JPH0776620A - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造方法

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JPH0776620A
JPH0776620A JP8915094A JP8915094A JPH0776620A JP H0776620 A JPH0776620 A JP H0776620A JP 8915094 A JP8915094 A JP 8915094A JP 8915094 A JP8915094 A JP 8915094A JP H0776620 A JPH0776620 A JP H0776620A
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carbonate
bisphenol
alkylphenyl
phenol
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JP8915094A
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English (en)
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Sachio Asaoka
佐知夫 浅岡
Kiyonori Ikeda
清則 池田
Kazuaki Ueda
一彰 上田
Susumu Yamamoto
進 山本
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Chiyoda Corp
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
Original Assignee
Chiyoda Corp
Chiyoda Chemical Engineering and Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 ホスゲンを反応原料として用いることなく、
ビスフェノールAビスアルキル炭酸エステルを経済的に
有利に製造し得る工程を含む芳香族ポリカーボネートの
製造方法の提供。 【構成】 (i)ビスフェノールAと式(1) R1OCOOPh (1) (R1はメチル基又はエチル基を示し、Phはフェニル
基を示す)で表わされるアルキルフェニルカーボネート
との混合物を、触媒として、アルカリ金属イオン及びア
ルカリ土類金属イオンを溶融状態で反応させて、式
(2) R1OCOOPh−C(CH32−PhOCOOR1 (2) で表わされるビスフェノールAビスアルキル炭酸エステ
ルとフェノールを生成させ、(ii)(i)で得られる
ビスフェノールAビスアルキル炭酸エステルとジフェニ
ルカーボネートを反応させて、芳香族ポリカーボネート
とアルキルフェニルカーボネートを生成させ、(ii
i)(1)で表わされるアルキルフェニルカーボネート
とフェノールを反応させて、ジフェニルカーボネートと
アルキルアルコールを生成させる工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、下記式で表わされる芳
香族ポリカーボネートの製造方法に関するものである。
【化1】 (式中、nは2以上、好ましくは40〜200の整数を
示す)
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネートは、現在のとこ
ろ、芳香族ジヒドロキシ化合物にアルカリの存在下でホ
スゲンを反応させる、いわゆるホスゲン法によって工業
的に製造されている。しかし、このホスゲン法は、その
反応原料として用いるホスゲンが非常に毒性の強いもの
であることから、ホスゲンの反応系からの漏出による人
身事故の危険性が常につきまとうという問題がある。こ
のような問題を回避するために、反応原料としてホスゲ
ンの使用を必要としない、いわゆる非ホスゲン法による
芳香族ポリカーボネートの製造について多くの研究が向
けられている。非ホスゲン法による芳香族ポリカーボネ
ートの製造方法の1つとして、ビスフェノールAビスア
ルキル炭酸エステルをそのまま自己縮合させる方法や、
あらかじめ予備重縮合させた後、固相重合させる方法
(特開昭63−223035号公報)等が知られてい
る。また、特開昭64−16826号公報には、ビスフ
ェノールAビスアルキル炭酸エステルとジフェニルカー
ボネートとを反応させて芳香族ポリカーボネートを製造
する方法が示されている。
【0003】ところで、前記ビスフェノールAビスアル
キル炭酸エステルを製造するための従来法としては、ビ
スフェノールAとジアルキルカーボネートを反応させる
方法が知られている(特開昭64−16826号公
報)。しかしながら、この従来法の場合、反応の進行が
非常に遅く、反応を円滑に進行させるためには触媒の使
用が不可欠であるという不利がある。さらに、この従来
法の場合、反応原料として使用するジアルキルカーボネ
ートが他方の原料であるビスフェノールAの溶融温度で
気相を示すために、両者の原料を溶融混合物として反応
させるには、加圧下で反応させることが不可欠であると
いう不利もある。また、前記ビスフェノールAビスアル
キル炭酸エステルを製造するための他の従来法として、
ビスフェノールAとアルキルフェニルカーボネートを反
応させる方法が知られている(特開昭64−47740
号公報)。この公知の方法においては、ビスフェノール
Aとアルキルフェニルカーボネートとの反応において
は、触媒の使用は必ずしも必要ではないが、反応速度を
上げるために、所望に応じエステル交換法に使用される
公知の触媒を用いることができるとしている。そのよう
な公知の触媒としては、ジ−n−ブチルスズオキシドや
ジ−n−ブチル−ジフェノキシスズ等の有機金属化合物
が知られているが、これらの触媒は、反応液中に溶解す
るため、反応終了後、その反応生成物からの除去が非常
に困難であるという問題を含む。さらに、有機スズ化合
物は、人体に対して強い毒性を示すので、その使用は好
ましいものではない。以上のように、ビスフェノールA
ビスアルキル炭酸エステルを製造するための従来法は、
プロセスの経済性の点から見て、未だ満足し得るもので
はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はホスゲンを反
応原料として用いることなく、ビスフェノールAビスア
ルキル炭酸エステルを経済的に有利に製造し得る工程を
含む芳香族ポリカーボネートの製造方法を提供すること
をその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、意外にも、特定の
触媒を用いることにより、ビスフェノールAとアルキル
フェニルカーボネートの両者の反応が円滑に進行するこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明によれば、(i)ビスフェノ
ールAと一般式(1) R1OCOOPh (1) (式中、R1はメチル基又はエチル基を示し、Phはフ
ェニル基を示す)で表わされるアルキルフェニルカーボ
ネートとの混合物を、触媒として、アルカリ金属イオン
及びアルカリ土類金属イオンの中から選ばれる少なくと
も1種の金属イオン又は該金属イオンを含有する多孔質
物質を用い、溶融状態で反応させて、一般式(2) R1OCOOPh−C(CH32−PhOCOOR1 (2) (式中、R1及びPhは前記と同じ意味を有する)で表
わされるビスフェノールAビスアルキル炭酸エステルと
フェノールを生成させる第1工程と、(ii)前記第1
工程で得られるビスフェノールAビスアルキル炭酸エス
テルとジフェニルカーボネートを反応させて、芳香族ポ
リカーボネートとアルキルフェニルカーボネートを生成
させる第2工程と、(iii)前記一般式(1)で表わ
されるアルキルフェニルカーボネートとフェノールを反
応させて、ジフェニルカーボネートとアルキルアルコー
ルを生成させる第3工程からなり、第1工程で副生する
フェノールの少なくとも一部を第3工程へ導入するとと
もに、第2工程で副生するアルキルフェニルカーボネー
トの少なくとも一部を第1工程及び/又は第3工程へ導
入し、第3工程で得られるジフェニルカーボネートを第
2工程へ導入することを特徴とする芳香族ポリカーボネ
ートの製造方法が提供される。
【0007】また、本発明によれば、(i)ビスフェノ
ールAと一般式(1) R1OCOOPh (1) (式中、R1はメチル基又はエチル基を示し、Phはフ
ェニル基を示す)で表わされるアルキルフェニルカーボ
ネートとの混合物を、触媒として、アルカリ金属イオン
及びアルカリ土類金属イオンの中から選ばれる少なくと
も1種の金属イオン又は該金属イオンを含有する多孔質
物質を用い、溶融状態で反応させて、一般式(2) R1OCOOPh−C(CH32−PhOCOOR1 (2) (式中、R1及びPhは前記と同じ意味を有する)で表
わされるビスフェノールAビスアルキル炭酸エステルと
フェノールを生成させる第1工程と、(ii)前記第1
工程で得られるビスフェノールAビスアルキル炭酸エス
テルとジフェニルカーボネートを反応させて、芳香族ポ
リカーボネートとアルキルフェニルカーボネートを生成
させる第2工程と、(iii)前記一般式(1)で表わ
されるアルキルフェニルカーボネートを不均化反応させ
て、ジフェニルカーボネートとジアルキルカーボネート
を生成させる第3工程からなり、第2工程で副生するア
ルキルフェニルカーボネートの少なくとも一部を第1工
程及び/又は第3工程へ導入するとともに、第3工程で
得られるジフェニルカーボネートを第2工程へ導入する
ことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法が
提供される。
【0008】本発明で反応原料として用いるアルキルフ
ェニルカーボネートは、下記一般式(1)で表わされ
る。 R1OCOOPh (1) 前記式中、R1はメチル基又はエチル基を示し、Phは
フェニル基を示す。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明の第1の方法は、ビスフェノールA
炭酸エステルを生成させる第1工程、芳香族ポリカーボ
ネートを生成させる第2工程及びジフェニルカーボネー
トを生成させる第3工程を含む。 (第1工程)この第1工程は、ビスフェノールAとアル
キルフェニルカーボネートを反応させて、ビスフェノー
ルAビスアルキル炭酸エステルを生成させる工程であ
る。この場合の反応は次式で示すことができる。 HOPhC(CH32PhOH+2R1OCOOPh (4) → R1OCOOPhC(CH32PhOCOOR1+2PhOH (前記式中、R1はメチル基又はエチル基を示し、Ph
はフェニル基を示す)
【0010】本発明においては、前記溶融反応は触媒の
存在下で行う。この場合の触媒としては、アルカリ金属
イオン及びアルカリ土類金属イオンの中から選ばれる少
なくとも1種の金属イオンが用いられる。アルカリ金属
イオンとしては、例えばナトリウムイオンやカリウムイ
オン等が挙げられ、アルカリ土類金属イオンとしては、
例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリ
ウムイオン等が挙げられる。それらの金属イオン供給源
としては、それらの金属イオンを放出し得るものであれ
ば液体、固体及び気体を問わずどのようなものでもよい
が、一般的には、それらの金属化合物、特に金属水酸化
物や金属塩等が好ましく用いられる。反応混合物中に存
在させるアルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金
属イオンの量は、反応混合物とそれら金属イオンの分離
を陽イオン交換樹脂あるいは中和や水洗等で容易に行う
ことができるので、任意の量を選ぶことができるが、好
ましくはビスフェノールA1000モルに対し4000
分の1〜1グラムイオン、より好ましくは1000分の
1〜4分の1グラムイオンの範囲で選ばれる。
【0011】また、本発明においては、触媒として、前
記アルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオ
ンを含有する多孔質物質を用いることもできる。この場
合、多孔質物質としては、ゼオライト、シリカ/アルミ
ナ、シリカ/マグネシア、シリカ/ジルコニア、シリカ
/チタニア、アルミナ/ボリア等の固体酸の他、シリ
カ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、活性炭等を挙げ
ることができる。これらの多孔質物質にアルカリ金属イ
オン及び/又はアルカリ土類金属イオンを含有させるた
めには、それらの金属イオンを含む各種溶液、例えば、
アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物
の水溶液やアルコール溶液中に多孔質物質を浸漬した
後、乾燥すればよい。多孔質物質中のアルカリ金属イオ
ン及び/又はアルカリ土類金属イオンの含有量は、多孔
質物質1g当り、5×10-8〜1×10-2モル、好まし
くは2×10-7〜8×10-3モルである。アルカリ金属
イオン及び/又はアルカリ土類金属イオン含有多孔質物
質は、パウダー状の他、粒状、ペレット状、ビーズ状等
の各種の形状であることができる。その使用量は、ビス
フェノールAに対して0.1〜50重量%、好ましくは
0.3〜30重量%である。
【0012】本発明で用いる好ましい触媒は、アルカリ
金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオンを含有す
るゼオライトである。本発明で用いるゼオライトは、ケ
イ酸塩(シリケート)を意味し、アルミノシリケートや
シリカライトの他、アルミノシリケート骨格構造中にガ
リウムや、鉄、Ti、Cr、B等を含むアルミノメタロ
シリケート等が包含される。本発明では、アルミノシリ
ケートの使用が好ましい。本発明で用いるゼオライト
は、天然ゼオライト又は合成ゼオライトのいずれでもよ
いが、所定の品質を保持する均質性からは、合成ゼオラ
イトが好ましい。アルミノシリケートからなるゼオライ
トの場合、そのSiO2/Al23モル比は2〜10
0、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜3である。
本発明で用いる好ましいゼオライトとしては、例えば、
ゼオライトA、ホージャサイト、ゼオライトL,モルデ
ナイト、オメガ、フェリェライト、ZSM−型ゼオライ
トのゼオライト等を挙げることができる。本発明におい
て使用するゼオライト触媒は、前記したようにゼオライ
トのイオン交換サイトが、元素周期律表のIa及び/又
はIIa族に属するアルカリ金属及び/又はアルカリ土
類金属でイオン交換されているアルカリ金属及び/又は
アルカリ土類金属交換ゼオライオである。上記イオン交
換されたゼオライト触媒は、ゼオライト合成時に所望の
アルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属カチオン
(以下、単にアルカリ金属等カチオンとする)がイオン
交換サイトを占めている状態で得られるゼオライト、例
えば、Na型ゼオライト、Na型Yゼオライト等でもよ
いし、また、イオン交換処理操作により所望のアルカリ
金属等カチオンをイオン交換サイトに導入したゼオライ
トでもよい。更にまた、本発明の触媒としては、アルカ
リ金属等のカチオンがイオン交換されているゼオライト
に、イオン交換サイトのアルカリ金属等のカチオンとは
別に、更に、イオン交換サイト以外にも所望のアルカリ
金属等のカチオンを存在させたゼオライトを用いること
ができる。これらは、上記イオン交換されているゼオラ
イトに、更に、含浸法やスプレー法等アルカリ金属等の
カチオン含有水溶液で処理して調製することができる。
【0013】ゼオライト触媒の使用形態は、特に制限さ
れるものではなく、通常、パウダー状や、粒状、球状、
ペレット状、ビーズ状等の成形体として用いることがで
きる。ゼオライト成形体は、粘土鉱物、アルミナ等のバ
インダーを加えて、押出成形や、スプレードライ、打錠
成形、転動造粒、油中造粒等の方法で、粒状、球状、ペ
レット状等に成形して得ることができる。また、ゼオラ
イト触媒は、必要に応じ、触媒補助成分として、スズ、
鉛、亜鉛、チタン等の金属成分を担持させることができ
る。ゼオライト触媒の使用量は、反応混合物と触媒の分
離が可能なので、任意の量を選ぶことができるが、好ま
しくはビスフェノールAに対し0.1〜50重量%、よ
り好ましくは0.3〜30重量%の範囲で選ばれる。
【0014】前記第1工程の反応において、アルキルフ
ェニルカーボネートは、ビスフェノールA1モル当り、
2〜10モル、好ましくは2.1〜5モルの割合で用い
られる。反応温度はビスフェノールAとアルキルフェニ
ルカーボネートの混合物が溶融状態を示す範囲の温度で
あればよい。反応温度が低すぎると、ビスフェノールA
が固相を示すようになるため、反応が円滑に進行しなく
なる。一方、反応温度が高すぎると、アルキルフェニル
カーボネートが気相を示すようになるため、反応が円滑
に進行しなくなる。また、反応圧力としては、減圧、常
圧、加圧ともに採用することができるが、好ましくは常
圧ないし減圧下が採用される。この反応は、生成するフ
ェノールを反応系外に除去しながら行なうことが好まし
い。また、必要に応じてフェノールと同伴して系外に留
出するアルキルフェニルカーボネートを系内に循環しな
がら行なうことも好ましい。反応温度は、一般的には、
100〜270℃である。アルキルフェニルカーボネー
トとしてメチルフェニルカーボネートを用いる場合、そ
の反応温度は、100〜250℃、好ましくは130〜
220℃が採用され、その反応圧力としては0.1〜2
気圧、好ましくは0.2〜1気圧が採用される。また、
アルキルフェニルカーボネートとして、エチルフェニル
カーボネートを用いる場合、その反応温度は、120〜
270℃、好ましくは150〜240℃が採用され、そ
の反応圧力としては0.1〜2気圧、好ましくは0.2
〜1気圧が採用される。このような反応温度において
は、ビスフェノールAとアルキルフェニルカーボネート
を溶融混合状態で減圧ないし常圧下で反応させることが
できるので、目的とするビスフェノールAビスアルキル
炭酸エステルを効率よく得ることができる。もちろん、
更に加圧下で反応を行うときには、アルキルフェニルカ
ーボネートの沸点が上昇することから、その分高い反応
温度を採用することができる。
【0015】前記第1工程の反応においては、その反応
式(4)からわかるように、副生物としてフェノールが
生成する。このものは反応終了後に反応生成物を蒸留処
理することにより塔頂物として分離することができる
が、好ましくは、反応中に反応系外へ分離するのが好ま
しい。副生フェノールを反応中に分離するには、反応温
度を反応圧力でのフェノールの沸点以上の温度に保持
し、反応系内にフェノールを気相で存在させ、この気相
で存在するフェノールを反応系外へ分離する方法が採用
される。また、気相で存在するフェノールを反応系外へ
分離するには、反応系内に不活性ガスや低級炭化水素ガ
ス等のガス状物を流通させ、このガス状物とともにフェ
ノールを反応系外へ分離する方法があるが、好ましく
は、反応装置として、反応容器と蒸留塔を結合させた構
造の反応蒸留塔を用い、反応容器内においてビスフェノ
ールAとアルキルフェニルカーボネートの反応を行いな
がら、副生するフェノールをその蒸留塔を介して反応系
外へ留出除去する方法を採用するのがよい。この反応蒸
留塔を採用するときには、反応容器内に蒸気状で存在す
るアルキルフェニルカーボネートの反応系外への分離が
防止され、副生フェノールのみを塔頂物として選択的に
反応系外へ分離することができる。そして、反応中に副
生するフェノールを反応系外へ連続的に抜出すことによ
り、反応平衡を生成物側に大きくずらすことができ、こ
れによって目的とするビスフェノールAビスアルキル炭
酸エステルの収率を高めることができる。
【0016】(第2工程)この第2工程は、前記第1工
程で得られたビスフェノールAビスアルキル炭酸エステ
ルに、ジフェニルカーボネートを反応させて芳香族ポリ
カーボネートを生成させる工程である。この第2工程の
反応は次式で示すことができる。
【化2】 前記式中、R1及びPhは前記と同じ意味を示す。nは
2以上の整数であり、好ましくは40〜200の整数を
示す。この第2工程における前記反応は、従来良く知ら
れている反応であり、従来公知の方法によって実施する
ことができる。また、この反応工程は、1段階又は多段
階の反応で行うことができ、あらかじめプレポリマーを
生成させ、これを縮合させて高分子量化させる方法も好
ましく採用することができる。
【0017】ビスフェノールAビスアルキル炭酸エステ
ルとジフェニルカーボネートを反応させる場合、ジフェ
ニルカーボネートの使用割合は、ビスフェノールAビス
アルキル炭酸エステル1モル当り、1〜3モル、好まし
くは1〜2モルの割合である。両者の反応温度としては
150〜320℃、好ましくは200〜300℃の温度
が採用され、その反応圧力としては、常圧、加圧又は減
圧が採用される。また、この反応は、必要に応じて触媒
及び反応溶媒を用いて実施することができる。触媒とし
ては、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、イ
ンジウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、チタン、ジルコニ
ウム等の金属又はその金属化合物が用いられる。金属化
合物としては、例えば、カルボン酸塩、ハロゲン化物、
硫酸塩、有機錯体、酸化物、硫化物、水酸化物、アルコ
キシド、有機金属等を挙げることができる。触媒を使用
する場合、その割合は、ビスフェノールAビスアルキル
炭酸エステルに対し、1×10-5〜10重量%、好まし
くは5×10-5〜5重量%である。また、反応溶媒とし
ては、反応原料であるビスフェノールAビスアルキル炭
酸エステルを溶解し得る有機溶媒であれば任意のものが
用いられる。このようなものとしては、例えば、クロロ
メタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ク
ロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリ
クロロエチレン、テトラクロロエタンなどの脂肪族ハロ
ゲン化炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼ
ン、などの芳香族ハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロ
フラン、ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフラン、
1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソ
ラン、テトラヒドロピラン、2−メチル−テトラヒドロ
ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、4−メチル
−1,3−ジオキサンなどのエーテル類;酢酸メチル、
酢酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチル
ケトンなどのケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン
などの芳香族炭化水素類などが挙げられる。
【0018】有機溶媒を用いる反応では、その反応条件
としては、反応溶媒が液相を示す条件下で行う必要があ
るため、反応圧力としては、通常、加圧が採用される。
しかし、加圧下での反応は、反応装置系の耐圧強度を大
きくする必要があるため、経済的には余り好ましいもの
ではない。従って、反応溶媒としては、その沸点が反応
温度よりも高い有機溶媒を用いるのが好ましい。このよ
うな高沸点有機溶媒の使用により、常圧下において反応
を進行させることができる。反応溶媒の使用割合は、ビ
スフェノールAビスアルキル炭酸エステルが、溶媒1重
量部に対して、0.01〜0.7重量部、好ましくは
0.02〜0.5重量部になるような割合である。
【0019】前記反応においては、その反応式(5)か
らわかるように、副生物として、次の一般式1で表わさ
れるアルキルフェニルカーボネートが副生する。 R1OCOOPh (1) (式中、R1及びPhは前記と同じ意味を示す) この副生アルキルフェニルカーボネートは、反応終了後
に反応生成物から分離することもできるが、重縮合反応
を円滑に進行させるために、反応中に反応系から分離す
るのが好ましい。副生アルキルフェニルカーボネートを
反応中に系外へ分離するには、アルキルフェニルカーボ
ネートがビスフェノールAビスアルキル炭酸エステルよ
りも低沸点の化合物であることを利用して、反応系内に
アルキルフェニルカーボネートを気相で存在させ、この
気相で存在するアルキルフェニルカーボネートを反応系
外へ分離する方法が採用される。また、気相で存在する
アルキルフェニルカーボネートを反応系外へ分離するに
は、反応系内を減圧にすること及び/又は、反応系内に
ガス状物を流通させること等の方法により、このガス状
物とともにアルキルフェニルカーボネートを反応系外へ
分離する方法があるが、好ましくは、反応装置として、
反応容器と蒸留塔を結合させた構造の反応蒸留塔を用
い、反応容器内においてビスフェノールAビスアルキル
炭酸エステルとジフェニルカーボネートとの反応を行い
ながら、副生するアルキルフェニルカーボネートをその
反応蒸留塔を介して反応系外へ留出除去する方法を採用
するのがよい。
【0020】前記した第2工程の反応により、高分子量
化された芳香族ポリカーボネートを得ることができる。
この芳香族ポリカーボネートの重量平均分子量は、通
常、6,000以上、好ましくは10,000〜50,
000、より好ましくは15,000〜40,000程
度である。
【0021】(第3工程)この第3工程は、フェノール
と、一般式R1OCOOPh(式中、R1及びPhは前記
と同じ意味を示す)で表わされるアルキルフェニルカー
ボネートとを反応させ、式PhOCOOPh(式中、P
hは前記と同じ意味を有する)で表わされるジフェニル
カーボネートとアルキルアルコール生成させる工程であ
る。この第3工程の反応は次式で示すことができる。 R1OCOOPh + PhOH (6) → PhOCOOPh + R1OH 前記反応においては、その反応式(6)からわかるよう
に、副生物としてアルキルアルコール(R1OH)が生
成する。このものは反応終了後に反応生成物を蒸留処理
することにより塔頂物として分離することができるが、
好ましくは、反応中に反応系外へ分離するのがよい。副
生アルキルアルコールを反応中に分離するには、反応温
度をアルキルアルコールの沸点以上の温度に保持し、反
応系内にアルキルアルコールを気相で存在させ、この気
相で存在するアルキルアルコールを反応系外へ分離する
方法が採用される。また、気相で存在するアルキルアル
コールを反応系外へ分離するには、反応系内にガス状物
を流通させ、このガス状物とともにアルキルアルコール
を反応系外へ分離する方法があるが、好ましくは、反応
装置として、反応容器と蒸留塔を結合させた構造の反応
蒸留塔を用い、反応容器内においてフェノールとアルキ
ルフェニルカーボネートの反応を行いながら、副生する
アルキルアルコールをその蒸留塔を介して反応系外へ塔
頂物として留出除去する方法を採用するのがよい。そし
て反応中に副生するアルキルアルコールを反応系外へ連
続的に抜出すことにより、反応平衡を生成物側に大きく
ずらすことができ、これによって目的とするジフェニル
カーボネートの収率を高めることができる。
【0022】本発明においては、第1工程で副生するフ
ェノールの少なくとも一部は、これを第3工程へ導入す
る。第2工程で副生するアルキルフェニルカーボネート
の少なくとも一部は、これを第1工程及び/又は第3工
程へ導入する。第3工程で得られるジフェニルカーボネ
ートは、これを第2工程の反応原料として第2工程へ導
入する。
【0023】この第3工程の反応において、アルキルフ
ェニルカーボネートはフェノール1モル当り、0.5〜
1.5モル、好ましくは0.8〜1.2モルの割合で用
いられる。反応温度はフェノールとアルキルフェニルカ
ーボネートの混合物が溶融状態を示す範囲の温度であれ
ばよい。反応温度が低すぎると、反応速度が遅くなると
ともに、フェノールが固相を示すようになるため、反応
が円滑に進行しなくなる。一方、反応温度が高すぎる
と、フェノールが加圧下でも気相を示すようになるた
め、反応が円滑に進行しなくなる。アルキルフェニルカ
ーボネートとしてメチルフェニルカーボネートを用いる
場合、その反応温度は、100〜350℃、好ましくは
150〜300℃である。また、アルキルフェニルカー
ボネートとして、エチルフェニルカーボネートを用いる
場合、その反応温度は、120〜350℃、好ましくは
160〜320℃である。このような反応温度において
は、フェノールとアルキルフェニルカーボネートを溶融
混合状態で常圧下で反応させることができるので、ジフ
ェニルカーボネートを効率よく得ることができる。もち
ろん加圧下で反応を行なうときには、フェノール及びア
ルキルフェニルカーボネートの沸点が上昇することか
ら、その分高い反応温度を採用することができる。前記
フェノールとアルキルフェニルカーボネートとの反応
は、触媒を用いて行うことができるが、この場合の触媒
としては、従来公知のエステル交換反応用触媒、例え
ば、ジ−n−ブチルスズオキシド、ジ−n−ブチル−ジ
フェノキシスズ、酢酸スズ、酢酸亜鉛、テトライソプロ
ポキシチタン等が挙げられる。触媒の使用量は、アルキ
ルフェニルカーボネートに対し、0.01〜5モル%程
度である。この反応は、一般的には溶媒を用いることな
く実施されるが、必要に応じ、溶媒の存在下で実施する
こともできる。
【0024】本発明の芳香族ポリカーボネートの製造方
法は、前記した第1工程、第2工程及び第3工程を必須
工程として含むものであるが、必要に応じ、さらに他の
工程を付加することもできる。
【0025】(第4工程)本発明においては、必要に応
じ、第4工程として、一般式(3) R1OCOOR1 (3) (式中、R1は前記と同じ意味を有する)で表わされる
ジアルキルカーボネートとフェノールを反応させてアル
キルフェニルカーボネートとアルキルアルコールを生成
させるアルキルフェニルカーボネート生成工程を含むこ
とができる。この工程の反応は次式で示すことができ
る。 R1OCOOR1+PhOH →R1OCOOPh+R1OH (7) この反応において、ジアルキルカーボネートは、フェノ
ール1モル当り、0.5〜1.5モル、好ましくは0.
8〜1.2モルの割合で用いられる。反応温度は、ジア
ルキルカーボネートとフェノールの混合物が溶融状態を
示す範囲の温度であればよい。反応温度が低すぎると、
反応速度が遅くなるので、反応が円滑に進行しなくな
る。一方、反応温度が高すぎると、ジアルキルカーボネ
ートが加圧下でも気相を示すようになるため、反応が円
滑に進行しなくなる。この工程は、副生するアルキルア
ルコールを反応系外に除去しながら実施するのが好まし
い。また、必要に応じ、アルキルアルコールと同伴して
系外へ留出するジアルキルカーボネートを系内に循環す
ることも好ましく行うことができる。ジアルキルカーボ
ネートとしてジメチルカーボネートを用いる場合、その
反応温度は、100〜350℃、好ましくは150〜3
00℃である。また、ジアルキルカーボネートとして、
ジエチルカーボネートを用いる場合、その反応温度は、
120〜350℃、好ましくは160〜320℃であ
る。このような反応温度においては、フェノールとジア
ルキルカーボネートを溶融混合状態で常圧下で反応させ
ることができるので、目的とするアルキルフェニルカー
ボネートを効率よく得ることができる。もちろん、加圧
下で反応を行うときには、ジアルキルカーボネートの沸
点が上昇することから、その分高い反応温度を採用する
ことができる。この反応は、触媒を用いて行うことがで
きるが、この場合の触媒としては、従来公知のエステル
交換反応用触媒、例えば、ジ−n−ブチルスズオキシ
ド、ジ−n−ブチル−ジフェノキシスズ、酢酸スズ、酢
酸亜鉛、テトライソプロポキシチタン等が挙げられる。
触媒の使用量は、フェノール1モルに対し、0.01〜
0.5モル程度である。
【0026】前記反応においては、その反応式(7)か
らわかるように、副生物としてアルキルアルコールが生
成する。このものは反応終了後に反応生成物を蒸留処理
することにより塔頂物として分離することができるが、
好ましくは、反応中に反応系外へ分離するのが好まし
い。副生アルキルアルコールを反応中に分離するには、
反応温度を反応圧力でのアルキルアルコールの沸点以上
の温度に保持し、反応系内にアルキルアルコールを気相
で存在させ、この気相で存在するアルキルアルコールを
反応系外へ分離する方法が採用される。また、気相で存
在するアルキルアルコールを反応系外へ分離するには、
反応系内に不活性ガスや低級炭化水素ガス等のガス状物
を流通させ、このガス状物とともにアルキルアルコール
を反応系外へ分離する方法があるが、好ましくは、反応
装置として、反応容器と蒸留塔を結合させた構造の反応
蒸留塔を用い、反応容器内においてフェノールとジアル
キルカーボネートの反応を行いながら、副生するアルキ
ルアルコールをその蒸留塔を介して反応系外へ留出除去
する方法を採用するのがよい。この反応蒸留塔を採用す
るときには、反応容器内に蒸気状で存在するジアルキル
カーボネートの反応系外への分離が防止され、副生アル
キルアルコールのみを塔頂物として選択的に反応系外へ
分離することができる。そして、反応中に副生するアル
キルアルコールを反応系外へ連続的に抜出すことによ
り、反応平衡を生成物側に大きくずらすことができ、こ
れによって目的とするアルキルフェニルカーボネートの
収率を高めることができる。アルキルアルコールとジア
ルキルカーボネートが共沸特性を有する場合には、適当
な共沸剤を加えることにより、アルキルアルコールを選
択的に系外へ分離させることができるを達することがで
きる。
【0027】前記第4工程を用いる場合、この第4工程
で得られるアルキルフェニルカーボネートは、これを第
1工程及び/又は第3工程へその反応原料として導入す
る。前記第4工程の反応は、必要に応じ、第3工程にお
いて、第3工程の反応と同時に行うこともできる。この
場合には、同一の反応装置を用いることができるので、
経済的に有利である。本発明で用いる各工程の反応は、
バッチ式、流通式のいずれの方式によっても実施するこ
とができる。本発明によれば、ビスフェノールAとアル
キルフェニルカーボネートを原料として用いることによ
り、あるいは第4工程を含む場合には、ビスフェノール
Aとジアルキルカーボネートとフェノールを原料として
用いることにより、芳香族ポリカーボネートを効率よく
得ることができる。
【0028】次に、本発明を図面を参照にながら説明す
る。図1は、第1工程〜第3工程からなる本発明の第1
の方法を実施する場合のフローシートの1例を示す。図
2は、第1工程〜第4工程からなる本発明の方法を実施
する場合のフローシートの1例を示す。図3は、第1工
程〜第4工程からなる本発明の方法において、第3工程
と第4工程を同時に実施する場合のフローシートの1例
を示す。図1〜図3において、Aは第1工程、Bは第2
工程、Cは第3工程、Dは第4工程を示す。
【0029】図1において、1はビスフェノールA供給
ライン、2はアルキルフェニルカーボネート供給ライン
を示す。図1に示したフローシートに従って本発明を実
施するには、ビスフェノールA及びアルキルフェニルカ
ーボネートをそれぞれライン1及びライン2を通して第
1工程Aに導入する。この第1工程Aにおいては、ビス
フェノールAとアルキルフェニルカーボネートの間のエ
ステル交換反応が行われる。この反応により、ビスフェ
ノールAビスアルキル炭酸エステルが生成するが、この
ものはライン3を通って第2工程Bに導入される。ま
た、この反応によってフェノールが副生するが、このフ
ェノールはライン4を通って第3工程Cに導入される。
第1工程Aの実施に用いる反応装置としては、通常のエ
ステル交換反応装置を用いることができるが、反応蒸留
塔を用いるのが好ましい。反応蒸留塔を用いることによ
り、副生フェノールをその反応蒸留塔の塔頂物として選
択的に分離することができる。また、反応装置として
は、通常の加熱反応装置と蒸留塔を組合せたものを用い
ることもできる。このような反応装置においては、加熱
反応装置で得られた生成物は蒸留塔に送られ、この蒸留
塔において、ビスフェノールAビスアルキル炭酸エステ
ルからなる塔底物と、フェノールからなる塔頂物とに分
離される。
【0030】第2工程Bには、ライン3を通ってビスフ
ェノールAビスアルキル炭酸エステルが導入され、ま
た、ライン7を通って第3工程Cからのジフェニルカー
ボネートが導入される。この第2工程Bにおいては、ビ
スフェノールAビスアルキル炭酸エステルとジフェニル
カーボネートとの重縮合反応が行われる。この反応によ
って芳香族ポリカーボネートが生成されるが、このもの
はライン5を通して回収される。また、この反応によっ
て副生物としてアルキルフェニルカーボネートが生成さ
れるが、このものは、ライン6を通って第3工程Cに導
入される。
【0031】ビスフェノールAビスアルキル炭酸エステ
ルとジフェニルカーボネートとの反応を実施するための
反応装置としては、その具体的反応方式に応じて適当な
構造のものを用いる。例えば、反応を反応溶媒を用いず
に行なう場合において、その反応温度を芳香族ポリカー
ボネートの溶融温度で行うときには、溶融液状の芳香族
ポリカーボネートが得られる。この場合には、その反応
装置としては、反応蒸留塔を使用し得る他、不活性ガス
や、低級炭化水素ガスなどの常温で気相を示すガス状物
を流通させ得る構造の反応装置を用いることができる。
これらの反応装置を用いるときには、副生するアルキル
フェニルカーボネートを気相状態で反応装置から分離す
ることができるとともに、生成した芳香族ポリカーボネ
ートを溶融液状で反応装置から回収することができる。
また、ビスフェノールAビスアルキル炭酸エステルとジ
フェニルカーボネートを反応溶媒中で行う場合におい
て、反応溶媒として、その沸点がビスフェノールAビス
アルキル炭酸エステルを含む反応液の溶融点よりも高い
ものを用いるときには、副生するアルキルフェニルカー
ボネートを気相状態に保持することが可能であるため
に、その反応装置としては、前記した反応蒸留塔や、ガ
ス状物を流通させ得る構造の反応装置を用いることがで
きる。そして、これらの反応装置を用いることにより、
副生するアルキルフェニルカーボネートを気相状で反応
装置から分離し、芳香族ポリカーボネートを溶液状又は
分散液状で反応装置から回収することができる。一方、
反応溶媒として、その沸点がビスフェノールAビスアル
キル炭酸エステルを含む反応液の溶融点よりも低いも
の、好ましくは副生するアルキルフェニルカーボネート
の沸点よりも高いものを用いるときには、その反応溶媒
を液相に保持するために、反応装置としては、ガス状物
を内部に流通し得る耐圧容器が用いられる。このような
装置を用いることにより、ビスフェノールAビスアルキ
ル炭酸エステルとジフェニルカーボネートとの反応を、
その反応溶媒の沸点近傍で行い、副生する低沸点のアル
キルフェニルカーボネートを反応溶媒の蒸気とともに系
外へ分離することにより反応を促進させることができ
る。反応溶媒とともに系外へ蒸気状で分離されたアルキ
ルフェニルカーボネートは、これを凝縮することにより
回収することができる。反応装置内に生成した芳香族ポ
リカーボネートは、溶液状又は分散液状で反応装置から
回収される。
【0032】第3工程Cには、ライン6を通ってアルキ
ルフェニルカーボネートが導入され、また、ライン4を
通ってフェノールが導入される。この第3工程Cにおい
ては、これらのアルキルフェニルカーボネートとフェノ
ールとの間のエステル交換反応が行われる。この反応に
より、ジフェニルカーボネートが生成され、このものは
ライン7を通って第2工程Bに導入される。また、この
反応によりアルキルアルコールが副生するが、このもの
はライン8を通って回収される。この第3工程を実施す
るための反応装置としては、第1工程を実施する場合に
示した反応装置を用いることができる。
【0033】図2において、1はビスフェノールA供給
ライン、11はジアルキルカーボネート供給ラインを示
す。図2に示したフローシートに従って本発明を実施す
るには、ビスフェノールA及びアルキルフェニルカーボ
ネートをそれぞれライン1及びライン2を通して第1工
程Aに導入する。この第1工程においては、ビスフェノ
ールAとアルキルフェニルカーボネートとの間のエステ
ル交換反応が行われる。この反応により生成したビスフ
ェノールAビスアルキル炭酸エステルはライン3を通っ
て第2工程Bに導入される。また、この反応により生成
したフェノールは、ライン4を通って、第4工程Dに導
入され、また、その一部はライン9を通って第3工程C
に導入される。第2工程Bにおいては、ライン3を通し
て導入されるビスフェノールAビスアルキル炭酸エステ
ルとライン7を通って導入されるジフェニルカーボネー
トの反応が行われる。この反応により生成した芳香族ポ
リカーボネートはライン5を通って回収される。また、
この反応により副生したアルキルフェニルカーボネート
は、ライン6を通って抜出され、ライン12を通って第
3工程Cに導入される。この場合、その一部をライン1
3を通して第1工程Aに導入することができる。
【0034】第3工程Cにおいては、アルキルフェニル
カーボネートと、ライン9を通って導入されるフェノー
ルとの反応が行われる。この反応により生成したジフェ
ニルカーボネートはライン7を通って第2工程Bに導入
される。また、この反応により生成したアルキルアルコ
ールはライン8を通って回収される。
【0035】第4工程Dにおいては、ライン11を通っ
て導入されるジアルキルカーボネートとライン4を通っ
て導入されるフェノールとの間のエステル交換反応が行
われる。この反応により生成したアルキルフェニルカー
ボネートはライン2を通って第1工程Aに導入される。
この場合、その一部をライン10を通して第3工程Cに
導入することができる。また、この反応により生成した
アルキルアルコールはライン12を通して回収すること
ができる。この第4工程Dを実施するための反応装置と
しては、第1工程Aの実施に関して示したものと同様の
装置を用いることができる。
【0036】図3において、1はビスフェノールA供給
ラインを示し、11はジアルキルカーボネート供給ライ
ンを示す。図3に示したフローシートに従って本発明を
実施するには、ビスフェノールA及びアルキルフェニル
カーボネートをそれぞれライン1及びライン2を通して
第1工程Aに導入する。この第1工程においては、ビス
フェノールAとアルキルフェニルカーボネートとの間の
エステル交換反応が行われる。この反応により生成した
ビスフェノールAビスアルキル炭酸エステルはライン3
を通って第2工程Bに導入される。また、この反応によ
り生成したフェノールは、ライン4を通って、第3工程
Cと第4工程Dを同時に実施する工程C/Dに導入され
る。
【0037】第2工程Bにおいては、ライン3を通って
導入されるビスフェノールAビスアルキル炭酸エステル
と、ライン7を通って導入されるジフェニルカーボネー
トとの反応が行われる。この反応により生成した芳香族
ポリカーボネートはライン5を通って回収される。ま
た、この反応により副生したアルキルフェニルカーボネ
ートは、ライン6を通って抜出され、ライン12を通っ
て、第3工程Cと第4工程Dを同時に実施する工程C/
Dに導入される。この場合、その一部をライン13を通
して第1工程Aに導入することができる。
【0038】第3工程Cと第4工程Dを同時に実施する
工程C/Dにおいては、ライン12を通って導入される
アルキルフェニルカーボネートと、ライン4を通って導
入されるフェノールの一部との反応が行われ、この反応
によりジフェニルカーボネートとアルキルアルコールが
生成される。また、この工程C/Dにおいては,ライン
11を通って導入されるジアルキルカーボネートと、ラ
イン4を通って導入されるフェノールの一部との反応が
行われ、アルキルフェニルカーボネートとアルキルアル
コールが生成される。そして、この工程C/Dで生成し
たジフェニルカーボネートはライン7を通して第2工程
Bに導入される。また、この工程C/Dで生成したアル
キルフェニルカーボネートはライン2を通して第1工程
Aに導入される。さらに、この工程C/Dで生成したア
ルキルアルコールはライン8を通して回収される。
【0039】図3に示したフローシートに従って本発明
を実施する場合、第2工程Bからライン6を通って抜出
されるアルキルフェニルカーボネートは、その全量をラ
イン13及びライン2を通して第1工程Aに導入するこ
とができる。また、第3工程Cと第4工程Dを同時に実
施する工程C/Dは、第1工程Aの実施に関して示した
反応装置と同様の装置を用いて実施することができる。
【0040】本発明によれば、第2の方法として、前記
した第1工程、第2工程、第3工程及び必要に応じ、さ
らに第4工程を含む方法において、その第3工程とし
て、アルキルフェニルカーボネートの不均化反応による
ジフェニルカーボネートを生成する工程を採用した方法
が提供される。この場合のアルキルフェニルカーボネー
トの不均化反応は次式で示すことができる。 R1OCOOPh → PhOCOOPh + R1OCOOR1 (8) (式中、R1及びPhは前記と同じ意味を示す)
【0041】この反応は、100〜350℃、好ましく
は150〜300℃の範囲の温度で実施することができ
る。反応は、減圧、常圧、加圧のいずれかにおいても実
施可能である。また、この反応は、触媒や溶媒の存在下
で実施することができる。触媒としては、慣用のエステ
ル交換反応触媒を用いることができる。触媒の使用量
は、アルキルフェニルカーボネートに対し、0.01〜
5モル%程度である。この反応は、反応蒸留塔を用いて
好ましく実施される。
【0042】前記アルキルフェニルカーボネートの不均
化反応により得られるジフェニルカーボネートは第2工
程に導入される。また、この反応で副生するジアルキル
カーボネートはフェノールと反応させてアルキルフェニ
ルカーボネートとなし、これを第1工程に導入すること
ができる。
【0043】次に、前記アルキルフェニルカーボネート
の不均化反応工程を第3工程として含む本発明の第2の
方法を実施する場合のフローシートの1例を図4に示
す。図4において、1はビスフェノールA供給ライン、
11はジアルキルカーボネート供給ラインを示す。図4
に示したフローシートに従って本発明を実施するには、
ビスフェノールA及びアルキルフェニルカーボネートを
それぞれライン1及びライン2を通して第1工程Aに導
入する。この第1工程においては、ビスフェノールAと
アルキルフェニルカーボネートとの間のエステル交換反
応が行われる。この反応により生成したビスフェノール
Aビスアルキル炭酸エステルはライン3を通って第2工
程Bに導入される。また、この反応により生成したフェ
ノールは、ライン4を通って、第4工程Dに導入され
る。
【0044】第2工程Bにおいては、ビスフェノールA
ビスアルキル炭酸エステルとライン7を通って導入され
るジフェニルカーボネートの反応が行われる。この反応
により生成した芳香族ポリカーボネートはライン5を通
って回収される。また、この反応により副生したアルキ
ルフェニルカーボネートは、ライン6を通って抜出さ
れ、第3工程C’に導入される。
【0045】第3工程C’においては、アルキルフェニ
ルカーボネートの不均化反応が行われる。この反応によ
り生成したジフェニルカーボネートはライン7を通って
第2工程Bに導入される。また、この反応により生成し
たジアルキルカーボネートはライン14を通って第4工
程Dに導入される。
【0046】第4工程Dにおいては、ライン11を通っ
て導入されるジアルキルカーボネートとライン4を通っ
て導入されるフェノールとの間のエステル交換反応が行
われる。この反応により生成したアルキルフェニルカー
ボネートはライン2を通って第1工程Aに導入される。
この場合、その一部をライン10を通って第3工程C’
に導入することができる。また、この反応により生成し
たアルキルアルコールはライン12を通して回収するこ
とができる。
【0047】本発明で反応原料として用いるジアルキル
カーボネートは、アルコールに一酸化炭素と酸素を反応
させて得ることができる。この場合の反応は次式で示す
ことができる。 2R1OH+CO + 1/2 O2 → R1OCOOR1 + H2O (8) (前記式中、R1は前記で示したのと同じ意味を有す
る) このジアルキルカーボネートの生成工程を本発明の工程
に結合させ、本発明のプロセスで副生するアルキルアル
コールをこのジアルキルカーボネート生成工程へ循環さ
せることにより、経済的によりすぐれた芳香族ポリカー
ボネート製造プロセスを得ることができる。このプロセ
スにおいては、反応原料としてビスフェノールA、酸素
及び一酸化炭素を原料として芳香族ポリカーボネートを
得ることができる。
【0048】また、本発明で反応原料として用いるジア
ルキルカーボネートは、アルコールに炭酸エチレンを反
応させて得ることができる。この場合の反応は次式で示
すことができる。 2R1OH+C242CO → R1OCOOR1+HOC24OH (9) (前記式中、R1は前記で示したものと同じ意味を有す
る) このジアルキルカーボネートの生成工程を本発明の工程
に結合させ、本発明のプロセスで副生するアルキルアル
コールをこのジアルキルカーボネート生成工程へ循環さ
せることにより、経済的によりすぐれた芳香族ポリカー
ボネート製造プロセスを得ることができる。またこの炭
酸エチレンは、エチレンオキシドと炭酸ガスの反応によ
って得られるので、このプロセスにおいて、エチレンオ
キシドからエチレングリコールを製造することを伴ない
ながら、反応原料としてビスフェノールA及び二酸化炭
素を原料として芳香族ポリカーボネートを得ることがで
きる。
【0049】
【発明の効果】本発明においては、芳香族ポリカーボネ
ートを得るための重縮合反応用原料であるビスフェノー
ルAビスアルキル炭酸エステルを合成する反応工程とし
て、特定の触媒を用いるビスフェノールAとアルキルフ
ェニルカーボネートとの間のエステル交換反応からなる
工程を用いたことにより、ビスフェノールAビスアルキ
ル炭酸エステルを高反応速度でかつ高収率で経済的に得
ることができる。本発明で用いるアルカリ金属イオン及
び/又はアルカリ土類金属イオンは反応混合物中に微量
存在するだけで前記反応を円滑に進行させ、しかも、反
応後には、反応生成物を陽イオン交換樹脂で処理した
り、反応生成物を水洗したり、あるいは中和し、水洗す
ること等により、反応生成物から容易に除去することが
できる。しかも、これらのアルカリ金属イオンやアルカ
リ土類金属イオンは、従来の有機スズ化合物触媒とは異
なり、安全性の非常に高いものである。さらに、本発明
で用いるアルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金
属イオンを含有する多孔質物質からなる触媒は、反応
後、反応生成物から容易に分離することができるため
に、その使用量は限定されず、反応を高度に促進させる
ために多量使用することが可能である。また、本発明の
主な反応工程である第1工程、第2工程及び第3工程の
それぞれから得られる副生物はいずれも有効利用するこ
とができるため、本発明の方法は、経済性において非常
にすぐれている。
【0050】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。なお、分子量はGPCで測定した重量平均分子量
(Mw)の値で示した。
【0051】実施例1(第1工程) 冷却機及び撹拌器を備えた容量300mlのフラスコ
に、ビスフェノールA(m.p.:156℃)45.6
g(0.2モル)と、メチルフェニルカーボネート(沸
点約212℃)76g(0.5モル)及び水酸化ナトリ
ウムを0.3mg(ナトリウムとして、ビスフェノール
A1000モルに対して1/27グラムイオン)入れ、
その内部を窒素で置換させた後、撹拌しながら温度15
0℃で反応を行なった。反応2時間後の反応混合物を分
析した結果、ビスフェノールAビスメチル炭酸エステル
の収率は、ビスフェノールA基準で34.5%であっ
た。反応終了後反応生成物を熱水洗浄した後、この生成
物中のナトリウム濃度を分析したところ0.1ppm以
下であった。
【0052】実施例2(第1工程) 実施例1において、水酸化ナトリウム0.08mg(ナ
トリウムイオンとしてビスフェノールA1000モルに
対して1/100グラムイオン)を用いた以外は同様に
して実験を行った。反応4時間後の反応混合物を分析し
た結果、ビスフェノールAビスメチル炭酸エステルの収
率は、ビスフェノールA基準で33.0%であった。反
応終了後、反応生成物を陽イオン交換樹脂で処理した
後、この生成物中のナトリウム濃度を分析したところ
0.1ppm以下であった。
【0053】比較例1(比較第1工程) 実施例1において、触媒としてジブチルスズオキシ0.
125gを用いた以外は同様にして実験を行った。 この反応において反応時間:5時間において、ビスフェ
ノールAビスメチル炭酸エステルの収率はビスフェノー
ルA基準で17.0%であった。この反応生成液を実施
例1と同様に熱水洗浄処理をしたが、ジブチルスズオキ
シドの除去はできなかった。
【0054】実施例3(第1工程) 撹拌器を有する内容積2リットルの蒸留フラスコに、ビ
スフェノールA364.8g(1.6モル)と、メチル
フェニルカーボネート608g(4モル)及び水酸化ナ
トリウム0.97mg(ナトリウムイオンとしてビスフ
ェノールA1000モルに対して1/65グラムイオ
ン)を入れ、その内部を窒素で置換させた後、温度:1
50℃、圧力:100torrの条件で、副生するフェ
ノール(BP:182℃)を留去させながら10時間反
応を行った。その間反応温度を180℃まで順次昇温し
た。その後、残存するメチルフェニルカーボネートを完
全に留去するため、反応温度200℃、圧力:20to
rrで1時間保持した。反応生成物の分析の結果、ビス
フェノールAビスメチル炭酸エステルの収率はビスフェ
ノールA基準で97%であった。反応終了後、反応反応
生成物を熱水洗浄した後、この生成物中のナトリウム濃
度を分析したところ、0.1ppm以下であった。
【0055】実施例4(第1工程) 冷却機及び撹拌器を備えた容量300mlのフラスコ
に、ビスフェノールA(m.p.:156℃)45.6
g(0.2モル)と、メチルフェニルカーボネート(沸
点約212℃)76g(0.5モル)及び乾燥処理した
SiO2/Al23モル比が2のA型ゼオライトのカリ
ウム(K)イオン交換ゼオライト粉末(ユニオン昭和社
製、ゼオライト3A)を12.16g入れ、その内部を
窒素で置換させた後、撹拌しながら温度150℃で反応
を行なった。反応5分後の反応混合物を分析した結果、
ビスフェノールAビスメチル炭酸エステルの収率は、ビ
スフェノールA基準で31.1%であった。
【0056】実施例5(第1工程) 実施例4において、カリウム(K)イオン交換ゼオライ
トに代えてナトリウム(Na)イオン交換ゼオライト
(ユニオン昭和社製、ゼオライト4A)を用いた以外は
同様にして実験を行った。反応5分後の反応混合物を分
析した結果、ビスフェノールAビスメチル炭酸エステル
の収率は、ビスフェノールA基準で35.0%であっ
た。
【0057】実施例6(第1工程) 撹拌器を有する内容積1リットルの蒸留フラスコに、ビ
スフェノールA285g(1.25モル)と、メチルフ
ェニルカーボネート475g(3.125モル)及びナ
トリウムイオン交換ゼオライト38.0gを入れ、その
内部を窒素で置換させた後、温度:150℃、圧力:1
00torrの条件で、副生するフェノール(6P:1
82℃)を留去させながら8時間反応を行った。その間
反応温度を180℃まで順次昇温した。その後、残存す
るメチルカーボネートを完全に留去するため、反応温度
200℃、圧力:20torrで1時間保持した。この
ものは分析の結果、ビスフェノールAビスメチル炭酸エ
ステルの収率はビスフェノールA基準で98%であっ
た。
【0058】実施例7(第2工程) 実施例6と同様にして得たビスフェノールAビスメチル
炭酸エステル688g(2モル)と、ジフェニルカーボ
ネート642g(3モル)と、触媒としてのジブチルス
ズオキシド150mgを実施例1で示した反応容器に入
れ、反応容器内の温度を280℃に保持し、その内部に
230℃に加熱したアルゴンガスを流通させ、副生する
メチルフェニルカーボネートを留去しながら4時間保持
したのち、更に系を5Torrの減圧下にし、6時間反
応させた。その後、加熱を停止し、反応容器の内容物を
外部に抜出し、冷却した。このようにして得られた芳香
族ポリカーボネートの重量平均分子量は約24,000
であった。
【0059】実施例8(第2工程) 実施例7において、減圧下での反応時間として1時間を
採用した以外は同様にして実験を行い、平均分子量が約
5,500のプレポリマーを得た。次に、このプレポリ
マー250gを、塩化メチレン5リットルに完全に溶解
した後、減圧下で、塩化メチレンを蒸発除去することに
よって顆粒状のプレポリマーを得た。
【0060】次に、このプレポリマーをフラスコに入
れ、220℃に加熱したアルゴンガスを流通させながら
220℃の温度で20時間加熱して固体状のポリマーを
得た。このポリマー(芳香族ポリカーボネート)の重量
平均分子量は29,000であった。
【0061】実施例9(第2工程) 実施例7に示した反応容器に、ビスフェノールAビスメ
チル炭酸エステル688gと、ジフェニルカーボネート
642(3モル)を入れ、実施例7と同様の実験を行な
った。この場合に得られた芳香族ポリカーボネートの重
量平均分子量は19,000であった。
【0062】実施例10(第3工程) フェノール94g、メチルフェニルカーボネート152
g及び触媒としてのジブチルスズオキシド1.0gを反
応容器に入れ、その内部に100℃に加熱したアルゴン
を流通させ、副生するメタノールを留去させながら、反
応容器内の温度200℃に保持し、反応を行った。3時
間の反応により、得られた反応液を分析したところ、ジ
フェニルカーボネートへの変換率は40%であった。
【0063】実施例11(第3工程) メチルフェニルカーボネートの不均化反応を行うため
に、メチルフェニルカーボネート152g及び触媒とし
てのジブチルスズオキシド1.0gを反応容器に入れ、
その内部に180℃に加熱したアルゴンを流通させ、副
生するジメチルカーボネートを留去させながら、反応容
器内の温度250℃に保持し、反応を行った。6時間の
反応により、得られた反応液を分析したところ、メチル
フェニルカーボネートの転化率は88%であり、そのジ
フェニルカーボネートの選択率は50%であった。
【0064】実施例12(第4工程) ジメチルカーボネート90gと、フェノール94gと、
触媒としてのジブチルスズオキシド0.1gをオートク
レーブに入れ、反応容器内の温度250℃に保持し、反
応を行った。3時間の反応により得られた反応液を分析
したところ、フェノールの転化率は10.3%であり、
そのメチルフェニルカーボネートの選択率は97.7%
であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施する場合のフローシートの
一例を示す。
【図2】図1に示したフローシートの変更例を示す。
【図3】図1に示したフローシートの他の変更例を示
す。
【図4】本発明のもう一つの方法を実施する場合のフロ
ーシートの一例を示す。
【符号の説明】
A 第1工程 B 第2工程 C、C’ 第3工程 D 第4工程 1 ビスフェノールA供給ライン 2 アルキルフェニルカーボネート供給ライン 11 ジアルキルカーボネート供給ライン 5 芳香族ポリカーボネート回収ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 一彰 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内 (72)発明者 山本 進 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央二丁目12番 1号 千代田化工建設株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)ビスフェノールAと一般式(1) R1OCOOPh (1) (式中、R1はメチル基又はエチル基を示し、Phはフ
    ェニル基を示す)で表わされるアルキルフェニルカーボ
    ネートとの混合物を、触媒として、アルカリ金属イオン
    及びアルカリ土類金属イオンの中から選ばれる少なくと
    も1種の金属イオン又は該金属イオンを含有する多孔質
    物質を用い、溶融状態で反応させて、一般式(2) R1OCOOPh−C(CH32−PhOCOOR1 (2) (式中、R1及びPhは前記と同じ意味を有する)で表
    わされるビスフェノールAビスアルキル炭酸エステルと
    フェノールを生成させる第1工程と、(ii)前記第1
    工程で得られるビスフェノールAビスアルキル炭酸エス
    テルとジフェニルカーボネートを反応させて、芳香族ポ
    リカーボネートとアルキルフェニルカーボネートを生成
    させる第2工程と、(iii)前記一般式(1)で表わ
    されるアルキルフェニルカーボネートとフェノールを反
    応させて、ジフェニルカーボネートとアルキルアルコー
    ルを生成させる第3工程からなり、第1工程で副生する
    フェノールの少なくとも一部を第3工程へ導入するとと
    もに、第2工程で副生するアルキルフェニルカーボネー
    トの少なくとも一部を第1工程及び/又は第3工程へ導
    入し、第3工程で得られるジフェニルカーボネートを第
    2工程へ導入することを特徴とする芳香族ポリカーボネ
    ートの製造方法。
  2. 【請求項2】 一般式(3) R1OCOOR1 (3) (式中、R1はメチル基又はエチル基を示す)で表わさ
    れるジアルキルカーボネートとフェノールを反応させ
    て、アルキルフェニルカーボネートとアルキルアルコー
    ルを生成させる第4工程を含み、この工程で得られるア
    ルキルフェニルカーボネートを第1工程及び/又は第3
    工程へ導入する請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 第4工程におけるアルキルフェニルカー
    ボネート生成反応を、第3工程において、第3工程の反
    応と同じに行う請求項2の方法。
  4. 【請求項4】 第1工程で得られるフェノールの一部
    を、第4工程へ導入する請求項2の方法。
  5. 【請求項5】 第1工程及び第3工程の反応のそれぞれ
    を、蒸留塔と反応容器を結合させた反応蒸留塔を用い、
    反応で副生する化合物をその蒸留塔の塔頂物として分離
    しながら行う請求項1〜4のいずれかの方法。
  6. 【請求項6】 第4工程の反応を、蒸留塔と反応容器を
    結合させた反応蒸留塔を用い、反応で副生するアルキル
    アルコールをその蒸留塔の塔頂物として分離しながら行
    う請求項2の方法。
  7. 【請求項7】 (i)ビスフェノールAと一般式(1) R1OCOOPh (1) (式中、R1はメチル基又はエチル基を示し、Phはフ
    ェニル基を示す)で表わされるアルキルフェニルカーボ
    ネートとの混合物を、触媒として、アルカリ金属イオン
    及びアルカリ土類金属イオンの中から選ばれる少なくと
    も1種の金属イオン又は該金属イオンを含有する多孔質
    物質を用い、溶融状態で反応させて、一般式(2) R1OCOOPh−C(CH32−PhOCOOR1 (2) (式中、R1及びPhは前記と同じ意味を有する)で表
    わされるビスフェノールAビスアルキル炭酸エステルと
    フェノールを生成させる第1工程と、(ii)前記第1
    工程で得られるビスフェノールAビスアルキル炭酸エス
    テルとジフェニルカーボネートを反応させて、芳香族ポ
    リカーボネートとアルキルフェニルカーボネートを生成
    させる第2工程と、(iii)前記一般式(1)で表わ
    されるアルキルフェニルカーボネートを不均化反応させ
    て、ジフェニルカーボネートとジアルキルカーボネート
    を生成させる第3工程からなり、第2工程で副生するア
    ルキルフェニルカーボネートの少なくとも一部を第1工
    程及び/又は第3工程へ導入するとともに、第3工程で
    得られるジフェニルカーボネートを第2工程へ導入する
    ことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  8. 【請求項8】 一般式(3) R1OCOOR1 (3) (式中、R1メチル基又はエチル基を示す)で表わされ
    るジアルキルカーボネートとフェノールを反応させてア
    ルキルフェニルカーボネートとアルキルアルコールを生
    成させる第4工程を含み、この工程で得られるアルキル
    フェニルカーボネートを第1工程及び/又は第3工程へ
    導入する請求項7の方法。
  9. 【請求項9】 第3工程で得られるジアルキルカーボネ
    ートを第4工程へ導入する請求項8の方法。
  10. 【請求項10】 第1工程及び第3工程の反応のそれぞ
    れを、蒸留塔と反応容器を結合させた反応蒸留塔を用
    い、反応で副生する化合物をその蒸留塔の塔頂物として
    分離しながら反応を行う請求項9の方法。
  11. 【請求項11】 第4工程の反応を、蒸留塔と反応容器
    を結合させた反応蒸留塔を用い、反応で副生するアルキ
    ルアルコールをその蒸留塔の塔頂物として分離しながら
    を行う請求項8の方法。
  12. 【請求項12】 金属イオンを含む多孔質物質がゼオラ
    イトである請求項1〜11のいずれかの方法。
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