JPH0372084B2 - - Google Patents

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JPH0372084B2
JPH0372084B2 JP61050993A JP5099386A JPH0372084B2 JP H0372084 B2 JPH0372084 B2 JP H0372084B2 JP 61050993 A JP61050993 A JP 61050993A JP 5099386 A JP5099386 A JP 5099386A JP H0372084 B2 JPH0372084 B2 JP H0372084B2
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JP61050993A
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Shozo Oikawa
Yoshiro Sato
Toshiro Yadomae
Naohito Oono
Masumi Oosawa
Yoshuki Suzuki
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Nippon Beet Sugar Manufacturing Co Ltd
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Nippon Beet Sugar Manufacturing Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) この発明はマイタケを利用して得る抗腫瘍活性
多糖に関する。 (従来技術) 従来から、キノコに由来する抗腫瘍活性物質は
数多く知られ、マイタケについても多く、例えば
特公昭52−44386号公報の天然又は合成の栄養液
体培地にマイタケを培養して得る培養済培地から
制癌物質を抽出する方法とか特開昭60−58925号
公報のマイタケ実体から抽出する抗腫瘍活性物質
等がある。 (発明が解決しようとする問題点) 上記従来技術において例えば特公昭52−44386
号公報の方法にあつては、培養済培地を原料とす
ることから、抽出物に混入する各種有機・無機成
分の分離、精製に複雑な多数の手間を要する不都
合があり、特開昭60−5892号公報に示すものにあ
つては原料として子実体を用いるため原料の十分
なる確保において問題なしとしない不都合を有し
ている。 (問題点を解決するための手段) 上記した如く、従来の技術にあつては、目的物
の分離、精製が複雑であるとか、原料供給におい
て問題が残つているとかで尚改善の余地を残すも
のであつた。 上記に鑑み、この発明者らは鋭意研究した結
果、この発明者らの一部の者の発明になる特公昭
59−18995号公報に記載するマイタケ菌糸体を糖
質溶液に接触させて得る多糖体について更に検討
したところ意外にも抗腫瘍活性のあることを見い
出し、この知見に基づき上記で得た多糖から中性
成分を分画したところ、この画分に高い抗腫瘍活
性のあることを認め、理化学的分析の結果、以下
に詳記するように、β1→6分枝を有するβ1→3
グルカンであることを認めこの発明を完成した。 (イ) 元素分析値 C38.9〜40.1%、H5.8〜6.0%、
N定量限界以下 (ロ) 分子量(ゲル濾過法)1×105〜1×107に分
布 (ハ) 融点 230℃で分解 (ニ) 比旋光度〔α〕D+29.2±0.5(C=0.1,H2O) (ホ) 赤外線吸収スペクトル(KBr法)第1図の
とおり (ヘ) 13C−NMRスペクトル(DMSO−d6中)第
2図のとおり (ト) 溶剤に対する溶解性 水、アルカリ、ジメチルスルフオキシドに
(DMSO)に易溶、エチルアルコール、メチル
アルコール、エーテル、アセトン等の有機溶剤
には不溶。 (チ) 呈色反応 モーリツシユ反応、アンスロン硫酸反応、フ
エノール硫酸反応はいずれも陽性を呈し、ヨー
ド反応、ニンヒドリン反応、ビユレツト反応は
いずれも陰性を呈す。 (リ) 塩基性、酸性、中性の別 水溶液は中性を示
す (ヌ) 物質の色、形状 白色、綿状 (作用) この発明で用いるマイタケ菌糸はシロマイタ
ケ、クロマイタケの一般に知られるマイタケを液
体又は固体培養基で培養して得るマイタケ菌糸体
であり、これらマイタケは天然のマイタケから分
離し純粋培養、継代培養によつて形質が保持され
ているもの、或は各種保存機関にある菌株を同じ
ようにしてその形質を保持させているものいずれ
も用いることができ、例えば保存菌株としてグリ
フオラ フロンドツサ(Grifola frondosa)IFO
4911、IFO 7040等、天然から得られたものとし
て、グリフオラ フロンドツサ・バル・トカチア
ーナ(Grifola frondosa var tokachiana)(微
工研菌寄第4979号)等を挙げることができ、中で
もグリフオラ・フロンドツサ・バル・トカチアー
ナの使用が好ましい。 次にグリフオラ・フロンドツサ・バル・トカチ
アーナの諸性質を記載する。 (1) 麦芽エキス寒天培地(25℃) 7日目ですでに旺盛な生育、菌叢の直径は10
×10m/m程度、白く柔かい密に集合した綿毛
状、培地に変化は認めない。17日目では旺盛な
生育を示し、斜面の2/3は黄褐色のまじりとな
る。菌糸はあまり長くない、培地は強く黄褐色
となる。35日目では斜面の全面に亘つて白色〜
灰白色〜淡黄褐色〜黄褐色のまだら状となる。
短い感じの綿状の菌糸、培地は褐変する。 (2) バレイシヨ・ブドウ糖寒天(25℃) 7日目で旺盛な生育10×12m/m程度、白く
長く柔かい菌糸、培地に変化はない。17日目で
は斜面のほぼ全面に旺盛な生育、このうち全面
積の1/2程度は黄色〜黄褐色となり、白色と混
合する。菌糸の伸びは短かい。培地は強く黄褐
色に変化する。35日目では旺盛な生育で、菌糸
は白色〜灰白色〜黄金色〜黄褐色のまだら状と
なる。菌糸は短かい綿状である。培地は強く黄
褐色に変化する。 (3) ツアペツクドツクス寒天培地(25℃) 7日目で生育を認めない。17日目で生育を認
めない。35日目で全く生育を認めない。 (4) サブロー寒天培地(25℃) 7日目で小程度の生育2×5m/m程度、極
くうすい感じ培地の変化はない。17日目では漸
く中程度の下の生育、菌糸は白色の短かい。 ポヤポヤ状、培地に変化はない。35日目では
中程度の下の生育、白色の点状でポヤポヤ状、
培地わずかに褐変する。 (5) オートミル寒天培地(25℃) 7日目で旺盛な生育、10×12m/m程度、菌
糸は白く短かいじゆうたん状、培地はわずかに
黄褐色となる。17日目では斜面の全面に生育
し、むしろ膜状の様に見える。白色で短かい、
培地はわずかに黄褐色となる。35日目では旺盛
な生育で全面はむしろ膜状となる。灰白色〜灰
黄色を呈す。培地はわずかに褐変する。 (6) 合成ムコール寒天培地(25℃) 7日目ではほとんど生育しない。培地の変化
はない。17目日では漸く中程度の生育、白色で
柔かい綿状、培地の変化はない。35日目では旺
盛な生育となる。菌糸は白色〜灰白色〜淡褐色
のまだら状となる。綿状である。培地はわずか
に褐変する。 (7) YpSs寒天培地 7日目で小程度の生育、5×5m/m程度、
貧弱である。菌糸は白色で長い感じ、培地の変
化はない。17日目では漸く中程度の生育菌糸は
白色で柔かい綿状、培地の変化はない。35日目
では中程度の生育、菌糸は白色で柔かい綿状、
培地に変化はない。 (8) 酵母・砂糖寒天培地 7日目で旺盛な生育、10×15m/m程度、菌
糸は白く柔かく長い綿状、培地に変化はない。
17日目では斜面の全面に生育、その大部分が淡
黄褐色〜褐色と白色のまだら状、菌糸はむしろ
短かい。培地は強く褐色となる。35日目では旺
盛な生育であり、白色〜灰白色〜淡黄褐色〜黄
金色のまだら状、やや短かい感じの綿状であ
る。培地は褐変する。 (9) フエノール・オキシダーゼ検定培地(25℃) 0.5%没食子酸添加麦芽汁寒天 10日目所見:中程度の生育、白色綿状、円
形、径は約11m/m、培地は黒褐色となる。
18日目所見:中程度の生育、白色柔かい感じ
の綿状、盛り上りなし、培地は黒褐色とな
る。 0.5%タンニン酸添加麦芽汁寒天 10日目所見:中程度の生育、白色、柔かい
感じの綿状、円形、径は約12m/m、培地は
黒褐色となる。18日目所見:中程度の生育、
白色ところどころ淡黄色化あり、培地は黒変
する。 0.5%没食子酸添加ポテトグルコース寒天 10日目所見:全く生育を認めず、培地変化
なし。18日目所見:僅かに生育を認め、培地
は黒褐色となる。(+) 0.5%タンニン酸添加ポテトグルコース寒
天 10日目所見:中程度の生育、白色、柔かい
綿状、円形、径は12m/m程度、培地は黒褐
色化する。18日目所見:中程度の生育、白
色、柔かい綿状、培地は黒変する。 (10) 糖の利用性(炭素源2.0%、コーン・ステー
プリカー3.0%、PH5.5、25℃で45日間振盪培
養) アラビノース+ キシロース + フラクトース+ グルコース + ガラクトース+ マルトース + シユクロース± マンノース + メリビオース+ ラクトース + 澱 粉 + デキストリン + グリセリン + マニトール − イノシトール− α−メチルグリコシツド
± アラビヤゴム+ (11) 最適発育温度(麦芽エキス寒天培地)25〜28
℃ (12) 最高発育温度、麦芽エキス寒天培地36℃で発
育せず。 (13) 最適発育PH(麦芽エキス寒天培地)4.5
〜6.0 (14) 最低発育PH(麦芽エキス寒天培地)4.0 (15) 原基・子実体の形成能(25℃で35日培養
後室温で50日間保持その間1日当り約10時間
500ルツクスの蛍光灯照射) (イ) 麦芽エキス寒天培地:斜面上に3点の子実
体を形成する。クリーム状大きさはそれぞれ
3×6,4×7,5×9mmの舞の形を認め
る。 (ロ) バレイシヨ・ブドウ糖寒天培地:子実体1
点4×7mm、クリーム色、原基1点4×6mm
を認める。 (ハ) ツアペツクドツクス寒天培地:原基形成な
し (ニ) サブロー寒天培地:原基形成なし (ホ) オートミル寒天培地:原基形成なし (ヘ) 合成ムコール寒天培地:原基形成なし (ト) YpSs寒天培地:子実体4点の形成あり、
クリーム色、2×6、2×3、2×2、4×
6mm舞の形を認める。 (チ) 酵母・砂糖寒天培地:原基2点2×2、2
×2mm認める。 (リ) おがくずエキス・米糠エキス加用麦芽エキ
ス寒天培地;子実体4点の形成あり、クリー
ム色、4×5、6×4、3×4、2×4mm舞
の形を認める。 (16) 本菌株は好気性でならおがくず、〓、及
び大豆粕の合成培養基で子実体を形成し、得ら
れた子実体の菌傘は、先端部に向つてややうす
くなり、多数の小片に分岐する。傘面(葉面)
は淡灰褐色〜茶褐色で、栽培日数に伴う年輪状
の輪を示す事がある。裏面は白色乃至は淡灰白
色で多数の細孔を有す。基部は多数の菌茎が合
して太い集合体となる。その全体像は、舞茸特
有の佳麗でにぎやかである。胞子は白色の一端
がやや長い5×6ミクロン程度の準球である。
臭気はいわゆるまいたけ特有の香気を有してい
る。食味は美味で、且つ特有の歯ざわりを有し
ている。 以上のことより本菌株はいわゆる“くろまい
たけ”に属すること明かであるが、これと一致
する菌株は知られておらず、近似するGrifola
frondosa IFO 4911,Grifola frondosa IFO
7040と対比すると次のようになる。 (1) 各種寒天培地における比較
【表】
【表】 (2) 糖の利用性の比較 Grifola frondosa IFO 4911及びGrifola
frondosa IFO 7040は何れもメリビオース、マニ
トール、イノシトールを利用し生育するの対し、
本菌株は生育しない。 (3) 原価、子実体の形成能の比較 Grifola frondosa IFO 4911及びGrifola
frondosa IFO 7040は麦芽エキス寒天培地、バレ
イシヨ・ブドウ糖寒天培地、YPSs寒天培地、酵
母・砂糖寒天培地、おがくずエキス・米糖エキス
加用麦芽エキス寒天培地で原基も子実体も形成し
ないのに対し、本菌株は何れの培地でも原基又は
子実体の形成を認めるものである。 上記比較結果から判明するように公知菌株と本
菌株の間には多くの差が存在し、麦芽エキス寒天
培地にあつては公知株がいずれも長い菌糸である
のに反し、本菌株は短かい菌糸であり、且つ培地
の変化は前者が無いか僅かであるに反して後者は
強い黄褐色を呈する。バレイシヨ・ブドウ糖寒天
培地にあつては初期生育は公知菌株の2株は中程
度に対し、本菌株は旺盛な生育を示す。17日目の
所見では公知2菌株が白色の菌糸に対して、本菌
株は白色の中に黄色〜黄褐色が混じてくる。また
35日目の所見では公知2菌株は培地の変化が無い
かあるいは僅かな黄変に対して、本菌株は強く黄
褐色に変化する。ツアペツクドツクス寒天培地に
あつては、IFO 7040は35日目で僅かに生育を示
す事が認められるが、本菌株では全く生育を認め
ない。サブロー寒天培地では生育の程度と菌糸の
長さに差がみられ、35日目では公知2菌株が培地
に変化を認めないが、本菌株では僅かに褐色する
事が観察される。オートミル寒天培地初期の培養
で公知2菌株に生育はみられないが、本菌株には
生育を認める事ができる。17日目では公知2菌株
の菌糸の長さが長いのに対して、本菌株では短か
く、むしろ膜状の様に見える。合成ムコール寒天
培地では初期生育で公知2菌株は生育を認め得る
が、本菌株ではその生育は定かでない。17日目の
生育でも概して本菌株は公知2菌株よりも悪い。
35日目では公知IFO 7040は白色の菌糸、培地に
変化は無いが、本菌株では白色〜灰白色〜淡黄色
のまだら混合となり、培地は僅かに褐変する。
YpSs寒天培地にあつてはIFO 7040は旺盛な生育
を示し、培地は僅かに黄褐するが、本菌株にあつ
ては生育は中程度であつて劣り、培地には変化を
認めない。また酵母・砂糖寒天培地では公知2株
は試験管内一杯に充満した長い白色菌糸に対し
て、本菌株はむしろ短かい、白色〜淡黄褐色〜褐
色のまだら状となる。 又、糖の利用性は、公知2菌株がメリビオー
ス、マニトール、イノシトールを利用するに対し
本菌株は全く利用しない。更に重要なことは、本
菌株は原基、子実体形成能に特に勝れていること
であり、これは本菌株固有の特性と考えられる。 以上のことより本菌株は、Grifola frondosaに
属することは明らかであるが、菌株については該
当するものがなくその変種とするのが妥当と考
え、採取地にちなんでグリフオラ・フロンドツ
サ・バル・トカチアーナ(Grifola frondosa var
tokachiana)と命名した。 いま、グリフオラ・フロンドツサ・バル・トカ
チアーナを用いてのこの発明の多糖について説明
すると、この菌株の継代培養物を予め液体或は固
体培地により培養して得た菌糸体を適当な手段に
より集菌し、必要に応じて水洗を行つた後、好ま
しくは無菌水に単一に分散懸濁させ、これをアラ
ビノース、キシロース、フラクトース、グルコー
ス、マンノース、ガラクトース、マルトース、シ
ユクロース、メリビオース、ラクトース、ラフイ
ノース、イノシトール、マニトール等の低分子糖
類、デンプン、デキストリン、アラビアゴムのよ
うな高分子糖類、グリコシド類或はこれらの加水
分解物、又は精製糖蜜、製糖工程中の精製糖液等
の一種又は二種以上を含む糖質溶液をクエン酸、
乳酸のような有機酸によりPHを酸性域としたもの
に添加し、撹拌を行いながら20〜30℃、2〜8日
間接触反応を行うと、菌糸体が酵素的に糖質に作
用して溶液中に多量の多糖を生成するに至る。 上記反応の終了後、菌糸体と上澄液とに分離
し、分離した上澄液を濃縮するか或は濃縮するこ
となしに糖不溶性溶媒例えばメタノール、エタノ
ール等のアルコール、アセトンを添加して沈でん
を生成せしめる。このとき通常はエチルアルコー
ルを使用する。このような溶媒による沈でん生成
を必要に応じ複数回行つた後、沈でん物を分離、
乾燥すると殆ど白色の綿状物を得る。 上記で得た白色の綿状物を尿素溶液又は水に溶
解し、HCO3 -型に再生したDEAE−セフアデツ
クスA−25を用いてクロマト分離し、中性画分を
分取し、これに前記と同様のアルコール等の溶媒
を加えて沈でんを生成せしめると白色綿状の本発
明の多糖を得る。この場合において、尿素溶液に
溶解した場合には、溶解性がよいが、中性画分か
ら尿素を除去するために透析を必要とする。一方
水に溶解した場合には、中性画分の透析を不要と
する利点があるが尿素溶液に比べて若干溶解に時
間を要することになる。従つて前記物質の溶解に
尿素溶液を用いるか水を用いるかは事情によつて
適宜選択すればよい。 上記のようにこの発明の多糖は、マイタケ菌糸
体を糖質溶液に接触させて得る物質から、その中
性画分を選択的に取り出すだけで、従来のように
前処理に複雑な多くの精製を不要とし、中性画分
の単離、精製に必要に応じて透析を行う程度で十
分に純粋な多糖を得ることができる。 以上にて得た多糖は、以下に示す理化学的分析
結果からβ(1→3)結合するグルコース残基3
ケごとにβ(1→6)結合するグルコース残基1
ケの分枝を有するβ−グルカンであることが知
れ、この多糖をGrifolan−Nと名づける。 このGrifolan−Nは後述の実施例で説明するよ
うに高い抗腫瘍活性を示す。 理化学的分析 (1) 元素分析値等 C:38.9〜40.1%、H:5.8〜6.0%、N:定量 限界以下、ハロゲン、硫黄は定量されない。 (2) 分子量 0.2モルNaOH/8モル尿素平衡セフアロース
CL−4B(フアーマシア・ジヤパン)カラムによ
るゲル濾過クロマトグラフイーにより分子量の分
布範囲が1×105〜1×107である。 (3) 融点 約230℃で熱分解する。 (4) 比旋光度 20℃における水中濃度0.1g/100mlの[α]D
29.2±0.5を示す。 (5) 溶解性 水、アルカリ、ジメチルスルフオキシド
(DMSO)に易溶、エチルアルコール、メチルア
ルコール、エーテル、アセトン等の有機溶媒には
不溶である。 (6) 水溶液の塩基性、酸性、中性の別 1%水溶液は中性域(PH6.3〜6.5)を示す。 (7) 構成糖の種類 3弗化酢酸(CF3COOH)による加水分解物を
水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)に還元し、
これのアルジトールアセテート誘導体をガスクロ
マトグラフイー分析した結果、グルコースのみを
明確に検出し、フコース、キシロース、マンノー
ス、ガラクトース等の他の糖は検出しない。 (8) 構成糖の結合様式 箱守法によるメチル化分析の結果は、2,3,
4,6−テトラメチル−O−D−グリシトール:
2,4,6−トリメチル−O−D−グリシトー
ル:2,4−ジメチル−O−D−グリシトールが
1.0:1.7:1.0の比で3,4,6−トリメチル−O
−D−グリシトール、2,6−ジメチル−O−D
−グリシトールが痕跡であることから、1→3結
合D−グルコース残基3個ごとに1→6結合D−
グルコースの分枝を有するグルカンを繰り返し単
位とすることが知られる。 (9) スミス分解生成物 完全スミス分解により、生成物としてグルコー
スとグリセリンを検出し、総和スミス分解物の透
析外液からグリセリンをそして内液の加水分解液
からグルコースのみを検出したことから、1→3
結合とC−6に分枝を有する構造のグルカンであ
ることが知れる。 (10) 赤外線吸収スペクトル JASCO IRA−1型分光々度計を用いKBr法で
測定した結果は第1図のとおりで、波数894cm-1
にβグリコシド結合配向に特徴的な吸収(P)を
認めることから、β−グリコシド結合構造である
ことが認められる。 (11) 13C−NMRスペクトル 重ジメチルスルフオキシド(DMSO−d6)に
溶解し、JEOL−FX200スペクトルメーターによ
り60℃で測した結果は第2図のとおりで、δ値
67ppm域のβ(1→6)結合に含まれるC−6の
炭素の帰属を含むシグナルS1と、δ値86ppm域の
β(1→3)結合に含まれるC−3の炭素に帰属
するシグナルS2と、δ値103ppm域のβ−結合の
C−1の炭素に帰属するシグナルS3が特徴的に認
められ、更にシグナルS2が3つのピークを示すこ
とから、β(1→3)結合が3個あり、β(1→
6)が1個あるβ−グルカン構造が知られる。 (12) 呈色反応 モーリツシユ反応、アンスロン硫酸反応、フエ
ノール硫酸反応はいずれも陽性を呈し、ヨード反
応は陰性でα(1→4)結合グルカンの存在を示
さず、ニンヒドリン反応、ビユーレツト反応が共
に陰性であることから蛋白質、ペプチドの存在を
示さない。 以上述べたようにこの発明の抗腫瘍活性多糖
Grifolan−Nは高い抗腫瘍活性を示すことから、
薬用として有用で、腹腔内投与、腫瘍内投与、静
脈内投与として利用できるほか、経口投与として
の利用も期待しうるものであり、各種形の制がん
剤用途を有するものである。 以下実施例によつてより具体的に説明する。 (実施例) 実施例 1 予め継代培養しているグリフオラ フロンドツ
サ バル トカチアーナ(Grifola frondosa var
Tokachiana)微工研菌寄第4979号)を含む培地
面から、5mm×5mmの切片を2片取り出し、これ
をマルトエキス4%、おがくずエキス5%、麸エ
キス5%、寒天25%、PH5.5のオートクレーブ処
理済の斜面に接種して25℃、3週間培養して一次
種菌とする。上記一次種菌から5mm×5mmの切片
を3片取り出し、これを甘蔗糖蜜2%(糖量とし
て)、ポリペプトン0.4%を含み10%乳酸でPH5.5
に調整したオートクレーブ処理培地50mlに接種し
て25℃で3日間静置培養して二次種菌とする。こ
の二次種菌の5ml宛をグルコース2%、甘蔗糖蜜
2%(糖量として)、ポリペプトン0.6%、大豆油
3滴を含み、10%乳酸でPH4.5に調整したオート
クレーブ処理済培地100ml宛を分注した500ml容量
坂口フラスコの2本に夫々接種し、25℃、2週間
で振盪培養してこれを三次種菌とする。上記で得
た種菌の全量をグルコース2%、甘蔗糖蜜2%
(糖量として)、ポリペプトン0.6%、大豆油0.1%
を含み、10%乳酸でPH4.5に調整したオートクレ
ーブ処理済培地6を収容する10容量ジヤーフ
アーメンターに投入し、通気量0.5VVM、温度25
℃、撹拌数250r.p.mで6日間培養した。 上記ジヤーフアーメンター培養で得た内容物を
遠心分離(3000r.p.m、5分)して集菌し、水洗
−遠心分離を2回行つた後、これによつて得た菌
糸体の全量をグルコース5%、クエン酸0.5%、
PH4.0の糖質液6を収容する10容量ジヤーフ
アーメンターに投入し、通気量0.5VVM、28℃、
撹拌数250r.p.mで2日間反応させた後内容物を遠
心分離して菌糸体と上澄液に分離し、上澄液にエ
タノール濃度40容量%となるようにエタノールを
加えて沈でん物を生成せしめ、遠心分離後凍結乾
燥して、乾燥物6.5gを得た。上記遠心分離によ
つて残留した反応済の菌糸体により、上記と同じ
糖質を用いて第2回の反応を行い同様に乾燥物
5.8gを得た。更に第2回の反応で残留した反応
済の菌糸体により上記と同じ糖質を用いて第3回
の反応を行い(但し反応日数を3日とした)同様
に乾燥物5.0gを得た。 上記第1回〜第3回で得た乾燥物をよく混合
し、これの1gを8モル尿素水溶液におよそ2
mg/mlで溶解し、これをHCO3 -型に再生した
DEAE−セフアデツクスA−25 200mlを充填する
カラムを用いて中性画分(尿素溶液溶出素通り区
分)を分取し、セルロースチユーブ(白井松器
械/製)で72時間透析し、内液に1.5倍量のエタ
ノールを加えて沈でんを生成せしめ、これを凍結
乾燥して白色の綿状もしくは微細繊維様の本発明
の抗腫瘍活性多糖Grifolan−N0.6gを得た。こ
のものは前記した理化学的性質を示した。 実施例 2 実施例1で得たGrifolan−Nの抗腫瘍活性(其
の1) IRC−系6週令のマウス(雄、体重27〜30g)
10匹を1群としてサルコーマ180腫瘍細胞5×106
ケをそけい部皮下に接種し、これを零日とし、前
記Grifolan−Nを生理食塩水に試験量宛溶解した
試験液を1,3,5,7及び9日目の5回にわた
り、各種経路で投与し、腫瘍細胞の接種後35日目
に解体し、腫瘍増殖の抑止率と完全退縮の程度を
調査したところ、第1表のとおりでGrifolan−N
の腫瘍増殖の抑制作用の高いことを認めた。
【表】 実施例 3 実施例1で得たGrifolan−Nの抗腫瘍活性(其
の2) 実施例2の要領に準じ、投与日を変えた場合の
抑止率を調査した。IRC−系6週令のマウス
(雄、体重27〜30g)を使用し、10匹を1群とし
てサルコーマ180腫瘍細胞5×106ケをそけい部皮
下に接種し、これを零日とする。生理食塩水に溶
解したGrifolan−Nの試験量を前記零日の前及び
後の所定の日に夫々腹腔内に投与し、零日の翌日
から起算して35日目にマウスを解体して腫瘍の状
況を調査した。その結果は第2表に示すとおりで
腫瘍接種日以前の投与の場合にも高い抑止効果を
認めた。このような前投与による抑止効果は、従
来知られるマイタケ子実体から得た多糖物質(特
開昭60−58925号公報)と比べてGrifolan−Nに
特徴的なものである。この前投与による効果のよ
つて来る理由は未解明であり、今後の研究に待た
れるところである。
【表】 (効果) この発明によるときは、多糖の分画、精製がき
わめて簡単で、得られた多糖の抗腫瘍活性が高い
ものであるから、腫瘍抑制剤としての利用価値が
きわめて高いものであり、かつ安価に量産を可能
とする。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明のGrifolan−Nの赤外線吸収
スペクトル、第2図はこの発明のGrifolan−Nの
13C−NMRスペクトルを示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 下記の理化学的性質を有するβ(1→3)結
    合するグルコース残基3ケごとにβ(1→6)結
    合するグルコース残基1ケを分枝する構造の抗腫
    瘍活性多糖Grifolan−N。 (イ) 元素分析値:C38.9〜40.1%、H5.8〜6.0%、
    N定量限界以下。 (ロ) 分子量:ゲル濾過法により1×105〜1×107
    に分布。 (ハ) 融点:230℃で熱分解。 (ニ) 比旋光度:〔α〕D29.2±0.5(C=0.1,H2O)。 (ホ) 赤外線吸収スペクトル(KBr法) 波数894cm-1にβ−グリコシド結合配向に特
    徴的な吸収(P)がある。 (ヘ) 13C−NMRスペクトル(DMSO−d6中) δ値67ppm域のβ(1→6)結合に含まれる
    C−6の炭素の帰属を含むシグナルS1,δ値
    86ppm域のβ(1→3)結合に含まれるC−3
    の炭素に帰属する3ケのピークを示すシグナル
    S2、δ値103ppm域のβ結合のC−1の炭素に
    帰属するシグナルS3の特徴的なシグナルがあ
    る。 (ト) 溶剤に対する溶解性 水、アルカリ、ジメチルスルフオキシドに易
    溶、エチルアルコール、メチルアルコール、エ
    ーテル、アセトン等の有機溶剤に不溶。 (チ) 呈色反応 モーリツシユ反応、アンスロン硫酸反応、フ
    エノール硫酸反応はいずれも陽性を呈し、ヨー
    ド反応、ニンヒドリン反応、ビユレツト反応は
    いずれも陰性を呈す。 (リ) 塩基性、酸性、中性の別:水溶液は中性を示
    す。 (ヌ) 物質の色、形状:白色綿状。
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