルコニア粒子相は、ジ
ルコニア、CeO2 、及びMgO或いはCaOのどちら
か一方から構成される必須成分のみの3成分系であって
も構わないが、このほかにTiO2 を0.05〜4モル
%の範囲で含有する4成分系とすることもできるもので
あり、さらに微量の不純物が含まれていても差し支えな
い。
【0033】前記ジルコニア粒子相がTiO2 を0.0
5〜4モル%の範囲で含有する場合について説明する。
本発明においては、ジルコニア粒子が平均粒径5μm以
下の範囲においてある程度の粒成していることが、強度
及び靱性をさらに向上させるために望ましいものであ
り、TiO2 を含有させることはジルコニア粒子の粒成
長に有効である。ところで、TiO2 は、ZrO2 −T
iO2 系状態図において、高温で正方晶ジルコニア中に
単独で18モル%程度まで固溶可能であり、Y23
CeO2 と同じく室温付近でジルコニアの正方晶を準安
定に保持させる安定化剤として知られている。また、T
iO2 の添加は、多くの系でセラミックスの粒成長を促
進させることが知られている。例えば、8モル%のY2
3 、および10モル%のTiO2 を固溶させた立方晶
安定化ジルコニア焼結体は、ジルコニアの粒成長により
透光性を示すことが報告されている。したがって、安定
化剤としてのTiO2 の単独添加は、ジルコニアマトリ
ックスの粒成長を著しく促進させ、ジルコニア粒子相の
粗大化による強度低下をもたらすことが懸念されるため
望ましくない。さらに、TiO2 の固溶は、他の安定化
剤と同じくジルコニアの正方晶から単斜晶への相転移温
度を低下させるため、正方晶がより安定化される。その
結果、多量のTiO2 の添加は、応力誘起相変態を抑制
し靱性の低下をもたらすため好ましくない。従って、T
iO2 をジルコニアマトリックスの粒成長促進剤、およ
び正方晶安定化剤として少量添加することが、靱性値の
低下を最小限に留めるとともに、正方晶をより安定化
し、正方晶から単斜晶への応力誘起相転移の臨界応力を
上昇させ、さらなる高強度化を達成する上で好ましい。
本発明においては、ジルコニア粒子相におけるTiO2
の含有量を0.05〜4モル%の範囲とすることが重要
である。すなわち、TiO2 の含有量が0.05モル%
未満の場合には、十分なジルコニアの粒成長促進効果が
得られず、また、4モル%を超えて過剰に含有させる場
合には、ジルコニアマトリックスの粒成長が著しく促進
されてジルコニア結晶粒子の粗大化による強度低下をも
たらすことが懸念される点で望ましくない。
【0034】次に、第2相であるAl2 3 粒子相につ
いて説明する。Al2 3 粒子相を構成するAl2 3
粒子は、その一部が焼結過程でジルコニア粒子内に取り
込まれることが重要であり、ジルコニア粒子内に取り込
まれるためには微細なものでなければならず、出発原料
における平均粒径が0.5μm以下であることが望まし
い。ジルコニア粒子内に含有されるAl2 3 粒子の粒
径は殆どの場合、1μm以下となる。また、Al2 3
粒子は、焼結後にジルコニアマトリックス粒子内に多く
分散していることが望ましいが、その2数量%以上がジ
ルコニア粒子内に含有されていることが重要である。こ
のAl2 3 粒子のジルコニア粒子内への含有量が2数
量%以下では、ジルコニア粒子相内に取り込まれた効果
が十分に発揮できないため、好ましくない。本発明にお
けるAl2 3 粒子の添加量は、0.5〜50容量%が
望ましく、さらに好ましくは、2.5〜30容量%であ
る。すなわち、Al2 3 粒子の添加量が0.5容量%
以下では強度向上の効果が少なく、30容量%以上で
は、Al2 3 粒子同士が互いに焼結し、ジルコニア粒
界に存在するAl2 3 粒子が多くなる反面、ジルコニ
ア粒子相内に取り込まれるAl2 3 粒子数が減少する
ため、緩やかな強度低下を示すようになる。さらに、5
0容量%を越えると、もはやAl2 3 がマトリックス
となり、ジルコニアの応力誘起変態機構に基づく強靱化
の作用が少なくなり、著しい強度、靱性の劣化を示すよ
うになる。
【0035】第3相である針状結晶相について説明す
る。該針状結晶相は、Ce、Al、O、及び、Mg或い
はCaのどちらか一方を組成元素とする複合酸化物によ
り構成されるもので、第1相であるジルコニア粒子相に
て安定化剤として固溶していたCeO2 が高温で4価か
ら3価に価数変化することにより析出したセリウム酸化
物(Ce2 3 )とMgO或いはCaOのどちらか一方
と、さらに第2相を構成するアルミナとが焼結過程で反
応を起こし生成したものである。
【0036】この針状結晶は、焼結体中のクラックの進
展を阻止し、靱性の低下を抑制する作用を有している。
しかし、針状結晶は多量に存在するとマトリックスの破
壊源の増大をもたらし、強度の低下が懸念される。従っ
て、ジルコニア粒子相におけるMgO或いはCaOの含
有量を、0.01〜0.1モル%の範囲に留めることが
重要である。この範囲であれば、前記針状結晶は大きく
成長することなく、強度の低下を最小限に抑制できると
ともに、アルミナ或いはチタニア添加による靱性値の低
下を阻止できる。また、この場合、針状結晶の長さは特
に限定するものではないが、通常、5〜20μmの長さ
が望ましく、長すぎる場合には破壊源増大による強度の
低下をまねきやすく、短い場合には靱性値の充分な低下
抑制に効果が得られない。
【0037】次に、本発明に係るジルコニア系複合セラ
ミック焼結体の強靱化の改善効果のメカニズムについて
考察を加える。本発明者らは、CeO2 系正方晶ジルコ
ニア/アルミナ複合焼結体の構成において、MgO或い
はCaOのどちらか一方を、0.01〜0.1モル%含
有させることにより、焼結過程において、Ce、Al、
O、および、Mg或いはCaのどちらか一方を構成元素
とする複合酸化物の針状結晶が形成されることを見出し
た。これにより、焼結体中のクラックの進展を有効に阻
止し、靱性を向上させることができる。また、上記構成
において、さらにTiO2 を併用する場合には、強度、
靱性に優れた焼結体を得ることができる点でより好まし
い。このように、平均粒径5μm以下のジルコニア粒子
相が、均一に分散した平均粒径2μm以下のAl2 3
粒子、およびCe、Al、O、および、Mg或いはCa
のどちらか一方を構成元素とする複合酸化物の針状結晶
に取り囲まれ、かつ、平均粒径1μm以下の微細なAl
2 3 粒子が、Al2 3全量に対して、2数量%ジル
コニア粒子内に取り囲まれた組織とすることにより、ジ
ルコニア粒子相内には、ジルコニアとAl2 3 との熱
膨張係数のミスマッチに起因する残留応力場が形成さ
れ、これによりジルコニア粒子相自身が大幅に強化され
る。即ち、焼結後の冷却過程で、ジルコニア粒子相内お
よびAl2 3粒子、並びに針状結晶周辺には残留応力
場が形成され、この残留応力場の相互作用により、ジル
コニア粒子相内には転位が発生しやすくなる。さらに、
ジルコニア粒子相内には、これらの転位がパイルアップ
したサブグレンバウンダリーが形成され、ジルコニア粒
子相は、実際の結晶粒子経よりも転位により分割された
小さな粒子として作用し、組織が細分化される結果、破
壊源寸法の増大を抑制することができる。このサブグレ
ンバウンダリーの形成は、ジルコニア結晶粒子内組織の
微細化に加え、ジルコニアの正方晶から単斜晶への応力
誘起変態を開始する臨界応力を著しく上昇させる効果を
有し、その結果、一層の強度改善が達成される。加え
て、ジルコニア相粒界に存在するAl2 3 粒子、およ
びCe、Al、O、および、Mg或いはCaのどちらか
一方を構成元素とする複合酸化物の針状結晶により、ク
ラック進展過程でクラックの先端が湾曲(ボーイン
グ)、あるいは偏曲(ディフレクション)されることに
より靱性が向上する。一方、平均粒子経2μm以下のA
2 3 粒子内、および、前期針状結晶粒内に、平均粒
径1μm以下の微細なジルコニア粒子相が取り込まれた
組織が共存すると、Al2 3粒子内、および針状結晶
粒内には、前述した熱膨張のミスマッチに起因する残留
応力場、およびサブグレンバウンダリーが形成され、A
2 3 粒子、および針状結晶粒子が大幅に強化される
結果、さらなる強度改善が達成される。
【0038】次に、本発明に係るジルコニア系複合セラ
ミック焼結体の製造方法について説明する。本発明に係
るジルコニア系複合セラミック焼結体の製造方法は、前
述のジルコニア系複合セラミック焼結体が得られるもの
であって、CeO2 を8〜12モル%、MgO或いはC
aOを0.01〜0.1モル%含有するジルコニア粒子
相を生成する第1成分と平均粒径2μm以下のAl2
3 粒子相を生成する第2成分とを混合して、ジルコニア
系複合セラミック焼結体の0.5〜50容量%がAl2
3 粒子相からなるように混合物Aを作製し、この混合
物Aを所望の形状に成形した予備成形体を、大気中で常
圧焼結することにより焼結過程で前記針状結晶を生成さ
せるものである。
【0039】該ジルコニア系複合セラミック焼結体の製
造方法では、前記混合物Aの予備成形体を大気中、相対
密度95%以上となるよう常圧焼結した後、酸素雰囲気
下、熱間静水圧加圧焼結(HIP)すると好ましいもの
であり、この場合、完全に緻密化されるため、さらなる
強度向上を図ることができる。この場合の酸素濃度は特
に限定するものではないが、通常、アルゴン等の不活性
ガスと酸素ガスとの混合ガスが用いられ、混合ガス全量
に対して、5容量%以上の酸素濃度が望ましい。また、
前記第1成分が、TiO2 をも0.05〜4モル%含有
する前記ジルコニア粒子相を生成するものであってもよ
く、この場合、さらなる強度向上を図る上で好ましい。
【0040】ジルコニア粒子相を生成する第1成分の製
法としては、例えば〔1〕〜〔3〕に示す方法等が挙げ
られる。 〔1〕前記第1相であるジルコニア粒子相全量に対する
比率が8〜12モル%となるよう平均粒子径0.5μm
以下のCeO2 を含有するジルコニア粉末(さらに平均
粒子径0.5μm以下のTiO2 をジルコニア粒子相全
量に対する比率が0.05〜4モル%となるように含有
するものでもよい)に、MgCO3 、CaCO3 、Mg
O、CaO、Mg(OH)2 、Ca(OH)2 のうちか
ら選ばれるいずれか1つの粉末をジルコニア粒子相全量
に対する比率が0.01〜0.1モル%となるように秤
量したものをボールミル等により混合して混合粉末を得
る。次に、これをMgCO3 、CaCO3 、Mg(O
H)2 、Ca(OH)2 の分解温度(約800℃〜10
00℃)で仮焼し、CeO2 をジルコニアにそれぞれ固
溶(TiO2 を含む場合はTiO2 も固溶)させた後、
ボールミル等により粉砕して得たジルコニア混合粉末を
第1成分とする方法。 〔2〕Ce塩を8〜12モル%、Mg塩或いはCa塩の
どちらか一方を0.01〜0.1モル%、残りをジルコ
ニウム塩とした比率で溶解し含有する混合溶液B(Ti
2 をジルコニア粒子相に含有させる場合には、Ce塩
を8〜12モル%、Ti塩を0.05〜4モル%、Mg
塩或いはCa塩のどちらか一方を0.01〜0.1モル
%、残りをジルコニウム塩とした比率で溶解し含有する
混合溶液C)を調製し、これにアンモニア水等の塩基性
水溶液を加えて塩基性することにより混合沈殿物を析出
させた後、この混合沈殿物を大気中800〜1000℃
で数時間仮焼し、ボールミル等により粉砕して得たジル
コニア混合粉末を第1成分とする方法。
【0041】〔3〕Ce塩を8〜12モル%、Tiのア
ルコキシドを0.05〜4モル%、Mg塩或いはCa塩
のどちらか一方を0.01〜0.1モル%、残りをジル
コニウム塩とした比率で溶解し含有するように、ジルコ
ニウム塩とCe塩とMg塩或いはCa塩のどちらか一方
とを含有する水溶液とTiのアルコキシドを含有する有
機溶液とを混合して混合溶液Dを調製し、これを塩基性
水溶液により塩基性にして混合沈殿物を析出させた後、
この混合沈殿物を大気中800〜1000℃で数時間仮
焼し、ボールミル等により粉砕して得たジルコニア混合
粉末を第1成分とする方法。
【0042】なお、〔1〕〜〔3〕において、乾式又は
湿式のいずれのボールミルを粉体混合や粉砕に使用して
もよく、例えば湿式を採用する場合には、エタノール、
アセトン、トルエン等を溶媒として用いて混合又は粉砕
し、その後乾燥すればよい。
【0043】次に、Al2 3 粒子相を生成する第2成
分の製法としては、例えば〔4〕〜〔7〕に示す方法等
が挙げられる。 〔4〕アルミニウム塩の水溶液に、アンモニア水等の塩
基性水溶液を加えて沈殿物を析出させた後、この沈殿物
を乾燥し大気中800℃程度で数時間仮焼し、粉砕して
得たアルミナ粉末を第2成分とする方法。 〔5〕アルミニウムのアルコキシドの有機溶液を加水分
解し沈殿物を得た後、この沈殿物を乾燥し大気中800
℃程度で数時間仮焼し、粉砕して得たアルミナ粉末を第
2成分とする方法。 〔6〕平均粒径0.5μm以下のα−Al2 3 粉末を
第2成分として用いる方法。 〔7〕比表面積100m2 /g以上のγ−Al2 3
末を第2成分として用いる方法。
【0044】次に、ジルコニア系複合セラミック焼結体
を得るためのジルコニア粒子相を生成する第1成分と、
アルミナを生成する第2成分との混合粉末等の混合物A
を得る製法としては、例えば〔8〕〜〔10〕に示す方
法等が挙げられる。 〔8〕アルミニウム塩の水溶液に、〔1〕〜〔3〕のい
ずれかに記載の方法で作製した第1成分を添加して混合
溶液Eを作製し、この混合溶液E中をアンモニア水等の
塩基性水溶液により塩基性にして水酸化アルミニウム沈
殿を析出させ混合沈殿物Fを得た後、この混合沈殿物F
を乾燥し大気中800℃程度で数時間仮焼し、粉砕して
得た混合粉末を混合物Aとする方法。
〔9〕アルミニウムのアルコキシドの有機溶液に、
〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法で作製した第1
成分を添加して混合溶液Gを作製し、この混合溶液G中
のアルミニウムのアルコキシドを加水分解して水酸化ア
ルミニウム沈殿を析出させ混合沈殿Hを乾燥、大気中8
00℃程度で数時間仮焼し、粉砕して得た混合粉末を混
合物Aとする方法。 〔10〕第1成分であるジルコニア粉末と、第2成分で
あるアルミナ粉末とを含む混合物Jを、1000℃以上
で、かつ、焼結温度以下の温度で仮焼した後にボールミ
ル等で粉砕して得た混合粉末を混合物Aとする方法。
【0045】ここで、第2成分として比表面積100m
2 /g以上のγ−Al2 3 粉末などのように一次粒子
系が非常に細かいAl2 3 粉末を用いる場合は、本発
明のジルコニア系複合セラミック焼結体を得るには好ま
しいが、その反面、大きな比表面積を有し、且つかさ高
いため、常用の成形法(乾式プレス法、あるいは射出成
形法等)で所望の形状を付与することが困難であるとい
う問題が想定される。従って、これらのAl2 3 粉末
を用いる場合には、前記〔10〕の方法等が望ましい。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例によって具
体的に説明する。
【0047】(実施例1〜12)表1に示したように実
施例1〜12のそれぞれについて、ジルコニア粒子相全
量に対する含有比率が8モル%、10モル%又は12モ
ル%となるようにCeO2 を含有する平均粒径0.3μ
mのジルコニア粉末のいずれかに、ジルコニア粒子相全
量に対する含有比率が表1に示す量となるように平均粒
径0.3μmのMgO或いはCaOのどちらか一方の粉
末を添加した原料配合物を、正方晶安定化ジルコニア製
ボールとポリエチレン容器を用い、エタノールを溶媒と
して24時間湿式ボールミル混合した。その後乾燥して
得られた混合粉末を、大気中、950℃で3時間仮焼し
た。得られた仮焼粉末に平均粒径0.2μmのα−Al
2 3 粉末をジルコニア系複合セラミック焼結体全量に
対して30容量%となるように添加し、正方晶安定化ジ
ルコニア製ボールとポリエチレン容器を用い、エタノー
ルを溶媒として24時間湿式ボールミル混合した。その
後乾燥して得られた混合粉末を、一軸加圧プレス及び冷
間静水圧プレス成形することによりφ60mm、厚さ5
mmの円盤状成形体を得た。得られた成形体を大気中、
焼結温度1500℃、保持時間2時間の条件下で常圧焼
結した。
【0048】これらの焼結体は、いずれも相対密度99
%以上の緻密なものであり、その微細組織は、走査型電
子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)に
よる観察により、ジルコニア、アルミナ、Ce、Al、
O、及び、Mg或いはCaのどちらか一方を組成元素と
する複合酸化物の比較的長い針状結晶からなる相を含有
していることが確認された。また、一部微細なAl2
3 粒子がジルコニア粒子内に存在していることが確認さ
れた。同時に、比較的粒径の大きなAl2 3粒子内、
及び前記針状結晶中にはジルコニア粒子の一部(平均粒
径1μmの微細な粒子)が取り込まれていることも確認
された。表1に示すように、ジルコニアの平均粒径は、
概ね、0.8μm〜1.3μmの範囲で、アルミナの平
均粒径は、全て2μm以下であった。また、針状結晶の
長さは5μm〜20μmであった。
【0049】ここで、走査型電子顕微鏡(SEM)及び
透過型電子顕微鏡(TEM)による観察の一例として、
図1に実施例5にて得られた焼結体の透過型電子顕微鏡
(TEM)写真を示し、図2に同上焼結体のさらに倍率
を大きくした透過型電子顕微鏡(TEM)写真を示す。
また、図3に同上焼結体の走査型電子顕微鏡(SEM)
写真を示し、図4に同上焼結体のさらに倍率を大きくし
た走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。これら図1
〜図4に示すTEM写真及びSEM写真において、2つ
の粒状相、及び針状相の3相が分散した構造となってい
ることが確認でき、これらをそれぞれ元素分析した結
果、各相はそれぞれジルコニア、アルミナ、及びCe、
Al、O、及び、Mg或いはCaのどちらか一方を組成
元素とする複合酸化物の針状結晶の各相であることが確
認された。因みに、前記針状結晶を構成している複合酸
化物の組成はCeMgAl1119であると推定される。
なお、図5、図6、図7は、それぞれジルコニア粒子相
に相当する部分、Al2 3粒子相に相当する部分、針
状結晶相に相当する部分の元素分析チャートである。
【0050】さらに、前記の円盤状焼結体を切断、研削
加工して、4×3×40mmの試験片を作製し、この試
験片について、物性評価として[JIS R 1601]に規程さ
れる方法により室温における3点曲げ強度とIF法によ
り破壊靱性値を測定した。以上の測定結果を表1に示
す。前記試験片についてX線回折により、結晶相の同定
を行い、次いでジルコニア結晶相の割合を定量した。そ
の結果を表1に付記した。ここで、ジルコニアの結晶相
の記号として、Tは正方晶、Cは立方晶、Mは単斜晶を
それぞれ表している。実施例に示した試験片は、いずれ
もジルコニア粒子相の全量に対して、90容量%以上の
正方晶から成り、単斜晶と正方晶が混在する場合には、
単斜晶の含有量は、ジルコニア粒子相の全量に対して、
いずれも10容量%以下であった。
【0051】表1にアルミナ粒子全量に対するジルコニ
ア粒子内に存在するアルミナ粒子の割合(W)を数量%
で示した。その結果、その値は実施例1〜12の全てが
2数量%であった。ここで、この割合は、透過型電子顕
微鏡、あるいは熱処理した焼結体の研磨面を走査型電子
顕微鏡により観察し、その視野に存在するアルミナ粒子
全量の個数(S)と、ジルコニア粒内に存在するアルミ
ナ粒子の個数(n)とを数え、W(%)=(n/S)×
100を算出することにより求めた。
【0052】
【表1】
【0053】(実施例13〜40)表2に示したように
実施例13〜40のそれぞれについて、ジルコニア粒子
相全量に対する含有比率が8モル%、10モル%又は1
2モル%となるようにCeO2 を含有する平均粒径0.
3μmのジルコニア粉末のいずれかに、ジルコニア粒子
相全量に対する含有比率が表2に示す量となるように平
均粒径0.3μmのTiO2 粉末、及び平均粒径0.3
μmのMgO或いはCaOのどちらか一方の粉末をそれ
ぞれ添加した原料配合物を、正方晶安定化ジルコニア製
ボールとポリエチレン容器を用い、エタノールを溶媒と
して24時間湿式ボールミル混合した。その後乾燥して
得られた混合粉末を、大気中、950℃で3時間仮焼し
た。得られた仮焼粉末に平均粒径0.2μmのα−Al
2 3 粉末をジルコニア系複合セラミック焼結体全量に
対して30容量%となるように添加し、正方晶安定化ジ
ルコニア製ボールとポリエチレン容器を用い、エタノー
ルを溶媒として24時間湿式ボールミル混合した。その
後乾燥して得られた混合粉末を、一軸加圧プレス及び冷
間静水圧プレス成形することによりφ60mm、厚さ5
mmの円盤状成形体を得た。得られた成形体を大気中、
焼結温度1500℃、保持時間2時間の条件下で常圧焼
結した。
【0054】これらの焼結体は、いずれも相対密度99
%以上の緻密なものであり、その微細組織は、走査型電
子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡による観察により、ジル
コニア、アルミナ、Ce、Al、O、及び、Mg或いは
Caのどちらか一方を組成元素とする複合酸化物の比較
的長い針状結晶からなる相を含有していることが確認さ
れた。また、一部の微細なAl2 3 粒子が正方晶ジル
コニア粒内に存在していることが確認された。同時に、
比較的粒径の大きなAl2 3 粒子内、及び比較的長い
針状結晶中にはジルコニア粒子の一部が取り込まれてい
ることも確認された。また、ジルコニア粒子の粒子径は
CeO2 、MgO、CaOの添加量にはよらず、TiO
2 の添加量とともに大きくなる傾向を示した。表2に示
すように、ジルコニアの平均粒径は、概ね、0.9μm
〜4.2μmの範囲で、アルミナの平均粒径は、全て2
μm以下であった。また、針状結晶の長さは5μm〜2
0μmであった。
【0055】次いで、前記円盤状焼結体を切断、研削加
工して、4×3×40mmの試験片を作製し、この試験
片について、物性評価として[JIS R 1601]に規程され
る方法により室温における3点曲げ強度とIF法により
破壊靱性値を測定した。以上の測定結果を表2に示す。
前記試験片についてX線回折により、結晶相の同定を行
い、次いでジルコニア結晶相の割合を定量した。その結
果を表2に付記した。ここで、ジルコニアの結晶相の記
号として、Tは正方晶、Cは立方晶、Mは単斜晶をそれ
ぞれ表している。実施例に示した試験片は、いずれもジ
ルコニア結晶相の全量に対して、90容量%以上の正方
晶から成り、単斜晶と正方晶が混在する場合には、単斜
晶の含有量は、ジルコニア粒子相の全量に対して、いず
れも10容量%以下であった。
【0056】また、実施例1〜12と同様に、表2にア
ルミナ粒子全量に対するジルコニア粒子内に存在するア
ルミナ粒子の割合(W)を数量%で示した。その結果、
その値は実施例13〜40の全てが2数量%以上であっ
た。
【0057】
【表2】
【0058】(比較例1〜比較例4)CeO2 、TiO
2 、及び、MgO或いはCaOのどちらか一方のジルコ
ニア粒子相全量に対する含有比率がそれぞれ表3に示し
た量となるようにした以外は実施例1と同様にしてジル
コニア系複合セラミック焼結体を作製した。また、前記
実施例の場合と同様にその微細組織の走査型電子顕微鏡
及び透過型電子顕微鏡による観察、及び物性評価を行っ
た。その結果を表3に示した。
【0059】因みに、比較例1はCeO2 の添加量を少
量(8モル%未満)としたものであり、比較例2はTi
2 の添加量を多量(4モル%を超える量)、比較例3
はMgOの添加量を多量(0.1モル%を超える量)、
比較例4はMgO、CaOのいずれも添加しなかったも
のである。
【0060】
【表3】
【0061】比較例1では、焼結後の冷却過程でジルコ
ニア粒子相の大半が単斜晶に変態し、その割合は80%
にも達した。さらに、焼結体中に多数のマイクロクラッ
クが発生したために、各種の物性評価ができなかった。
比較例2で得られた焼結体の微細組織は、Al2 3
子はジルコニア結晶粒内に存在していたものの、一部の
ジルコニア粒子は、10μm程度にまで異常粒成長して
おり不均一な微構造を呈していることが確認された。更
に、ジルコニア粒子内や三重点には、多くの気孔が存在
していることも観察された。比較例3では、MgOを多
量に添加したために、焼結体中に針状結晶が多数生成
し、強度の低下を招いた。比較例4ではMgO、CaO
のいずれも添加しなかったために、焼結体中に針状結晶
が生成せず、破壊靱性値が低い値となった。
【0062】(実施例41〜45、及び比較例5〜6)
実施例41〜45及び比較例5〜6は、Al2 3 の含
有量の影響を確認するために行ったもので、次のように
して焼結体を作成した。すなわち、ジルコニア粒子相全
量に対する含有比率が10モル%となるようにCeO2
を含有するジルコニア粉末に、ジルコニア粒子相全量に
対する含有比率が1モル%となるようにTiO2 粉末、
及び同上含有比率が0.05モル%となるようにMgO
をそれぞれ添加した原料配合物を、正方晶安定化ジルコ
ニア製ボールとポリエチレン容器を用い、エタノールを
溶媒として24時間湿式ボールミル混合した。その後乾
燥して得られた混合粉末を、大気中、800℃で3時間
仮焼した。得られた仮焼粉末にジルコニア系複合セラミ
ック焼結体全量における比率が表3に示した量となるよ
うにα−Al2 3 粉末(平均粒径0.2μm、純度9
9.9%以上)を添加し、正方晶安定化ジルコニア製ボ
ールとポリエチレン容器を用い、エタノールを溶媒とし
て24時間湿式ボールミル混合した。(なお、比較例5
については、表3に示すようにα−Al2 3 粉末を添
加せずに後の工程に使用した。)その後乾燥して得られ
た混合粉末を、一軸加圧プレス及び冷間静水圧プレス成
形することによりφ60mm、厚さ5mmの円盤状成形
体を得た。得られた成形体を大気中、焼結温度1500
℃、保持時間2時間の条件下で常圧焼結した。
【0063】これらの焼結体は、いずれも相対密度99
%以上の緻密なものであり、その微細組織は、走査型電
子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡による観察により、Al
2 3 粒子の添加に従ってジルコニアの粒成長は抑制さ
れる傾向を示した。すなわち、Al2 3 粒子無添加の
焼結体では、ジルコニアの平均粒径は約4μmであった
のに対し、Al2 3 粒子を添加した焼結体では、Al
2 3 の添加量の増加とともに小さくなり、1μm〜3
μmの範囲であった。また、Al2 3 含有量が30容
量%を越えると、Al2 3 粒子同士が互いに焼結し、
ジルコニア粒界に位置するAl2 3 粒子が多く認めら
れた。
【0064】また、X線回折によるジルコニアの結晶相
の同定を行った結果、反応生成相は認められず、ジルコ
ニアの結晶相は、ジルコニアの結晶相全量に対して、9
5容量%以上の正方晶を含有し、単斜晶が認められて
も、単斜晶の含有量は、5容量%以下であった。次に、
前記の円盤状焼結体から切断、研削加工して、4×3×
40mmの試験片を作製し、この試験片につき[JIS R
1601]に規程される方法により室温における3点曲げ強
度、及びIF法により破壊靱性値を測定した。以上の測
定結果を表4に示す。
【0065】また。実施例1〜12と同様に、表4にA
2 3 粒子全量に対するジルコニア粒子内に存在する
Al2 3 粒子の割合(W)を数量%で示した。
【0066】
【表4】
【0067】表4から、Al2 3 粒子の含有量が全体
に対して0.5〜50容量%の範囲となる実施例41〜
45では強度及び靱性が高いレベルで両立しているのに
対し、Al2 3 粒子無添加の比較例5では、3点曲げ
強度が低い値となり、Al23 粒子の含有量が全体に
対して50容量%を超える比較例6では、ジルコニア粒
子内に存在するAl2 3 粒子の割合(W)が低く、3
点曲げ強度及び破壊靱性値が共に低い値となった。
【0068】(比較例7)この比較例7はAl2 3
子の大きさの影響を確認するために行ったもので、平均
粒径の大きなAl2 3 を用いて焼結体を作成したもの
である。すなわち、平均粒径3.0μm、純度99.9
%以上のα−Al2 3 粉末を用いた以外は、実施例2
1と同様にして、焼結体を得た。
【0069】得られた焼結体は、相対密度99%以上の
緻密なものであり、その微細組織は、走査型電子顕微鏡
及び透過型電子顕微鏡による観察により、Al2 3
子の大半がジルコニア粒界に存在していた。X線回折に
よるジルコニアの結晶相の同定を行った結果、反応生成
相は認められず、ジルコニアの結晶相は、ジルコニアの
結晶相全量に対して、95容量%以上の正方晶を含有
し、単斜晶が認められても、単斜晶の含有量は5容量%
以下であった。実施例21と同様にして、アルミナ粒子
全量に対するジルコニア粒内に存在するアルミナ粒子の
割合、3点曲げ強度、及びIF法により破壊靱性値を測
定した。以上の測定結果を実施例21とともに表5に示
す。
【0070】
【表5】
【0071】表5に示すように、平均粒径が2μmを越
えた大きなAl2 3 粒子を用いた比較例7では、ジル
コニア粒子内に存在するAl2 3 粒子の割合(W)が
低く、実施例21の場合と比べて3点曲げ強度及び破壊
靱性値が共に低い値となった。
【0072】(実施例46)焼結温度を1450℃とし
た以外は実施例21の場合と同様にして円盤状焼結体を
得た。得られた焼結体をアルゴン/酸素=90/10
(容積比)の混合ガス中、1350℃、1時間、150
MPaの条件で熱間静水圧加圧処理(HIP処理)を行
った。
【0073】得られた焼結体は、理論密度まで完全に緻
密化しており、その微細組織は、走査型電子顕微鏡及び
透過型電子顕微鏡による観察により、一部微細なAl2
3粒子はジルコニア結晶粒子内に存在していた。ま
た、ジルコニアの平均粒径は約0.8μmであり、HI
P処理による粒成長は認められなかった。更に、比較的
粒成長したAl2 3 粒子内、及び比較的成長したC
e、Al、O、及び、Mgからなる針状結晶内には孤立
したジルコニア粒子が認められた。X線回折による結晶
相の同定を行った結果、反応生成相は認められず、ジル
コニアの結晶相はジルコニア結晶相全量に対して、約9
9容量%以上の正方晶を含有し、単斜晶が認められて
も、単斜晶の含有率は約1容量%以下であった。実施例
21と同様にして、アルミナ粒子全量に対するジルコニ
ア粒内に存在するアルミナ粒子の割合、3点曲げ強度、
及びIF法により破壊靱性値を測定した。以上の測定結
果を実施例21とともに表6に示した。
【0074】
【表6】
【0075】表6に示すように、HIP処理を行った実
施例46では、実施例21に比べると靱性値がやや低下
したものの、強度を大きく向上させることができた。
【0076】(実施例47〜54)正方晶ジルコニア全
量に対して、ジルコニア粒子相全量に対する含有比率が
10モル%となるようにCeO2 を含有するジルコニア
粉末に、ジルコニア粒子相全量に対する含有比率が1モ
ル%となるようにTiO2 粉末、及び同上含有比率が表
7に示す量となるように平均粒径0.3μmのMgCO
3 、CaCO3 、Mg(OH)2 或いはCa(OH)2
のどれか一つを添加した以外は実施例1と同様にしてジ
ルコニア系複合焼結体を作製した。
【0077】これらの焼結体は、いずれも相対密度99
%以上の緻密なものであり、その微細組織は、走査型電
子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡による観察により、添加
物によらずほぼ一定であった。また、長さ5μm〜20
μmのCe、Al、O、及び、Mg或いはCaのどちら
か一方からなる針状化合物が確認された。また一部微細
なAl2 3 粒子がジルコニア粒子内に存在しているこ
とが確認され、同時に、比較的粒径の大きなAl2 3
粒内、及び比較的長い針状結晶中にはジルコニア粒子の
一部が取り込まれていることも確認された。
【0078】次いで、前記の円盤状焼結体を切断、研削
加工して、4×3×40mmの試験片を作製し、この試
験片について、[JIS R 1601]に規程される方法により
室温における3点曲げ強度とIF法により破壊靱性値を
測定した。以上の測定結果を表7に示す。前記試験片に
ついてX線回折により、結晶相の同定を行い、次いでジ
ルコニア結晶相の割合を定量した。いずれもジルコニア
結晶相の全量に対して、90容量%以上の正方晶から成
り、単斜晶と正方晶が混在する場合には、単斜晶の含有
量は、ジルコニア結晶相の全量に対して、いずれも10
容量%以下であった。
【0079】
【表7】
【0080】表7から、この場合においても良好なレベ
ルで曲げ強度及び破壊靱性値が両立していることから、
出発原料としてMgO又はCaOを用いる代わりに、M
g又はCaの炭酸塩や水酸化物を使用し、これらを製造
過程にて加熱分解しMgO又はCaOとする手法を採用
しても、有効であることが確認された。
【0081】(実施例55)オキシ塩化ジルコニウム
(ZrOCl2 ・8H2 O)の水溶液に、アンモニア水
を加え、加水分解することにより得られたジルコニアゾ
ル溶液に、最終的に得られるジルコニア粒子相に対する
含有比率が10モル%となるように調製した塩化セリウ
ム(CeCl3 ・7H2 O)の水溶液、同上含有比率が
1モル%となるように調製した塩化チタン(TiC
4 )の水溶液、及び同上含有比率が0.1モル%とな
るように調製した塩化マグネシウム(MgCl2 )の水
溶液を加え撹拌混合した。この混合溶液をアンモニア水
中へ撹拌しながら滴下し、沈殿物を得た。次に、この沈
殿物を水洗、乾燥した後、950℃で3時間仮焼し、ジ
ルコニア粉末とした。得られたジルコニア粉末に比表面
積300m2 /gのγ−Al23 粉末をジルコニア系
複合セラミック焼結体全量における比率が30容量%と
なるように添加し、正方晶安定化ジルコニア製ボールと
ポリエチレン容器を用い、エタノールを溶媒として24
時間湿式ボールミル混合した。その後乾燥して得られた
混合粉末を、1000℃で3時間仮焼した後、一軸加圧
プレス及び冷間静水圧プレス成形することによりφ60
mm、厚さ5mmの円盤状成形体を得た。得られた成形
体を大気中、焼結温度1500℃、保持時間2時間の条
件下で常圧焼結した。
【0082】得られた焼結体は、相対密度99%以上の
緻密なものであり、その微細組織は、走査型電子顕微鏡
及び透過型電子顕微鏡による観察により、比較的多くの
Al2 3 粒子がジルコニア粒内に存在していた。表8
に全Al2 3 粒子に対するジルコニア粒内に存在する
Al2 3 粒子の割合を示す。また、X線回折によるジ
ルコニアの結晶相の同定を行った結果、反応生成相は認
められず、ジルコニアの結晶相は主として正方晶からな
り、単斜晶は5容量%以下であった。一方、アルミナの
結晶相はすべてα型となっていた。
【0083】次に、前記円盤状焼結体から切断、研削加
工して、4×3×40mmの試験片を作製し、この試験
片につき[JIS R 1601]に規程される方法により室温に
おける3点曲げ強度、及びIF法により破壊靱性値を測
定した。以上の測定結果を表8に示す。
【0084】(実施例56)塩化アルミニウム(AlC
3 )の塩酸溶液に、実施例55で得たジルコニア粉末
をジルコニア/アルミナ容積比で70/30となるよう
に添加し、撹拌混合した。この混合溶液を水酸化ナトリ
ウム水溶液により処理し、得られたジルコニア粉末と水
酸化アルミニウムの混合物(沈殿物)を水洗、乾燥した
後、1000℃で3時間仮焼することにより水酸化アル
ミニウムを加熱分解してAl2 3 とした混合粉末を得
た。この混合粉末を、一軸加圧プレス及び冷間静水圧プ
レス成形することによりφ60mm、厚さ5mmの円盤
状成形体を得た。得られた成形体を大気中、焼結温度1
500℃、保持時間2時間の条件下で常圧焼結した。
【0085】得られた焼結体は、相対密度99%以上の
緻密なものであり、その微細組織は、走査型電子顕微鏡
及び透過型電子顕微鏡による観察により、比較的多くの
Al2 3 粒子がジルコニア粒内に存在していた。表8
に全Al2 3 粒子に対するジルコニア粒内に存在する
Al2 3 粒子の割合を示す。ここで、この割合は、透
過型電子顕微鏡、あるいは熱処理した焼結体の研磨面を
走査型電子顕微鏡により観察し、その視野に存在する全
Al2 3 粒子中の、ジルコニア粒内に存在するAl2
3 粒子の個数を数えることにより求めた。また、X線
回折によるジルコニアの結晶相の同定を行った結果、反
応生成相は認められず、ジルコニアの結晶相は主として
正方晶からなり、単斜晶は5容量%以下であった。
【0086】次に、前記の円盤状焼結体から切断、研削
加工して、4×3×40mmの試験片を作製し、この試
験片につき[JIS R 1601]に規程される方法により室温
における3点曲げ強度、及びIF法により破壊靱性値を
測定した。以上の測定結果を表8に示す。
【0087】(実施例57)オキシ塩化ジルコニウム
(ZrOCl2 ・8H2 O)の水溶液に、アンモニア水
を加え、加水分解することにより得られたジルコニアゾ
ル溶液、最終的に得られるジルコニア粒子相に対する含
有比率で10モル%となるように調製した塩化セリウム
(CeCl3 ・7H2 O)の水溶液、及び同上含有比率
で0.1モル%となるように調製した塩化マグネシウム
(MgCl2)の水溶液の混合溶液を、最終的に得られ
るジルコニア粒子相に対する含有比率で1モル%となる
ように調製したチタンイソプロポキシド(Ti(iOC
3 7 4 )のイソプロパノール溶液に加え撹拌混合し
た。更に、この混合溶液をアンモニア水中へ撹拌しなが
ら滴下して沈殿物を析出させ、この沈殿物を水洗、乾燥
した後、850℃で3時間仮焼し、ジルコニア粉末とし
た。次に、アルミニウムイソプロポキシド(Al(iO
3 7 3 )のイソプロパノール溶液に、上記ジルコ
ニア粉末をジルコニア/アルミナ容積比で70/30と
なるように混合し、この混合溶液を加水分解した後、得
られた混合物(沈殿物)を水洗、乾燥した後、1000
℃で3時間仮焼することにより混合粉末を得た。この混
合粉末を、一軸加圧プレス及び冷間静水圧プレス成形す
ることによりφ60mm、厚さ5mmの円盤状成形体を
得た。さらに、この円盤状成形体を大気中、焼結温度1
500℃、保持時間2時間の条件下で常圧焼結した。
【0088】得られた焼結体は、相対密度99%以上の
緻密なものであり、その微細組織は、走査型電子顕微鏡
及び透過型電子顕微鏡による観察により、比較的多くの
Al2 3 粒子がジルコニア粒内に存在していた。表8
に全Al2 3 粒子に対するジルコニア粒内に存在する
Al2 3 粒子の割合を示す。ここで、この割合は、透
過型電子顕微鏡、あるいは熱処理した焼結体の研磨面を
走査型電子顕微鏡により観察し、その視野に存在する全
Al2 3 粒子中の、ジルコニア粒内に存在するAl2
3 粒子の個数を数えることにより求めた。
【0089】また、X線回折による結晶相の同定を行っ
た結果、反応生成相は認められず、ジルコニアの結晶相
は主として正方晶からなり、単斜晶は5容量%以下であ
った。
【0090】次に、前記の円盤状焼結体から切断、研削
加工して、4×3×40mmの試験片を作製し、この試
験片につき[JIS R 1601]に規程される方法により室温
における3点曲げ強度、及びIF法により破壊靱性値及
びビッカース硬度を測定した。以上の測定結果を表8に
示す。
【0091】
【表8】
【0092】表8から、実施例55〜57のいずれの場
合にあっても、良好なレベルで曲げ強度及び破壊靱性値
が両立していることがわかる。したがって、ジルコニア
粒子相の出発原料としてジルコニア、CeO2 、TiO
2 、MgO又はCaOを粉末状態で用いて混合する代わ
りに、Zr、Ce、Ti、Mg又はCaの塩やアルコキ
シドを含む混合溶液を塩基性処理することにより水酸化
物として沈殿させ、この水酸化物を製造過程にて加熱分
解し所定配合のジルコニア粉体を得る手法を採用しても
有効であり、また、所定配合としたジルコニア粉体をア
ルミニウム塩又はアルミニウムアルコキシドを含む溶液
中に加え、この溶液を塩基処理して水酸化アルミニウム
とジルコニア粉体の混合沈殿物を生成させ、これを加熱
処理して水酸化アルミニウムを分解することによりAl
2 3 粒子とジルコニア粉体の混合物を得る手法を採用
しても有効であることが確認された。
【0093】
【発明の効果】本発明の請求項1乃至請求項5のいずれ
かに係るジルコニア系複合セラミック焼結体は、第1相
としてCeO2 を8〜12モル%、MgO或いはCaO
のどちらか一方を0.01〜0.1モル%含有する平均
粒径5μm以下のジルコニア粒子相、第2相として平均
粒径2μm以下のAl2 3 粒子相、第3相としてC
e、Al、O、及び、Mg或いはCaのどちらか一方を
組成元素とする複合酸化物の針状結晶相、が分散したジ
ルコニア系複合セラミック焼結体であって、ジルコニア
系複合セラミック焼結体全体における前記Al2 3
子相の含有比率が0.5〜50容量%であり、且つ、ジ
ルコニア粒子内に存在する平均粒径1μm以下のAl2
3 粒子の含有量が、前記Al2 3 粒子全数量に対し
て2数量%以上である構成としたことにより、強度及び
靱性が高いレベルで両立したものとなる。
【0094】すなわち、ジルコニア系複合セラミック焼
結体中に第3相として存在する針状結晶がクラックの進
展を抑制するために高靱性が達成される。また同時に、
ジルコニア粒子相に含有されるCeO2 が正方晶ジルコ
ニアの安定化剤として作用して正方晶が準安定化され、
且つ第2相を構成するAl2 3 粒子が2μm以下の微
細な平均粒径を有していることから、より有効にジルコ
ニア結晶粒界内に分散されるので、高強度が達成され
る。
【0095】特に、0.05〜4モル%の範囲でTiO
2 を併用してジルコニア粒子相に含有させた請求項2に
係るジルコニア系複合セラミック焼結体では、ジルコニ
ア粒子の粒成長が良好な程度で促進され、さらなる高強
度化に有効なものとなる。
【0096】請求項1乃至請求項5のいずれかに係るジ
ルコニア系複合セラミック焼結体は、本発明の請求項6
乃至請求項18のいずれかに係るジルコニア系複合セラ
ミック焼結体の製法により製造できる。特に、請求項1
8に係るジルコニア系複合セラミック焼結体の製法で
は、常圧焼結後に熱間静水圧加圧焼結(HIP)して焼
結体を得ることにより、焼結体のさらなる高強度化を図
る上で有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例5にて作成したジルコニア系複
合セラミック焼結体の透過型電子顕微鏡(TEM)写真
である。
【図2】同上ジルコニア系複合セラミック焼結体の拡大
倍率を大きくした透過型電子顕微鏡(TEM)写真であ
る。
【図3】同上ジルコニア系複合セラミック焼結体の走査
型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図4】同上ジルコニア系複合セラミック焼結体の拡大
倍率を大きくした走査型電子顕微鏡(SEM)写真であ
る。
【図5】同上ジルコニア系複合セラミック焼結体におけ
るジルコニア粒子相の元素分析チャートである。
【図6】同上ジルコニア系複合セラミック焼結体におけ
るAl2 3 粒子相の元素分析チャートである。
【図7】同上ジルコニア系複合セラミック焼結体におけ
る針状結晶相の元素分析チャートである。
フロントページの続き (72)発明者 新原 晧一 大阪府吹田市山田東3丁目18番1−608 (72)発明者 関野 徹 大阪府豊中市西緑丘2丁目2番3−341 号 (56)参考文献 特開 平6−234569(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/42 - 35/49

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1相としてCeO2 を8〜12モル
    %、MgO或いはCaOのどちらか一方を0.01〜
    0.1モル%含有する平均粒径5μm以下のジルコニア
    粒子相、第2相として平均粒径2μm以下のAl2 3
    粒子相、第3相としてCe、Al、O、及び、Mg或い
    はCaのどちらか一方を組成元素とする複合酸化物の針
    状結晶相、が分散したジルコニア系複合セラミック焼結
    体であって、ジルコニア系複合セラミック焼結体全体に
    おける前記Al2 3 粒子相の含有比率が0.5〜50
    容量%であり、且つ、ジルコニア粒子内に存在する平均
    粒径1μm以下のAl2 3 粒子の含有量が、前記Al
    2 3 粒子全数量に対して2数量%以上であることを特
    徴とするジルコニア系複合セラミック焼結体。
  2. 【請求項2】 前記第1相としてのジルコニア粒子相
    が、さらにTiO2 を0.05〜4モル%含有すること
    を特徴とする請求項1記載のジルコニア系複合セラミッ
    ク焼結体。
  3. 【請求項3】 前記ジルコニア粒子のうち、平均粒径1
    μm以下のジルコニア粒子が、Al2 3 粒子内に存在
    することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のジル
    コニア系複合セラミック焼結体。
  4. 【請求項4】 前記ジルコニア粒子のうち、平均粒径1
    μm以下のジルコニア粒子が、前記針状結晶粒子内に存
    在することを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか
    記載のジルコニア系複合セラミック焼結体。
  5. 【請求項5】 ジルコニアの正方晶の含有量が、ジルコ
    ニアの結晶相全量に対して、90容量%以上であること
    を特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか記載のジル
    コニア系複合セラミック焼結体。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5いずれかに記載の
    ジルコニア系複合セラミック焼結体を製造するジルコニ
    ア系複合セラミック焼結体の製法であって、CeO2
    8〜12モル%、MgO或いはCaOのどちらか一方を
    0.01〜0.1モル%含有するジルコニア粒子相を生
    成する第1成分と平均粒径2μm以下のAl2 3 粒子
    相を生成する第2成分とを混合して、ジルコニア系複合
    セラミック焼結体の0.5〜50容量%がAl2 3
    子からなるように混合物Aを作製し、この混合物Aを所
    望の形状に成形した予備成形体を、大気中で常圧焼結す
    ることにより焼結過程でCe、Al、O、及び、Mg或
    いはCaのどちらか一方を組成元素とする複合酸化物の
    針状結晶を生成させることを特徴とするジルコニア系複
    合セラミック焼結体の製法。
  7. 【請求項7】 前記第1成分が、CeO2 を8〜12モ
    ル%、MgO或いはCaOのどちらか一方を0.01〜
    0.1モル%含有し、さらにTiO2 を0.05〜4モ
    ル%含有するジルコニア粒子相を生成するものであるこ
    とを特徴とする請求項6記載のジルコニア系複合セラミ
    ック焼結体の製法。
  8. 【請求項8】 ジルコニア粒子相全量に対する比率が8
    〜12モル%となるようにCeO2 を含有するジルコニ
    ア粉末に、MgCO3 、CaCO3 、MgO、CaO、
    Mg(OH)2 、Ca(OH)2 のいずれか1つの粉末
    をジルコニア粒子相全量に対する比率が0.01〜0.
    1モル%となるように混合した後に、仮焼、粉砕して得
    た混合物を、前記混合物A中の第1成分として用いるこ
    とを特徴とする請求項6記載のジルコニア系複合セラミ
    ック焼結体の製法。
  9. 【請求項9】 Ce塩を8〜12モル%、Mg塩或いは
    Ca塩のどちらか一方を0.01〜0.1モル%、残り
    をジルコニウム塩とした比率で溶解し含有する混合溶液
    Bを調製し、この混合溶液Bを塩基性にして混合沈殿物
    を生成させた後に、この混合沈殿物を乾燥、仮焼、粉砕
    して得た混合物を、前記混合物A中の第1成分として用
    いることを特徴とする請求項6記載のジルコニア系複合
    セラミック焼結体の製法。
  10. 【請求項10】 ジルコニア粒子相全量に対する比率が
    8〜12モル%となるようにCeO2 を含有し、且つジ
    ルコニア粒子相全量に対する比率が0.05〜4モル%
    となるようにTiO2 を含有するジルコニア粉末に、M
    gCO3 、CaCO3 、MgO、CaO、Mg(OH)
    2 、Ca(OH)2 のいずれか1つの粉末をジルコニア
    粒子相全量に対して0.01〜0.1モル%混合した後
    に、仮焼、粉砕して得た混合物を、前記混合物A中の第
    1成分として用いることを特徴とする請求項7記載のジ
    ルコニア系複合セラミック焼結体の製法。
  11. 【請求項11】 Ce塩を8〜12モル%、Ti塩を
    0.05〜4モル%、Mg塩或いはCa塩のどちらか一
    方を0.01〜0.1モル%、残りをジルコニウム塩と
    した比率で溶解し含有する混合溶液Cを調製し、この混
    合溶液Cを塩基性にして混合沈殿物を生成させた後に、
    この混合沈殿物を乾燥、仮焼、粉砕して得たジルコニア
    粉末を、前記混合物A中のジルコニアを生成する第1成
    分として用いることを特徴とする請求項7記載のジルコ
    ニア系複合セラミック焼結体の製法。
  12. 【請求項12】 Ce塩を8〜12モル%、Mg塩或い
    はCa塩のどちらか一方を0.01〜0.1モル%、T
    iのアルコキシドを0.05〜4モル%、残りをジルコ
    ニウム塩とした比率で溶解し含有する混合溶液Dを調製
    し、この混合溶液Dを塩基性にして混合沈殿物を生成さ
    せた後に、この混合沈殿物を乾燥、仮焼、粉砕して得た
    ジルコニア粉末を、前記混合物A中のジルコニアを生成
    する第1成分として用いることを特徴とする請求項7記
    載のジルコニア系複合セラミック焼結体の製法。
  13. 【請求項13】 アルミニウム塩の水溶液に前記第1成
    分を添加して混合溶液Eを得、この混合溶液Eを塩基性
    にして水酸化アルミニウムを析出させて混合沈殿物Fを
    生成させた後に、この混合沈殿物Fを乾燥、仮焼、粉砕
    して得た混合粉末を、前記混合物Aとして用いることを
    特徴とする請求項6乃至請求項12いずれか記載のジル
    コニア系複合セラミック焼結体の製法。
  14. 【請求項14】 アルミニウムのアルコキシドの有機溶
    液に前記第1成分を添加して混合溶液Gを得、この混合
    溶液G中のアルミニウムのアルコキシドを加水分解して
    混合沈殿物Hを得た後に、この混合沈殿物Hを乾燥、仮
    焼、粉砕して得た混合粉末を、前記混合物Aとして用い
    ることを特徴とする請求項求項6乃至請求項12いずれ
    か記載のジルコニア系複合セラミック焼結体の製法。
  15. 【請求項15】 平均粒径0.5μm以下のα−Al2
    3 粒末を、前記混合物A中のAl2 3 を生成する第
    2成分として用いることを特徴とする請求項6乃至請求
    項12いずれかに記載のジルコニア系複合セラミック焼
    結体の製法。
  16. 【請求項16】 比表面積100m2 /g以上のγ−A
    2 3 粒末を、前記混合物A中のAl2 3 を生成す
    る第2成分として用いることを特徴とする請求項6乃至
    請求項12いずれかに記載のジルコニア系複合セラミッ
    ク焼結体の製法。
  17. 【請求項17】 第1、第2成分とを含む混合物Jを、
    1000℃以上で、かつ、焼結温度以下の温度で仮焼し
    た後に、粉砕して得られた混合粉末を前記混合物Aとし
    て用いることを特徴とする請求項16記載のジルコニア
    系複合セラミック焼結体の製法。
  18. 【請求項18】 前記混合物Aの予備成形体を大気中で
    常圧焼結して相対密度95%以上にした後に、酸素雰囲
    気下で熱間静水圧加圧焼結(HIP)することにより焼
    結過程で針状結晶を生成させることを特徴とする請求項
    6乃至請求項17いずれかに記載のジルコニア系複合セ
    ラミック焼結体の製法。
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