JPH0788153B2 - ルーフモールの取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、自動車ルーフ上面に画成される取付凹溝に、
ルーフモールを連続して取り付ける取付構造に関するも
のである。

「従来の技術」 従来において、自動車ルーフサンドにドリップモールを
取り付ける場合には、実開昭60−第32150号公報に示す
如く、ルーフサイドパネルに複数のＴ型スタッドを一定
の間隔をおいて溶接し、該各スタッドに合成樹脂製のク
リップを固定して、該各クリップを介してドリップモー
ルを取り付ける構造が既に提供されているので、この取
付構造を利用して、ルーフモールをもルーフ上面の取付
凹溝に取り付けることが十分に考えられる。

即ち、具体的には図示しないが、自動車ルーフ上面の幅
方向両側において、ルーフパネルとサイドパネルの重合
溶接部に画成される取付凹溝の底壁面に、複数のＴ型ス
タッドを一定の間隔をおいて立設し、該化Ｔ型スタッド
にクリップを夫々固定して、該クリップの両側部に形成
されている係止部に、ルーフモールの背面側に設けられ
た係合部を係止するように構成すれば理論的には、ルー
フモールを取付凹溝に対して簡単に取り付けることが可
能となる。

「発明が解決しようとする課題」 然し乍ら、実際の問題として、ルーフモールの取付構造
に、Ｔ型スタッドを用いることは、該Ｔ型スタッドを取
付凹溝の底壁面に一定の間隔をおいて、順次溶接する作
業が要求されることとなるので、斯る煩雑な溶接作業中
に、各スタッドの溶接位置にバラツキが生じることは否
定できない。

即ち、自動車のルーフサイドにＴ型スタッドを溶接する
場合も言うまでもないが、特にルーフモールの取付構造
に利用する場合には、Ｔ型スタッドをルーフ上面から一
段窪んでいる取付凹溝内に溶接しなければならないの
で、溶接位置のバラツキが甚だ生じ易いからである。

従って、取付凹溝内におけるスタッドの溶接位置にバラ
ツキが生じると、クリップもこのバラツキに応じてスタ
ッドに固定される結果、最終的には、スタッドのバラツ
キがルーフモール自体にまで悪影響を及ぼして、ルーフ
モールが変形などして取付応溝に取り付けられることと
なるので、取付状態が不良となって、外観上の見映えを
著しく害してしまう恐れが十分に考えられる。

「課題を解決するための手段」 而して、本発明は、斯る課題を有効に解決するために開
発されたもので、自動車ルーフ上面の取付凹溝内に、複
数のＴ型スタッドを一定の間隔をおいて立設し、該各ス
タッドに取り付けられるクリップを介して、ルーフモー
ルを上記取付凹溝に取り付ける構造を前提として、上記
Ｔ型スタッドに取り付けられる取付クリップと、ルーフ
モールを保持する保持クリップとを備え、取付クリップ
は、基板の中央部にスタッドの頭部を移動可能に係止す
る係止長孔を形成すると共に、基板の両側部に保持クリ
ップに対する止着手段を形成し、他方保持クリップは、
基板の中央部に上記取付クリップを嵌入する嵌入孔を形
成すると共に、該嵌入孔の画成側壁の対向する内面に、
嵌入孔側に突出する弾性腕を夫々形成し、且つ基板の両
側部にルーフモールの係合部を係止する係止部を形成す
る構成を採用した。

「作用」 依って、本発明にあっては、例え溶接作業工程中におい
て、Ｔ型スタッドの溶接位置にバラツキが生じていて
も、保持クリップの嵌入孔内に止着手段を介して取付ク
リップを嵌入して、該取付クリップの係止長孔内にＴ型
スタッドの頭部を係止すると、上記バラツキが取付凹溝
の巾方向に生じている場合には、取付クリップの係止長
孔を利用して、取付クリップが保持クリップを伴って同
方向に移動して、この巾方向のバラツキを効率良く吸収
し、又上記バラツキが取付凹溝の長手方向に生じている
場合には、嵌入孔内に突出する弾性腕の弾性変形を得
て、保持クリップが取付クリップに対して同方向に移動
して、この長手方向のバラツキをも効率良く吸収するこ
とが可能となる。

従って、ルーフモールは、従来の如き形状変形などを引
き起こすことなく、自動車ルーフ上面の取付凹溝に対し
て、常に理想的な状態をもって取り付けられることとな
る。

「実施例」 以下、本発明を図示する一実施例に基づいて上述すれ
ば、該実施例に係る取付構造も、第１図に示す如く、自
動車ルーフ上面の幅方向両側において、ルーフパネル１
とサイドパネル２の重合溶接部に取付凹溝３を画成し
て、該取付凹溝３の底壁面に複数のＴ型スタッド４を一
定の間隔をおいて溶接し、該各Ｔ型スタッド４に取り付
けられるクリップを介して、ルーフモールを取付凹溝３
に連続して取り付けるものではあるが、特徴とするとこ
ろは、合成樹脂で別体成形された下記の取付クリップ10
と保持クリップ20の二種類を有機的に用いて、ルーフモ
ールを取り付ける点にある。

即ち、前者の取付クリップ10は、Ｔ型スタッドに直接取
り付けられるもので、その矩形形状基板11の中央部に、
Ｔ型スタッド４を頭部4aを移動可能に係止する係止長孔
12を形成すると共に、基板11の両側部に、後述する保持
クリップ20の嵌入孔縁に係止する止着手段たる係止爪片
13・13を一体に垂設して、該各係止爪片13を介して保持
クリップ20の嵌入孔内に移動可能に嵌入される構成とな
っている。

又、上記の係止長孔12は、特に第２図Ｂ・Ｃに示す如
く、その画成側壁内面の周囲中程に、スタッド４の頭部
4a下面を係止する段部14を連続して形成すると共に、該
段部14から下部開口側にかけて、漸次拡径するテーパー
面部15を形成し、該テーパー面部15の案内作用を利用し
て、スタッド４の頭部4aで係止長孔12を強制的に押し拡
げて、該スタッド４の頭部4aを上部段部14に移動可能に
係止できる構成となっている。

後者の保持クリップ20は、ルーフモールを保持するもの
で、その矩形状基体21の中央部に、上記取付クリップ10
を嵌入する矩形状の嵌入孔22を形成し、該嵌入孔22の上
部開口側の対向する縁部に、上記取付クリップ10の基板
11端縁を夫々載置するガイド部23・23を形成すると共
に、該ガイド部23が存する嵌入孔22の画成側壁の対向す
る内面に、嵌入孔22内に突出する一対の弾性腕24・24を
対角線上に形成して、該各弾性腕24の先端部を上記係止
長孔12の画成側壁の外面に当接させる構成となってい
る。

又、保持クリップ20は、自身の矩形状基板21の両側部
に、ルーフモールの背面側に設けられた湾曲係合部を係
止する係止部25・25を形成すると共に、該各係止部25が
存する嵌入孔22の下部開口縁に、上記取付クリップ10の
係止爪片13を移動可能に係止する構成となっている。

依って、上記構成の取付クリップ10と保持クリップ20を
用いて、ルーフモールを取付凹溝３に連続して取り付け
る場合には、まず第２図に示す如く、保持クリップ20の
ガイド部23に対する、取付クリップ10の基板11端縁の載
置状態を得て、上記各係止爪片13を嵌入孔22の下部開口
縁に係止し、保持クリップ20の嵌入孔22内に取付クリッ
プ10を嵌入して、両クリップ10・20を一体化する。尚、
斯る一体化状態にあっては、図示する如く、取付クリッ
プ10の係止長孔12の長手方向線上に、保持クリップ20の
係止部25が位置し、係止長孔12の長手方向に直交する線
上に、保持クリップ20の弾性腕24が夫々位置することと
なる。

そこで、今度は、取付凹溝３内の各Ｔ型スタッド４に対
して、既述した係止長孔12のテーパー面部15を利用し
て、該係止長孔12の段部14にスタッド４の頭部4aを係止
した後、第３図に示す如く、保持クリップ20の各係止部
25にルーフモール５の湾曲係合部5aを夫々係止すれば、
ルーフモール５が取付凹溝３に対して連続して取り付け
られることとなる。

そして、斯るルーフモール５の取り付けに際して、各Ｔ
型スタッド４の溶接位置にバラツキが生じているとし
て、該バラツキが例えば取付凹溝３の巾方向に生じてい
る場合には、第４図に示す如くクリップ10の係止長孔12
を利用して、取付クリップ10が保持クリップ20を伴って
図中矢印Ｘ方向に自動的に移動して、この巾方向のバラ
ツキを効率良く吸収するので、該巾方向のバラツキによ
り、ルーフモール５が従来の如き形状変形を引き起こす
心配が全くなくなる。

又、上記バラツキが取付凹溝３の長手方向に生じている
場合には、嵌入孔22内に突出する一対の弾性腕24・24の
弾性変形を得て、今度は保持クリップ20が取付クリップ
10に対して図中Ｙ方向に自動的に移動して、この長手方
向のバラツキをも効率良く吸収するので、同様にルーフ
モール５が形状変形を引き起こすことがなくなる。

従って、本実施例にあっては、例えＴ型スタッド４間に
如何なるバラツキが生じていても、該各バラツキを効率
良く吸収できるので、ルーフモール５を常に理想的な状
態をもって、取付凹溝３に対して取り付けることが可能
となる。

尚、上記実施例にあっては、スタッド４の取付凹溝３の
巾方向のバライキに対しては、取付クリップ10側の係止
長孔12を利用し、取付凹溝３の長手方向のバラツキに対
しては、保持クリップ20側の弾性腕24を利用したもので
あるが、構造を全く逆にして、巾方向のバライキに対し
ては弾性腕24を利用し、長手方向のバラツキに対しては
係止長孔12を利用することも、実施に応じ任意である。

「発明の効果」 以上の如く、本発明は、上記した構成の取付クリップと
保持クリップとを有機的に使用することを特徴とするも
のであるから、例え溶接作業工程中において、Ｔ型スタ
ッドの溶接位置にバラツキが生じていても、取付クリッ
プの係止長孔を利用して、取付クリップが保持クリップ
を伴って自動的に移動できると共に、嵌入孔内に突出す
る弾性腕の弾性片影を得て、保持クリップが取付クリッ
プに対して自動的に移動できるので、これにより、ルー
フモールはＴ型スタッドの溶接位置のバラツキに全く影
響されずに、取付凹溝に対して常に理想的な状態をもっ
て取り付けられることが可能となった。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例に係る取付構造を示す要部分解
斜視図、第２図Ａは取付クリップと保持クリップとの一
体化状態を示す斜視図、同図Ｂは第２図ＡのＡ−Ａ線段
面図、同図Ｃは第２図ＡのＢ−Ｂ線断面図、第３図はル
ーフモールを取り付けた状態を示す要部断面図、第４図
はＴ型スタッドの溶接位置のバラツキを吸収する状態を
示す説明図である。 ３……取付凹溝、４……Ｔ型スタッド、4a……頭部、５
……ルーフモール、5a……係合部、10……取付クリッ
プ、11……同基体、12……係止長孔、13……係止爪片
（止着手段）、20……保持クリップ、21……同基体、22
……嵌入孔、24……弾性腕、25……係止部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】自動車ルーフ上面の取付凹溝内に、複数の
   Ｔ型スタッドを一定の間隔をおいて立設し、該各スタッ
   ドに取り付けられるクリップを介して、ルーフモールを
   上記取付凹溝に取り付ける構造において、上記Ｔ型スタ
   ッドに取り付けられる取付クリップと、ルーフモールを
   保持する保持クリップとを備え、取付クリップは、基板
   の中央部にスタッドの頭部を移動可能に係止する係止長
   孔を形成すると共に、基板の両側部に保持クリップに対
   する止着手段を形成し、他方保持クリップは、基板の中
   央部に上記取付クリップを嵌入する嵌入孔を形成すると
   共に、該嵌入孔の画成側壁の対向する内面に、嵌入孔側
   に突出する弾性腕を夫々形成し、且つ基板の両側部にル
   ーフモールの係合部を係止する係止部を形成したことを
   特徴とするルーフモール取付構造。