JPH0959224A - アルキルアリールカーボネートの製造方法 - Google Patents

アルキルアリールカーボネートの製造方法

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JPH0959224A
JPH0959224A JP7209722A JP20972295A JPH0959224A JP H0959224 A JPH0959224 A JP H0959224A JP 7209722 A JP7209722 A JP 7209722A JP 20972295 A JP20972295 A JP 20972295A JP H0959224 A JPH0959224 A JP H0959224A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルキルアリールカーボネート類を効率よく
高純度で工業的に製造する方法を提供する。 【解決手段】 ジアルキルカーボネートとジアリールカ
ーボネートのエステル交換反応により得られた反応混合
物からアルキルアリールカーボネートを蒸留分離し、他
の留分および蒸留残留物をエステル交換反応系ヘリサイ
クルする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルキルアリール
カーボネートを製造する方法に関するものであり、より
詳細にはジアルキルカーボネートとジアリールカーボネ
ートをエステル交換させることによりアルキルアリール
カーボネートを製造する方法において、反応混合物から
目的とするアルキルアリールカーボネートを蒸留分離し
た後、他の留分及び蒸留残留物をエステル交換反応に再
利用することにより、優れた収率および選択率で、効率
的にアルキルアリールカーボネートを製造する方法に関
する。アルキルアリールカーボネートは、溶媒、特にリ
チウムイオン2次電池用の溶媒として有用な化合物であ
る。
【0002】
【従来の技術】アルキルアリールカーボネートはポリカ
ーボネート合成用の原料として有用なジアリールカーボ
ネートの反応中間体として公知の化合物である。しかし
ながら、広く研究されているのは、ジアルキルカーボネ
ートと芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させ、アルキル
アリールカーボネートとジアリールカーボネートの混合
物を経て、ジアリールカーボネートを効率よく製造する
方法に関するものである。例えば、反応速度を高めるた
めの触媒開発の例として、特開昭54−48733号公
報、特開昭54−63023号公報、特開昭60−16
9444号公報、特開昭62−277345号公報、特
開平1−265063号公報等に記載の有機スズアルコ
キシドや有機スズオキシド類などのスズ化合物;特開昭
56−25138号公報に記載のアルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の塩類及びアルコキシド類;特開昭57
−176932号公報に記載の鉛化合物類;特開昭58
−185536号公報に記載のチタン酸エステル類等が
提案されている。
【0003】また、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒ
ドロキシ化合物から連続的に効率よくジアリールカーボ
ネートを製造する反応方式に関するものとして、特開平
3−291257号公報やW092/18458号公報
に、エステル交換反応により生成するメタノールを反応
系から連続的に抜き出しながらジアリールカーボネート
を製造する方法が提案されている。
【0004】従って、従来、アルキルアリールカーボネ
ートは反応の中間体として、芳香族ヒドロキシ化合物、
ジアルキルカーボネート及びジフェニルカーボネートと
の混合物として存在することはあっても、アルキルアリ
ールカーボネートそのものの用途自体が無かったため
に、アルキルアリールカーボネートそのものを純度良く
製造する方法についての提案はなされていなかった。仮
に、上記アルキルアリールカーボネート、芳香族ヒドロ
キシ化合物、ジアルキルカーボネート及びジフェニルカ
ーボネートとの混合物からアルキルアリールカーボネー
トを製造しようとしても、その濃度が低いために高純度
のアルキルアルキルカーボネートを得るためには多大の
手間暇を要し、到底工業的製造法として成り立つもので
はなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような現
状に鑑みてなされたもので、アルキルアリールカーボネ
ート類を効率よく高純度で工業的に製造する方法を提供
することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはアルキルア
リールカーボネートを製造するに当たり、ジアルキルカ
ーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物を反応させるので
はなく、容易に入手可能なジアルキルカーボネートとジ
アリールカーボネートを出発原料に選び、両者を触媒存
在下でエステル交換反応させること、および得られた反
応混合物を蒸留操作に付して、目的とするアルキルアリ
ールカーボネートを回収し、他の留分および蒸留残留物
をエステル交換反応に再利用することことにより、前記
の課題を容易に解決し得ることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0007】即ち、本発明の第1は、ジアルキルカーボ
ネートとジアリールカーボネートのエステル交換反応に
より得られた反応混合物からアルキルアリールカーボネ
ートを蒸留分離し、他の留分および蒸留残留物をエステ
ル交換反応系ヘリサイクルすることを特徴とするアルキ
ルアリールカーボネートの製造方法であり、本発明の第
2は、前記反応混合物を第1蒸留操作に付して、ジアル
キルカーボネートを主体とする第1留分およびアルキル
アリールカーボネートを主体とする第2留分を取得する
第1蒸留工程;次いで該第2留分を第2蒸留操作に付し
て、ジアルキルカーボネートを含有する初留分および高
純度アルキルアルキルカーボネートからなる製品留分を
取得する第2蒸留工程;前記第1及び第2留分、第1蒸
留残留物、前記初留分および第2蒸留残留物をエステル
交換反応系へリサイクルする工程からなるアルキルアリ
ールカーボネートの製造方法であり、本発明の第3は、
前記反応混合物からエステル交換反応に使用された触媒
を分離した後に蒸留操作に付して、ジアルキルカーボネ
ートを主体とする第1留分、高純度アルキルアリールカ
ーボネートからなる製品留分およびジアリールカーボネ
ートを主体とする第3留分を取得し、得られた第1留
分、第3留分および蒸留残留物をエステル交換反応系へ
リサイクルする、アルキルアリールカーボネートの製造
方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で原料として使用されるジ
アルキルカーボネートは下記一般式(I)で表される化
合物である。
【0009】
【化1】
【0010】具体的には、例えば、メチル、エチル、n
−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチ
ル、イソブチル、t−ブチル、メチルシクロプロピル等
の炭素数が1〜4個までのアルキル基を持つジアルキル
カーボネートが使用されるが、中でも炭素数が1〜2で
ある、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート
が特に好ましい。
【0011】本発明方法のもう一つの原料であるジアリ
ールカーボネートは下記一般式(II)で示される化合物
で、原料ジアルキルカーボネートの2つのアルキル基が
芳香族基(Ar:アリール基)で置換された化合物であ
る。
【0012】
【化2】
【0013】具体的には、ジフェニルカーボネート、ジ
トリルカーボネート、ジキシリルカーボネート、ジ(エ
チルフェニルカーボネート)、ジ(n−プロピルフェニ
ル)カーボネート等のアリール基の炭素数が6〜9個ま
でのジアリールカーボネートが使用されるが、最も好ま
しいものとしては、ジフェニルカーボネートが挙げられ
る。
【0014】また、本発明でいうアルキルアリールカー
ボネートとは一般式(III)で示される炭素数が1〜4
個までのアルキル基と炭素数が6〜9個までのアリール
基を有するカーボネートである。
【0015】
【化3】
【0016】具体的には、メチルフェニルカーボネー
ト、エチルフェニルカーボネート、n−プロピルフェニ
ルカーボネート、イソプロピルフェニルカーボネート、
シクロプロピルフェニルカーボネート、n−ブチルフェ
ニルカーボネート、イソブチルフェニルカーボネート、
t−ブチルフェニルカーボネート、メチルシクロプロピ
ルフェニルカーボネート、メチルトリルカーボネート、
エチルトリルカーボネート、n−プロピルトリルカーボ
ネート、イソプロピルトリルカーボネート、シクロプロ
ピルトリルカーボネート、n−ブチルトリルカーボネー
ト、イソブチルトリルカーボネート、t−ブチルトリル
カーボネート、メチルシクロプロピルトリルカーボネー
ト、メチルキシリルカーボネート、エチルキシリルカー
ボネート、n−プロピルキシリルカーボネート、イソプ
ロピルキシリルカーボネート、シクロプロピルキシリル
カーボネート、n−ブチルキシリルカーボネート、イソ
ブチルキシリルカーボネート、t−ブチルキシリルカー
ボネート、メチルシクロプロピルキシリルカーボネー
ト、メチルシクロプロピルトリルカーボネート、メチル
(エチルフェニル)カーボネート、エチル(エチルフェ
ニル)カーボネート、n−プロピル(エチルフェニル)
カーボネート、イソプロピル(エチルフェニル)カーボ
ネート、シクロプロピル(エチルフェニル)カーボネー
ト、n−ブチル(エチルフェニル)カーボネート、イソ
ブチル(エチルフェニル)カーボネート、t−ブチル
(エチルフェニル)カーボネート、メチルシクロプロピ
ル(エチルフェニル)カーボネート、メチル(n−プロ
ピルフェニル)カーボネート、エチル(n−プロピルフ
ェニル)カーボネート、n−プロピル(n−プロピルフ
ェニル)カーボネート、イソプロピル(n−プロピルフ
ェニル)カーボネート、シクロプロピル(n−プロピル
フェニル)カーボネート、n−ブチル(n−プロピルフ
ェニル)カーボネート、イソブチル(n−プロピルフェ
ニル)カーボネート、t−ブチル(n−プロピルフェニ
ル)、カーボネート、メチルシクロプロピル(n−プロ
ピルフェニル)カーボネート、メチルシクロプロピルト
リルカーボネート等であり、最も代表的なものとして
は、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカー
ボネートが挙げられる。
【0017】本発明のエステル交換反応で、原料として
用いるジアルキルカーボネートとジアリールカーボネー
トの割合は理論的にはモル比で1:1であるが、これに
制限されるのではなく広い範囲で用いることが可能であ
り、通常1:20〜20:1、好ましくは3:1〜1:
3の範囲である。また、反応温度は、通常、30〜30
0℃、好ましくは50〜200℃の範囲である。その
際、圧力は反応液の蒸気圧によって規定されるべきもの
であり、特に制限はなく、エステル交換反応への影響は
少ない。
【0018】本発明において、触媒存在下にジアルキル
カーボネートとジアリールカーボネートをエステル交換
反応させる反応系式としては、回分式反応でも流通式反
応でも良く特に制限されるものではなく、反応液の滞留
時間が30分〜100時間の条件で実施することができ
る。反応に使用される触媒としては、エステル交換に一
般的に用いられるものであればどのようなものでも良
い。例えば、硫酸、リン酸等の無機酸、ナトリウムメチ
ラート、ナトリウムエチラート等の炭素数1〜8のアル
キル基またはシクロアルキル基を有するアルキル金属ま
たはアルカリ土類金属のアルコキシド、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸マグルシウム、炭酸水素ナトリ
ウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属またはアルカ
リ土類金属の炭酸塩または重炭酸塩、鉄、錫、コバル
ト、バナジウム等の遷移金属のアルコキシドまたはハロ
ゲン化物、酸化ホウ素、ホウ酸等のホウ酸化合物、酸化
鉛、硫化鉛、水酸化鉛、炭酸鉛、酢酸鉛等の無機鉛化合
物、ジフェノキシ鉛等の有機鉛化合物、四塩化チタン、
二酸化チタン等の無機チタン化合物、テトラエチルチタ
ン、テトラブチルチタン、ジエチルジブチルチタン等の
有機チタン化合物、モリブデン酸ナトリエム、酸化ビス
マス、二酸化テルル、酸化スカンジウム、マンガンアセ
チルアセナト、ジルコニウムアセチルアセトン等のモリ
ブデン、ビスマス、テルル、スカンジウム、マンガン、
ジルコニウムの化合物が挙げられる。これらの触媒は、
反応条件において反応液に溶解し得るものであっても、
溶解し得ないものであってもよい。
【0019】また、これらの触媒は反応に不活性な化合
物や担体と混合したり、あるいはこれらに担持させて使
用することもできる。もちろん、これらの触媒成分が反
応系内に存在する有機化合物、例えば、ジアルキルカー
ボネート、ジアリールカーボネート類と反応したもので
あってもよいし、反応に先立って原料や生成物で処理さ
れたものであってもよい。これらの触媒では、副反応の
割合、触媒の溶解性及び回収性から、遷移金属のアルコ
キシドまたはハロゲン化物、鉛化合物、チタン化合物及
びモリブデン、ビスマス、テルル、スカンジウム、マン
ガン、ジルコニウムの化合物が好ましく、中でもチタン
化合物、鉛化合物、錫化合物、ジルコニウム化合物が特
に好ましい。触媒の使用量は、使用する触媒の種類によ
って異なるが、反応液中1〜50000ppm 、好ましく
は5〜1000ppm である。
【0020】本発明においては、必ずしも溶媒を使用す
る必要はないが、反応操作を容易にする等の目的で適当
な不活性溶媒、例えば、エーテル類、脂肪族炭化水素
類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、
ハロゲン化芳香族炭化水素類等を反応溶媒として用いる
ことができる。また、反応に不活性な物質として窒素、
ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを反応系に共存させ
てもよい。
【0021】エステル交換反応によって得られた反応混
合物は、目的とするアルキルアリールカーボネートの
外、未反応のジアルキルカーボネート及びジアリールカ
ーボネート、触媒、場合により溶媒、副生物としてフェ
ノール等を含有する。該反応混合物をそのまま、あるい
は濾過、遠心分離等によって触媒を分離するか、中和、
分解など化学的に不活性化した後、蒸留操作により高純
度の目的とするアルキルアリールカーボネートを得るこ
とができる。該アルキルアリールカーボネート以外の留
分および蒸留残留物はエステル交換反応系へリサイクル
される。この際の蒸留条件としては、理論段として2段
以上、好ましくは10〜100段の精留効果を持つ蒸留
塔を用いて、圧力1〜1000mmHg、このましくは5〜
100mmHgの範囲内で行われる。
【0022】本発明による好ましい態様によれば、エス
テル交換反応により得られた反応混合物をそのまま2段
階の蒸留操作に付すことにより高純度のアルキルアリー
ルカーボネートを効率よく得ることができる。即ち、第
1蒸留工程において、該反応混合物から蒸留塔の塔頂よ
りジアルキルカーボネートを主成分とする第1留分(初
留分)を留出させ、続いて目的物であるアルキルアリー
ルカーボネートを主成分とする第2留分(粗製品留分)
を留出させ、次いで第2蒸留工程において該第2留分か
らジアルキルカーボネートを含有する初留分を、続いて
高純度アルキルアルキルカーボネートからなる製品留分
を留出させることにより、蒸留釜にはジアリールカーボ
ネートを主成分として含む残留物が得られる。第1蒸留
工程で得られた第1留分、第2留分および蒸留残留物、
並びに第2蒸留工程で得られた初留分および蒸留残留物
はエステル交換反応系へリサイクルされる。この態様
は、用いた触媒を繰り返し使用できる利点を有する。し
かし、第1蒸留工程では、触媒存在下で蒸留を行うの
で、エステル交換逆反応が生じる可能性がある。よっ
て、第1蒸留工程での反応液の滞留時間を反応時間に対
して十分小さくすることが必要であり、通常3時間以
内、好ましくは1時間以内で蒸留を行うことが好まし
い。
【0023】本発明による他の好ましい態様によれば、
反応混合物を、触媒を分離または不活性化した後蒸留操
作に付して、ジアルキルカーボネートを主成分とする第
1留分(初留分)、目的物であるアルキルアリールカー
ボネートを主成分とする第2留分(製品留分)、アルキ
ルアリールカーボネートとジアリールカーボネートを含
む第3留分(後留分)の順に留出させ、蒸留釜にはジア
リールカーボネートを主成分として含む残留物が得られ
る。得られた第1留分、第3留分および残留物はエステ
ル交換反応系へリサイクルされる。この態様は、1回の
蒸留で目的とする高純度アルキルアリールカーボネート
が得られる利点を有する。
【0024】エステル交換反応系へリサイクルされる留
分および蒸留残留物(以下これら併せて「残液混合物」
ということがある)は、分離した触媒または新たな触媒
が加えられ、さらに、必要量のジアルキルカーボネート
とジアリールカーボネートを追加して、エステル交換反
応が行われ、目的とするアルキルアリールカーボネート
が製造される。この場合のエステル交換反応の条件は、
前記の最初のエステル交換反応と同様の条件で行うこと
ができる。残液混合物のエステル交換反応後、反応混合
物は前記の最初のエステル交換反応の場合と同様に蒸留
操作に付すことにより、目的のアルキルアリールカーボ
ネートを蒸留分離し、残液混合物は再度エステル交換反
応へリサイクルされる。このような操作を繰り返すこと
により、原料として用いたジアルキルカーボネートとジ
アリールカーボネートから目的とするアルキルアリール
カーボネートを効率良く製造することができる。残液混
合物のリサイクルは少なくとも3度、好ましくは4〜1
0度行うことが、目的物であるアルキルアリールカーボ
ネートの収率向上の観点から望ましい。なお、蒸留操作
により生じる残液混合物は、通常その全量がリサイクル
されるが、必要に応じて、副生物の蓄積を避けるため
に、蒸留留分及び/又は残留物の一部を系外に取り除
き、残部をリサイクルすることもできる。
【0025】出発原料としてジメチルカーボネート(D
MC)及びジフェニルカーボネート(DPC)を使用し
て、メチルフェニルカーボネート(MPC)を製造する
本発明方法の代表的なプロセスフローを図1に示す。原
料ジメチルカーボネート及びジフェニルカーボネートお
よび触媒、場合により溶媒がライン1から反応器Aに供
給され、そこでエステル交換反応が行われる。得られた
反応混合物はライン2を通して第1蒸留塔Bへ移送さ
れ、そこで第1蒸留操作に付される。初留分としてDM
Cを主体とし且つ少量のMPCを含有する第1留分をラ
イン3より留出させ、ライン4を通して残液混合物槽D
へ送られる。続いてMPCを主体とし且つ少量のDMC
及びDPCを含有する粗製品留分(第2留分)を留出
さ、ライン3及び5を通して第2蒸留塔Cへ供給する。
第2蒸留塔Cにおいて、その第1留分(初留分)として
MPCと共にDMCをライン6から留出させ、これをラ
イン7を通して残液混合物槽Dへ移送する。続いて、高
純度MPCからなる製品留分をライン6から留出させ、
ライン8より製品として回収する。第1及び第2蒸留塔
の蒸留残留物は、それぞれライン9及び10より抜き出
され、残液混合物槽Dへ送られる。この槽に蓄えられた
製品MPC以外の留分及び蒸留残留物からなる混合物は
ライン10より反応塔Aへ循環され、エステル交換反応
に利用される。なお、上記反応器Aおよび上記蒸留塔B
に代えて、蒸留塔を備えた反応器を使用することも可能
であり、この場合は設備費を軽減することができる。
【0026】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明の方法を具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。 参考例1(エステル交換反応) 撹拌機、温度計、還流冷却器及び理論段5段の精留塔を
備えた反応容器(3リットル)内に、ジメチルカーボネ
ート(DMC)756.8g(8.4mol)とジフェニル
カーボネート(DPC)899.0g(4.2mol)及び
触媒としてジブチル錫オキシド7.5g(42mmol)を
入れ、撹拌下加熱し、DMCを全還流させつつ常圧で2
5時間反応させた。この間、反応器の内温は100℃か
ら徐々に上昇し、25時間後には150℃に達した。得
られた反応混合物をガスクロマトグラフで分析したとこ
ろ、反応混合物中のカーボネートの比率は、それぞれD
MC34.7重量%、DPC29.0重量%、メチルフェ
ニルカーボネート(MPC)36.1重量%であった。
DPCに対するMPCの反応収率は47.1%であっ
た。
【0027】実施例1 参考例1で得られた反応混合物から高純度のMPCを製
造するために、先ず軽沸分留去と触媒除去の予備蒸留
(第1蒸留)を行い、次いで得られた粗MPC留分を精
製蒸留(第2蒸留)した。前記予備蒸留は、参考例1の
反応装置をそのまま用いて、まず圧力50mmmHgで、5
96.6gの第1留分(組成:DMC96.3重量%、M
PC3.7重量%)を得、次に圧力9mmmHgで392.0
gの粗製品留分(組成:DMC1.0重量%、MPC9
6.0重量%、DPC2.0重量%)を得た。反応容器に
残った釜残液の組成は、MPC30.0重量%及びDP
C70.0重量%であった。粗製品留分は、引き続き理
論段20段の精密蒸留塔を用いて、圧力9mmmHg、還流
比10で精製して、35.0gの第1留分(組成:DM
C12.5重量%、MPC87.5重量%)、305.0
gの製品留分(組成:MPC99.9重量%)及び42.
0gの釜残液(組成:MPC81.0重量%、DPC1
9.0重量%)を得た。
【0028】次いで、得られた製品留分以外の留分及び
釜残液、及び新たにDMC90.1g(1.0mol)、D
PC214.2g(1.0mol)を参考例1で用いた反応
容器に入れて、触媒を補うことなく撹拌下加熱し、DM
Cを全還流させつつ常圧で25時間反応させた。得られ
た反応混合物をガスクロマトグラフで分析したところ、
反応液中のカーボネートの比率は、それぞれDMC3
4.7重量%、DPC29.0重量%、MPC36.1重
量%であり、DPCに対するMPCの通算の反応収率は
57.3%に相当した。
【0029】実施例2 実施例1で得られたDMC、DPC及びMPCを含有す
る反応混合物を実施例1と同様に、予備蒸留、精製蒸留
して、製品MPC留分305.0g(組成:MPC9
9.9重量%)を得た。実施例1と同様に、製品留分以
外の留分及び釜残液に新たにDMC90.1g(1.0mo
l)、DPC214.2g(1.0mol)を加えてエステル
交換反応を行わせた。その結果、使用されたDPC総量
に対するMPCの通算の反応収率は64.2%(リサイ
クル2回目)に相当した。この残液混合物(組成:DM
C34.7重量%、DPC29.0重量%、MPC3
1.6重量%)を用いて、実施例1と同様の操作をさら
に2回繰り返したところ、使用されたDPC総量に対す
るMPCの通算の反応収率はそれぞれ、69.2%(リ
サイクル3回目)、73.0%(リサイクル4回目)と
向上した。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法によれば、原料であるジア
ルキルカーボネートとジアリールカーボネートを無駄な
くアルキルアリールカーボネートに転換させ、高収率・
高選択率でアルキルアリールカーボネートを製造するこ
とができるため、目的とするアルキルアリールカーボネ
ートの工業的に有利な製法ということができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の代表的なプロセスフローを示す概
略図である。
【符号の説明】
A 反応器 B 第1蒸留塔 C 第2蒸留塔 D 残液混合物槽 1 原料供給ライン 2 反応混合物移送ライン 8 製品留分回収ライン 11 リサイクルライン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジアルキルカーボネートとジアリールカ
    ーボネートのエステル交換反応により得られた反応混合
    物からアルキルアリールカーボネートを蒸留分離し、他
    の留分および蒸留残留物をエステル交換反応系ヘリサイ
    クルすることを特徴とするアルキルアリールカーボネー
    トの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記反応混合物を第1蒸留操作に付し
    て、ジアルキルカーボネートを主体とする第1留分およ
    びアルキルアリールカーボネートを主体とする第2留分
    を取得する第1蒸留工程;次いで該第2留分を第2蒸留
    操作に付して、ジアルキルカーボネートを含有する初留
    分および高純度アルキルアルキルカーボネートからなる
    製品留分を取得する第2蒸留工程;前記第1及び第2留
    分、第1蒸留残留物、前記初留分および第2蒸留残留物
    をエステル交換反応系へリサイクルする工程からなる請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記反応混合物からエステル交換反応に
    使用された触媒を分離した後に蒸留操作に付して、ジア
    ルキルカーボネートを主体とする第1留分、高純度アル
    キルアリールカーボネートからなる製品留分およびジア
    リールカーボネートを主体とする第3留分を取得し、得
    られた第1留分、第3留分および蒸留残留物をエステル
    交換反応系へリサイクルする請求項1記載の方法。
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