JPH0780776B2 - 抗皮膚真菌症剤 - Google Patents

抗皮膚真菌症剤

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JPH0780776B2
JPH0780776B2 JP1197925A JP19792589A JPH0780776B2 JP H0780776 B2 JPH0780776 B2 JP H0780776B2 JP 1197925 A JP1197925 A JP 1197925A JP 19792589 A JP19792589 A JP 19792589A JP H0780776 B2 JPH0780776 B2 JP H0780776B2
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dermatomycosis
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泰 内田
勉 横山
順一 田村
要 長谷川
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ヒゲタ醤油株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はカンジダ属、トリコフィトン属またはその他の
皮膚糸状菌などの真菌に起因する皮膚真菌症に効果を有
する抗皮膚感染症剤に関するものである。
(従来の技術) 徽、酵母などの真菌による感染症は皮膚、膣などの局所
感染のほか、全身感染も増加の傾向がある。
特に、免疫抑制剤、制ガン剤等の使用により免疫能が低
下した場合に深部真菌症などの全身性感染が多い。
また、皮膚感染症の中でも汗疱白鮮のように皮膚表層に
とどまっており、深部に侵入することはないが、しばし
ば慢性化し、一担治ゆしても再発することが多いものも
ある。
真菌類は細菌の様な原核生物と異なり、高等動物と同様
の真核生物であり、真菌類にだけ選択的な毒性を有する
物質を得ることはむずかしく、有効な抗皮膚真菌症剤の
開発が遅れている。
現在、抗皮膚真菌症剤として、アンテホリシンB、ナイ
スタチン等のポリエン系抗生物質、クロトリマゾール、
ミコナゾール、ケトコナゾールなどのアゾール系抗真菌
剤その他グリセオフルビン、フルシトシンなどがあるが
有効性、毒性など問題点が多い。
従って、有効性の高い、より安全性の高い抗皮膚真菌症
剤の開発が望まれている訳である。
ポリガラクトサミン(α−1,4ガラクトサミノガラクタ
ン)は微生物の生産する多糖類であり、その安全性等に
ついては、マウスに対する急性経口毒性、急性腹腔内毒
性等の確認の結果全く異常のないことが確認されてい
る。従って、抗皮膚真菌症剤としての適用においても従
来の薬剤等と比べ有効で、安全性の高い薬剤として非常
に有用性の高いものである。
しかしながら、ポリガラクトサミンは自然界では非常に
珍しい物質であり、不完全菌由来のPF−101及びPF−102
が知られている程度である(特公昭56−12639号、特開
昭62−294093号)。
また、一般に多糖類は低分子化することにより物理化学
的性質が変わり、高分子の状態より取扱いが容易になっ
たり、生理活性が顕著になったりする等のことが知られ
ている。本ポリガラクトサミンに於いても、低分子化す
る方法として酸やアルカリで処理する方法だけでなく酵
素分解による方法、即ちシュードモナス属菌の生産する
ポリガラクトサミン分解酵素についても既に明らかにさ
れている(特開昭63−164884号、特開昭63−164885
号)。
(問題点を解決するための手段) 本発明の目的は、より安全性の高い抗皮膚真菌症剤を提
供することにある。
本発明はα−1,4結合のガラクトサミンを有効成分とす
る抗皮膚真菌症剤に関するものである。本発明に於ける
抗皮膚真菌症剤の有効成分であるα−1,4結合のガラク
トサミンは、不完全菌ペエシロマイセスI−1(微工研
寄第1180 FERM BP−1180)を培養することにより、PF−
101及びPF−102として得ること出来る。また、PF−10
1、PF−102をシュードモナスsp H881(微工研菌寄第895
5)の生産するポリガラクトサミン分解酵素で加水分解
することにより、または、酸加水分解することにより得
た分解物を限外濾過膜で分画することにより各々、文画
分子量5万以上、1万以上〜5万未満、1万未満のα−
1,4結合のポリガラクトサミンとして得ることが出来
る。
本発明の抗皮膚真菌症剤としては、PF−101、PF−102、
これらの分解物及び分画物などα−1,4結合のガラクト
サミンはすべて、単独もしくは混合して使用できるもの
である。
次に、α−1,4ポリガラクトサミン、PF−101及びPF−10
2の生産菌について説明する。
和歌山県の腐植層より分離した不完全菌I−1菌はペエ
シロマイセス属(Paecilomyces)に属するものと認めら
れ、ペエシロマイセスI−1と命名され、該菌株は微工
研にFERM BP−1180として寄託されている。
次にペエシロマイセスI−1(Paecilomyces I−1)の
菌学的性質を示す。
〔a〕顕微鏡下での観察 本菌は分生胞子柄(conidiophore)を欠き、分生胞子は
栄養菌糸または栄養菌糸束から直接生えている一本一本
独立したフイアライド(phialide)の先端に長い連鎖を
なして派生している。フイアライドは半透明で20〜45μ
の長さを持ち、基部はやや太く(1.0〜1.5μ)先端はや
や先細り(0.5〜1.0μ)で、直線的あるいは先端部がや
や湾曲したものもある。分生胞子は電子顕微鏡により葉
巻タバコ型(あるいは桿菌型)であり、そのサイズは4
〜6×1.0〜1.4μである。
分生胞子は普通25〜35個の連鎖をなしているが、まれに
はもっと長鎖のものも観察される。この分生胞子の連鎖
は非常にもろく、一寸したショックで簡単にくずれる。
〔b〕各培地における生育状態(25℃平面培養) (1)ツアペック寒天培地 コロニーの生育は良く14日目で直径約45mmに達する。白
色のビロード状から羊毛状の菌叢で、中央部に房状に盛
上りがあり、コロニー周辺は円形である。水滴・シワ共
なし。コロニー裏面は培養初期白色、培養後期中央部が
淡黄色を呈する。寒天への色素産生は認められない。
(2)麦芽寒天培地 コロニーの生育は良く、14日目で直径約54mm、コロニー
周辺は円形にならず梅鉢状を呈する。
菌叢の中央部は白色だが、周辺部は淡黄色を呈する。菌
叢の厚さは中程度で、中央部はやや凹状である。水滴・
シワ共に認められず、コロニー裏面は全面淡黄色を呈
す。寒天培地に淡黄色色素の産生あり。
(3)ポテトデキストロース寒天培地 コロニーの生育は非常に良く14日目に直径約60mmに達す
る。白色のビロード状乃至羊毛状の可成り厚い菌叢を形
成し、中央部はやや盛上り、亜中央部は淡い黄色を呈す
るやや薄い菌叢、その周辺部は白色の比較的厚い菌叢と
なる。表面にシワはないが数個のうすい褐色の水滴が認
められる。コロニー裏面に放射状の数本のシワがあり、
同心円状の黄色の濃淡が認められる。寒天への淡黄色色
素の拡散がある。
(4)YeSs寒天培地(組成スターチ1.5%、イーストエ
キス0.4%、K2HPO4 0.1%、MgSO4 0.05%、寒天2%) コロニーの生育は良好で14日目に直径約50mmに達する。
白色の全体にふっくらとした羊毛状の厚い菌叢である。
水滴・シワなし。コロニー裏面は特記すべき特徴なし。
色素産生なし。
(5)MY20寒天培地(組成グルコース20%、ポリペプト
ン0.5%、イーストエキス0.3%、モルトエキス0.3%、
寒天2%) コロニーの生育はあまり良くなく14日目で直径約30mmで
ある。気菌糸はあまりたたず細かいシワが多く、周辺部
は淡黄色、中央部は淡褐色を呈する。コロニーの裏面は
淡黄色で、細かいシワがある。色素産生なし。
ペエシロマイセスI−1は通常の糸状菌の液体培養方法
で培養することができる。
ペエシロマイセスI−1の胞子または菌糸を液体培地に
接種し、好気的に培養する。炭素源としてはブドウ糖、
麦芽糖、蔗糖、澱粉、廃糖蜜等を使用することが出来る
が好ましくはブドウ糖を用いるのが良い、窒素源として
は硫酸アンモニウム、硝酸ソーダなどの無機窒素、ペプ
トン、酵母エキスなどの有機窒素が使用出来る。
培養温度は本凝集活性物質生産菌が凝集活性物質を生産
する範囲内で適宜変更し得るが通常は20〜25℃で培養す
ることが好ましい。培養時間は培養条件によって異なる
が、通常4〜5日程度であり、凝集活性物質が最高に達
する時間を見積って適当な時間に終了すればよい。ここ
で培養瀘液を減圧濃縮、限外濾過等の方法で濃縮して濃
縮液としてエタノール等の有機溶媒を加えて沈澱すれ
ば、特公昭56−12639号公報に記載のPF−101が得られる
のである。
また、PF−101生産菌であるペエシロマイセスI−1を
培養し、濾過し、得られた培養濾液または瀘液濃縮液に
各種塩を添加し、沈澱が生じない場合は必要によっては
アルカリを添加してpHを7〜9として、析出させ、析出
物を分離し、水洗し、これを希酸水溶液に溶解し、再び
塩を添加するか、アルカリ等の添加によってpHを7〜9
として、析出させて、特開昭62−294093号公報に記載の
PF−102を得ることができる。
PF−101の理化学的性質は次の通りである。
(1)凝集活性;きわめて微量で懸濁微細物を凝集す
る。
(2)凝集活性pH範囲;2〜9で安全に凝集活性を示す。
(3)凝集活性温度範囲;0〜100℃で凝集活性が認めら
れる。
(4)凝集活性イオン強度;炭酸イオンおよびFe2(SO4)
3により凝集活性が阻害されるがそれ以外の各種イオン
及びイオン強度によって凝集活性に影響はなく、NaCl、
K2SO4で1Mまで全く影響を与えない。
(5)元素分析;窒素5.44%、炭素37.45%、水素6.3
%、リン0.27%。
(6)紫外部吸収スペクトル;第1図に示すとおり。
(7)赤外部吸収スペクトル;第2図に示すとおり。
(8)呈色反応; ニンヒドリン反応 − キサントプロテイン反応 − エーリッヒ反応 − モーリッシュ反応 + フェノール硫酸反応 + レローゼンテスト − (9)酸による加水分解;6N塩酸、110°、20時間分解に
よりガラクトサミンとアンモニアが得られ、4N塩酸、10
0℃、16時間分解により標品の74%のガラクトサミンと
少量のアンモニアが得られる。
(10)電気泳動;密度勾配等電点電気泳動により単一物
質として確認され、等電点(pI)は8.5である。
(11)物質の色;淡黄白色 (12)塩基性、酸性、中性の区別;等電点8.5でやや塩
基性を呈す。(0.1%水溶液のpHは6.2、脱イオン水のpH
は5.8) (13)溶剤に対する溶解性; ・熱水に可溶、溶解後冷却しても析出しない。
・冷水に難溶。
・希酸、希アルカリに難溶。
・アルコール類、アセトン、クロロホルム、ベンゼン、
酢酸エチル、n−ペンタンに不溶。
PF−102の理化学的性質は次の通りである。
(1)凝集活性;きわめて微量で懸濁微細物を凝集す
る。
(2)凝集活性pH範囲;pH2〜9で安全に凝集活性を示
す。
(3)凝集活性温度範囲;0〜100℃で凝集活性が認めら
れる。
(4)凝集活性イオン強度;炭酸および Fe2(SO4)3により凝集活性が阻害されるがそれ以外の各
種イオン及びイオン強度によって凝集活性に影響はな
く、NaCl、K2SO4でIMまで全く影響を与えない。
(5)元素分析;窒素8.64%、炭素42.80%、水素6.87
% 一般式:(C6H11NO4・xH2O)n (6)紫外部吸収スペクトル;第3図に示すとおり。
(7)赤外部吸収スペクトル;第4図に示すとおり。
(8)呈色反応; ニンヒドリン反応 + キサントプロテイン反応 − エーリッヒ反応 − モーリッシュ反応 − フェノール硫酸法 ± レローゼンテスト − (9)電気泳動;密度勾配等電点電気泳動により単一物
質として確認され、等電点(pI)は8.5である。
(10)物質の色;淡黄色 (11)塩基性、酸性、中性の区別 0.5%w/vで水に懸濁した場合のpHは7.5(脱イオン水のp
H5.8)である。
(12)溶剤に対する溶解性 ・熱水に難溶。
・冷水に難溶。
・希酸に易溶。
・希アルカリに難溶。
・アルコール類、アセトン、クロロホルム、ベンゼン、
n−ペンタンに不溶。
(13)平均分子量16万以上 上記PF−101及びPF−102はいずれもα−1,4ポリガラク
トサミンであると同定され、そして本発明においてはい
ずれも抗真菌性が認められ、更にそれらの分解物及び分
解物の分画物にも抗真菌性が認められ、本発明が完成さ
れたのである。
α−1,4ポリガラクトサミンの分解、即ち低分子化に際
しては、塩酸、硫酸等の酸による加水分解又はポリガラ
クトサミン分解酵素による加水分解が行なわれる。
次に、ポリガラクトサミン分解酵素の1例を説明する。
このポリガラクトサミン分解酵素はシュードモナス sp
H881 FERM P−8955によって生産されるものである。
(1)作用及び基質特異性 本酵素は重合度n=4(テトラ−ガラクトサミン)以上
のオリゴ及びポリガラクトサミン(α−1,4ポリガラク
トサミン)に作用してオリゴガラクトサミンを生成す
る。
その他の多糖類、澱粉(α−1,4グルカン)、グリコー
ゲン(α−1,4グルカン)、プルラン(α−1,4グルカ
ン)、デキストラン(α−1,6グルカン)、ラミナラン
(β−1,3グルカン)、カルボキシルセルロース(β−
1,4グルカン)、キトサン(β−1,4グルコサミノグルカ
ン)、エチレングリコールキチン(β−1,4Nアセチルグ
ルコサミノグルカン)、Pseudomonas solanacearumのポ
リN−アセチルガラクトサミノガラクタン(ポリβ1,3N
−アセチルガラクトサミノガラクタン)(Y.Akiyam.,e
t.al.,Agric.Biol.Chem.,50(3)747,1986)などには
全く作用しない。
また、重合度n=3(トリ−ガラクトサミン)以下のα
−1,4ガラクトサミノオリゴ糖にも作用しない。
(2)至適pH及び安定pH範囲 クエン酸リン酸緩衝液を用いた場合、至適pHは4.5〜7.0
である。また、安定pH範囲はpH4.5〜8.0である。この測
定は37℃で1時間放置した酵素の残存活性を相対値で示
した。
(3)酵素活性の測定法 酵素活性は基質にPaecilomyces I−1菌の生産するPF−
101又はPF−102(その主構成糖はα−1,4ガラクトサミ
ノガラクタン)を用いた。この0.5%/0.1モル酢酸緩衝
液pH6.0溶液0.5mlに酵素溶液0.5mlを加え、37℃、10分
間反応させ、生じる還元力をSomogyi−Nelson法で測定
した。なお酵素単位は1分間当りに1μモルのガラクト
サミンに相当する還元力を増加させる活性を1単位とし
た。
(4)作用適温及び温度安定性の範囲 この酵素の至適温度は55℃であり、それ以上で急激に低
下する。50℃、1時間で70%の活性が残存している。
α−1,4ポリガラクトサミンの溶液にポリガラクトサミ
ン分解酵素を添加して35〜40℃程度で酵素分解すること
によってα−1,4ポリガラクトサミンの分解物を得るこ
とができる。
α−1,4ポリガラクトサミンの分解物には抗真菌性が認
められるので、そのまま抗皮膚真菌症剤として使用する
ことができるが、α−1,4ポリガラクトサミンの分解物
を限外濾過膜等によって分画することによって各種の分
子量単位に分かれた分画物を得ることができる。
α−1,4ポリガラクトサミンの分解物は限外濾過膜によ
って、分子量5万以上、分子量1万以上5万未満、分子
量1万未満とそれぞれの分画物を得ることができるが、
いずれの分画物も抗真菌性を有しており、本発明の抗皮
膚真菌症剤となるものである。本発明は、α−1,4ポリ
ガラクトサミン、その分解物又は分解物の分画物を有効
成分とする抗皮膚真菌症剤である。
本発明においては、有効成分をそのまま添加剤として、
又は各種液剤、粉剤に製剤化して抗皮膚真菌症剤として
有効に使用されるものである。
次に本発明の製造例、実施例を示す。
製造例1 α−1,4ポリガラクトサミン(PF−102)の製造 グルコース600g、ポリペプトン60g、 CaCl22H2・O 125gを水道水17lに溶解し、濃NaOH溶液でpH
7.0に調整した後30l容ジャーファーメンターに移した。
この培地溶液に蒸気を注入することにより加圧、加熱滅
菌(121℃、20分間)を行った。冷却後の培地(最終液
量20l)に、500ml三角フラスコに150ml同組成の培地
(グルコース3%、ポリペプトン0.3%、CaCl2 0.5%、
pH7.0)で26℃、4日間振蘯培養したペエシロマイセス
I−1、FERM BP−1180(FERMP−3928)を容量比で約10
%無菌的に接種した。接種後27℃、通気量0.5VVM、撹拌
数200RPMの条件で5日間培養した。
培養終了後培養物を濾布濾過することにより培養濾液17
lを得た。この培養濾液を50℃〜60℃に加熱しながら分
画分子量16万の限外濾過膜(三菱レイヨン・エンジニア
リング社製UF膜チューブラーモジュールFタイプ)を通
過させることにより、低分子画分を除き液量が約3lにな
る迄濃縮した。更に、約14000×Gで遠心分離すること
により菌体残渣、熱変性蛋白質を除去した。
遠心分離後に上澄液画分3lに食塩約750g(約25%濃度)
を加え撹拌し、溶解後、濃NaOHでpHを7.0〜8.5に調整し
た。一夜放置し塩析物を十分析出させた後、サラン製の
布(塩化ビニリデンと塩化ビニールの共重合体)上に塩
析物を回収した。更にこの塩析物の上から大量の微アル
カリ性の水(pH7.0以上)を撤布することにより余分の
食塩及び培養液に同時に混在している中性糖、その他の
夾雑部を洗い流した。
次に、水洗後の塩析物に0.1M塩酸溶液を容量比で約3倍
量加え溶解した。この溶解物に濃NaOH溶液を加えポリガ
ラクトサミンの等電点であるpH8.5に合せた。一夜放置
した十分析出物を析出させた後、上記と同様サラン製の
布上に析出物を回収し、大量の水道水で洗った。この水
洗物をもう1度0.1M塩酸に溶解後、等電点沈澱を行い水
洗を繰返すことにより精製した。
この精製した析出物を121℃、15分間滅菌後、凍結乾燥
することにより、ポリガラクトサミンを主成分とするPF
−102の精製粉末(α−1,4ポリガラクトサミンとしての
純度約99%)を7g得た。
製造例2 α−1,4ポリガラクトサミンの分画方法 精製α−1,4ポリガラクトサミン(PF−102)100gを4規
定塩酸2lに分散させ、冷却管付き三角フラスコ中にて、
80℃、4時間塩酸加水分解した。
分解後、この塩酸加水分解液を10規定水酸化ナトリウム
で中和しpH7とした。この溶液を先ず分画分子量5万の
限外濾過膜で処理(グレースジャパン社製)し、更に分
画分子量1万の限外濾過膜で処理した。この様にして、
各々分子量5万以上、1〜5万、1万未満のα−1,4結
合のポリガラクトサミンを得た。
各々の画分を凍結乾燥することにより、粉末試料とし
た。
製造例3 ポリガラクトサミン分解酵素の製造 シュードモナスsp H881、FERM P−8955を500ml三角フラ
スコ中で、グルコース0.5%、酵母エキス0.05%、ポリ
ペプトン0。05%の組成を有する種培地100mlに植菌
し、30℃で20時間培養する。
得られた種培養液を30lのジャーファーメンター中で、
ポリガラクトサミン(PF−102)0.25%、グルコース0.2
5%、酵母エキス0.05%、ポリペプトン0.05%の酵素生
産培地18lに植菌し、30℃で48時間通気(18l/分)撹拌
(200rpm)培養する。
得られた培養液を遠心分離(14,000rpm)して、菌体を
除き、得られた培養濾液(酵素活性0.0035U/ml、総活性
63U/18l)に冷却したエタノールを60%濃度まで加え
て、タンパク質を沈殿させ、この沈殿タンパク質を遠心
して、溶液から分離する。得られたタンパク質を0.1モ
ル酢酸緩衝液(pH5.0)で平衡化したCM−セファデック
スC−25カラム(2.5×60cm)に吸着させ、0〜0.5モル
食塩の濃度勾配を有する同緩衝液を用いて溶出させる。
溶出した酵素活性区分を集め、限外濾過装置(分子量1
万保持)を使って濃縮する。次に、2モル食塩を含む0.
1モル酢酸緩衝液(pH6.0)溶液とし、同緩衝液で平衡化
したセファデックスG−50カラム(5×90cm)クロマト
グラフィーにかける。次いで、活性区分の食塩濃度を4
モルにまで高め、同様な溶液で平衡化したフェニル−セ
ファロースCL−4Bカラム(2.5×20cm)に吸着させ、食
塩の逆濃度勾配を持つ0.1モル酢酸緩衝液で溶出して精
製ポリガラクトサミン分解酵素50mg(収率23.1%、比活
性52μg galN/min/mg protein)を得た。
製造例4 α−1,4ポリガラクトサミンの分画方法 精製ポリガラクトサミン25gを4.8lの0.1モル酢酸に溶解
し、次に水酸化ナトリウムでpH6.0に調整し、全液量を5
lとした。このポリガラクトサミン溶液を基質とし、こ
れに製造例3で得た精製ポリガラクトサミン分解酵素10
mgを加え37℃で酵素分解した。この分解後の溶液を先
ず、分画分子量5万の限外濾過膜で処理(グレースジャ
パン社製)し、更に分画分子量1万の限外濾過膜で処理
した。この様にして、各々分子量5万以上、1〜5万、
1万未満のα−1,4結合のポリガラクトサミンを得た。
更に、各々の画分を凍結乾燥することにより、粉末試料
とした。
ここに得られた分画分子量5万以上のα−1,4結合のポ
リガラクトサミンの理化学的諸性質は次の通りである。
1.元素分析;窒素8.6%、炭素42.8%、水素6.9%、酵素
41.7% 2.比旋光度;▲〔α〕20 D▼=+215〜225 3.融点;160℃以上で褐変、210℃で炭化、230℃で灰化 4.物質の色;淡黄色 5.呈色反応; ニンヒドリン反応 + キサントプロテイン反応 − エーリッヒ反応 − モーリッシュ反応 − フェノール硫酸反応 ± 6.溶剤に対する溶解性; ・水に難溶。
・希酸に可溶。
・メタノール、エタノール、アセトン、クロロフォル
ム、ヘキサンに難溶。
7.紫外部吸収スペクトル;第5図に示される。
8.赤外部吸収スペクトル;第6図に示される。
また、分画分子量1万以上5万未満のα−1,4結合のポ
リガラクトサミンの理化学的諸性質は次の通りである。
1.元素分析;窒素8.7%、炭素45.7%、水素3.2% 2.比旋光度;▲〔α〕20 D▼=+210〜220 3.融点;特定の融点を持たず、160℃で褐変、210℃で炭
化、230℃で灰化 4.物質の色;淡黄色 5.呈色反応; ニンヒドリン反応 + キサントプロテイン反応 − エーリッヒ反応 − モーリッシュ反応 − フェノール硫酸法 ± 6.溶剤に対する溶解性; ・水に司溶。
・メタノールに微溶。
・ジメチルスルホオキシドに微溶。
・エタノール、アセトン、クロロホルム、、ヘキサンに
難溶。
7.紫外部吸収スペクトル;第7図に示される。
8.赤外部吸収スペクトル;第8図に示される。
また、分画分子量1万未満のα−1,4結合のポリガラク
トサミンの理化学的性質は次の通りである。
1.元素分析;窒素8.6%、炭素44.3%、水素6.9% 2.比旋光度;▲〔α〕20 D▼=+206.8 3.融点;特定の融点を示さず、160℃以上で炭化をはじ
める。
4.物質の色;淡黄色 5.呈色反応; ニンヒドリン反応 + インドール塩酸反応 + ソモギ−ネルソン反応 + フェノール硫酸反応 − ヨード反応 − 6.溶剤に対する溶解性; ・水に可溶。
・希酸に可溶。
・メタノールに微溶。
・ジメチルスルフォオキシドに微溶。
・エタノール、アセトン、クロロフォルムには難溶。
7.紫外部吸収スペクトル;第9図に示される。
8.赤外部吸収スペクトル;第10図に示される。
製造例5 製造例2で得た分画分子量1万未満を更に、分別してガ
ラクトサミノオリゴー6(GOS 6)糖を得た。ガラクト
サミノオリゴー6糖の性質は次の通りである。
1)α1→4結合のみで構成されるガラクトサミンの6
糖 GalN14GalN14GalN14GalN14GalN14GalN(但
し、GalNはα−D−ガラクトトピラノシル基を示す。) 2)色と形状:淡黄色不定形の粉末。
3)味:弱い甘味を有する。
4)溶解性:薄い酸、塩溶液、水に可溶。ジメチルスル
ホキシドを除く一般的な有機溶媒に難溶。
5)下記の元素分析値を示す。
C:43.90、H:6.91、N:8.54、0:40.65 予想される分子式:C36H68O25N6 6)分子量と構造式は下記の通り。
分子量:984.6 7)呈色反応:インドール塩酸反応、エルソン−モルガ
ン反応、ソモギ−ネルソン反応にそれぞれ陽性。
8)旋光度 ▲〔α〕2 D▼:+190.2 9)融点:160℃以上で炭化。
10)第11図に紫外部吸収スペクトルを示す。
11)第12図に赤外部吸収スペクトルを示す。
実施例1 サブロー寒天培地(ペプトン10g、グルコース40g、寒天
20g、精製水1000ml、pH6.0)の2倍濃度の培地を調製し
121℃、15分でオートクレーブで滅菌した。
別に、製造例1で製造したPF−102、製造例2で調製し
た塩酸加水分解物及びその分画物で各々の分画分子量の
ものまた、製造例5で調製したガラクトサミノオリゴ6
糖(GOS 6)について適当な濃度の水溶液(pH6.0)と
し、同様121℃、15分オートクレーブで滅菌した。滅菌
終了後、サブロー寒天培地と各そのポリガラクトサミン
及び塩酸分解物、その分画物、ガラクトサミノオリゴー
6糖を所定の濃度となる様に混合し、各々の寒天平板培
地とした。
この平板培地上に、予め前培養した供試菌のスラントよ
り1白金耳接種し、30℃、7日間培養した後コロニーの
直径を測定し、PF−102及び塩酸分解物及びその分画
物、GOS 6無添加培地でのコロニーの直径を100とした時
の比で示した。
供試した菌株はTrichophyton mentagrophytes、Trichop
hyton rubrumである。
結果は第1表に示した。
実施例2 サブロー液体培地(ペプトン10g、グルコース40g、精製
水1000ml、pH6.0)の2倍濃度の培地を調製し150ml三角
フラスコに15ml分注し121℃、15分オートクレーブで滅
菌した。別に、製造例1で製造したPF−102、製造例2
で調製した塩酸加水分解物及びその分画物で各々の分画
分子量のものまた、製造例5で調製したGOS 6を適当な
濃度の水溶液とし、同様121℃、15分オートクレーブで
滅菌した。滅菌終了後、サブロー液体培地に各々のPF−
102及び塩酸分解物、その分画物、GOS 6を所定の濃度と
なる様にサブロー液体培地に混合し各々30ml/フラスコ
の液体培地とした。
この液体培地に、予め前培養した供試菌のスラントより
1白金耳接種し、30℃、7日間、振盪培養し、菌の増殖
の有無を観察し、増殖の認められなかった区分のPF−10
2及び塩酸分解物、その分画物、GOS 6の濃度を最小阻止
濃度として示した。
供試した菌株はTrichophyton mentagrophytes、Trichop
hyton rubrumである。
結果は第2表に示した。
実施例3 第3表に示した培地組成の液体培地の2倍濃度になる様
に培地を調製150ml三角フラスコに30ml分注し、121℃、
15分オートクレーブで滅菌した。別に製造例1で製造し
たPF−102及び製造例2で調製した塩酸分解物、その分
画物で各々の分画分子量のもの、製造例5で調製したGO
S 6を適当な濃度の水溶液とし、同様121℃、15分オート
クレーブで滅菌した。
滅菌終了後三角フラスコの培地に各々PF−102塩酸分解
物、その分画物、GOS 6を所定の濃度になる様に添加混
合し、各々30ml/フラスコの液体培地とした。
この液体培地に、予め前培養した供試菌のスラントより
1白金耳接種し、30℃、6日間振盪培養し、菌の増殖の
有無を濁度計で測定し、実施例2と同様、各区分の最小
阻止濃度で示した。
供試した菌株はCandida albicans DCU−C 1001、Candid
a albicans DCU−C 1002である。
結果は第4表に示した。
【図面の簡単な説明】 第1図はPF−101の紫外部吸収スペクトルを示す図で、
第2図はPF−101の赤外部吸収スペクトルを示す図で、
第3図はPF−102の紫外部吸収スペクトルを示す図で、
第4図はPF−102の赤外部吸収スペクトルを示す図で、
第5図はPF−102の分解物の分子量5万以上の分画物の
紫外部吸収スペクトルを、第6図はその赤外部吸収スペ
クトルを示す図で、第7図はPF−102の分解物の分子量
1万以上5万未満の分画物の紫外部吸収スペクトルを、
第8図はその赤外部吸収スペクトルを示す図で、第9図
はPF−102の分解物の分子量1万未満の分画物の紫外部
吸収スペクトルを、第10図はその赤外部吸収スペクトル
を示す図で、第11図はガラクトサミノオリゴー6糖の紫
外部吸収スペクトルを、第12図はその赤外部吸収スペク
トルを示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】α−1,4ポリガラクトサミン、その分解物
    又は分解物の分画物を有効成分とする抗皮膚真菌症剤。
  2. 【請求項2】α−1,4ポリガラクトサミンの分解物の分
    画物が分子量5万以上のα−1,4ポリガラクトサミンで
    あることを特徴とする第1項記載の抗皮膚真菌症剤。
  3. 【請求項3】α−1,4ポリガラクトサミンの分解物の分
    画物が分子量1万以上5万未満のα−1,4ポリガラクト
    サミンであることを特徴とする第1項記載の抗皮膚真菌
    症剤。
  4. 【請求項4】α−1,4ポリガラクトサミンの分解物の分
    画物が分子量1万未満のα−1,4ポリガラクトサミンで
    あることを特徴とする第1項記載の抗皮膚真菌症剤。
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