JPH0787658B2 - 巻付け型光複合架空地線の構成方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、架空地線に光伝送線を巻き付けることにより
光複合架空地線を構成する方法に関するものである。

〔従来技術とその問題点〕

従来公知の光複合架空地線としては、架空地線の中心に
光伝送線を内蔵するタイプと、架空地線の外周に光伝送
線を巻き付けるタイプ（特開昭61-231506号公報など）
とがある。内蔵型の光複合架空地線は、光伝送線が電線
内部にあるため損傷を受けにくいという利点があるが、
いったん光伝送線が損傷すると、その改修が困難であ
る。これに対し巻付け型の光複合架空地線は、光伝送線
が外部にあるため損傷を受ける可能性が大きいという難
点があるが、損傷した場合の改修が容易であるという利
点があり、最近広く採用されるようになってきている。

ところで巻付け型の光複合架空地線の場合は、光伝送線
が外に出ているため、温度変化、雨、雪、風などの影響
で光伝送線の巻付けピッチがずれ、局部的に光伝送線が
片寄ったり、垂れ下がったりすることがある。これは、
いずれ光伝送線の損傷につながるので、防止する必要が
ある。また巻付け型の光複合架空地線は、光伝送線が架
空地線の周面から突出した状態となるため、風圧荷重が
大きくなり、支持物の強度が問題となる。

〔問題点の解決手段とその作用〕

本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決する巻
付け型光複合架空地線の構成方法を提供するものであ
る。光伝送線を架空地線の周面から突出させないように
するには、架空地線の最外層に光伝送線を最外層素線と
共に撚り込んだ光複合架空地線を製造し、それを架設す
ることが考えられるが、予め最外層に光伝送線を撚り込
んでおくと、架設時の張力やしごき等により光伝送線が
損傷を受けやすいという難点がある。

そこで本発明は、最外層素線の一部を欠落させた撚線よ
りなる架空地線を架設状態とし、その架空地線の最外層
素線欠落部に沿って光伝送線を巻き付けることを特徴と
するものである。

架空地線は一般に撚線より構成されるので、その撚線の
最外層素線の一部を欠落させると、らせん状の溝ができ
る。光伝送線をその溝に落とし込むようにして巻き付け
れば、光伝送線の巻付けピッチがずれることはなくな
り、また架空地線外周面から光伝送線が突出することも
なくなるか、または光伝送線の突出高さが低くなる。

最外層素線の一部を欠落させた架空地線の架設状態を得
るには、種々の方法がある。一つの方法は、最外層素線
の一部が欠落した架空地線を製造し、それを架設するこ
とである。しかしこの方法によると、架設時に最外層素
線が周方向に移動して欠落部の幅が狭まるおそれがあ
る。これを防止するには欠落部とすべき部分にダミー素
線を埋めた架空地線を製造し、架設後にそのダミー素線
を取り除くようにするとよい。この場合のダミー素線
は、最外層素線と同じものを使用してもよいし、異なる
もの例えばプラスチック製の素線などを使用してもよ
い。また他の方法は、既設の架空地線に適用する場合
で、架空地線の最外層素線の一部例えば１本だけを取り
除くことである。この方法をとるには、架空地線の強
度、電流容量に余裕のあることが条件となる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明す
る。

第１図（ａ）（ｂ）は最外層素線の一部を欠落させた撚
線よりなる架空地線を示す。この架空地線１は中心素線
２の上にセグメント型の中層素線３を撚り合わせ、その
上に断面円形の最外層素線４を撚り合わせ、最外層素線
４のうちの１本を欠落させたものである。欠落部５は
（ｂ）に示すようにらせん状の溝となる。各素線２、
３、４としては通常、アルミ被覆鋼線が用いられる。こ
のような架空地線１を架設したのち、第２図（ａ）
（ｂ）に示すように上記欠落部５に沿って光伝送線６を
巻き付けることにより、巻付け型光伝送線を構成するも
のである。光伝送線６は図示のように最外層素線４と同
径であることが好ましいが、それより若干細くても差し
支えない。

また最外層素線を隣合わせで２本分欠落させれば、最外
層素線より太い光伝送線を巻き付けることも可能であ
る。この場合は、光伝送線が架空地線の外周面より少し
突出することになるが、突出高さは従来より格段に低く
なる。

第３図は断面六角形の中心素線２上にセグメント型の最
外層素線４を本来６本撚り合わせるべきところを５本撚
り合わせ、欠落部５を形成したものである。中心素線２
は最外層素線４の撚りピッチに合わせて捻じられてい
る。このように中心素線２の断面形状を多角形にすると
最外層素線４の移動を防止でき、欠落部５の幅を確実に
保持することができる。

第４図は中心素線２上に中層素線３を撚り合わせ、その
上にセグメント型の最外層素線４を撚り合わせ、最外層
素線４のうち対称位置にある２本を欠落させて、２条の
欠落部５を形成したものである。光伝送線を２本巻き付
ける場合は、このように最外層素線を２本欠落させれば
よい。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明によれば、架空地線の最外層
に素線の欠落部を設け、その欠落部に沿って光伝送線を
巻き付けるようにしたので、温度変化、雨、雪、風など
によって巻き付けられた光伝送線のピッチがずれること
は全くなくなり、光伝送線が常に適正な状態に保たれる
から、光伝送線の損傷を防止できる。また光伝送線は最
外層素線の欠落部に落ち込んだ状態となるので、架空地
線の周面から突出しなくなるか、突出したとしても突出
高さが従来より格段に低くなり、風圧荷重を大幅に低減
できる。したがって支持物の強度を従来のように大きく
する必要がない。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ）（ｂ）は本発明に用いられる架空地線の一
例を示す断面図および平面図、第２図（ａ）（ｂ）はそ
の架空地線に光伝送線を巻き付けて構成された光複合架
空地線を示す断面図および平面図、第３図および第４図
はそれぞれ本発明に用いられる架空地線の他の例を示す
断面図である。 １〜架空地線、４〜最外層素線、５〜欠落部、６〜光伝
送線。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】最外層素線の一部を欠落させた撚線よりな
   る架空地線を架設状態とし、その架空地線の最外層素線
   欠落部に沿って光伝送線を巻き付けることを特徴とする
   巻付け型光複合架空地線の構成方法。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第１項記載の方法であっ
   て、光伝送線の外径を架空地線の最外層素線と同径また
   はそれ以下としたもの。